コンテンツ強化専門調査会(第4回)議事録



  1. 日 時:平成25年4月17日(水)10:00〜12:00
  2. 場 所:知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者:
    【担当大臣政務官】島尻安伊子 内閣府大臣政務官
      
    【委員】 中村会長、川上委員、川崎委員、久夛良木委員、齋藤委員、新山委員、杉山委員、 妹尾委員、谷口委員、野口委員、野間委員、平澤委員、別所委員、奥山本部員
      
    【事務局】内山事務局長、山根次長、作花次長、畑野参事官、木村参事官、安田参事官、林企画官
      
    【担当府省】 内閣官房地域活性化事務局 大地参事官
    内閣官房IT担当室 中島企画官
    総務省情報流通行政局情報通信作品振興課 竹村課長
    外務省経済局国際貿易課知的財産室 米谷課長
    文化庁長官官房著作権課 田口課長
    文化庁長官官房国際課国際文化交流室 土居室長補佐
    文化庁文化部芸術文化課 舟橋課長
    経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課 伊吹課長
    観光庁観光地域振興部国際交流推進課 亀山課長


○中村会長 おはようございます。
  では「コンテンツ強化専門調査会」第4回の会合を開催いたします。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
  きょう、知的財産戦略担当の島尻大臣政務官にお越しいただいておりますので、御挨拶を冒頭お願いできればと存じます。

 ○島尻大臣政務官 皆様、おはようございます。
  知財担当の大臣政務官を拝命しております島尻安伊子でございます。
  本日、残念ながら大臣がこの場に来られないということで、大変残念がっておられましたけれども、大臣は本当にこのコンテンツに関しては、大変に御関心の強いところでございまして、そういう中で今回、第4回目とお聞きしましたコンテンツ強化専門調査会、委員の皆様方には大変お忙しい中いつも参じていただき、活発な御議論をいただいておりますことを、この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。
  「知的財産政策ビジョン」あるいは「知的財産推進計画2013」というのは、我が政権にとって大変重要な計画でございまして、この取りまとめに当たりましては、委員の皆様方に御尽力いただいておりますこと、心から厚く御礼申し上げたいと思っております。
  我が国の経済成長はコンテンツ、知財の成長なくしては何とも言えないといいますか、強化できないと思っておりまして、そういう中で本腰を入れて、真面目に我が政権としても取り組んでいきたいと思いますので、委員の皆様方の御尽力を引き続き賜りますことをお願い申し上げまして、一言御挨拶にかえさせていただきたいと思います。
  どうぞよろしくお願いいたします。

 ○中村会長 ありがとうございました。
  この専門調査会では、今回「知的財産政策ビジョン(案)」と知的財産戦略本部に提言する「知的財産推進計画2013」の骨子に盛り込むべき事項の取りまとめに向けた議論を行うこととしています。この調査会としては、きょうが取りまとめに向けた最後の議論となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  なお、きょうこの会議には井上委員、岡田委員、大ア委員、國領委員から欠席の連絡をいただいております。
  奥山本部員にも御参加いただいております。
  よろしくどうぞお願いいたします。
  それでは、まず、先週のワーキンググループで取りまとめられました「知的財産政策ビジョン(案)」について議論をしたいと思います。
  事務局から説明をお願いします。

 ○木村参事官 それでは、まず、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
  資料1が知的財産政策ビジョン(案)。
  資料2がビジョン検討ワーキングにおける主な指摘と対応方針。
  資料3が知財計画2013の骨子(案)。また、委員のみでございますが、前回会合からの見え消し資料を席上に配付してございます。
  資料4が前回会合の主な意見。
  参考資料1と2が各省からの配付資料。
  参考資料3が事務局が作成した論点整理の資料となってございます。
  もし漏れがありましたら、事務局までお申しつけ願います。
  それでは、まず、知財政策ビジョンについて御説明いたします。資料1をごらんいただきたいと思います。
  今後10年を見据えた知財政策のビジョンについて、本専門調査会と競争力強化・国際標準化専門調査会、その下におかれたワーキンググループで検討を進めてまいりましたが、先週12日のワーキンググループの会合で議論の集約が行われたということから、本専門調査会に御報告するとともに、専門調査会といたしましても、知財戦略本部会合での決定に向けまして、取りまとめの御議論をいただくというものでございます。
  知財政策ビジョンにつきましては、これまでのこの専門調査会の御議論も反映されておりまして、知財計画2013骨子の記述も基本的に全て含んだ内容となっております。さらに、今後10年を見据えた中長期の課題も含まれているといった内容になっているところでございます。
  全体の構成は目次にございますように、総論部分の「はじめに」と、産業競争力強化の第1のグローバル展開、第2の中小・ベンチャー支援。コンテンツ関連である第3のデジタル・ネットワーク環境整備、第4のソフトパワーの強化から成っているところでございます。
  「はじめに」の文でございます。
  1ページの冒頭、我が国は、知的財産をその強みとして世界のリーダーシップをとっていくべきといたしまして、第3段落目、知の担い手となる創造性と戦略性を持った人財や社会風土を育んでいくことが求められており、知的財産分野の取組は世界の新たな経済秩序構築への規範となるべきであるということで、我が国がリーダーシップをとっていくことを政策理念として掲げてございます。
  2ページ、これまでの知的財産政策の総括でございまして、2002年に知的財産立国を宣言いたしまして、知財基本法の施行あるいは知財本部の設置といった省庁横断の体制によって、重要な政策課題に取り組んできたということでございます。特にコンテンツ産業の発展に向けまして、海外展開を支援するANEWであるとか、札幌コンテンツ特区といった取組が進捗する一方で、ビジネスのグローバル化あるいはコンテンツメディアの多様化といったことなどが起こり、今後の知財政策の再構築が必要であるというのがここ10年の総括としておるところでございます。
  また、産業をめぐる情勢といたしましては、事業モデルを創造・転換する「イノベーション」が競争力の源泉であって、今日のオープン化された知的活動環境を活用し、イノベーションを促進することが重要との認識を示すといったこと。
  3ページ、知財制度をめぐる情勢といたしまして、最後の段落の部分で、知財制度が各国ごとに設計され、自国の国際競争力強化の観点から、知財分野の「制度間競争」が起きているということで、特にコンテンツ分野につきましては、世界市場が拡大する一方で、我が国の市場や政策予算が横ばい・減少傾向にあって、一層の取組の強化が望まれるといった認識を示しているところでございます。
  その上で、4ページ目、今後10年を見据えた取組といたしまして、この知財政策ビジョンでは、グローバル展開と中小・ベンチャー支援、デジタル・ネットワーク環境整備と、コンテンツを中心とするソフトパワー強化の4点を柱に据えて展開するということと、特にコンテンツの関連施策につきましては、実効的な政策を強力に推進すべく「コンテンツ創造立国」宣言をいたしまして、我が国が一体となってコンテンツ産業の国際競争力を強化するとしておるところでございます。
  コンテンツ関連の第3と第4に絞って御説明させていただきたいと思います。
  47ページ、それぞれの項目ごとに現状、課題、取り組むべき施策という構成になっておるところでございます。本日時間の制約もございますので、幾つかのポイントのみ御紹介させていただきたいと思っております。
  まず、コンテンツ産業をめぐる生態系が変化してきているということでございます。
  コンテンツの範囲がクリエーターが創出するエンターテインメントのみならず、ユーザーが作成するコンテンツや公共セクターが保有する公共データあるいはビッグデータといったところまで広がり、新たな産業の創出・拡大が期待されているということでございます。
  48ページの中段、インターネットを活用したコンテンツの自由利用の促進あるいは公共データの広範な利用促進のためのルールの整備などについて検討するとしておるところでございます。
  次に、コンテンツ政策のプライオリティの向上でございます。
  コンテンツ産業は世界の成長産業であるということでございますが、日本のコンテンツ市場は世界に比べて横ばい・縮小傾向が続いているということから、50ページの中段、消費財産業など他の産業への波及効果が大きいコンテンツ産業に対して、資源配分の重点化と政策資源の充実を図るとしてございます。
  また、コンテンツ産業の市場拡大に向けまして、クラウドのサービスあるいはビッグデータビジネスといった新しい産業の創出環境の形成や、クリエーターへの適切な対価還元の確保といった全体的な制度設計の構築が必要であるということで、著作権関連の規定の見直しの検討など、幾つか記述させていただいているところでございます。
  このうち、59ページ、ビッグデータビジネスの振興でございますが、販売の購入履歴や位置情報、あるいはソーシャルメディアのコメントからセンサー情報といった多様で大量の電子情報でございますビッグデータの産業利用が進みつつあるわけでございますが、個人情報が含まれていることも多いことから、60ページ、プライバシー保護と利活用のバランスに配慮したパーソナルデータの取り扱いルールの整備などに取り組んでいくとしておるところでございます。
  63ページ「第4 コンテンツを中心としたソフトパワーの強化」の柱のところでございます。
  日本の魅力発信に向けて、官民でオールジャパン体制を構築することが必要であり、64ページ、コンテンツ関連施策に対する重点的な資源配分と、政府としての総合的な推進体制のあり方を検討するとしてございます。
  また、日本の伝統や文化に根ざした魅力あるコンテンツ・製品の発掘・創造という観点につきましては、66ページから67ページにかけて、地域ブランドの確立への期待が高く、地域のすぐれた産品や技術、文化財といった文化資産などにつきまして、ブランドマネジメントを行うことなどによりまして、その魅力をさらに高め、世界に通用するブランドとして確立し、海外展開や観光振興あるいは地域活性化を進めるとしてございます。
  日本ブランドのグローバルな発信についてでございます。
  71ページ、日本のコンテンツを海外で浸透させるため、日本コンテンツの専用放送枠を確保し、現地の言語や文化にローカライズしながら、日本の魅力あるコンテンツを供給する取組を支援するとしておるところでございます。
  また、模倣品・海賊版対策の強化でございますが、80ページの一番下から81ページにかけて、ACTAの推進ということでございます。既に署名をした国々を中心といたしまして、ハイレベルを含めた働きかけをより積極的に進めるということで、協定の早期発効と、アジアを初めとする諸外国の参加を促すとしておるところでございます。
  コンテンツ人財の育成でございます。
  83ページの一番下から84ページにかけて、グローバル人材の育成についてでございますが、国際的なコンテンツ制作を担うことができる人材が不足しているという指摘もあるところでございまして、留学や海外研修あるいは海外のクリエーターとの交流を通して、国際的に通用するクリエーター、プロデューサーを育成するとしてございます。
  以上が今回のビジョンの概要でございます。
  取りまとめの議論を行いましたビジョン検討ワーキンググループ、これは先週行われたものでございますが、こちらの指摘事項と対応について、資料2、裏表の紙をごらんいただければと思います。
  左側がワーキンググループでの主な指摘でございまして、右側が事務局といたしまして対応方針を記載しているものでございます。
  総論の「はじめに」の部分におきましては、10年間変更しないということではなくて、ビジョンの見直しを適宜行う必要があることを記載すべきといった御指摘もいただいておるところでございます。
  また、2ページ目の「コンテンツ関連」といたしましては、メディア、データ、コンテンツといった記述が混乱しているので整理すべきとの御指摘や、あるいは新たなプラットフォームの発生や、新たに生まれるコンテンツを見据えた戦略が必要との御指摘をいただいておるところでございます。
  事務局からの説明は以上でございます。

