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学校での放射線量基準について
平成23年5月2日


Q1:学校で計測される放射線量の値によって、子どもたちの行動はどのように制限されるのですか?

A1:校庭・園庭での測定値が、1時間当たり3.8マイクロシーベルト以上の場合、校庭等での活動を1日当たり1時間程度にするなど、児童生徒等の屋外活動をなるべく制限することが適当です。



Q2:それは、大人(一般人)の基準と同じなのですか?

A2:あくまでも目安であって、実際はもっと低い線量となるよう図っていくこととしています。
@ まず、原子力安全委員会が暫定的な目安(参考レベル)とした、原子力発電所等の事故後の復旧時に一般人に許容される放射線量の上限は、1年間に20 ミリシーベルトです。
A A1で定めた「屋外で1時間当たり3.8マイクロシーベルト」の放射線量ですと、《1年間ずっとその値の中で、毎日8時間を外で過ごし続ける》と仮定した場合に、年間の被ばく総量が@の水準に達します。
B ところが、今回の措置では、1回の測定で「毎時3.8マイクロシーベルト」という値が出た時点で、学校における「外の活動は1時間」という制限が取られます。子どもたちは多くの時間を学校校舎内で過ごすことから、以後1年間「校庭・園庭で毎時3.8マイクロシーベルト」の状況が続いたとしても、子どもたちは、@が定める大人なみの放射線量を浴びることには全くなりません。※注1



Q3:そもそも、その大人(一般人)の上限値は、国際基準に合っているのですか?

A3:*合っています。ICRP(国際放射線防護委員会)が定める「非常事態収束後の参考レベル」では、一般人に許容される放射線量を、年間20〜1ミリシーベルトの間で状況に応じて選定することを勧告しています。まだ“収束後”とは言い切れない段階にある今回の場合、暫定的な目安として、まずはA2@のとおりその上限の20 ミリシーベルトから出発し、段々に下げてゆく(=より安全性の厳格な方向にしてゆく)という方針で臨んでいます。※注2
 *ただし、繰り返しますが、“上限から出発”と言うのは《目安の設定》の話であり、子どもたちに《現実に実施》される規制は、A2Bの通り、既にそれより格段に安全を重視したものになっています。



Q4:放射線量は、地上からどれくらいの高さで測っていますか? 子どもの身長の低さは、考慮されていますか?

A4:はい、考慮しています。通常の測定は1メートルの高さで行いますが、今回、保育所・幼稚園・小学校では地上50センチで測定した数値で判断をしています。また、大気ではなく校庭の表土の汚染が主要な放射線源である場合には、これは、より安全を重視した判断材料となります。



Q5:子どもたちの日々の学校生活の工夫で、受ける放射線量をさらに少なくできる簡単な方法はありますか?

A5:以上説明したとおり、今回の規制措置で十分ですが、次のような対応を取ればさらに安心です。
・校庭・園庭等の屋外での活動後等には、手や顔を洗い、うがいをする。
・土や砂を口に入れないように注意する(特に乳幼児は、保育所や幼稚園において砂場の利用を控えるなど注意が必要。)。
・土や砂が口に入った場合には、よくうがいをする。
・登校・登園時、帰宅時に靴の泥をできるだけ落とす。
・土ぼこりや砂ぼこりが多いときには窓を閉める。



Q6:一方で、屋外活動の過度な規制は、子どもたちにストレスを生じ、クラブ活動への影響など、教育的にも好ましいとは言えません。この点と、安全性との兼ね合いを、どう考えて基準を決めているのですか?

A6:後で振り返った時に「あそこまでやることはなかった」と言われることになっても、安全を最優先に考える、というのが今回の政府の基本方針です。大変なご不便をおかけしますが、どうかご理解ください。更に、今後の事態の推移に応じて、措置の追加・変更を行なうこともあり得ます。



Q7:計画的避難区域、緊急時避難準備区域の中の学校は、もっと厳しい基準なのですか?

A7:はい、そうです。安全最優先の方針から、残念ですが、校舎・校庭とも使用しないこととされています。



Q8:この規制は、いつまで続くのですか。

A8:*規制が適用された学校でも、今後の国による概ね1週間毎の調査で、2回連続して「1時間当たり3.8マイクロシーベルト」を下回った場合には、校舎・校庭を平常通り使用できることとします。
*また、今回の措置は、当面、夏休みが終わる時期(おおむね8月下旬)までを対象とした暫定的な考え方で、モニタリングの結果を踏まえて適切に見直します。

 ※注1 一般に屋内は、屋外よりも放射線量が低くなります。屋外がA1の値の場合、屋内(木造)は「1.52マイクロシーベルト」程度と仮定できます。鉄筋コンクリートの屋内では、木造よりもさらに放射線量が低くなります。また、外にいる時間を減らすということは、それだけ線量の回避ができるということです。

 ※注2 ICRPは、このような考え方を“最適化”と呼びます。この前段階(まだ緊急時が継続中)の放射線量の制限値としては、ICRPは、一般人の場合で年間20〜100ミリシーベルトの間に目安(参考レベル)を置いています。




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