コンテンツ強化専門調査会(第5回)議事録

議 事 次 第
  1. 開 会 : 平成22年3月23日(金)16:00〜18:00
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局内会議室
  3. 出席者 :
    【担当政務官】 津村啓介 内閣府大臣政務官
    【 委 員 】 中村会長、大多委員、川上委員、久夛良木委員、佐藤委員、杉山委員、谷口委員、別所委員、吉羽委員、佐藤本部員、中山本部員、三尾本部員、土肥WG座長
    【事 務 局】 近藤事務局長、内山次長、戸渡次長、小川参事官、奈良参事官
  4. 議事
    (1)開  会
    (2)「知的財産推進計画(仮称)」骨子に盛り込むべき事項(コンテンツ強化関連)について
    (3)閉  会 

○中村会長
 では、ただいまからコンテンツ強化専門調査会第5回会合を開催させていただきます。
 お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 今日は前回の議論を踏まえまして、引き続きではありますけれども、新たな知財計画骨子(案)に盛り込むべき事項の一応取りまとめに向けて議論をしていきたいと思います。取りまとめができれば、今日で一定の結論が出せれば、と考えているところでございます。
 では、その議論に入ります前に、インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループにおける検討がまとめに入っているということでございますので、その内容についてワーキンググループの土肥一史座長にご報告をいただきたいと存じます。
 どうぞよろしくお願いします。

○土肥WG座長
 土肥でございます。
 インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策について、中間取りまとめ(案)の概要という、そういうペーパーが机にあろうと思います。それから、ポンチ絵の3枚ものの、これも同じような名称の中間取りまとめ(案)というものがございますので、それをご覧いただければと存じます。
 まだ現在、明日が最終の取りまとめということになっておりますので、最終的には確定的には明日決まるということなんですが、一応、既に第3コーナーを回っておりまして、大体その方向性としてはほとんど固まりつつあるんではないかというふうに認識をしております。
 基本的なその問題状況でございますが、国内外を問わずネット上に様々な侵害コンテンツというものが氾濫している。こうした状況をどのようにすればよろしいかということでございまして、基本的には総合的な対策が必要なんだろうということなんですけれども、本ワーキンググループはそのうち法制度的な対応、これを中心に検討をしているわけでございます。
 それで、柱は2つありまして、1つはアクセスコントロール回避規制の在り方についてです。それから、もう一つの柱がプロバイダーの責任の在り方について、この2本の柱のもとで検討を進めてございます。
 それで、まず第1のアクセスコントロール回避規制の在り方についてでございますが、ご案内のようにマジコンと呼ばれるようなものをはじめといたしまして、回避機器というものによる被害状況が深刻になっております。これの規制状況といたしましては、現行では不正競争防止法にこの規制がございます。現行の不正競争防止法では刑事罰とか、水際規制がないということがございまして、この回避機器というものが主として外国で製造されたものが国内に入って来るということがございますので、被害が拡大しているということがあるわけでございます。
 そこで必要な対策としましては、1ページの下の方にございますように、@として回避機器の製造行為、それから回避サービスの提供というものは、現在規制されておりませんけれども、こういったものも規制の対象に含めていくべきではないかというような方向性の議論をやっております。
 それから、現状、不正競争防止法の規定ですけれども、いわゆる「のみ」要件というものがございまして、視聴等を技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置、そういう規定の書きぶりになっておりまして、そういう要件のもとで機器規制を考えていいのかということになっております。現状ではここを、例えば「のみ」要件を緩和する、あるいは主観的な要件を付加する、そういう方向での議論をすべきではないかという状況でございます。 
 それから、2枚目に入っていただいて、先ほど申しましたように水際規制という問題が非常に重要になっております。これを導入すべきではないか。それから、当然ながらこういうものを規制する場合に、その萎縮効果というものがございますので、そういう萎縮効果については適用除外で十分配慮する必要があるということでございます。
 それから、回避行為それ自体の問題ですけれども、個人等がそのアクセスコントロールの回避行為をするという問題があるわけでございますけれども、これについてもかなりいろいろ慎重な意見が様々ございましたけれども、一応現状としては一定のアクセスコントロールの回避行為を規制する方向で、個人が私的に行う回避行為についての刑事罰については、これは設けない。そして個人が行う正当な著作物の利用、あるいは著作物へのアクセス、こういったようなものについては十分適切な適用除外規定を整備することによって乱用のないような、そういう規制の仕方があるのではないかという方向で議論をしております。
 それから、もう一つの柱でありますプロバイダーの責任の在り方でございますが、これもその被害状況の規模が大きくなっております。それで、要はこういう被害状況を改善することがワーキンググループとしては重要であると、こういう認識をしておりますので、そのために法的なレベルでのコントロール、あるいはそこまでいかないようなコントロール、様々あろうと思います。様々あると思う検討をやっておるわけでございますけれども、まず侵害対策措置、これを考えております。ただ、その場合にプロバイダーというものが非常に規模も
異なり様々多様なサービスを提供しているものでございますので、なかなか一律にこうすべしということができるのかどうか、そのあたりが問題になるわけでございます。
 しかし、先ほど申し上げましたように、権利者が個別的にこの侵害に対して対症療法的に自己の権利を守っていくという、そういうレベルではないという認識をしておりますので、プロバイダーと権利者が協働的な関係を構築しまして、もっと一歩進んだ侵害コンテンツに対する対策措置、そういうものを検討していただくという仕組みを構築してもらうということを考えております。これは基本的にはガイドラインの見直しというようなところに入っていくんだろうと思われます。
 それから、この侵害対策措置に関係するわけでありますけれども、警告メールの送付の問題、そういったものも考えてもらうということでございます。この警告メールに関しましては、通信の秘密の問題ということがあるわけでございますけれども、一方において裁判を受ける権利というものが当然権利者にあるわけでありまして、この裁判を受ける権利と通信の秘密というもののバランスというのは当然あり得るわけでありまして、警告メールの送付というような仕組みを、先ほど申し上げましたような、そういう協働的な仕組みの中で考えていただけないかということでございます。
 それから、当然プロバイダーと個々の利用者との間には契約関係が存在するわけでありますから、悪質な利用者とか、何度も侵害行為を繰り返すような者との間では、サービスを停止するような、そういうことを当然できるだろうと思っているわけであります。
 したがいまして、そういうサービスを停止する旨の規約というものをプロバイダーの間で整理していただく、そしてそれを運用していただくという仕組みを考えてはどうかという方向でございます。
 それから、動画共有サイトでございますけれども、これも現在、既に一部にはやられておられたりするわけでありますけれども、そういう自主的なパトロールとか、そういう仕組みを先ほど申し上げましたような仕組みの中で、その協働関係の中で構築していただく、そういうことをお願いしたいと思っているわけでございます。
 それから、最後の発信者情報でございますけれども、これも今申し上げましたように、警告メールの送付という問題というのは通信の秘密との関係で問題があるだろうと思いますけれども、これについても個人の氏名・住所、そういうようなものからこのIPアドレス、タイムスタンプ、こういったようなものまで様々あるわけでございますので、これらについてもどういう運用の仕方をしていけば裁判を受ける権利というものがきちんと守られるのかという、そういう方向でのガイドラインの見直し、そういうことをやっていただければというふうにワーキンググループとしては考えているといいますか、方向性としてあるということでございます。
 およそワーキンググループの現在の認識状況、到達状況としては以上でございます。

○中村会長
 ありがとうございました。
 今の報告に関して、質問、コメント等ありますでしょうか。どうぞ。

○吉羽委員
 私は漫画の出版社が集まってできているデジタルコミック協議会というところの事務局長もやっているのですが、侵害対策はかなり大きな問題となっています。とりわけコミックのアップロードの問題ですが、そのサーバー、サイト運営者──ここでいうプロバイダーの一つに当たるのかと思うんですけれども──は、少なくともその場所を貸しているだけで、コンテンツはユーザーが勝手にあげているから私たちは全く関知しないというような態度で、警告メールを送ってもそういった回答しか戻ってこないんですね。
 文言を拝見したところですと、ちょっとそこら辺に対する、要するに割とプロバイダーが著作権など協働していただけるという前提なんですけど、かなり悪質な事業者がいることに対しての何らかの措置というのは考えられていらっしゃるのかどうかをお聞きしたいのですが。

○土肥WG座長
 確かに悪質なプロバイダーという問題は存在することについては認識しないわけではないんですけれども、要はネット上の大量な侵害状況を、どうすればより改善していけるかで、そのときに法的なところに踏み込むのが今なのか、あるいは、まずはそのプロバイダーと権利者との間のおっしゃるところの協働関係、そういう中でやれるところをまずやっていただいて、それで残るものがあればまた次のステップという、そういうことではないかと思っております。
 だから、そういう悪質な方々がどのぐらいいるのかということもあろうと思いますけれども、今我々が考えておるような、そういうガイドラインの見直し等がもし進んでいけば、相当程度は改善されるんではないかという認識でおりますが。

○川上委員
 悪質というのはどの程度をいいますか。多分悪質というのは国内を想定されていると思うんですけれども、海外の例えば動画系サイトに関して言えば、ほとんどコミュニケーションが不可能なところもたくさんあるわけなんですね。恐らく今までの例でいきますと、そういうところにユーザーが多分逃げるだけですので、こういったものをやるまでもなく効果は限定的になると思いますが。

○土肥WG座長
 おっしゃるとおりです。それはそのとおりでありまして、これは今の報告では申し上げなかったんですけれども、このワーキンググループの背景には、そのACTAの進捗状況というものもあるわけです。ACTAの進捗状況がどういうふうになるのか、つまり今おっしゃったようなそういう手が出せない領域というものを、ACTAができ上がっていくことによって各国がそれをそういう手が出せない状況をつくれない、そういう仕組みは先にあるんだろうと思うんですよ。だけどそれがない限りは、それはおっしゃるとおりで、外国にそういうものをやられた場合には、それはどうにもならないということですよね。これには裁判権が及ばないわけですから。

○川上委員
 というところで、あきらめてしまうわけなんですか。

○奈良参事官
 事務局の方から少し補足させていただきますけれども、まず外国の観点ていいますと、先ほど土井座長の方からお話があったとおり、ACTAの交渉を進めて、できるだけ加盟国を拡大していくという方法もあろうと思いますし、それからまた個別交渉の際にそういったことで強く働きかけていくということもあろうと思いますし、そういったことと同時にあわせてやっていかなといけないというふうに思っています。
 それから、国内の関係でございますけれども、このワーキングでは国内の法制度について議論したということでございまして、まずはその権利者とプロバイダーが協働して取り組んでいくということでございますけれども、その中には場合によっては外国のプロバイダー等も入って自主的な対策を進めていくという話もあるやに伺っておりますし、また、そういった取組が進めていければ少し改善するのではないかと。
 さらに、そういった進捗状況を見ながら、法改正ということも当然あわせて検討していく必要があろうかと思っております。