 ○中村会長 ありがとうございました。
  今、説明がありましたように、このビジョン(案)は今後10年を展望したビジョンということで、このワーキングにはこちらの専門調査会の委員数名も御参会いただきまして、資料2にありましたように、最終の取りまとめの会合でも相当たくさんの意見が出ましたので、全部をさばき切れておらず、まだ調整中のものもあるという状況でありますが、後ほどこれについての議論をお願いしたいと思います。
  きょうはもう一つ、10年の展望に沿った形での知財計画2013をどうするかというのもございまして、それは後段に議論をしていただければと思っております。
  まずは、先にこのビジョンについてのお話をしていただこうと思っているのですが、引き続き、前回のこの専門調査会で説明の依頼がありましたANEWとコンテンツ特区について、経済産業省と内閣官房地域活性化事務局の方にお越しいただいておりますので、現状に関する説明をお願いします。
  まず、伊吹さんからお願いします。

 ○伊吹課長 経済産業省の伊吹でございます。
  お手元に参考資料1という1枚紙のカラー刷りのものがありますので、そちらをごらんください。
  本来、CEOが来て説明できればよかったのですが、アメリカにいますので、代理で説明をさせていただきます。
  ANEW自体は設立を発表したのは2011年の夏でして、実際にCEOにサンディ・クライマンが決まって、活動を始めているのが去年の2月からでして、たしか去年の5月ぐらいにこの場で日本側のCOOが挨拶をさせていただいたと思います。
  この会社は、皆さん御存じのように、映画でいうと日本ですとメガヒットといわれるものでも最近だと50億を超えるとかなりヒットだという感じになっていますが、ハリウッドの映画は売れると興行収入だけで1,500億ぐらい上がるものも出てきますので、そちらのマーケットを狙ってリメークをして出していこう、日本のすばらしいストーリーをきちんとビジネスとして収益を上げていこうということで設立された会社です。
  1号案件が昨年の12月にようやく公表されていまして、東映アニメーションさんの「ガイキング」というロボットアニメの実写化をしようということで、東映アニメさんと、右下のほうにそれを実際にビジネスにしてくれるプロデューサーの方が決まっていまして、「ターミネーター」とか「アルマゲドン」とか、かなりハリウッドで大きな作品を手がけているプロデューサーを何とかつかまえて、実写化の企画開発をしていこうということで公表されています。
  2号案件、3号案件はまだ取り組んでいるところで、公表できる段階ではないですが、ようやくこうやって実際に目に見える形で動き出したというのが、今の実情でございます。
  簡単ですが、以上です。

 ○中村会長 ありがとうございます。
  では、特区のほうを大地参事官からお願いできますか。

 ○大地参事官 内閣官房地域活性化統合事務局の大地と申します。
  参考資料2をごらんいただけますでしょうか。本日3ページの資料を御用意させていただいておりますが、時間の関係もございますので、1ページ目をごらんいただきまして、これに基づいて御説明させていただきたいと思います。
  御案内のとおり、札幌コンテンツ特区はアジアにおけるコンテンツ産業拠点都市の創造に取り組むものとして、平成23年12月に指定を受けた地域活性化総合特区でございます。
  資料の上段、札幌コンテンツ特区の目指すところでございますが、映像コンテンツの流通を通じた札幌、北海道の活性化ということでございます。札幌、北海道の観光、食、文化などをアピールするのに有効な映像が、特にアジアの各国において放映・上映されることを通じて、効果的に北海道へのインバウンド観光や北海道の物産の輸出を促進することを目標として、取組を進めているところでございます。
  札幌市の調査の結果、アジアの諸国におきましては、日本の伝統や道徳を映した地域の映像のコンテンツですとか、日本の農業風景の映像といったもののニーズが高いということが確認されているところでございまして、例えば昨年度はインドのテレビチャンネルが北海道の農業の最新技術を紹介するビジネス番組を撮影するといった事例もあったと聞いております。
  札幌コンテンツ特区におきましては、アジアの各国を競争相手ではなく、取組のパートナーと位置づけをしておるところでございます。
  資料の中央部分にありますように、24年度は国際共同制作、国際共同流通、国際共同人材育成を促進するための関係構築を進めて参りまして、その取組の集大成といえますのが、今年2月に札幌で開催されましたRe:Jというイベントでございます。その写真なども資料の中にございます。
  Re:Jにおきましては、アジア13か国・地域の映像産業のリーダーを招聘した国際会議、地方都市としては国内初となる国際的なコンテンツマーケット、ASEANと連携した人材育成ワークショップを行いました。
  Re:Jへの参加国が札幌市との協力体制の継続に前向きであったということから、24年度に取り組んできたアジア各国との関係構築については、一定の成果が出ているのではないかと札幌市の関係者は実感していると聞いているところでございます。なお、Re:Jのコンテンツマーケットには、北海道のコンテンツホルダーのみならず、新潟や熊本などからも出展がなされたそうです。
  現在交渉中のものも含めると、Re:Jのコンテンツマーケットをきっかけに、100時間以上の成約となる見込みであると聞いております。
  資料の下段をご覧ください。24年度に札幌市と関係省庁は、撮影が円滑に実施できる環境の整備に必要な道路の使用許可など、各種許可手続の簡易・迅速化のための規制の特例措置について、協議を行い、札幌市と、北海道の各省庁の出先機関が協力をして、撮影に係る各種許可基準の明確化等を行うことについて合意がなされました。
  札幌市も撮影現場の管理などを行う者を公的に認定するリエゾンオフィサー制度を創設するとともに、札幌市が所管する施設を利用した撮影の受け入れ体制を整えるなど、今年度の早期から撮影環境の整備を進めていくと聞いております。
  財政的な支援といたしましては、Re:Jを初め、札幌市の海外コンテンツマーケットの出展、開催、セミナーの開催、共同人材育成の実施等といったものに対して行うほか、リエゾンオフィサー制度についても、札幌市が財政支援を活用して海外制度の研究を行ってまいった成果でございます。
  札幌コンテンツ特区が現在進めておりますアジアにおけるコンテンツ産業の国際的な共同の取組が、日本全国の映像コンテンツの海外展開、地域映像コンテンツを活用した地域活性化のモデルになっていくということを期待しております。
  当事務局からは以上でございます。

 ○中村会長 どうもありがとうございました。
  知財ビジョンの議論に入ります前に、今、これまでのコンテンツの議論から生まれてきた成果の事例2つについて、現状報告をいただいたところですけれども、これまでの2つのプレゼンについて、何か質問、コメントなどありますでしょうか。
  では、野口さん、お願いします。

 ○野口委員 ありがとうございます。
  ANEWについてとコンテンツ特区について、それぞれ1つずつ質問があります。
  ANEWについては、第1号が非常にすばらしい方向性で進んでいるということで、大変期待が持てると思うのですが、一方で、立ち上げから1年半ぐらいがたっている中で、課題のようなものがもしあれば、それも共有していただく。
  というのは、今後日本のコンテンツを外に発信していく上で、過去うまくできていなかったがために今、苦労している点みたいなものがあれば、そこも教訓として上手に吸い上げて、今後の政策につなげていくという意味で、よく課題とか、難しかった点みたいなものは余り報告しないほうがいいみたいな文化が日本にはあるような気がするのですが、そうではなくて、失敗ということはないでしょうが、課題から学ぶ姿勢がすごく大事だと思うので、そういう意味で、もし認識されている課題とか、もっとこうなったらこういう取組がどんどん進むというようなことがあれば、教えていただきたいというのが1点です。
  札幌特区のほうは、一番最初のこの委員会のときに議論があったと思うのですけれども、例えばこういうイベントをやりましたとか、こういうことをやりましたといったときに、商談がどれぐらい進んだのかとか、人がどれぐらい来たのかみたいな、もう少し具体的なデータのフィードバックがないと、結局予算をつけてこれをやりましたといっても、どれぐらい成果が出たのかが見えにくいので、もう少し具体的な報告をというお話があったかと思うのですが、もし今の段階で把握されていらっしゃれば教えていただきたいと思います。

 ○伊吹課長 では、1点目。
  始まったばかりなので、課題が何かということなのですけれども、恐らく従来の一番の課題は、1,500億のマーケットに対して、お金も含めてリスクをとってチャレンジしてこなかったのが一番の課題で、それを乗り越えるためにこういう組織をつくりましょうということで、これをつくったわけです。
  その際に、恐らくハリウッドとちゃんと組んでやれるかというのが大きな課題で、そのためにCEOはサンディ・クライマンというハリウッドの人をトップに据えているわけです。私は別に彼らを擁護する立場にはないのですが、そういう人脈があったので、今回もゲイルさんというプロデューサーがちゃんとついたということだと思います。
  プロセスとしては2つあって、1つは日本のコンテンツホルダーさん、映画会社さん、テレビ局さん、アニメ会社さん、出版社さん、こういう方々がここを使ってチャレンジしようと思ってもらえるかというのがファーストステップでして、それは今まで1年ちょっと活動してきて、随分お話は来ていると思います。それを実際に全世界マーケットに向けてチャレンジするためには、全世界マーケットにチャレンジするための陣容で戦わなくてはいけないので、そういう陣容を整えるところが、クライマンさんのネットワークを使って、これからもっとつくっていかなくてはいけないところだと思っています。

 ○野口委員 権利処理の方向とか、そういう面での課題は特にないですか。そういうところもかなりハリウッドが厳しく見ているので、権利処理のところがクリアできないコンテンツについてはそもそも受け入れてもらえないみたいな課題があると聞いているのですけれども、それは余りないですか。

 ○伊吹課長 それはお話としては、恐らく3桁ぐらいのお話し合いをいろいろなところから伺っていて、その中にはもちろんそういう権利処理ができないものもあるのかもしれませんけれども、この会社の当然の機能として、まず権利関係の整理をするのが市場に打って出る大前提ですので、それは法務関係も含めてスタッフをそろえていますので、それは仕事をする上での大前提ということだと思います。

 ○大地参事官 札幌コンテンツ特区についての成果でございますが、先ほど御説明させていただきました2月のRe:Jのコンテンツマーケットの場におきましては、その場での成約だけではなくて、それをきっかけとしてその後の継続的な交渉の中でというものも含めますと、100時間以上の成約の見込みと聞いております。
  Re:J以外にも商談会への出展など行っておりますので、それにつきましては、現在のところ集計中でございますが、300時間以上の映像の販売の見込みとなると聞いております。
  契約額につきましては、個々の業者さんの話でございまして、把握をしておらないところでございます。
  セミナー等の参加者につきましては、手持ちの資料はございませんが、事務局を通じて資料などを提出することは可能かと思います。

