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 トップ会議等一覧道路関係四公団民営化推進委員会意見書等 [印刷用(PDF)]


中間整理


平成14年8月30日
道路関係四公団民営化推進委員会

 本委員会は、本年6月17日の設置以来8月6、7日及び22、23日における2回の集中審議を含め、計15回にわたり、議論を重ねた。この結果、道路関係四公団の改革に関する議論について一定の意見集約が図られたことから、この度、本委員会における中間整理として以下のとおり取りまとめたものである。
 今後は、この中間整理を踏まえ、具体化に向けた調査審議を進め、年末までに内閣総理大臣に意見を提出する予定である。ここに示された考え方を基本として、制度面、計数面等からさらに詳細な検討を加える。

1.改革の意義と目的

 道路関係四公団改革は、小泉構造改革の大きな柱として昨年から取り組まれている163の特殊法人等改革として位置づけられなくてはならない。
 甘い交通需要の見通しと建設費の増加等によって膨らんだ約40兆円に達する道路関係四公団の債務を国民負担ができる限り少なくなるよう返済していくためには、必要性の乏しい道路を造らない仕組みを考える必要がある。
 必要性の乏しい道路を造らない。国民が負う債務を出来る限り少なくする。道路関係四公団改革のいわば基本理念といえるこの二点を実現する解として、昨年の12月、特殊法人等整理合理化計画において民営化という方針が決まったのである。
 したがって、「最終的には上場を目指す」としても、不採算路線によってできあがった債務を税金投入で処理して、一方で収益性の高い日本道路公団のみを超優良な民営会社として再生させるということは改革の本旨ではない。
 いまある約40兆円の債務を国民負担ができる限り少なくなるようきちんと返済していき、必要性の乏しい道路建設をストップし、サービスが向上し利用料金も下がっていくというような、国民全体にメリットのある改革を実現するのが民営化の目的であり、本委員会が達成すべき目標である。
 この中間整理についても、そうした基本理念の下にあることを理解されたい。

2.基本認識

(1)公団方式による高速道路等の建設は限界
 料金のプール制と財投資金等の借入・償還を前提に新規路線を建設する現行公団方式は、もはや限界にきており、道路関係四公団については民営化を行い経営の健全化を図らなければならない。

(2)経営の自律性の欠如
 高速自動車国道等の建設は国による施行命令等に基づき実施される仕組みとなっており、組織として自主的な意思決定が行われず、経営責任が不明確となっている。

(3)事業運営の非効率性・不透明性
 道路関係四公団は、計画と実績との検証を行わないまま、財投資金等をもとに、次々と新規路線の建設を進めるなど、効率性の観点を著しく欠いた事業運営に陥っている。
 また、企業会計原則に則った会計処理がなされていないことから、公団内においてコスト意識が働きにくくなっており、とりわけファミリー企業との不透明な取引等により、非効率・不透明な事業運営が行われる結果となっている。

(4)厳しい財務状況
 現在の道路関係四公団の財務状況は、本委員会が行った試算の結果、企業として存立していく上では極めて厳しいものとなっている。

3.民営化の基本方針

(1)国民負担の最小化を基本原則とし、50年を上限としてなるべく早期の債務返済を確実に実施する。

(2)新たな組織は、自らの経営判断に基づき事業経営を行うことにより、自己責任原則の下、民間企業としての自主性を確保する。

(3)民間企業のノウハウの発揮、コスト意識の徹底、採算性を重視した事業経営の実施等を実現し、経営の効率化、利用者のニーズに応じた多様なサービスの実現、サービスレベルの向上等を図るとともに、料金引下げ、採算性を確保した上での新規路線の建設に取り組む。
 また、有料道路事業以外の関連事業を積極的に展開する。

4.国及び道路関係四公団において直ちに取り組むべき措置

 民営化の実現の前に、現下の厳しい財務状況等を踏まえ、国及び道路関係四公団においては、以下の事項について実施に移すべきである。

(1)国土交通大臣及び日本道路公団は、直ちに、高速自動車国道の施行命令(一般有料道路の許可を含む。)の全面執行について、凍結・規格の見直しを含む再検討を行う。

(2)道路関係四公団は、直ちに、複数の民間企業経営者を登用し、2002年度末決算、遅くとも2003年度中間決算から公認会計士等の活用による民間企業の会計原則に基づく財務諸表を作成する等、民間企業経営者の知恵を導入し民営化に備える。

(3)本委員会の結論が出るまでの間は、通行料金の値上げは行わない。

(4)2004年度の新規職員の採用は原則停止する。

(5)ファミリー企業の実態解明のため、道路関係四公団は協力する。

(6)直ちに、役員退職金の廃止・見直しを含む総額人件費抑制計画を盛り込んだコスト削減のための計画作りに着手し、今年度内に作成する。

5.首都高速道路公団及び阪神高速道路公団の取扱い

(1)建設中又は計画中の路線の建設については、計画通りの交通量の伸びが見込めない場合、現在の財務状況から判断すると、現行の国・地方公共団体の費用負担のあり方により建設を実施することは困難であると見込まれる。
 このため、これらの路線の建設の一部凍結・規格の見直しを含む検討を行い、建設を行う必要がある場合は、国及び地方公共団体の費用負担等についての新たなルール作りが必要である。

