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仲裁検討会(第2回)議事録

司法制度改革推進本部事務局



1 日時
平成14年3月11日(月)13:30〜17:20

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
青山善充(座長)、秋吉仁美、櫻井和人、谷口園恵、中野俊一郎、中村達也、
本東 信、松元俊夫、三木浩一、山本和彦、吉岡桂輔
(事務局)
山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、近藤昌昭参事官、後藤健企画官、
内堀宏達参事官補佐

4 議題等
(1)開会
(2)仲裁合意の承継について(前回の補足)
(3)仲裁人及び仲裁廷についての検討項目案
(4)仲裁廷の管轄(権限)についての検討項目案
(5)仲裁手続についての検討項目案(その1)
(6)閉会

5 議事
(□:座長、○:委員、●:事務局)

【開会】
□ それでは、本日は御多用中御出席いただきましてありがとうございます。
 初めに、事務局から本日の資料についての御説明をお願いしたいと思います。
● 今回は、検討会資料として、資料目録に書いてありますが、検討会資料5から7までを検討対象としてお願いしたいと思います。
 参考資料として、資料番号8を事前に送付させていただいております。
 席上に第1回の議事録と別冊NBLを配布しております。この別冊NBLというのは、前回紹介したアンケート調査を基にして座談会を開催した内容をまとめて紹介したものです。
 前回の検討会で御議論いただきました仲裁合意の承継の問題について、○○委員から資料の御提出がございましたので、席上で配布させていただいております。
 少し前後しましたけれども、資料8は、現在、UNCITRALの作業部会で検討されているモデル法の改正草案のうち、仲裁廷の暫定的保全措置に関する部分を抜き書きしたものでございます。
 本日御議論いただく検討項目案は、検討会資料5から7まででございます。
  検討会資料5は、仲裁人及び仲裁廷に関する問題。資料6は、仲裁廷の管轄(権限)に関する問題。資料7は、仲裁手続に関する問題を取り上げております。
  仲裁手続については、第3回の検討会でも司法裁判所の援助、協力等の問題を取り上げる予定ですので、今回は総論的な部分や、時効中断に関する問題を御議論いただく予定です。 □ ただいま事務局から御説明がありましたうちで、席上配布の議事録でございますけれども、委員の皆様には協力していただきましてありがとうございました。
 こういうふうに議事録を次回までにはできるだけ用意したいと思います。
 ただ、この次は4月1日ですから無理かもしれませんけれども、どうぞよろしく御協力をいただきたいと思います。
 席上配布でもう一つのNBLの別冊も非常に時宜に適した時にアンケートをまとめていただき、また、ここにいらっしゃる方も座談会に何人か出ていただいております。これは、今後非常に有益、有用な資料になると思いますので、どうぞ御活用いただきたいと思います。

【仲裁合意の承継について(前回の補足)】

□ それでは、今、事務局から御説明がありましたが、仲裁合意の承継につきまして、承継があった場合にどうなるのかということについて、前回私の方から御質問をいたしましたが、早速○○委員の方から資料を提出していただきました。
 簡単で結構でございますから、御説明いただけますでしょうか。

○ それでは、御説明させていただきます。
 直接座長から御指示があったのは、私の資料の3ページの(5)の@の部分であるように思っておりますけれども、関連しまして調べましたので御報告させていただきます。
 1ページの(1)包括承継の場合でございますけれども、実例が1つございまして、工事完成・引渡し後、発注者は死亡いたしまして、妻と子が相続した。請負人が相続人に対しまして、工事残代金などを請求し、相続人から請負人に対して、損害賠償の請求を行ったという事案でございます。
 この事案におきましては、相続によって仲裁合意を承継すること自体は、特に争点にならずに、仲裁判断に至っておるという事案でございます。
 (2)の特定承継でございますけれども、特に私どもの実例ではございません。ただ、過去に委員の先生にいろいろ御議論いただいたことがございまして、御議論の雰囲気としましては、契約上の地位の一括移転と考えられる場合には、仲裁合意も承継されるんではないか、これに対して、単なる債権譲渡の場合には、仲裁合意は承継されないんだというような考え方でございます。
 2ページに参りまして、(3)でございます。
  破産手続、あるいは会社更生手続の場合でございますが、破産手続について1つ実例がございまして、工事完成・引渡後、請負人が破産宣告を受けまして、その破産管財人が発注者に対して請負残代金の支払請求を行ったという事例でございます。
 この事案につきましても、破産管財人が仲裁合意を承継するということ自体は特に争点にならず、仲裁判断に至っております。
 (4)の差押えの場合でございますけれども、1つ実例がございまして、これも工事完成・引渡後、請負人の債権者が請負残代金債権を差し押さえまして、取立命令を取得しまして、発注者に対して請負残代金の支払請求を行ったという事案でございます。
 本件でも、特に差押債権者が仲裁合意を承継するかどうかということは争点にならずに、仲裁判断に至っています。
 なお、本件の場合、私どもの建設工事紛争審査会は、建設工事の請負契約に関する紛争を取り扱うということに建設業法で規定されておりますので、この審査会の守備範囲かどうか、管轄権を有するかという点は争点になっておりますけれども、問題ないという仲裁判断に至っております。
 3ページ目でございますが、座長から御下問がありました(5)の@でございますけれども、例えば工事完成後、発注者から建物の所有権を譲り受けた者が、瑕疵の修補を求めて請負人を相手取って仲裁申請を行うということはあるのかということでございますが、実例としては見当たりませんでした。
 解釈としましては、過去に御議論いただいた結果としましては、やはりこれは物件の所有権の移転でありまして、債権債務の移転ではないので、請負契約に基づく仲裁合意、これによる権利義務が承継されるとは解されないという考え方でございます。
 ただ、先ほど出てまいりました請負契約上の地位の一括移転と考えられるような場合には、仲裁合意の移転があるのではないかと考えられます。
 また、建物の譲受人から請負人に対する請求ということを考えますと、債権者代位権の行使という形態があり得るということでございます。
 「A債権者代位権の行使」につきましては、1つ実例がございまして、ゴルフクラブの会員が債権者代位権を行使いたしまして、工事の発注者であるゴルフクラブに代位して請負人を相手取って仲裁申請したという事例があるんでございますが、若干古い事案でございまして、資料が残っておりませんで、詳細が確認できておりません。
 仲裁ではございませんけれども、私どもで取り扱いました調停事件では、分譲マンションの区分所有者で構成する管理組合が、工事の発注者である分譲業者に代位しまして、請負人を相手取って申請を行い、和解によって解決したという事例はございます。
 仲裁合意の承継については、できれば、立法によって明確化ができればいいと思いますけれども、いろいろ御議論があろうかと思います。

□ どうもありがとうございました。いろいろ御疑問や御議論もあるかもしれませんけれども、今日はたくさんの資料がありますので、第二読会の際に御議論をいただきたいというふうに思います。

【仲裁人及び仲裁廷についての検討項目案】

□ それでは、本日は、先ほど事務局から説明がありましたように、3つの資料がありまして、仲裁人及び仲裁廷についての問題、仲裁廷の権限の問題、仲裁手続についての問題、この3つの資料が出ておりますが、最初の仲裁人及び仲裁廷に関する問題について御議論いただきたいと思います。

【I 仲裁人の数について】

□ まず、最初は、仲裁人の人数の問題を取り上げたいと思います。
 まず、事務局から御説明をお願いいたします。

● Iのところですけれども、仲裁人の人数については、当事者が合意により自由に定めることができると考えられますが、この点に関する合意が存在しない場合の標準的な数について規定を設ける必要が考えられますので、それを何人とするかについて御議論をいただければと思います。
 例として資料5には3つの考え方を示しております。
 3人とする立法例、1人とする立法例、いずれもございますが、手続の迅速や費用の抑制、更には日本の現状でどの程度仲裁人としての適格者を確保できるかといった問題もございますので、紛争の規模あるいは当事者の受ける利益の観点から目的の価額により分ける考え方もどうかということで、肢(3)を設けてみました。
 ちなみに、資料にもお書きしましたように、モデル法は、原則3人としております。国内仲裁機関の仲裁規則においては、原則的人数を1人としている例も少なくないようであります。
 合意がない場合の仲裁人の選任手続については、標準的な仲裁人の数を何人とするかという結論を待って検討したいと考えております。

□ 仲裁の人数は(1)(2)(3)と3つの選択肢を提示しておりますけれども、どうぞどなたからでも御自由に御発言をいただけますでしょうか。
 まず、実務の○○委員から。

○ 一点だけでございます。「(3)仲裁の目的の価額により、1人又は3人とする」という点ですが、実務では、仲裁手続で仲裁人が選定された後、申立ての変更ということで、請求の趣旨の拡張がされることが結構ございます。
 したがって、途中で仲裁人の数が変わるということは通常は難しいと思いますので、(3)の選択肢はないかと思います。

□ ○○委員お願いします。

○ いろいろ御異議があると思いますけれども、私どもは、ここにありますように手続の迅速でありますとか、費用の点を考えると、補充的な規定ではありますけれども、原則は1人という方が、今の日本の実態に合っているのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。

○ 私どもの審査会の場合には、建設業法で仲裁人の数は3人とするというのがはっきり書いてございまして、そのようにやっておりますが、おそらく実態としましては、かなり技術的な紛争が多いものでございますので、法律関係者のほかに技術に詳しい者、あるいは行政的な知見を有する者も含めて、3人ということです。
 そうしますと、私どもとしては別に3人で問題はないんでございますけれども、考え方としては、仲裁の目的の価額によりというよりは、むしろ事案の性質によりどう考えるかという観点の方が妥当ではないかという気がいたします。

○ 弁護士会のことも参考のところに出ているとおりでございます。
 国内の方では、どちらかというと、いろんな事案がございまして、必ずしも3人でやらなくてはいけないというような内容のものではないものもございまして、原則としては1人で、3人にもできるようにしているということでございます。
 むしろ、審理の中で事案に応じて、また審理をしている途中で、事案をかんがみて3人の合議体にするということは結構ございます。
 もう一つは、最初にあっせんから入って仲裁に移るということがございますものですから、どちらかと言うと1人で進めていくと。やはり仲裁に移る段階で、慎重な案がほしいということで3人になるというようなケースもございます。

□ これは、要するに前提としては仲裁人の数は、当事者が合意できるということを前提とした上で、合意がなかった場合にどうするかという問題です。
 これについて、○○委員。

○ 実務的には、おっしゃるように1人が望ましいケースというのはかなりあるだろうと思います。特に少額の事件に関しては3人の仲裁人ではとても費用がままならない。
 ただ、今、ここで問題になっておりますのは、座長がまとめられたように、当事者が自由に仲裁人の数を定めることができるということを前提として、そういった合意がない場合にデフォルトルールとして何人とするかという問題だろうと思います。
 そうして考えますと、基本的には当事者間で、基本的に仲裁合意を結ぶ場合に、仲裁人の数の合意をしないということは、ほとんど考えられないことでありますし、常設仲裁機関を使う場合、すべての常設仲裁機関が仲裁人の人数についての規定を置いていると認識しております。
 そうしますと、結局、このデフォルトルールが働いてくるときというのは、当事者間で人数について合意が調達できなかった場合。言葉を変えて言いますと、人数について、一方が1人を主張し、もう一方が3人を主張するとか、あるいは人数と関連しますけれども、人数ではなくて具体的な仲裁人の選定に際してもめているケースということになろうかと思います。
 そうした場合のデフォルトルールとしましては、1人としますと、結局もめている場合に、どちらか一方にとって不満が残る仲裁人に決さざるを得ないということになりかねないわけでして、その点、3人にしておきますと、双方がそれぞれ自らが望む仲裁人を指名して、指名された仲裁人が第三仲裁人を選ぶということで比較的公平な手続が運営されるというふうに思われます。
 したがいまして、繰り返しになりますが、当然仲裁規則や、アドホックの合意で1人という合意が結ばれることが多いでしょうが、デフォルトルールとしましては3人と定めるのが妥当かと考えます。

□ ほかに御意見ございますでしょうか。

○ 私は実態がよく分からないところもあるんですけれども、3人に決めておいて、それを1人に変えるというのは、何か軽く見るような感じがあって、なかなかやりにくいんではないかという気がします。
 今、○○委員が争いがある場合だとおっしゃったんですけれども、例えば何も決めていない簡単な事件というのも、○○委員がおっしゃったように多分あるんだろうと思うんです。
 むしろ、原則を1人にしておいて、本当に取引の重要な問題とか、価額が大きいとか、それこそ人数について争いがあって、慎重に判断しなければいけないという場合には、仲裁人の方で裁定合議のように大きな人数にできるという方が使い勝手がいいんではないかというような感じがしまして、最初から3人と定めるよりは1人の方がいいかなという印象を持っております。

○ 先ほど○○委員のおっしゃったように、おそらく当事者で選ぶということになりますと、やはり1人にまとめるのが難しいだろうと思います。したがって、規定の上では3人の方がよいでしょう。

○ 補足でございますけれども、私も同じ意見で、結局、アドホック仲裁の場合に問題になるんだろうと思います。仲裁機関を使う場合には、規則がございますので、したがって当事者が合意した規則の中に、仲裁人の数についての取決めが規定されております。
 アドホック仲裁の場合に、今、おっしゃられましたように、当事者間で仲裁人の数が合意できないという場合に、紛争の当事者が1人の仲裁人を選定できるかというと、これは、我々実務の感じからしますと難しいと思います。
 そうしますと、規定上、裁判所の方で選定していただくということになるわけでございますので、そうすると手続が遷延するという問題がございます。そういった観点からしますと、3人の方が手続がスムーズに流れるという感じはいたします。

□ 分かりました。今日は、この問題は第一読会ですので、いろいろ御意見を伺うということで、どちらということを決定するわけにはいきません。全体を見ないうちに部分を決めるというのはよくないと思いますので。大体の感触はよろしいですね。
 ○○委員に伺いたいのですが、先ほどの建設業法は3人と法律で決めているということなんですが、それは、今度仲裁法を作りまして、仲裁人の数は当事者の合意によるというふうに決めた場合に、合意がない場合には3人にするとか、1人にするとか、いろいろあるでしょう。当事者が合意をするということと、建設業法の規定はどういう関係になるんでしょうか。

○ まだ未検討ではございますけれども、基本的には一般法と特別法の関係に立つというふうに考えておりますので、あまり今の手続を変える必要は感じておりません。

○ 実は先週に私が現在担当しております人権擁護法案を国会に提出しておりまして、同じような規定を置いているんですけれども、特段の規定を設けていない部分については、仲裁合意の規定を準用するという形で規定しておりますので、人数について特別法に3人という規定を置けば、当然準用から外れて3人という規定が適用になると思います。

【II 仲裁人の資格について】

□ それでは、仲裁人の数の問題は、このくらいにいたしまして、次に「II 仲裁人の資格について」でございます。これも事務局の方から御説明をいただけますでしょうか。

● 資料5の2ページの末尾から3ページ目を御覧ください。仲裁人の資格について検討すべき事由は、かなりの数に上りますが、アンケート調査の結果では、制限を設けるべきではないという意見が多数でございました。
 基本的な考え方を整理する意味で、一応、例として法人と破産者を取り上げました。これは、判断者としての仲裁人及び仲裁人契約の当事者としての仲裁人という見方をした場合に法人はどうなるか、あるいは財産管理処分権能を有しない破産者はどうかといった観点から御議論をいただければと存じます。
 法人、破産者以外でも制限すべき事由があるのであれば、それについても問題点を指摘していただきたいというふうに思っております。

□ ありがとうございました。仲裁人の資格の問題につきましては、まず、議論を2つに分けて御議論をしていただきたいと思います。
 まず、一応自然人を念頭に置きまして、仲裁人の資格についてどうなのか、破産の場合はどうなのか、あるいは破産以外に他に制限するべき場合があるかどうかを御議論いただきたいと思います。
 続きまして、法人が仲裁人になれるかという観点から議論をいただきたいというふうに思います。
 まず、自然人を念頭に置いた場合の破産者、その他の場合についてはいかがでしょうか。どうぞ、どなたからでもお願いしたいと思います。

○ これは、仲裁人に対する信頼というのが仲裁の一番の根幹であろうかと思います。
 そうしますと、破産者、その他、そういった方に仲裁をお願いするというのは、やはり無理ではないかと思いますので、そういう方を除く方がよいと思っております。

□ その他というのは。

○ 今、ここにございますように、被保佐人や公権を剥奪された者などです。

□ 分かりました。

○ ここのところの考え方ですけれども、要するになるべく広い対象範囲で、その問題についてふさわしい仲裁人を入れるという観点からしますと、この規定は、特にモデル法の規定なんかを見ますと、どちらかと言うと、消極的な資格と言いましょうか、およそこういう人は資格者になり得ないと、制限的に解釈する部分を見れば、自然人でなければいけないと、それが最小限度だと思うんです。
 しかし、そもそも仲裁人には、どういう人がふさわしいかなんです。万事あるべきというか、そういう積極的な資格として考えたときには、おのずといろんな問題が出てくるんだと思うんです。
 ただし、ここでの法律の組立てとしては、今言ったように、少なくともこういう人は絶対にだめですと、およそなれないんですという、それも制限的に絞ってというんであれば、やはり自然人。
 そういう意味で破産者というのは、確かにふさわしくないかもしれないけれども、物の本で見れば、ある程度仲裁の判断能力がある人が、後発的、財産的に破産したからといって、その判断能力には欠けないという議論がありますね。これはやはり組立ての仕方だと思うんです。ですから、モデル法の考え方について御審議いただければという感じがします。

○ 必ずしも十分知っているわけではございませんけれども、基本的には○○委員がおっしゃったように私も理解しております。
 モデル法は、基本的には仲裁人の資格について、自然人と読める規定があるだけで、ほかには特に資格制限を設けておりません。
 基本的にモデル法もそうですし、かなりの国の立法でもそうですけれども、あまり資格制限を設けないという方向が趨勢ではないかと思います。
 基本的に仲裁を含めたADRの本質は、当事者の自治でして、当事者が自らの判断で信頼できると考えて選ぶのであれば、たまたまその人が破産者であっても、判断能力が非常に高く、個人的にも信頼できるということであれば、格段の問題はないというふうに私も考えます。
 一点、これは確認のために○○委員に伺っておきたいんですけれども、現在、世界のほとんど立法、ほぼすべてと言ってもいいでしょうし、モデル法もそうですが、仲裁人の資格に法曹資格を要することはしないというのが普通だろうと思います。
 これに関しては、現在では弁護士会も弁護士法72条との関係では問題がないということだと理解をしておりますが、もし可能であればその点を確認しておきたいということと、もし仮にそれがそうであるとすれば、これを仲裁法に置くのか、ほかの法律に置くのかはともかくとして、弁護士法72条との関係で、読み方によっては疑義がございますから、疑義をなくすために、法曹資格は要求しないということをどこかで明らかにしておく必要があるだろうと考えております。
 以上です。

