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幹部公務員の給与に関する有識者懇談会



報 告 書



平成16年3月31日


幹部公務員の給与に関する有識者懇談会





目   次


はじめに
T 現況
1.懇談会の検討対象
2.幹部公務員の現行の給与体系
3.幹部公務員の給与の変遷
(1)給与体系
1)特別職の給与体系創設時/2)昭和33年の見直し/3)昭和38年の見直し/4)昭和39年以後の見直し
(2)給与水準
1)特別職の給与体系創設時/2)昭和30年代まで/3)昭和40年代から昭和53年まで/4)昭和53年から昭和57年まで/5)昭和58年以後
(3)幹部公務員の給与を巡る最近の動き
1)人事院勧告と給与改定/2)国会同意人事を巡る議論/3)国会議員の歳費削減


U 提言
4.見直しの視点
(1)経済社会の変化への対応
(2)幹部公務員の給与に関する透明性と説明責任の確保
5.現状の評価と見直しの方向
(1)総論
(2)給与体系について
(3)給与水準について
6.結び
(1)今後の課題
(2)立法府、司法府の幹部公務員の給与との関係


資 料 編
 1.給与制度について
資料1公務員の種類と給与決定の方法
資料2国家公務員の給与が定められている主な法令
2.特別職について
資料3国家公務員の特別職と一般職
資料4幹部公務員の任用・服務等について
3.給与体系について
資料5特別職幹部公務員の給与体系の考え方について
資料6組織別幹部公務員の給与体系の概要
資料7幹部公務員の給与体系の推移
資料8検察官の給与体系の推移
資料9幹部公務員の組織上の位置付け
資料10国の行政組織の概要
1)我が国の統治機構、2)府・省の組織、3)内閣の組織、4)国会同意人事機関、5)宮内庁の組織、6)外務省の組織、7)検察庁の組織
資料11国会同意人事機関の現状について
国会同意人事機関一覧/国会同意人事の対象となっている審議会等の業務について/独立行政委員会と審議会等の相違/国家行政組織法(抄)/審議会等の整理合理化に関する基本計画(抄)
資料12非常勤委員等(一般職・特別職)の給与
資料13特定任期付職員(一般職)の給与
4.給与水準について
資料14内閣総理大臣等の俸給月額の推移
資料15内閣総理大臣等の給与水準(俸給月額)の推移(政務官/政務次官=1)
資料16諸外国の幹部公務員の給与(事務次官=1とした場合の指数)
資料17ドイツの幹部公務員の給与水準について
資料18幹部公務員の年間給与について(東京勤務の場合)
資料19国会議員が特別職職員となった場合の給与について
5.一般職の幹部公務員の給与について
資料20指定職俸給表について
資料21平成15年民間企業役員報酬調査の概要
資料22指定職と民間企業役員の給与の比較
年間報酬/報酬月額
資料23行政職及び指定職における人事院勧告の推移
資料24行政職及び指定職における特別給(民間のボーナスに相当)の支給月数の推移



「幹部公務員の給与に関する有識者懇談会」について



はじめに

 「幹部公務員の給与に関する有識者懇談会」は、内閣官房長官から、幹部公務員の給与の在り方について、今日の経済社会の実情を踏まえて見直しを行うよう要請を受け、昨年7月以来、5回の会合を開いて議論を重ねた。この度、その成果がまとまったので、これを報告書として取りまとめた。