○中村会長
 他にありますか。

○川上委員
 多分そのためには、アクセス制限ですよね。そういった侵害サイトに対するアクセス制限をプロバイダーレベルでやるですとか、もしくは個人が侵害行為をやったことを検知して個人を処罰するみたいな、そちらの方向をやるしかないと思うんですよね。いずれにしてもそれは、検討すべき話だと思います。

○土肥WG座長
 そういうことになるのかもしれませんけれども、今の段階でワーキングチームに与えられている宿題・課題という点では、それは明日の取りまとめの先にまだ継続いたしますので、そういうようなことも射程の中に入ってくるのかもしれませんが、次の話だというふうに認識をしております。

○中村会長
 よろしゅうございますか。
 このあたりもまだご意見あろうかと思いますけれども、後ほど議論するデジタル化・インターネット化の促進の項のところでも、我々としてそこをどうまとめていくかというところで意見をいただければと思います。
 土肥座長におかれましては、これはとても難しくてデリケートな問題、皆さん承知のとおりですけれども、それをお願いしていて非常に恐縮でありますが、是非とも取りまとめに向けて作業をひとつよろしくお願いいたします。

○土肥WG座長
 どうもありがとうございます。そのように務めさせていただきます。

○中村会長
 どうぞ、よろしくお願いします。
 では、今の問題も含めまして、新たな知財計画骨子案に盛り込むべき事項について、前回に引き続き取りまとめに向けた議論を進めたいと思います。これはすんなりと済めば早く終了できるかもしれませんし、紛糾すれば延長という予定になります。
 まずは、前回の議論を踏まえて事務局に資料を修正してもらいましたので、説明をお願いいたします。

○奈良参事官
 それでは、ご説明させていただきます。
 まず、資料全体について簡単にご紹介させていただきたいと思います。
 資料2が、本日これからご議論いただく、骨子に盛り込むべき事項についての案でございます。
 それから、参考資料1でございますけれども前回、第4回における主な意見ということでまとめさせていただいております。1点目といたしまして、海外展開、特にファンドの創設、減税措置、あるいは外国と同等の制作支援が必要という観点。それから、2点目で人材育成、特に高等教育の観点、それから書籍分野、あるいはIPTVのデジタル化・ネットワーク化の問題、それから、あと知財特区をつくるというようなアイデアなど出ておりましたけれども、このあたりの意見を今回の案に盛り込んでいるところでございます。
 それから、参考資料2をご覧いただきたいと思いますけれども、これは前回ご指摘ございましたけれども、それぞれの項目に対応いたしまして、委員の皆様の主な発言を整理したものでございますので、適宜ご参照いただければというふうに思います。
 それから、参考資料3でございますけれども、これにつきましては、これまでの資料も含めてこれまでの資料を修正し、改めてご提出させていただいたものでございまして、例えば諸外国における状況等、現状を踏まえてまとめたものでございます。特に新たに加えたものといたしましては6ページをご覧いただきたいと思いますけれども、前回、大学についてのご議論がございましたので、幾つか事例を挙げたところでございます。1枚目が総合大学の例ということで、ご覧のような大学においてコンテンツに関する教育、あるいは研究が行われているというような事例でございます。
 それから、7ページの方にまいりますと単科大学における事例ということでございまして、例えば東京藝大では大学院に「映像研究科」が設置されている、あるは杉山委員が学長を務められておられるデジタルハリウッドにおける総合的な人材育成、それから、京都精華大学に「マンガ学部」というものもあるということで、クリエーター、それからプロデューサー、研究者の育成を視野に入れたものが行われているというような状況がございます。
 それから、参考資料4でございますけれども、盛り込むべき事項の中には数値目標の指標例を記載しておりますけれども、その考え方を示す資料を改めて整理したものでございます。これにつきましては、後ほど資料を説明する際に、必要に応じてご説明をさせていただきたいというふうに思っております。
 それでは、資料2に戻っていただきたいと思いますけれども、前回までの議論を踏まえましてさらに修正をしたものでございまして、この調査会として知財推進計画の骨子に盛り込むべきというふうに考える事項を整理したものでございます。
 留意いたした点としましては、何をするかがわかるようにできるだけ具体的に記述したということ、それから、誰が主体となるのかわかるようにということで、特に主な担当省庁につきましても記載を加えたところでございます。
 まず、1ページ目のところでございますけれども、現状認識につきましては、大きく変更点はございませんけれども、伸長するアジア市場を取り込むための戦略、それから人材育成の基盤、それからデジタルネットワークの推進というものが大きな柱になっているところでございます。
 2ページ目でございますけれども、コンテンツは様々な分野の影響力があるということと、我が国の在り方も発信するものであるというような現状認識でございます。
 それから、3ページ目でございますけれども、まず1つ目の柱といたしまして海外展開の観点でございますけれども、これにつきましても大きく変わっているところではございませんけれども、成果イメージといたしましては、現行、経済波及効果を含めました1兆円という数字が2.5兆円になるというイメージで考えてはどうかということでございますけれども、アメリカの海外収入比率は、今は17%でございますけれども、これを目指して10%伸びるような形で2020年度の数字をイメージしたものでございます。
 4ページにまいりまして、具体的な海外展開の仕組みでございますけれども、ここにつきましては前回も非常に議論が出たところでございますけれども、海外展開資金を供給する仕組みというところでありますとか、あるいは流通経路の確保をするという点が盛り込まれているところでございます。
 それから、目標指標例といたしましては、日本が権利を有する、これは一部の権利を有するものを含みますけれども、積極的な役割を果たした映像コンテンツによる世界的ヒット、現在ほとんどない状態でございますけれども、その海外売り上げ50億円以上が2010年ごろには年間10本ぐらいになる、そういうようなことを目標にしてはどうかというふうに考えております。
 それから、(2)のところでは、これも前回ご意見が出ましたけれども、外国では当然のように行われておりますけれども、国際共同製作あるいは誘致のインセンティブとしての税制、あるいはその助成制度、こういったものについて盛り込んでいるところでございます。
 それから、5ページでございますけれども、世界に対し総合的に発信するという観点におきましては、特に海外からのユーザー招聘ということ、あるいはそれから海外における日本語教育充実、こういったことを通じまして裾野を拡大することが重要ではないかという意見がございましたので、その趣旨を盛り込んでございます。
 それから、(4)のところでは外交強化ということで、様々な諸外国におけるコンテンツ規制があるわけでございますけれども、こうした緩和を強く働きかけ実現するということを盛り込んでございます。
 次に、7ページでございます。2つ目の柱といたしまして、人材育成の観点でございます。ここについては特に4つ目の丸でございますけれども、特に国際的に通用する人材育成が重要だというご意見がございましたし、また、そのためには海外に派遣するということとあわせて海外から人材を受け入れる、この両面で進めていく必要があるというご意見がございましたので、その趣旨を盛り込んでございます。
 また、裾野を拡大する上で教育が重要だということがございますので、小中学生を対象とした教育、あるいは高等教育の充実、それから二次創作の環境整備ということを掲げてございます。
 それから、8ページにまいりまして、具体的な施策でございますけれども、(1)といたしましては、人材育成の観点では、やはり創作機会の創出が重要であるというお話がございました。特に新たに加えたのは、そのための新たなメディアのためのインフラ整備が重要であるということで、IPTVの普及支援でありますとか、クラウドコンピューティングの環境整備ということを加えてございます。
 それから、(2)でございますけれども、先ほどもご紹介いたしましたが、大学の強化ということで、社会人教育を含めた人材育成、そして研究開発機能を有したような中核的な役割を果たす大学、他分野ではCOEという言葉が使われておりますので、コンテンツ版COEとしておりますけれども、そうした拠点、国内外のクリエーターやその志望者の集まる拠点の形成を支援するということを掲げてございます。
 先ほど資料でお示ししましたように、幾つかの大学においてはこうした機能が育ちつつあるという状況でございますので、こういった機能をさらに充実させていくことが重要でないかというふうに考えております。
 それから、9ページでございますけれども、特に人材育成の観点で、海外への派遣を通じたネットワーク、それからアニメの制作工程の高度化を通じた人材育成、それから受け入れでございますけれども、日本語研修も含めた受入体制ということを記述としてございます。
 それから、(3)でございますけれども、裾野を拡大するという観点で今回つけ加えているのは、一流クリエーターによる学校訪問、あるいはそのコミュニケーションということで、学校教育の中におきます創造活動の機会、あるいは知財教育の充実ということを盛り込んでございます。
 それから、10ページは以上のとおりで、11ページにまいりまして、3点目の柱といたしまして、デジタル化・ネットワーク化の促進というところでございますけれども、それにつきましては、まず(1)といたしまして、既存のメディアも重要ですが、新しいメディアをつくることが重要だという意見がございましたので、まずそれを最初に書いてございますけれども、特に今回加えたのはコンテンツに係る知財特区を設けて、新しい技術、サービスを試行する国際的な場を創出するということを盛り込んでございます。
 例えば、当該区域内のメディアに公表を限定した上で、実験的な二次創作が行われる、そういった実証的なプロジェクトが行われる拠点を設けてはどうかということを掲げてございます。
 それから、インフラ整備ということは先ほどと同じです。それから、通信・放送融合法制の関係では、新たなコンテンツを生み出すという観点で、電波資源の開放方針ということで積極的に電波を開放する、あるいはその電波を効果的・効率的に使うというような方針を策定するということを盛り込んでございます。
 それから、12ページの(2)でございますけれども、電子配信の観点では書籍の観点で、前回も標準企画の策定、あるいはビジネスモデル形成の支援が重要だという話がございましたので、その趣旨を盛り込んでございます。
 それから、13ページのところは特段大きな変更点というのはございません。
 それから、14ページ最後でございますけれども、著作権侵害コンテンツを大幅に減らすということでございまして、この点につきましては総合的な対策が必要ということで、まず先ほどもお話ししましたけれども、海外対策ということで条約の拡大、あるいは二国間協議の場、それから正規配信のビジネスの仕組みというものも重要だというふうに考えております。
 それから、国内対策といたしまして、先ほど出ましたけれどもアクセスコントロールの回避行為、それから回避機器についての規制の強化という点。
 それから、15ページにまいりまして、プロバイダーの関係では新たな対策措置を図る実効的な仕組みというものを構築する。あわせて、その制度改正の必要性について検討するということを書き加えてございます。
 それから、そのところの一番下では、警察による効果的な取り締まりということがまず重要でございますので、それを掲げてございます。
 それから、最後(5)といたしましては、デジタル化・ネットワーク化時代に対応させた制度の整備ということで、保護期間、補償金制度の在り方も含めましてデジタル化・ネットワーク化に対応した著作権制度上の課題につきまして、順次検討を行うということを盛り込んでおります。
 以上でございますけれども、先生方のご意見はできるだけ盛り込ませていただいたつもりですが、さらにどのような施策を盛り込んだらいいか、このような整理でよろしいかどうか、ご意見をご議論お願いしたいと思っております。
 以上です。