□ お答えいただけますか。

○ アンケートのところでは、1つの問題点として指摘がありまして、会として十分検討したわけではありません。
 私の理解としては、先ほど言いましたとおり、これはなるべく専門的な人を幅広く集めるという趣旨ならば、およそ弁護士ではない人は、すべて仲裁人の資格がありませんということはあり得ないわけです。それは、今、先生がおっしゃるとおりだと思うんです。
 ただ、ではどういう人が仲裁人にふさわしいかというのは、それはおのずからあるわけでして、例えばある業界、あるいはある実務に通じている人とか。紛争によっては、やはり法曹資格があった人の方が望ましいとか、当然あり得るわけです。
 ですから、先ほど私も言いましたとおり、この資格は制限として考えるのか。私もまだこれは煮詰まっていないんで、皆さんの意見を聞きたいんですけれども、どこか別のところに、本当の意味では、こういう人が仲裁者に望ましいという一般条項的なものというのがあるんだったら、そのときには、例えば能力の制限であるとか、未成年者であるとか、ある程度それは当然というと語弊があるかもしれないけれども、外れてくるだろう。ですから、これはあくまで扱う対象の事件によってくるんだろうと思うんです。
 会内の委員会内の議論で、弁護士資格にどうしてもこだわるという、そこまで強い意見は出ませんでしたけれども、例えば仲裁の対象を広めていく、前回も出ましたけれども、身分関係の事件ではいかがかとか、土地の境界、それに関連する土地の問題だとか、いろんな場面を扱うときには、ある程度法曹資格ということが、制限という意味ではなくて、積極的に望ましいかという意味では出てくるんではないかという議論が出たことは申し上げておきたいと思います。

○ よろしいでしょうか。先ほど信頼性の点から考えますと、後見が開始されているようなものは除くべきではないかという御意見もございましたが、私の考えといたしましては、欠格事由につきまして近年の立法では、そのような制限を設けることが真に必要であるかということを非常に慎重に検討いたしまして、できるだけ制限を置かない方向にあるのではないかと理解しておりますので、仲裁法の整備に当たりましても、今までにない欠格事由を置くということには、極めて慎重であるべきではないかというふうに考えております。
 信頼性の確保について、別の手立てがあるかというような御指摘もあったように思いますが、成年後見制度を導入する際に欠格事由等の一連の見直しをいたしておりますが、そのときには、心身の故障による職務執行の不能が解任事由として規定されているものについては、そこの規定でもって資格の信頼性確保についての担保があると見て、重ねて欠格事由で被後見人であるとか、被保佐人であることというのを規定しないで、そういうものは削っていくという方向で整理がされたと聞いております。
 後ほど解任事由のところは議論になるかと思いますが、何らかの形で職務執行ができないときというのを規定していく必要があると思われますので、仲裁法につきましても、欠格事由として被後見人であること等を挙げる必要はないんではないかと考えております。

□ 少し私の意見を言わせていただいてよろしゅうございますか。
 現在の公催仲裁法792条3項は、御存じのように未成年者、成年被後見人、被保佐人及び公権の剥奪又は停止中の者は、これを忌避することができるという形で、この問題を規定しております。
 会社の取締役については、商法の254条の2で欠格事由として成年被後見人、被保佐人、破産の宣告を受けて復権を得ざる者。それから、禁錮以上の刑に処せられて、まだ刑の執行が終わらない者、そういうような規定ですが、そういう欠格事由が定められております。破産者が取締役の欠格事由とされているのは、取締役が損害賠償義務を負った場合にそれを果たせないような者は困るという考えから来ていると思います。
 仲裁人について、先ほど信頼性の点から、破産者は欠格事由とすべきであるという御意見もありましたけれども、仲裁人と当事者との契約関係は、多分普通は委任又は請負だというふうに考えられていると思いますが、請負人が破産した場合にどうなるかという一般的なことを考えますと、本人の能力、資質を信頼して頼んだ請負の場合には、財産的な関係での破産を受けても信頼関係を失われない。したがって、個人的能力に着目した請負等は、破産によっても当然解除されるものではないというのが、現行破産法の解釈だと思います。
 そういうことから考えますと、例えば仲裁人の場合で損害賠償という問題が後から出てきたときには、資産がない人間が損害賠償の責に任ぜられるかという問題が出てくるかと思いますけれども、一般的には損害賠償の問題は、考えなくてよい。その人の資質、能力あるいは専門的な職業に応じて依頼するということから考えれば、破産者であっても、あるいは途中で破産しても、それは当然欠格事由としなくてもいいのではないか。UNCITRALなんかで考えているのは、そういうことではないだろうかというふうに思っております。
 私の個人的な意見として申し述べさせていただきました。
 ほかに何かこの問題でありますか。よろしゅうございますか。
 それでは、今、自然人を中心にして、資格の制限の問題を議論させていただきましたが、次に法人は仲裁人になれるかという問題は、いかがでしょうか。
 先ほど○○委員から、最低限自然人でなければだめだという御発言がありましたけれども、ほかにどなたか、法人もなれるというお考え、あるいはそういう実務があるのかどうかということをお伺いしたいと思いますが、今の常設仲裁機関の場合には、全部自然人でしょうか。

○ はい。

□ そうですか。日本海運集会所の場合も、船価鑑定の場合も自然人でやっているわけですか。

○ はい。

□ 分かりました。いかがでしょうか。法人が出てきたのは、更生管財人なんかは、当然法人も管財人になれるという規定があるものですから、では仲裁人はどうなのかということから出てきたと思いますが、何か。

○ 自然人ですけれども、規定の上では、この資料の参考の中にございますように、仲裁法試案の中にある、仲裁契約で法人その他の団体が仲裁人として規定されているときは、その団体は仲裁人を選定する権限を有するといったような注意規定があった方がよいと思います。例えば、本件について紛議が生じたときには、社団法人日本海運集会所の仲裁によるとだけしか書いていない場合、当然、そこの規則によるのですが、それを非常に狭く解して、これは法人だから規定自体が無効であるといったような主張をされては困るわけです。せいぜい注意規定ぐらいかなと思っています。

○ 今、○○委員がおっしゃったところはもっともで、最低限こういうものがないと、法人が指定された場合に無効になってしまうようなことは避けた方がいいと思います。
 あと、今、おっしゃった会社更生法の更生管財人なんかは法人が認められていることとの関係で、私も必ずしも積極的に法人が仲裁人になることがあるとは、なかなか想定しがたいんですが、片や、これを限定しなければいけない積極的な理由も果たしてあるのかどうかというのは少し疑問があります。
 先ほども議論がありましたように、なるべく広く資格を認めるという観点から言えば、特段、法人を明示的に排除しなくてもいいのかなという気もしております。

□ いかがでしょうか。

● ○○委員の今の御発言で、少しお聞きしたいんですけれども、法人でもいいということになれば、注意規定的なものはないわけでございますね。

○ 法人が仲裁人になり得るとすると、そこは多分、可能性は2つあり得て、仲裁合意に法人の名前が書いてあったときに、実は当事者の合意の意思としては、当該法人が指定する者であるという意思解釈ができる場合もあるでしょうし、法人そのものだということもあるでしょう。したがって、その場合には、例えば、当事者の合意がいずれか不明のときには、その団体が仲裁人を選定する権限を有すると推定する旨の規定を置くとか、ちょっと分かりませんけれども、何らかの立法的、技術的な手当ても要るかなと思います。
 お っしゃるとおり、そこのところに法人が入ってくると、法人が指定されたときに、それはどう解釈するのかという問題が出てくるのではないかということを、実は私も思っております。

● 法人でもいいということであれば、法人を指定していれば法人自体が指定されているという。

○ という解釈があり得る。そういう可能性が出てくると思いまして、そこは確かにおっしゃるとおり、技術的にややこしい問題が出てくるんではないかと思います。

○ ○○委員に伺います。仮に法人を認めた場合、忌避は法人に対して行うんでしょうか、それとも法人の中で仲裁を担当する自然人に対して行うことなんでしょうか。

○ 私もその点はよく分かりませんが、おそらく両方に関わってくるんではないかと思います。
 逆にお伺いしたいんですけれども、これは国際的に言って、やはり法人は認めない、自然人に限るというのが一般的なルールなんでございましょうか。

○ ルールという形にする限り、積極的に法人はいいと規定している例が、とっさに浮かばないのですが、モデル法を含めて、自然人を想定したと思われる規定があることが多いわけです。代表的には、今申し上げた忌避事由とか、忌避手続に関する規定などは、モデル法を見ても自然人を想定したと思われる規定が置かれている。
 そうしますと、仮に法人を認める場合には、法人用の規定をワンセット作らなければいけないのかなと。そこまでするだけの意味があるのかというのが消極的な反対理由です。
 積極的には、法人を仲裁人に認めると言っても、実際は自然人しか具体的手続は行えませんから、結局それは何を意味するかと言うと、法人の業務執行者、あるいは委任を受けた者が行う。そうすると、担当する自然人は、法人の業務執行者であれば、途中で交代したり、そういうこともできる。
 しかし、それは仲裁の本質が仲裁人に対する信頼をベースにしていることと、論理的に矛盾するとまでは思いませんが、しかし整合するのかどうかという気もいたしますので、自然人を想定するのが望ましいかなと考えております。

□ ○○委員の御質問ですが、私も広くは知らないんですが、自然人に限るという明文の規定はあまりないと思います。
 しかし、法人を認めるという規定もなくて、そこは解釈に任されていると言いますか、ドイツ法などは、自然人に限るという当然の前提だと思うんです。裁判官のことをリヒターと言いますけれども、仲裁人のことは仲裁裁判官、シーズリヒターと言っていますから、これは裁判官と同列のものという考え方だと思うんです。
 さっきの更生管財人と仲裁人を比較しますと、事柄から見て、仲裁人は判断作用をする人間であって、更生管財人のように判断もしますけれども、現場に行ったり、いろんなことをするというのとはおのずから違いますので、法人を認めるとかなりややこしいことになるだろうという気はいたします。

○ 今の座長の御発言に関連してですけれども、先ほど○○委員が挙げられた仲裁法試案の規定ぶりは、私は内容的には、特に大きな異存があるわけではないんですけれども、ただ、仲裁法試案にある2項のような規定を置こうとすると、どうしてもそれを導くために1項を置かないといけない。
 ところが、これも座長がおっしゃったように、私も仲裁人が自然人でなければならないと言い切っている例はあまり知らないもので、こう言い切るのには、ややためらいがあるというか、いやらしいなという気がいたしております。
 これは、第一読会の問題ではないだろうと思いますが、いずれ問題になってくるだろうということです。

□ ○○委員どうぞ。

○ 私も先ほど来、○○委員、あるいは座長がおっしゃったことと全く同じように考えているんです。
 つまり、法人を仲裁人としたところで、実際にはどのように手続を進めていいかよく分からなくなるわけですから、結局はこの仲裁法試案のように仲裁人の範囲から排除していくというのが、考え方としては適当ではないか。
 先ほど、外国ではどうやってやるのかという話もあったんですが、確かに明文規定はほとんどないと思いますが、1つだけ台湾の新しい法律の5条ですか、仲裁人は自然人でなければならないという規定を置いている。これはおそらく珍しい例ではないかと思います。台湾の法律というのは、少し変わっていまして、日本の仲裁法試案を参考にして扱っていますので、出どころはどっちかと言うと日本です。

● やはり必要性がまず第一だと思うので、確認させていただきたいんですが、法人を仲裁人にする必要性というのは、特段に今のところ考えられないというふうに伺ってよろしいんでしょうか。

○ 結構かと思います。

□ よろしゅうございますか。それでは、大体この問題の方向性が出てきたように思います。
 もしそういうことになると、先ほどの、仲裁法試案13条2項の、法人その他の団体が仲裁人として指定された場合には仲裁人を選定する権限を有するというような解釈規定というものは置いた方がいいという御意見が出ましたけれども、反対する御意見というのはありますでしょうか。

○ 私もあくまでも、自然人と書いた場合のことですから。

□ はい、分かりました。

【III 仲裁人の忌避及び退任について 〜1 忌避事由について、2 忌避事由開示義務について〜】

□ 次に仲裁人の忌避及び退任の問題でございますが、事務局から御説明をお願いいたします。

● 事務局の問題意識としては、資料5のIII の3ページから4ページにお書きしましたとおりです。
 模範法では、不偏独立といった、言わば仲裁人の立場なり身分なりの観点から規律しておりますが、日本では、裁判官の忌避の場合を始めとして、公正というようないわば手続面あるいは審理面に着目したとらえ方がされてきたように思われます。
 もっとも、仲裁人にあっては、当事者が選ぶ場合もあり、そのようなケースで、独立とは何か、公正とは何か、仲裁人に求められるのはいずれかといった点になりますと、必ずしも明らかではないのではないかと思われます。
 そこで、やや踏み込んだ話にはなりますが、今後の検討に当たっての思考の道筋を整理していただく意味も込めまして、忌避事由の在り方について御議論をお願いしたいと思います。その際、公正を妨げる事情と同じなのか、違うのであればどのように違うのかという観点から御教示願えればと思っております。
 忌避事由の開示義務や忌避手続に関して一点だけ補足いたしますと、忌避手続について、モデル法では仲裁廷の判断等に対して裁判所への不服申立てが認められておりますが、裁判所の判断に対しては、上訴は提起できないというふうにされております。日本の法制度との関係でこの点をどう考えるかも今後の問題になってこようかなと思っております。

□ 今日は、第一読会ですので、自由な観点から御意見をいただければと思います。
 問題は3つありまして、忌避事由は何か。ここにモデル法のような不偏独立というような形なのか、それとも仲裁の公正を妨げるべき事情というような日本の裁判官の除斥、忌避のような規定にするのかという2つの選択肢。
 また、2番目の問題は、仲裁人になってくれという就任の依頼を受けたときに、そういう情報を開示する義務を規定するかどうか。これが2番目の問題。
 3番目に、忌避手続の問題です。どういう形で忌避をするのか。忌避について裁判所が判断した場合に、モデル法は裁判所の判断に対しては上訴ができないという規定まで置いているわけですが、この点をどうするのかという3点でございます。
 大体、忌避事由の方から、今のような順序で、お1人がずっと続けて言っていただく分には構いませんけれども、御意見をちょうだいできればと思います。

○ 忌避事由の点からだけ、もう一つ加えていただきたいと思います。UNCITRALの忌避事由として独立不偏ということ、independenceとimpartialityとの2つがセットで使われております。
 これを受けて、忌避事由として独立不偏というものがセットで使われている仲裁法もかなりあるかと思います。
 ただ、いろんな学者の論文等を拝見いたしますと、両者の異同が判然としていない。また、両者は区別されず使われるということも言われております。
 国によっては、イギリスなど、独立を外して不偏だけにしたという国もありますし、逆にスイスは独立を使って不偏を外したということでございます。
 私の感じからいたしますと、独立というのは、当事者あるいは事件との客観的な関係を問題にする。あくまでも仲裁人は不偏で行為を行うというところを、独立で担保をするんだというふうに思います。
 現行法の仲裁の公正を妨げるべき事情という中の公正なんですけれども、これは一般にトランスレイトされているものを見ますと、インパーシャルが使われております。
 したがって、現行法の考え方からしますと、不偏が公正に対応するんではないかと思います。
 私は、独立は、イギリスの仲裁法の立法過程の議論を見ますと、その存否をめぐって果てしない議論になるということがありますので、したがって不偏だけで足り得るんではないかと。
 したがいまして、独立というのは、あくまでも不偏を担保するためのものであるというふうに位置づけたらよろしいんではないかというふうに思っております。

○ 私も今の○○委員と同じでございまして、特に英国法で独立を排除したという点です。不偏ということで十分かなと思っております。
 不偏につきましては、現在、現行法の下で裁判官を忌避する云々ということではなくて、例えば、具体的に言うんであれば、私どもの仲裁規則では、当事者の会社、関係会社、あるいは代理人とも関係がないかどうかといったようなことを開示させていますが、そういう意味で広く不偏ということを表に出したらよいと思います。
 ついでですが、忌避事由開示義務を規定した方が、仲裁になじみのない方にとってはよいと思っております。前もって開示すれば、それについて、あの方はいやだということができるだろうということです。

● 公正を妨げる事情との関係で、具体的に何か例を挙げて論じた方が論点を議論しやすいんではないかなと思うんですが、裁判官の忌避事由として公正を妨げる事情としてよく議論されるのは、裁判官の娘婿が事件の代理人だった場合に、公正を妨げる事情にならないというふうな形で議論されている。
 多分、仲裁の場合だと、当事者と縁戚関係にある仲裁人というのは、排除されるという方向ではないかなと思うんです。
 そうすると、公正と、先ほどの不偏は同じなのかどうかというのが、また1つの論点になるんですが、そこが仮に同じだとすると、プラスアルファのものがなければいけないというふうに考えるのか。プラスアルファが何なのかと。
 例えば、裁判所という組織があって、裁判官自体は裁判の独立ということで他の機関から独立して職務を執るという制度的な保障があるとすると、またそれを独立という形で言っていいのかどうかというのは別なんですが、そういう違うものの要素プラス、公正を妨げる事情の両方が要るような、もう少し忌避事由が広がるような形のものが仲裁人なのかなと、そんなイメージも持っていたんですが、そんなようなことを手掛かりにして少し議論していただければと思うんですけれども。

○ 私もおそらく裁判官の忌避事由よりは広いだろうと、今の事務局の説明と同じような印象を持っています。
 それが、どうしてなのかというのは、いろんな要素があると思うんですけれども、やはり仲裁人の方が裁判官と違って、いろんな社会的環境に根づいたものが広いんだろうと思いますし、社会的ないろんな環境の中で、裁判官はどちらかと言えば、職業裁判官と言うか、職務をずっと自覚してやっているわけですけれども、仲裁人というのはそうではない社会生活も十分やっているわけですから、おそらくそういう疑われるような、いろんな人間関係とか、若干多いのかなという感じがします。
 もう一つは、参考ですけれども、これは今の第二東京弁護士会の仲裁手続規則の仲裁の職務を行ってはならないというところに、今お話になりました身分関係についてかなり細かく書いてありまして、一応申し上げますと、仲裁人等又はその配偶者若しくは配偶者であったものが事件の当事者であるとき。又は、事件について当事者と共同権利者、共同義務者、若しくは償還義務者の関係にあるときと、身分関係なんですけれども、仲裁人等が当事者の四親等内の血族、三親等内の姻族、若しくは同居の親族であるとき、又はあったときという、かなり広い職務を行ってはならない身分関係が書いてあるんです。
 ですから、その辺りも、結局、裁判官と少し違う、仲裁人に対してもう少し広い、そういうことについては、疑われるようなことはいやしくもしないという配慮があるんではなかろうかという感じがしております。

