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首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
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平成25年9月12日第四十八回自衛隊高級幹部会同 安倍内閣総理大臣訓示

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 本日、自衛隊の中枢を担う幹部諸君と一堂に会する高級幹部会同にあたり、最高指揮官たる内閣総理大臣として、一言申し上げたいと思います。

 総理就任から8か月。私は、国内で、そして世界で、大いに活躍する自衛隊員たちの頼もしい雄姿を、目の当たりにしてきました。

 宮城の松島基地には、東日本大震災の発災直後から、自らの被災も顧みず、被災者の救援活動にあたった自衛隊員たちがいました。

 雪が降る中、水につかりながら、人命救助や行方不明者の捜索にあたる隊員諸君。高い使命感に裏打ちされた懸命な姿は、私だけでなく、すべての国民の目に、今も焼きついています。

 災害派遣活動は、「勝利なき戦い」であるとも言われます。しかし、自衛隊は、いかなる「勝利」にも代えがたい、「国民の信頼」という大きな成果を勝ち得ています。

 その誇りを胸に、これからも、国民の生命を守り、そして国の存立を守るという崇高な任務にあたってほしいと思います。

 沖縄の那覇基地、そして宮古島分屯基地には、365日、24時間体制で、我が国の広大な南西の空を守る自衛隊員たちがいました。

 私が訪れたいずれの日も、領空侵犯のおそれを探知し、F-15戦闘機がスクランブル発進していました。

その遥か洋上には、力による現状変更を許さない、との強い国家の意思を体現し、プレゼンスを示す艦艇・航空機の乗組員の諸君がいます。彼らは、いつ終わるともない状況の中で、忍耐強く、海を、空を睨み続けています。

 挑発的言動を繰り返した北朝鮮に対して、弾道ミサイル発射に備えた多くの自衛隊員。如何なる事態にも対応するとの強い意思で、長期にわたり万全の態勢を維持しました。

 これが、今、日本が直面している「現実」なのです。

 こうした中でも、高い緊張感に耐えながら任務を全うする自衛隊員諸君を、私は誇りに思います。しかし、精神力だけでは、眼前の厳しい「現実」に立ち向かうことはできません。

 我が国の主権に対する相次ぐ挑発。我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す「現実」から、私たちは、目を背けることはできません。

 「現実」とかけ離れた建前論に終始し、そのしわ寄せを「現場」の自衛隊員に押し付けるようなことは、あってはなりません。

 私は、「現実」を直視した、我が国の安全保障政策の立て直しを進めています。

 その第一が、すでに国会に法案を提出している、「国家安全保障会議」の創設です。早期の成立を図り、官邸における外交・安全保障政策の司令塔機能を強化します。

 これと併せ、我が国の国益を長期的視点から見定めた上で、我が国の安全を確保していくため、「国家安全保障戦略」を策定します。

 防衛大綱も見直し、南西地域の防衛態勢の強化を含め、自衛隊の対応能力の向上に取り組みます。
 
 ジブチには、砂煙が舞い、気温50度に及ぶ灼熱の中で、海賊対処行動にあたる自衛隊員たちがいました。

 「日本の自衛隊は、地域の安定にとって、素晴らしい貢献をしている」。ジブチのゲレ大統領からも、多国籍連合海上部隊のミラー司令官からも、自衛隊は高い評価を受けています。

 そして、アフリカ大陸のはるか内陸部。20年以上に及ぶ内戦を経て独立を果たした南スーダンでも、国連と協力し、平和維持活動に当たる諸君がいます。

 過酷な環境のもとでも、高い士気を保ち、見事に成果をあげる自衛隊を、日本だけでなく、世界が頼りにしています。日本に対する国際社会の期待の大きさを、改めて実感しています。

 日本国憲法が掲げる平和主義は、これからも堅持してまいります。無論、堅持していかねばなりません。戦没者の多大な犠牲の上に、現在の私たちの平和と繁栄があります。

 そのことを胸に刻みつつ、むしろ、平和を全力で確保するという重い「責任」を、私たちは果たしていかねばなりません。

 盤石な日米同盟を基礎に、我が国は、戦後68年間にわたって、ひたすらに平和国家としての道を歩んできました。そうした「過去」に、私たちは胸を張っていい。しかし、そのことは、「将来」の平和を保障するものではありません。

 世界は、相互依存を深めており、一国や一地域で生じた危機が、直ちに世界に波及するリスクは、かつてないほど高まっています。

 ペルシャ湾、ホルムズ海峡の安定、マラッカ海峡から南シナ海の平和など、世界に広がるシーレーンの確保は、資源小国の我が国にとって、死活的な問題であります。

 世界の平和と安定に寄与し、積極的な責任を果たすことなくして、我が国自身の平和を守ることはできません。

 世界のパワーバランスは、今、大きく変化しています。その変化が最も顕著に表れているのは、我が国の存在するアジア太平洋地域であります。

 私たちは、自らの目で国際情勢を見極め、自らの頭で日本の果たすべき役割を考え、自らの足で行動を起こして、世界の平和と安定のため、米国と協力し、国際社会と連携していかねばなりません。

 日米安保体制は、地域の平和と安定のための大切な公共財であります。この抑止力を高めるためにも、我々は、更なる役割を果たしていかねばなりません。

 沖縄をはじめとする地元の負担軽減を図るため、在日米軍再編を着実に進めます。

 地球儀を俯瞰する視点で、豪州、インド、ASEAN諸国など海洋アジア諸国をはじめ、「法の支配」や「海洋の自由」といった価値観を共有する国々と連携し、外交・安全保障面での結びつきを強めてまいります。

 併せて、安保法制懇での議論を深め、二十一世紀の国際情勢に相応しい我が国の立ち位置を追求してまいります。

 最後に、フランスの哲学者アランの言葉を紹介して、この訓示を締めくくりたいと思います。

 「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」という言葉です。

 私は、諸君の先頭に立って、国民の生命・財産、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜く決意です。そして、諸君と共に当たれば、必ずや守り抜くことができると「確信」をしています。

 その「確信」を、根拠あるものとするため、私は、「意志」の力によって、我が国の安全保障政策の立て直しを、必ずや実行していきます。

 諸君にも、強い「意志」を持って、日々、それぞれの持ち場において、自衛隊の果たすべき役割を全うしてほしいと願います。

 私と日本国民は、常に、諸君をはじめ全国25万人の自衛隊と共にあります。その誇りと自信を胸に、日本と世界の平和と安定のために、益々精励されることを切に望み、私の訓示といたします。


平成二十五年九月十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

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