 ○中村会長 ありがとうございました。
  新山さん、お願いします。

 ○新山委員 ANEWについてちょっとお聞きしたいのですけれども、コンテンツの選定とか、提案の募集とか、いわゆるちまたにこういうスキームがあるということが広がり、そこから拾い上げる仕組みを具体的に教えていただきたい。

 ○伊吹課長 去年できた当初は、御指摘のようにANEWって何とか、この人たちと仕事を一緒にやって大丈夫かとなった部分がいろいろなところにあったと思うのですが、去年1年かけて、ほぼ主立ったコンテンツホルダーが集まる団体がそれぞれ、例えば映連さんとか、ソ協さんとか、そういうところにここのトップのクライマンと日本側のスタッフが赴いて、我々はこういうことができます、ぜひ一緒にやりませんかということで周知をずっとしてきまして、おかげさまでそういうのもあって、日本側から一緒にやりたいという話は3桁の数で来ていますので、そこら辺の周知は1年たって随分できたのかなと思っています。

 ○中村会長 どうもありがとうございました。
  では、別所さん、お願いします。

 ○別所委員 前回象徴的なものだったものですから、私がこれまでの提言の中でANEWとコンテンツ特区が実際にどう具現化されているのかということをお聞きしての、きょうのこれだと思うのです。
  まず、ANEWに関しては、当時ここで説明をしてくださった方がもういらっしゃらないと聞いているのですが、その経緯と、具体的に人が変わることは問題ないと思うのですが、それが継承されて何か具体的に今、動いているのか。アメリカサイドは変わっていないと聞いていますが、実際に60億のお金がおりて、どう運用されて具現化されていくのかということ。
  これは、コンテンツ特区もそうなのですけれども、両方について伺いたいのですが、私がよく言うことですが、今後どなたがどうこの効果を確認して、責任者というか、確認をとる環境にあるのでしょうか。
  前回も話の例として出しましたけれども、今回、安倍総理が始めたクールジャパンもそうですが、お金がついたという入り口のところだけはニュース性を持って取り上げられますが、その後具体的にどうなったのかということが、例えばホームページで必ず開示されるように法令上なっているのかとか、その効果測定を一体誰が主語でやるのか。
  人が変わるのは、省庁でも、皆さん立場が変わっていくのは、政権もわかりませんし、具体的に変わっていくのだと思うのですが、こういうことを中長期的に、例えばお隣の韓国とかはきっちりと、持続可能な連続性を持っているからこそ成果が出ていると思うのですが、その辺のいつ、誰が、どこでしたという、いわゆる当たり前の5W1Hがよくわからない。
  特区の設定のあり方もそうなのですが、ここに5年後の経済効果294.9億円、5年後の新たな雇用1,926人と非常に刻んだ形で明快に出ているのですけれども、この根拠は何なのでしょうか。そして、5年後ということは、5年後まできっちりと追いかける組織がこちら側にあるという理解なのですが、ここはどうなっているかをお伺いしたい。
  また、特区に関しては、設定のあり方で今後もふやしていくのでしょうか。そういう提言を私たちはしていくのでしょうか。札幌コンテンツ特区というのは一つの象徴として去年できたと思うのですけれども、この先もこういう概念、コンセプト、アイデアでコンテンツ特区を今後誰が、いつ、どこで、どこにふやしていくのでしょうか。あるいはふやさないのでしょうか。

 ○伊吹課長 では、ANEWのほうから簡単にお答えします。
  まず、最初のスタッフのことは、多分COOの方のことだと思うのですが、去年いっぱいで任期満了で御退任されたと聞いていますので、それはそういうことだと思います。日本側のスタッフについては、随時数もふやして、特に若い人にたくさん入ってきてもらっていますので、彼らの活躍に期待したいと思います。
  ANEWのパフォーマンスについてどうチェックするのかということですけれども、これは株式会社で産業革新機構が100%出資をしている会社です。普通の株式会社ですので、当然株主として産業革新機構がパフォーマンスをチェックする。今までいたCOOにしても、彼らは仕事をするサイドなので、それをチェックするのは株主たる産業革新機構の役目で、彼らもこの会社に対して役員を出して、日常的にかなりチェックをしているというのが今の状態です。
  企画開発ですので、映画をよく知っている方に申し上げるのもあれですけれども、実際に興行収入につながるのは、もうちょっと2年とかそれぐらい後の話だと思いますので、それまでこの会社がつぶれないように皆さんでぜひ、いいことがあったときは一緒に宣伝をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ○中村会長 特区のほうは、大地参事官、いかがでしょうか。
  特区をどうするかという方針について、事務局から何かありますか。

 ○大地参事官 総合特区の評価につきましては、総合特区評価・調査検討会がございまして、有識者により構成されておりますが、そちらにおきまして検討・評価して、総合特区推進本部に報告をするということになっております。ホームページにもその結果は掲載されるところでございます。なお、本特区につきましては、現在その評価の作業中でございます。
  今後の指定については現在未定でございます。
  期待される効果の計算の根拠でございますが、5年後の経済効果が約300億円掲載されておりますが、約半分が製作による効果、残りのおよそ半分が観光等による間接的な効果と見込んでおります。雇用や宿泊というのは主に観光による効果で、撮影隊に関する効果も入っていると思います。そういった計算をしておるところでございます。

 ○内山局長 別所委員のほうから御提議ございました、それぞれ施策を専門調査会でもこれまで議論して、計画づくりして、最初の計画はいいのだけれども、執行についてどう評価されているのかということでございます。
  これは、毎年の計画をつくる際に、前年度の計画についてしっかり各省との間で私ども内閣官房で評価をして、それについての進捗あるいは課題について取りまとめて、この専門調査会のほうにも報告し、知財戦略本部としてホームページで公表していくという仕組みでございますので、個々の評価はもちろんしっかりやるということで、我々としては取り組んできておりますので、また2013の計画づくりの最終的な段階では、しっかり2012までの取組についても各委員からもチェックをしていただきたいと思います。
  以上です。

 ○中村会長 ありがとうございました。
  今の議論はもし後に時間がありましたら戻っても結構かと思いますけれども、ひとまずビジョンについて議論を進めることにいたしましょうか。
  現在は(案)ですが、このビジョンの(案)の取りまとめに当たりましては、ワーキンググループで私とともに共同座長をお務めいただいた妹尾さんにも非常に尽力をいただいて、やっとこの(案)までたどり着いたわけですが、まずは妹尾委員からビジョンについて一言補足をお願いいただけないでしょうか。

 ○妹尾委員 妹尾でございます。ただいま御紹介されたように、この政策ビジョンで中村先生と御一緒に共同座長を拝命しております。
  この中にも何人か政策ビジョンに御出席いただいている先生方がいらっしゃいます。
  これは今までの10年を総括し、今後10年を展望するということですので、もちろん総括に当たってもいろいろな御意見があるし、今後の展望に当たっても多様な見方があるという中で議論していますので、この取りまとめ(案)がどの程度皆さんの意見を反映し切っているかどうかということは、ごらんいただければあると思います。
  ただ1点、これは中長期にこういう方向だということでありまして、当面まず手をつけなくてはいけないものは、2013年のものに出てくるという一応の整理をしておりますので、それを踏まえて御議論をいただければと考えています。
  長期にわたっては、大変おもしろい展開が今後もありますし、前回の政策ビジョン委員会の白眉は恐らく川上さんの熱弁だったのではないかと私は思っておりますけれども、そういうものができるだけ取り込めるようにはしていますが、十分かどうかはわかりません。
  中村先生と私と、御苦労をしている事務局と御一緒にこれを取りまとめしますが、できれば私個人としては、これを10年やったから10年そのまま動かすという世の中ではない、恐らく10年を見通しながらも二、三年ごとにリバイス、ローリングをかけなければいけないということになると思いますので、それ自身を見直し条項というべきなのか、何というべきなのか、入れつつ、これを回していかなければいけないのではないかなと感じています。
  とはいえ、ここのコンテンツの委員会の先生方からの角度でまだまだ御議論おありだと思いますので、それを賜っていければと感じております。
  以上であります。

 ○中村会長 ありがとうございます。
  私も共同座長の立場から感想を申し上げますと、このビジョン(案)の中に書かれているコンテンツ政策の部分は非常に刮目すべきものがあると思います。それは、これまで10年ずっと議論してきたエンタメ産業のことだけではなくて、コンテンツ自体に非常に広がりが出てきている。それは、コンシューマー・ジェネレイテッド・コンテンツであるとか、あるいはオープンデータ、ビッグデータでありますとか、教育の情報ですとか、そのようなものがコンテンツ政策のテリトリーとして入ってきますということですとか、あるいはそうしたコンテンツ政策が他の行政分野以上に重要性を増してきて、プライオリティを上げるべきだと書かれておりまして、大きな政策転換を促すべきメッセージが含まれていると私は読んでおります。
  しかも、今後の10年を展望すると、ここに書かれていることは現時点から見たら10年先のことに過ぎなく、より大きな変化があるであろう。コンテンツ自体も変わっていくであろうという議論がありました。それは、これまでのような人が生む情報だけではなくて、マシン・ツー・マシンになってきますから、機械の生んでいく情報ですとか、あるいはアウトプットとしても3Dプリンタが出てくると、その物自体もコンテンツと捉えられるといったことも出てくるでしょう。概念が変わっていく可能性がある。
  ビジネスモデルもかつてハードウエアからソフトウエア、そしてプラットフォームへと中心が変わってきましたけれども、その構造すら変わっていくのではないかとも考えておかなくてはいけない。つまり、先ほど妹尾委員がおっしゃったように、10年先を考えると、相当柔軟に我々のビジョン自身も変えていくことが必要になっているということで、遠くを見ながら手元にどんどん手を打っていくというスタンスが重要なのではないのかなと考えております。
  そして何より、資料1の1ページ「はじめに」の2行目にあるのですが「知的財産をその強みとして世界のリーダーシップを取って行くべきである」、このような覚悟を我々としてきちんとできるかどうか。それが問われる場面に来ているのかなと私は受けとめているところでございます。
  まず、感想でございます
  では、このビジョンについての議論を進めてまいりたいと思います。このビジョン(案)について御意見のある方、挙手をお願いいたします。

 ○島尻政務官 先に中座いたしますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 ○中村会長 どうもありがとうございました。ここから白熱すると思います。

 ○島尻政務官 申しわけありません。残念です。
 (島尻政務官退室)