○ 今、○○委員の方から御紹介があったのは、民事訴訟法23条の裁判官の除斥事由と非常に共通していると思うんですが、私どもの審査会でも内規で民事訴訟法23条をなぞるような欠格事由と言いますか、これに該当する委員は、担当の委員には任命しないということでやっているんですけれども、民事訴訟法24条の裁判官の忌避の規定なんですが、ここで議論しているのは、23条の除斥ものみ込んで、全部24条の忌避として議論しようとか、そういう話だという理解でよろしいですか。

○ そうです。

○ 裁判官との関係で申しますと、なかなか一律には仲裁人と裁判官の関係というのは論じ切れないところがあるんだろうと思います。
 一方では、先ほど来、事務局や○○委員がおっしゃっているように、仲裁人の方が裁判官よりも忌避の範囲が広い方が望ましい場合というのはあろうかと思います。
 特に仲裁人は、仲裁手続の原則についての議論があろうかと思いますけれども、一般的には仲裁手続は職権性が高いとされておりまして、そうしますと、それだけ権限が強いと。また、一審の手続ですから、上級審の見直しがありませんので、そういう意味では仲裁人に要求される公正性や中立性はより高くなければいけないというふうに思います。
 しかし、他方で、仲裁人と裁判官の違いとして、原則形である3人の仲裁を考えた場合に、2人の仲裁人は、それぞれの当事者が自ら選ぶ。選ばれた人が、第三仲裁人を選ぶというのが普通であります。
 そうすると、当事者から選ばれたそれぞれの仲裁人というのは、一面で選んだ当事者の利益代表的な意味合いがあるし、それは当然のみ込まれた上で手続が進んでいくと。
 そうしますと、そのものに裁判官と同じだけの中立性や独立性を要求するというのは、これは手続の本質に反する。イギリスや諸外国で独立とかという文言で議論があるのも、1つはその点だろうと思うんです。
 そうしますと、一律に裁判官と比べて強い、弱いというのは言い難いというのが一点であります。
 もう一点、確かに常設仲裁機関の規則等には、民事訴訟法の23条に近いような、言わば除斥事由が規定されていると。それは、常設仲裁機関の規則としては、抽象的な忌避の規定よりも、除斥的な規定が置かれている方が明確で望ましい面があろうかと思います。
 ただ、法律である仲裁法に除斥的な規定を置くべきかというと、結論的にはそうではないだろうと思うんです。
 と言いますのは、裁判と違って仲裁の場合は、仲裁人の専門性に依存する事件というのは多いわけで、事件の中には、あまり代わりが見つからない事件というのがあります。国際的な知的財産紛争などを例に取ると、我が国で仲裁人適格者が一体何人いるのかと、ほんの数人しかいないだろうと思います。
 そうしますと、その方が両当事者から見て、特に一方に偏しないと思われるんであれば、当事者の何親等内の親族とかであっても、あるいは娘婿がどうのという問題があろうと、選べる余地がなければいけない。
 そう考えますと、結論ですが、1つは除斥的な規定は、やはり望ましくなくて、忌避のような抽象的な規定にならざるを得ないだろうと思います。
 言葉遣いで公正がいいのか、不偏がいいのか、独立がいいのかという点について、私は強い意見はございませんが、先ほど言いました裁判官と比べて、公正性を高く要求する面もあれば、そうではない面もあるという点を考慮した言葉遣いを選ぶ必要がある。2点を申し上げたいと思います。

○ 若干話が広がるかもしれませんが、私は、今の忌避事由で、不偏だとか、公正を妨げる事情というふうに規定するとして、裁判との違いで一番重要なことは、仲裁においては、仲裁人に就任する者が忌避事由に疑義があると思われる事情を就任時に開示するということ、これが一番基本的で重要なことであると思います。つまり、開示は、忌避事由の存否というのは難しい事案であると思いますけれども、相手方の当事者が忌避するのか、あるいは忌避するという意思表示を示す段階で、当該仲裁人が辞任をするとか、そういった問題を、その段階で解決するわけです。
 また、忌避事由が実際に問題になるということは、非常にまれだと思います。忌避事由の問題というのは、かなり抽象的でありますし、具体的な忌避事由の存否というものが問題になる事案というのは、かなり難しい問題で、白黒付けがたいというのが実情だと思います。
 私どもの実務の中でも、例えば外国の法律事務所、ローファームのパートナーが代理人を務めていて、そのローファームに仲裁人の就任の直近までパートナーとして務めていた人が仲裁人として選定された場合に、その人が仲裁人となり得るかどうか、いわゆる忌避事由がないかというような極めて難しい問題がありました。
 したがって、それはそれでその時に判断せざるを得ませんが、一番重要なのは、忌避事由を幾ら定めても開示義務がなければ問題は解決できませんので、開示義務のところと連動させて、この問題は議論するべきだというふうに考えます。

○ 澤田先生の論文を拝見いたしましても、先ほど○○委員がおっしゃったように、当事者選定の仲裁人のことを考えますと、独立ということはあまり期待しない場合がいいんではないかという御議論はあるかと思いますので、そういう意味では、先ほど○○委員がおっしゃったように、不偏又は独立というよりも、不偏だけでいいのかなとも思うんですけれども、一方ではUNCITRALの模範法が、そもそも当事者が仲裁人を選定して、その上で第三仲裁人を選ぶという規定を書いているということも込みで考えますと、「不偏又は独立」は1つのフレーズとして、そういう仕組みを前提とした意味合いのものとして解釈すればいいのではないかという気もいたしますし、どこまでこの辺は模範法から離れるのがいいのかという問題かなというふうに思います。

□ 忌避事由はそういうことかと思います。
 開示についても、開示をすべきであるということについては御異論はないようです。

【III 仲裁人の忌避及び退任について 〜3 忌避手続について〜】

□ 忌避手続です。これが、かなり問題があると考えておりますが、その点は、今日の資料の5で言いますと、5ページに書いてあるところです。
 忌避手続をどうするかということなんですが、そういう事情を知ったときに、いつまでにそれを申し立てなければいけないか。
 忌避は、まず仲裁廷で判断するのか。これは仲裁廷で判断することが前提になっているんですか。それと、仲裁廷で忌避理由なしとされた場合に、今度は裁判所に持ち出すというような手続でいいのか。
 このモデル法は、先ほど上訴は認められていないというのは、5ページのモデル法の13条3項の真ん中辺に「その決定に対する上訴は提起できない」ということまで書いてあるんですが、これは国内法ですから、ここまでモデル法に拘束される必要があるかどうかという問題があると思うんです。この辺はいかがでしょうか。

○ 私もよく研究しているわけではないので、正確なことが申し上げられるかどうか分からないんですけれども、三審制も絶対的な要請というわけではありませんから、決定に対する抗告もある程度制限されているものが現にありますので、ここは制限し得るかなと。特に事前に仲裁廷の方で一応決定を経ていますので、制限してもいいのかなと思うんですけれども、特別抗告で憲法の判断が絡むようなときに、特別抗告まで制限するのは、やはり難しいのかなというような気持ちもあるんですけれども、この辺りはむしろ教えていただければと思います。

□ それは大前提だと思います。

○ モデル法の立場でございますが、忌避された仲裁人が自らの忌避事由を判断するというのは少し奇異に感じるところでございます。
 3人の場合には、おそらく忌避された仲裁人も合議に加わるというのがUNCITRALの立場だと思いますが、単独仲裁人の場合に忌避されて、自ら忌避事由があるかどうかを判断するというのは、何かおかしいなという感じを受けます。
 したがって、当事者間に別段の合意がない場合に、まず仲裁廷に仲裁人の忌避事由があるかどうか判断してもらうというプロセスでいいのかどうかというところは、若干UNCITRALのモデル法に乗っていいのかということが疑問があります。
 それから、仲裁手続をしている中で、忌避の申立てが裁判所に申し立てられる。そうすると、仲裁手続の関係で、早く忌避の問題について処理する必要があるという面は、確かにあると思うんです。
 つまり、裁判所の手続と仲裁人の手続とが並行して走るということで、できるだけ裁判所の手続を早く終えて、それでもし忌避事由がなしということであれば、仲裁人は早く本案の審理をするというような考え方があるんだろうと思います。
 これに対し、仮に仲裁人が判断できるとしたとしても、仲裁人の判断を不服として裁判所に申し立てるのを、独立の申立てとして行わせるのか、あるいは国によっては仲裁判断取消しの手続の中でしか処理できないという、スイスとかフランスという国もございます。したがって、そこは若干議論する必要があると思います。

○ ○○委員のおっしゃるお立場は、1つは常設仲裁機関の実務をある程度前提にしての御意見かなという気がいたします。
 確かに常設仲裁機関を前提にしますと、何も仲裁人に自ら判断させる必要はなくて、機関自体が判断するという例が少なくないわけです。
 ただ、それはもちろんモデル法でも13条の第1項でまず手続を自由に合意できるということを定めていて、それが機関仲裁であれば仲裁機関の規則になるということですが、基本的にモデル法は、機関の規則がない場合、つまりアドホックな場合をカバーするための規定して作られているわけです。
 それを考えますと、仲裁人の背後の機関がないわけですから、第一次的に仲裁人自身に判断権を認めるべきであろうという気がいたします。
 機関もないし、仲裁人にも判断権を認めない。いきなり裁判所に申し立てるしかないということになりますと、ためにする忌避によって申立人の権利救済が遅れてしまうという事態が生じますので、一時的には、やはり仲裁人に判断権を認めるべきであろうと思います。
 その後、二次的に裁判所に判断を申し立てるようにできるという仕組み方、これもモデル法の規定のような形でよいかと思います。
 その場合の手続ですが、先ほど○○委員がおっしゃられましたように、私も基本的には同意見でして、モデル法と全く同じがいいかどうかは別として、一定の上訴制限はできないわけではないだろうという気がいたします。
 少なくとも、この場合の手続は、他の場合の裁判手続の問題とも関係しますけれども、決定手続でやるのは当然であるという気がいたします。
 同時に、裁判所の手続を続行している間の仲裁人の仲裁手続続行権、これもモデル法で規定がありますけれども、これも魅力的だろうと思うんです。
 そうしますと、大きくはモデル法の仕組み方でいいだろうと思います。
 具体的な日数等につきましては、場合によっては我が国の国内事情によって違う日数を仕組むということはあり得るかと考えます。

□ ほかに何か、忌避手続について、よろしゅうございますか。

【III 仲裁人の忌避及び退任について 〜4 忌避以外の退任事由について〜】

□ それでは、次の退任の問題に移りたいと思います。
 これもまず、事務局から御説明いただきます。

● 資料5の5ページの下から7ページの(2)までの部分なんですが、退任事由と仲裁人の職務の不能又は懈怠の場合の手続を一括して御議論いただければと存じます。退任が問題となるのは、事後的な資格喪失と仲裁人契約の解除その他の場合があります。
 資料には、多くの項目を掲げましたが、網羅的な規定を置くべきかも含めて現時点での簡単なコメントをいただければと思います。
 また、仲裁人契約に関する問題も独立して扱うべきかとも思いますが、時間の関係上第一読会では省略させていただいております。

□ 今、御説明がありましたように、退任の問題はかなり難しい問題がいろいろありますが、第一読会ですので、簡単なコメントをいただければというふうに思います。
 問題は2つに分かれておりまして、1つは、退任事由をどう考えるかということで、例示としましてアからカまで退任事由が書いてあります。
 それとは別に、そのうちの1つである職務不能又は不当遅延の場合の判断手続をどうするかというのが、7ページの(2)の問題でございます。
 これは、一連の問題でございますので、どこからでも結構ですので御発言いただければと思います。

○ 今、職務の不能又は懈怠であるのか、資格というのが出てきますね。忌避のところでも、3ページの「(1)当事者が合意した資格を有しないこと」というので、さらっと過ぎてしまったわけですけれども、例えば私ども弁護士会の方で考えますと、弁護士会で弁護士を仲裁人に選任した後、たいへん恥ずかしいことだけれども、その弁護士が懲戒か何かで資格を失ったという場合にはどうなるのかとか、これが、ここでいうと職務の不能という形のジャンルに入ってくるのかなという辺りなんです。
 実際にそういう場合では、私たちの場合には機関の方で、もちろん事前に分かっていればあらかじめ名簿には登載しませんし、そうではない場合には、病気で職務不能の場合などに準じて機関の方で替えてしまうという手続をしているんです。
 その他の場合でも、例えば当事者の資格が後で失われるという場合なんかは、むしろこういうのに絡んでくるのかなと思いまして。

□ その場合に、2人の仲裁当事者の一方がそれを言い、相手方は、いや資格を持っている、能力があると言うのであれば、これは忌避の問題です。
 ところが、当事者双方が、あの仲裁人はもうだめだということに一致すると、これは仲裁人契約の解除の問題になろうと思います。
 ですから、同じ問題が忌避にも出てくるし、退任のところでも出てくるのではないかというふうに思っています。

○ 先ほどと少し関連してくるんですが、「ウ 仲裁人の後見等の開始」というのは、これは特段の退任手続を要しない、当然職を失う事由というイメージで掲げられているんではないかと思うんですが、そうだとすると、先ほどの欠格事由のときに述べたのと同様の理由で、私はこれを別に規定することは疑問に思っております。
 私は前に、別の件で調べた限りでは、当然失職事由としているものは、欠格事由に挙げた上で失職事由としているのが普通のように思われまして、欠格事由とはしていないけれども、何らの手続を待たずに、当然失職という規定の仕方は普通はないようにも思いますので、その意味でも否定的に考えております。

□ この退任というのは、死亡の場合は当然です。あと、欠格事由が定められていれば、当然失職ですけれども、まだそちらの方は、決まっていません。先ほどの御議論で、成年後見の開始などは、仲裁人の資格喪失事由にしないという方向であるとすれば、これも落ちてくるということになると思います。破産についても同様です。
 そうすると、仲裁人契約の解除と仲裁人の職務の不能又は著しい懈怠と言いますか、それから仲裁人の辞任と、このエ、オ、カというようなものをどうするかということになると思いますが、いかがでしょうか。

○ 私も、今の点を踏まえますと、仲裁人の死亡は当然のことだと思います。仲裁人の辞任というのも当然。仲裁人契約の解除というのは、おそらくこれは全当事者の同意でもって解除が一方的にできるんではないかと思いますが、仲裁人契約の解除というのが3つ目です。
 あとは、仲裁人が事実上職務ができない。あるいは、職務を懈怠しているという事由だと思います。
 そこの判断は、今日の設問にございますが、判断としては、これは結局、忌避の問題と同じように裁判所に判断してもらうということで、手続としては裁判所の手続ということだと思います。

● 今の点で、辞任の関係なんですけれども、仲裁人の辞任について何らかの要件が必要かどうかという点を伺いたいんです。正当事由だとか、やむを得ない事由という要件が必要なのか、そういうものは一切必要ではないというのか。

○ やはり、私は何らかの要件が必要ではないかと思うんです。仲裁人の一方的な契約解除ができるのかどうかというのは、当然イエスと言うわけにはいかないと思うんですけれども。

□ もう一点、私もお聞きしたかったのは、仲裁人契約の解除が何らかの理由がなければいけないのかです。あの仲裁人はもうやめようということで合意すれば、それだけで解除ができるというのもおかしいような気がしますので。

○ ただ、いろいろ文献等を見ていますと、一方当事者だけではだめですけれども、全当事者が解除したいという場合には、仲裁人が同意しなくても仲裁人契約を解除できるという考え方もあるように思いますが。
 要するに、全当事者が仲裁人はいやだと言った場合に、続ける意味がないんだと思うんです。そういうことは、ほとんど実務ではないと思いますが。

□ モデル法の14条1項は、仲裁の職務の不能又は懈怠がある場合に、両当事者が合意すれば仲裁人をやめさせることができるというふうに読めるんですが、これは○○委員、違うんでしょうか。14条1項に「仲裁人が法律上又は事実上その任務を行うことができなくなったか、その他の理由により不当な遅滞なく行為しないときは、仲裁人が辞任するか当事者が任務の終了を合意するならば、仲裁人の任務は終了する」というのは、これは退任の申立てですね。
 だから、退任の申立てというのも、ただあの仲裁人はやめさせようというのではなくて、法律上又は事実上その任務を行うことができなくなったか、その他の理由によって不当に遅滞しているというのが前提となって、退任の合意、契約の解除ができるんではないかというふうに読めるんですが、この点をどういうふうに解釈するんですか。

○ 私も定かではありませんが、英語の原文の方を見てみますと、全体をif節で受けていますから、先生がおっしゃったように、モデル法は、前段の任務不能又は懈怠がある場合に終了を合意するならばという形で仕組んでいると思います。つまり、何も理由なく合意できるという規定ぶりではないと思います。
 ただ、当然のことながら、モデル法はこういう事情がない場合に解任できるのかについは、読み方によっては何も言っていないとも読めるわけで、その点はよく分からないところがございます。
 もう一つ、これも言うまでもないことですけれども、我が国の立法として考えた場合に、仮にこの問題に関して特に規定を置かなければ、結局、仲裁人選任契約の性質をどう見るかで、これを仮に委任と見るならば、民法の委任に関する解約の規定の適用があるという話になっていこうかと思います。
 民法の委任の規定は、各当事者がいつでも解除できるという規定ぶりですので、これが仲裁の場合の仲裁人契約にふさわしいのかどうかは議論の余地がありまして、ふさわしくないとすれば特別規定を仕組んでおかないと、この規定の働く余地はない。そういう関係だろうと思います。

● 今の関係で、「注解仲裁法」は石川明先生と大内義三先生が書かれているんですが、解除については、仲裁契約について、仲裁人が信頼できないんであれば、両当事者が共同して仲裁人契約を解除することができる。「現代仲裁法の論点」のところでは、上野泰男先生が書かれているようなんですけれども、同じような記載になっております。
 現行法の788条を前提とした議論だと思うんですけれども、そこのところでは一応議論があり得るのかなと思います。

○ 実質を考えた場合に、当事者の側から仲裁人を解除するのは、それに近い形でよかろうかと思うんです。仲裁人に対する信頼が失われれば、理由のいかんを問わず解約できてもよい。
 逆が自由にできるかどうかというのが議論の余地があるかと思います。

□ ある程度議論が出てきたと思いますので、(2)の方の判断手続は、これは○○委員、これは裁判所に行くとおっしゃいましたか。

○ これは、若干読み方がありますけれども、裁判所に判断を求めることができるという規定があったと思います。

□ そして、上訴ができないということですから、これは忌避の場合と同じですね。
 これは、よろしいでしょうか。

○ 結局、忌避の場合と違って、仲裁人の職務不能や懈怠が問題になっているわけですから、一次的に仲裁人に判断させるわけにはいかないので、結局、裁判所に行かざるを得ないのは当然で、あとは、この場合の手続を適当な字句、上訴を認めないとか、決定手続で仕組むというように、仲裁の迅速性を重視して簡易に仕組むかどうかという点が問題になってくる。