T 現況

 1.懇談会の検討対象
   この懇談会の主たる検討対象となる官職は、行政府の幹部公務員のうち、「特別職の職員の給与に関する法律」(以下「特別職給与法」という。)別表第一の「官職名」欄に掲げられる官職であり、大使及び公使については、同表の官職の給与水準に見合うもの、すなわち二号俸以上の給与を検討対象とした(表1「適用法令別幹部公務員の給与体系の概要」参照)。
 事務次官、外局長官等の一般職の官職については、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度の下で、専門・第三者機関である人事院の勧告に基づいて「一般職の職員の給与に関する法律」(以下「一般職給与法」という。)及び人事院規則により給与が定められているところである。この懇談会の主たる検討対象である特別職の幹部公務員の給与は、これらの一般職の幹部公務員の給与とのバランスも考慮して定められていることから、一般職の官職については、特別職給与法別表第一に掲げられる官職の給与水準に見合うものについて、それら官職の給与との関連においてのみ議論を行った。
【表1 適用法令別幹部公務員の給与体系の概要】


 2.幹部公務員の現行の給与体系
  特別職の幹部公務員の給与は、特別職給与法に基づき、各官職の職務と責任に応じて、おおむね一つの官職に一定の額の給与(俸給月額)が対応して定められている(一官一給与)。俸給月額により、内閣総理大臣を第1位として、以下、国務大臣等の第2位クラス、副大臣等の第3位クラス、大臣政務官等の第4位クラス(一般職職員の指定職12号俸(東京大学及び京都大学の学長)と同額)、内閣危機管理監等の第5位クラス、内閣官房副長官補等の第6位クラス(一般職職員の指定職11号俸(事務次官)と同額)、及び審議会等の委員等の第7位クラス(一般職職員の指定職9号俸(外局長官)と同額)まで、全体の給与体系のクラス分けがなされている(注)。
(注) この報告においては、「副大臣」には副長官を、「大臣政務官」には長官政務官をそれぞれ含むものとする。
 検察官については、検事総長以下幹部クラスを含めて一般職とされているが、その給与については、裁判官の給与との均衡を考慮して、一般職給与法とは別に「検察官の俸給等に関する法律」において定められている。
 なお、事務次官、外局長官等の一般職の幹部公務員の給与については、上記で述べたとおり、人事院勧告に基づいて一般職給与法及び人事院規則により定められている。これらの官職については、昭和39年に指定職俸給表(一般職給与法別表第十)が設定され、以後、その官職の職務と責任に応じて、一般職給与法及び人事院規則により同俸給表上に格付けされている。
(注) 一般職職員については、国家公務員法により、給与を始めとする勤務条件が社会一般の情勢に適応するよう、人事院が勧告を行うこととされている。給与については、民間給与に準拠することとされており、人事院の行う民間企業の給与の調査に基づき、毎年勧告が行われている。
[参考] 立法府・司法府の幹部公務員の給与についても、行政府の幹部公務員の給与との相互の均衡を考慮しつつ定められている(表2「幹部公務員の給与体系の概要」参照)。
【表2 幹部公務員の給与体系の概要】
【表3 幹部公務員の給与体系の概要(年間給与)】


