知的財産戦略本部
次世代知財システム検討委員会(第3回)
議 事 録
日 時:平成27年12月22日(火)16:00〜18:00
場 所:中央合同庁舎4号館 1214特別会議室
出席者:
- 【委 員】
- 中村委員長、赤松委員、上野委員、亀井委員、喜連川委員、瀬尾委員、
田村委員、福井委員、水越委員、宮島委員、山口委員
- 【関係省庁】
- 文化庁著作権課 森課長
- 【事務局】
- 横尾局長、増田次長、磯谷次長、田川参事官、永山参事官、中野参事官補佐
- 開 会
- 新規ビジネス創出と知財制度
(1)大量の情報集積・活用型ビジネスと著作権制度
(2)自動集積されるデータベースの取扱い - その他
- 閉 会
○中村委員長 では、ただいまから「次世代知財システム検討委員会」第3回会合を開催いたします。
御多忙のところ、御参集いただきまして、ありがとうございます。
今日御出席いただいています委員の方は、座席表のとおりでございます さて、議事に先立ちまして、横尾事務局長から御挨拶をいただきたいと思います。
○横尾局長 皆様、引き続き御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
前回に続いて2つのテーマについて、前回の議論を踏まえて、より方向性を見出し得るような議論をさせていただければと思っております。
前者の、特にビッグデータビジネスを契機とするこれからの著作権を中心とする制度のあり方については、いろいろな解決策の論理的なバリエーションを呈した中で、多様性と柔軟性というのが一つキーワードとして、大きい方向性としては意見が重なり合う部分かと思っております。
なお、アメリカでも同様の議論がされていて、今年の6月に議会の著作権局で発表されたオーファンワークスとマスデジタリゼーションのレポート、特に後者のマスデジタリゼーションというものが関心としては極めて似ているのですけれども、いわゆるアメリカのフェアユースを前提に、それだけではカバーされないということで著作権局の提案は拡大集中許諾という、ある種のコンビネーションでありますので、そういう方向が海外でもいろいろと議論されているということだろうと思います。
このテーマについて、さらに具体的に方向性を少しでも出せればと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
あと、データベースについては、現行の制度ではなかなか対応が難しいという論点もあるかという気もしております。この点については、今日の後半部分で御議論いただきたいと思いますので、ぜひよろしくします。
○中村委員長 ありがとうございました。
では、議事に移ります。事務局から配付資料の確認をお願いします。
○中野参事官補佐 お手元に議事次第、座席表、名簿に続きまして、資料1「大量の情報集積・活用型ビジネスと著作権制度について」と、資料2としまして、「新しい産業の創出環境の形成に向けた制度等に関する検討状況について」という資料、資料3としまして、「自動集積されるデータベースの保護のあり方について」、最後に資料4として、今後のスケジュールをお配りさせていただいております。不足等がありましたら、事務局までお知らせください。
○中村委員長 よろしいでしょうか。
では、最初の議題です。「大量の情報集積・活用型ビジネスと著作権制度について」の議論です。
初めに、事務局から前回の議論を受けて整理した論点について説明をお願いします。
○永山参事官 それでは、資料1をごらんいただければと思います。資料1、本日の議論のメイン資料になります。
まず、1ページから3ページにかけてはこれまでの議論の整理ということで、前回までに委員の先生方からいただいた御意見を項目ごとに整理したものでございます。詳細な説明は省略いたしますが、1点だけ、2ページをご覧いただきますと、(5)の「権利制限規定の柔軟性について」ということで、※印で「意見が特に分かれた点」ということで、この点につきましては、委員の先生方の間に、括弧囲みでありますが、「柔軟性をより高める必要性に関する意見」、「柔軟性をより高めることに伴う懸念に関する意見」と幾つかの御意見があったということですが、意見が分かれた点というのは柔軟性を高める具体的な方策についての御意見かと思いますが、この点については多様な意見があったということで、その点だけ御紹介させていただきます。
続きまして、4ページ以降が本日の検討のための資料でございます。
4ページ、大きなU番が「検討事項」ということで、その中の1.問題意識の整理(案)というところでございます。
最初の◎は、これまでも御議論いただいた点ですが、デジタル・ネットワーク時代の新規ビジネスは、情報が保護されるものと保護されないものが混在しているということ、また、大量に処理されるということで事前に許諾を受けることは不可能という特徴があるということ。
2つ目の◎では、アメリカではフェアユース規定による対応、また、契約による対応の組み合わせにより対応してきたということ。
3つ目の◎の最後のところ、そういう諸外国の状況を踏まえまして、我が国としては著作権の権利制限や処理のあり方について多様な政策手段を組み合わせて、より著作物の利用の迅速化、効率化に資する仕組みを目指すことが必要ではないかという3点で問題意識を整理させていただいております。
2.が制度設計のあり方ということでございます。
(1)の「基本的考え方」で御議論いただいております次世代のシステム、特に著作権を中心としたシステムの基本的なイメージを整理しているところでございます。
5ページをご覧いただけますでしょうか。5ページの括弧で囲んでいる「デジタル・ネットワーク時代の著作権システムの構築の必要性」ということで、1つ目の◎にございますように、著作物の利用が多様化していく中で、政策手段についても多様なものを用意して、その中から適切なものを選択して柔軟な解決が図られる、そういうシステムを目指すことが必要ではないかということがございます。
多様性・柔軟性を内包した著作権システムの具体的な内容としては、そこの3つ、@にありますように、既存のツールの活用に加えて、拡大集中許諾など新しい制度も検討して、多様な政策ツールの組み合わせによって柔軟な対応を可能とするシステムを整備するということがございます。
また、個々のパーツについても、特に権利制限規定については柔軟性を確保した規定を新たに導入することがございます。
Bとして、分野ごとの集中管理の促進など、多様な対応を可能とする基盤を整備することなどが考えられるのではないかというふうに思っております。
最後の◎、これらの組み合わせによって、権利者、事業者、消費者、いずれもがメリットを享受できるようなウィン・ウィンの関係を目指していくべきではないかというように整理をさせていただいております。
(2)が柔軟性を確保した権利制限規定についてということでございます。
検討の方向性については、5ページから6ページにかかりますが、著作物の利用の特徴に着目して共通要素を抽出した上で柔軟性を確保された新たな規定を設けることが必要ではないかということ。柔軟性の検討に当たっては、海外との違いにも留意しつつ、一定の予見性のある制度を目指すことが必要ではないかというように整理をさせていただいております。
次は、検討の視点として3点を挙げております。@からBのような視点から新たな規定について検討してはどうかということでございます。
@が「許諾を求めることの容易さと契約実態との関係」ということで、「論点」にございますように、権利制限の検討に当たっては、民間での取引の成立可能性というものが判断要素になるのではないかということ。また、どのような場合に民間での取引が成立しにくいと考えるべきかが論点ではないかと考えております。
Aの「利用行為の性質・態様」でございますが、7ページの「論点」をご覧いただけますでしょうか。利用の性質という点では、これは第2回で御議論いただいておりましたように、著作物のデータ的な利用については何らかの権利制限が必要ではないかということがございます。
2つ目の括弧は、どのような利用行為を対象とするかという点についてですが、特に議論になるのは表示を伴う利用ということになろうかと思いますが、最初の矢印にありますように、新規ビジネスの創出促進という観点からは一定の自由度があることが望ましい、そういう御意見についてはどう考えるかということでございます。
2つ目の矢印は、他方で著作権者の利益を、不当な不利益にならないように何らかの限定が必要という御意見についてどう考えるかという点でございます。
また、3つ目の括弧、このようなことを考える際には現行の規定ぶりが参考になるのではないかということで、例として、最初の星マークで、既存の権利制限規定の中では、コンピューター内部での複製行為、また、表示についても情報の所在の紹介に必要な範囲での表示というのが認められている、そういうことが参考になるのではないかというように整理をさせていただいております。
Bが「利用行為の目的や社会的要請」ということで、ここは公益性、公共性をどう考えるかという視点でございます。
8ページの「論点」にございますが、公益性、公共性は、一番上の点線で囲っていることを、一応この場での整理というように前提として置いておりますが、その上で公益性については、新規ビジネスをどうするかという視点からは、この要件を必須要件としてしまうとなかなか対応が難しい部分、事業の対応性が排除されてしまうのではないか。また、公共性については、当然、私権の制限という観点から考慮要素にはなるわけですが、他方では新規ビジネスの創出の観点からネガティブに働くという面もあるのではないかと考えております。
また、誰がどのように公共性というものを判断するのかという問題もあるのではないかということでございます。
Aの段落ですが、公共性、公益性が認められる場合については、権利制限の程度を高める、そういうことで対応することも考えられるのではないかというふうに整理をさせていただいております。
9ページ以下が報酬つきの仕組みということで、「前提の整理」のところで、最初は民民の許諾関係に係る課題ということで、最初のポツですが、権利制限の対象とならない場合、原則的には民民の許諾により対応することになりますけれども、それ以下は集中許諾、集中管理だけでは対応は困難であるということを説明しております。時間の関係で詳細は省略いたします。
また、「報酬請求権付権利制限による対応と課題」というところについても、そういった制度を活用することよって円滑な解決が図られる。その一方で、これのみでは多様なケースに柔軟に対応していくことは難しいという内容を整理しているものでございます。
その上で、10ページ以下が本日御議論いただきたい点ということで、「検討の方向性」としては、より多様化していくニーズというものに適切に対応していくためには、報酬請求権付権利制限規定、また、集中管理という政策ツールについて適切に組み合わせていくとともに、もう一つの選択肢として拡大集中許諾制度についても検討を行うべきではないかというような方向性としてございます。
その上で「検討の視点」としては@からBですが、@では報酬請求権付権利制限や集中管理のあり方ということで、さまざまな政策ツール、それぞれの仕組みについてどのような考え方で使い分けていくことが適当かということでございます。
「A拡大集中許諾制度の可能性について」ということで、「論点」のほうにございますが、大量かつ網羅的に利用するサービスにおける利用の円滑化という観点から、そういった選択肢が存在するのではないかということがございます。
ただ、一方で問題点の指摘としては、委託されていない権利の行使を第三者が行うことの妥当性についてどう考えるかということとか、権利者が特定されていない著作物についてどう配分していくのかということ、そういう点を踏まえた上で、ニーズも念頭に置きながら導入可能性について検討していくことが必要ではないかということでございます。
最後になりますが、B分野ごとの集中管理の促進ということで、多様な仕組み、さまざまな政策ツールが実際に実効性を担保するためには、そういう集中管理の仕組みが基盤として重要であるということがございます。
11ページでは、そのためにはどのように促進していくのかということで、幾つかの例として、イギリスは、「参考」に載せておりますが、下線が引いてあるところで、教育分野の権利制限の中にライセンス契約により対応可能なところは権利制限規定に契約が優先するという規定を設けておりますが、この規定に限らず何らかの制度をてこにした集中管理を促進していくというやり方。また、民間の取組をこれまで以上に慫慂していく取組をしていくことが考えられるのではないかということで整理をさせていただいております。
事務局からの説明は以上です。どうぞよろしく御審議をお願いいたします。
○中村委員長 続いて、この論点について法所管の立場から検討を進めている文化庁から、これまでの検討状況について報告をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
○文化庁著作権課森課長 文化庁著作権課の森と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元の資料2をご覧いただければと思います。文化庁における検討状況について御説明をさせていただければと思います。
1ページ目、「文化庁におけるこれまでの著作権制度の見直し」とございますけれども、これまでさまざまな社会のニーズを踏まえて検討し、制度の見直しなどに取り組んでまいりました。その最近の例をお示ししていますけれども、真ん中にございますように、平成24年には利用目的や要件を一定程度包括的に定めた権利制限規定を導入したところでございます。