 ○中村会長 では、川上さんからお願いします。

 ○川上委員 前回のワーキンググループで私が発言したのは、1枚紙の主な指摘の中に書かれているものでいうと、クラウド上のコンテンツというものはコンテンツ自体がプラットフォーム化の性質を持つということと、アーカイブする対象のものにはクラウド型の新しいコンテンツも対象にすべきではないかという2点について発言させていただいたのです。
  私も終わりかけのときにそういう提案をしたことは非常に申しわけないと思ったのですが、そのせいか、その後、ここの全体の修文案そのものを送ってくれないかという依頼を金曜日にいただきまして、月曜日にそれに対する返事を書いたのですが、その扱いはどうなっているのか。それに関しては全く私は返事もいただいていませんし、この中身を見ても反映されていないようなのですが、何しろタイミングがタイミングですので、別に採用されないレスポンスするのは全く構わないのですが、このタイミングで修文案の作文自身を求められて、それを送ったにもかかわらず、それに対するレスポンスが全くないというのはどういうことなのでしょうか。

 ○木村参事官 修文案について送っていただいたということでございますが、事務局のほうで確認できなかったところでございます。改めて確認させていただきたいと思います。
  今回の文章については、前回のワーキンググループで配った資料そのものを知財ビジョンということで配らせていただきまして、修正部分につきまして、また各省と協議も必要でございますので、改めて反映をさせていただいて各省と調整をし、会長とご相談して成案に持っていきたいと考えておりまして、大変恐縮でございますが、いただいた修文案はこちらの手元に届いていないものでございますので見ておりませんが、ワーキンググループでいただいた御意見を反映する方向で今、考えているということで、資料2の対応方針の中でも「はじめに」の問題意識の中で整理するということで書かせていただいているものでございます。

 ○中村会長 ということは、この資料1は前回のワーキンググループに出したときのそのままで、それに対して資料2という前回のワーキングの中で出された意見、ワーキングのときに申し上げたのですけれども、ここに反映させて処理するのは相当難問もありまして、ちょっと時間がかかるかなと思っております。それがこの資料2であって、これを反映させていく作業がまだこれから残っているということですね。ですから、ここの場でもお出しいただいた意見をこのビジョンに反映するというステップもとりあえずとることはできると考えてよろしゅうございますね。わかりました。
  ということですので、何かこれに対するコメントがほかにもございましたら、お出しいただければと思います。
  いかがでしょうか。
  では、野口委員、お願いします。

 ○野口委員 ありがとうございます。
  質問というか確認が1点と、あとは意見なのですけれども、資料全体にわたりまして、まず現状分析があった上で、課題、取り組むべき施策と各アイテムごとに3段階になっているようなのですが、取り組むべき施策というのは、拝見したところ、知財計画2013とかなりかぶっていると理解しておりまして、そういう意味では、全体の見直しというお話があったのですが、現状や課題も当然見直す必要はあると思うのですが、どこまでが2013を超えた10年の中長期的なものであり、どこからどこまでの記載がとりあえず2013とか、もしくは2013に限定されず、直近、今、見えているものを書いているものなのかが読者から見えにくいところがある印象がありましたので、そこは御説明をいただくなり、クラリフィケーションをいただくなり、決して施策を将来10年分書けという意味では全くないのですが、それはできないことはわかっているのですが、読みやすくしていただければということが1点要望でございます。
  もう一つの御質問は、知財政策ビジョンがそもそも始まった経緯として、私の理解では、従来から知財戦略というのは片方で産業力強化のための特許技術系の話があり、片方で上を流れるコンテンツの話があって、時に両方が矛盾したり、ぶつかったり、両方をうまくバランスして統合しなければいけないという視点のもとに、両方の委員から選出されたワーキンググループで融合を図ったようなビジョンをつくろうということで始まったと理解をしているのです。
  ところどころ拝見をすると、そういう配慮も書いてあったり、総論のところで書いてあったりとかはしていると思うのですけれども、その一方で、例えばコンテンツ立国、それは知財計画のほうでした。今のところはまた後にいたしますけれども、そこを4ページの冒頭のあたりぐらいで、いろいろな分類を超えて融合を図りつつ取り組むのだということが書いてはあるのですが、そこがいろいろなところでどの程度配慮されているのかということについて、もしおわかりでしたら教えていただければと思います。

 ○中村会長 事務局、いかがでしょうか。

 ○木村参事官 2点御質問いただきました。
  1つは、施策が知財計画2013と重複している、もう少し読みやすく整理してはという御指摘でございました。これにつきましては、またそれぞれ個々に施策を書き分けておったりとか、ビジョンにしかない項目ということで、例えばコンテンツ政策のプライオリティを向上していこうといった点、ビジョンでしか書かれていないようなものもございます。あるいは新しい産業の創出環境の形成や、クリエーターへの適切な対価還元の確保といった、全体的な制度構築が必要といったこととか、ビジョンでしか書いていないところもございまして、そういったものについては、知財計画2013という非常に短期なところというよりも、やや中長期的なものも含めたものとしてビジョンに書きこんでおります。個々の点についてはまた御指摘いただければ、書きぶりの修正についてまた考えていきたいと思っているところでございます。
  もう一点の産業競争力の強化の観点で、分類を超えたような対応ということで、どういった具体的な内容があるのかということでございますが、これについては、例えば今回、通商関連協定の活用ということが54ページ〜55ページで書いておりまして、経済連携協定のところでございます。こういった協定の知財章の交渉をする中で、相手国の知財に関する制度及び課題に対応して規定を置いていこうということでございます。
  こういったことにつきまして、著作権分野のことだけではなくて、産業財産権関係のことも含めて、経済連携協定の中で、グローバルな企業活動を阻害するような知財分野における国際的な問題の解決、改善を図ろうということで、積極的な知財保護の達成を図るような働きかけを進めていきましょうということも書いておるところでございます。それぞれ産業財産権のみとか、あるいは著作権のみということではなくて、そういったものが連携しながら対応を進めていくということも書かせていただいております。
  以上でございます。
 

 ○中村会長 よろしいですか。
  どうぞ。

 ○別所委員 資料1を見まして、そもそも10年を見据えて、あるいは過去この知財が立ち上がってからの経緯等々を考えたときに、またすごく根源的なことを聞いて申しわけないのですけれども、ここにいる皆さんは知財とは何と捉えている前提なのでしょうか。定義が、まず、冒頭「はじめに」から始まって、技術が非常に言葉として浮き立つのですが、技術・テクノロジーイコール知財なのでしょうか。イコールでないのならば、知財とは今、私たちが何をもって言っているのか、これも10年の間に、あるいは私は4年ですが、議論に携わっている間に物すごく変容してしまっていて、その現実をまず受けとめないといけない。
  例えば現実問題としては、その先にある知財というのは、私が前回指摘したような、金融サービスに関係していることも知財にプラットフォームとしてかかわっていますし、ネットポリスであるとか、サイバー攻撃に関するさまざまなウイルス対策のようなものも知財であるでしょうし、時代がここで議論をしたり、政府が議論をしているようなスピード感では全く追いついていないような現実が、私たちが把握できているとはいえ、それが執行者に伝わっていっているのか、あるいは知財という言葉だけが先走っているようにどうしても感じてしまうのは私だけでしょうか。
  いわゆるサービスという言葉も出てくるのですけれども、例えばおしゃれとか、かっこいいとか、安心できるとか、心地いいとか、非常に科学的に数値化しにくいものをクールジャパンともともと呼んでいながら、その先に国家戦略を持っていく。何か非常に土台がふわふわしているところであることは間違いないと思うのですが、そこに対しての入り口のところで、もう一度何か確認作業が必要な気がしました。
  また、資料1にはクールジャパンという言葉が私は見つけられないのですけれども、幾つか読み落としているのであれば申しわけないのですが、今までずっと推し進めたクールジャパンはこの中でどう捉えられているのかということが次の質問です。
  そして、55ページの取り組むべき施策で、FTA、EPA、TPPと出てきていますが、この2行になってしまうのは仕方ないと思うのですけれども、TPPに関しては、会長のほうも前ミーティングではここで議題にされようとしていたのは私も覚えているのですが、TPP協定について「産業界を始めとした関係者の意見を踏まえつつ、国益にかなう最善の結果を追求する」というのは、言っているようで何も言っていないと思います。まさにこういった委員会の中で、私たちはそれぞれどう多様に考えているのか、ここに並べられた省庁の方々も考え方が違うと思いますし、では、この委員会ではどういう方向性を示したいのかというのが、この2行だけではわからないような気がするのですが、どこかに方向性だけ示すということであれば、国益にかなうようにというのは当然のことですので、では、踏み込んだ方向性は何なのでしょうか。
  以上です。

 ○中村会長 今、知財の概念、クールジャパンについて、TPPについての問題提起をいただきましたけれども、まず事務局のほうから何かコメントありますか。

 ○木村参事官 それでは、2点目と3点目からまず、お答えさせていただきたいと思います。
  クールジャパンをどう位置づけられているかということでございます。今回、コンテンツを中心としたソフトパワーの強化ということで、第4の柱として掲げているところでございまして、確かに御指摘いただいたように、このビジョンの中でクールジャパンという言葉を使って具体に表現をしているものではございません。前回、専門調査会で御議論いただきまして、別所委員のほうからクールジャパンとソフトパワーとの関係を示すべきではないかという御指摘もいただきまして、それは後ほどの議題で出てくる知財計画2013のところで書かせていただいたところでございます。こちらのビジョンのほうではそういう表現を具体に書いておりませんので、もしそこは、ここでもはっきり書くべきだという御指摘であれば、またそこは会長と御相談しながら文章を考えたいと思っているところでございます。
  もう一点のTPPでございます。こちらにつきましては、現在交渉参加を表明しているわけでございますが、実際には参加していないという現段階におきまして、交渉内容が今後明らかになってくれば、進捗状況を踏まえた対応が考えられるのではないかと思っておりますが、交渉に参加していない現段階においては、これ以上の内容はなかなか書きにくいのが実情であり、いずれにしても、我が国は国益を最大限追求していくような取組をしていくことをうたって、その上で各省が協力しながら進めていくことが重要と考えております。
  具体化については、今後の交渉に参加して具体的に進んでいけば、そういった具体的な対応を考えていくことになろうかと思っているところでございます。○中村会長 今の件について、野口さん、お願いします。