 3.幹部公務員の給与の変遷
 (1)給与体系(図1「幹部公務員の給与体系の推移」参照)
1)特別職の給与体系創設時(昭和23年11月)
 国家公務員法の制定により国家公務員が一般職と特別職に区分されたことに伴い、「特別職の職員の俸給等に関する法律」(注)が制定され、特別職の給与体系が創設された。
 創設当初の給与体系は、連合国の管理下にあって、行政の民主化が強調される中、政府から独立した機関、あるいは行政委員会の委員等に、給与体系上高い格付けがなされていた。中でも、検査官、人事官及び国家公安委員会の委員については、それぞれの設置法において、国務大臣と同額の給与を受けるべきことが定められていた(表4「特別職の給与体系創設時における各設置法上の給与額に関する規定」参照)。
(注)昭和24年12月に、ほぼ同じ内容で「特別職の職員の給与に関する法律」が制定され、現在に至っている。
【表4 特別職の給与体系創設時における各設置法上の給与額に関する規定】
会計検査院法第4条第3項
検査官の受ける俸給月額は、国務大臣の受ける俸給の額に準ずる額とする。
国家公務員法第10条
人事官は、国務大臣と同じ基礎に基づく給与を受けるものとし、人事官に支払われる給与の総額は、いずれの国務大臣が受ける給与の総額より少なくてはならない。
警察法第9条
委員は、法務総裁*の俸給に準ずる報酬を受ける。
* 国務大臣が充てられる
2)昭和33年の見直し
 戦後の特殊事情の下で形成された我が国の行政制度については、昭和20年代後半以降、行政委員会の整理、警察制度の改正等の見直しが進められた。これらを踏まえ、特別職の国家公務員の給与体系についても、昭和33年に大幅な見直しが行われた。
 すなわち、各官職の組織上の位置付け等を考慮した格付け基準を設定し、原則として、それに応じて各官職の格付けを行うこととされた(表5「昭和33年における格付け基準」参照)。
【表5 昭和33年における格付け基準】
第1位:内閣の長
第2位:各省等の長/政府内独立機関の長
第3位:内閣直属機関の長/特殊な外局(宮中事務所掌)の長・大使の最上級者
第4位:各省等の次席・外局の長(行政委員会の長)/内閣直属機関(長が大臣となり得る機関のみ)の次席・公使の最上級者
第5位:内閣直属機関(長が大臣となりえない機関)の次席
第6位:外局(行政委員会)の委員/審議会、審査会等の委員等
 これにより、国務大臣クラスとされていた検査官(会計検査院長を除く)及び人事官(人事院総裁を除く)の給与格付けが一段階引き下げられた。また、国家公安委員会委員が国務大臣クラスから二段階引き下げられるなど、合議制機関の委員等についても、給与体系上の格付けが引き下げられた。
 なお、人事官及び検査官が国務大臣と同額の給与を受けるべきとの法律上の規定は、この見直しに合わせて削除されている(注)。
(注)国家公安委員会の委員に関する当該規定については、昭和29年の警察法の全部改正の際に削除されている。
3)昭和38年の見直し
 昭和38年には、高度経済成長期の社会経済の急激な変化等に対応して、再度給与体系の大幅な見直しが行われた。
 すなわち、貿易自由化等に伴う公正取引委員会の重要性の高まりを踏まえ、公正取引委員会の委員長及び委員の給与体系上の格付けが、委員長については第4位の政務次官クラスから一段階上のクラス(当時は内閣官房長官と同格)へ、委員については第6位の審議会の委員等のクラスから一段階上の事務次官クラスへと、それぞれ引き上げられた。また、人事官及び検査官(見直し前は内閣官房長官と同格の第3位クラス)、国家公安委員会の委員及び審議会等の委員長等(見直し前は第4位の政務次官クラス)の給与体系上の格付けについては、更に一段階ずつ引き下げられた。
4)昭和39年以後の改正
 昭和39年以後の給与体系に関する見直しのうち主なものは、以下のとおりである。
 昭和39年には、一般職において指定職俸給表の制度が新設されたことを踏まえ、主に一般職との関係において給与体系の整理が行われた。この際、政務次官の俸給月額(国会議員の歳費月額と同額)については、国会法第35条の規定(注)を踏まえ、一般職の最高位(東京大学及び京都大学の学長)と同額とされ、検査官等と同じ第4位クラス(現在の大臣政務官クラス)の格付けに一段階引き上げられている。
(注)国会法第35条:議員は、一般職の国家公務員の最高の給料額より少くない歳費を受ける。
 昭和40年に、内閣官房長官の格付けが、内閣法制局長官と同格の第3位クラスから一段階上の国務大臣クラスに引き上げられた(内閣法改正により内閣官房長官は国務大臣をもって充てることとされた。)。
 平成8年に、内閣官房副長官の格付けが、第4位クラス(国会議員以外の者が就く場合には第5位クラス)から第3位クラス(現在の副大臣クラス)に引き上げられた。また、内閣総理大臣補佐官が新設され、第5位クラス(現在の内閣危機管理監クラス)に格付けされた。
 平成10年に、内閣危機管理監が新設され、第5位クラスに格付けされた。
 中央省庁等改革に伴い、平成13年に、副大臣、大臣政務官、内閣官房副長官補等の特別職の官職が新設され、以下のとおり格付けされた。
副大臣:第3位クラス
大臣政務官:第4位クラス(従来の政務次官クラス)
内閣官房副長官補、内閣広報官及び内閣情報官:第6位クラス(事務次官クラス)
【図1 幹部公務員の給与体系の推移】
(2)給与水準
1)特別職の給与体系創設時
 内閣総理大臣等の給与額については、終戦直後のインフレの中で短期間のうちに改定が重ねられ、昭和23年12月の特別職の給与体系創設時には、内閣総理大臣の俸給月額は40,000円、国務大臣の俸給月額は32,000円となった。なお、当時の事務次官の俸給月額は、20,000円弱で、内閣総理大臣の約5割の水準であった。
(注)戦前の幹部公務員の給与は、高等官官等俸給令(勅令)において定められており、終戦時においては、内閣総理大臣の年俸は9,600円、国務大臣の年俸は6,800円、各省次官の年俸は5,800円であった。
2)昭和30年代まで