現在の検討状況については2ページ以降になりますけれども、「知的財産推進計画2015」においてインターネット時代の新規ビジネスの創出などのニーズを踏まえて、柔軟性の高い権利制限規定、あるいは円滑なライセンシング体制などについて検討するということが定められております。これを踏まえまして、文化庁では文化審議会著作権分科会の法制・基本問題小委員会で御審議をいただいております。
この中で小委員会の委員の先生方からは、実際の技術などの仕組みやニーズについてワーキングチームを設けて専門的に検討する必要があるのではないか。柔軟性の高い権利制限規定のあり方については、アメリカのフェアユースのようなものに限らず、さまざまな形があり得るので、そうした幅広い可能性を含めて権利制限規定のあり方を検討することが重要である。その際に方法論のほうから出発するのではなくて、まずはニーズをきちんと把握して検討を行うべきであるといった御指摘をいただいたところでございます。
こうしたことを受けまして、今年の6月に、この小委員会のもとにワーキングチームを設置して、ニーズの把握を行った上で検討を進めるとの方針が決定されたところでございます。
3ページに移っていただきまして、具体的にニーズの募集をどのように行ったかということをお示ししていますけれども、現在のニーズ、そして、将来想定されるニーズも含めて幅広く把握するためにニーズ募集を行ったものでございます。今年の7月、約3週間にわたりまして募集をいたしまして、企業、個人等から100件を超えるニーズが寄せられました。
これを踏まえて、4ページになりますが、小委員会にワーキングチームを設置いたしまして、新たな時代のニーズに的確に対応した権利制限規定やライセンシング体制等のあり方について検討を行うことといたしました。
「検討の状況」のところにございますように、これまで3回にわたってワーキングチームを開催し、ニーズを踏まえた御議論をいただいているところでございます。
5ページにお示ししていますのは、ワーキングチームにおける検討の進め方についてワーキングチームで御議論をいただき、決定された考え方をまとめたものでございます。
「検討の視点」のところにございますように、ニーズに基づいて権利制限など、さまざまな政策手段を検討するということでございますが、その検討に当たっては、寄せられたニーズについて、原則として書面で説明されている内容に基づいて優先順位をつけて検討を進めていく。その際には、これがポイントでございますけれども、現在具体的に特定されているニーズだけではなくて将来のニーズ、抽象的なニーズにも十分留意をしながら検討を進めるよう配慮するということが検討の視点として掲げられてございます。
具体的な検討の手順としましては、寄せられたニーズについて、ニーズの提出者が求めておられる課題の解決方法が、権利制限であるのかライセンシング体制であるのか等に基づいて分類・整理をいたします。その中でとりわけ権利制限規定の見直しによる対応が求められている課題については、3つの観点から分類・整理をいたします。1つ目はニーズの明確性、2つ目は権利制限による対応の正当化根拠の見通し、そして、3つ目は新産業創出の観点からの優先度という3つの観点から分類・整理をいたします。この際に、抽象的なニーズについてもそれが取りこぼされることがないように、@ニーズの明確性という観点からは、どのような類型のニーズであるのかその外延が明確であるかどうかという観点で判断をいたしますし、観点Aでございますが、正当化根拠という観点についても、そうした抽象的なニーズの全体についてどのような正当化根拠があるのかに照らして整理をするということでございます。
そして、整理された課題について適宜ヒアリングを行いながら検討を進め、ニーズが明確であり、正当化根拠の見通しもあるとされたものについて優先度を考慮しながら権利制限規定の対応の是非や規定のあり方について検討を進めるということでございます。
その際も、現在、そして、可能な限り将来のニーズを考慮し、規定の柔軟性の内容や程度を含めて最も望ましいと考えられる制度設計を検討していく、こうした考え方で検討を進めることとされているところでございます。
これまでの検討の状況でございますが、ニーズ募集で寄せられた課題について、5ページの検討の進め方に従って整理をした結果、権利制限関係の主な課題として整理されたものは、この6ページにあるとおりでございます。
1にございますような、優先的に検討すると整理された課題としては、ニーズも明確であり、権利制限規定の正当化根拠の見通しも相当程度説明され、優先度も高いというものでございますけれども、公衆がアクセス可能な情報の所在検索サービスの提供でありますとか、システムのバックエンドにおける情報の複製といった課題が示されています。
また、ニーズ提出者に追加的な説明を依頼し、その説明内容を踏まえて検討の要否や優先度を判断すると整理された課題として、サイバーフィジカルシステムにおける情報提供サービスのほか、ビッグデータ、パロディー関係、メディア変換サービス等に関連する課題がございます。
その他、その後順次検討する課題として、図書館関係の課題、さらに4.として、それ以外の課題として、必ずしもニーズ内容が十分明確でないため、さらなる説明が寄せられた場合に対応について検討すると整理された課題もございます。こうした整理を踏まえ、これまでワーキングチームでは、一番下に赤字で書いてございますように、1.の課題と、2.のうちのCPS(サイバーフィジカルシステム)関連の課題について関係者から御意見を聴取しながら優先的に検討を進めているところでございます。
これら優先的に検討を行っている課題の概要を簡単に御紹介させていただければと思います。
7ページにございますのが、公衆がアクセス可能な情報の所在検索サービスというものでございますけれども、「課題の概要」にございますように、ネット上の情報に限らず、広く公衆がアクセス可能な情報の所在を検索できるようなサービスの提供に当たって、バックエンドで情報を収集、蓄積したり、検索結果を提供する際の著作物の利用について著作権法上の課題があるということでございまして、ニーズ提出者からは、こういったサービスが権利制限規定の対象になるべきであるとする正当化根拠として、ここに○が3つ掲げられてございますけれども、お示しいただいているわけでございます。
具体的には、情報の探索手段の提供は、情報へのいわば道しるべの役割を果たすものであって、社会的意義があるということでございますとか、こうしたサービスに伴う著作物の利用は軽微であること、さらに、対象となる著作物が大量で、権利処理に伴う取引費用が過大であること等からライセンスによる対応が困難であること等が示されております。
ワーキングチームにおける委員からの主なコメントといたしましては、こうしたサービスについて、ネット上の検索エンジンに関する権利制限の趣旨は、ネット上の情報以外についても同様に当てはまるという御指摘でありますとか、検索結果の提供は道しるべを示しているのみであるという正当化根拠も考えられるという御指摘があり、その上で、検索結果の提供のために、どのような範囲、限度で公衆送信を行うことを想定しているのかといったことについて、さらに精査をする必要があるとの御指摘があるところでございます。
8ページは、2つ目の課題として、システムのバックエンドにおける情報の複製という課題でございまして、7ページでご覧いただいた情報検索に限らず、バックエンドにおける情報の収集、蓄積一般について、権利制限の対象とすることを求める御要望でございます。
正当化根拠や委員からの御指摘等については、先ほどの7ページとほぼ同様でございます。
それから、9ページ、3つ目の課題でございますけれども、これは今までご覧いただいたような課題よりもさらに広く、サイバーフィジカルシステムによる情報提供サービスというものでございまして、サイバーフィジカルシステムにおいては、著作物を含め実世界の既存の知識・情報を収集、蓄積し、その処理・解析によって付加価値のある新たな知識、情報を得て、それを出力するということが行われるわけでございますけれども、こうしたカテゴリーに入るようなビジネスが今後発展することが考えられる中で、このようなサービスを行うに当たっての著作権法上の課題について整理が必要であるという御指摘でございます。
具体の例として、機械翻訳であるとか教育支援、障害者支援等のさまざまなサービスが考えられるわけでございますけれども、権利制限の対象となる正当化根拠としては、著作物の収集・蓄積から処理・解析までの段階であれば、そのこと自体によって著作物の正規のビジネスとは衝突しないケースが多いということ。
また、出力に際しては、著作物の表現を利用者が享受する場合があり得るが、著作物の利用が軽微で著作権者の利益を不当に害するとは言えない場合もあり、サービスの性質上、公益的な観点から社会的な要請が高いと判断される出力が行われる場合も考えられること等が示されています。
ワーキングチームの委員からは、こうしたサービスの社会的な有用性については評価をしつつ、具体的に出力される著作物の範囲、権利制限による正当化根拠等についてはさらに精査をする必要があるとの御指摘がなされているところでございます。
最後10ページでございますけれども、今後の予定でございます。今年度ワーキングチームにおいては、今、ご覧いただいたような3つの課題を中心として権利制限による対応の是非等について優先的に検討してまいりたいと考えております。関係事業者から、こうしたサービスに係るニーズの外延を一定程度明らかにするために、さらに必要な情報を収集した上で、権利者からの意見を聴取し、検討を深めてまいりたいと考えてございます。
その上で、権利制限規定の具体的な制度設計について検討を行うわけでございますけれども、先ほど検討の進め方についてご覧いただきましたように、具体的に要望された特定されたニーズへの個別的な対応にとどまらず、現在、そして将来予想される関連するニーズも踏まえて、将来の変化に対応できるような適切な柔軟性を確保することにも留意しながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
以上、簡単でございますけれども、検討状況について御説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○中村委員長 ありがとうございました。
今、説明のありました事務局からの論点と文化庁での検討状況に関する説明について意見交換を行いたいと思いますが、この事務局の整理は、私から見ても非常に大胆な整理だと思うので、今日は、これを細かい点まで詰め切るのは少し難しいかなという気がしているのですが、大枠の方向性でこのような方向で我々が進んでよいのか、そうではないのかということについての、できるだけこれが前に進むという形におさまればよいなと思っております。よろしくお願いいたします。 進め方なのですが、この資料1は、大きく分けて3つになっているかと思います。と行き来すると混乱しそうな気もするので、3つに分けてコメント、質問をいただければと思うのですが、最初は4ページ目から5ページにかけての「(1)基本的考え方」のところ、総論です。こちらで5ページ目の真ん中あたりに「デジタル・ネットワーク時代の著作権システム構築の必要性」とありまして、要するに、これをやるのかということだろうと思います。ポイントが3つあって、拡大集中許諾などの新たな制度、2つ目の柔軟性を確保した規定、分野ごとの集中管理の促進といった方向で行うのかというのが1つ目です。
それから、2つ目が5ページの下のほうにあります「(2)適切な柔軟性を確保した権利制限規定について」、これは8ページにかけてポイントが3つ掲げられています。「許諾を求めることの容易さや契約実態との関係」が@、Aが「利用行為の性質・態様」、Bが「利用行為の目的や社会的要請」ということで、それぞれに論点を挙げていただいています。これが2つ目です。
それから、9ページ以降で「(3)報酬付の仕組みについて」とあります。これが「検討の視点」として10ページに3つあります。@が報酬請求権付権利制限や集中管理、Aが拡大集中許諾制度、Bが分野ごとの集中管理の促進とあります。そういったことについての視点・論点がよいのかということをコメントいただければと思います。
まず最初に、5ページまでの総論、基本的な考え方、あるいはこれまでの議論の整理のところで何かコメントがあれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
喜連川さん、お願いします。
○喜連川委員 前回は著作権のところで皆さんの御発表が長くて僕のところまで番が回ってこなかったので、早く言わないと権利が行使できないというのがよくわかりましたので、私は著作権法のたてつけに関しましては素人かもしれないのですけれども、前回の検証・評価・企画委員会でも申し上げたのですが、ここでビジネスがどうこうというようなことが書いてあるのですが、大学の一教官として考えますと、とにもかくにも最近の教育環境の中で、いわゆる論文のコピーといいますか、剽窃といいますか、こういったことが非常に大きな課題になっているわけです。これをiThenticateが大きなビジネスにして日本がビジネスにできないとかいうような、コピペルナーのような小さいものしかできないみたいな話もあるかもしれないですけれども、それ以前に、例えば学会が自らこういう行為をして、というよりも日本にとってシェイムなわけです、ある意味で今回の小保方問題というのは。こういうことは日本が率先してやらなければいけないのに、それをできない状況にいるということはどう考えてもおかしくて、ビジネスとかいう以前の問題ではないかというふうに感じまして、ここは先ほどの、文化庁資料の説明の中で御対応をいただけているのかどうか、日本の学会がそういうことを自らやろうとしたときにできるのかどうかというのを、教えていただけるとありがたいと思います。