○中村会長
 どうもありがとうございました。
 確かに、皆さんから出た意見を丁寧に拾っていっていただけていると思います。これを取りまとめた結果を、総理をヘッドとする知財本部に報告するという流れかと思いますけれども、その取りまとめに当たりまして修正すべき点、加筆すべき点、削除すべき点などがありましたら、何なりとお出しいただければと思います。
 まずは、いつものとおり最初の1ポツの終わりぐらいまで、6ページ目あたりまででご意見等ありましたら、お教えください。どうぞ。

○川上委員
 5ページの(4)の外交強化によるアジア市場を拡大ですが、この中にドラマの規制とか外国製ゲーム機販売等、割合目に見えるものがこの対象になっているんですけれども、是非この範囲の中にネットサービスも対象に含めていただきたい。今、実際にコミュニティ系のサイトですとか、そういったものを中国で展開するというのは規制されているんですけれども、実際にこれはデジタルのコンテンツを外国で販売するときは、そのデジタルのコンテンツを販売するサイトが必要です。そこは短期サイトがあればいいというものではなくて、人が集まるサイトである必要があって、コミュニティサイトというのがやっぱり世界中にこれからの基盤になるんですね。
 先ごろグーグルのトラフィックをフェースブックが抜いたという報道がありますけれども、今後のネットの主力というのはコミュニティサイトで、そのコミュニティサイトを制するところというのがインターネットのトラフィックを制する時代になりますから、そこの分の開放が行われるように、是非そこは盛り込んでいただきたいというふうに思います。

○中村会長
 コミュニティサイトに対する何か規制みたいなのがあるんですか。

○川上委員
 そうですね、はい。

○中村会長
 出資規制ですね。

○川上委員
 はい。それと、そもそも免許が必要だったりとか。

○中村会長
 そうですね。そのあたり事務局はどうでしょう。何か言葉の工夫をして盛り込めるところですかね。
他にいかがでしょう。

○大多委員
 この中で(1)の一番最初に出てくるファンドというのが、何度もここでお話しになっていますけれども、これまでにちょっとどういうファンドの議論か、この会の以前にもあったのかもしれませんが、これはファンドの具体的な規模とか、どんな組織をつくって、どういうものにそのファンドのお金を投資していくのかというのが、もう少し書かれた方がいいのではないかなというふうに思います。金額までは難しいのかもしれませんけれども、ある規模観みたいなのがないとどうなんだろうなと。多分映画、今日は角川さんいらっしゃいませんけれども、映画にしてもテレビにしても、いろんなところでどういう供給を受けられるのかというのが、ちょっと抽象的かなという気もするんですが。

○中村会長
 確かに、コンテンツに係るファンドということになりますと民間でもいろいろあったりするわけですけれども、ここでこのようにファンドの迅速な設置と書いてあるということは、ある種、国の政策としてこういったファンドをつくっていきましょうという一種のあらわれですので、具体的な措置になってきます。このあたりに何か加えて説明をしていただけることはありますか。そして、ここにどのようにもう少し盛り込むかということなんですけども。

○奈良参事官
 これは具体的に、前回もご説明がありましたけれども、民間で50億、国から50億出資して集めようということを今目標に頑張って進めているところでございますけれど、これを受けて具体的にまた来年度、あるいは翌年度以降ということで具体的な予算措置ということを各省でしていくと。また、具体的にどういうものを対象にして、どのぐらいの規模を対象にしていくのかということも、やはりその制度設計の中であわせていくということなので、現時点で直ちに細かいことまでなかなか規定するということは、少し難しいかと思いますけれども、例えばこういうものを対象にしてほしいとかということがありましたら、そういうことを書くということはあり得るのかもしれません。

○大多委員
 要するに、一番最初の成果イメージというところに、かなり具体的な数字が書いてあるのですが、この各論になった瞬間にそれが書かれてないので、今、民間50、国50というのがあるならば、100億規模のファンドを短期でこうするというようなことがあった方がいいと僕は思いますが。

○中村会長
 ファンドの創設は早くていつ頃になりそうなんですか。ここでいう迅速というのは。

○奈良参事官
 本来でありますと、今年度中にも立ち上げるということを目標にやっていたわけでございますけれども、今の財政事情等がございましてなかなか進んでいないということがございまして、これは迅速にということで各省に是非やっていただくということをお願いしたいと思っています。

○別所委員
 僕は、1回目に出たときにも言ったのかもしれないんですけれども、たしか会長もおっしゃった言葉とは思うんですが、例えば僕も言ったように、新幹線を海外に売り出したいから、それをコンテンツとして国家戦略的に考えて何か映像コンテンツ、あるいはここで言っている、いわゆるコンテンツと言われているものの中に横ぐしで考えるというような、要は何を言いたいかというと、特定の企業とも絡んでまいりますし、優先順位をつけたりするのはなかなか難しいのかもしれないんですが、国において今、2020年までに何を海外発信したいコンテンツあるいは商品として、あるいは技術として、サービスとして考えるのかというような、実際にはそういうものが見え隠れしない、隠れないで、より明確に見えないと、この現状分析でおっしゃっている2ページ目のファッション、工業製品、教育といった14兆円の産業などに現状分析された後、3ページにもあわせて、コンテンツと観光とファッションといった他の分野を結びつけてというのは、これは総論では皆さん十分理解していることで、国家戦略的に今言っている知財本部が具体性を持って何に走るのかということが、この総論だけで見えるのかどうかが、僕のような人間だとそこまではわかっているんですよね。
 じゃ、その先何をするんですかということを、多分ジャーリストも言うでしょうし、具体的にそういう事業にかかわっている方々はもっといら立ちを覚えるでしょうし、そこに不公平感、アンフェアが生まれてはいけないと思うんですが、どの国も具体的にここに今力を入れるんだというのはあってしかるべきだと思うので、これが今回の骨子ではなくて次の段階なのかもしれないんですが、もう少しその辺が具体性を持ったものにならなければいけないのではないかと。
 それから、これもこの6ページ以降の人材にも関係してくることだと思いますが、今、大多さんもおっしゃったようなファンドのことであるとか税制のことなんかもそうなんですが、やはりこの議論に分科会でも別途にあるんでしょうが、ファイナンスの方がいらっしゃらないので、ごめんなさい、私が不勉強で、もしかしたらいるのかもしれないんですが、ファイナシングとか、要するにコンテンツ上のプロデューサーという言葉で表面的に上滑りしていますが、お金を考えたり、税制とともに具体的に海外の方と交渉する、あるいは受け入れてそれを具現化するという部分に関しては、総論以降どう展開されるのかが、やはりもう少し踏み込んだ形に見えてくるべきなのかなというふうに若干思ったので、この2点の、1点目の国のセールスポイントをきっちりもう一度整理するということが海外の方に理解をしていただくことでしょうし、ファイナンスの部分がもうちょっとプロデューサーという見地とともに整理されるといいかなと思いました。

○中村会長
 そのあたり、他にも何か、どなたかコメントないでしょうか。
 非常に本質なところなんですが、この骨子レベルになるとなかなかそこにめり張りつけて踏み込んでいくのが非常に難しいといいますか、特に、じゃあ今回はコア産業をこれに絞って走ろうというのは日本は非常に下手な国でもありますので、そうした中でも従来に比べたらかなりこれは事案として絞り込んであるとは思うんですけれども、さてここでどうめり張りをつけるのかというのも、我々に課せられている大きな宿題なんだろうなということも感じます。
 つまり戦略としてつくろうとすると総花的になりがちなところ、総花的でなくて絞ろうというのは、かなり会議のたてつけ方とかから考えなければいけない話になってきますので、どう折り合いをつけるかなと迷うところはあります。

○近藤局長
 今の成長戦略の中でどこに重点を置くかというのは、相当程度、今度5月末ぐらいにつくろうと言って、成長戦略の中で出てくると思います。昨年末に出た成長戦略の基本的考え方の中でも、すみません、数字を正確に覚えてないんですが、大目の数字をいうと、相当苦しい数字ですが、実質経済成長率で2%、名目成長率で3%を達成すると。それに向けて環境エネルギー、それから医療・福祉、もう一個何かあったな。すみません、何か忘れましたけど、何かそういうものを中心に成長を全体として考えようと、こういう大きな方向性を5月末ぐらいまでに出そうということです。
 その時に、その大きな成長戦略をつくる中で、知財の部分であったり、科学技術の部分であったり、ITの部分であったり、新産業起こしみたいなのがあったり、いろんなその議論が進んでいて、それが私どもでいうと、この場でいうと知的財産を中心に、そういうものがこんなことをやって、あんなことをやって、この中に入っていけば、その大きな成長戦略のカートリッジの中に入れば、こういうところに発展していくんじゃないかと、こういう議論ができるようなたてつけになっているんです。
 その成長戦略をどこにするかというのは、例えば今イメージしておられるのは新幹線の話だったり、原子力の話だったりだと思うのですが、そういうところを、どこをやるかというところは、この知財の本部ではなくて、恐らく成長戦略全体の中で議論をされるんではないかと思っていまして、成長戦略の議論が議事録に書くとなかなか難しいので言いにくいんですけど、余り進んでいないので見えにくい、わかりにくいかもしれませんけれども、いずれこういうものにつながってくると、こんなふうにご理解をいただいたら、そこの点はおわかりいただけるのではないでしょうか。
 もう一つは安全・安心だそうです。これは、最近はご承知のように安全・安心は、例えば農産品なんかの安全・安心もあって、中国で1個1,000円のリンゴが飛ぶように売れるんですね。日本の米が非常に高い値段で売れる。昔は米の輸出なんて絶対無理だと言っていたのが、そうじゃなくなっているんですね。こういったことも含めてちょっと見直そうという、3本目の柱に、こんなことを議論しているところであります。
 それから、ファイナンスの専門家のところの議論は、私たちもそれはかなり思っていまして、ただ、ファイナンスのところでどこまで何をどうやるかというところについてはまだ十分詰め切れていないので、これは、今の瞬間にお目にかけるのはちょっと自信がないのですが、もう少し将来的には考えなければいけない問題だと思っているので、この会合は、繰り返しになりますけれども、今日で終わるわけじゃなくて、まだ成長戦略もやりますし、それからこの知財戦略も今年で終わるわけではなくて、これからもずっといろいろありますから、継続してそのファイナンス問題のところは、もう少し勉強をしないといけないと私どもも思っているところでありますので、しっかりと宿題として受けとめながら考えていきたいと思っています。