(2)全体の債務返済については、計画通りの交通量の伸びがない場合、新会社の経営努力による経費の徹底的削減、収入の増加等を通じて、50年以内での債務返済に努めることとする。あらゆる努力を尽くした結果どうしても達成不可能な場合は、国及び地方公共団体の役割分担の下、一層の費用負担を行う必要がある。

(3)(1)及び(2)の新たな費用負担等を行う場合には、既に予定されているものを除き、通行料金の引き上げによって対応するのではなく、あくまでも国及び地方公共団体の責任で対応すべきである。

6.本州四国連絡橋公団の債務処理

  • 国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理することとし、道路料金の活用も検討する。
  • 民間から調達した借入金・縁故債について債権放棄は求めない。

7.新たな組織のあり方
   (別添スキーム図参照)

 (1)有料道路事業・関連事業の経営を行う新会社の創設

  • 特殊会社として設立する。最終的には上場を目指す。
  • 新会社に対する国の関与は、厳格な契約関係の下、必要最小限とする。
  • 既供用路線の独占的使用権を有し、有料道路事業を経営する。また、必要な規制緩和等を図り、関連事業を積極的に展開する。
  • 四公団ごとの設置を仮定として、本州四国連絡橋公団分を含め、統合・分割のあり方については、財務状況試算等の検証を経て、今後検討する。
  • 新会社は以下の条件のもと、新規路線を建設し、既設路線と同様に事業を経営する。
    • 整備新幹線方式を参考に、国・地方及び機構と対等な立場で、建設の計画段階から国・地方と協議をした上で、新会社が主体的に投資の決定を行う(これに関する十分な担保措置を講じる。)。
    • 当該路線に係る新会社の建設費用負担は、会社が自ら資金調達を行い、採算性を確保しうる分(料金をもって適切な期間内に返済可能)を限度とする。それ以上の費用については、機構からの資金支出、国・地方からの資金負担等が考えられる。
  • 以上のため、国・地方及び機構との間で、これを担保する厳格な契約関係を確立し、これを法的に担保する。契約事項については今後詳細に検討する。また、契約内容についての一定期間後の見直しを制度化する。
  • SA、PA等道路本体以外で事業を展開するための資産については、自ら保有する。
  • 新会社の自己資金調達に関する政府保証の是非については、今後検討する。

 (2)保有・債務返済機構(仮称。以下「機構」という。)の設置

  • 国民負担の最小化を基本原則とし、50年を上限としてなるべく早期の債務返済を確実に実施することを最優先とし、かつ、公租公課による資金の外部流出を避けるため、一定期間、公的法人(独立行政法人)として機構を設置する。
  • 法人税は非課税、固定資産税は非課税又は大幅に軽減する。
  • 四公団の資産及び債務を継承する。(1)に規定する新会社からの貸付料をもって債務を返済する。
  • 企業会計原則に則った会計処理を行うとともに、四公団ごとの厳格な区分経理を前提とした単一の組織とする。この場合、日本道路公団の一般有料道路は、同公団の高速自動車国道と原則一体として処理する。
  • 機構が継承する債務総額を増加させないとの考え方のもと、一定期間、新会社に対し新規投資資金の一部を支出するという方法の活用も検討する。それ以外の業務は行わない。これらについては厳格に法定化する。

8.プール制

  • 「プール制」の用語については、今後使用しない。
  • 現行の公団方式の全国料金プール制は、廃止する。

9.料金

  • 「永久有料化」の用語については、今後使用しない。
  • 料金により債務を確実に返済する。
     
  • 現行料金を上限とし、民営化後の債務返済状況等を勘案し、なるべく早期に料金引下げを進める。
  • 今後の料金のあり方については、管理コスト、便益の享受に伴う利用者負担等を考慮して、長期的観点から検討する。

10.コストの縮減等

  • 民営化に当たっては、建設コスト、管理コスト等について目標を定め、相当程度の縮減を図る。
  • 道路の線形をはじめ構造設計の基準を見直し、安全性を損うことなく建設費用の低減を図る。
  • 発注・契約のあり方を見直し、建設コスト、管理コスト等の引き下げを図る。

11.今後検討すべき残された課題

(残された主な検討課題)

  • 機構、新会社の具体的な制度設計(これに代わる形態の検討、機構解散後の資産の取扱いを含む。)
  • 新会社が建設する路線の基準、建設スキーム
  • 国・地方・機構・新会社の契約内容
  • 貸付料の設定の考え方
  • 地域分割等新会社の分割の方法
     
  • 新会社の経営インセンティブ・関連事業
  • 一般有料道路の処理
  • 本州四国連絡橋公団の債務処理方法

参考資料