○中村委員長 何かその辺りの話は出ていますか。
○文化庁著作権課森課長 今、御指摘をいただいた論文の剽窃への対応についても、広くニーズ募集をさせていただいた中で、そうしたことに関連する御要望も寄せられてきているところでございます。先ほどご覧いただきましたように、ワーキングチームでは新産業の創出環境の形成という知財計画の要請に応える観点から優先的に検討すべき課題を整理しておりますので、ビジネスに直結すると見込まれるものを優先的に議論していくことになっているわけでございますけれども、今、御指摘をいただいたような論文が他人のものを模倣しているかどうかを判別するサービスは、論文の情報も含めて広く情報を集めて、それとある論文の情報が一致しているのかどうかということを比較して、その結果を出力するというサービスですので、先ほどご紹介した優先的に検討すると整理された課題に包含され得るものだろうと思いますので、ワーキングチームの中でそういったサービスも含めて議論をされていくことになるだろうというふうに思っております。
○喜連川委員 原則、これはすごく大きなビジネスになると思います。しかも、他言語の場合は非常に困るのです。つまり、英語で書かれた論文をうまく日本語にしてコピーするなんていうことがもはや起こっています。それから、セマンティクスといいますか、本当の字面ではないコピーの仕方だって幾らでもあります。ですから、これは非常に深い研究の対象になりますし、非常に深いビジネスモデルになります。
ですから、そういう意味では、先ほどおっしゃっていただいたようなビジネスの対象として御検討いただくのに十分な内容があるのですけれども、それ以前に少なくとも大学の先生方がこういうことを研究すること自身が法的に許されていないということをまず何とかしてほしいなというのが私どもの切なる希望であるということです。
○中村委員長 ありがとうございました。
山口さん、お願いします。
○山口委員
私も、大学での研究・教育に関連して、このタイミングで私の意見を3点、述べさせていただければと思います。その前に、資料1、資料2を拝見しますと、こちらの事務局でも文化庁でも関係の調整にご苦労されているというのがよくわかります。このように丁寧にニーズを見て、それに基づいてしっかりした調整に取り組むというのは日本の制度づくりの強いところと思いますので、まずはこれに敬意を表します。その上で、先ほど中村先生からご説明いただいた3つに分けて議論するとすれば、その1つ目の総論と主には2つ目の権利制限の一般的な論点に結びつけながら、大学に関係するところの3点の私見として、第1点は今後の議論における大きな方向性、第2点はその理由となる背景事情、第3点は具体的な提案、について申し上げたいと思います。
第1点目は、最初に横尾事務局長がおっしゃったように、<大きな方向性>についてですが、今後の日本の次世代の知財システムを構想する上では、特にTPPとの関係を考えますと、権利保護のハーモナイゼーションというのは、国際的なレベルでは、国内の利害調整とはまた違ったところでどんどん進んでいきますので、とりわけ著作権の文脈での議論の今後の大きな方向性として言えば、権利<保護>のハーモナイゼーションとともに権利<制限>のハーモナイゼーションをセットとして考えていただきたいと思います。
といいますのも、今回の資料を拝見しても、例えばビッグデータやネットビジネス等の新しい技術に関する論点が出てきますけれども、もし、今後、例えばTPPの関係で権利保護のハーモナイゼーションに伴い、個別分野の中でネットやビッグデータに直接かかわらないところでも権利の保護期間が延長される上に非親告罪化によって広範に影響が出てくるとなった場合には、そうした権利保護のハーモナイゼーションの影響に何らかの形での権利制限のハーモナイゼーションで対応するといった、いわば両面作戦での方向性を積極的に考える必要があると思います。
第2点目は、そうした大きな方向性での議論を支える、具体的な<理由となる背景事情>で、ここでは少し大学の現場の話をさせていただければと思います。私は、所属する大学院が文系・理系の両方をカバーする極めて学際的な組織であり、また、今年度は、五神総長を総長補佐として末端でサポートしていますところ、先日、総合科学技術・イノベーション会議の第5期科学技術基本計画が出ましたように、政府の方針の下で、大学がグローバルに競争してイノベーションの拠点になることを目指すという時に、そのプロセスをきちんと支えるための制度づくりを、次世代の知財システムを構想するといった大きな話をすべく設定されたこの議論の場で、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
より具体的に言いますと、私の専門は情報法で、学内で文系・理系の別を問わず、さまざまな法的課題に関する相談を受けるのですが、大学では文系でも理系でも先端的な研究・教育を進めているところはビジネスのシーズ――つまり、種ないし根源――になります。そうした中で、ビジネスのモデルや技術開発の発想が固まってこれは商売になるという見通しが立つ前段階の、いわば根っこのところで、ある程度は自由にイノベーティブないしクリエイティブな試行錯誤ができるような制度環境をつくっておかないと、これからの国際競争の舞台でどうやって日本の大学が戦って、世界中から優秀な人材を集めていくのか、という危惧を抱いています。そういう根っこのシーズのところをできるだけ自由にしておくからこそ、その次の段階で目に見える形でビジネスが生まれるという場面もありますので、さらにその先の段階で具体的なニーズをめぐる諸利益間の調整が重要であることは言うまでもありませんが、根っこにあるところをもう少し知財の制度面からもサポートするための知恵を出すことも必要になると思います。
そうした知恵を絞る際に考慮しておいていただきたい、ここ数年来の大学における研究・教育の現場に影響を与えている大きな波として、グローバライゼーション、そして、コンプライアンス、という2つがあると言えます。
その一つ目の、大学におけるグローバライゼーションについてですが、例えば、私の所属する大学院には、英語だけで修了できる修士・博士課程プログラムがあり、そこでは授業も論文指導も全て英語で行っており、世界中から学生や研究者が集まってきます。そうした研究・教育の現場において、特に学生に対してはもちろん入学時から、「違法」なことは許されないということは率先して倫理として教えています。ですから、例えば、明確に違法と判断できる日本の著作権法の下での違法ダウンロード事案への対応等については、相談を受けてもアドバイスをしやすいと言えます。ただ、難しい相談事例となるものとして、そもそも日本の著作権法における権利制限のリストは従来から例示列挙ではなく限定列挙と解釈されていますので、権利制限の個別規定の条文に明確には当てはまらない何らかの新しいもの・予測がつかないもの・慣行が確立されていないもの等について、ビジネスにもなりそうだけれどもこういうのを本学の研究・教育として進めてもいいですかとの旨の相談を受けると、大抵の場合、私はブレーキを踏む役回りになります。その理由として、日本の制度はフェアユース規定があるアメリカとは違うところもありますから、などとして縷々説明することになりますが、例えば海外の研究者と一緒に本学において先端的分野での国際共同研究を行いたいという場合に、日本の制度はそもそもなぜそうなっているのかという根源的なロジックを聞かれると、説得的な回答を用意するのはなかなか苦慮します。
もう一つ目の、コンプライアンス関連の対応についても、近年、日本の国立大学では、基盤的研究のための予算が削減されていますから、競争的資金の獲得が必要になってきており、そこでさらにコンプライアンスが厳しく要請されることになります。そうした中で、日本の著作権法の権利制限の個別規定には明確に当てはまらないがゆえに、もしかしたら法令違反の可能性があるかもしれない何らかの新しいことについて本学の先生方でも学生でも共同研究等で行いたいという時に、訴訟のリスクも考えつつ大学全体でしかるべき対応を講じるとなると、通常の場合、諸事を前に進めることは難しくなります。
ですので、日本の大学は、ビジネスとは全く切り離された研究・教育のみを行っているわけではなく、近年のグローバライゼーションとコンプライアンスの波にさらされて、国際競争とイノベーションの潮流を睨みながら、ビジネスのシーズとして一定の役割を果たすべく世界に打って出ようとしているところでもありますので、そうした動きを知財の制度整備面でも後押しするような施策を、今後の大きな方向性として積極的に考えていただきたいと思います。以上が第2点目です。
第3点目に、<具体的な提案>についてですが、資料1と資料2を拝見する限りは、当初から予想されたことですけれども、アメリカ型のフェアユースを<そのまま>の形で日本の制度に取り入れるというのは私も難しいと思っていますし、そうした難しさは例えばイギリスでも同じような議論がされてきています。もちろん、アメリカ型のフェアユースそのままの輸入ではなくて、日本の現行法よりももう少し柔軟性の高い権利制限規定のあり方をいろいろと模索していく中で、それにプラスしたバリエーションとして、権利制限規定のみに限らず報酬請求権や拡大集中許諾等も組み合わせて議論していくのは望ましいことと思います。ただ、せめてこれだけでも早急に実現していただきたい具体的なご提案として、日本の現行著作権法の権利制限の個別規定が、全ての場合でなくともある一定の場合には、限定列挙ではなく、例示列挙として解釈することをバックアップするような制度づくりを、今後の議論の大きな方向性としてぜひ考えていただきたい。権利制限規定を例示列挙として解釈すると、その帰結が予測しにくくなり、また予見可能性の議論が出てきますけれども、新しい技術等に伴う問題が出る度に随時、個別規定の追加で対応することに加えて、たとえいわばバスケット・クローズを設けるのは難しいとしても、せめて、既存の個別規定を例示とすることによって新たに許容できる余地を押し広げていくことはできるはずです。
ちなみに、比較法的に見れば、日本の著作権法における権利制限規定は、いわばクローズド――つまり、閉じられた――リストの形になっています。これを全部オープンなリストにするというのではなく、その一部をオープンにすることは、考慮に値する選択肢になると思います。そのために、例えば今回の事務局資料1の6ページ以下の「@許諾を求めることの容易さや契約実態との関係」、「A利用行為の性質・態様」、「B利用行為の目的や社会的要請」をさしあたりの手がかりにして、現行法のクローズド・リストを例示列挙と解釈してその一部をオープンにすることを許容できるような大きな方向性での議論について、その具体的な形はむしろ文化庁の方でこれまでに丁寧かつ緻密に積み重ねられてきた解釈論に基づいてご検討いただければと思いますけれども、次世代の知財システムを検討する本委員会においても、グローバルな動きやビジネスの根っこのシーズも視野に入れながら、以上に申し上げた3点を考慮していただければと思います。
○中村委員長 今のお話ですと、総論はこれでいいではないかということだと思いますけれども、ほかにいかがでしょうか。
では、亀井さんと喜連川さん、お願いします。
○亀井委員 今の山口先生のお話を伺っておりまして、特に大学での研究開発の足かせといいましょうか、そういう問題があるという御指摘でしたが、これは企業も、先ほど競争的資金というお話がありましたが、企業が金銭的負担、あるいは人的負担をして、大学、非営利研究機関と一緒に研究させていただくケースというのはあまたあるわけでございますので、そういう中で、大学出身の方はオーケーだけれども企業出身の方はだめといったことが起こらない形での自由度を持った世界というものを実現できるようにお願いしたいと思います。
これは、ビジネスもその後続くということですので、その根っこにある企業内での研究開発、あるいは大学とのコラボレーションにおいて同様の目で見ていただくということだと思っております。
以上です。
○喜連川委員 例示とするということで、前回も検索エンジンのようなとか、類するとかというエクスパンションのことをつくるということを御説明いただいたと思うのですけれども、私は、あのようなものは何の役にも立たないと思っています。それはなぜかといいますと、我々がとりたいのは検索エンジンというビジネスそのものをとれなかったことが重要なのであって、一旦そこができた後にちょこちょこ周辺でビジネスをするのは、そもそも持続感はものすごく小さいのです。これはどういうことかというと、例示からかなり距離感の大きいものをとれるようなものにしてくれないと、少なくとも東京大学の工学部系はやっている気がしない。それがスタートアップの一番の根源のエネルギーだと思っていますので、意見を述べさせていただきました。
○中村委員長 では、福井さんと田村さん、お願いします。
○福井委員 私も、まず全体の方向性です。次世代ネットワーク時代の著作権システム構築の必要性に書いてある方向性、私も賛成であります。理由は、やはり従来の著作権制度を支えた状況とは社会、経済の状況が大きく変わってきたということにあります。大きく分けると3点です。