○中村会長
 ありがとうございました。
 国としての成長戦略をどこに焦点を絞ってどうするかというのは、かなり政治判断も必要になってくると思いますが、我々としてはこういった、ここでもある程度絞り込んで、めり張りつけた政策メニューをつくって、お出ししてというところまでの責任は果たしたいと思います。
 それから、先ほどご指摘のあったプロデュースあるいはファイナンスというのは非常に重要だという指摘がありなから、余り深まっていないところでもあろうかと思いますので、引き続き大事な問題であるということを認識しながら続けていきたいと思います。
 他に海外展開のところでご意見ございますか。それ以外でも、述べていただいて結構です。

○久夛良木委員
 様々な数値目標であるとか、法整備ということを議論されているわけで、これは大変重要なことだと思うんですが、やっぱりコンテンツというのは国の文化そのものなので大事でありますし、それを強化しようということで、こういうふうに集まっておられるわけなんですね。しかし、これで一回決まったら解散して、それぞれの業界団体とか、それぞれのチームが個別に頑張る。これはわかるんですけれども、もしできることだったらコンテンツを担当する国としての総合プロデューサー、例えばそれが大臣であるかどうかはわかりませんが、相当の方が全体を引っ張って行く体制が欲しい。ぜひ我々と一緒に我が国を強力にプロデュースしてもらいたい。つまり、日本という国がコンテンツをプロデュースするというのは、やっぱり映画でもゲームにしても大事ですよね。そういった国としてのプロデューサーの導入を是非考えていただいて、もしいらっしゃるのでしたらば、そこを強化していただいて、そこが例えば予算とかいろんな法整備とかを含めた何かしらの交通整理をしていく。いろんな業界の方たちからいろんなご意見が出てくるじゃないですか。それを一つの形にまとめて上げていく。それぐらいの力のあるプロデューサーというのは是非とも必要だと思いますので、次回以降の議論になるかもしれませんが、是非とも国として1回議論したらあとはお任せします、という形にならないようにしていただきたい。我々は頼ってばかりいるわけじゃないんですね。プロデューサーの存在というのは、やっぱり必要であろうというふうに思います。

○中村会長
 それに関連してありますでしょうか、他に。

○杉山委員
 プロデューサーについては本当に大賛成で、ついこの間も文化庁からヒアリングを受けて同じようなことを調査しているんですね。それで、いつも思うんですけれども、結局、要するに文部省、経産省、総務省、外務省というのはいつも僕らの周りにいて、いろんな話をやっては、ばらばら、ばらばらしていて、多分調査だってどこかで1カ所きちんとやれば同じようなことを調査しているんだと思うんだけど、きっとそれもある意味税金の無駄だと思うし、何か横にくし差すというところがデジタルだったり、コンテンツだったりするので、その辺をもうちょっと国も考えてもらわないと、いつまでもこの省、この省という対応で、でも、大体ここにいる人たちはどの省にも呼ばれて、どの省でもいろんな意見を10年間とか言ってきたはずなので、そういうのがやっぱりコンテンツ庁じゃないんだけれども、何かこの人というような人がいてやった方が、全く無駄が無いじゃないというかと思います。

○中村会長
 今回の議論は成長戦略ということでしたので、私もその辺いろいろ強い問題意識があるんですけれども、それは議論しないできておりますが、中長期的な話題として、だからこの国のコンテンツ行政、コンテンツ政策の体制はどうあるべきかというのも大きな課題として、引き続き議論の対象になるんだろうと思っています。
 では、人材のところも、その他ネットワーク化のところも含めて結構ですので、自由にご意見をお出しいただければと思います。この取りまとめの修正意見でも結構ですし、今後の課題、頭出し、何でも結構です。

○杉山委員
 大学をやっているので、COEというところについてですが、アメリカではよく大学の研究機関の研究であるとか、それから、もしくはゲームメーカー内での研究であるとかというのが、もちろん産業に生きていくというところがあるんですね。ところが日本のこれまでの、例えば漫画であるとかゲームであるとかアニメーションというところは、本当に大学の研究とは何か全然リンクしてないというか、例えば電子立国の頃の話を言えば、東北大学に例えば半導体の開発の中心があるみたいな何か流れがあるわけですよね。それでメーカーもどんどん育っていくとか、常に日本というのは、ある程度大学の研究がメーカーなり何なりに落ちていくとか、研究者が入っていって物をつくるというのがあったのですが、コンテンツ産業というのは本当にそれが薄いんですね。多分、全然関係ないと思っている制作会社さんも当然あるのですが。
 ですから、僕は何を言いたいかというと、COEのときに当然こういうことをやって、研究もできるし人材もできたときに、だから産学でそれを使っていくというか、必ず何ならそういう制作会社込みで研究開発チームになってつくったものを、ある作品にちゃんと生かすとか、そういうことをしないと、日本のコンテンツ産業のところでいって例えば社内にちゃんとした研究開発チームを持つなんて、なかなか難しい会社の方が多いと思うんですね。なので、実際には大学が9つ挙がっていましたけれども、僕もいろいろ論文を読みますが、それなりにやっぱり現場に役立ちそうだとか、いろいろ研究は先生方がたくさんされていて、それぞればらけたいろんな学会に発表しているのですが、そういうものが実際の現場に生かされた例というのは、ほとんど僕はないと思うんですね。
 そこは、せっかくだから何か簡単に盛り込む。こういうことによって産学協同でやりなさいとか、一言書いてくれるとうれしいですね。

○中村会長
 大学との関係でいうと、結構じくじたるものがありますよね。

○杉山委員
 今までは、ないですよね。

○中村会長
 ええ。ヤフーにしろ、グーグルにしろ、スタンフォード大学から生まれてきていますし、フェースブックはハーバードの学生が生みましたし、ルーカスやスピルバーグがどこを出たとかという話題になるんですけれども、では例えば日本で、ファイナルファンタジーやドラクエは大学が生んだのかとか、ニコ動は大学が生んだのかとか、初音ミクは、大学は何かしたかと聞かれても、そういうものに絡んだケースがないというのが多分日本の現状だと思うんです。

○杉山委員
 そうですね。でも、みんな研究はやっているんですよ。でも、全然そういうつながりがないです。

○中村会長
 そこはどこに原因があって、どういう手を打てばよいと思われますか。大学がいけないんですかね。

○杉山委員
 例えばテレビ局という強いところ、割とお金があるところがあるけど、余り大学の研究を例えば積極的にフジテレビさんが生かしましたなんていう話は聞いたことないですよね。そういうところだと思いますが、でも実際にはいろいろ細かい研究があって、ゲーム会社もいろんな最先端な技術が必要なんだけれども、やっぱり大学の先生のアイデアがそのまま生きたとかというのは、ゼロとは言いませんけど本当に少ないから、その意識がないんだと思うんですね。日本のコンテンツ産業は、大学の研究を伝えるみたいな、自分たちで開発しなくてもよく探すといいものがあるかもしれないとか、協同研究しようとかという感覚がないです。

○中村会長
 これは会長の立場を離れて、今の感想なんですけれども、もう一つの調査会であります国際標準化競争力の専門調査会でも、私自身そちらの方では大学がプラットフォーム力をつけないと日本は競争力が高まらないという意見を言っていまして、それが一つの日本の大きな課題だと思っているんですね。つまり産・学、官も含めてもいいですけど、その増殖炉のような機能をアメリカの強い大学は果たしているのですが、日本はそれを果たせないできましたので。

○久夛良木委員
 この間も別の機会に意見を述べたんですが、日本で何でベンチャーがうまく立ち上がらないかという理由の一つに、機動的に一気に人材を集中させる、という仕組みがなかなか出てこないという環境がある。もちろん「知」ということに関しては大学にも相当なものがあると思いますが、やっぱり大学に限らずいろんなアイデアをお持ちの方がいて、そういった人たちが一気に、やっぱりここには理系の人、ここにはファイナンス系の人とか、様々な人材を機動的に集めベンチャーをつくって行こうとしている。シリコンバレーで何が起こっているかというと、大学の先生であったり、もしくは今まで他のベンチャーにいた方であったり、様々なネットワークの中で、例えばよし今度は「フェースブック」か、よし一気にやってみよう、というふうにみんなが有機的に集まってくるわけですよ。結局は大学からいろんな人たちが出て行って、また戻る仕組み、ここにすごい流動性ができている。
 ところが日本の大学の場合って、やっぱりカリキュラム主義なのかどうか、1つのテーマでずっと回っているんです。何年も何年も同じテーマでぐるぐる回っているので、中に閉じこもってしまい、ある意味でチャンスを失っている。つまり、大学としていろんな意味で「知」であるとか「人材」であるとかを供給していく、また新しいメディアの出現によりいろんなイノベーションが起これば、それらを取り入れてさらに新たな研究を深め実現していく、さらなる可能性を継続して追っていくという、これがうまく回っていないように思えるんですね。
 先程の「何が原因なのか?」ということに対する、これは私の意見ですが、国としてのプロデューサーの方が、文科省も他省庁も全部引っくるめて様々な働きかけをしていく。そして何かいい事例を見つけて推進していく、ということをやられると、いいと思います。

○別所委員
 それに関連しているかわからないんですけど、人材育成の話で、私たちの映画祭、実は僕たちが勉強して知っていたわけではなくて、向うからの飛び込みでスウェーデンの学生を映画祭のインターンシップで受け入れまして、その女性がうちの映画祭の中でオーガナイザーの一人として国際的に活躍するとか、それからもう一人ドイツの学生が来て、彼らがどうやって知ったかというと、やはりインターネットを通じて僕らの映画祭を知って入ってくるわけなんですが、その際にやはり国がバックアップしているんですね。彼らがいろいろな自分が求めた国で、1年間なら1年間、自由に財政的にバックアップを受けて、私たちは一切お金を出さないんですね。それで、例えばスウェーデンならスウェーデン大使館、ドイツの大使館が身元引受人というか保証人になって、現実に私たちのような映画祭の分野で活躍して、それを自分たちの知として、あるいはノウハウとして持ち帰り、自分たちの国の中での映画祭のデベロップメントであるとかコンテンツ開発において日本がこう動いていたとか、こういうことが見え隠れしたというようなことをまとめて論文にしたり、あるいは実際の実業というか、社会活動あるいは自分のプロデューサー活動というか、コンテンツ活動に動かしていくわけなんですが、ですから、もう議論がされているのかもしれませんが、国内の人材もそうですが、僕は常にいろいろな国々の人が自由に日本に集まって刺激を受けないと、この国は変わらないと思っていまして、これも黒船以来変わらないことで、実際自分たちで変わろうとする力もあると思うんですけど、刺激を受けて文化国家として変わってきたわけだから、もっとそういうところが国として、例えば逆に出て行くようなシステムを、バックアップが、既にあるのであれば私が知らないんですが、積極的なインターンシップ制度、あるいはそれを受け入れる企業の税制的あるいは助成金などの具体的なバックアップであるとか、細かい外国人登録に関する、そういったことが迅速にできるであるとか、そういったことでの人的交流がより活発に具体性を持ってできるような施策というか、方策がつくられたらいいなと思います。

