地方における知財活用促進タスクフォース 議事要旨(第4回)

【日    時】平成27年4月22日(水)14:00〜16:00
【場    所】中央合同庁舎4号館1階123会議室
【出 席 者 】吾妻委員、伊藤委員、久貝委員、坂井委員、鮫島委員、妹尾委員、中山委員、西村委員、土生委員、山本委員、渡部座長、三木オブザーバー
【政   務】松本大臣政務官
【事 務 局 】横尾局長、増田次長、磯谷次長、田川参事官、北村参事官
【関係府省】内閣府総合科学技術・イノベーション会議事務局、文部科学省、特許庁

 松本大臣政務官による挨拶、知財事務局による「これまでの議論の整理について」に関する説明の後、委員等の間で意見交換を実施。意見交換の概要は以下のとおり。

<総論>

  • 中小企業が2つのカテゴリーに分けられることには同意できるが、具体的にどのような表記・表現とするかについては注意して頂きたい。
  • 地域の経済活性には中堅企業が重要である。中小企業に限らずに影響力のある中堅企業まで視野に入れた方が良いのではないか。ただし、中堅企業は支援する側と支援される側とがある点に留意すべきである。
  • 大企業・大学・中小企業という三角形の中、この会合で議論となっているのは、大企業から中小企業、大学から中小企業という方向のものだけだが、双方向もあり得るのではないか。
  • 川崎モデルも当初は双方向の知財交流を意図していたものの、実際には中小企業の知財を活用することは難しく、中小企業による大企業の知財活用のみが残った。

<産産連携>

  • 中小企業が、大企業の知財を活用するのか、大企業と一緒に共同事業を行うのかによって、知財マネジメントやビジネスモデルが異なってくる。その整理をした上で支援体制を検討すべきではないか。
  • 大企業側の意識を変えるため、意識啓発・人材育成が必要である。また、大企業との協力関係が成り立つように、中小企業において事業をプロデュースできる人材を育成することも重要になってくる。
  • 開放特許データベースの拡充に関連して、インフラ整備・ヒト・カネがしっかりリンクし、色々な施策がパッケージで動くことが重要である。

<産学連携>

  • 中小企業にとって大学とのライセンス契約は大変なので、料金面や手続面での緩和を検討してはどうか。例えば、中小企業が大学特許にアクセスする一つの動機付けとして特許の無料開放を検討すべきではないか。
  • 大学保有特許の中小企業への無料開放は、大学の知財戦略や中小企業の本気度を弱めるものであって、かえって中小企業への技術移転を阻害しかねない。
  • 中小企業が困っていることを大学と共に解決し、共同で知財を作り、中小企業が儲かったら大学に還元する、というのが地方での成功事例の1つである。
  • 大学の産学連携本部やTLOの数が多すぎる。統廃合のための政策誘導をお願いしたい。
  • 産学連携本部、TLO、URAは、大規模な大学では有効な施策であるが、規模の小さい地方大学では重複して無駄が生じている。
  • TLOの統廃合を促進すること自体は困難ではないか。
  • 産学連携活動の評価指標の見直しは良い取組である。これまでは特許出願件数が評価されていたが、今後はライセンスが重要指標になる。
  • POC(Proof of Concept; 概念実証)を導入すれば、産学連携や技術移転の在り方が変わるはずである。これまで眠っていたものがイノベーションに結び付くかもしれない。重要なのは、(全ての産学連携本部やTLOではなく)事業化の支援能力がある産学連携本部やTLOにそのための仕組みを作ることである。
  • 地方の大学や大手の大学など、大学のそれぞれの立ち位置によって支援の在り方は異なるので、全ての大学に対して一律に施策を考えるのは好ましくないのではないか。
  • 地域の中小企業は公設試験研究機関と組むことも多いので、公設試験研究機関の役割をどのように考えるかも重要である。

<中小企業>

  • 中小企業庁が進めている認定支援機関は、ホームドクターとして中小企業を支援している。知財が分かる認定支援機関をどれだけ増やせるのかということや、知財専門家が専門医として往診できるかということは、重要な政策課題である。
  • 知財啓発においては、「何を啓発するのか」が大切である。まずは、知財への関心が低い中小企業自身や中小企業支援者に対して必要なコンテンツ(教材)を開発し、それを教えることができる人材を育成するべきである。
  • 中小企業は技術開発は得意であるが、ネットワークや販売力が限られているためになかなか事業化できない。知財コンサル的支援や標準化支援など、事業化支援的プログラムが必要である。
  • ビジネスで困った中小企業が認定支援機関を訪ねたとき、知財総合支援窓口を紹介できるよう、しっかり連携すべきではないか。
  • 中小企業の側に立つと、知財総合支援窓口に行くという発想はなかなか出てこないので、中小機構、銀行、金融、地方自治体の方を最初に啓発すべきではないか。
  • ブランドやパッケージデザインに関する支援を各地域で行うと良いのではないか。

以 上