1点は、コンテンツが極めて多くなったこと、コンテンツ過剰の時代に入ったこと、2つ目、ステークホルダーが非常に増えたこと、そして、3つ目、利用が大変に多様になったことです。こうしたことから従来の希少な少数のコンテンツを少数のステークホルダー間で交渉によって利用許諾を得ていくという仕組みは、かなり機能不全を起こしているように思うのです。
そうすると、権利処理コストを下げてやるということをやらないと、国際的な競争にも、あるいは国内の豊かな文化の創出と人々のアクセスという点でも、どうしても残念なことになってしまう。日本がやらなくても、例えばアメリカ、ヨーロッパ、既にかなり進んでいるし、こういう意欲的な議論もしているのであれば、向こうのプラットフォームがやってしまいます。よって、やはり対応すべきということになります。そうすると方向としては、今言ったように、利用も多様、ステークホルダーも多様である以上は多様な手段の組み合わせという方向が正しいだろうと思います。
さて、もう一つだけ申し上げると、文化庁での検討状況についてです。大変勉強になりました。恐らくこれは将来の変化に対応できるような適切な柔軟性の確保ということを赤太ゴシックで書いていただいているぐらいですから、この心配はないとは思うのですけれども、過去、ニーズの把握ということをいたしますと、しばしばこれで困っているという話を集積して、では、それに対応する個別制限規定をつくって終わりということがあったかなという気がするのです。そういうことですと、既に山口先生や喜連川先生からも御指摘があったとおり、まず第1に、大きな動きを逃してしまいます。過去で言うと、検索エンジンの規定しかり、あるいは、提供に伴うサムネイルの規定しかり、大変遅れました。パロディーに関してはいまだに規定は入っていません。このこと自体は功罪あると思いますけれども、入っていないのは事実です。こういうことで、決して細かな制限規定をつくって終わりということにはならないとは思いますけれども、重ねてお願いをいたしたいというふうに思います。
もう一つの理由は、もう複雑過ぎて、日本の個別制限規定は、肝心の利用者に理解できないものになっているので、どんなに精緻で完成度が高くても関係者に理解できない規定には意味はないですね。ですから、この方向性は限界だというふうに思います。
ありがとうございました。
○中村委員長 では、田村さん。
○田村委員 田村です。
今日、文化庁さんと事務局の案と2つ出てきて、とてもよかったと思うのです。実は同じようなことを言っているようで全然違うというところが大変おもしろいところだったと思います。
特徴を申し上げますと、文化庁のほうは、今、福井先生からありました、とにかくニーズからスタートという、ニーズという言葉が大変強調されておりました。他方で昨今の情勢もかんがみて、赤字で抽象化と書いてあるところが大変頼もしく思った次第であります。
他方、事務局案は、完全に私から見る限りは逆でして、文化庁のほうで理論先行ではいけないという委員の意見があったのですが、どちらかというと理論先行というか、そちらから入って柔軟にいろいろと処理するということで、さらにもう一つ違いがあるのが、完全制限以外のメニューとして、拡張許諾制度、集中処理、報酬請求権等の幾つかの完全制限ではない場合の処理のようなメニューも提示しているというところが非常に対照的なようですね。いろいろと思ったことは、まず、文化庁に対しては、今の福井先生と同じような話になるのですが、強くニーズを要求しているために優先的に検討すべき課題とされたものは完全に制限してもよいかどうかというレベルでのかなり特定されたものが出てきています。ただ、今回、文化庁はとにかく赤字で抽象化とおっしゃっているので、ここの課題はそれをどのように抽象化するかというところなのではないかと思うのです。そこのところが、ニーズの把握も非常によく書かれていて、この3類型は大変いいと思うのですが、そこから先に次の段階のステップが、今回の案ではまだ出てきていない、あるいは、委員のコメントでもないような気がいたしました。
幾つか可能性があると思うのですが、少し注意しなければいけないのは、完全制限が適当かもしれない3類型を個別的に見て、そこから少し広げていこうという形では、恐らく3類型はかなり特定されていますので、単純に個別に広げていくのでは抽象化という赤字がうまくいかないような気がいたしました。一つの方策としては、この3類型の中から何か共通するものがあるのではないか、私は十分あるような気がしていますが、そこのところに着目して、つまり3類型個別ではなくて、3類型の中に通暁する何か抽象的な理論的なものを嗅ぎ取って広げていくというのが一つのあらわれかなと思っております。
そうすると、恐らく既に文化庁が2012年改正の前の2011年の報告書の時に提示したC類型というものが見えてくるような気がいたしました。
さらに、その上に大量処理というのが、今回はもしかするともう一つファクターが加わって少し具体化したものに、C類型はもう一回同じのでいかないということであれば、もう一つ先のニーズに合わせた大量処理というような抽象的なもう少し具体化したものが見えてくるのではないかという気もいたしました。
その上で、もう一つ申し上げたいのは、なぜ抽象化するかということに関して、ただ理論だけではなくて、もう一つニーズというところで、個別のニーズ、個別のニーズといって、時間のことを余り考えずに最終的に制限規定ができたらどうなるかというような観点からのニーズの検討が多いような気がしないでもありません。少なくとも本日頂いた資料では。ただ、議論の過程でウオッチしている限りは、委員の中から時々、上野先生などそういうことも指摘されているようなのですが、具体的には制限規定ができるまでのタイムラグ問題というのはビジネスにとっては大きな問題だと思います。先ほどからいろいろなお話があるように、国際的な競争でビジネスをやっていく上ではタイムラグ問題というのは無視できないという趣旨だというように各委員の意見を感じていたのですが、できればいいというものではなくて、なぜ抽象化するかというと、この3類型というのは、こうやって文化庁のほうで検討会をして、何年かたって法律に、2年、3年、あるいは検索エンジンなんて10年かかっているわけですけれども、そういったタイムラグが起きないような形での、そして、それで誰も困らないような形での完全制限規定というのがあり得るのではないかという観点から抽象化するのがよろしいのではないかというのが、文化庁案を見た私の感想です。
その上で、今回の事務局案との対比なのですけれども、もう一つ、どうしても文化庁案のほうでは個別のニーズからスタートして、しかもかなり具体的に出てきますから、完全制限で対応できるかどうかという議論をするのですが、その背後に幾つか落とされた課題の中、あるいは、そもそもこの課題の中に入っていないものも含めて、完全制限とまではいかない著作権者の権益も必要なのだけれども、かといって、著作権を完全に今の形のままでは著作権がうまくいかないものがあるとすると、私はあるように思っているのですけれども、その時に今回事務局が出したような、例えば報酬請求権化するとか、あるいは集中処理をする、そこまでは既に日本の制度もあるわけですから、そういった今までの日本の制度と同じような状況がないかということを踏まえて、完全制限以外の別のメニューで対処するやり方を考えたほうがいいのではないかという気がいたしますし、また、そこから先、さらに日本ではない制度ですけれども拡大集中許諾といったものも視野に入れて、例えば孤児著作物問題などに当たるという可能性もあるのではないかと思いますが、どうしてもニーズの具体的なのが入ったので、そこまでが入ってこないのがまた一つの文化庁さんの特徴だったかなという気がいたします。
その点、こちらの事務局の案は理屈のほうから入っていますので、そういったものはとらえきれている。もちろんこれは逆の問題もありまして、抽象的に言っているだけではなかなか立法は動かないわけですから、両者がすごく両極からスタートしているようでいて、お互い赤字の部分とかで折り合いをつけるようなところは十分あるような気がするので、歩み寄っていただくのが一番よろしいのではないかと思った次第です。
○中村委員長 ありがとうございます。
では、瀬尾さん、水越さん、お願いします。
○瀬尾委員 最初に、先ほど福井さんのおっしゃったように、非常に大量の著作物が出て、そして、その処理についても非常に困難になっていき、そして、創作者が多くなってくるというのは、まさにそのとおりで、現代の時代の問題点だと思います。
それについて処理することと同時にもう一つ私が考えているのは、過去のアナログ資産、コンテンツ資産というものを今のデジタルの時代に生きていない部分が大変多いということです。これはメディア変換なんかでも言われますけれども、メディア変換自体がいい、悪いではないけれども、過去のアナログコンテンツをいかに未来につなぐかということについても非常に広範かつ多岐なものであると思っています。
先ほどから、法律からどうしても入ってしまう傾向があるのではないかと思うのですけれども、そうではなくて、要は権利処理したいわけです。大量に権利処理できないものが権利処理できればいいわけです。権利処理するための制度をつくるわけだから、それは法律だけではなくて、ほかの制度や何かも組み合わせなければいけない、これは皆さんおっしゃっているとおりです。
前からグラデーションを持った多様な処理方法という話をしていますけれども、今、端々で皆さんも出ているけれども、単純に一番厳しい完全な権利制限、だけど、今度は報酬請求権つきの権利制限があるかもしれない。次には裁定という今の制度もあります。今度は、ここまでは今あるのだけれども、裁定の業務を一部民間委託して大量処理に合わせるという考え方もあるかもしれません。
もう一つは、この裁定から離れますが拡大集中処理というものもあるかもしれません。それから、集中処理があって、あとは一つずつの許諾というように、非常になだらかなグラデーション、たくさんの方法をきちんと整理して対応することで権利処理はできるようになると思っています。今の中で拡大集中処理と裁定の委託が行われていないというように思います。
もう一つは、先ほどからのビジネスの話でいくと、どんなに余裕を持たせても日本の企業の今のマインドというのはリスクテイクしないのです。それをつくったら誰がやるか。外資系の企業は慣れているからみんな使います。それで本当にいいのですか。そこはすごく言いたい。そこが、やはり予見性があるけれども、まだわからない程度のところだったらリスクテイクしてやるというベンチャー精神がないと、使えるのは外資企業ばかりになって、日本企業は逆に負けてしまうと思います。
ですから、まず予見性が完璧でないとやらないという日本の企業体質というものについては、やはり企業さんにもお考えいただくべきだと思っています。
あと、個別な話になりますけれども、もう一つは集中処理、いわゆる学会、教育の話ですが、教育の話については集中処理して、簡便かつ安易かつ比較的使いやすくするための集中処理は進めるべきですけれども、人文科学系の集中処理が全く進んでいない。これは、預ける体制がなければ、お金もなければ、事務局体制もないので、これについては強力に推し進めないと遅れてしまうし、行けないし、自然科学系だけではないと思いますし、一応、私の問題意識としては、これは喜連川さんのおっしゃっている部分とは違いますが、集中処理に関してはぜひ人文科学系をお願いしたいと思います。
もう一つ、軽微な利用については権利制限の対象になるといっていますけれども、軽微だけれども大量にあったら、そのアマウントとしての対価は膨大になります。複写なんかはまさにそういう話、非常に軽微だから権利制限をしていいのではないかというのは、冗談ではありません。何十億、世界でいったら何百億、それをいきなり権利制限してしまうというのはあり得ません。いろいろ例があって、これは権利制限的に扱って、その分野が非常に衰退した実例が幾つもあります。軽微という言葉が、1回の利用が軽微というのに係ってはおかしいということは申し上げておきたいと思います。
あと、拡大集中処理についてです。拡大集中処理が、通常は80%なり90%あるところが、残りの権利管理をしていないところがあたかも権利管理されているかのように許諾が出せるシステムだと私は理解しています。ただ、オーファンが多いところはカバー率が低いからオーファンが多いわけです。ということは、そこで使えないということは意味がありません。例えば、写真は90%オーファンですから、これをどうするのかという話になった時に、写真はどれぐらいカバーしていますか、30%ぐらいですね、それでは拡大集中処理は無理だというのでは、一番困ったところは、全く何もできない。
先ほど裁定業務の委託ということを、業務的移管とか委託とかいう考え方をお話ししましたけれども、そういう拡大集中処理と裁定の間にもう一つあるべきだと思っていますし、そういった手当てによってカバー率の低い分野をきちんとカバーしていくことで先ほどの膨大なものについては救い手があると思います。
最後に繰り返しますけれども、やはりこれは権利処理をして使えるようにするための仕組みをつくることであって、それは手段であって法的にどうこう担保してやることが目的ではない。そこをきちんと整理していかないと、いっぱいできたけれども、結局使えないというのではまたよくある話になってしまうので、きちんと前に進むべき利用の権利処理の制度を、今、ここで考えるのが次世代の処理だと思います。
○水越委員 水越です。
まず、総論について賛成か反対かというと賛成ということを表明したうえで、追加でコメントをさせていただきたいと思います。