 この時期には、特別職の幹部公務員の給与改定は、一般職である事務次官の給与改定等を参考に行われていた。
 政務次官については、昭和39年以後、一般職の指定職俸給表における最高位(東京大学及び京都大学の学長)と同水準とされ、現在の大臣政務官に引き継がれている。
 なお、この時期及び3)の時期においては、第1位クラスから第3位クラスまでの給与の改定は、現在のように人事院勧告に準拠して毎年行われていた訳ではなく、給与改定が行われない年もあれば、その分を補って人事院勧告による一般職職員の給与の改定率を上回る率で改定が行われたこともあった。
3)昭和40年代から昭和53年まで
 昭和40年代以後は、内閣総理大臣等の給与水準は、次のような基準(総理府人事局内部基準)により設定された。
 内閣総理大臣の給与水準は、従業員数3,000人以上の民間企業の専任役員のうち最も高い報酬を受けている者の報酬額の平均、かつ指定職最高号俸の2倍がおおむねの目安とされた。
 国務大臣クラスの給与水準は、内閣総理大臣と一般職の最高位との間でバランスを考慮し、おおむね内閣総理大臣の7割強とされた。
4)昭和53年から昭和57年まで
 特別職の給与についても、原則として一般職に準じた改定が行われたが、財政事情の悪化等を踏まえ、内閣総理大臣及び国務大臣クラスについては俸給月額の据置き措置が実施された。この結果、内閣総理大臣及び国務大臣クラスの給与水準と他の官職の給与水準の差は縮まり、3)の時期に基準とされた官職相互のバランスは、徐々に失われていった。
5)昭和58年以後
 昭和58年以後は、特別職の職員は、一般職の指定職に準じて毎年給与改定が行われている。
 この結果、近年は、内閣総理大臣の給与水準は、従業員数500人以上の民間企業の専任役員のうち最も高い報酬を受けている者の年間報酬の平均、及び一般職の最高位の1.7倍とおおむね同水準で推移している(図2「内閣総理大臣の給与水準の推移」参照)。
[参考]事務次官の給与水準を決定するに当たっては、人事院勧告において、従業員数500人以上の民間企業の専任役員のうち上位から第3番目の報酬を受けている者の報酬が参考にされている。
【図2 内閣総理大臣の給与水準の推移】
【図3 国務大臣の給与水準の推移】
(3)幹部公務員の給与を巡る最近の動き
1)人事院勧告と給与改定
 現下の厳しい経済情勢の下で、人事院勧告に基づき、一般職職員の給与は年収ベースで5年連続、俸給月額も2年連続して減額されている(表6「過去5年間の人事院勧告の概要」参照)。特別職の幹部公務員についても、一般職職員に準じて給与改定が行われ、同様の給与の減額が行われている。
【表6 過去5年間の人事院勧告の概要】
平成11年俸給月額の引上げ(一般職員0.28%、指定職・本省課長級は据置き)
期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.3月分)
平均年収△1.5%
平成12年俸給月額の据置き
扶養手当の引上げ
期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.2月分)
平均年収△1.1%
平成13年俸給月額の据置き
全職員(指定職等を除く。) に暫定的な一時金 (3, 756円) を支給
期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.05月分)
平均年収△0.2%
平成14年俸給月額の引下げ等(行政職平均△2.0%、指定職平均△2.1%)
期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.05月分)
平均年収△2.3%
平成15年俸給月額の引下げ等(行政職平均△1.1%、指定職平均△1.2%)
期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.25月分)
平均年収△2.6%
(参考)事務次官の年収
平成11年勧告前(2,678万円)⇒ 平成15年勧告後(2,433万円)
△9.1%
2)国会同意人事を巡る議論
 国会同意人事の対象となる特別職職員については、衆議院の議院運営委員会に「国会同意人事に係る審議会委員等の報酬等のあり方に関するワーキング・グループ」(以下、「国会同意人事委員等報酬WG」という。)が設置され、平成14年7月に、その報酬等の見直しについて提言が行われた(注)(表7「国会同意人事委員等報酬WGの提言の概要」参照)。
(注)国会同意人事の対象となる特別職職員とは、就任について国会の両院又は一院の同意によることを必要とする職員であり、その官職の置かれる機関を、組織上の位置付けから以下のように分類することができる。(資料11「国会同意人事機関の現状について」参照)
 内閣から独立した機関
 独立行政委員会(国家行政組織法第三条第二項に規定する委員会及びこれに相当する内閣府に設置される機関をいう。以下同じ。)
 内閣府の重要政策に関する会議
 八条機関(国家行政組織法第八条に規定する審議会等及びこれに相当する内閣府に設置される機関をいう。以下同じ。)
【表7 国会同意人事委員等報酬WGの提言の概要】
常勤・非常勤の問題
 独立行政委員会、内閣府の重要政策会議、所謂8条機関の常勤委員は、1名を原則とする。
 ただし、1)創設後間もなく評価が定まらないもの、2)国民の安全に関する緊急事態に自ら直接即応する必要があるもの、3)準司法的なものは例外とする。
給与・手当・退職金の問題
 常勤委員の給与の水準を引下げる。
 常勤委員の退職金のあり方について、廃止を含め検討する。当面25%の割増措置を廃止する。
 新たに非常勤となる委員の処遇水準の確保のため、非常勤委員手当の在り方を見直す。
3)国会議員の歳費削減
 国会議員の歳費については、平成14年4月以後、1年間の時限的な削減措置が実施されており、平成15年4月に更に1年間延長されている(図4「国会議員の歳費削減について」参照)。
【図4 国会議員の歳費削減について】