○ モデル法の規定なんですが、職務不能あるいは懈怠を理由にして一方当事者が申し立てるということはできるんですか。

○ いずれの当事者もできると。

○ しかし、これらの事由というのは、前段を受けているとすれば、当事者が任務の終了を合意して初めて終了するわけですね。

○ ここはthese groundsというのが原文ですが、これが合意まで受けているのか、その前の職務不能と懈怠だけを受けているのかは、英語だけからは分からないんですけれども、前者だけを受けていると読めば、その点は問題はないかと思います。

○ ここでの御議論は、一方当事者の申し立てによっても職務不能あるいは懈怠を理由として仲裁人を解任できるという可能性があるという御議論というふうに伺っていてよろしいですね。

○ 確認しますと、解任も裁判所の手続をせずにやる場合は両当事者の合意が要る。
 しかし、当事者間の合意が得られずに、争いが生じた場合に裁判所に申し立てできるんですけれども、この場合には、一方当事者でできるという考え方です。

○ 分かりました。

□ よろしゅうございますか。

【IV 仲裁人の権利義務について 〜1 仲裁人の責任について〜】

□ それでは、次の問題に入りたいと思います。次は仲裁人の権利義務という問題です。これも、まず事務局から御説明をお願いします。

● この点については、モデル法には規定がございませんが、イギリス法を始めとして、規定を置いている立法例もあるようです。理論的には仲裁人契約における善管注意義務によって処理されるものと解されますが、この点を明定することによって、言わば安心して仲裁人になってもらえるというような機能が認められるとも考えられます。規定の要否も含めて自由に御議論いただければと思います。

□ ここでは、仲裁人の行為義務と損害賠償責任という2つの点が書いてありますけれども、これをどうしたらいいのかということで、何かアイデアがあればどうぞ。
 常設仲裁機関の場合には、何か行為義務みたいなものは書いてありますでしょうか。

○ 私どもの現行の規定にはございません。諸外国にある仲裁機関の仲裁規則を見ますと、仲裁機関も含めて一定の免責規定が置かれているものが見受けられます。

○ 私どもの仲裁規則は、仲裁機関、事務局も含めて、仲裁人免責を明定しています。

□ どういう内容でしょうか。

○ 仲裁委員会、仲裁人及び事務局は、仲裁手続及び仲裁判断について一切の民事責任を免除されるというものです。

□ そうですか。国際商事仲裁協会も同じですか。

○ いえ、私どもは置いておりません。

○ 弁護士会もそれは置いておりません。むしろ、責任の前提として行為義務と言いますか、何か善管注意義務という一般論なのか、その他のかということですけれども、弁護士会で、少なくとも二弁と東弁では、仲裁人の責務という条項がございまして、先ほどの独立とも関連するんですけれども、仲裁人等は、この規定に従い、独立して事案の究明及び紛争の解決に努め、公正かつ迅速な処理を行わなければならないという条項を入れておりますので、やはり責任は、まず義務の方が前提になるんだろうというふうに思います。
 たしか試案の19条か何かにも、仲裁人は公正かつ誠実な処理を行わなければならないとあったと思うので、だからそういう何か一般責任規定と言いましょうか、そういうものを置くかどうかというのが1つのポイントになるんではないでしょうか。

○ 私どもは特段規定は置いていませんけれども、モデル法の規定がないというのは何か事情というか、理由がありますか。どういう考えで規定を置いていないんですか。

○ 当時の議論は○○委員に伺った方がいいのかもしれませんが、現在検討中の調停モデル法には、たしか調停人の行為義務の規定を置く予定で議論が進んでいたと思いますので、同じUNCITRALだということを考えますと、構成メンバーが多少違っていますが、当時積極的に置かない方がいいという判断がされたんではなくて、推測ですが、ただ単に置かなかったということだろうと思います。したがって、置くことがモデル法に違反するとは考えておりません。
 こういう規定は、こうした方がいいのかなという気はいたしますが、それよりも是非置いておくべきだと思うのは、もう一つの免責規定の方でして、最近の立法、ここに英国の例が挙がっていますが、英国以外にも若干の例があったと記憶しております。
 仲裁の場合、最終的に一方の当事者を負けさせるわけですから、ちゃんとしたことをしても不満を抱く当事者から損害賠償等で訴えられたりするおそれがありまして、そうした不安を防ぐために、一定の免責規定を置いてあげるということが望ましいし、必要であろうと思います。

□ ほかにいかかでしょうか。

○ 免責規定を法律に置くのか、機関仲裁ばかりではないんですけれども、各機関に置いた方がいいのかとか、そういうことは若干あるんですかね。

○ 免責に関しては、私は法律に置いた方がいいと思います。

○ 私はよく分からないんですが、仲裁人だけ免責で、つまり委任契約の一種だとして、それの債務不履行の損害賠償義務を仲裁人について排除するということは、仲裁人になり手がなくなるいうのは実質論としては分かるんですが、理論的にはどういうような根拠になるんでしょうか。

○ 通常の一番単純な委任の場合は、ある当事者が、ある受任者に委任をするという関係ですが、仲裁の場合は、利害対立している複数の当事者が特定の仲裁人を任用する。委任者自身が必ず複数いて、しかもそれが利害対立している。これがゼロサムゲームの関係で、一方は勝って、必ず一方は負ける関係に立つというところが通常の委任とは違うんだろうと思います。

○ それはよく分かるんです。しかし、一方当事者を負かしたことは、もちろん直ちに債務不履行にはならないわけで、例えば仲裁手続を長い間放置していたとか、そういうような事情が起きた場合に、それを排除するというのが少し分からないところです。

● 創設的に免責をするという規定はなかなか難しいと思うんです。仲裁人が下した仲裁判断の内容のみによって責任は負わないとか、仲裁契約の善管注意義務の内容を明確化するような免責的な書きぶりで、仲裁判断の内容に対して不服があっても損害賠償請求はできませんよというふうな規定になるんではないかなと思うんです。置くとすればです。
 機関で置くとすると、確かに仲裁契約の内容として、そのときの損害賠償請求権の放棄というような○○委員が御指摘のような形で自主的、放棄的な規則ということはあり得るんだと思うんですが。

○ それはあり得ると思いますが、ただ消費者契約法がかぶると思うので、申立人が消費者の場合には、それが果たして効力を生じるかというのは、かなり難しいような気がするんです。完全な責任免除というか。

○ 私も原則としては、免責規定によって、本来免責されないものを免責されるようにするという創設的な規定を置くという意味ではなくて、仲裁人が安心して仕事をできるような確認的な規定だろうと思います。
 ただ一点、事務局の言われた、仲裁判断の内容だけに限定するというのがいいかどうかはやや疑問でして、仲裁手続の運営の仕方について、いろいろと後でいちゃもんを付けられるということもあり得るわけですから、その点もかぶる規定が必要だろうと思います。

【IV 仲裁人の権利義務について 〜2 その他〜】

□ それでは、資料の5では、「その他仲裁人について、論ずべき事項があるか」ということがありますが、これについて何かありますか。資料5全体でも結構ですが、何かありますか。

○ 仲裁人の守秘義務みたいなものは、どこか別なところで議論なり何なりするのか、あるいは、ここの段階でするのかどうかという問題だけ、ここで少し気になったんですけれども。

□ ここでの問題ですのでどうぞ。

○ たしか、試案の31条の2項には、仲裁判断の章のところで、評議及び評決について秘密を守る義務というのがあったと思うんです。
 私ども弁護士会の方も仲裁人、事務局を含めて、守秘義務を負っているんです。ですから、やはり仲裁人の制度の中に守秘義務というのも置く必要があるんだろうと、少なくとも検討は必要なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

□ 分かりました。これは、いずれここでまたどこに置くかという問題があると思います。

● 公開のところをやるときに、一緒に守秘義務の関係について議論をしたいと思います。

□ よろしゅうございますか。資料5について、ほかに何かございますでしょうか。
 それでは、ちょうど3時でございますので休憩をして、若干進行が遅れておりますが、ここで休憩を入れまして、3時15分から資料6について議論を再開させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

(休 憩)

【仲裁廷の管轄(権限)についての検討項目案】

□ それでは時間が参りましたので、再開させていただきます。
 今度は、資料の6でございます。
 仲裁廷の管轄あるいは権限の問題について御議論をいただくことにしたいと思います。
 ここでは、大きく分けて2つに分かれております。
 1つは、ある事件について仲裁廷が管轄を有しているかどうかを仲裁廷自身が決定することができるかどうか。あるいは、その時期、方法等の手続はどうかという問題。これが第1でございます。
 第2は、仲裁廷が暫定保全措置を命ずることができるかどうかという問題でございます。

【I 仲裁廷の管轄(権限)に関する仲裁廷自身の決定権限について】

□ まず、初めに仲裁廷自身がその権限について自分で判断する権限を持っているかどうかという問題につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

● それでは、資料6の1ページから2ページに掛けてを御覧ください。
 仲裁廷の権限というのは、基本的には仲裁契約に基づくものですが、そういったような仲裁廷の権限の有無ですとか、範囲等について、これを仲裁廷自らが決定することができるかということが問題とされておりますが、これについてはおおむね肯定する御意見が多いと承知しております。ここでモデル法のような規定を設けることでよいかという点について確認させていただければと存じております。
 併せて、解釈上の問題として、このような仲裁廷の判断を最終的なものとする、すなわち裁判所の司法審査の対象としないというような合意。これは世上、仲裁権限最終裁定条項というふうに呼ばれることもありますが、このような合意の効力について御議論 をお願いしたいと存じます。
 資料にも触れておりますが、規定を設けるべきか否かの問題も含めまして、考え方を御整理いただくとともに、実際に両説で具体的にどのような差異が生じてくるのかという点について御教示いただければと存じております。
 以上です。

□ それでは仲裁廷の権限について自己決定権があるかどうかという問題と、今、御説明がありました仲裁廷の決定を最終的なものとする当事者の合意があった場合の有効性の問題と2つに分けまして、最初の、仲裁廷が自らその権限の有無、あるいは範囲について決定することができるということについては、今、御説明がありましたように、大勢は大体できるということでございますけれども、これにつきまして特段御意見ございますでしょうか。
 もちろん、それが自己決定をした場合に、司法審査とか、取消しだとか、そういうことに関係するのは当然のことで、それはまた別段の問題にいたしますが、自己決定ができるという点は、よろしゅうございますでしょうか。この点はよろしいですね。

○ 今のは、最終を含めて前段の部分ですね。

□ 第1の問題の前段の部分ですそれでは、この事件については仲裁廷の権限があるということで、自己決定をした場合について争いがあり得る場合に、更に当事者が仲裁人の決定を最終的なものとする合意。これが、「Kompetenz-Kompetenz-Klausel 」というふうに言われている合意ですが、これについてはいかがでしょうか。
 具体的には、一方が訴訟を提起し、被告が妨訴抗弁を出した。そこで、仲裁契約の有効性が問題になったというような事例を考えていただきますと、こういう仲裁廷における仲裁権限を決定した最終的な合意、最終的な決定をするということがどういう意味を持つのかということになると思いますが、何かこの点について御意見があれば伺いたいと思います。

○ 今のKompetenz-Kompetenz という考え方は、おそらく世界的に認められた考え方だと思いますけれども、その考え方というのは、私の理解では、仲裁廷に最終的な判断権があって、司法審査に服さないというようなものをKompetenz-Kompetenz というふうには呼んでいないと思うんです。

□ Kompetenz-Kompetenz-Klausel です。

○ Klausel ですか、失礼しました。モデル法もそうですけれども、諸外国の仲裁を見ましても、仲裁判断の取消事由、あるいは執行拒否事由の中に、仲裁契約が有効ではないというのが入っており、それは強行規定でございますので、当事者は、それを排除することはできない。これはほぼ一致した立法の考え方だと思いますので、したがって最終的な判断権を仲裁廷に委ねるという当事者の合意は認められないと思います。

□ 少し私の説明が十分でなかったかと思いますが、例えば、仲裁契約の書面性が要求されているとして、その書面の有無、従って仲裁人の権限が争われているような場合には、Kompetenz-Kompetenz-Klausel があれば、仲裁人が判断したら、それに任せるというような効力は認めてもいいのかなと思いますが、今、言われた強行法規に関係するような、例えば仲裁適格のない事項について仲裁契約がなされたとして、それを仲裁人が仲裁の権限があるという決定をしたという場合には、Kompetenz-Kompetenz-Klausel があるからといって、裁判所ではなくて、仲裁人の権限になるとすれば、これもおかしいというのは、○○委員のおっしゃるとおりではないかというふうに思いますので、両方の場合があり得るかなというような気もいたしますけれども。どうでしょうか。
 ○○委員が言ったのは、要するにだめなものはだめなんで、両当事者が仲裁人に任せるという合意をしてもだめだというお考えですね。

○ 合意自体無効だと。

□ それは、確かにそうだと思いますが、例えば仲裁契約の範囲について争いがあるというような場合でも、仲裁人の面前に来ている事件が、仲裁契約の及ぶ範囲かどうかについて争いがあると。それについて仲裁人が、面前に来ている事件は仲裁契約の範囲内だというように仮に判断する。
 これは、相手方とすれば、これは仲裁契約の範囲内の事件だというふうに裁判所に言いたい場合であっても、両当事者があらかじめ、その問題については仲裁人に任せるという合意をしておけば、その合意に拘束されて裁判所に行けないという仲裁人の最終権限についての合意というのがある得るのかなという気もいたします。
 Kompetenz-Kompetenz Klausel は第2の仲裁契約として認められるという論文があるようですが。

○ 確かに2ページを読んでも、私はよく分からないので教えてもらいたいんですけれども、第1の仲裁契約があって、今度は第2の仲裁契約があるんですという言い方ですね。
 例えば、イギリス法などを較べるときに、有効な仲裁合意が存在しているかどうかということも争われるということは、前回も申し上げましたとおり、例えば約款か何かで、もともと合意が入っていて、しかも、なおダブって第2の合意みたいなものまで約款で入っていたときに、おそらく一般市民と言うか、消費者の方なんかにはかなり深刻な問題が生ずるだろうと思います。
 つまり、仲裁ということすら一般庶民には分かりにくいので、その約款にたまたま第2の、今言ったような仲裁合意、つまり裁判所で争えないということが書いてあったとしても、一般の人は果たしてどこまで理解できるかという感じがするんです。
 ですから、ここで積極説と消極説と、非常に最終裁定条項について争いがあるというふうになっていますけれども、例えばお互いに企業同士で十分分かっているならばともかくとして、そういうのではない国内の一般仲裁のことを考えますと、かなり深刻であるし、私はそこは慎重にいかないといけないんではないかなという感じがしましたけれども。

○ 今の○○委員のお話ももっともだと思いまして、多分それは合意の真正ないし消費者保護の問題だろうと思うんです。
 現実的に考えたときに、こういう条項が当事者の真正の合意に基づいてなされた場合に、だめなのかどうか、どうも分からないところがあるんですが、民事訴訟法では一般的に訴権の放棄とか、不起訴の合意というのは、日本法上はかなり広範に認めるのが通説だろうというふうに私は了解しておりまして、こういう条項というのは、言わば一部的な不起訴の合意に近いようなものがあるのかなという感じです。
 もちろん、座長が言われたように、対象自体が当事者の処分権が、仲裁適格がないものであるとすれば、それについての合意というのは効力を生じないということは十分あり得るんだろうと思うんですですけれども、一般論として言えば、例えば仲裁契約が仮に無効であるとしても自分は訴権を放棄するという合意だとすれば、何もないときにだって訴権の放棄はできるわけだという一般的な解釈を取れば、このときはだめだというのが理論的に出てくるのかなと。
 もちろん、現在は民訴法でも不起訴の合意についてもっと慎重に臨むべきだという解釈論は存在しますけれども、従来の通説の考え方を取る限りはどうなのかなというのが、少し分からないところです。

□ 一応、両方の考え方があるということでよろしゅうございますか。規定になり得るかどうかは、この問題は特殊な問題でございまして、先に進ませていただきたいと思います。

【I 仲裁廷の管轄(権限)に関する仲裁廷自身の決定権限について 〜2 仲裁廷の管轄(権限)の有無についての判断の時期、方法及びその判断に対する司法審査について】

□ それでは、仲裁廷の権限の有無について、仲裁廷はいつ、どのような形で自分の方が権限があるという判断をするか。あるいは、ないという判断もあるかもしれませんが、それについての司法審査の在り方はどうかという問題を取り上げたいと思います。
 事務局からお願いします。

● それでは、資料の2ページ以下を御覧ください。
 仲裁廷の権限の有無についての判断の時期及び方法に関する問題と、その判断についての司法審査の問題とは、本来別個の問題ではありますが、密接に関連するものでありまして、そういったような理由から両者を併せて御議論いただく形としております。
 そのため、資料6の3ページ上段にお書きしましたとおり、3つの考え方をお示ししてあります。多少複雑で分かりにくくなっている点もありますし、必ずしも理論的に整理されたものではないかもしれませんが、御容赦いただければと思います。
 基本的には、最終の仲裁判断が出てから司法審査を認めるといたしますのが、肢(1)でございます。
 肢(2)は、中間的な仲裁判断として示された場合には、これに対して独立に不服申立てを認める考え方でございます。
 肢(3)は、そのような場合に限らず、明示、黙示を問わず判断が示されれば直ちに司法裁判所に対して不服申立てを認めるといった考え方でございます。
 この問題につきましては、一方で仲裁手続の速やかな進行の要請がございますし、他方で仲裁合意が仮に無効とされますと、それまでの手続が無駄になるといったようなこともありますので、実際に当事者から仲裁廷の権限について疑義が投げ掛けられるのはどのような場合であるか等も念頭に置きまして、議論をしなければならないというふうに考えております。
 一点付言いたしますと、3ページの最終行のところに書きましたが、司法裁判所の判断が出ました場合に、上訴審への不服申立ての可否についても先ほど来問題となっておりますが、やはり上訴が問題になるかと思います。
 一般に司法審査がされている場合に、仲裁廷が仲裁手続を続行することができるかという点についても問題となりますので、併せて御議論をお願いできればと考えております。
 以上です。