著作物について多様性が増していますので、制度についても多様性があるべきだということなのですが、ただ今のコメントにもありましたように、制度だけが羅列されていても使えませんので、それぞれの制度に向く著作物とか、業界とか、その特徴を鑑みながら、これらの制度というものを整理していく必要があるのではないかと考えます。
2番目に、小さな論点ですけれども、先ほど外資系企業と日本企業の特徴として、リスクをとるかとらないという話がありましたけれども、これは学生の頃からの教育にもかかわることだと思います。やってはいけないことを学んで大きくなるというだけでは、大人になってから急にリスクをとりなさいと言われてもとれないわけです。例えばこういう契約をしたければこういう交渉をする、ということを学んだり、報酬請求権付権利制限やこれからの制度がいろいろある中で、こういうものは使ってみようとか、また、権利制限では新しいビジネスがつくれるのではないかと議論するなど、総合的にやる地合いがあって初めてリスクをとる社会になっていくと思います。大人から学生に至るまで鍛えるといいますか、対価を払うところは払う、交渉するところは交渉する、また、多種の制度についても理解を深めていくというような社会が必要ではないかと思います。
権利制限につきまして、論点整理6ページからのところですが、サポートする点としては、許諾を求めることの容易さということで、お金を払ってほしい、これが対価だというものが特定できている少量というものについて除外するという話は基本的には余りないと思いますので、事前に利用許諾を得られることは権利制限の正当化根拠の認定に当たって消極的に働くと考えます。
その後で、大量不特定の情報を網羅的に取り扱う場合と著作権のある情報とない情報が混在する場合の例が挙げられております。この点、やはり大量の情報を扱うことによって新しいビジネスとか、トランスフォーマティブなものなど、新しい価値が生まれるということが、デジタル社会でビッグデータ、大量の情報蓄積活用型ビジネスを考える時には重要な点だと思いますので、特定されていて利用許諾が得られるなら許諾を得るとして、大量のものを網羅的に扱っていて、かつ、それがBにあるような社会的意義があるということの組み合わせというのが要件として重要ではないかと思います。
これに対して、2番で、以前のC類型のようなもの、という話がありましたが、論点の1の「著作物に込められた『思想・感情』を探知することを目的とはしない利用」というところですが、基準が使いにくいかなと思います。例えば笑っている写真というものを集めて、この後議論する、AIにより大量に創られる新しいタイプの著作物の場面を考えるときに、コンテクストに応じて、こういう文脈ではこういう表現を使うとか、こういう時に笑った顔をしているとか、そういうことをデータとして使うときに、思想・感情を探知することを目的としない利用というように区別できるのかどうかに少し疑問を感じます。もちろん権利制限の条件を抑制的にすれば権利者にとって抑制的になるので安心だということもありますけれども、これからの使い方、コンテクストで大量の情報を処理していくと役に立つものが出来るかもしれない、という時代のルールの定め方は、従前検討したところを参考にしつつも、もう一度考えてみてもよいのではないかと思います。
3番目の公共性、社会的意義が重要という点は、前回も申し上げましたけれども、裁判制度や司法制度も現代化・改革していく中で、社会的意義が十分に司法の場で多様な意見を組み入れて提示できるような仕組みにしていくということが、両輪になるかと思います。 以上です。
○中村委員長 ありがとうございます。
先ほど来、5ページの下の(2)各論のところに入ってきておりますので、この権利制限規定、それから、9ページ以降の報酬付の仕組みについて議論を進めたいと思います。あと20分程度でここの掘り下げを少しできればと思いますが、どちらかというと、事務局の整理ではだめではないかというネガティブな突っ込みがあれば、そちらを優先してお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。疑問点でも結構です。
どうぞ、赤松さん。
○赤松委員 資料1の3ページ目の(7)なのですけれども、私、漫画協会の理事なのですけれども、理事会では、ちばてつや先生とか松本零士先生や、70代、80代という先生なのですけれども、次世代知財と言っただけで顔が曇るのですね。次世代の知財とかいうと、老人たちは不安だったり安心したりしたいみたいということがあって、ニーズとかビジネスというものとは別の話なのですけれども、3ページ目の(7)の「クリエーターへのメンタル的な配慮」は、今ここで話に出ているのは金の話とかビジネスの話が主なのですけれども、大げさに言うと、特に古い作品ですと適切な説明があって、創作者が安心できれば報酬さえ要らない場合もある。こういうシステム以前に安心を与えるとか、そういうのに今回この委員会では少し重点を置いてもらえるとすごく進みやすいし、我々も受け入れやすい、そこを言っておきたいと思っていたのです。それだけです。
○中村委員長 ありがとうございます。
宮島さん、お願いします。
○宮島委員 これまでの議論の整理というところで、おそらく私の申し上げた意見の一つが、柔軟性をより高めることに伴う懸念というように整理されているのですけれども、私自身は、柔軟性を高めるということに関しては反対はしていません。むしろ、今の時代が明らかに今の法律と合っていない部分や新しいクリエーターがいろいろな形で出てくるということは誰の目にも明らかですし、あとは国際的な競争が現存するのも事実ですので、それに対しては柔軟性というのは必要だと思うのですけれども、柔軟性を高めるということが、イコール、すぐに最後は司法に預けるアメリカ型のフェアユースではないだろうという意見だったつもりです。
つまり、アメリカ型のフェアユースを直結して入れるということに関しては、今のクリエーターの方々も含めて不安な人たちがいるのではないかと思います。その中で、今、クリエーターのお気持ちとおっしゃったのですけれども、実際問題として、私の仕事は、この前申し上げたように、自分がコンテンツを出す側にあることもたまにはありますけれども、どちらかというとコンテンツを報道とかいろいろな形で使うということも多いです。その中でかなり無駄だと思うのは、1回電話をすれば絶対オーケーだということはほぼ見込めるのに、許可をとりたい相手が捕まらなくてとにかく電話をし続けるというようなことはよくあります。ですから、今のまさにいろいろなビジネスに使いづらいとされていること、多分、コンテンツをつくった人たちはそれほど気にしていない場合や使われることに抵抗がない時でもそのプロセスに対してコストがかかることに関してはかなり自由にしていいと思います。
でも、一方で、ごく一部分かもしれないけれども、すごくコンテンツが大事で、本当に自分にとってそこが仕事そのものであるような方々のものもそれと同じように扱われてはいけないというのが、恐らく今の御意見とも共通すると思います。そこは法律上に書き込むのをどうすればいいかは私自身もわかりませんが、明らかに一部だけれどもそのコンテンツが本当に使われ方に気を使ってほしいものというのが存在すると思っていて、それが新たな法律の中できちんと守られるのかというところが一番大事かと思っております。恐らく権利者とされる方々も、何でもかんでも自分たちは使ってほしくないとか、厳しいルールをつくってほしいとか、そういうふうに思っているわけではなくて、適度に自分たちの思いが伝わる形で広く使ってもらう分にはそんなに抵抗感はないと思うのですけれども、自分たちが最後の砦として守りたいところがきちんと守られる制度になっているかどうかということをすごく気にしていると思っておりまして、一部ではあるかもしれないけれども、そういうクリエーターの方々の気持ちにもちゃんと応える法制度にすることが、逆に言うと日本がコンテンツを輸出する側として成長するという部分を生かす形にもなると思うので、そのあたりは大事に考えたいと思います。
○中村委員長 亀井さん、お願いします。
○亀井委員 先ほどの瀬尾委員のほうから、日本の企業はリスクをとれないだろうと断じられてしまいましたので反論させていただきたいと思います。
リスクをとるという言葉をどう理解されているかだと思いますけれども、現状の著作権法でいうと、明らかに真っ黒な侵害行為をしろとおっしゃるのは、それは無理な話である。柔軟性があって、個別に応じて適法であるか違法であるか出るところへ出て勝負してみようということがあるのであれば、リスクをとるということになると思います。現状の法は、残念ながらそうなっていません。もちろん、引用が非常に広く解されたりという裁判例はございますけれども、ことICTの利用に関しては細かい決めがたくさん置かれておりますけれども、なかなかそれにぴっちりはまるものというのは限定的になってきているということだろうと思います。
それから、5ページ以降のところで一言だけ申し上げますと、事務局の資料の8ページ、Bの中で、公益性、公共性という場合にはある程度明確になるので、Aの要件をより緩めた対応と、ここで言っているAは、6ページから続く中のAの要件だという理解ですけれども、まさにここに賛同いたします。
出力表示のところは、7ページの例では軽微な構成というところだけが例として挙げられておりますけれども、こういう例にとどまらず出力されるものというのは、公益性、公共性の観点から少し大きく表示するとか、あるいは、大量にとは言いませんけれども、必要な限度で表示するケースというものが十分に考えられると思いますので、ここは複合的に視点としてはあるのだろうと思います。
以上です。ありがとうございます。
○中村委員長 ありがとうございます。
田村さん、お願いします。
○田村委員 個別の点で、先ほど瀬尾委員から孤児著作物がとても多い分野では、なかなか拡大集中許諾が大多数の要件を満たさないという大変真っ当な御意見があったのですが、私の考えるところですと、なぜ大多数の代表する集中管理団体というような要件が入っているかというと、当然、市場においてモデルになっているような集中管理団体なので、それがモデルとして安定しているので、全く集中管理団体に託していない人たちに対しても押し及ぼしても特に問題がないと考えていたと思うのです。そう考えると、孤児著作物についてはおよそ取引が行われないので、そこのところは分母から除外して考えるというのもあり得るかというように思っています。
ともあれ、事務局の論点のところで、最後に今の点が拡大集中のところに書いていないので、何をもって大多数というかというか、要件なども非常に大事なところで、特に昔の拡張許諾の制度と違って、孤児著作物問題に当たろうとするからには要件も変容を迫られるのではないかと思っております。
以上です。
○中村委員長 福井さん、どうぞ。
○福井委員 先ほど赤松さん、あるいは宮島さんから御指摘があった、権利者の方に安心を持ってもらうような仕組みという視点はとても大事だと思うのです。やはり、法律として通せない議論をしても仕方ありませんので、そういう安心感を持ってもらえないと実際には難しくなってしまうと思うのです。
その意味でも、前回か、私も発言させていただいたけれども、今回のまとめの中にも入っている許諾の仕組みが現に存在している場合には権利制限を受けにくいというのは非常にいい知恵ではないかなというふうに改めて思います。やはり、不安だとおっしゃるからには、多分、許諾の仕組みというのは持っていらっしゃるケースが多いだろうし、また、そこまでおっしゃるのであれは整えるべきです。許諾の仕組みがない時には、これは市場が失敗していると言えるし、そういう時には権利制限がより発動されやすい、それだけで発動されるわけではないけれども、というようなことは考えてもいいのではないかと思います。これは宮島さんがおっしゃった、権利者がなかなか捕まらないという権利処理コストの問題にも直結することで、ここでの非常に大きな成果になるのではないかというふうに思いました。
それから、幾つかの制度を組み合わせるというのは、まさにアメリカ一辺倒ではない日本が出し得る大きな知恵だと思うので、この線を私は改めて強く支持します。それは瀬尾さんの先ほどのお話にもつながりますが、その時に、どういうものにどの部分を分担させるのかという話は、事務局も随分精緻に整理してくださって、改めて今伺っていて、こんな視点もあるかなと思った要素は3つありました。
1つは、その利用によって市場での目立った損失があるかどうかです。これはアメリカのフェアユースにも取り入れられている要素です。
2つ目、それが定型的な利用であるか、あるいは非定型的な利用であるのかです。定型的な利用であれば、例えば報酬請求権つきの個別の権利制限というのも構想しやすいでしょうけれども、非定型的なものでは難しいです。
それから、3つ目、申請したり、あるいは個別に許諾をしてお金を配分するというような、そういうまさに先ほど申し上げた許諾の仕組みとなじみやすいかどうかです。これは、ただ単に許諾をすることになじむかどうかだけではなくて、お金を現実に配分できるかという視点も大事だと思うのです。この3つ全部がネガティブに働く、市場での損失が少ない、非定型的である、個別の申請や配分はとてもではないけれども機能するとは思えないという場合には、より権利制限のほうになじみやすくなるだろうし、逆にどれかの要素がポジティブになると、それによって、今日出てきたほかのメニューによりなじみやすくなるかなと思います。
ありがとうございました。
○中村委員長 瀬尾さん、どうぞ。