 ○野口委員 後ほど2013のところで申し上げようと思っていたのですけれども、今、話題に出ましたので。
  TPPのところなのですが、TPPについてはまだ内容が明らかでないので書けないというのはよくわかります。ただ、ちまたで例えばリーク文書であったりとか、過去のアメリカとのFTAから想定されている内容みたいなものが活発に議論されたりしていると思うのですが、その個別の議論についてここで申し上げる趣旨では全くないのですが、その少し上、このパラグラフの2文目から「我が国産業界などの要望を踏まえつつ」、交渉相手国というのがどこを想定しているのかがちょっとわからなくて、EUもあったり、発展途上国もあったりするのだとは思うのです。
  そこの整備や実効的な法執行の確保を促しつつ、TRIPS協定を上回る水準の知的財産の保護が達成されるよう積極的に働きかけると、かなり積極的に書いてあるのですけれども、このTRIPSプラスというのはどこまでがTRIPSプラスかはよくわからなくて、例えば我が国の著作権の保護期間は死後50年ですが、欧米は70年であって、そこもTRIPSプラスといえばプラスですし、損害賠償額も米国は非常に高くて、懲罰賠償も含めて日本に導入すべきだみたいなことを言っているとか、言わないとかいううわさも聞こえてきていますが、それもある意味では法執行の確保につながるのかもしれないです。
  この1文で我が国自体の知的財産の方向性なり、もしくはほかの国に我々もアメリカと同じように同じような要望をしていくと捉えられると、ちょっと誤解があるのではないかと思うので、TRIPSプラスというのが一体何を指していっているのかを明確にしていただくなり、もしくは実効的な法確保を促すよう積極的に働きかけるとか、余り内容に突っ込まないようにするなり、ちょっとそこの文言は気になったので、御意見いただければと思いました。

 ○木村参事官 野口委員から御指摘をいただいた通商関連協定の特にTRIPSプラスの部分、TRIPS協定の規定をどのように上回る水準なのかという御指摘でございます。確かにこの文字だけを見ると、今、まさしく御指摘いただいたような懸念があるのではないかと思うのでありますが、取り組むべき施策のところで書かせていただいているように、グローバルな企業活動を阻害する、知財分野における国際的な問題の解決、改善を図るということでございまして、そこについては主に海賊版、模倣品対策であるとか、そういったことをイメージしながら書かせていただいておるわけであります。
  また、一方的な誰かの偏った御意見に基づくということではなくて、我が国産業界などの要望に基づきながら、関係者の要望を踏まえながら、TRIPS協定などの規定を上回る水準の保護水準が達成されるようにということで、御指摘いただいたような、例えば保護期間の話でありますとか、そういった特定のことを想定して書いているものではないということでございます。

 ○中村会長 先ほどの別所委員の指摘の最初の知的財産なるものの定義といいますか、性格ですけれども、私の理解では、知財というのは知的生産物のことを指すのだろう。それには、幾つか種類がある中で知財本部では大きく2つに分けて、一つは特許などに代表される技術とかものづくりの知財。それが一つのワーキングであり、もう一つがコンテンツ、情報としての生産物というものを取り上げて議論をしてきて、最終的には知財政策としてひとまとまりにするというやり方で来ているわけです。
  ただ、同時に、おっしゃるとおり、知財そのものの概念は変わらなくても、戦略としてどこに光を当てるかという部分については大きく変わってきていると思います。先ほどもコンテンツのところで申し上げましたが、これまでどちらかというと、コンテンツ産業あるいはエンターテインメントということで重視をしてきた。
  だけれども、今回はより広い範囲の、例えばビッグデータのような全国的に立ち上ってくるような情報もそうですし、ユーザーが生むような情報もコンテンツの戦略としてしっかりと押さえければいけないとか、教育情報化を早急に進めようと、教育の教材といったコンテンツを国の戦略として、重要事項として位置づけようということだろうと思います。ですから、そこの光の当て方、うまく書けているかどうかは別として、変わってきていることも念頭に置いて議論をしなくてはいけないのだろうと思います。
  それから、TPPについては、先ほど参加ができていないからここぐらいまでしか書けないという話があったのですが、私の理解では、それ以上にここに何らかの具体的なことを書き込むには、議論が生煮えかなというところで、ここぐらいまでしか書けないのではないかという気がしておりました。
  国益と書いてありますが、その国益は何だという議論をするだけでも恐らく2時間ここで必要で、生産者にとっての利益、利用者にとっての利益ということで利害が対立したりするでしょうから、そういった整理も今後必要になってくるのだろうと思います。ただ、現時点でここに我々が書き込む文章としてこれがよいのかどうか、このように修正したほうがよいのかどうかという意見があれば、ぜひお出しいただければと思います。
  どうぞ、お願いいたします。

 ○奥山本部員 TPPについてなのですけれども、これまでの努力、WIPOとか、WTOとか、TRIPSももちろん一部その土台になっているわけですが、それがうまくいっていなくて、GATT、TRIPSをやってWTOができたように、新しい知財の保護についての交渉の舞台となる可能性もあると思っていまして、そんな方向性を期待するということぐらいは書けるのではないかという気がしております。
  あと、全体のことで、事務局には既に申し上げているのですが、全体として片仮名が多くて、見ていくと、例えばソーシャルなコミュニケーションとか、何かよくわからない片仮名が出てきておりまして、これは議論が散漫になってしまいますので、できるだけ普通の日本語で書いていただきたいと思っております。
  以上です。

 ○中村会長 ほかにいかがでしょうか。どんどんお出しいただければ。

 ○平澤委員 参考資料3の19ページを見ていただきたいのですけれども、先ほどの別所さんのクールジャパンという話に関連する、いわゆる言葉の使い方のことなのですが、19ページを見ると「クールジャパンという言葉に代表されるように、我が国独自の個性豊かな文化は、世界の共感を得ている」と書いてあるのですが、議論の中で少しずつ用語の使い方とかが変わっていく可能性があるのです。先ほどのソーシャルという言葉もそうです。
  これは御提案の一つなのですけれども、用語集というか、この資料ではそれぞれの言葉をどういう意味で使っているのかを明示したほうがいいかなと思っていまして、でないと、これ以降ずっとソフトパワーと書いてあるのですが、ソフトパワーというのはどうもサービスとか、観光とか、食とか、そういうことも含まれているのですけれども、先ほど中村先生がおっしゃったように、いわゆる知財一つにしても、いろいろな見解があって、私は先ほどの中村先生の御説明のそこは共感できるのですが、微妙にそうでない考え方をしていらっしゃる方もいらっしゃると思うので、用語集というか、そういうものはあわせて明示したほうが、全体のディテールがうまく伝わるのではないかと思いますので、御検討いただければと思います。

 ○中村会長 ありがとうございます。仕事がふえました。
  杉山委員、お願いします。

 ○杉山委員 一応10年ということで言わせていただくと、82ページ、私は教育をやっていますので、確かに取り組むべき施策にクリエーターが学校に行くとか、新しい学習指導要領で創造活動と書いてあるのですけれども、私はずっと19年社会人向けの学校をやってきて、すごく思ったことがあるのです。
  10年前ぐらいに気がついたのですが、小中ぐらいでそれなりに創造性も豊かで、絵も上手で、音楽もできてみたいな。でも、通常の学科もよかったりすると、普通にこれまでのとおりのいい大学みたいなところに進学していって、普通によい会社みたいなところに入っていく流れがどうしても主流であるのです。あるとき三、四年たったときに、これで私はいいのだろうか、自分はいいのだろうかと気がついたときに、私の学校に来てクリエーターにチェンジした人が随分いるのです。
  それはそれでいいとは思うのですが、その裏にあるのはクリエーティビティを発揮するような職業であるとか、そういうところに行きたいということに対して、現場の小学校、中学校の先生たちがサブであるという、脇のものであってメーンはちゃんと銀行に行くのだぞとか、大企業に行くのだぞという感覚がいまだに絶対抜けていないと思うのです。なので、私はむしろ小学校とか中学校の先生たちに、我が国はこういう状態になっていて、ここは力を入れていいのだよと、子どもたちがその方向で、めちゃくちゃ数学ができても、絵もできるのだったら両方生かせるような道もあるのだよという、教員の教育みたいなものが何で入っていないのかなと思うのです。
  すごくいいクリエーターを1人ぱっと送って、でも、それは6年間のうちに2回とか、そういう人と会うだけではなくて、普段会っているのは先生たちだから、親たちも先生たちの言うことをある程度見ていますから、もう少しこれをやっていくためには、現場の先生たちに対して、私たちがここでやっているようなことをもっとわかりやすく伝えていくということが、本当は物すごく重要なのです。
  なので、年齢が上がってからの議論はここでいいのですが、知財の根本は人なので、どの時点からそう思わせるかということがすごく重要なので、文科省の方でもいいのですが、何かそういう、現場の先生にこれを伝えるという、そんなにお金はかからないと思うので、そういうことをやっていただきたい、入れていただきたい。

 ○中村会長 重要な指摘ですね。
  齋藤委員、どうぞ。

 ○齋藤委員 資料1の78ページにある模倣品・海賊版対策の強化という箇所には、日本での取締りの強化やACTAの推進などについて記載がありますが、東南アジアでの具体的な対策をご紹介したいと思います。
  タイの事例を挙げると、Kantanaという会社のオーナーがコピー撲滅運動をされています。具体例として、ミニシアターで安価に本物の映画をコンテンツ配信することが挙げられます。このミニシアターというのは、スタッフ1名で約50人を収容できるコンビニシアターを運営することができます。肝心の映画は、衛星を使って各シアターにダウンロードされるため、コンテンツのセキュリティは万全です。つまり、自動的に映画が配信されるので、1人のスタッフの仕事は入場券の切符を切るだけで済みます。
  このミニシアターでは、平日の昼間に映画を上映し、週末の昼間は子どもを集めるためのアニメや教育系の映像、夜はサッカーのプレミアリーグの中継や録画などのスポーツ系映像を放映します。今後は、お客の興味に応じたコミュニティが作られることを予想して、シアター内ではコンテンツ関連の物品販売も行われる予定です。これをタイでは、2013年末までに100館オープン、ベトナムでは、2014年内に2,000館契約する計画を立てています。
  これは、本物のコンテンツを安価で提供することで、模造品を排除していこうという考えが発端となっています。タイでは模造品が100円程で買えるそうですが、このミニシアターでは、50円の入場料で本物のコンテンツを配信していきます。日本では、同様の試みを300円程でできるのではないかと考えております。このような他国の具体的な事例を参考にして、日本の模造品対策を進めていくことも必要なのではないでしょうか。
  また、資料1の81ページにあるコンテンツ人財の育成という箇所についてお話をしますと、クリエーターの裾野を拡大するには、クリエーターという職業が魅力的なものであることが肝心だということです。そのためには、企業で働くクリエーターの労働条件の規制緩和が必要だと思います。フリーのクリエーターは別として、企業で働くクリエーターには、残業時間の上限や、1週間あたりの労働時間が決まっている為、個々に応じた労働環境で働くことは容易ではありません。
  同時に、税制についても考えていただきたいと思います。多くのクリエーターの給与は、年毎により収入の増減が大きいと考えられます。例えば、ゲーム業界のお話をすると、大型タイトルのゲームには、1つの作品の制作期間が3年程掛かるものがあります。すると、3、4年に1度収入が大幅に増える一方、翌年の収入がほとんど無いという場合もあります。そのような場合でも翌年には、前年の収入に応じた税金を支払う必要があり、複数年で平均すると収入額の割りに税金の負担が大きくなります。
  このような事例が結構多くありますので、当社でもクリエーターに対して、ライフプランニングセミナーなどを開催し、教育しております。前年の収入に比べて翌年の収入が大幅に減少した場合、税率の平準化や最高税率の引き下げなどの措置があれば、クリエーターにとって非常に励みになるのではないかと思います。
  今回は、以上です。