U 提言


 4.見直しの視点
  この懇談会においては、主に以下の視点から見直しを行った。
(1)経済社会の変化への対応
 右肩上がりの経済成長の終焉後、経済社会の岐路に立って、様々な制度・分野において構造改革が迫られている。特に、行政面においては、中央省庁等改革や公務員制度改革など、戦後導入された現行の行政制度に対する抜本的な改革が進められている。
 この懇談会においては、特別職の幹部公務員の給与について、経済社会の変化に照らして、現行の給与体系が各官職の職務と責任を適切に反映したものとなっているか、給与水準がその職務と責任に照らして妥当なものとなっているか等について、今日の実情を踏まえて見直しを行った。
(2)幹部公務員の給与に関する透明性と説明責任の確保
 行政における最近の大きな潮流として、情報公開制度や政策評価制度の導入等、行政の透明化とその諸活動を国民に説明する責務(説明責任)の確保が挙げられる。
 このような中で、特別職の幹部公務員の給与についても、その考え方を国民に対し分かりやすく説明する必要がある。特別職の幹部公務員の給与の在り方に関しては、これまでは、必ずしも開かれた場で十分な検討が行われてきたわけではなかった。今回、この懇談会の場を通じて議論を行い、可能な限り、体系的に、かつ分かりやすく整理し、明らかにするよう努めた。また、結論だけでなく議論の過程に関する情報を含め、公開を行った。これらのことは、透明性を高め、国民に対する説明責任を確保することに貢献するという意義があるものと考えられる。