□ それでは、資料6の2ページの2のところについて御議論をいただきますけれども、少し複雑なので、事前にコメントさせていただきたいんですが、この議論に入る前に、仲裁人は無権限であるという抗弁をいつまでに提出すべきかという問題があるはずでございます。
 具体的には、当事者Aが仲裁を申し立てたのに対しまして、相手方Bが仲裁契約の不存在なり、あるいは無効である、あるいはこの紛争は仲裁契約の範囲外の紛争であるというような理由を持ち出しまして、仲裁人に権限がないという抗弁を出すとすれば、それはいつまでに出すべきかという問題があるはずでございます。
 これにつきましては、この資料で言いますと4ページ目にありますが、UNCITRALのモデル法の16条の2項で、答弁の提出前に出されなければならないということになっておりますので、多分こういう仲裁手続における妨訴抗弁のようなものは、本案の答弁をする前に提出しなければならないということになるだろうと思います。
 その問題は、ここではそういう前提で議論をしていただきますが、そういう問題が出てきて、そのような抗弁がなされた場合に、これについて仲裁廷がいつ判断するか。つまり、中間的な仲裁判断を出して、仲裁廷の権限があるということを中間的に判断をするのか。それともその問題を最終本案判断までずっと伏せておいて、最後の本案判断の中で、前提問題として理由中にそのことを書けばいいのか。
 それとも、口頭等、中間仲裁判断以外の形で決定を当事者に示すようなことがあり得るのか、いろんな形があるかもしれません。
 そうした場合に、先ほど事務局から御説明がありましたような、3ページの(1)(2)(3)というのは、どの辺の選択肢があり得るのかということが、ここでの問題になるということでございます。
 少し長くなりましたが、どうぞ御自由に御意見をお述べいただきたいと思います。
 (1)の考え方は、本案判断で述べる。そこで、取消しの訴え、又は執行許否の裁判でその問題を取り上げるという考え方。
 (2)は、中間仲裁判断で示された場合に、その段階で直ちに司法裁判所に不服を申し立てることができるという考え方。
 (3)は、中間判断ということでもなくて、任意な形で仲裁判断の権限があるということを示した場合に、それに対して司法裁判所に申立てをすると。現行法では、仲裁不許の訴えというものがありますが、そういうような形で何らかの申立てをするのか、そういう3つの選択肢を考えていただこうと思います。

○ 今の(2)と(3)の実質的な違いがよく分かりかねるんですけれども。(2)は中間的な判断の形式が取られたと。(3)の場合には、仲裁で判断したけれども、中間的な仲裁判断の形式が取られなかったということだと思うんですが、中間的な仲裁判断の形式を取らないとしても、仲裁廷が判断した以上、その判断に自ら拘束されるということであれば、(2)と(3)の違いというのは、ほとんどないんではないかなということで、(2)と(3)の実質的な違いというのがどこにあるのか、その辺りを御説明していただきたいと思います。

● (3)番目の方は、仲裁廷が口頭で告知をするなり、黙示でもいいんですけれども、仲裁権限があるかどうかについての判断を示した場合に、そのときに更に、それに対して直ちに不服申立てを司法裁判所にできるというのが(3)番目の肢として設定させていただいています。
 (2)の方は、中間的な判断の形式でというところに重きがありまして、訴訟で言えば中間判決のような、書面による判断を示した場合に限って、司法裁判所に対して独自の不服申立てを認める。
 逆に言うと、口頭で権限があるからやりますと言った場合には、独立の不服申立ては許さないということが(2)の肢の考え方でございます。

○ 方式の区別はどうあれ、管轄外だ、あるいは仲裁契約の範囲に含まれるという判断をするということであれば、(2)と(3)の違いというのは、実質的にないんではないでしょうか。
 例えば、口頭による判断であっても、事後、仲裁人がその判断を変更できるということであれば、違いがあると思いますけれども、いったん口頭によってした管轄権ありという判断に、事後、拘束されるということであれば、(2)との違いというのはないんではないでしょうか。

● そこは、違いがないと思うんですが、独立の不服申立てを許すかどうかという観点から、あまり意味がない、ただ遅延だけを目的としているんではないかというふうに思われるような、仲裁権限がないという申立ての多発が考えられた場合に、そういうことについては、口頭で仲裁権限ありと言うことで終わらせてしまうということが考えられないかということが(2)です。

○ 質問があるんですが、(2)と(3)のどちらがモデル法の16条3項に近いというおつもりで、お作りになっているんでしょうか。

● そこのところは、かなり微妙なところがあるようなんですけれども、当初こちら側で考えていたのは、中間的な判断の形式まではモデル法は要求していなくて、口頭による告知でもいいのかなと。そこの通知というのは、noticeという言葉を使っているようですので、口頭による告知でもいいことを前提にしているのかなと考えていました。
 ただ、通知という場合の中間的な判断といった場合に、何らかのしっかりしたものでなければいけないんだというような議論も、モデル法はそこまで要求しているんだという見方もあり得るのかなということでございます。

○ 原案というのは、独立不服申立てをしなかったら、あとは仲裁判断取消しの訴えでは争えなくなると。

● あとは、仲裁判断取消しの訴えで争うしかないと。

○ 後で取消しの訴えはできるわけですか。独立の不服申立てをやってもいいし、後から争ってもいいと。そうしたら、選択権を持っているという理解ですね。

● (2)の場合であっても、そこのところはどういう手続の組み方をするのかという問題があるんでしょうけれども、例えば、司法裁判所に対する不服申立ての方法を決定手続で仕組むというような形にした場合には、同じことについて取消しの訴えというのが後であり得るというのは十分あり得るんではないかと。

○ ただ、1回独立の不服申立てをしてそこで判断が出れば、もう取消しの訴えはできなくなる。

● そこは両様あり得るんではないかと思います。

○ (2)と(3)があまり違わないというお話が出ていたんですけれども、もし裁判所に不服申立てがあったときに、何を対象とするかということから考えますと、やはり(2)と(3)では大きく違いまして、仲裁契約合意がきちんとあると黙示で認めて審理は進めていきますという、事実上、訴訟指揮における心証開示みたいなものと、きちんと仲裁廷として何か判断を確定的に出していただいたというのとでは大きく違うと思うんです。
 (3)番のような形でもって、不服申立てがくるというのは、裁判所としては何を対象にしていいのか、これは本当に確定的で、この後変わる余地がないのかどうかというところが不安がありますから、(3)は非常に困ると思うんです。
 (2)番でもいいのかなと思うんですけれども、今少し御指摘があったような、不満な人が本訴を裁判所の方に起こしてこられたときに、それと二重になったときにどうするかとか、そういう難しい問題が多分生じるんだろうなと思います。一番すっきりしているのは(1)番なんだろうと思うわけですけれども、そこまで本当に待っていていいのか。(1)か(2)かどちらかだと思いますけれども、(3)は少し困るなと。

□ そこで、今の○○委員と○○委員と○○委員から質問があったんですが、私も同じような疑問を感じて、(1)(2)のほかに(3)の選択肢というのがあるかなという気もしているんです。○○委員の質問の、モデル法はどれかと言いますと、私は(2)の選択肢ではないかと思っているんですが、これはモデル法の読み方がどうなのか、まずお伺いしたいんですが。
 (3)の選択肢があるとすれば、現行法の仲裁不許の訴えというのがありますね。それは、仲裁人が権限を判断しなくてもできるものですから、そういうようなものとしては、何の判断もしないけれども、仲裁手続はどんどん進んでいるということに対して、それは権限がないんだと相手の方に言うとすれば、中間判断だとか、あるいは最終判断だとか出してもらう前にそれを止めようという当事者はどうしたらいいのか。とにかく手続を進めていくということの中に黙示的に権限があるという判断を含んでいる。あるいは口頭でも何でもnoticeがあると。だから、その段階で、仲裁不許の訴えに準じたような形で不服申立てができるとするのが(3)の考え方ではないだろうかと私自身は理解しています。事務局とは、必ずしも一致しているかどうか、この点は分かりませんけれども。
 そうすると、(3)の選択肢もあり得るかなという気もいたします。

○ 今のでかなり理解が深まったんですが、今、座長がおっしゃられました不許の訴えはおそらくあると思うんです。
 実務ですと、結局、管轄権があるかどうかについて、仲裁人が判断するのにおいて、本案と非常に密接に関連しているかどうかということで、すぐに中間的に判断できるという事案と、必ずしもそうではない事案があります。
 したがって、それがずっと1年も2年も本案と併せて審理していくというのは全くないわけではございません。そういうときにこれでは困るということで手続不許の訴えを起こすということは、当事者の利益としてはあると思います。それと(2)と(1)とは性質が若干変わるような感じがしております。
 モデル法の方は、私の理解では、おそらく(2)番の方の立場を取っておられるんではないかと思います。忌避の手続にかなり類似した手続構造を取っておられるみたいです。
 したがって、仲裁廷側で一次的に判断すると。それで不服であれば一定期間内に裁判所に不服申立てをするというような流れだと思います。
 ただし、忌避の事案と違って、仲裁人の判断する時期については、これは仲裁人の管轄は全くないというのは、確かに答弁書の提出前に、出さなければいけないと。ただし、実際の問題として、この管轄権の問題とは別に範囲の問題については、かなり審理していった段階で問題になることがございますので、それはその問題があった段階で遅滞なく申立てをさせるとして、仲裁人が判断をするかどうかというのは、やはり仲裁人の裁量に任さざるを得ない部分は、実務上あるんではないかなと思っております。

○ いろんな案件があるということを考えますと、最後まで引っ張っていって仲裁判断の中で判断するという場合もあるかと思いますし、あるいは先決問題として早目に片付けてしまって、不服申立てした上で、中に入って実体審理していくという場合もあろうかと思います。どちらも許すような法律の方が基本的にいいのかなというふうに思います。
 一点、資料の4ページに、ドイツ法では「仲裁廷がみずから管轄(権限)を有すると判断した場合には、原則として中間判断によって判断する」と書いてあるんですが、この意味がよく分からなかったんですが、最終的な仲裁判断ではなくて、中間判断ということなのか、それとも(3)の御説明でありましたような、口頭ではなくて、ちゃんとした中間判断なのか。どちらの意味なんでしょうか。

□ これは、口頭は考えていないと思うんです。

○ そうすると、(3)は排除しているという理解でよろしいでしょうか。

□ 最終判断でもできるということは当然なんだけれども、その問題についてはなるべく早く判断を下せということだと思うんです。その場合の判断は、中間判断ですべきであって、口頭でやるものではないということです。

○ 先ほどお話に出た、仲裁不許の問題というのを仮定するとしたら、それは模範法にはない手続を入れるということになりますでしょうか。

□ はい。
 ○○委員、先ほどモデル法の立場というのは、この点について先決問題としてというのは、これは中間判断として示すという意味ですか。ここのところが、少し事務局と我々の方がよく分からないところなんですが。

○ 私もよく分からないんですが、お話を伺っていると、あくまで意見ですが、やはり(2)に近いのかなという気が、読んでいてしました。
 モデル法は、今、○○委員からおっしゃったように、仲裁廷はそのまま続行して、仲裁判断までいって、あとは仲裁判断を争ってくれというやり方もできるし、途中で先決問題として判断することもできるという立場ですから、そこで(2)と(3)のような区別はしていなくて、先決問題として判断するときに、やり方が2種類あるという立場は取っていないんだろうと思います。
 議論で出ましたように、口頭ではいけないとは書いていないですけれども、結局それが後で裁判で争われることが認められているわけですから、書面とは言い切っていないと思いますが、書面のような形で出すことになるという意味では、やはり(2)番の立場であって、(3)番のような選択肢はモデル法は取っていないと思います。
 そうして考えていきますと、内容的にも(2)番のような立場、まさにモデル法の立場ですが、それが本当かなという気がしております。
 一点、少し不勉強で伺いたいんですけれども、日本法が独自で持っている仲裁不許の訴えですが、これを認めなくても仲裁手続は進行していて、これは実は本来は違法であると考えれば当事者はどうするかと言うと、訴訟を起こして、あとは妨訴抗弁で争ってくれと言われていたわけです。それは常にできると。それにプラスして不許の訴えを認める必要性というのはあるんでしょうか。

□ 本案訴訟を起こしても足りるんですが、それでは仲裁手続は当然には止められない。不許の訴えは判決の内容だと思うんです。つまり、仲裁人にはその権限がないことを確認する、あるいは、仲裁手続を進行させてはならないというような命令を書くことができるか、という問題です。

○ 先生がおっしゃるように、不許の訴え自体の性格についての争いというか、議論がよく分からないわけです。判決の種類としても、確認判決なのか、形成判決なのかという点も含めて、おっしゃるように結局不許の訴えに何を盛り込むかによって、独自に置く意味があるか、ないかは決まってくると思うんですが、形成的な効力を認めるならばともかく、確認的な効力なんだとすれば、必要ないかなという気がいたします。

□ 先ほど○○委員が指摘された点は、いかがでしょうか。仮にオプションの(2)を取るとしますと、中間仲裁判断で権限があるということに対して不服申立てをして、裁判所もそれを認めたと。最終仲裁判断に対して、取消訴訟でその点を蒸し返すとか、あるいは、執行判決許否理由でその点をもう一度蒸し返すということができることにするのかどうかという点ですね。

● 今の議論の中で、第一点として、(2)の肢を採って、不服申立てについて判決手続を採用する場合には、そこに既判力が働きますので、それに反する判断はできないということは間違いないと思います。
 不服申立ての手続が決定手続の場合に、後の抗争を認めるかどうかということについて、理論的な考え方として両様あり得るんではないかなというふうに思うんですが、それについて是非いろんな御意見をいただきたいと思います。

□ これは中間仲裁判断に対する不服申立手続が決定手続だという前提で御議論をいただけますか。

○ これは○○委員の方がお詳しいと思うんですが、国際裁判管轄の判断について中間判決したときの問題と同じような問題があると思うんです。
 日本は、国際裁判管轄については、(1)のような考え方を−−中間判決に上訴を認めていませんので−−最終的にしか争えないという立場を取っていて、ドイツは(2)のような中間判決に対する上訴を認めていますので、上訴しているわけですが、今おっしゃった、中間的判断について、仮に判決手続でやるとすると非常に重くなるわけです。仲裁判断取消しの訴えを、もちろん別の理由でできるとすれば、結局二重になってしまうというのがあると思うんです。
 例えば決定手続にすると、今度は、決定手続についての判断が最終になって、仲裁判断取消しの訴えの方で争えば判決手続で最高裁まで行けるのに、決定で中間でやられてしまったがために行けなくなるという違いを認めていいのかどうかという問題が出てきて、国際裁判管轄は、これはかなり難しい問題になっているのかなという感じがしているので。

○ 今おっしゃった点は、例えばそういう議論になると思いますが、おそらくこういうことだろうと思うんです。
 まず、この仲裁廷の権限でKompetenz-Kompetenz の判断をして、それに対する不服申立ての手続。これについては、おそらく決定手続であるというのが一般的な理解です。これを判決でということは考えにくい。
 問題は、仲裁判断の取消し、これが現行では確かに訴訟手続で、おっしゃるような問題が出てきます。しかしまた、こちらも決定で仕組んでいいんではないかという議論が一方であるわけです。
 問題は、こちらも決定で仕組んだ場合にどうなるのか。おそらく、仲裁判断取消しの方の判決の仕組みは、それは決定と判決の違いがありますから、後で判決手続としての仲裁判断取消しの訴えはないということは考えにくいわけです。ただ、問題は、どちらも決定、決定で仕組んだ場合にどうなるかと。その場合には、同じ判断ですから、一種の既判力を認めるべきだろうと思います。そういう流れの筋かなという気がいたします。

□ ○○委員、何かこの点について。

○ 基本的には裁判所の判断に対する上訴は、それを認める必要はないと思っているんですが、今の細かい点については、よく分かりません。

○ 今、UNCITRALのモデル法は、独立した不服申立てをするとしても、それは遅滞なくやらなければいけないという義務を課している。義務を課すとすれば、やはり1回限りというのが通常の考え方だと思うんです。
 できるという考え方で、権利として認められるのであれば別けれども、UNCITRALの精神というのは、そういった問題があれば、裁判所に対して、申立てをしなければいけないということですから、それであればそういった義務を課す以上は、もう一度やらせるというのがどうも理解できないという感じがします。

● モデル法自体でも、不服申立ては上訴ができないということになっているわけです。それとの関係で、モデル法自体で取消しの訴えの関係がどうなのかというのは、どういうふうに理解されているんでしょうか。

○ 取消しの訴えの方が、上訴ができないということはないと思うんです。
 そうしますと、さっき私が申し上げたことは不十分で、仮にこちらの方でモデル法と同様に上訴ができないという仕組み方をして、同じ決定手続であっても、仲裁判断の取消しの決定の方では抗告はできるという仕組み方を仮にすると、さっきの○○委員の議論がかぶってきて、上訴の点で完全にオーバーラップしないんだから、取消しの訴えを認めるべきだという議論もあり得るという関係でしょうか。

□ この問題は当然、全体の中で細部まで考えなければいけないものですから、今日はこのぐらいにしておきます。

【II 暫定的保全措置について】

□ それでは、もう一つ、仲裁廷の権限で一番大きな問題が、暫定的保全措置という問題でございます。
 これについて、事務局から御説明をお願いいたします。

● 仲裁廷の暫定的保全措置の問題ですが、これは比喩的に申しますと、裁判所における保全処分に相当するものでございます。と申しましても、両者の内容ですとか、効力というのは必ずしも同じではありません。いずれにしましても、資料の検討対象事項といたしまして、1から5まで記載しましたように、多数の難しい問題がございます。
 まず、どのような措置が想定されるかということでございますが、この点につきましては、裁判所における保全処分との関係も踏まえまして、仲裁廷による暫定的保全措置のイメージや、その内容を明らかにすることが必要であると思われます。
 次に、2の要件につきましては、これもやはり資料に記載したとおりでありますが、承るところによりますと、現在、UNCITRALの作業部会におきまして、手続的要件に関しましては、一方的審尋でよいかと、つまり当事者の一方のみから事情を聞いて判断するということでよいかという点が議論されているようでございます。
 この点につきましては、日本の民事保全法から考えますと、あまり違和感はない問題なのかもしれませんが、参考資料8でお配りしましたとおり、モデル法の改正草案にも独立の規定を設けることが検討されているようです。
 やはり、難しい問題としまして、担保の在り方がございます。保全の趣旨からいたしますと、適当な担保の提供といったものを制度化する必要もあるかと思われるところであります。
 しかし、具体的に考えてみますと、担保の提供先をどうするのか、とりわけ外国仲裁廷が命じたような場合、どのように取り扱うのか、相手方に損害が生じた場合の処理や担保取消しに相当する手続はどうなるのかといったようなことを具体的に考えてまいりますと、多数の問題が想起されるところでございます。
 最後に、たいへん大きな問題として、仲裁廷による暫定的保全措置に執行力を認めるかどうかということがございます。資料にも記載したとおりでございますが、この点につきましては、UNCITRALの作業部会におきまして、執行力を認めることを前提に検討がされているところと承っております。
 従前の日本政府の立場としては、外国裁判所の保全処分に執行力を認めるのは困難だということから、仲裁廷の暫定的保全措置に執行力を認めることは難しいのではないかというような意見表明をしたやに承っているところでございます。
 国際的調和の中で、どのような決着の仕方があり得るのかは、具体的に仲裁廷による暫定的保全措置のイメージとの関係で問題となるように思われます。
 もちろん、これと横断的な問題といたしまして、司法裁判所の保全処分との関係にも常に留意する必要があるかと考えております。
 本来、これらは独立した問題ではありますが、それぞれ密接に関連しておりますので、資料には一括して記載させていただいております。
 できれば、実務の例も御紹介いただきつつ、御議論をいただければと存じます。
 以上でございます。