 ○中村会長 ありがとうございます。
  お願いします。

 ○川崎委員 第4のコンテンツを中心としたソフトパワーの強化のところなのですが、もともとコンテンツを中心としたソフトパワーの強化という、ソフトパワーとは何ぞやというのもあるのは置いておいて、やはりソフトパワーの強化とうたうのであれば、どちらかというと、ここに並んでいるものはある意味マーケティングに特化しているというか、マーケティングにいっていると思うのです。
  ソフトパワーの強化というのは、ものをつくるところに重きを置いていかないといけないと、特に次の10年を考えると思いますので、この前順番のお話がありましたが、ここで書いてあるソフトパワーの強化の中で政策にかかわっていることは、細かいところは置いておいて、2番と7番ぐらいだと思うのですが、そこのところをもうちょっと上に上げるとか、文言として頭のところに入れるとか、ものをつくるところを、マーケティングももちろん重要なのですが、どうもマーケティングのほうに最近視野が向いていると思いますので、そこを変えられないかということが一つ。
  もう一つは、4.戦略的な海外展開の推進の(3)のコンテンツ規制の撤廃とか、海外の制約について触れてはいるのですけれども、日本は文化先進国というのは世界中で認められていることで、では、文化先進国の日本の自分の足元はどうなのだと、規制云々ではないですが、世界のコンテンツをつくっている人たちが、日本に入り込めない何か弊害はないのかという、もう一度見つめ直すようなことというのは、今後の10年を考えたら必要なのではないかと思います。ですので、そこら辺、日本に入りやすくするためにはどうすればいいかという視点がもう少し入らないのかなと思います。
  以上です。

 ○中村会長 ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
  新山委員、どうぞ。

 ○新山委員 何度も同じことを言っているような気がするのですけれども、この10年の反省は、既に国内に点在するすぐれた我が国の文化パワーを再発見して、それを結集させることがなかったことだと思うのです。既に点在する国内のソフトパワーを結集、連携させて、それを束ねていくネットワーキングが非常に必要だということを、今、我々に一番欠けているのはそういう連携の仕組みとスキームだということを、自戒も込めてしっかりと冒頭にうたい上げることは非常に重要だと思うのです。やはりいいものが眠っていると、それを再発見してつなげていくことが大切だという非常にわかりやすい言葉で語り始めていただきたいと思います。

 ○中村会長 ほかにいかがでしょうか。
  どうぞ。

 ○別所委員 先ほどの55ページのTPPのところなのですけれども、御提案なのですが、稚拙な、こういう文章に合うかわからないのですが、関係者の意見を踏まえつつ、では、どうするのかという提言に関しては、例えばあしき平等にならないような、明確に特定された分野であるとか人財に、国家の資源を投資するという方向性を示すというか、あれこれ全部やらないというと、私にとっては非常に、人は殺してはいけないと言っているのと余り変わらない、それはそうだねという文章だから、方向性を示したことになっていないような気がしまして、今のような明確に優先順位をつけた特別の分野に特化して、国家資源を投資するのだということにならないかなという願望がございます。
  それから、ソフト、ハード、いろいろあると思うのですが、ここでいう知財においては、私個人の意見ですが、知財の中にもランクというか階層をきちんとつくるべきなのではないかと思います。それはテクノロジーとサービスと言ってしまえば幅広くて、これも総花的に正しいと思いますが、では、どこに行きたいのかがわからない。
  例えば、知財の中でもハードとソフトと継続的なサービスといったものを海外展開することで、国家戦略として利益になるという分野を知財Aとするとか、知財Bはそれの周辺にあるファッションであるとか、さまざまな、先ほどほかの委員も点在しているものとおっしゃいましたが、それをどう集積するかという、今度はまだアレンジメント、アレンジャーが必要な世界観であるとか。
  例えば奥山さんという秋田新幹線こまちをデザインされた方がおっしゃっていたのですけれども、新幹線も知財だと、もちろんソフトとハードとそれを運用、運行していく上での日本ならではの編み出したサービス、知恵がある。その知恵をマネタイズしたとか、アイデアをプラットフォーム化したとか、具体的に海外で戦えるライセンス化できた権利、ライツであるとか、そういったものがもうちょっと知財という分野でいうと、積み重ねた議論で科学的な、明快な差があると、目指す方向性が見えてくるのではないかという気がしました。
  ただ、私には文章化する知恵がないので、それは皆さんのほうにお任せしたいのですがそういう提案です。

 ○中村会長 ありがとうございます。
  よろしいでしょうか。
  どうもありがとうございました。貴重なといいますか、重要な御意見を多数いただきました。
  これまでワーキングでも出されて処理を今、している最中の御意見もあります。きょう皆さんからいただいた御意見もあります。さらに、4月19日にもう一つの専門調査会、競争力専門調査会の議論も予定されておりまして、それらの御意見を踏まえてできるだけ、できないものもあろうかと思いますが、できるだけ処理して修正をしていきたいと思っています。
  それを親の本部会である知的財産戦略本部会合に提出するという運びを今、考えているところでございますけれども、まだほかにも追加的に皆さんから御意見あるかもしれませんので、事務局のほうにお届けいただければと思います。それをえいやと修正をしていって、必要なところはまた委員の皆様とともに調整させていただきますが、修正をしていこうと思っています。
  それは、競争力の専門調査会の会長である妹尾会長と一緒に議論しながら進めていきたいと思っておりますので、私と妹尾会長にこの修正について御一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 (「異議なし」と声あり)

 ○中村会長 よろしゅうございますか。もし個別に必要なことがあれば、後ほどでも結構ですので、御連絡をいただきたいと思います。
  ありがとうございました。
  ではもう一つの議題であります知財計画2013の骨子に盛り込むべき事項の(案)の取りまとめについてです。このビジョンを実現していくための1年目の行動計画という位置づけになります。
  では、これも議論していきたいと思いますので、事務局から説明をお願いします。

 ○木村参事官 それでは、知財計画2013骨子に盛り込むべき事項について御説明させていただきたいと思います。
  席上に配付させていただいております赤字の見え消しで修正しているほうをごらんいただきたいと思います。
  こちらにつきましては、先ほど中村会長からも話がございましたように、先ほどのビジョンが今後10年を見据えた知財の政策の道しるべとなるビジョンでございますが、その初年度の行動計画となるべきものという位置づけでございます。前回からも御議論いただいた中で、委員の御意見を反映して修正したものでございます。
  1ページ、コンテンツとものづくりの融合ということ、今回の御議論でも出ていたところでございますが、ものづくりとコンテンツの融合分野について、特にデジタルファブリケーションといったようなものが出てきたことについて、情勢認識の中につけ加えさせていただいたということ。
  また、競争力の源泉となるイノベーションといったものを促進していくことが重要なのだということが、野口委員からいただいた意見で、つけ加えさせていただいております。また、これからの若者たちの発想を実現化できる環境づくりが必要だということでございまして、これは川崎委員から御指摘いただいた内容をつけ加えさせていただいたところでございます。
  また、2ページ目「コンテンツ創造立国」の宣言をするという、先ほどのビジョンのところにあったものを、こちらのほうにも内容を反映させていったということでございます。
  さらに、施策の推進という観点に当たっては、政府一体となった取組が不可欠で、科学技術政策、文化政策、IT政策といったものとの融合を図っていくということで、野口委員から御指摘いただいたような視点もつけ加えさせていただいたということでございます。
  さらに、デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備の中身におきましては、公共データにつきまして、コンピューターの能力向上といった背景に基づいて、大量・多様なデータ処理・利用が可能になったということで、井上委員の御指摘に基づいて入れたところでございます。
  また、コンテンツが活用される場面というのは教育・医療・商業といったところまで多岐に広がってきていることにつきまして、前回の御議論を踏まえて文言を修正させていただいたものでございます。
  3ページ「ハードとソフトの対立」という表現を消しておるところでございますが、妹尾委員からソフト、ハード、そういった言葉がいろいろ出てきているので整理してはどうかという御指摘もいただいたものでございまして、ほかのところにも出ていますが、言葉を整理させていただいたところでございます。
  また、教育の情報化でございますが、情報化も推進しながらクリエーターを含む次世代の育成を図るということで、教育の情報化とクリエーターの関係を示すことも妹尾委員からの御指摘であったかと思いますが、この修正も図っているところでございます。
  コンテンツを中心としたソフトパワーの強化でございますが「クールジャパンという言葉に代表されるように」ということで、こういった世界の共感を得ているものがある。その共感がさらに、ファッションであるとか、食であるとか、観光といったところ、さらには経済・文化全般にまで注目が集まっているということで、ソフトパワーがクールジャパンを含んだ概念になるということで、これは別所委員から御指摘いただいたところを踏まえた表現として、修正させていただいたところでございます。
  4ページ、コンテンツの海外展開のときに、日本発のコンテンツの価値をいかに高めていくのか、そういったことを考えながら制度的な対応をしていくことが必要であろうということ。これも御指摘いただいたと思っておりますので、こういう表現をつけ加えたということ。
  戦略的な海外展開を行うに当たって、文化外交を含んだ観点が必要だということ。これは新山委員から御指摘いただいた内容をつけ加えたということでございます。
  また、日本を本場にしていくときに、特に日本にしかないストーリーあるいは文化といったものを踏まえて進めていくということで、これは杉山委員や別所委員からも御指摘いただいた内容をつけ加えたところでございます。
  5ページ目、公共データの二次利用促進でございます。こちらは文言整理を行うとともに、こういった公共データが教育を含むものであるということ。これは井上委員から御指摘いただいた内容を修正してございます。
  また、5ページの一番下から6ページにかけて、権利処理の円滑化のところでございます。かなりの部分具体的に書き込んでおるところでございますが、こちらにつきましては、野口委員から権利処理についてより具体的に踏み込んだ内容をもっと書き込んでいくべきではないのかといったオーファンワークス含めてでございますが、御指摘があったところでございまして、関係省庁とも調整をしながらこういう文言をつけ加えたというのが幾つか並んでおるものでございます。
  一番下の知財活動の円滑化に向けた通商関連協定の活用につきましては、先ほどビジョンでもありました表現でございます。同様の表現をここでも新たにつけ加えるといった修正をしておるところでございます。
  7ページ、電子書籍の本格的な普及促進でございますが、こちらにつきましては、出版社への権利付与について検討という形で書いておったところでございますが、こちらもより具体的な内容を書くべきではないかという御指摘をいただいたところでございますので、電子書籍に対応した現行出版権の整備といったことを早期に検討するということで、具体的な内容、あるいは時期について書き込んだものでございます。
  また、電子書籍のコンテンツの普及につきましては、例えば教育コンテンツといったような専門書を含んだ電子書籍のコンテンツ数の拡大について、妹尾委員の御指摘を踏まえて修正したものでございます。
  また、プラットフォームの形成の推進につきましても、多様なコンテンツを提供するプラットフォーム支援を通じて、コンテンツ側がプラットフォームをリードするといったような新たなエコシステムの実現を促進するということで、角川本部員の御指摘を踏まえた表現をしているということでございます。
  さらに「クリエーターの自由な表現活動が萎縮しないよう」という言葉をプラットフォーム事業者とコンテンツ事業者の間の取り決めの透明化のところでつけ加えてございます。こちらにつきましては、表現の自由の確保といったことで、川上委員から御指摘いただいた内容をさらにつけ加えさせていただいたものでございます。
  また、ビッグデータビジネスにつきまして、パーソナルデータといったものの扱いについては、特にプライバシー保護、利活用のバランスに配慮したものが必要であろうという御指摘もありましたので、そういった点を追加しているものでございます。
  8ページ、デジタル・アーカイブのところは、検討ということでとまっておりましたので「検討し、必要な措置を講じる」ということで具体的な取組、必要な措置を講じていくことを明示する。
  教育の情報化の推進に当たっては、教育の情報化が非常に急務であるということ。これは別所委員から御指摘いただいたことでございますので、そういった文言をつけ加えさせていただいたということでございます。
  9ページ、ソフトパワーの強化のところでございます。
  こちらは文言整理ということで、幾つか修正させていただくと同時に、日本食、そういった食材が重要な文化資産であるということを明示しようということで、地域ブランドの確立の例示の中にも食を加えるという修正をしておるところでございます。
  10ページ、日本の高度な技術力を生かしたコンテンツ制作の促進で、こちらについて例示でございますが、デジタルファブリケーションといった日本の高度な技術力を生かしたものづくりとコンテンツとの融合の例示として挙げさせていただいているものでございます。
  また、日本ブランドのグローバルな発信につきましては、先ほどと同様でございますが、食という観点をつけ加えさせていただいたり、日本ブランドの発信に当たって、特に日本のファンを拡大していくということ、インターネットを活用しながら日本ファンを拡大していくことが必要である。これは川上委員から御指摘いただいた内容についてここにつけ加えさせていただいているということでございます。
  11ページ目、海外展開のための資金供給を行う機関を設置して、海外展開を行う企業などの取組を支援するということでございますが、中小企業を含めたそういった取組を支援するということを追加しております。
  また、各国基礎的な調査を実施して、海外展開を支援していこうということにつきましては、表現ぶりにつきまして、見直しをして書いておるということでございます。国際産業競争力強化といった観点からの表現もあわせて修正したものでございます。
  12ページ、模倣品・海賊版対策でございます。
  侵害発生における企業などの効果的な知財保護を促進する観点から、模倣品・海賊版対策も含めて、知財制度の調査、情報提供といったことを積極的に推進することを新たにつけ加えるとともに、違法な国内流通品の取り締まり強化といったことから、具体的な内容を書き込ませていただいた。ポリスファンクションの強化について、具体的に書き込むことについて、妹尾委員から御指摘があったものを踏まえて修正ということでございます。
  13ページ、ACTAの推進でございます。こちらにつきましては、既署名国に対してもハイレベルを含めた働きかけが必要ということから、そういう修文をしたというものでございます。
  コンテンツ人財の育成でございます。
  クリエーターの裾野の拡大で、従前、伝統文化まで書いておったわけでございますが、ちょっと広げ過ぎではないか、クリエーターの育成に向けた表現に修正すべきであるという杉山委員の御指摘を踏まえて修正をさせていただいたということでございます。
  また、若手クリエーターの育成の観点から、インターネットを使った人材交流などによるクリエーターの育成を図るべきと、これは川上委員から御指摘いただいた内容を反映して修正したものでございます。
  以上でございます。