○中村会長
 今の一連の話を少しまとめさせていただきますと、これを変えるという話ではないんですけれども、先ほど久夛良木さんからシリコンバレーの話が出まして、それがいわゆる私がさっき言ったプラットホームの姿なんですけれども、そういった場、いろんな人が集まって何かを生み出す新しい増殖炉のような機能を、アメリカの場合、大学がある程度担っているところもあるんですけれども、コンテンツの日本におけるそういった場や製作機会というものが人材育成のためには非常に重要であるということを、今回この中に盛り込んでいただきました。それも結構画期的なことだなと思っているんですけれども、そのための一つのアプローチが、先ほど杉山さんから指摘のありましたCOEのようなものだろうと思います。
 あるいは、そういった場というのは大学だけでなくて、日本はそういった大学の機能はこれまで弱かったということですので、他にもいろいろあるかもしれなくて、それが今、別所さんがおっしゃったような映画祭のような、そういったものが一つの場でもあるでしょうし、あるいはひょっとするとコミケのような、あるいはニコ動のようなコミュニティが日本における場なのかもしれない。
 そこで、最後に別所さんがおっしゃったように、日本に閉じているんじゃなくて、外から人を入れて刺激を受けるような場にすべきだとおっしゃいましたけれども、それが7ページの2ポツの一番上に、海外から人が集まる魅力的な本場とするということが今回書かれまして、そのために日本にいろんな仕組みを投じて外からどんどん人を呼んで来ようというのが、人材育成のトップにきているというのが、これまでなかったアプローチといいますか、少なくとも余りこれまで光が当たっていなかった政策だろうと思いますので、そういう意味ではある程度の方向性は出ているかなと思います。
 ただ、そこは非常に重要であって、短期的にすぐ効果が出るというわけじゃないので、結構引き続きやっていかなきゃいけない課題だろうと考えます。  他にいかがでしょうか。どうぞ。

○佐藤委員
 4ページ目の(2)の先ほども論議していた海外からの製作資金と共同制作、一番下の大型映画を誘致するために特に大都市における云々というところなんですけれども、多分、本件に関しては過去10年ずっと東京都も含め様々なところで論議され、ものによっては明文化されという経過があったと思います。もう少し踏み込んだような表現、例えば11ページ目のところで、コンテンツのための新たなメディアを創出するところで、知財特区という表現がありました。その特区を設けようじゃないかと。それは税制その他ということだけではなく、現実的に海外のロケーションの部隊が来たときに一番苦慮し、私たちも現場をつくるときに苦慮しているのが道路使用や撮影許可の問題です。日本ほど撮影をしづらい町は現実的にはない。特に東京。ロケーションサービスの様々な会社であったりとか、行政が様々なアプローチをしても、なかなか改善される目処がつかない、そのスピードが遅いと感じております。
 (2)の部分の表現と絡めてで、この知財特区という特区の部分の何かいいアイデアがないのかなということを思いました。本当に海外からの撮影隊を誘致するのであれば、具体的な現場のロケーション等に関しての何かスペシャルな特区というのは必要かと思います。
 もう先ほどまとめられた話ですが、論議を聞きながら思っていたことを、あともう一言だけ。
 産学協同という話がありましたが、松竹さんの京都撮影所と東宝さんの砧の撮影所とを拝見して思ったんですが、やはり場だと思います。その場というは現実的な空間で、例えば撮影所なら撮影所で実際のプロフェッショナルと、そのプロフェッショナルの技術をそこで学べるという、その学生たちが共有できるような空間ではないかと思います。
 そういった中では、産学協同というところで必ずどういうスペースにその場をつくろうかというときに、やはり資金提供も含めた行政の協力だったりが必要なのではないかというふうに思います。
 以上です。

○中村会長
 どうぞ。

○中山本部員
 今、知財特区という話が出たのですけれども、知財特区の意味がよくわからない。知財特区に関しては、道交法か何かの道路を使いやすくしてほしいという話はよく聞くんですけれども、それは知財でなくて道交法の問題ですね。知財の特区というのは、知財については一体何をするのか。ここでは著作権フリーという話ではないのですか。二次的な著作物を使いやすくするとか、そういう話じゃないのですね。

○奈良参事官
 ちょっとここは具体的な例ということで、あくまで例えばということで挙げさせていただきましたけれども、決して著作権フリーでやるということではなく、あくまでそれは、例えばその地区でしか見られない放送、聞けない放送だとか、あるいはそこでしか見られないような何か場を区切って、そこで権利者との協働のもとに、権利者と協力して、それで例えばこういう素材だったら自由に使っていいとか、そういうようなことを実証的なプロジェクトを公募してやるということも一つではないかなというふうに思って、例えばということで挙げておりましたけれども、決して著作権の問題に限らず、コンテンツという観点で言えば、先ほどおっしゃったような撮影に伴ういろんな困難な面というのがありますので、そういった面で考えていくというのも一つあろうかと思っております。

○中山本部員
 共同でやるなら、現行著作権法で全く問題はないので、要するに電波を利用して安くするとか、道路を利用しやすくするとか、そういう話ですね。

○奈良参事官
 そこでは、いわゆるどういうものをやるかというのは、まさにこれからご議論いただきたいというふうに思っておりますけれども、いろんなものが含まれると思いますし、当然その予算的なもので、例えば実証的にやるということであれば予算措置が必要になってくるというものも当然あろうかと思います。

○別所委員
 これも僕も全く同じ疑問を持ちまして、この資料をいただいたときに、事前に、ここでいう特区というのがどういう概念なのかがつかみづらかったのですが、従来でいう例えば知財特区と言われる世界だと、非常に地理的に、私の浅はかな知識ですと、例えば新潟県にそういう分野を具体的に与えるとかいうことで何か特典、特別な措置を与えるという意味合いだと思いますが、今回におけるデジタルコンテンツの成長戦略において、ある地域にその人たち、あるいは具体的にクリエーターがそこに集まらなければいけないというのも不思議な感覚を覚えたので、これをご発案というか、ご提案された方のもともとのイメージは何だったのかなというのは非常に好奇心を持ちました。
 逆に、概念的なことであるのであれば、僕からの提案はインターネッ上のサイバースペースにそういうエリアを設けて、そこに個人情報を登録して自分の身のありかを明らかにした人間は、日本人であろうが世界中の人間であろうが、日本のサイバースペース上の政府が公認する特区において、自由にコンテンツを活用し、自由な表現行動ができると。そこにおける言論の自由は確実に保護されていて、そこにおける性描写も、暴力描写も、あるいは政治的な発言も含めて保護されるんだというようなところにまで立ち入るようなサイバースペース上の特区であれば非常に理解するんですが、ここでおっしゃっている知財特区が、今までの旧来の政府が言っているような沖縄県をこうするとか、あるいは北海道だけをこうするという議論が当てはまるのかなというのが僕の疑問です。

○久夛良木委員
 私も同じ疑問だったんですけどね。今の議論をお聞きしていて、これは地理的な場所であるとか、今、別所委員がおっしゃったようにインターネット上の特区であるとか、いろいろ考えられると思うんですけれども、先ほど例えば産・官・学といったときの学校。学校って、シリコンバレーの例をとると、いろんなイノベーションはまず学校の研究室の中でまず起ったんですね。学校って若い子たちがたくさん集まっていて、それだけで、ある程度の母体があるわけです。分母が。この身近な学生たちを相手に学内でちょっとやってみるという様々な取組の中で、これはいいとか、これは使いにくいとか、ここはどういうふうに改良しようという試行錯誤が起こって、当然エキスパートも学内にたくさんいるので、それだったら僕たちがこういうのをつくってみようという、すごい短いループで目的とすることがいろいろやりやすいというのがあった。
 もう一つは、学校の中だけのイントラネットの存在。そこの中がある意味で特区になっていて、いろんな実験的な取組が可能になっている。それがオープンネットに出ていないがゆえに、まだビジネス上の問題とか法規制の問題というのは議論しなくても、様々な取組ができるというメリットもある。もし特区というようなアイデアがあるんでしたら、先ほどの大学の活性化というのも含めて、是非とも大学という中で、こういう試み、12ページでいうと、様々な実証的な創作プロジェクト、つまりいろんなカット・アンド・トライとか、いろんなチャレンジができるという意味では最適な場所だと思うので、ぜひやっていただきたいなというふうに思います。そこでうまくいけば、そのチームが何かしらのビジネスモデルであったり、コンプライアンスであったり、いろいろなものを考慮しながら実ビジネスに移行できる。つまり、大学から生徒も、場合によっては先生方も外に出て行くということができる。大学の先生方というのは、学生がどんどん入れかわっても、先生はずっと何十年も一緒なんです。例えば、数値目標にもし入れるとしたら、乱暴な話ですけど5%でも10%でもとにかく先生方を回していく。そうしないと、今の大学が固定化してしまうと思うんですよね。一つの提案なんですが、提案というかアイデアですね。是非皆さんに考えていただきたいと思います。

○大多委員
 特区の話につながるかどうかわかりませんけども、先ほど大学に関していろんなじくじたる思いがあるという発言もありましたけども、じゃ何で日本にスタンフォードみたいなものが生まれないのか。さっきも各大学のいろんな取組が違う資料で出ていました。やっていることはやっているんですよね。でも、なかなか人が出てこない。ただ、グーグルの創業者にしても、もちろんスピルバーグやルーカスにしても、みんな20代ですよね。20代にしてすごい、特にスピルバーグ、ルーカスというならば圧倒的な評価を得ている。もう20代の中盤になると、その世界を制覇するような才能が備わっている証拠だというふうに思うんですけども、なかなか今の学生たちも含めて、あんなことは日本では起きないというふうに、はなからあきらめてしまっている。
 じゃ、何かをつくりたいからと言ってテレビ局に就職して、苦しいADを何年間もやって、ディレクターになったころにはもう35でしたみたいな世界で、どうやって俺たちはスピルバーグやルーカスになれるんだというふうに思って、彼らはみんなわかっています。20代の前半にやっている圧倒的成功みたいなものを、特にネットの世界ではみんな見ているわけで、そうすると、やっぱり20代で表現できるような、学生が表現したいというふうに思ったこと、今も話にも出ていましたけれども、特区かどうかわかりませんが、それこそそういうものにファンドを生かしてあげる。国際的な対策というのもあるかもしれないけれども、若い才能が20代で伸びてこない限り、日本は多分、世界を制覇できないと思いますし、韓国なんかでも学生時代に優秀だった人間に、ばーんとお金を与えて映画をつくらせたりしていますけども、そういったような、やっぱり早いうちにその才能を開花させる場をやっぱり与えてあげるということに関して国がお金を出すというのはとてもいいことだというふうに思うので、それも一つの特区の構想の考え方かなというふうに思いました。