□ これは、かなり大きな問題で、ホットイシューになっている問題でもありますので、ある程度時間を掛けたいと思いますが、それに先立ちまして、先ほどから名前が出ておりますように、○○委員は、この問題で先のUNCITRALの作業部会に出席されたというふうに聞いておりますので、まず、○○委員から作業部会の議論の内容、あるいは結果について簡単に御報告いただけますでしょうか。

○ 実は私は昨日までUNCITRALの作業部会に出ておって、帰ったきたばかりなんですが、昨日が全体で5回目の作業部会でした。そのうち、1回は調停モデル法のみの議論に絞った作業部会がありましたので、都合4回の作業部会で仲裁廷の暫定的保全措置の問題は議論されてきております。
 大きく2つの点で議論されておりまして、1つが仲裁廷による発令手続をどう仕組むかという問題であります。
 これは、現行のモデル法17条に既に規定がありますが、17条は非常に抽象的で漠然とした規定ですので、これを更に精緻化して、発令要件であるとか、先ほど御紹介のあった一方審尋との問題、担保提供の問題等についても規定を置くべく改正を進めていくというのが第一点であります。
 第2点は、新たな条文として、暫定的保全措置の執行力に関する規定を設けるということです。日本法風に言いますと、17条の2に相当するような規定を、新たに1か条置くということであります。
 まず、前者の発令手続の方ですが、まず、仲裁廷が暫定的保全措置を発令できるという規定に関しては、モデル法が出た当時から置かれている規定でありまして、この点を争う議論というのは、存在しません。モデル法を採用したすべての国が、この規定を導入しております。
 問題は、発令手続の細かい点が、現行の17条にはないので、そこをどう仕組んでいくかということで、1つはどのような保全措置が認められるかの類型を、これは限定列挙ではないですけれども、例示列挙として掲げるべきだという議論です。
 もう一つは、一方審尋の問題をどう仕組むか。それから担保の提供の問題をどうするか、この辺が大きな論点になっております。
 そのうち、今回の作業部会が3月3日から10日までなされた中で、要件の点に関しては、我が国の民事保全法というのは、裁判所が出す保全処分ですが、それにかなり近いような内容で議論が集約されつつあります。
 担保の提供に関しましては、これは担保提供を義務づけるべきだとか、あるいは少なくとも一方審尋の場合には義務づけるべきだとかいう議論がありましたが、しかし、いろんな事件があるから、仲裁廷の裁量に委ねるべきだという議論に収斂しつつあります。
 現在、17条の改正の関係で一番もめていますのは、実は、先ほど事務局から御紹介があったように、我が国ではあまり問題意識が強くないんですけれども、一方審尋による発令の問題であります。
 これに関しましては、イギリスを中心とするコモン・ローの国は、この問題に強硬に反対してきまして、そもそも仲裁では一方審尋による保全措置の発令は認めるべきではないという立場をずっと述べてきました。
 これは、訴訟と違って仲裁の場合は、両当事者が合意で仲裁人を選んで行うという手続で、両当事者の平等取扱いというのが、仲裁の根幹であると。
 したがって、訴訟裁判所による保全処分ならともかく、仲裁による保全措置で、一方審尋だけで発令するということは考えられないという議論であります。
 同じく、世界的な常設仲裁機関の多く、例えばICCであるとか、あるいは、今回の作業部会では、アメリカン・バー・アソシエーション、アメリカ法曹協会なども、基本的にはイギリスのような立場を支持しております。
 これに対して、大陸法の国では訴訟と仲裁を同じに考えるという基本的な思考様式がありますので、構わないんではないかということで、これはもめにもめておりますが、一番最新の議論では、一応一方審尋の発令を認めると。その代わり、イギリスやアメリカが代表するコモン・ローの国の意見をのんで、発令要件を非常に細かく仕組んでいくというので、我々から見ると理解しがたいぐらい、一方審尋に関する規定だけで4つも5つも項を置くというような案が出ておりまして、まだ最終ではございません。
 もう一つの方の、暫定措置、保全措置の執行力に関する新しい条文を置くという方ですが、これに関しましては、執行力に関する新しい条文を置くと。正面から暫定的保全措置の執行力を認めるという点に関しましては、全く争いがありません。
 日本政府は、第1回の会議のときに、日本法では原則的に認めない建前であるということを述べましたが、そういった意見を述べたのは日本政府だけでありまして、日本政府も現状を述べただけであって、絶対に執行力を認めることをしないというふうに意見を言ったわけではありません。
 現在では、すべての国、すべての常設仲裁機関、すべてのオブザーバーが執行力を認めるということで一致しておりますので、日本政府もその線に沿って議論に乗っているという状態です。
 では、具体的にどういう形で執行力を認めるかということですけれども、一応、案というものが既に示されております。
 ただ、まだ17条の改正の方の議論が終わっていないので、執行力に関する規定はほとんど具体的な議論がされていないという状況で、今回の作業部会でも全く議論しないままで日程が終了してしまったというのが現状です。

□ どうもありがとうございました。それでは、御議論をいただきたいと思いますが、要するに資料の6の5ページに書いてありますように、仲裁廷において暫定的保全措置を認めるとしても、どんな措置を考えるのか。
 そういう保全措置を発令する実体的要件は何なのか。
 3番目に、手続的要件と書いてありますのは、一方審尋のみによる発令を認めてよいのか、その場合に何らかの制約があるかどうか。
 担保の提供を命ずることができるのかどうか。
 執行力の有無という問題。
 この5点でございます。執行力の有無は、執行力を与えようという議論が進んでいますけれども、要件については、今のようにほとんど議論されていないということですので、この辺はどういう方向がいいのかという程度のことにとどまると思いますが、この5点について御意見を賜ればと思います。いかがでしょうか。
 まず、どういう内容の保全措置が考えられるかということを、今までの日本の常設仲裁機関の方々で、こういうようなものがあったというようなことをおっしゃっていただきますと、議論がしやすいのではないかと思いますが、○○委員、何かございますでしょうか。

○ 現実には、仲裁廷による保全措置という経験はありませんが、具体的に言えば、船舶の仮差押えなどが迅速に行える方がよいと思います。実際に海運関係で言いますと、シンガポールや香港のような英国法系の国は、対物訴訟によって簡単に押さえることもよくあるということは経験しておりますけれども、それ以上のことはございません。

□ ○○委員何かございますか。

○ 特にこれは経験がございませんでした。

□ ○○委員何か。

○ 1、2例ございます。1つは、技術ライセンス契約での、ライセンサーとライセンシーの紛争です。契約の解約が有効かどうかという争いで、ライセンシーの方が、ライセンサーに対して、いわゆる実施権の継続的な行使を認めないということなんですが、それがいわゆる保全処分という形で仲裁廷に対して申し立てるというものがございます。いわゆる現状維持というようなものがございます。

□ ほかに何かございますか。

○ 実務ということですと、国際商事仲裁の世界では、かなり頻繁に行われているということで、裁判所の出す保全措置のほとんどのタイプについて、かなりの頻度で世界的に出されているというふうな報告を聞いております。

□ 要件論はいかがでしょうか。実体的要件、それから手続的要件の2と3の問題でございますけれども。

○ どんな措置のイメージなのかというのが、いまひとつつかみ切れないものですから。例えば、一般の仮差押えするというような、財産を保全する、あるいは妨害を排除する。あるいは、仮の地位を定める、いろいろなものがあるんです。それは全部、いわゆる保全処分で認められているような仲裁の暫定措置の中に持ち込むという前提だという理解でいいでしょうか。

○ 私どもも、これはよく分からなくて、特に仮差押えのようなものまで認められるのかという点は疑念があったんですけれども、今回、各国の政府代表に確認してまいりましたが、日本の母法国であるドイツや、近い法制を取っているオーストリー等を含めて、すべて仮差押え、それから仮の地位を定める仮処分のようなもの、係争物仮処分のようなものすべてできるということで全く疑念がないというのが各国の意見でした。

○ 例えば、仲裁の相手に対して命ずるということと、更にそれを超えて、第三者に対してもできるかという議論があったと思うんですけれども。

○ ただし、裁判所の場合と違うのは、仲裁契約の当事者しか仲裁人の判断に拘束されませんから、第三者を直接的に拘束するような保全措置はできないということ、これも争いないと思います。

○ もちろん、登記などもだめだということなんでしょうね。

○ その点が、若干日本の中で検討したときも、○○委員とかとも議論して、そういうのが認められるのかということを日本側では議論したんですが、それは執行の問題だと。結局、仲裁廷が命じても、当事者が任意に従わなければ、最後は裁判所を通じた執行の問題になると。そのときに、執行を申し立てて、当否なり何なりを裁判所が認めれば、それは構わないという当否の問題。あるいは、執行機関を使えるかどうかという問題も含めて、それは執行の問題であって、その国の立法で執行を認めれば可能であるということです。

□ 今のイメージについては、今日お配りいただきました参考の(4)のところです。第1案、第2案とありますが、第1案は、(a)が現状維持的な措置、(b)が資産確保のために必要な措置、(c)が将来の妨害を予防するために被告の行為を抑止するような措置というふうに、第1案は3つに分けてあります。
 第2案は、それを更に単純化して2つにして「(a)不利益、損失又は損害を回避し、又は最小化する措置」、あるいは「(b)後の仲裁判断の執行を容易にする措置」というふうにまとめてありますが、議論としては、こういうことになると考えています。

● 今の仮差押えなんかの関係なんですけれども、仲裁の効力というのは、当事者間の仲裁合意が基礎なので、保全についても当事者間同士の合意に基礎があるんだと思うんです。
 例えば、銀行の預金についての差押えだと、銀行が払い渡してはいけないという命令が1つ入っているので、それは第三者に対するものなので、なかなか難しいんではないかなと。
 不動産登記の仮差押えの場合も、第三者が所有権を取得して登記をした場合に、前の仮差押えが本差押えになった場合に、所有権との関係で覆滅するということで、第三者の権利に影響してしまうと思うので、やはりそれも仮差押えというところまで認められなくて、認めるとしても行為責任的なものではないかなという感じがしていたんですが。
 ○○委員が前に論文で書かれているものでも、仮の地位を定める仮処分の問題を中心として御論文を書かれていましたね。あれは、そういうものが中心になるんだということなのかなと、私はそういうイメージでいたんですが、やはりそれは少し違うんですかね。

○ まず、前者の銀行預金の方ですが、2つ問題がありまして、1つは当事者に銀行預金の引出し等を禁ずるということはできるわけです。それは、間接的に銀行預金を凍結しますけれども、これは第三者に対する命令ではないというのが一点。
 それから、では、直接銀行に命令できないかというときに、確かに仲裁契約の当事者しか仲裁人の判断に従う義務はないんですけれども、ただ、使者とか代理人とか、あるいは雇用者とか、いろんな日本法における議論があるように、仮に銀行が何らかの意味で当事者の手足の一部であるとかというふうに見られる余地があるとすれば、それはあり得ることだと。
 つまり、第三者といえども、当事者が結んだ仲裁合意に従うべき契約上、又は道義上の義務がある場合には、それは服することもあり得べしというのが第一点です。
 不動産の登記の問題ですが、これは登記そのものの対世的な効力の問題のみならず、不動産に関して言いますと、特に外国仲裁判断の承認執行との関係では、主権の問題が出てきますので、いずれにしても不動産の問題は、いろいろ難しい問題があるなということは各国が認識しております。
 ただ、動産に関して言うと、差押え的なものが認められないことはないだろうという議論が一般的だろうと思います。

○ 裁判所の保全措置のほかに、こういうものがもし認められるというのがあれば、どんな場面があるのか。
 何となく、私たちが今までやっている感じですと、例えば近隣関係とか、道路か何かが妨害されてしまって、仲裁判断するまでの間は、一時的に少しやめられたらどうですかとか、婚費分担の中で、例えば、夫婦間で毎月毎月給料から出してくれないと、しかし仲裁をやっている間に、このぐらいは払ったらどうですかと。どちらかと言うと、仲裁を進めている中で、現状を維持するとか、損害を回避するとか、しかも当事者間で話をして、間接強制的なところで、それならば従いましょうというようなイメージだと非常に分かりやすいんです。
 それを超えまして、例えば損害賠償か何かのときに、相手の財産で、こういうのがあると思うから、それについて押さえてくれという場合には、普通は裁判所に仮差押えなどをするのが常識でしょうから、仲裁人として仲裁をやっている中で、一方当事者からそこまで強権的にやるのはどうかなというイメージも少しあったものですから、どういうものが今回の暫定措置の中に入ってくるかによって、後の手続とか、担保の問題とかいろんなことが絡んでくるんではないかなと思ったので確認したんですけれども。

○ 現実には、先生がおっしゃるように、当事者に一定の作為又は不作為を命ずるというものが多いように聞いております。
 しかし、他方で国際仲裁の現場では一種の仮差押えのようなものも少なくないというふうには聞いております。
 その場合でも、最終的に執行申立てをしなければ、現実の効果としては作為、不作為の命令と同じことになるということです。
 裁判所の保全処分との関係で言いますと、おっしゃるように事件の中には、あるいはかなりのものは、裁判所に直接保全処分を申し立てた方が早くて効果的であるというものも少なくない。
 ただ、保全処分の中には、本案の審理に入る前の保全もあれば、途中の保全もあるわけですけれども、例えば分かりやすい例で、審理途中の保全措置の場合に事案が複雑で、仲裁廷はそれまでの審理をしてきているのでよく分かるけれども、裁判所に申し立てると、裁判所に事案を説明するのに技術的な問題を含めてたいへん厄介である、しかし緊急性があるというときには、どうしても仲裁廷でないと困るという事例は、具体例として何点か聞きました。

○ 先ほどの原理的なところですが、両当事者の合意に基づいているから登記を伴う処分、あるいは第三者に対して効力を伴う処分ができないんではないかというのは、ア・プリオリには言えないような気がするんです。もちろん、最終的な仲裁判断が出た場合には、それに基づいて執行する場合には差押えができるわけですし、仲裁判断というのは、当事者の合意に基づいていくわけですが、しかしそういうのはできるわけです。
 暫定的なところで、なぜできないのか。合意に基づいているというふうにはならないんではないかと。そもそも判決であったとしても、対世効はないわけですから、当事者間にしか効力はないという点では同じなわけです。もちろん、法政策的に仮差押えまで認めるかというと、どうかという感じを個人的にはしていますけれども、原理的にできないということは言えないのかなと。前はそう言っていたんですが、考えを改めまして、そういうふうに最近は思うようになっています。

○ 私も過去に書いたものの中には、間接強制的なものしかだめではないかというようなニュアンスのものを書いたこともあるんですが、私もだんだん考えを改めてきまして、特に日本の立法の仕組みに近い国の議論とかも聞いてみると、原理的にできないことはない。裁判所ができることは、原理的にはすべてできると。望ましいかどうかはまた別として、そういうことなんだろうと、今は考えております。

□ 私も自信がないものですから、今まで言わなかったんですけれども、建設仲裁の委員をやったときに、建物の不等沈下事件というのがありまして、現場の部屋の中に行って、ピンポン玉を置きますと、ころころ転がる。不等沈下は、基礎工事を十分にしなかった建設業者の責任なのか、そちらの方に重い物を置き過ぎているからなのか争いになったんですが、どうも原因は分からない。しかし、放っておくとますます傾いてくる。とりあえず、これ以上傾けないような措置をやれというのを言ったことがあるんです。それが暫定措置として言ったのかどうかは分からないけれども、とにかく業者はつっかえ棒をして暫定的に、これ以上傾かないようにしておいて、その費用をどちらで持つかということでボーリングして鑑定してみたら、やはり基礎が十分ではなかったというのが分かりまして、その費用も含めて建設業者にやり直せということを言ったことはありました。
 私のイメージは、将来の財産の保全というよりも、とにかく放っておくと損害が発生する、それを仲裁手続の中で何らか、損害の防止とか、あるいは現状維持とか、さっきのライセンシーの話で、とりあえずライセンスだけは継続して使用を認めると、そういうものなんではないだろうかというイメージで私は考えているんです。

○ 私も同じような印象を持っておりまして、以前、民事保全手続を担当しておりましたときでも、例えば建設工事差止めの仮処分というような、今おっしゃったような工事そのものの関係でよくございますけれども、そういうときに、とりあえずこれ以上建物を建てないでくれということを裁判所から、何ら強制力はないんですが、事実上申し上げるということがよくございます。
 多くの当事者は、それで聞いていただけるわけで、その後の保全の判断で、やはり裁判所の心証をあまり害したくないということがあるんだと思います。
 多くの方が聞くことによって、反射的に、聞かないのはよほど悪質という場合が多いものですから、実際にそういうものと思われたくないということで抑止力が働いているという面もございます。
 私も仲裁の実情を存じ上げませんので、今回アンケートの結果や、目に入る文献はできるだけ読んでみたんですが、やはり仲裁判断を下す仲裁廷が暫定的に命じているものにあからさまに反して、後の仲裁判断で不利益になりたくないという一種の心理的強制のようなものに抑止力を期待しているという方が結構多いのかなという印象を受けました。
 そういうものとして、民事保全と別に仲裁手続の中で暫定的保全措置を設けるという方向性については、異論がないように思います。
 ただ、更にどうせ作るならばということで、仮差押えだとか、登記を命じるようなものまでもことさら排除する必要はないのかということになってまいりますと、ここは更に勉強したいと思いますが、今日の議論を聞いていても、かなり慎重に考えた方がいいんではないかなという印象を受けております。
 仲裁廷による暫定的保全措置というものを、民事保全処分制度が別途にありながら設けることのメリットというのは、結局、承認と執行というのを裁判所でしてもらう必要がある分野については、それほど大きくないように思いますし、それにもかかわらず規定を設けるということになりますと、担保の提供は、最初の判断のところでして、また裁判所に行ったらしてということになるのかどうかとか、民事保全処分を逆方向で申し立ててきた反対当事者がいた場合に、両方の競合はどう整合性を取るのかとか、非常に多くの手続的な問題を検討して、山のように規定を設ける必要が生じてきそうな予感がいたしまして、更に実務の必要性ですとか、またある程度関連すると思うんですが、外国承認執行判決の承認執行についての議論ですとか、いろんなものを参考にしながらどこまでやるのかということは、また次の回までにゆっくり考えていきたいと思います。