 ○中村会長 ありがとうございました。
  前回までに皆さんから指摘していただいたものを反映したものでございまして、通常、最終会合になると大体文言整理だけで議論していただくのですけれども、今回は相当大幅な実質的な修正となっております。新たに書き起こされた項目もあれば、より措置が具体的になってきたものもあろうかと思います。
  では、これについての御意見、コメントなどありましたら、お願いしたいと思います。
  いかがでしょうか。
  どうぞ。

 ○久夛良木委員 この議論の中で関係するのですが、資料1の49ページで、世界のコンテンツ市場が今後数年間で6%ぐらい伸びていくという記述がある中で、我が国の今まで振り返りをしたときのコンテンツ市場が微減している。これに対する原因であるとか、分析であるとかをもうちょっとこの中で明確にされるべきではないかなと私は思うのです。
  原因の一つが、我が国のコンテンツが輸出できていないということなのか、それとも、国内の市場そのものが小さくなっているのか。後者でいうならば、例えば音楽産業は我が国は世界で一番伸びているという新聞報道もあるので、では、どの分野が勝っていて、どの分野がうまくいっていないのかをもうちょっとこの会議の中で分析するべきではないのかと思うのです。
  それをされた上で、我々がまだうまく取り組めていないものに関して、それが例えば国内における業界の慣行であるとか、もしくはいろいろな規制であるとか、そういうものであるならばそこに手をつける。そうではなくて、グローバルの競争において、ある意味では我が国が劣後している部分があるならば、そこを認識してしっかりと強化していく。そういった記述が必要ではないかなと思うのです。
  資料1でも今回の取り込むべき事項でも、そこに関してわかりやすく明快にまとめた記述が余り見当たらないのです。それに関してもうちょっと冷静に、クールに見つめて、一つのパラグラフとして入れられたほうがいいかなと思います。
  以上です。

 ○中村会長 それはごもっともで、何とかそうした記述をしたいと思います。ただ、現状、情勢認識の面で皆さんからもし、こう考えるということがあればお出しいただければと思います。輸出なのか、国内なのか、あるいはジャンルによってどうなのかという指摘がございましたけれども、お願いします。

 ○新山委員 食が入っているのは非常にすばらしいことだと思うのですけれども、恐らくことしの秋ぐらいに和食が世界文化遺産になると思うのですけれども、先日東京で、東京テレビフォーラムというものをやりまして、プロダクションが海外のプロデューサーの前で提案をやるのですが、すぐ買いがついたのは和食を追ったドキュメンタリーで、フランスが秋から放送します。
  やはり食に対しての戦略的な意味は非常にあるということで、一番チャンスな時節が来ているわけですから、うまい具合にスキームをつくって国家戦略的なモデルにしていくということはできるのではないかと思います。何か具体的なジャンル一つを挙げていくことが非常に魅力的なのではないかと思います。

 ○中村会長 いかがでしょうか。

 ○木村参事官 先ほど久夛良木委員から御指摘いただきました、コンテンツ市場の縮小・横ばいの傾向について、データについても別途ございますので、ここについて具体的にもうちょっと書き込めないのか、こちらはビジョンのほうになるかと思いますが、検討させていただければと思ってございます。

 ○中村会長 実はコンテンツ分野のジャンル別、あるいは国外、国内のデータみたいなものはきちんとそろっていないというのは従来からの大きな問題でありまして、そういったことも整理をして、共有をして、そこからということも引き続きの課題と認識させていただければと思います。
  ほかにいかがでしょうか。
  どうぞ。

 ○平澤委員 今、まさしく現状分析というものが非常に重要だと思うのですけれども、コンテンツマーケットが減少している原因はさまざまなのですが、いろいろな理由の一つが輸出できないとかいろいろあるのですが、一つはプラットフォームの変化だと思っています。日本もスマホを各メーカーが製造していますが、全く輸出できていないので、いわゆるプラットフォームの変遷は非常に大きな問題、課題。ゲームのプラットフォームもそうだと思います。
  そういう意味において、プラットフォームというのは非常に重要なので、私も前回のデジタル教科書の件で急務だということは何度もお話ししたのですけれども、その中で今、7ページを見ていただくと、まず、電子書籍に関して短期になっています。それ以外のプラットフォームに関しても、ほぼ全部短期と捉えていただいているので、これは非常にいいことなのですが、8ページの教育の情報化の推進に関して「本格展開が急務であり」としていただいているのですが、短期・中期となっているので、取組に関しては短期として捉えて進めていただくべきではないかと思っていますので、そこについては御検討いただければと思います。

 ○中村会長 ありがとうございます。
  野口委員、どうぞ。

 ○野口委員 何点かあるのですが、今のと関連しているところを一番最初に申し上げますと、教育コンテンツの充実については今も御指摘があったところですけれども、13ページにも書いてありますし、今、御指摘があった8ページもそうなのですが、13ページで申し上げますと、新しくつけ加わったところに、遠隔地にいる多くの人の活用のためにインターネットを利用するなどして、育成を支援していくということで、教育分野では世界的にもかなり大きな動きになっていまして、オンラインで受講できるような講座をつくって、自分で勉強できるような環境を整備することが非常に今、進んでいるのです。
  その観点で、日本の著作権法で申し上げると、著作権法の35条は、今のところリアルの教室と遠隔地は同時に行う同時再送信の場合だけしか例外規定が入っていなくて、それをやったものをアーカイブして後から見るとか、今、ネット教育で主流になっている、ユーザーがあき時間に自分で勉強するみたいなところには例外規定が及んでいないので、したがって、それがネックになって、ネット上の教材が教室で使っているものをそのまま出せないという大きなネックがあると理解しているのです。
  2013に盛り込むべきだというのは、もちろんできればありがたいのですけれども、そうでなくてもそこが大きな課題になっていることを認識して、そこをどう対応するかについて議論があってもいいのかなと思いました。それが1点です。
  あと2点あるのですけれども、5ページ、公共データについては井上委員からも御指摘があって、非常に書いていただいて望ましいと思っているのですが、1点、ここで議論すべきなのか、むしろIT戦略本部のほうがメーンだとは思うのですが、この利用活用のためのルールの基盤整備と書いてあるのですが、ありがちな展開として、各省庁がそれぞれのルールを定めてみたいなことになると、国民の視線から見ると、各省庁から出てくるデータの条件が違って、組み合わせたりすることが難しいということになってしまうと余り意味がないので、可能であれば、国で統一のルールであることを明確化できるかどうか御検討いただければと思います。
  同じように、ポータルサイトも、今のところ先行している省庁が幾つか自分の省庁のサイトに掲載している状態だと思うのですが、1つのサイトに行けば、どの省庁のデータも全部、少なくとも検索してたどりつけるようなアウトプットにならないと意味がないと思いますので、そのあたり、ここで書くべきことかどうかわかりませんが、意見として表明させていただきたいと思います。
  あとは、全体的に非常に具体的にしていただいて、いいと思うのですが、1点不思議に思ったのが、11ページの新しくつけ加えていただいたところで、アジア各国について人財活用をしてということで、企業OBと弁理士と特定で書いていただいているのですが、別に私が弁護士だから申し上げるという趣旨では全くなく、なぜここが企業OBと弁理士だけに限定されているのかというのがちょっと違和感があったので、もし御趣旨があれば教えていただければと思いました。