 5.現状の評価と見直しの方向
 (1)総論
(特別職の幹部公務員の類型と給与の在り方)
 特別職は、様々な理由により、任用における成績主義の原則、身分保障等の一般職に適用される国家公務員法の原則が適用されない諸々の官職であり、任用、服務等に関する制度についても官職ごとに様々である。この懇談会の主たる検討対象である特別職給与法別表第一又は別表第二が適用される幹部公務員に限っても、その職務の性質に応じて官職ごとに任用、服務等が定まっており、統一的な制度はない(表8「特別職の幹部公務員について」参照)。
 様々な官職が含まれる特別職の幹部公務員を、あえて類型化すると、次の二つに区分することができる。
 職務の性質から一般職の任用手続を経ないことを適当とする官職(内閣官房の特別職、大公使等)
 職務遂行の独立性及び任用手続の透明性を確保する等の観点から任用に当って国会同意を必要とする官職(検査官、人事官、委員会委員等)
 ただし、こうした類型化は、それぞれの職務の性質に由来するものであり、職務の重要性や責任の重さに由来するものでは必ずしもないことから、上記のような特別職の類型化と、職責に応じて定められる給与の在り方との間に、直接的な関連性を見出すことは難しい。
(特別職の幹部公務員の給与の基本的考え方)
 上記のような特別職の多様性にかんがみると、一つの基準で給与の在り方を定めることはできない。しかし、それぞれの官職につき相互に無関係に給与を定めることにすると、極めて複雑になり、透明性を欠き、国民の信頼を失うことになるおそれがある。したがって、特別職の幹部公務員の給与全体について、体系性を保ち、かつ、その水準の定めにも一定の基準があることが望ましい。この見地からすると、特別職の幹部公務員の給与は、官職の職務と責任に応じ、かつ、一般職の官職との均衡、特別職の官職相互の均衡等を考慮して法律で定めるのが適切と考えられる。
 ただし、その際、国民にできるだけ分かりやすいものとするとともに、特別職の幹部公務員が担う職務の多様性や、多様な人材を登用すべきとの要請にかんがみ、必要に応じて弾力的運用を可能にすることにも配慮する必要がある。 
【表8 特別職の幹部公務員について】
(2)給与体系について
(現行の給与体系の評価)
 現行の幹部公務員の給与体系は、これまでの諸々の経緯の積み重ねにより形作られたものであるが、現時点で改めて考え方を整理すると、以下のように説明することができる(資料5「特別職幹部公務員の給与体系の考え方について」及び資料6「組織別幹部公務員の給与体系の概要」参照)。
1) 行政機関の長である特別職については、当該行政機関の組織上の位置付けや任務・所掌事務の重要性を考慮して、給与体系上の序列が定められている。
2) 行政機関の内部の官職については、当該行政機関における職責や指揮命令系統等を考慮して、給与体系上の位置付けが定められている。
3) 上記2)で定めた給与体系上の位置付けについては、各々の官職の職責の重要性や職務上の役割に照らして、他の行政機関の官職との均衡を失しないように定められている。
 幹部公務員の給与体系は、3.(1)で見たように、戦後の特殊事情の下で形成されたが、そのような特殊事情に基づくものの見直しは、昭和33年及び昭和38年の改正を中心に、現在まで行われてきていると認められる。
 このように、給与体系は、硬直的な体系とすべきではなく、社会情勢を踏まえ、適切に見直されるべきものと考えられる。現行の体系は、近年における官職の新設等に伴い複雑化している面や、組織の横並びが重視されている面が見られるものの、先に示した基本的考え方及び現在の社会情勢に照らしおおむね妥当であると考えられる。
 しかし、この機会に改めるべき点として、次の事項がある。
(見直しの方向)
1) 給与体系における段階の簡明化について
 給与体系における段階には、大臣政務官クラスと内閣危機管理監クラスのように、差が小額なものもあるが、そこまで細かく区分する必要はなく、内閣総理大臣、国務大臣、副大臣及び大臣政務官並びに一般職である事務次官及び外局長官を、給与体系における基準官職として再整理して、国民に分かりやすいものとすべきである。その場合には現在の内閣危機管理監クラスを廃止することとなるが、その際は、そのクラスの官職の給与は、職責や指揮命令系統を考慮しつつ、原則として直下のクラス(事務次官クラス)に引き下げるべきである。
2) 国会同意人事機関の常勤委員等の給与の格付け等の見直し
 八条機関の常勤委員等(常勤の委員長及び委員を言う。以下同じ。)の給与の格付けについては、中央省庁等改革において八条機関の位置付けが再検討されたことを受けて、八条機関が府、省又は庁の附属機関であるという原則に基づき、委員長(現行は事務次官クラス)は外局長官クラス、委員(現行は外局長官クラス)は局長クラスとすべきである(資料11「国会同意人事機関の現状について」参照)。