○杉山委員
 ちょっと二、三なんですけど、別所委員が言ってくださったサイバー特区に関しては、総務省さんの委託で僕たちサイバー特区の知的財産処理に関する検討というのをやって、3月に出すのですが、やっぱりそこで決められたセカンドライフみたいな中で、知財を持っていらっしゃる方と契約をして、特定のキャラクターを出していただいて二次創作物をつくるというのをやりました。物すごく小さな実験なんですけど、そのときに知的財産をどういうふうに守れるシステムを組み込めるかというようなことをやったんですね。それは一応、総務省さんのサイバー特区というのがありまして、ですからそういうのは確かにやれるんじゃないかなというふうに思います。ですから、実際の場所というより特定の、デジタルの世界というのは追跡可能なので、その中でそういうことを試してみるというのはできるんじゃないかと思います。
 それから、大学に関しては、さすがにご指摘のようなずっと同じ教授がいるというようなことがあるので、任期制というのがかなり広く今、文科省の方で進められていますので、入れかわっていくという感じとか、ずっと居座われないというような雰囲気にだんだんなってきております。現場の方を教授にして、現場のものをどんどん持ってくるというのは、教育ではやりやすいんですけれども、僕はもう一つは、多分、中村先生も同じことだと思うんですが、大学ででき上がったものをその現場の方というか、制作に使っていただくところは弱いんですよね。ですから、即戦力にしようとか、現場のことを知らせようと言えば、それは教員の方々に、まさに皆さんのような方にどんどんなっていただけると割と実際に起きていることの知識や技術の移転はできるんですけど、大学の立場というのは、本当は逆のものがあるわけですよね。大学ででき上がったものが外に出ていく、コンテンツはこっちが弱いんですね。

○川上委員
 知財特区の話が続いているんですが、今の話で何か、やはり権利許諾をしたものの二次創作をする実験の場という、とにかく実験の場ということでは理解をするんですが、何となく知財特区という名前って、何か知財特区をつくるとそこから経済が発展するようなイメージがありますね。それは何か違うんじゃないかなという。多分、先ほど言われた、例えばそこでは著作権侵害をしていい場というのであれば、多分インターネット全体が今は知財特区みたいなもんだから、ニコニコ動画があればいいんじゃないかみたいな、そんな感じもするわけですよ。その中にきれいな場所をつくっても、多分そこでユーザーが集まってくるということはないので、こういうのは実験として割り切って定義した方がいいんじゃないかなというふうに思います。

○中村会長
 はい、どうぞ。

○津村政務官
 知財特区を提案した少なくとも1人は私です。
 それで、今お話を聞いていてサイバー特区的なことの方が、実際には爆発的な効果を持つのかなという非常に刺激を受けたんですけれども、今言っていただいたように、そこにみんなが行きたくなるような象徴的な場所をつくるという意味もやっぱりあって、地理的、物理的という意味もあると思うんです。日本に行こうとか、沖縄に行こうとか、幕張に行こうでもどこでもいいんですけれども、何かそういう一つの聖地をつくるのに何か工夫はありませんかという問を、私は先週発したんですね。私は余りイメージがわかなかったものですから、例えば爆発物の規制とか、大型車の規制とか、映画をつくるときに、この地域だと、北海道でもいいんですけれども、北海道だったら火薬の何とか法とかは気にせずに、ドッカン、ドッカン映画は撮影してもいいよとか、何かそういう、ここだったらいいよみたいなエリアを幾つかでもいいですがつくると、大きな映画を北海道でどんどんみんながつくるようになるとか、これは非常に貧困な例なんですが、著作権でもいろんなパターンがあると思うんですが、土地の魅力ということも一つ視点かな。日本に人が来るという、コンテンツ人材を集めるとかいうこととも結びつけて考えたかったかというのがあります。

○中村会長
 特区の話を少し敷衍させていただきますと、先ほど最初にお話がありましたように撮影に関する特区ということもあるでしょうし、ここに書かれているような著作権に関して、これは著作権の法律、法規をどうこうして、そこを特例地的にしようということでは必ずしもなくて、ここは特区なんでちょっと何かやってみないという業界の了解を得やすくするような、そういった実験場にするということのイメージだろうと思います。
 そういうことでいうと、他にもこの中に書かれた施策でも特区に持ち込めるのはたくさんあると思うんですね。例えば、観光促進策というのもこの中に出てきます。あるいは小中学生によるコンテンツ創作のワークショップをやりましょうというのがあります。それを特区でやったら、こういうことができるよねということもあろうかと思います。
 また、ローカルメディアとしてのデジタルサイネージの整備というのがあるんですが、実は道路占用許可がネックになっていたりします。街角に電子看板を出すことの許可が非常に取りにくいとかということがあって、特区だったら取りやすくしてあげようというような措置も可能だと思いますし、また、この中でも電波開放というのが出てきますけれども、特区だったら特別あいているホワイトスペースを使わせることもできるという、そういった施策をいろいろと集中的にショールーム的にすることによって、そこが一種のテストベッドになって新しいものが生まれるということは設計できるかもしれません。シンボリックなものができるかもしれないというところで、実際に知財特区をやろうとすると、詳細設計をこれからやんなきゃいけなくなってくると思います。同時に、これはコンテンツの特区だけでも弱いかもしれなくて、もう一つの調査会でやっておりますような競争力とか、標準化、特許、研究開発、ものづくりに関する特区などの考え方とがっちゃんこして、このあたり何かやりましょうということだったら、うまく説明できるような気もするんですが、いずれにしても、特区というのはこういったイメージのものをというのをつくってから、呼びかけなければいけないわけですね。それで、手が挙がって採択するということになろうかと思います。
 実は、先ほど杉山さんがおっしゃったサイバー特区も、あるいは雑誌協会さんがサイバー特区でやっておられる配信実験とかありますよね。あるいは別途、電波を出しているユビキタス特区なんていうのもあるんですけど、あれも特区制度をつくって呼びかける際にはどれぐらい手が挙がるものかなということで、不安ながら行政側はやったんですけど、全国から手がわっと何百も挙がったりするわけですね。全然違うコンセプトや、アイデアや業界グループなどで挙がってきたりするのがあるので、そこから先は民間の知恵、民間の声を聞くということになってくるんだろうと思うんですけど、ひとまずここで問題なのは、こういった知財特区というのを前回も議論があって、頭出しを事務局にしていただいたんですけれども、結構これのコスト、目玉になって出ていく可能性は高いなんて思うんですが、それを、じゃ特区やりましょうということで残しておいてよいのかというのが、まず皆さんの了解を得なければいけないところだと思います。
 どうぞ。
○中山本部員
 お話はよくわかりました。知財特区という言葉がおかしいと思います。これだとコピーライトフリーとか、パテントフリーのイメージが、どうしても出てしまいますね。何かもっといい言葉を、難しくないような言葉をつくっていただければと思うのですけども。

○中村会長
 難しいですね。何だったら誤解を与えないですかね。コンテンツ特区でしょうか。

○佐藤本部員
 私もこの特区というのは、ある意味で実験場でなければいけないんだろうと思うんですね。他でできないことができるからこそ特区なんだろうと思うんで、そういう意味ではコンテンツビジネスなりコンテンツがより生まれやすい、またいろんな新しい取組ができる環境をどうやってここにつくるかということが、この特区構想の前提だろうと思うんですね。
 私は、前回言おうと思っていたんですけど、まさにここはバーチャルの世界の特区があって、そこでならばとにかく誰でも何でもできるみたいな、多分、中山委員はとても言えないんですけど、それこそ著作権侵害、何でもありと。ただし、そこでやった、その範囲内でだけはフリーだけど、一回外へ出てビジネスをやるときはちゃんと法律に従ってくださいみたいな、これは全くアイデアですけども、何かそういう本当に新しいことができる環境をどうやってつくるかということに対して、みんなで知恵を出さなきゃいけないというのがこの特区の問題だろうと思うんで、ここはみんなで知恵を出しながらつくっていくということが必要なんじゃないかというふうに思いますけど。

○別所委員
 非常に皆さんの話を聞いていて、知財特区のイメージがさらに膨らんだんですけど、要はこうとらえてもいいんでしょうか。私たちの映画祭でもよくあるのは、エルビスプレスリーの音楽を全く知らない、要するに著作権侵害だと考えずに純粋にこの曲からインスパイアされてショートフィルムをつくったと。私たちの映画祭に応募してくるんですが、これは海外の方です。アメリカ人ですけど、結果的にASCAPとかBMIという現地の、こちらでいうJASRACのような著作権管理団体がありまして、そちらとちゃんと音楽著作権をオールクリアしないままショートフィルムをつくったので、映画祭というある程度この非常にファジーな実験場の延長のような、エクステンションコードのような世界では表現ができるんですが、その先、商材としてコンテンツビジネスのサイドにそれを活用しようとすると、そこで歯どめがかかると。
 ですから、知財特区と今言われている世界が、インプットの部分で非常にフリーに自由に何でもできる。つまり、おっしゃったような爆発物をどかどか使って自由に製作できる場所が例えば日本の北海道にはあるから、世界中の人にどんどん使ってくださいと。それには自衛隊も協力するし、警察も協力するというような、具体性がある場所がある。それはインプット、製作サイドとしては非常におもしろいと思いますし、音楽著作権の部分でもこれはサイバー特区になるかもしれないんですが、そこで提供された音楽に関しては自由にインプットの段階では使っていいと、どのように切り刻んでもいいと、音楽事業者の方は怒るかもしれないんですが、そういった提供を受けて、ただ、アウトプット、そこから何か財を得ようとするときには一定のルールを、海外においても国内においても、そこからソース元をしっかりしてやっていくというような、そういうルールづくりなのかなと、今お話を聞いていてイメージしました。
 若干手前みそなんですが、私たちの映画祭は実は昨年から、いろいろな音楽事業者に音楽を提供いただいて、自由に一般のクリエーターがその音楽からインスパイアされたショートフィルムをつくっていいという仕組みをつくりました。実は谷口委員なんかにもご相談したこともあるんですけど、非常にこれは実はハードルが高くて、音楽著作者側からすれば自分のクリエートした音楽を勝手な映像に複合されること、複製されることはまかりならんと。自分のクリエーターの世界から逸脱するものだということですし、当然それはよくわかるんですね。僕もクリエーターですから、不思議なポルノ映画と一緒にされても困りますし、かといってクエンティン・タランティーノがつくれば性描写があっても芸術だという話になり、ですから、ここの微妙な議論の中でインプットのサイドがそのように特区化されて、自由にクリエーターができるのであれば、それは地理的などこか具体的な場所でもいいですし、ネット上でも非常に意味があることですし、日本がそれを率先してやれば活性化することだと思います。
 ただ、そのときお願いしたいのは、挑発的に言いますと鎖国的に日本国内の国民が参加できる特区と、海外の方も自由に入って来れる場所と、2カ所必要なのかなと思います。やはり私自身の経験上、海外からの具体的な刺激があって日本人は成長してきたと思いますし、海外との協力なしにはコンテンツ産業も具体的には発展をこの先しないと思っているので、マーケットも外でしょうし、知財が日本に蓄積されるという意味でも、海外の方がもっと自由に日本に来て、そういう試すことができるということがネット上でも具体的な地理的状況でもあるような政策はとってほしいなと思いました。