○瀬尾委員 この前もお話ししましたけれども、今のように次世代のといった時に、皆さん、次世代にどんな利用があるかということをまず考えてしまうのだけれども、それはわからないから考える必要はないと思います。それがわかったら次世代のことは予見できてしまうわけだから、何が出てくるかわからないけれども制度を次世代に何が出てもいいようにしたいというのが今の考え方です。
そうすると、今のように権利処理の方法を多様化していって、これは裁判制度が浸透していない、また、イエス・ノーというのをはっきり言わない日本という文化に根差した、この国の制度としてはそれが適していると考えていますけれども、もう一つ、この前もお話ししましたけれども、著作権という最強の権利に全てを詰め込んでしまうこと自体、著作権の考え方が昔あったころとは全然違うのに全部著作権に入れてしまうから、よくあるのは、いっぱい使いたいというのと、著作権があるから守りたいという両方のクロスした思惑が、例えばプログラムとデータベースでもよく聞くのです。それというのは著作権として守るのではなくて、別のクリエイティブな創作物としてのものがあるのではないかと思うのです。
これは条約やいろいろな関係があってなかなか難しいかもしれないし、日本が勝手に言っても各国で認めてもらえないかもしれませんが、今の時代に必要なことは特許や意匠等の現在あるものと著作権、著作隣接権だけではない、もっと違う権利がデータベースでもプログラムでもこれから生まれてくるものにはあるべきなのではないかという考え方は今から考えておかないと、著作権という括りでは破綻しているし、著作権法の思想または感情を表現するもの、何らかの形でしているから入っているのですけれども、当初書かれたときに予定したものと全然違うわけですよね。それを無理やり入れるから今のように破綻するということについてはきちんと整理をして、まず、そもそも著作権のありようについてはぜひお考えいただいて、そこの部分をすぐ実現できなくても提言をしたらいいのではないかと強く思います。
○中村委員長 上野さん、お願いします。
○上野委員
今日のペーパーで取り上げられている問題については、私もこれまでいろいろな形で自分の考えを明らかにしてまいりましたし、このペーパーにも私の考えを取り入れていただいているところが少なくありません。特に、知的財産法の制度設計において権利の性質をどう設定するかということに関して実に多様な選択肢とバリエーションがある、という点は非常に重要な点だと思っております。
と申しますのも、かつての著作権法学におきましては、著作権とか知的財産権というと、とかく排他性のある物権と考えられがちだったからです。その後、中山信弘先生や田村先生等によって、インセンティブ論的な観点から、知的財産権というものは排他権や報酬請求権など政策的に設定できるものだという見解が有力になり、中山先生の「著作権パラダイム変換」論もその流れに属するものと言えます。
また、インセンティブ論とは別の立場からも、日本の著作権法には、排他権の対象になる場合と、権利制限によって無許諾無償の完全自由になる場合のどちらか両極というオール・オア・ナッシングの規定が多過ぎることを指摘した上で、保護と利用のバランスをとるために権利制限&補償金請求権など、さまざまな権利の性質が柔軟に活用されるべきではないかという主張が、私などを中心になされてきたところであります。実際のところ、ドイツ著作権法なども、一般には、権利保護があついというイメージがあるかと思うわけですけれども、実は、権利制限がかなり広くて、権利者の許諾を受けずに利用できるようになっており、その代わりに非常に多くの場面で報酬請求権が定められております。
本日のペーパーを見ておりますと、このように知的財産権の性質として多様な選択肢があるということが今やコンセンサスを得てきたように感じられます。かつてはそのような考えが一般的ではなかったことを考えますと、これは決して小さなことではないと思っております。
特に、ペーパーにいうところの「報酬請求権付権利制限」(すなわち法定許諾)であるとか、ECL(拡大集中許諾)であるとか、それらのさまざまなバリエーションであるとかが、制度設計のためのメニューに加えられていくというのは、今後の議論を柔軟かつ豊かなものにするという意味で、非常によい方向性だろうと思っております。
ただ、ECLというものに関しましては、私自身はいろいろと課題を感じるところが少なくありません。確かに、一般には、日本でも、ECLに対する注目は非常に高いものがあります。それは、ECLが、事業者にとってはワンストップで許諾が得られるというメリットがあり、他方、団体としての権利者にとってはアウトサイダー(非構成員)の権利も「ライセンス」できるというメリットがある、ということで、事業者と権利者団体の両方にとって好都合だと受け止められているからではないかと思います。
ただ、今回のペーパーにもございますように、ECLにおいては、特定の権利管理団体が、自ら管理していないアウトサイダーの権利についてどうして「ライセンス」を出せるのか、そして、どうしてアウトサイダーについてライセンス料を収受することが許されるのか、といった問題はかねてから指摘されているところです。このことは、団体に属していない権利者について問題になるのみならず、日本国内の権利管理団体と相互管理契約を締結していない外国の権利者についても問題になります。
もちろん、例えば、玉井克哉先生はこの問題について事務管理論の可能性を論じておられますし、あるいは、これは私も今論文に書いているのですけれども、かねてからわが国においても、指定管理団体が「クレーム基金」という形でアウトサイダーの権利についても金銭を収受している実務があり、そこでは、事実上、ECLと同じようなことが行われていたとも言えるのではないか、という点も指摘できようかとは思いますが、やはりECLにはそうした「正統性」に関する根本的な課題がありますので、その点は検討が必要かと思います。
ですので、先ほど、瀬尾委員の方から写真は90%オーファンであるという御紹介があり、カバー率が低いところほどECLが必要とされる、そうでないと意味がないというような御指摘がありまして、確かにそれ自体はある意味もっともなのですけれども、カバー率が低ければ低いほど、まさに正統性の問題が大きくなりますので、そのような場合にまでECLを活用することができるのかといいますと、それはなかなかハードルが高いように思います。北欧でECLが活用されているというのも、実際のカバー率が高い事実に支えられているものと認識しています。
ただ、ECLも可能性がないわけではなくて、これをアレンジすることも含めて、わが国に適合する形で導入するためのアイデアはいろいろと考えられるのではないかと思っております。
例えば、ECLの場合、ECLライセンスを出せる主体として、基本的には、どこかの団体等に認可を与えることになるかと思うわけですけれども、当該主体につきまして、例えば、権利者団体でない組織や、できるだけ公共性の高い機関に委ねるというのが一つのアイデアになるのではないかと思っております。先ほど瀬尾委員からお話があった裁定の民間委託とも関連し得るところですけれども、例えば、公益社団法人著作権情報センターとか、あるいは韓国のように著作権委員会のようなものを創設するとか、そういったところがECLライセンスを担うというのも、先ほどの正統性の問題に対応するための方法になり得るように思います。
それから、これはドイツ法におけるECL的な制度にも見られるのですけれども、同一の分野に複数の権利管理団体がある場合は、それらが共同してライセンスを出すのでなければECLライセンスを出せないように定めるというのも、この問題のための一案かと思います。
また、ECL機関がアウトサイダーの権利について収受したライセンス料につきましては、一定期間これをプールするというだけではなく、その後の使途を厳格に規制するとか、あるいは国庫に帰属させるとかいったようなことが考えられようかと思います。こういう問題は韓国でも問題になっているようですけれども、「共通目的」なのだからといって、権利管理団体がアウトサイダーの分まで実質的に団体のために支出することになってしまってよいのかという点が課題になろうかと思います。
そのように考えますと、田村先生が御指摘になりましたように、アウトサイダーの権利についてECLライセンスを行う場合、利用者としては、当該権利者が見つかったらライセンス料を払うようにする、つまり、事前には払わないようにするというのも一つのアイデアだろうと私も思います。ただ、そうなってしまうと、権利管理団体にとっては、だったらECLをやるメリットがないということになるのかも知れません。また、そのようにするのであれば、別にECLのような特殊な制度を採用しなくても、以前からある権利制限+補償金請求権(法定許諾)と強制的集中管理をセットにすれば、利用者は、指定管理団体からしか補償金を請求されませんし、当該指定管理団体が管理している権利についてしか補償金を払わなくてよいであって、アウトサイダーの権利については団体を通じて事後的な支払請求が来れば支払うことになるだけですから、結果として同じことになるのではないかと思います。
違いがあるとすれば、一つは、オプトアウトの可能性です。つまり、もしオプトアウト可能となるのであれば、ECLは法定許諾(権利制限+補償金請求権)と異なることになります。ただ、ECLにおいてオプトアウトできるかどうかは、制度の作り方次第ですので、オプトアウトできないようなECLというのもあり得ないではありません。
だとすると、ECLというものが法定許諾(権利制限+補償金請求権)と異なるのは、不払い者に対する差止請求の可否くらいではないかと思います。つまり、補償金請求権というのは排他性がありませんので、不払い者に対しても差止請求はできません。これに対して、ECLというのはあくまで「ライセンス」であって、前提として排他権がありますので、ライセンス料を支払わない人に対しては差止請求できることになります。この点で両者は変わってきますので、ECLという制度をあえて導入する必要があるかどうかは、この不払い者に対する差止請求が本当に必要かどうかの判断になるのではないかと私は思っております。
いずれにしましても、ECLというのも広い意味で検討に値するかと思いますので、今日のペーパーについても方向性としては支持するのですけれども、私としては、法定許諾(権利制限+補償金請求権)が最も注目されてしかるべき選択肢ではないかと思っております。
以上です。
○中村委員長 ありがとうございました。
今のお話にありましたように、ここに書かれている個別の議論をもう一段ぐらい掘り下げて我々の方向性にしていくということだと思いますが、どこまで掘り下げるかということについては、先ほど田村さんがおっしゃったように、文化庁の議論とのすり合わせということが極めて大事になっていくかと思います。
私は、今日の皆さんの議論を聞いていまして、我々としては総論がもっと大事かなという気がしました。それは、最初に福井さんがおっしゃったように、デジタル化、ネット化が進んで環境が大きく変化をしてきていて、従来のやり方ではうまく進まなくなってきているので、より多様な手段を組み合わせる方向に行きましょうというようなこと、あるいは、そうしないと日本は海外に取り残されるというような環境をわかりやすくきちんとメッセージとして書くべきではないかといったことですとか、瀬尾さんがおっしゃったように、その中で、ここで考えなければいけないのは、著作権法以外も含むさまざまな制度あるいは仕組みを組み合わせていった総合的な次世代の知財システムというのをつくるのだということも、きちんとわかるように言わないとわからないだろうなと思ったということですとか、その上で、赤松さんや宮島さんがおっしゃったように、外向けにいたずらに不安をまき散らさないようなメッセージのあり方が最初にきちんと書かれるということが非常に大事なのかなというふうに受けとめておりましたが、このあたりの議論をもう一度事務局でも整理をいただいて、多分これは来年の整理の段階になると思いますけれども、もう一度フィードバックをして議論をいただければと思います。
ひとまず、最初の議題はここまでとさせてもらって、今日はもう一つあります。自動集積されるデータベースの保護のあり方です。これも事務局から前回の議論を受けて整理を論点にしてもらっていますので、説明をお願いできますでしょうか。
○中野参事官補佐 それでは、資料3に沿って御説明させていただきたいと思います。
資料3は、前回御提示した資料について御議論をもとに改編を加えたというものになっております。特に変更のある点を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
「前提」ということで、まず、データベースの定義ということを書いております。
その下の(2)からは、現在の関連する法律ということで幾つかの法律を書いてございます。1つ代表的なものとしては著作権法ということで、こちらについては前と同じになりますが、情報の選択または体系的な構成によって創作性を有するものは著作権法で保護されるということになっております。
創作性というのがどう判断されるのかということに関連して、判例を1件、1ページの下側になりますが、肯定された例というのを今回付け加えさせていただきました。
また、次のページに行っていただきまして、否定された例というのも、これは前回お示ししたものと同じですが、御提示をしてございます。創作性ということで判断されるというのが著作権法でございます。