 八条機関に係る給与の格付けの見直しとの均衡を図る観点から、八条機関と同様に調査審議・意見具申等の機能を有する国会同意人事機関の常勤委員等の給与についても、同様の見直しをすべきである。
 国会同意人事機関の常勤委員等が兼業し、所得を得ているような場合には、原則として日額の手当を支給することとすべきである。ただし、兼業先からの所得が、あらかじめ定められた基準を下回る場合には、例外として常勤職員としての給与を支給することとしてもよいものと考えられる。
 なお、この懇談会において特に議論を深めた訳ではないが、国会同意人事委員等報酬WGにおいて、国会同意人事機関の常勤委員等の退職手当についても指摘があることから、国会同意人事機関の常勤委員等の退職手当についても、今後、政府において見直しを行う必要があるものと考えられる。
3) 一部官職への弾力的な給与制度の導入
 一部官職に限り、特に高度な知識経験や能力を有する者を、その知識経験等が特に必要である業務に従事させる場合には、一般職の任期付職員や、一般職・特別職の非常勤の委員等の手当に見られるように、一定の上限の範囲内で特例的に高い給与を支払うことを可能とすべきである。ただし、万が一にも安易な運用に流れることのないよう厳に留意すべきである。
 給与を弾力化することを可能とすべき官職としては、専門的な助言等を行う、いわゆるスタッフ職が適当であり、例えば内閣総理大臣補佐官や八条機関の常勤委員等が考えられる。
(3)給与水準について
(現行の給与水準の評価)
 現行の給与水準については、以下のように整理できる。
1) 内閣総理大臣の給与水準について、一定の基準により決定する。
2) 事務次官等の一般職の幹部公務員の給与水準については、人事院勧告に基づき決定される。
3) 国務大臣、副大臣及びそれらと同格の特別職の給与水準について、内閣総理大臣と一般職の幹部公務員の給与水準との相互のバランスを考慮して決定する。
 ただし、給与水準についての基準は、歴史的に見て、必ずしも一貫したものとはなっていないと思われる。特に、現行の特別職の幹部公務員の給与水準については、昭和53年から57年までの内閣総理大臣及び国務大臣の給与改定の凍結に伴い、官職相互間のバランスが必ずしもとれていない面があると認められる(図5「特別職の給与水準のバランスの推移及び現状」参照)。
【図5 特別職の給与水準のバランスの推移及び現状】
 なお、この懇談会においては、内閣総理大臣は、国を代表するような官職であることや、過去の給与改定の凍結の経緯にかんがみれば、現行の給与水準は低すぎるという意見があった。
 また、現行の幹部公務員の給与水準は、その職責に比して総じて低く、民間からの人材確保は難しいのではないか、給与水準を決定するに当たっては、民間からの人材確保という観点も必要ではないかという意見があった。
(給与水準についての基準)
 特別職の幹部公務員については、一般職と異なり、法律上、給与に関する民間準拠規定がないが、特別職の幹部公務員の給与水準についても、準拠すべき何らかの基準が必要である。
 内閣総理大臣や国務大臣の給与水準は、必ずしも民間企業の役員と単純に比較できるものではないので、人事院勧告に基づき決定される一般職の幹部公務員の給与水準、例えば一般職の最高位をこのような準拠すべき基準とし、それとのバランスで内閣総理大臣等の給与を決定することが適当である。
 その場合、
 (A案)内閣総理大臣の給与水準を、一般職の最高位の倍数(例えば過去において基準としていた2倍)により定める
 (B案)まず国務大臣の給与水準を同じ組織内の一般職の最高位(事務次官)とのバランスにより定め、その国務大臣の給与水準とのバランスにより内閣総理大臣の給与水準を定める
 という考え方がある。
 この懇談会においては、A案の方が簡明ではないかという意見がある一方、B案の方が論理的であり、また、弾力的な取扱いが可能となるのではないかという意見が多かった。
 これらの考え方による基準の再設定により、望ましい給与水準が現行より高くなることも考えられるが、政府においては、現下の経済・財政状況では当分の間は難しいとしても、将来的には再設定された基準による望ましい給与水準に近づけるよう努めるべきである。
(国会議員の歳費削減との関係)
 幹部公務員の給与は、国会議員の歳費と比較した場合、在職期間に応じて俸給が日割計算される等、勤務に対する報酬としての性格が強く、また、兼業が原則としてできないことによる性格の違いも認められる。歳費削減との関係においては、このような幹部公務員の給与の性格の違いに留意すべきである。