 ○木村参事官 御指摘ありがとうございます。
  11ページの各国基礎的調査の実施といったところで、まさしく企業OBや弁理士を含む知財人財を活用して、在外公館やジェトロといったところでの支援体制強化を書いておるところでございます。こちらにつきまして、弁護士を排除するということでは全くございません。具体的に企業OBや弁理士といった話が要望といいますか、動きつつあるということで書いておるところでございますので、そういったものも含めて専門人材の活用が必要という御指摘だと思いますので、どういう表現ができるかということを改めて各省とも話をしながらまた検討を進めていきたいと思ってございます。

 ○畑野参事官 ここは含むでございますので、別に限定ではなくて、あくまでも例示と御理解いただくことでよろしいのではないでしょうか。

 ○川上委員 5ページから6ページにかけて、コンテンツにIDを付与して権利の一元管理を目指すような、そういう仕組みをつくるようなことが書かれているのですけれども、ここでやろうとされている計画が成功するかどうかは別にして、うまくいけば有効に機能するものだとは思うのです。
  なのですけれども、何となくこの議論は今後10年というよりはずっと前から、十年、二十年ぐらい議論されているような古臭いイメージがするので、もう少し新しいイメージにできないものかという一つ提案なのですが、権利の一元管理と今、クラウドというものが非常に相性がよくて、恐らくこういうサーバーができて、それがクラウド上でAPIか何かを使って利用できるようになると、一挙にネット上での権利処理が進むのです。
  何かイメージしづらいと思うので、すごく具体的なことでいいますと、例えばJASRACさんなどはどの曲がどういう権利が信託されているのかというのが検索できるのですが、この検索インターフェースというのは人間がやるためのインターフェースなのですが、これが例えばサービス業者がAPI上から利用できるようになると、実際に自分のところのホームページでその曲をかけたいというときに、それがJASRACに登録されているのか、それを使っていいのか、料金は幾らなのかということが全部ネットワーク上で完結するような仕組みを、将来的に構築可能です。
  恐らくJASRACみたいなもののもっとオールマイティー版みたいなものを権利一括管理の仕組みとして想定されていると思うのですが、それは恐らくクラウド時代にどうやって対応するのかというのが成否の鍵を握るのではないかと思うのですが、何かクラウド時代を見据えているぐらいの感じの文言でもあるとそれっぽくなるのではないかな。そういう計画がないと言われると非常にさみしくなるのですが、多分これからそういうものをつくるのだとすると、クラウド上で、サーバー上でそれをどうやって利用するかというのは大きなテーマになると思いますので、こういう10年間の文言のところにも、クラウドでの利用を一文入れていただくといいのではないかと思います。

 ○中村会長 ありがとうございます。
  久夛良木委員、お願いします。

 ○久夛良木委員 2ページの一番下「コンテンツ産業の流通プロセスを担う日本のプラットフォーム構築」、これはちょっと「てにをは」がおかしいのですが「我が国は他国に比べておくれをとっている」と今までになくクリアに述べていただいて、本当に一歩進んだなと思うのですが、先ほどの競争力のところでのコメントなのですが、例えばゲーム産業というのはどうなっているかというと、明らかに売上であるとかも含めて、我が国は世界の競争に負けてきているわけです。それは何かというと、もともとの我が国のゲーム産業というのは世界を相手にプラットフォームをつくっていた。ところが、今、このネット時代においては、不思議なことに日本国内に向けてネットワークプラットフォームがつくられているような感じがするわけです。
  何でここのところでもっと明快にディレクションが出ないのか。つまり、強いプラットフォームがないということイコール我が国発の強いプラットフォームをつくろうとなってしまいますと、これはすごくやるべきことであるとは思うのですが、それなりの時間がかかる。そこに向かってクリエーターどころかコンテンツをおつくりになっている企業体がフォーカスしてしまうと、結果として我が国のクリエーターの方たちは世界に打って出られないというような結果になりつつあるのではと、少なくともゲーム業界では見えます。
  これは多分ゲーム業界に限らず他でもそうなのだと思うのですが、全体の中、例えばクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを検討してもいいのではないかというのは一つの大きな前進だと思うのですが、こういった議論の中で、本当に我が国我が国と言い続けていいのか。つまり、コンテンツは国境がないわけですし、世界に打って出たいとクリエーターも事業体も思うわけですから、明快に世界で一番強いプラットフォームをしっかりと見据えて、そこに向かってコンテンツを強化をしていくということも、もうちょっとはっきり書いたほうがいいのではないか。
  もしそうしないと、またどこかで勘違いされる人が出てきて、我が国発のプラットフォームに官民挙げてフォーカスすべきという事になってしまう。それは大事なことだと思うので、絶対に否定はしないのですが、それだけではコンテンツ産業全体として強化することにはならないと思うので、それもどこかに、今のタイミングで申しわけないのですが、書き添えていただければいいと思います。

 ○中村会長 ありがとうございます。
  どうぞ。

 ○別所委員 今のお話に関連するかわからないのですけれども、国家戦略的に世界と戦うというときの情勢認識あるいは方向性、ビジョンにつながることなのでしょうが、この会議のどこかで私も言いましたが、日本という国は加工文化国家である、加工産業国家である、世界の中で名アレンジャーになろうみたいな位置づけが、今、久夛良木委員が言ったように、何か新しいものを生み出して対抗しないと、プラットフォームの新しいものをつくらなければ国家戦略的に間違いだとかいってガラパゴス化するよりは、世界を全て取り込んだ上で名アレンジャーになって新しいものをつくるのだというぐらいの文化的、歴史的背景をしっかり踏まえてと、私が言うのもおこがましいでしょうけれども、日本人は漢字から平仮名や片仮名をつくったわけですし、さまざまな食文化に関しても、世界のものを取り入れてタラコスパゲッティまでつくるアレンジ力があるわけですから、そういうアレンジする力、組み合わせる力、それこそが日本の知財のパワーの根源であるというような、何らかの明快な方向性を出すことは必要かと思います。その上で、このような文章が組み立てられるといいなと思います。
  各論に関しては、前回のミーティングで言った、クールジャパンがさらっと1行で終わっているというのは、私にとっては違和感があります。では、クールジャパンとは今後どういう関係になるのか、私たちが言っているソフトパワーというのは上位概念だというのは前回でわかったのですが、クールジャパンに属さないソフトパワーの概念は何なのかということが、私はどう文章解釈として読み取ったらいいのかなと思ったりしました。総じて重なっている部分はたくさんあると思いますし、全方向的に言えば、クールジャパン的なものをやる。これは総理大臣がここの文を読んだらクールジャパンは金をつけて動いているではないかと一蹴されてしまうのではないか。つまり、その先にソフトパワーでもっとやり残していることがあるのですよということが明快になるといいなという気はします。
  それから、私が前回言った、金融とかポイント制度とか、プリペイドカードとか、そういった分野に関しての文章を、どこか読み落としているかもしれませんが、例えば2ページ目の下の赤字で変わった「またコンテンツが活用される場面も、教育・医療・商業」この商業にまとめ上げられた各論になるのかなと思ったりもしましたが、それでは余りその先にいる方々に伝わらないのかなと思ったりしています。
  コンテンツの国籍という話もしたと思うのですが、文言としては国籍を今後どう考えるのか、それがインバウンドとかアウトバウンドとか、国内外という言葉を使っているのですが、どなたかもおっしゃっているように、ネット社会、コンテンツの社会はもう多国籍です。二国間であったり、多国間であったり、何度も言っていますが、日本人がカナダやシンガポールやヨーロッパで活躍していることもありますし、海外の方が日本で、インド人の方が新しいものを生み出している現実もあるわけで、そういったものにどう向き合うのかをどう捉えているのかは、気づきとしては提言の中に文章化していただけたらという気がしました。
  以上です。

 ○中村会長 ありがとうございます。
  時間が迫ってまいりましたけれども、ほかに言い残したコメントなどはございますでしょうか。
  どうぞ、お願いします。

 ○新山委員 6ページに放送コンテンツのインターネット配信の権利処理の円滑化とかがありますけれども、これを書いていただいたことは非常に意味があると思います。ただ、これは何のためにあるのかということですけれども、前から言っているように、海外では正規の放送コンテンツがなかなか権利処理の時間がかかるために出ていかないという状況があるわけです。必要な措置を講じて、世界のコンテンツ市場の競争力を高めることが大きな目的だと思いますので、ぜひそのことが伝わるような文言を一言加えていただければと思いました。

 ○中村会長 よろしいでしょうか。
  ありがとうございました。非常に貴重で、また、重たい意見をいただきました。我が国の国の形、加工国家であることですとか、プラットフォーム、クラウド、オープンデータといったキーワードについても、取り込めるところはできるだけ取り込んでいきたいと思います。
  きょうまでの議論を踏まえまして、骨子に盛り込むべき事項の提言の取りまとめに進むということを今、考えているわけですけれども、きょう各委員の皆さんからいただいた重要な意見、今、申し上げましたように、取り組めるものをできる限り取り込んでいきたいと思います。ちょっとあふれてしまうものもあるかもしれません。必要な修正を先ほど同様に行いまして、これも必要であれば個別に相談をしてまいります。その上でこの専門調査会のまとめとして、案をつくりまして、本部会合に提出をさせていただければと思います。
  この議論を踏まえた最終的な取りまとめですが、先ほどのビジョンのところと同様に、会長である私に御一任いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 (「異議なし」と声あり)

 ○中村会長 よろしいですか。ありがとうございました。
  では、これから修正作業に入り、皆さんとの調整もできれば個別に続けさせていただきたいと思います。
  事務局から連絡事項があればお願いいたします。

 ○木村参事官 本日はどうもありがとうございました。
  いただきました御意見でございますが、必要に応じて修文し、まとめた提言につきましては、知財戦略本部会合に提出いたしまして、それを踏まえまして知財政策のビジョン、知財計画2013の骨子ということで決定する予定でございます。今後も知財計画2013本体の策定に向けまして、引き続き御議論いただきたいと思ってございます。
  次回の専門調査会は6月に開催する予定ではございますが、詳細の日程につきましては、調整次第改めてお知らせしたいと思います。

 ○中村会長 ありがとうございました。
  次回は6月ということでございます。ちょっと間があきます。
  どうもありがとうございました。これで閉会といたします。