また、著作権があるなしにかかわらず、データベースに適用される可能性のある法律として、A番、不正競争防止法というものを掲げてございます。こちらについては、営業秘密として管理されているデータベース、例えば利用できる人を極めて限定していて、その人に対して秘密だということを伝えているというような、細かい要件を言い出すといろいろあるのですが、秘密というようなものについては不正競争防止法が適用されて、こちらについても著作権と同様に損害賠償、差止いう法的措置を受けられるという可能性がございます。
また、B番ということで、こちらも前回の議論を踏まえ、民法による保護の可能性ということも加筆をさせていただきました。こちらについては、古い判例では著作権法上保護されないものを民法のほうで損害賠償を認めたという事例があったというものでございます。
めくっていただいて、3ページの一番上になりますが、最近の判例では、ここが否定をされるというものも出てきている、不法行為でどこまで行けるかというところはきちんと疑問が残るというような書き方をさせていただいております。
法律の関係は以上で、3ページ、2.のところが環境変化ということで、この部分、前回と同じことを掲載させていただいております。データベースの議論が盛んになされた昭和61年著作権法改正といった頃の当時に想定していた比較的シンプルなデータベースから、最近は得られる情報は何でも取り込んでいくということが技術的にも可能になっている。実際にやられていますし、それが経営資源としても大きくなってきているといったような、ざっくり申し上げて大きな時代の変化があったということを書いてございます。
めくっていただきまして、4ページ、5ページがこのような法制度、あるいはデータベースをめぐる環境変化を踏まえてどういう点を検討していくべきかという方向性を整理させていただいております。
まず、「(1)現状と課題」ということで、それぞれ法制度がある中でどこまで対応できているのかというのを整理してございます。
まず、著作権法による保護ということでございますが、得られる情報を何でも取り込むというようなビッグデータのようなデータベースについては、情報の選択という観点からはなかなか難しい面があるのではないかという御指摘を前回いただきました。他方で、体系的な構成ということで、データベースをどういう構造でつくるかというところの工夫については、それに着目して創作性が認められる余地というのは引き続きあるのではないか。例えば検索性を高めるためにキーワード設定をするなどの工夫をしておけば、一定の創作性が生まれて保護の可能性というのはあるのではないかという整理をしてございます。
ただ、裏返しになりますが、「他方で」のところのポツになりますが、いろいろな分析に用いることなどを目的として、あえて普遍的な構造・形式等を採用しているといったようなデータベースというのも最近出てきています。そういった場合には、創作性、体系的な構成というのを意図的に落としているということで、著作権法による保護というのはなかなか難しい可能性があるかと思います。類型@ということで整理をしてございます。
また、情報の選択あるいは体系的な構成というところをコンピューターがやってしまっているような場合、まだそこまでのものが出てきているかというと現実のものということではないかもしれませんが、技術の発展の先にこういうことも起こり得るだろうというときに、それは著作権法の対象となるかどうかといった場合には、これは創作の主体がコンピューターというのは現状の著作権法ではそのまま保護にはならないのではないかという整理をしてございます。
Aとして、著作権が認められるかどうかということにかかわらず、データベースの管理実態に照らして不競法の保護が対象となる場合があるのではないかということでございます。
最初のポツは保護の可能性がある部分ということで、社内の関係者に限定して使用している場合ですとか、あるいは、社外にライセンスをするにしてもNDAを結んで秘密であるということを明示的に示すなど、データベースを保有している方が秘密として管理しているということが認められる場合には、営業秘密として不競法で保護される可能性があるのではないかという整理をしてございます。
他方で何らかの目的でデータベースをある程度公開して使ってもらいたいというような場合については、これは秘密として管理されているとはなかなか考えにくく、不正競争防止法では保護されない可能性も出てくるのではないかということを整理してございます。
ここまでで@〜Bという類型が出てきたわけで、民法でどこまで保護できるかというところでございますが、これは先ほど申し上げたとおり、最近の判例などを踏まえると、民法による保護が完璧だというところまでは言い切れないのではないかということを整理してございます。
したがいまして、「(2)論点」ということで、@〜Bについてそれぞれどう取り扱っていくのかということを整理してございます。
まず、@の創作性が認められにくい場合を念頭に保護水準を高めることが必要かどうかということで、著作権法ができないので著作権法の水準を高めて対象とするかどうかということかと思いますが、これまでの議論で出た意見としては、保護は必要だとしても創作性というのをどこまで高めるのかみたいな基準をつくるというのはなかなか難しいのではないかといった御意見がございました。
あと、@の中には公開型、非公開型両方あり得ると思いますが、特に非公開のデータベースであれば不正競争防止法でいけるのではないかという御意見がございました。あるいは、クラウドサーバーで分散して管理している等により、実態的に排他的に使うことが可能になっているのではないかといったような御意見をいただいております。
A)については、前回もこのような整理をさせていただきましたが、AI創作物というところの議論で一緒に検討が適当ではないかという整理をしてございます。
B)についてが、前回の議論を踏まえて新しく書き加えたところになりますが、これまでの御議論で問題提起いただいたのが、公的研究機関が保有するデータベース、こういったものですと研究開発の効率化の観点から外部の方に対してある程度見せていく、閲覧・検索ができるように提供することが望ましいが、それを繰り返されると中にあるデータが丸ごと複製されて、丸ごと使われてしまうと競争上の優位を失うといったようなところにつながる可能性もあるという御指摘をいただいております。
メインテーブルだけなのですが、資料3別添ということで、一つの具体例として、物材研のデータベースのイメージをつけさせていただいております。
一番上のページがトップページで、左枠にはデータベースはどういう種類がありますかというところと、右上にはユーザー登録ということで、ここで登録をしてログインしてデータベースを使えるようになるという大まかな仕組みです。
2ページ、4ページは、それぞれのデータベースでどういった情報を集めているか、かなり専門的な内容ですが、2、3、4、5と実際のデータベースのイメージをつけさせていただいております。
また、その先、6、7、8については、こちらの研究所でサイトポリシー、あるいは、新規ユーザー登録の際にどういった利用規約を提示しているかといったところも例としておつけしております。
資料3に戻っていただきまして、こういった公的研究機関のデータベースというところが問題提起いただいているわけですが、こういったもののほかに検討と対象とすべきものがあるかどうかということが、まず1つ論点であろうかと思います。
また、その下の「保護の要否・手段等」というところで、こういったタイプのデータベース、何らかの目的により誰でもアクセス可能な形で公開されているデータベースに対して、公開の意図を超えたような情報の取得行為というものをどう考えるべきか、というところ。保護の必要性があるというのは、中身の情報なのか、あるいはデータベースのつくり方の部分なのかといった論点。仮に前者の中身の情報そのものに価値があるといった場合に、それをどうやって保護するということが考えられるかという論点。この時には権利不要型とかいろいろな法制度による対応ということも考えられるかと思いますが、一方で情報管理による対応ですとか、諸外国でどのようにやっているかということも含めて検討をすることが必要ではないかという整理をさせていただいております。
事務局からの説明は以上になります。
○中村委員長 ありがとうございました。
では、今の整理についてコメント、質問などあればお願いいたします。いかがでしょうか。
○福井委員 やはり伺っていると、契約やアーキテクチャーでどのぐらい望ましくない利用を防止できるのかということを伺いたくなるのです。そういうものが機能しており、そこで適切に防止できるのであれば、知的財産制度に頼る必要は必ずしもないかもしれません。なぜならば、データベース上のデータをどの範囲で自由にコピペされると困るのか、どういう範囲の利用まではウェルカムであって、どういう範囲の利用は困るのかというのは、恐らくデータベースの構築者によってかなり異なるのではないかというふうに思うのです。
とすると、これはむしろワンサイズフィッツオールな法制度よりも、なおかつ、現在の著作権の考え方とは必ずしも整合しない法制度よりも、もし契約やアーキテクチャーで個別に守ることが機能するのであれば望ましいであろうからです。
もしその契約やアーキテクチャーの内容で少しずつ抜いていって、結局はがーっと大きなところを盗んでいってしまうような行為を禁止しているにもかかわらず、それを乗り越えてあえて、例えばなりすまし等によってデータを盗んでいくというような行為、データを取っていくというような行為があるとするならば、御紹介いただいた不正競争防止法以外にも、例えば不正アクセス禁止法とか幾つかの法制度上のセーフガードはあるようにも思いますので、こういう仕組みではだめなのかというのは疑問としてというか、御質問したい点として浮かんできたことでした。
ありがとうございます。
○中村委員長 今のところで何かコメントありますか。
○中野参事官補佐 いろいろなデータベースがある中で網羅的に調査まではできておりませんが、この例示したところに質問させていただきまして、現段階で公開の目的を超えた情報の不正搾取というところまでは確認していない。ただ、やろうと思えばそれはできるだろうと、繰り返しアクセスで情報をとるというのをある程度防ぐ、大量ダウンロードを防ぐとか、そういったことは技術的には考えられるけれども、ある意味、イタチごっこというか、そこは完璧なプロテクトというのはなかなか難しい。恐らく、どこまでの被害があってどこまでやるかというところになってくるのではないかと思います。
○中村委員長 どうぞ。
○瀬尾委員 先ほどの話からもつながるのですけれども、このデータベースを著作権法で守るということについて、実は、これについてはアクセスが制限できますよね。ログも取れるし、システム的にどんどん公開を締めつけていって契約もがちっとやってしまえば、いわゆる契約とかそういったもので対応もできるし、ログから追跡したりもできるかもしれない。つまり、福井さんと言っていることは一緒なのですけれども、いわゆる、そういう契約とかシステムで対応できる部分が大変多いと思います。
また、もともと閲覧とかについてタイトに締めつけていけばいくほど閲覧は少なくなっていくわけですよね、広がらなくなってくる。でも、どんどん緩くしていくとリスクは増えていくけれども閲覧は増えてくる。そのどこに位置するかはデータベース公開者の意思決定だとに思います。私もデータベースでいろいろなコンテンツ兼データベースはやりますけれども、そこはある程度の腹を決めてやるということで、学術的な本当の内容について公開した場合にどうなのかということはわかりませんけれども、どちらにしても、こういう問題を著作権法に入れてしまうと、先ほどから繰り返すように、著作権法の本来の保護対象であるものから多少性質が異なる分野だから、それを全部著作権法という括りにしてしまうことによって、もともとどうしても絶対にがっちり守らなければいけないものについても影響を及ぼしてくるのですよね。著作権法を拡張して緩めてずるずるいくと、何かわからなくなってしまう。
ですので、こういうことについて、私は比較的著作権法をいじることよりは、もう少し違った、今、ここにまさに書いてあるような複合された幾つかの法律とテクノロジーによって解決すべきではないかと基本的に思います。基本的にあった著作権から拡張、派生していった著作権対象物について、基本的な部分をいじることについては慎重にしたほうがいいのではないかというふうに考えています。
○中村委員長 ほかにいかがでしょうか。
喜連川さん、お願いします。
○喜連川委員 私も、今、御指摘いただいたところがすごく共感を覚えるところでございまして、素人的には著作物という音楽や本という時代から、一旦プログラムという時代に入って、今、ビッグデータという時代に入っています。それが同じフレームワークでそもそもたてつけとしてうまく機能するのかというのは、多分根源的な御発言で、そこをある種拡大解釈といいますか、やや異なった解釈をすることでそこにフィットインさせようとすることの無理無理感が出ているのだとすれば、それはそれで構わないと思います。ただ、データというのが全てになってきている時代になったことは確かです。
そうしますと、著作権法は縛りが強いのでということであれば、こういう場合はこれで守りましょうというような御提案の中で議論を進めていくのがいいのではないかと思います。
特にここに肯定された例と書いてありますが、この文章を大学で教えても、コンピューターサイエンスの学生では到底理解不能な表現になっていまして、これで何なのかと言いたいぐらいの、つまり、時代の変化感が大きいのが現実だと思います。