○中村会長
 特区のところは、いかがでしょうかね。

○佐藤委員
 先ほど、場という話をしましたけれども、実際の空間が必要だと思います。サイバー空間と同時に今、政務官からお話がありましたように、場が必要だと思います。現実的に外貨云々というところの海外からのコープロ(共同製作)等の目的もあったと思います。日本の映画がわざわざタイに出ていったりする。日本人の日本の空間の撮影にもかかわらず。なぜか。スペースの問題、法律の問題等々ということです。必要な航空機のシーンだったりとかが日本の撮影所のスペースがとれないからだったり、物理的な問題があります。海外の人たちも今、タイの撮影所などに、よく仕事を出しています。こういった仕事を日本で獲得していくというようなことには具体的な場と、それを特区として法制上の何かアドバンテージをいただければ十分チャンスがあるのではないかと思います。技術力等に関しても、そこでパッケージで成立していくということは可能ではないかと思います。是非そのサイバー空間というところだけではなく、具体的な場を、エリアがほしいと思いました。

○佐藤本部員
 ものづくりの方では、結構その産学連携それから地域連携というのが場があって、そこで進んできているんですね。その点に関しては先ほど来、産学連携に関してコンテンツの部分がなかなか進まないというお話があって、そういう意味ではものづくりの方からすると少し遅れていると思います。これをやはり、ものづくりの方の産学連携もうまくいっているかというと、必ずしもうまくいってないんですけれども、ただ、これは今までやってきた実績があるので、それをうまく批判的に改良して、このコンテンツにおいても産学連携の形を、是非インフラとしてつくっていくべきだろうというふうに思っています。
 それと、大学と現場との連携なんですが、ものづくりの方では、日本知財学会というのができてから雰囲気が変わりました。実際の実務や、それから企業の人、それから学者、それからいろんな人が一緒になって議論をする場ができたと。大体、毎回学会で、1年1回の学会だと大体1,000名ぐらいが来て、それで発表をすると。いろんな形の知財に関する、あらゆる立場でいろんな議論ができるという場があるという意味では、コンテンツに関しても本当に産学連携の交流を深めるという意味では、そういう場のつくり方も必要じゃないかというのが1点。
 それから、ものづくりに関しては各地方経産局単位に地域知財特区というのがあって、地域ごとにクラスターづくりというのを知財を中心として動いている。こういうのもコンテンツにおいて、地域においてコンテンツづくりという意味では、地域の都道府県、また経産局等と連携した形での地域展開という場をつくっていくというのも必要ではないかというふうに思っています。その中のワン・オブ・ゼムとして特区もありという形で、いわゆる実際にコンテンツをつくっていく今までと違った地域と連携、大学と連携みたいなインフラづくりを、もうちょっとこの点についても進められたらいかがかなというふうに思います。

○中村会長
 どうもありがとうございます。
 今回のこの議論は、大学機能を強化しましょうとか特区という、まだ点でしかなくといいますか、やっとそういった点の議論ができるようになったという感じが私はしていたんですけど、確かにコンテンツのクラスター論はないですね。これまでも余りコンテンツクラスターという単位で全国を見て、こういったクラスター論があるという、よく競争力とか知財の議論で出てくる話はあんまりなかったんじゃないでしょうかね。今後の面としてどういう産業構成群があって、つまりつくる人がいて、大学があって、ファイナンスがあって、プロデューサーがこういて、それが地域にこうあるという、そういう産業政策論としては余りなかったような気がするので、大きなテーマかもしれません。
 他に、残りの論点などについてはいかがでしょうか。どうぞ。

○川上委員
 この7ページの海外からの留学生1万人なんですけども、これの成果イメージについてなんですけれども、多分、目指すのは、この留学生たちが日本コンテンツのつくり方を覚えて、母国に帰って、母国のコンテンツ産業が強くなるというのを目標としているわけではないと思うんですよね。どちらかというと、日本のコンテンツ産業を盛り上げるためには、その留学生たちが日本でコンテンツの職を得て、そしてそこで日本で働いて、それこそ朝青龍のように何か活躍した人がモンゴルで日本コンテンツで人気があるみたいな、多分そういったことでイメージしているんだろうと思うんですね。ですから、留学生というところから一歩踏み出して、やっぱりその職が、活躍できる仕組みをつくるというところまで言及していただきたいなというふうに思います。

○三尾本部員
 コンテンツ分野の産学連携に関してなんですけれども、私は東京藝大の非常勤講師をやっていまして、そのときにアニメーションの山村教授とお話をしたことがあるんですが、大学の中で学生はかなりアニメーションについて高度ないろんな芸術的なものを求めて製作しているんだけれども、それと実際に売れるコンテンツというのは違う、ずれていると言っておりまして、学生としては非常に自分が追求したいものがあるんだけれども、なかなかそれが商品として売れないのでギャップが大きいと。なので、産学連携が進まないというのも、一つそれが発明であれば、いい発明であれば当然技術化されていきますので産学連携は進みやすいんですけれども、コンテンツの場合は、ユーザーというか、視聴者というか、お客さんに受けるというところが必要で、そこが少し芸術的なものとか、とても学校で勉強して研究していたものが、必ずしも売れるものにはつながっていかないという問題があると思うんですね。
 ただ、いいものがやっぱり日本のコンテンツとして世界に最終的には出ていってほしいですし、去年のアカデミー賞を取ったショートフィルムも非常に芸術性が高いものだと思いますので、その辺を、できればすぐ売れるという、すぐに商売に結びつくというような、今そういう状態で消費されてしまっているコンテンツというイメージがありますので、いいものを長い目で育てていってあげるという国の施策といいますか、ちょっとサポートしてあげるという姿勢も、一方では産学連携を進めるということもありますけれども、官も含めて支援するという視点も要るのかなというふうに思います。

○中山本部員
 留学生1万人、非常に結構な話だと思います。これは実はコンテンツに限らず、この知財戦略本部は前から知財に関する留学生を日本に呼ぶと言ってきたわけです。ただ、私は大学で留学生の世話を随分していましたけれども、これは一にも二にもお金です。まず、住居費、生活費がべらぼうに高いところへ来て、アルバイトで精一杯、あるいは、アルバイトができるのはいい方で、ある大学なんかみんなどこかの風俗へ行っちゃうとか、そういうところもあるわけですね。
 したがって、国が金をどのくらい出すかにかかっていると思う。私がドイツに留学したときは、非常にいい待遇を受けていました。それは、ちょっと日本では信じられないぐらい、ドイツから日本の給料よりも高いくらいの奨学金をもらっていました。それはフランスなども同じなんですね。したがって金を出すかどうか、これが決め手だと思います。

○大多委員
 今、学校で勉強していると、いわゆる芸術的なことでなかなか売れるものと乖離があると話がありましたけれども、僕なんかテレビ局から見ていると、学生なんかがつくってくるものが、例えば映画研究会とかいろいろあっても全く、例えばひとりよがりで、こんなものどうやってヒットさせるんだよというものばかりなんですね、言ってみれば。でも、これはある程度しょうがないと思っているんです。やっぱり、いわゆるお金を生んでいく、ビジネスするという視点でものをつくる、そういうのをつくってくれないと、幾ら学生が自分はこういうものをつくりたいのだと言われても、なかなかその才能がこっちのビジネスの方に回ってこないんですね。
 だから、別所さんなんかのショートフェスティバルでしたか、本当にああいうところの才能を僕らは率直に言ってちゃんと見てないなというのもあって、本当にビジネスでスピルバーグになりたんだという人をやっぱり見つけるような場が、さっきもちょっと特区で、ファンドでそこでお金をもっとそういう人たちに、才能にいろいろ与えた方がいいんじゃないかと思いましたけど、それが出てくると産学がもっといろんな意味で、こちらもそういう目線で見るようになりますし、学生もそういうふうに、杉山さんのところはどういう指導をされているか、僕はちょっと申しわけないんですがわかりませんけれども、やっぱり売れるものをつくるんだという、まずそこから入ってもらわないといけないものもあるんじゃないかなというふうに、聞いていてちょっと今思いました。

○杉山委員
 東京藝大は基本的にやはり芸術家のための学校なので、そこで売れるなんて考えちゃいけないと思うんですよね。何のために国が藝大をやっているかという話ですよね。アーチストというのは売れないかもしれないけど、そういうすごい作品を後世に残すということができるわけですから、それは国立で藝大をやっている意味です。
 僕らみたいに、私たちの大学はすべてをエンターテイメントにせよというスローガンでやっていますから、学生たちは多くの人に見てもらいたいと思って作品をつくりますね。全然それは立場が違うわけで、どっちがいいという問題ではないと思うんですね。
 僕が言っている産学というのは実はデジタルの世界ですから、海外では理系の研究がものすごくエンターテイメントに入っているわけですよ。それがないんですよね。それがもったいないと言っているわけです。もちろん人は育ちます、いろいろ学科が出てきたら、大体1学科あれば学年に1人や2人、どの大学でもかなりすごい子がいます。そういうのを拾っていただければそこはいいんですけど。そうじゃなくて、理科系のかなりおもしろいコンピュータサイエンスの中での研究というのが、もっとこういった世界に生かされるとおもしろいことが始まるんですね。理系がコンテンツ産業に貢献しているという流れは全くないですね。

○大多委員
 本当にそう思います。我々のところでも、何かつくる人間は、おまえは理系だからなと言って、だめだという烙印が押されやすいパターンがあります。まだこれはテレビが古いのかもしれませんけれども。でも、本当におっしゃるようにアメリカなんかのヒットメーカーというのは、大体そういうものに非常にたけた人じゃないとできないわけです。

○杉山委員
 そうですよ。監督でも、理系の人が多いんですよ。それから、理系の本当に、例えば流体力学みたいなのがあるからCGの波がうまくいったりするわけですから、ああいうところは例えば海軍の研究所にいた工学博士を持っている人が例えばピクサーとかに行って表現しているわけですよね。それはやっぱりやらないと、東工大とか東大で先生たちがいて、研究はあるんですけど、生かされた例がない。