 6.結び
  この懇談会においては、行政府の特別職幹部公務員の給与について、経済社会の変化への対応、及び透明性と国民に対する説明責任の確保の観点から、給与体系及び給与水準について見直しを行った。最後に、今後の課題及び立法府・司法府の幹部公務員の給与との関係について、この懇談会の認識を述べて報告の結びとしたい。
(1)今後の課題
(不断の見直しの必要性)
 この懇談会においては、幹部公務員の給与が現時点で適切・妥当なものであるか等について総合的に見直しを行ったものであるが、個々の官職の職責は社会情勢に応じて変化し得るものであることから、特別職の幹部公務員の給与について、今後とも時宜に応じた見直しが必要である。
(中期的な調査研究の必要性)
 この懇談会においては、個々の官職の職責について踏み込んで分析するには至らなかった。今後の政府による見直しの中で、民間における職務評価方法等をも参考にして、職務の重要性や影響度等を給与に適確に反映させるような方策が存在するのか等、様々な角度から調査研究を進めるべきである。
(2)立法府・司法府の幹部公務員の給与との関係
 行政府と立法府・司法府の幹部公務員の給与は、相互の均衡を考慮しつつ定められているところである(5ページ表2参照)。この懇談会においては、行政府以外の幹部公務員の給与についても、戦後の特殊事情に基づくものの見直しを含め、今日の社会経済の実情を踏まえた見直しが行われるべきであるという意見があった。今般のこの懇談会による見直しを機会に、立法府・司法府においても、その幹部公務員の給与について、官職の職責に応じて妥当なものとなっているか、行政府の官職との均衡はとれているかなど、それぞれの観点から適切な検討が行われることを強く期待する。




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