先ほど福井先生から、著作権法が複雑になり過ぎて云々というお話があったと思うのですけれども、多分、全ての学問は原則むちゃくちゃ複雑になっていると思います。これは東大の場合に一番典型的な例は、光合成の例とかを前総長がよく出されておられたのですけれども、我々が小学校で習っていた光合成と今の光合成では、多分、100万倍ぐらいコンプレクシティーが違うのです。でも、ポイントは、そのコンプレクシティーがあっても、それを対応できるようなシステム技術ができているということが大きいのです。つまり、マーケットが今までこのぐらいのセグメントしかないと思っていたのが無限大のロングテールのセグメントまでできるようになったというのが今で、ややこしくなったからもう一回見直そうというのはおかしくて、ややこしい時代に、ややこしいからこそ、今、我々は新たな技術を生み出そうとしているということも一方でトゥルーだというのも御認識いただけるとありがたいと思います。
そんな中で、原則ベロシティだと思う。何かが起こった時に、それに対してどう反応するかという速度感というものをどう枠組みといいますか、システムとしてつくるか。例えば、昔、特許庁の特許審査は死ぬほど時間がかかっていたのが、今はめちゃくちゃ早くなっているのです。これは、中国から山のように出てくる特許を自動翻訳機の中から相当吸い上げることでできるようになったから、そういうことができているのです。
また、ドイツの税制は、原則毎日変わっているわけですが、それでもシステムは動くわけです。何日にお金を納めたというところから、その税制にぴたっと合わせるわけです。こんなことができるようになっているわけです。
その時に、先ほど委員の方々から、こういう小さなエモーションをお持ちになっている方に対しての配慮がなされているのかと注意だとありましたが、そんな細かいことまで事前にプロアクティブにわからないですよね。
逆に言うと、そういうことが起こった時にいかに早くクイックにリカバーできるかというのを、法の仕組みのデザインをすべきです。
この間の鬼怒川の氾濫では7日間で水を日本は出している。あれだけ大きな洪水があったときに、7日間で出している。こんなものは世界で誰もいないし、あの大きな洪水でほんの数人しかお命を亡くされていない、これはあり得ないのです。そういうクイックな変化というものが次のITのときに必要になってまいりまして、次に何が起こるかわからないから、そこを許容するようなプロアクティブな動きが重要であるということが一方です。
それでも、そんな先まで読めないという時には、いかに早く自分たちを動かせるかという仕組みを御配慮いただけるとありがたいです。この典型例はデータベースで、こんなことは学校では恥ずかしくて教えられないようなことが書いてありますので、よろしくお願いします。
○中村委員長 どうぞ。
○上野委員 創作性のないデータベースの保護につきましては、結局、これは理論的に保護の必要性があるのかどうかはなかなか決まりませんで、それこそニーズがあるかどうかということになろうかと思います。現状でも契約やアーキテクチャー、あるいは不正競争防止法、さらには、先ほども御指摘がありました技術で事実上保護できている部分があるのではないかというところを踏まえて、なお必要かというところが問題になろうと思います。
ただ、先ほどから著作権法による保護というものでは、ややワンサイズになってしまって強過ぎるというような御趣旨かと思われる御指摘があったように思います。確かに創作性のないデータベースにつきまして、著作権による保護ということになりますと、あるいは創作性のレベルを下げるということになりますと少し強過ぎるというのは確かなのですけれども、これはヨーロッパのドイツなんかでもそうですけれども、著作権法とはいいましても隣接権による保護ということになりますと、日本だと隣接権制度というのはネガティブに見られることが多くて、日本では4社しかないわけですけれども、かなり自由度の高い制度だというふうに思います。
例えばドイツの制度でも、権利の内容もかなりの部分をデッドコピーするということにしか及びませんので、一部の抽出とか、あるいは同じようなデータベースをつくるということに及ぶわけではありません。また、権利の長さも公表後15年ということになっておりますので、これはほかにも新聞社の隣接権とかさまざまな権利制度があります。そういう意味では、著作権法による保護といいましても、さらなるメニューがあるという意味では、先ほどの契約法による保護とか不競法による保護という中にも一つの選択肢としては隣接権を含めた著作権保護というのがあってもいいのではないかと考えております。
以上です。
○中村委員長 本件、いかがでしょうか。
亀井さん、お願いします。
○亀井委員 ドイツの保護は、恐らくヨーロッパのディレクティブを実施するために隣接権を選択されたということだと思いますが、ベースになっているのは新たな投資を保護するという観点からの立法だったという理解をしております。法形式として隣接権なのか、独自の権利として立てるのかということ以前に、まず、ニーズとしてあるのかということを考えた時に、現状の、ほかの先生方がおっしゃっていましたが、契約でいける部分、技術的にアクセス管理をしていける部分、最後の最後には不法行為が適用されない可能性もあるというのがありますけれども、営業権の侵害というようなことで丸々パクられれば、それは著作物以前に物を盗むのと等しいのではないかという言い方もできるかもしれませんし、そういうツールを組み合わせれば結構保護ができるのが現状ではないかという気がしております。したがって、新たな立法は要らないというのが私の意見です。
以上です。
○中村委員長 ほかにございますでしょうか。
福井さん、お願いします。
○福井委員 今のお話を伺いながらどうかなと思って、事務局に配付いただいたデータベースの例の中の高分子データベースを開いてみまして、どんな利用規約かなというのを見てみましたが、利用規約らしきものはほぼ存在しない感じです。事務局がコピーしていただいた注意事項が若干あるぐらいです。法制度でできることはもちろんあるとは思いますけれども、まずはデータベースを守っていくために利用規約の整備、そういう情報を共有し、モデルを示していく、指針をつくるということもまた考えていいのではないかと思いました。
以上です。
○喜連川委員 それがおそらく、学術界の典型的な状況だと思います。つまり、別に国家から支えていただいておりますので、人生の中でお金をもうけるということだけはしたことがないというのが大学の先生です。そういう人たちがつくる清廉潔白なデータベースがこれでは困るとおっしゃられるのですが、少なくとも性善説では多分これでいいのです。性悪説の世界を技術者に想像しなさいというのはさすがに酷なことで、そんなことをする暇があればもっと研究させたほうが絶対に投資対効果は高いわけです。ここら辺は、ぜひ、さぼっているわけではないという温かい目で見ていただけるとありがたいです。
○中村委員長 どうぞ。
○瀬尾委員 今のお話で、先ほどの人文科学系をまとめるとかいろいろな話の時に、学会といろいろお話をしたりするのですけれども、確かに、こんなことを考えるよりは研究していただいたほうが経済効率は全然いいのです。だけど、基本的に著作権のコーディネーター的な人、弁護士さんが皆やっていらっしゃるけれども、どうしても弁護士さんというと、みんな大体法廷闘争みたいなことをイメージしてしまうのですけれども、もっと例えば契約周り等について、いわゆる著作権とか知財関連アドバイザーみたいな資格があって、そういうものを必要とするというように、制度をつくって、わからないからといって投げる先をしないと当てを探すのも大変なわけです。
例えば企業が何かやる場合も、皆弁護士さんにお願いするのだけれども、福井先生のような知財専門の弁護士さんというのは実は少ないのですが、全て顧問にしている弁護士さんにお願いしてしまう。そういった意味では、一定の知財について何かできるというシステムが弁護士さんにあったら、もっと弁護士さんを利用すると言ったら言い方は申しわけないですけれども、また、弁護士さんでなくても、それについて取るようなことがあると、企業のいわゆる著作権プロテクトとか利活用について、もう少し効率的にいくような気がします。そういう制度、何らかのシステムをつくるのも、先ほどから申し上げている、いわゆる処理する制度の一環としてあるのではないかというのを、喜連川先生のも全くそうだと思いますけれども、では、どうするのだと言われた時には、そういうことをいいのではないかというふうに考えました。
○中村委員長 水越さん。
○水越委員 今、規約のお話が出ましたし、前の著作権の権利制限等の新制度のほうでも出ましたけれども、はっきりと、「こういうことは利用していいです。」、「こういうことは利用しないでください。利用する場合は幾らです。」、もしくは、「無償です。」ということをあらわすのが難しいということを続けてしまっては進めるのが難しく、やはり言葉ではっきりと書くということが非常に重要だと思うのです。データも含めていろいろなものを使っていく時に、言葉に書いていなかったのだけれども、後で推し量って決めましょうというと、そのスピード感からして全く追いつきません。英米では、契約書は分厚いですけれども、言葉で表すということについて非常に熱意を持ってやっている。そういう中で、今まで控え目とか性善説といったいろいろな制約の中で、言葉で表さない部分もあったし、空気を読んだり、黙示的なものもあったのですけれども、もっと表して記述していくということが非常に大事ではないかと思います。
○中村委員長 ありがとうございました。どうぞ。
○喜連川委員 言葉であらわさないほうが悪いのではないか、もっとしっかり書きなさいとおっしゃられる先生の御指導は非常によくわかるのですけれども、その前の著作権のほうの話で申し上げますと、僕たちが一番よくわからなかったのが、検索エンジンがなぜ著作権違反かというと、コピーをするからだというのです。コピーをコンピューターのシステムの中で許さないと、動くコンピューターは原則ゼロなのです。メモリーからレジスターにもコピーをしています。メーンメモリーからディスクにもコピーしています。とられてはいけないとか、システムダウンしてはいけないためにもコピーをしています。これが何で検索エンジンだけで文句言われるのかわからないのです。
つまり、これだけ文化度が違う世界の中で言わないとわからないとおっしゃられるのは、気持ちはわかるのですけれども、これだけ神経回路が違う人間に対して何を言えば通じるのかというのは根源的にわからないのです。
○水越委員 そこで瀬尾さんが言われたように、間を取り持つという方も、同じように他国であってもプログラマーが全部知っているというわけではないと思いますし、いろいろな分野も深くなっていくし、増えていくという中で、やはり間を取り持つ、弁護士もいますけれども、先ほどおっしゃられたように弁護士でなくてもいいわけですので、誰かを使って書いていくということが大事だということです。
○中村委員長 ありがとうございます。
今、議論のあったような、世の中が大きく動いていて、次世代の知財のシステムというのをどう振りかぶって考えるのかという問いと、今日の2つの議題のように、では、そこから出てくる現実をどう制度のところに落とし込むのかという両方の問いに我々はどう答えていくのかというのが非常に悩ましいですが、今日はここまでとさせていただいて、横尾局長から一言いただきたいと思います。
○横尾局長 年の瀬に大変いいディスカッションをしていただき、ありがとうございます。
私が何か言うのもあれですが、何となく整理できそうな気がしております。
最後の喜連川先生と水越先生のやりとりも非常に、ある意味、今日の議論を象徴しているようでしたが、この問題は知財の制度、特に著作権が一番顕著だと思いますけれども、もともと設計をした時の状況と余りに乖離をしているというところが問題の出発で、これから「次世代」と銘打ちましたこの委員会において将来を考えた時に、どうするかというのが問題の出発点で、著作権の場合、先ほど御指摘があったと思いますが、一番厄介なのは、国際条約で実態的なところが相当縛られていて動きにくいというのが、日本として独自の制度をつくりにくいという中で、各国が壁に直面して、そこをどう工夫していくかということだろうと思います。日本には日本の文化的、あるいはいろいろなビジネス慣行も含め、日本のそういったことを踏まえて、未来を見渡した時にどういうことができるかというのをなるべくゼロから、かつ、多様なメニューで、これで決め打ちということでなく考えたいというのがこの委員会の出発点だったというふうに思っております。
そういう意味では、先ほど瀬尾さんからありましたけれども、将来を見渡せば別の制度というのもあっていいわけで、かつて旧通産省がプログラム権法を発想したというのは、ある意味、正しかったのではないかというふうに思います。これはなかなかすぐに実現できるようなテーマではないのかもしれませんけれども、これが年明け、AI、3Dを中心に次のステージの議論に入ってきますが、まさに次世代というか、将来を見渡しての議論というのを、今回までの議論からそちらへつなげていく議論をこれからさらにしていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○中村委員長 では、最後に次回の会合について事務局からお願いします。
○永山参事官 お手元の資料4に次回以降3月までの会議の開催日を示させていただいております。次回の会合は来年の1月27日(水)の16時からとなっておりますので、引き続き御参加いただきますようお願いを申し上げます。
○中村委員長 では、閉会といたします。
メリークリスマス。よいお年を。