○ 私も保全を担当しておりますと、やはりどこまでどういう執行ができるのかという、限界の分からない申立てというのにたくさん遭いまして、普通の訴訟と違いまして、現在の危険を避けるために、必要かつ適切な範囲で、いろいろなバラエティーに富んだ処分を申し立てられてくるわけです。
 そうしたときに、今、例を挙げられた建築の関係でも、それに沿って相手も任意に履行してくれればいいんですけれども、そうではなかったときに執行としては何ができるのかという問題が必ず生じてくるわけです。
 そうすると結局、日本の執行制度で認められていることしかできないわけです。例えば、不動産の仮差押えなんていうのも、非常に簡単そうなんですけれども、1つの所有権の持分2分の1に対して仮差押えができるかと、こういう問題でも、やはり権利として2分の1だけれども、執行は登記所が受けないとか、必ず執行の実現可能性を考えながら裁判所として一応出しているわけですけれども、任意に履行されればいいではないかということでその辺りをあまり広げてしまうと、むしろ執行力が付与されるものと付与されないものとが、たくさん入り乱れてしまう。
 むしろ、それよりは、今でも裁判所に申し立てていただければ執行が可能なわけですから、仲裁廷の保全処置を実行あらしめたいという目的は一緒なんですけれども、そのためには第三者も絡んでくるような強制力のある執行力の伴うものは、むしろ裁判所に執行の申立てをしていただく。執行の申立てというときも、結局、日本の仮執行ができるように翻訳しなくてはいけませんので、裁判所の方へ、こういう事実がありますと、日本の保全命令にするとしたら、こういう仮処分になるだろうということで申立てていただいて、仲裁廷の命令をこちらの方でも十分斟酌させていただいて、日本の執行に合う形で翻訳する辺りが、今のところ穏当な感じがしまして、これがこの先更に、各国、万国共通にというようなことがもっと出てきましたらば、それはそのときに万国共通な基盤の上ですればいいかもしれないけれども、まだ少し早いのではないかと思います。
 担保の点についても、例えば国内でも東京で申し立てたときに京都に積みたいというような話があったときには、還付請求をすることに支障がないかどうかというのを非常に厳密に考えまして、有価証券の供託なのか、金銭の供託なのかというようなことによって隔地者払いができるかどうか違うわけですから、そういうことも踏まえて許可をしたりしているわけです。これが本当に外国に担保を立てられて、実際に行かなくては権利行使できないというようなことを考えると、やはり今の時点で本当に万国共通に、ほかの国で出されたような保全措置に執行力を持たせていいのだろうかというところには不安があります。

○ 今の御発言で、誤解があるのかもしれませんが、万国共通の保全措置の執行手続をつくろうという議論ではありません。
 おっしゃるように、その国での執行が認められないことはできないので、それはその国の執行秩序の範囲内でしか申立てできない。その点についてはおそらく異論はないところです。
 今、やろうとしているのは、執行力を認めることについては争いがないわけで、規定の仕組み方の原則についてモデル法をつくろうということで、モデル法の中に各国の執行秩序に違反するような執行はできないような仕組み、装置をここで盛り込む予定ですので、そこの点で万国共通の執行秩序をつくろうという試みではないということを確認しておきたいと思います。
 これも繰り返しになるんですが、裁判所に保全の申立てができるというのは、認めない国も中にはあるんですけれども、多くの国で認める、もちろん我が国でも認めているということで、もちろん裁判所にも求められますし、それが望ましい事件では当事者は当然裁判所に求めていくだろうと思います。
 ただ、先ほど言いましたように、裁判所の保全措置では、緊急性や有効性で問題があって、もちろん仲裁廷が出す方が望ましいという事件は、各国の実務例を見てもたくさんあるということです。
 あと、事件によりますが、仲裁合意を結ぶ事案の中には、裁判所に対する不信とか、裁判所の能力を超えた事案というものがあるわけで、それを裁判所に申し立てろというのは、やや無理があるということだろうと思います。
 特に技術的に高度な事案で、裁判官に説明していると半年、1年掛かってしまうものを1週間で出してもらわなければ困るという事案もありまして、おっしゃるように最後は裁判所に執行を申し立てれば同じことになるんですけれども、まずは担保を1つ置いて、まず専門性の高い仲裁廷で保全命令を出してもらうというところで、とりあえず現状が維持されたり、改善されるという事案もありますので、裁判所が控えているからいいという議論にはならないと思います。

○ 1つ実務的なことで申し上げるのを忘れていましたけれども、実際に保全措置を求められたわけではないんですが、例えば法人格否認の法理とも関係するかと思いますが、多くの先進国の船会社が、パナマ、リベリア、ホンジュラスその他に会社を作りまして、そこが1隻だけ船舶を持っているという場合です。その場合に、仮にパナマ籍の会社が負けても、既に船舶が売られてしまうと、執行しても何も取れるものがないというケースがたびたびあります。
 そういうことを考えますと、親会社と言いましょうか、実質的な支配者の預金を仮差押えするといったようなことができる方がいいだろうと思います。もちろん、裁判でやろうとしたら、それなりのことをすればよろしいんでしょうけれども、今、おっしゃったような緊急性ですとか、あるいは英文のものを日本語に直さなければならないといったようなことからしますと、そういう方向もあった方が有効でしょう。
 実際に1000万円払えという仲裁判断が出ても一銭も取れなかったというケースが多々あります。

○ すみませんが、○○委員の方から、先ほど御紹介があった、たしか香港とおっしゃったと思いますが、その船の仮差押えがよく使われると聞いたと思うんですが、私ども国内のことしか知らない者がイメージする民事保全処分と違って、どう便利なのか、執行までのところを含めてもう少し御紹介いただけるとありがたいんですが。

○ そもそも、日本で船舶の仮差押えというケースが非常に少ないので、裁判所によりまして、あまり経験のないところでは、まず裁判官の審尋の段階で非常に時間を取ってします。時間を取っている間に船は出ていってしまいますので実効性がない。
 ところが、コモン・ローの国では、対物訴訟、action in rem によって、簡単に船舶をarrestできるという意味でございます。

○ その場合、その後、現実に仮差押えとしての執行がございますね。やはりそれは日本に持ってくるというイメージでよろしいんでしょうか。

○ 執行は、向こうで行います。

○ 向こうでできる場合の話なんですね。

○ はい。

○ 今の○○委員の話に関連しますけれども、しばしばあるケースで、押さえるべきものが−−銀行預金でも資産でもいいんですが−−双方にまたがっている場合がありまして、仲裁廷で1本保全命令を出すと、1本の命令で日本でも執行できるし、香港でもできるし、台湾でもできるというときに、同じ命令で台湾も香港もできるので、そのときに各国の裁判所に対する保全処分の申立ては面倒でしょうからということがあると思います。

○ 承認と執行の申立てをする方が、まだしも。

○ 各国の承認手続がどうなっているかにもよるんですけれども、ほとんどの国は承認手続の方が簡単なので。
 それに関連して、これは発令と、その後の執行と両方に絡むんですが、前回の3月3日から10日までの部会の中で、私が非常に興味深く聞いていて、ある程度時間を掛けて議論をされた議論の中に、仲裁廷の保全命令をどういう形式で発令するのかという問題で、これは今回初めて触れたんですが、イギリスから出まして、イギリスは強硬に、命令ではなくて、中間的な仲裁判断、つまりアウォードの形を取らなければだめだという意見を述べておられました。
 その理由ですが、命令として出すと、実はモデル法もそうですし、各国の仲裁法もそうですけれども、命令というものをどう扱うかという規定がほとんどないんです。そうすると、例えばそれが最終仲裁判断であれば、仲裁判断取消しの訴えの対象になるようなもの。例えば、仲裁契約に瑕疵があると一方が主張する場合に、これが命令で出されると、どうやってそれを争っていいのかが分からないわけです。
 それが仲裁判断の形を取らなければいけないというふうに仕組んでおくと、モデル法では34条の規定が使える。更に執行、承認も35、36条が使えるということになります。
 もちろん、承認、執行に関して言いますと、保全措置固有の規定を付加しなければいけない、場合によって、マイナスしなければいけない部分もあるでしょうけれども、いずれにしても保全措置も仲裁判断の形で仕組んでおくと、一々その辺を全部規定しなくてもいいと。実は今出ている資料にあります、仲裁判断の執行に関する規定の案ですが、実はこれはかなりの部分が36条とダブっておりまして、そういう意味からも仲裁判断の形で出すようにしておくと規定も、そんなに膨大の規定にならないという面もある。
 実際にそういうことは認識されておりまして、そういった立法を取っている国は、モデル法採用国ではございます。例えば、スコットランドは、モデル法採用の法域ですけれども、保全措置は必ず仲裁判断の形でなければならないという規定にしておりますし、国によっては命令でも出せるけれども、その効果は仲裁判断と同じに扱うというみなし規定のようなものを置いている国もあるということです。
 そうすると、結局、先の話ですけれども、外国の保全措置の承認執行の問題が、また同じ流れになってくる。もちろん、仲裁判断の形を取らなくても、外国保全措置の承認、執行を認めるという点に関しては、世界各国で1か国も反対している国はないという状況です。

□ もし、執行力を認めるとすれば、おそらく判断という形で取らなければニューヨーク条約にも乗れませんし、35条にも乗れないから、中間仲裁判断という形で出てくる。
 そうすると、当然外国の中間仲裁判断も日本で執行力を与えるというようなことにならざるを得ない。
 しかし、そうなると外国裁判所で出した仮差押え、仮処分について、日本では先ほど御紹介があったように、日本での執行の余地がないと今まで解釈されていますけれども、それとのバランスはどうなのかという、かなり技術的な問題、あるいは、体系的な問題もありますので、今日は第1回でもありますので、これはこのぐらいにさせていただきます。

○ ○○委員が、私の言いたいことをすべていってくださったんですけれども、最後の点に限って言うと、一方的審尋との関係です。これをどうとらえるのかということです。
 特にヨーロッパでは、一方的審尋に基づいて保全命令を出した場合でも、条約で承認、執行をするということをやっているわけですけれども、条約の場合にはヨーロッパのブラッセル条約では、保全命令の承認、執行はできるけれども、一方的審尋の場合はだめだという裁判所の判決があるわけです。
 ですから、一方的審尋だけで保全命令を出した場合に、しかもそれを外国に持っていって執行するというのは若干難しいかなと個人的には思っています。
 ただ、先ほど○○委員が言われましたように、執行のところから考えて、十分な執行力があるものを裁判所が出せるんだから、それでいいではないかという御意見が日本でも非常に強いと思いますが、そこは、○○委員の方から御説明がありましたように、少し見る方向が違うんではないかと思っております。
 つまり、なぜ当事者が仲裁を選んだのか。仲裁を選んだのは、裁判所に行きたくないからとか、あるいは、事件を公にしたくないからと。そういう当事者の意図をできるだけ尊重して、できるだけ仲裁手続をスムーズに進めていこうと、より利用されるようにしていこうという観点からすると、やはり保全についても、できる範囲では仲裁裁判所にやらせていくというのがいいんではないのか。
 ただし、不動産の仮差押え、あるいは第三者に効力を及ぼすようなものについては、当然限界はあるというふうに考えていくべきではないかと思っています。

□ どうもありがとうございました。
 それでは、時間の関係もありますので、次の問題に移りたいと思います。

【仲裁手続についての検討項目案(その1)】

□ 次の問題は、資料の7の仲裁手続に関する問題の(その1)ですけれども、仲裁手続に関する基本的な視点の問題と、仲裁地の問題と、時効中断との関係で仲裁手続の開始というような問題の3つの問題がありますので、まず、事務局の方から御説明をいただけますでしょうか。

【I 仲裁手続に関する基本的な視点について、II 仲裁地についての当事者の指定権及び補充規定について】

● まず、「I 仲裁手続に関する基本的な視点について」と、「II 仲裁地についての当事者の指定権及び補充規定について」というのを一括して御議論をいただきたいと思います。
 ここでは、手続の基本権、仲裁手続に関する当事者の合意、職権探知の問題、当事者の仲裁地指定権の4つの問題を取り上げております。
 若干補足させていただければ、2ページの3の職権探知ですが、一般に仲裁は仲裁人の専門的能力に依存する部分が多いことから、その能力を発揮させるべく職権探知が妥当するというふうにされております。それは、事実関係が不明な場合に自ら事実関係を探知すべきであるという消極的又は補充的な職権探知を意味するというふうに理解されるのが一般のようで、積極的に事実を探知しなければいけないというところまで議論されているんではないんではないかと思います。
 モデル法は、職権探知については、直接規定していませんで、26条では仲裁廷自ら鑑定人を選任することができるというような定め方をしているところです。これらについて、どのように考えるかということを御議論いただければというふうに思います。

□ Iには、仲裁についての基本権、仲裁手続に関する当事者の合意、職権探知という3つの問題が入っております。
 IIでは、仲裁廷についての当事者の指定権について、こういう規定はどうかという意味であります。
 大体、この順序で御意見をいただければと思いますが、仲裁人における手続基本権について、モデル法18条のような、平等の処遇を求める権利と、主張立証を十分にする権利を認めるということではどうだろうかというのが原案でございますが、これについて何か御意見はございますでしょうか。

○ 個人的には、これは一種の訓示的な規定ですので、あってもなくてもさほどの差はないと思っておりますが、現にモデル法にありまして、各国がモデル法を採用する場合にも、この規定を落としている例はほとんど見たことがありませんので、日本が落とすと、あえて平等な処遇を求めないというふうな誤解を招くやもしれませんので、特に異論がなければいいという程度に考えております。

□ ほかに、この点で、どうぞ。

○ 私も、これを一般論として異論はないんですけれども、ただ少し面白いなと思ったのは、イギリスの仲裁法ですかね、迅速と言うか、不必要な遅滞を防ぐというのがございますね。モデル法の「十分な立証」と言うと、何かスピードと言いましょうか、遅滞との問題で、迅速というのは何か程度、区分があってもいいのかなという感じがするんですけれども、いかがでしょうか。

○ 「十分」は、おっしゃるとおり、現在、直接的な改正のスケジュールには挙がっておりませんけれども、改正した方がいいという一般的な列挙には実は挙がっておりまして、これは仲裁の本質に反するんではないかと。つまり、迅速性と背馳するんではないかという議論は実はございます。
 我が国が仮に18条を採用するにしても、この「十分な」を、より迅速性を意識した表現に改めるというようなことはあろうかと思います。

□ ほかに何か。

○ 確かに今おっしゃられました、イギリスの仲裁は「合理的な」に変えているということです。

□ 分かりました。それでは、仲裁手続をどう進めるかについて、当事者の合意を認めるという2の点はいかがでしょうか。当事者の合意がなければ、仲裁廷の規定に反しない限り裁量によって手続の準則を定めて手続を進めることができるということですが、これは大体このような形でよろしゅうございますでしょうか。

○ 1つ御質問ですけれども、この法律の規定に反しない限りというのは、あくまでも強行規定という意味ですか。そうではなくて、任意規定も含めて全部ということですか。

□ そういうことですね。

● いや、これは強行規定です。

□ いや、当事者は強行規定に反してはいけない。当事者が合意する場合には、仲裁法の任意規定に反することはできますね。

○ はい。

□ それは、いいんですが、当事者が合意しない場合に、仲裁廷が従わなければいけないのは、やはり強行規定はもちろん、任意規定も含めて仲裁法の規定に反したらいけないんではないかと、そういうふうに思いますけれども。

○ モデル法の19条の1項で、この法律の規定に反しない限りという項ですけれども。

○ おっしゃるように、1項の規定に反しない限りというのと、2項の規定に反しない限りとは、同じ文言を使っていますけれども、おそらく意味が違っていて、2項は、座長がおっしゃるような趣旨のあれですし、1項は○○委員がおっしゃるような趣旨ではないかと、私は思うんですけれども。

□ 当事者が合意するわけですから、それは任意規定を排除しても当然だと思います。
 ただ、当事者が合意しない場合、仲裁廷が手続を定める限りは、それは仲裁法の規定に従ってもらわないと困るのではないかと思いますが。
 ですから、原文の上に書いてあるのは、そういう趣旨で書いてあるということになります。これで、よろしいですか。

○ もちろん、原文はそうだと思います。

□ 何か、この点でありますか。
 それでは、次に職権探知については、先ほど少しこれについて御意見を伺わせていただきたいということがございましたけれども、仲裁廷の職権探知というのは、いかなる意味かということです。これについて何か。

○ 先ほども申しましたけれども、確かにここに書かれているように、仲裁というのが、訴訟に比べて職権性の高い手続であるというふうに一般的に認識されていると思いますし、実際にもそういう運用が多いのではないかと思います。
 ただ、こういう職権探知主義という規定は、正面から規定する方がいいかどうかというのは、やや躊躇を覚えるところもございます。
 というのは、国際商事仲裁を主として考えますと、外国の中には仲裁を非常にアドバーサリアルな手続として取られている国もありますし、あるいはそうではない国もありまして、一律に日本法は一方の立場を取るんだと言い切ることが、やや誤解を招くおそれもあります。
 他方で、国内のことを考えましても、今、座長が少しおっしゃっいましたように、職権探知というのは、実は訴訟の方でも詰めて考えるとよく分からないところがありまして、規定を仕組むと、かえって疑義を招く点もないわけではないということで、背後にある一般的な考え方に反対しているわけではないんですけれども、規定を作ることにはやや疑問を覚えるという感じです。

○ 私も全く同じ印象を持っていまして、民事訴訟の弁論主義の説明を−−最近ではいわゆる本質説という説明が有力なんだろうと思うんですが−−対象となっている目的権利関係が当事者の処分を許すものであるというところから導かれるという説明であるとすれば、仲裁適格から通常はそういうことが言えるんだろうと思いますので、先ほどの専門性だけから説明するというのは、なかなか難しいのかなという印象を持っていまして。ただ、明示的に弁論主義によるということを言わなければいけないかというと、それはそんなことはないかなというふうに思いまして、当事者が合意すれば、もちろんそれでいいと思いますし、合意がない場合でも、それは仲裁廷の判断に任せるということで、明文規定は特に置かないということでよろしいのではないかという印象は受けます。