○別所委員
 僕たちの映画祭の話で申しわけないんですけれども、エンターテイメントとアートという話はよく映画祭の中でも議論に出るんですが、山村さんにもアカデミー賞を取る以前からも私たち交流がありましたが、短編映画の映画祭というのはやっぱり新しい次の、マーケットインではなくて、今ある既存のヒットの法則にのっとって売れる売れないのルールの中ででき上がってくるものではない、次の、格好よく言えば映像産業の未来地図みたいなものを担う人たちの突拍子もない意見であるとか、突拍子もないコンテンツの技術との融合みたいなものが起こりやすい場所なんですね。
 ですから、僕自身も俳優としても魅せられているし、そこから実際にアカデミー賞にあがっていったジェイソン・ライトマン監督とか、「カンフー・パンダ」をつくった監督、マーク・オズボーンとか、いろんな監督が実際にハリウッドで評価を受け始めています。
 ですから、指標というのは2つあって、大衆的にエンターテイメントとしてマスに受けるというヒットの法則で言えば、僕たちの映画祭の中にあるもので言えば、例えば観客賞というのがあるんですけど、その観客賞で賞を取るものと、審査員が芸術的にこのショートフィルムは未来性を持って、誰も評価しなかったとしても評価すべきだと評価の視点と、2つ映画祭にはありまして、その2つが常に切磋琢磨するという環境が、こういう知財の政策をとるときに両方なければいけないのかなというふうには、今お話を聞いていて思いました。

○中村会長
 他に、いかがでしょうか。
 そろそろ取りまとめに入りますが、先ほど来、お出しいただいた意見のほとんどは、この中に吸収できると思います。1点、コンテンツに関する特区、知財特区について書き直しが必要だと思いますが、基本的な方向としてはコンテンツ特区という呼び方にしておいて、そのあたりが最終的に政府として、その競争力強化などとの調整の中でどのように扱われるかは政務三役にお任せするとして、そういう名称にしておいて、中身もバーチャル、リアル含め、また著作権だけではなくて撮影ですとか、教育とか全般にかかわるような施策なども読み込めるような、そういったものを設けようと、場を創出しようというような書き方にすればよろしいかと思います。
 他に、これを言っておかないとというのがありましたら。
 よろしゅうございますでしょうか。

○津村政務官
 すみません。1時間いなかったので確認したいだけなんですけども、私はやっぱり教育というか、次の世代につながることをということで、あるときに一流のクリエーターの方々が小中学校を回ったりとか、そういう接点をという話をさせていただいたことがあるんですが、今それは残っていますでしょうか。

○中村会長
 もちろん残っています。ご心配なく。

○津村政務官
 よかったです。ありがとうございます。

○中村会長
 是非ともそれも具体化を進め、例えば特区で最初にやっていただくとか、そういったやり方もあろうかと思いますし、それは具体化できると思いますし、さほどの財政支出も必要ではないと考えます。よろしゅうございますか。
 では、皆さんからたくさんのご意見をいただきまして、どうもありがとうございました。
 実は今日はしゃんしゃん会合で30分で終わるのではないかと思っていたのですけど、司会がまずいせいか、やっぱり結局白熱してしまいまして、積み残すところも出てきてしまいました。そうは言いながら、今日の議論において、取りまとめについて概ね意見の集約が図られたものと思いますと、これは毎回言っているんですけれども、今日の議論を踏まえて最終的な取りまとめをするわけですけれども、取りまとめに当たりましては事務局ともども皆さんと必要な調整を経た上で、会長である私に一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしゅうございますか。(拍手)
 ありがとうございました。
 では、必要な修正を行った上で、この調査会としての報告をまとめて、次回の知財本部に提出をすることといたします。
 ということで、この筋でまとまることになったわけですけれども、私は今回の資料2というのは従来とは違う政策の柱、海外、人材、それからネット流通という柱が立っておりますし、明確な政策の目標も立っておりますし、それから個別の施策で見ましてもファンドとか、それから外交強化やコンテンツ版COE、それから電波開放、そして最後に話題になりました特区という、結構従来になくめり張りのきいた施策が出てきたんではないかと感じておりまして、皆さんの意見を束ねたものでもありますし、事務局に調整していただいたものでもありますから、この場にお集まりいただいた皆さんのご努力の賜だと存じます。
 それから、このテーブル以外の、この場におられる皆さんを含めまして、ツイッターなどネットの上でもこのコンテンツの政策の議論を続けてきておりまして、そういったところからも生まれてきた成果だというふうに個人的には感じているところです。
 というところで、本日の会合はここらあたりにいたしたいと思いますけれども、最後に津村政務官からご挨拶をいただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○津村政務官
 中村会長初め皆様、本当にありがとうございました。
 昨年中はいろいろと成長戦略のまず基本方針をというところで、各論に入れない状態で100日間、予算編成に時間を費やしたものですから、年が明けてから本当に突貫工事といいますか、非常に密度濃く議論をいただいた、逆に言えば皆さんのお時間をたくさん集中的にいただいてしまったということだと思っています。
 ひとまずの区切りですので、率直なことを少し、余り長くならないようにお話ししたいと思うのですが、私どもは政権交代前は各種審議会、各種戦略本部に対してはある種の先入観といいますか、しゃんしゃんでやっているんじゃないかとか、言っているだけでなかなかやっていないじゃないかとか、本当に必要なのかみたいな形で、実際9月、10月はいろんな組織を解体しました。大きなものでは経済財政諮問会議に始まって、各種の会議を、選ばれていた方には本当に失礼だったこともたくさんあると思うんです。7月に就任されたばかりの方を政権交代という政治の都合で10月にやめていただくというのは随所で見られた現象で、非常に失礼なことも含めてたくさんありました。
 実際、そうは言っても知財だったり、ITだったり、科学技術だったり、私の担当する部分だけでもそういったものは、私たち政務三役やあるいは事務方は、非常に専門性が高いんですけれども、やはり連続性というところに縛られる面もあるので、外からの刺激をいただくというのにはこれは必要だという判断をようやく年末年始にかけて行い、いろんな人選も含めて少し時間をかけてさせていただいて、さあやってみるからには、私は平均して多分、半分ぎりぎり出れていないぐらいだと思うんですけれども、やはりお任せしきるんじゃなくて、毎回30分でも1時間でも参加をさせていただいて、私自身も恥をしのんでやはり発言させていただいてやっていくことで次につながるのかなというような、これは私の勝手な一つのやり方だったんですけれども、思いながら議論に参加させていただきました。
 率直な感想として、私が想像した以上に皆さん、それぞれのバックグラウンドを反映していただいているのはもちろんなんですが、そこを飛び越えて大所高所、ともすればそれぞれの立場を述べ合って最大公約数に終わるみたいなのは避けたかったんですけれども、それどころか最小公倍数ですか、実際の数より大きい広がりが生まれてきたのかなというふうな印象を持ちました。
 さらに、あえて申し上げれば、突貫作業だったので連日事務方の皆さんが本当に徹夜続きというか、連日連夜本当に努力していただいたことも皆さんの議論を支えてくれたのかなということも、政と官の関係をいろいろ言われておりますが、実感として持たせていただきました。
 そういう中で、ここからは2つあるんですけれども、やっぱり半ばバトンは政治の方に移っていくんだろうというふうに思います。そういう意味で、私たちが今までと違う知財戦略本部というものを本当につくっていくためには、ここからの私たちの実行力が問われるわけで、少しご紹介しますと、実は数日前に行われました競争力強化国際標準化専門調査会の方でも何人かの方は重なっていらっしゃるんですが、申し上げた、小さいけれども私としてはこだわっている工夫が3つありまして、1つは、今回のこの骨子案で目標設定は後で検証可能なものにしてください、これは数値目標が一番安易ですが、数値だけじゃなくても、やった、やらないというのが後でチェックできるような、マニフェストじゃありませんが逃げ場のない目標設定にしてくださいということを事務方にお願いして、今日の骨子案もかなりそれに近いものになっているというふうに思います。
 それから、もう一つは、政府がやれること。民間を促す場面も当然必要なんですけれども、省をたくさんとれればいいみたいな、そういうのも出てきますが、それ自体は私たちが省を決めるわけじゃないですから、最終的には間接的な目標にしかならないのであって、何省が何をやるというのを、何省というのをつけて書いていただいているのは、誰が何をやるかを明確にした、そういう意味でも、これは事務方の皆さんも含めた工夫だというふうに思っています。  それから、もう一つは、役所言葉によくある「何とか等を何とか等とし何とか等となる」みたいな「等」という字はとにかく全部取ってくださいと。今日、事務方からは高等学校の等だけは残しましたと半分冗談でご報告いただきましたけれども、とにかくいろんな逃げ方ができないものにして、ある意味じゃ私たちに明確な指示を出してください、そうしたら次は政治の方で私たちの役割になりますということです。
 最後に、これからのことで2つ申し上げますと、さはさりながら今回まとめますのは骨子でありますので、これから5月、6月の成長戦略の全体像に向けて、回数とかやり方はこれからちょっとご相談させていただきますけれども、今日が最後ではなくて、また皆さんのお知恵を借りる場面が頻度はともかくとして出てくると思っているんです。また改めてのお願いになりますけれども、そういう中でこの骨子案が本当に成長戦略に盛り込まれていくのか、変な形で丸まらないか、変な形でゆがまないか、そこを是非目を光らせていただきたいなというのが1つと、それからもう一つは、やはりこれは官民一体というか、多くの皆さんに理解されて、実際のプレイヤーの方たちが、よし、これだったら日本はまだまだ元気が出せるぞと、おれたちはその最前線でいけるんだと、政府もちゃんとわかっているというふうに自信を持っていろんなものをクリエートしていただくことが大事だと思いますので、そういう意味で皆さんはいろいろな場面で発信力のある方、お立場のある方ですので、是非ここでの議論を紹介していただきたい。こういうことを今、政府は考えていて、迷っている部分も含めてで結構なんですが、今、知財戦略、国の真ん中で何が起きているかを是非いろんな方に伝えていただいて、いろんな方を議論に巻き込んでいただきたいというふうに、この会議室で議論は閉じないということが非常に大事だと思いますので、是非これからもそういった意味でも力を貸していただければと思いました。
 少し長くなりましたけれども、本当にどうもありがとうございました。

○中村会長
 どうもありがとうございました。
 では、今後の予定について事務局からお願いします。

○奈良参事官
 4月以降もまたお力をお借りする場面があろうと思いますけれども、日程につきましてはまた調整いたしましてご連絡を差し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○中村会長
 どうぞよろしくお願いします。
 では、ここで閉会をいたします。
 今日はご多忙のところ、どうもありがとうございました。