地方における知財活用促進タスクフォース 議事要旨(第1回)

【日    時】平成27年2月27日(金)10:00〜12:00
【場    所】中央合同庁舎4号館12階1208特別会議室
【出 席 者 】渡部座長、吾妻委員、久貝委員、鮫島委員、中山委員、西村委員、土生委員、前田委員、木村委員代理、三木オブザーバー
【政   務】山口大臣、平副大臣
【事 務 局 】横尾局長、増田次長、田川参事官、北村参事官
【関係府省】内閣府総合科学技術・イノベーション会議事務局、特許庁

 山口大臣による挨拶の後、知財事務局から「地方における知財活用促進に関する有識者の主な意見」について説明し、内閣府総合科学技術・イノベーション会議事務局から「第5期科学技術基本計画」について説明した後、吾妻委員及び木村委員代理からそれぞれ配付資料に沿って説明がなされた。その後、委員等の間で意見交換を実施。主な意見は以下のとおり。

  • 中小企業は、少なくとも下請け型企業と、ハイテク中小企業に分けられ、それぞれに対する施策が必要ではないか。
  • 小さな製品づくりをしている中小企業が世界のイノベーション企業になるためには、過保護なやり方では無理ではないか。中小企業の社長の方たちの覚悟のところにも同時に手を付けて行かなくてはいけない。
  • この取組においてライセンスされている特許は、「休眠特許」でなく「開放特許」と呼ぶべきものである。中小企業の目線・体力では、休眠しているものを起こして製品化することは出来ない。
  • 川崎市のやる気のある中小企業に対する「おせっかい」や「えこひいき」は大いに結構で、やる気のない企業を支援するのはお金の無駄である。特許は人やお金、時間をかけて生み出すものであり、やろうという覚悟が互いに必要ではないか。
  • 中小企業の支援施策というよりは、地方創生の成長戦略の一環として考えるべきである。まず、中小企業の「生存」があり、その上で「成長」がある。
  • 中小企業にとって特許ライセンス以上にありがたいのは、大企業が知財戦略を含むノウハウを幅広く提供してくれることである。
  • マッチングした技術の製品は売れなくても、これを契機に、社員が製品開発のプロセスを経験できたり、別のビジネスの話が舞い込んだなどということで、会社に活気が出たという効果もある。
  • 下請け脱却で悩んでいる中小企業に対して、一つのきっかけを与え、自発的な開発や新規顧客開拓を支援する政策として捉えるべきではないか。
  • 大企業が撤退した事業の人材が海外流出してしまうという話があるが、中小企業への技術移転により、その人材と中小企業とに関わりを持たせ、海外流出を防止できるという意味合いもある。
  • 大企業のテーマが海外市場・アジア進出であるときに、人のいない地方に向かって、しかも中小企業相手に何故仕事をしているのかと社内で白い眼で見られてしまうため、大企業はこの話に乗ってこない。
  • 大企業にとってのインセンティブがないと、川崎モデルのような取組は普及しない。ドイツのライセンス・オブ・ライト制度を導入するなど、地元中小企業に対して熱心に特許による技術サポートをした企業に対し、税制上の優遇や特許料の減免等をすべきではないか。
  • 経営者に対して効果的にアピールできるのは税制上の優遇であるが、本取組のインセンティブと税制上の優遇とをうまく紐づけるのは難しいのではないか。
  • このような取組は、営利目的よりCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)という観点で大企業に見てもらう手もあるのではないか。
  • CSRではなく、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)という観点で見るべきである。
  • 大企業からカーブアウトして起業する場合、退職時に権利の譲渡やライセンス使用等の交渉をしなければならないが、大企業の知財部はそれを認めない傾向にある。それでは起業しても誰も投資をしない、ということになりかねない。
  • 日本では大企業の中から直接「ベンチャー企業を作ろう」などと考える人は殆どいないが、ジョイントベンチャーのように、「大企業と中小企業とが一緒に作った会社」と言えれば周囲も少し安心できる。このような「のれん分け」的な戦略的中小企業づくりを進めていった方が良い。
  • コーディネーターは非常に大事。全国に5人素晴らしいコーディネーターがいれば、日本は変わる。
  • 最後の出口まで想像できる人たちを組み込んだ上でマッチングしなければうまくいかない。日本には少ないと思うが、一代で事業を仕上げてきたような社長の方々にコーディネーターを務めてもらうのが良い。
  • 中小企業も権利取得だけでなく、オープン&クローズ戦略を実施すべきであり、標準戦略を含め検討すべきである。

以 上