● 鑑定人の選任についてはいかがですか。

○ 鑑定人の選定については、民事訴訟自体でもいろんな議論があるところでありまして。

□ 常設仲裁機関は、鑑定人を職権で選定することを認めていますか。

○ 実務としては、当然のこととしてやっています。

□ しかし、費用は当事者が持つわけですしょう。

○ 持ちます。仲裁廷が必要と認めた場合に、自ら鑑定人を選ぶということをやっています。

□ 建設工事紛争審査会は。

○ 私どもの場合には、実務としてはすべて当事者の同意を取った上で、費用負担の問題もありますので、当事者に負担させます。

○ 今のただし書きの、当事者が反対した場合は別だと思いますけれども、通常はそういった場合は反対していませんので。

● 職権でやる証拠調べというのは、鑑定の他にも何かございますか。実務上、よくやることは。

○ 鑑定人を呼ぶまではいかずに、鑑定書を取るということはあるようです。
 証拠調べに関しては、要するに仲裁人のバックグラウンドにより、コモン・ローの人は、これを嫌うと思うんです。
 したがって、こういうことをやると仲裁判断は執行できないよと、デュープロセスに反するというようなことを言う方も、確かにいらっしゃいます。
 結局、仲裁人をやっておられる方は、自分の職権で調べたとしても、必ず当事者に反論する機会、あるいは主張を裏づける証拠を提出させるという機会を与えるということでもって、そこをクリアーされておられるんではないかと。
 ということで、仲裁の実務としては、職権で証拠調べしていることは鑑定人の問題も含めて、実務としてはやっているんではないかと思います。
 ただ、規定としては、先ほどおっしゃられましたように、ぎらぎらするので、規定は条文に載せるべきではないという感じがするんですけれども。

○ 私どもの実務では、職権の証拠調べと言いますか、当事者が出した証拠だけでは不十分な場合に、こういう図面を出してくださいとか、写真を出してくださいとか、そういう依頼といいますか、指示を仲裁人が出すということが割とよくあると思います。

○ 同じことですけれども、弁護士会の場合には、職権といいましょうか、例えば交通事故では現場を、検証でなくても見に行くとか。例えば建築の瑕疵の問題なんかでも、専門家で補助者になっている者とか、そういう方と現場を見ていく。あるいは、必要に応じて意見を出してもらう。
 専門家の日当については、それぞれ規定がありまして、それは当事者の方に負担していただくと。あるいは、裁量的にちゃんと請求できるとか、そういうことをやります。

○ 少し教えていただきたいんですが、仲裁人にもよるんですが、私どもの実務では割と職権探知というのを重視しているように思うんですけれども、仮にこういう規定がないとどうなるんだろうということと、仮に規定を置く場合に、各国の立法に比べて、どれぐらいユニークかという、その辺を少し教えていただきたいと思います。

● 規定ぶりのことは、全然よく分からないんですが、鑑定人について規定をすべきかどうかというのは、先ほど来出ているように、費用負担の問題がどうしても出てくるんだと思います。
 そうすると、一般的な形として費用負担を命じることができるというような形だとか、それに対して、それに応じないで費用を負担した場合にどういうことになるのかというような規定というのは、別に考えなければいけないかなというふうに、職権でできることを前提にして、そういうことは考えなければいけないかなというのは少し考えております。

○ 鑑定ではなくて、職権探知主義にして。

● 費用負担の問題として、費用負担が発生する場合に、仲裁廷の方で費用の負担の予納を命じることができるような、そういう規定が、一般的な規定として必要になってくるんではないかなという気がしてるんですが。

○ それは、分かるんですけれども、すみません、議論がはっきりしなくて。
 今の公催仲裁法第794条第1項のような規定を置いた立法は、ほかの国であるのかどうか。

● 職権探知でですか。

○ ええ。

● 仲裁の関係であるかどうかというのは、私もよく分かりません。

□ これは、ドイツ法から来ていますから、ドイツ法は、ここの規定はどうなりましたかね。

○ 置いていないと思います。

□ 建設仲裁は、多分直接当事者が言わなくても、事務局から電話をして、区役所ならば区役所の建築許可証明か何かをよこせと言えば、関係の図面は出てくるでしょう。あれは、まさに職権探知だと思うんです。当事者にこれを出してくださいという代わりに電話一本で済ますことができる。それが、職権探知を取らないとすると、それはできるのか、できないのかということになると思うんです。
 その資料は、一方の当事者にとっては不利である可能性がありますから、それを一方的に取り寄せるということができるかどうかという問題があると思います。

○ 私が職権探知と申し上げたのは、講学上、いわゆる職権探知でありまして、自白に拘束されるかとか、当事者の主張にない事実を認定できるかという問題を主として念頭に置いて申し上げたもので、職権証拠調べの規定を置くかどうかというのは、これとはまた別の問題で、一応行政事件訴訟法とかによっても、弁論主義を取りながら、職権証拠調べの規定を置いている法制がありますので、それはまた別の問題として考えていただく。そこは概念を明確にして議論をする必要があるかなと思います。

□ 弁論主義の3つのテーゼのことを中心に言われたわけですね。

○ そうです。

□ これは、よろしゅうございますか。
 それでは、仲裁地ですが、この原案は、モデル法20条と同じように当事者の合意で仲裁地が決定できるとして、仲裁廷の合意がないときは、仲裁廷が仲裁地を決定するということでどうだろうか。また、後段の方は、仲裁廷を決めても、仲裁地以外の場所でも自由に審理や、証拠調べや、評議等を行うことができるという、モデル法20条と全く同じようなことでどうだろうかというのがこの原案で、これはある程度案みたいになっていますけれども、これについて何かお考えをお聞かせいただければと思います。
 仲裁地にどういう効果を結び付けるかというようなことは、後になって出てくると思いますが、おそらく仲裁地というものは必要だと思いますので、一応こんなところでよろしゅうございますか。

【III 仲裁手続の開始等について】

□ 先を急いですみませんが、最後の問題はかなり重要な「III 仲裁手続の開始等について」、事務局からお願いいたします。

● 予定の時刻を少し過ぎているんですが、この問題をよろしくお願いしたいと思います。
 資料にも記載しましたように、大審院の判例で、時効中断効を認めているものがあります。学説にも、仲裁手続の申立てについて民法149条の裁判上の請求に準じて時効中断の規定を類推適用を主張するものがございます。
 規定を設けるかどうかという検討の前提としても、時効中断がいつ生じるのかというようなことについて、是非御議論いただきたいと思います。
 また、時効中断の事由及びその時期に関しては、仲裁手続の開始の時期と一致すると考えるか否かも問題となります。学説には、両者が一致するという説もある一方で、機関仲裁であるか否か、現在の争い又は将来の争いのいずれかであるか、仲裁人が選定されているか否か等によって区別するという考え方も有力なようです。
 モデル法21条では、仲裁手続の開始を定めておりますが、時効には触れておりません。
 このように考えますと、仲裁手続の開始については、時効期間の起算日と関連させて論じられることが多いものの、必然的な関係があるわけではないようにも思われます。仲裁手続の開始時点を画する機能や意義といった問題について検討しなければいけないんではないかというふうに考えられます。
 以上のような点を踏まえて、仲裁手続開始に関する規定の要否の問題と、時効中断と手続開始の関係等について御議論をいただければなというふうに思います。

□ それでは、今の問題について自由に御議論をいただきたいと思います。
 仲裁手続の開始というものですけれども、規定を置くかどうか。時効中断との関係を付けるのかどうかということです。いかがでしょうか。

○ まず、仲裁手続の開始に関する規定に関しては、モデル法21条の規定がありまして、特段の事由がない限り、こういう規定はモデル法にならって、特に外す理由がない限りは置くべきだろうと思います。
 置いた場合に、開始の時点と、時効中断の時点とを一致させる必要があるかという問題ですが、今、事務局がおっしゃったように、必ず理論的に一致させなければならないという要請はないでしょうが、しかし、開始の規定を置いた場合に、時効と連動させなければ、その開始の規定の意味というのは、かなり薄れると。開始時点を特定する意味は、もちろん時効の開始時点に限られるわけではありませんが、しかしそれが非常に大きな部分を占めることは当然でして、あえて時点をずらすというのは混乱を招くだけですので、一致させるべきだろうと考えます。
 おっしゃるように、モデル法に時効中断の規定はないんですけれども、これは現在行われている調停のモデル法でも時効の規定を置くべきだという点については、だれも争わないにもかかわらず、規定が置かれない形で案がまとまりつつはあるんですが、それは必要がないからではなくて、時効法制というのが、余りにも各国で異なり過ぎていて、統一が困難であるということですので、我々が国内法として仲裁の時効を考える場合に、同じ障害はありませんので、置いておく必要があろうかと思います。
 もちろん、現在の判例や学説の解釈によって、一定のコンセンサスのようなものはできてはいるんですが、しかし新たに立法する以上、きちんと中断の規定を置いておく方が望ましいと思います。

○ 実務的に言いますと、やはり時効の問題は是非規定を置いていただきたいというふうに思います。
 今、開始の時期と一致させるかという点ですけれども、これも実務的に言いますと、例えばモデル法のように、被申立人が受領した日というふうにいたしますと、送達する問題というのが現場ではものすごくたいへんな問題なんです。つまり、相手にうまく送達するのかどうか。
 そうなりますと、例えば相手に配達証明で送っても、保管期間経過で返ってきてしまう問題とか、どこに送ったらいいのか、必ずしも大企業間ばかりではありませんので、相手の個人がなかなかつかまらないとか、所在不明だとか、そういったことによって時効の開始が区々になってくるということは、どうしたものかなという感じは持っているんです。
 常設の機関については、仲裁申立てのあった日がいいんじゃないかというのは、個人的にはいろいろ感じるんです。裁判上の請求であれば、裁判所に申し立てられた日でいいわけですから、何となく事務的にはそういうはっきりした日を定められないものかなと。理論的に整合性がないと言われたら困ってしまうんですけれども、その点いかがなものかと思います。

□ 個人的に申しますと、○○委員のようなお考えが今、多数説の考え方ではないと思います。開始の規定を置いて、開始に連動させて時効中断というきれいな形なんですが、今、○○委員がおっしゃったように、時効というのは、権利の上に眠らないという、権利を行使したことによって時効が中断するということからしますと、仲裁の申立てをすれば足りるのではないか。仲裁の申立てをしたけれども、仲裁人が選任されない、相手方に送達されないと言っているうちに消滅時効が完成してしまうというのは少しおかしいのではないか。
 そうしますと、開始の時点は、モデル法のように定める、モデル法は被申立人がそれを受領した日に開始するということですが、これと時効の中断を連動させるのはちょっとおかしい。
 そうしますと、その下に書いてあるドイツ法のように、民法220条の(1)項なんですが、消滅時効は、権利者が自分の側で必要とされることをすることによって中断する。自分の側でできることはやっておけば中断する。だから、場合によって、申立てなのか、仲裁人の選定、自分の方はこれこれの人を選定するということなのか、この辺は解釈があるようですけれども、とにかく自分の側でやれることはやって、あと相手側から、あるいは機関でやるべきことが遅いのに時効が完成するというのは、どうもおかしいのではないか。ドイツ法のようなことが少しは考えられるかもしれない。これだと機関仲裁もアドホック仲裁も自分の側でやるべきことを全部やったらその時点で中断することになる。ただ、その時点がはっきりしないのがこの規定の弱味です。
 そうすると、手続の開始について定める意味が何にあるかという問題は後から出てくると思いますが、そういうのも1つの方法かもしれないと思います。
 どうぞ自由に御意見を。機関仲裁の方、いかがですか。

○ 私はこれは申立て時というので時効の中断効が働くということにしないと、送達だといつになるか分かりませんから、自分で時効の中断が設定できないというのは、債権者にとって非常に不利益ですので、これは見直すべきだと思います。
 それから、若干違いますが、手続の開始時を決める必要性があるかどうかという点がございますが、おそらくUNCITRALで時効の問題についていろいろ問題があったということで、意図的に外されたんだと思いますけれども、開始時を定めたという意味は、おそらく実体準拠法というのは、日本での仲裁であったとしても、外国法ということは十分あり、そういった場合、外国法が時効についてどういう定め方をしているか分かりませんが、やはり仲裁手続法の中で手続の開始ということが明確にされている場合に、それが実体準拠法の規定と関係してくるという意味があったんじゃないかと思っております。

○ 当時の議論はつまびらかには知りませんが、現在の議論から類推しますと、○○委員がおっしゃったように、開始時点を置いたのは、最低限これを置いておいて、あとは各国の時効規定と連動させるという意味があったんだろうと思います。
 そういう意味では、この開始規定は時効を意識した規定だろうとは思います。ただ、座長や○○委員のおっしゃる趣旨も非常によく分かりますので、これがいいかどうか分かりませんが、1つの考え方としては、原則として開始時点と連動させて、ドイツ法のように、連動させることによって権利者に不利益が生じるようなケースを抜き出して例外規定を置くという選択肢もあるのかもしれません。

□ ○○委員、中断の方で何かありますか。

○ 集会所の規則では、仲裁の申立てが受理された日は、仲裁手続を開始した日とみなすとしておりますので、その日をもって当然、時効が中断するものと考えております。

□ そういう規定があるわけですね。

○ 先ほど言い忘れましたが、私どもの協会の手続ですと、手続開始日というのは、申立書を協会に提出した日になります。

□ 開始日等の規定を置くと、それはどうなるんですか。モデル法ですと、相手方が受領した日という。

○ 失礼しました、当事者間に別段の合意がない限りということです。それは任意規定でございますので、当事者は自由に時期を決められるということです。

● 時効中断の関係なんですが、申立日で、申立書が提出されたときに開始日であるというのは分かったんですが、時効の中断をそこでするという解釈は。

○ そこはまた別の議論だと思うんです。

● 時効中断時点というのはいつですか。

○ 今の議論の中では、少なくとも申立てを、要するに仲裁の申立てをするという行為が行われた時点です。仲裁の申立人が仲裁の手続を取ったと。判例もそう書いてあります。だから、その日付をどうするかというのは問題ありますけれども、申立てを受領した日というのはいつになるか分かりません。また、送達できないということもございますので、したがって、申立人サイドで時効中断が決定できる日でないと。

● 立法上のことではなくて、実務上として、中断の日というのはいつをとらえられているんでしょうか。

○ 私どもとしては、法律に規定がありませんので、何とも言えませんけれども、手続開始日は申立書の提出日になっておりますので、それが認められるとすれば、時効の中断は申立書が協会に提出された時点で時効が中断すると解釈されるであろうと。

○ 先ほど申しましたとおり、私どもも同様です。実際には申立ての時に、当事者に、もしかしたら時効が援用されるかもしれませんよとリマインドすることはありますけれども、その程度です。
 だから、立法上は手続の開始と時効の中断とリンクさせておいた方が、なおさらよいと思います。

○ 私どもは機関仲裁としては、申立て時点で時効中断にしていただけるとありがたいと思います。アドホック仲裁の場合に、どういう解釈をしたらいいのか、ちょっと分かりません。

○ 例えば現行法の労働基準法とかはそうですね。機関仲裁とかで、しかもしっかりした仲裁機関の場合だとそれで問題ないし、それが望ましいんだろうと思っているんですが、ただ、場合によっては、仲裁機関によっては送達が非常に遅れて、相手方が知るのは何か月も先になってしまうということがもしあるとすると、それで果たして申立ての時点で時効中断を認めていいのかどうかということは、やや問題があり得る場合があるかなと思っていまして、原案のような受領したときを原則とするかどうかというと、やや疑問はありますけれども、そういったような懸念も若干あり得るということは、考えていただければと思います。

● 時効中断の時期の問題に移っているんですけれども、時期について、ここにいらっしゃる方は、錚々たる機関から来ていらっしゃる方なんで、ここの議論を中心に、仲裁法の規定を考えるというのもどうかなという感じがありまして、やはりアドホック仲裁も含めた形でどういうふうにカバーできるのかという前提で議論していただきたいと思います。なお、今の議論だと、申立て時でいいのではないかということですが、アドホックの場合、申立て自体がないものですから、そこのところはまだペンディングということにさせていただきたいと思います。これからそれについては検討したいと思います。
 もう一つの問題の仲裁手続の開始、これも議論が十分出ていると思うんですけれども、先ほど来から、モデル法で仲裁手続の開始が規定されているのは、時効中断を意識されているのではないかということだと思うんですが、開始ということは、ほかに機能は担われているのかどうかということ。それによって若干規定ぶりの仕方というのは違ってくるのではないかと思いまして、開始の場合に、二重起訴の禁止と同じようなことがあるんだとか、それから、付託期間を定めた場合の基準時点になるんだとか、いろんな議論があり得るのかもしれないんですが、メインは時効中断ということを考えていっていいのかどうか、この辺を含めて御意見を伺わせていただきたいと思います。

○ 時効との関係は先ほど述べたとおりなのですが、もう一点、これはそういう規定を置くか否かにも関わってきますが、仲裁人あるいは仲裁関係者の秘密保持義務を定めた場合に、その義務の発生時点となるということだろうと思います。これは現在の調停モデル法で、調停の開始時点と終了の時点の規定をどちらも置くことにしているんですけれども、先ほど申しましたように、時効は各国の国内法の差が大き過ぎるので落としたと。それでもなお開始時点、終了時点の規定は残すという最大の意味は、秘密保持義務の発生時点と終了時点を定めるという意味であるという議論でことは進んでおりますので、そういう規定を置くのであれば意味があろうかと思います。
 その場合には、時効と違って、開始時点だけではなくて、終了時点の規定も置かないと、いつ、その義務が解除されるのか分からないので、両方要るということになるかもしれせん。

□ ほかに何か仲裁手続開始の時点で、何か効果に結び付くようなことはあるんでしょうか。私が考えたのは、例えば審理期間を1年以内に仲裁判断をしてほしいということを当事者が合意した場合、1年というのはどこから起算するかといえば、開始の時点から起算するということであれば意味が出てくる。ただ、1年以内の仲裁、仲裁審理期間の契約、そういう契約を許すかどうか。それが拘束力を持つかということもありますけれども、だから、開始の時点が時効の中断と切り離しても独自のものがあり得るんじゃないかと思います。

【閉会、次回の予定】

□ それでは、時間が20分ほど超過してたいへん恐縮でございました。かなりたいへんな御議論のある資料をまじめに準備してきていただき、たいへんだったと思います。今日の検討会はこれで終わりますが、事務局から何かございますか。

● 次回は仲裁手続の第2回目と、仲裁判断、及びこれに対する不服申立てについて御議論いただきたいと思います。資料については、事前に送付させていただきます。
 次回は4月1日月曜日、午後1時30分から、一応5時終了です。

□ 今度の資料はいつごろに送付できますか。

● 1週間くらい前にはお手元に届くようにしたいと思います。

□ 議事録の方はどんなふうになりますか。

● 議事録は、前回のときも実質的な議論があったんで、反訳ができたのが遅かったものですから、今回、更に内容が詰まっていますので、次回までには間に合わないかもしれません。

□ 前回の議事録は四十何ページあります。多分今日の議事録は60ページを超えるのではないかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
  今日はどうもありがとうございました。