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首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
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平成25年10月7日2013インドネシア APEC・CEO サミット安倍内閣総理大臣基調講演

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 ウィシュヌー・ワルダナ議長、リチャード・アドカーソンさん、ありがとうございました。
 APECを支えるCEOの皆様大勢に、こうして、お目にかかれる機会を、待ち望んでおりました。
 この背景にあるのは富士山であります。まさに日本の象徴、象徴であります、
 この富士山を前にして、皆さんにこうしてお話しできる機会を得たことは、私の喜びであります。

 昨年暮れに総理となって以来、私は、日本経済の再生を、
 第一、第二、第三に、優先すべき課題として、ひたぶるに、取り組んでまいりました。
 大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する、成長戦略という、私の呼ぶ「三本の矢」を相次いで放ち、この頃ではようやく、日本にはびこっていた停滞心理を、打ち破ることができました。経済再生を、緒につけることができました。
 そして、私にとっては重い決断をしてから、今日で6日です。いま私には、日本経済が、見通しの利かない十字路を抜け、直進路へ入った、生々しい実感があります。
 10月1日、私は、明年4月1日をもって、消費税の税率を、5%から、8%に上げる決断をしました。経済再生と財政健全化は、両立しうる。その他に、道はない。これが、私の結論であります。
 財政の健全化を図り、国の信認を維持することは、我が国が経済再生を進めていく上で不可欠です。財政再建は、私の成長戦略と車の両輪をなすものであります。
 同時に、消費税が上がったとしても、デフレ脱却のチャンスをより確実なものとする。そのための大胆な経済対策を果断に実行していきます。その規模は、5兆円。これは、一過性の対策ではありません。未来への投資であります。
 古いビジネスモデル、事業分野、設備は、集中して入れ替えが必要です。そのテコに、税制を活用します。日本企業に革新を促すため、税をインセンティブとして大胆に用いる。産業の新陳代謝による、成長力の強化。それが、私の目指しているところです。
 成長戦略という名の「三本目の矢」を、次々と放ちます。改革は、待ったなし。もはや岩盤のように固まった規制を打ち破るには、強力なドリルと、強い刃(は)が必要です。自分はその、「ドリルの刃」になるのだと、申し上げてまいりました。電力や農業、医療分野で規制の改革を進め、新たなサービス、新しい産業を興し、日本経済の活力を、そこから引き出します。
 我が経済政策の信認は、ひとえに、実行力にかかっているのですから、速やかに、実行します。

 さて、このAPEC CEO サミットも、今日で3日目。私は残念ながら昨夜到着したばかりなのですが、皆さんはすでに、このバリ島を満喫されたことでありましょう。
 バリ島をはじめ、この太平洋に、かつて、多くの欧米人が、世界最高の理想郷を見出しました。
 彼らは、正しかった。私は、この20年以上に及ぶAPECの歴史を振り返るとき、そう思うのです。
 APECは、単に貿易・投資の自由化を目指すだけの枠組みではありません。その生い立ちから、自由で、開かれたものでありました。拘束的ではなく、自発性を重んじ、そして何よりも、皆様方、ビジネス界との連携を大切にしてきた。
 自由で、チャレンジを重んじる精神。それこそが、APEC精神であると私は考えます。

 そうした精神は、極めてユニークな成果を生み出してきました。
 例えば、APEC・ビジネス・トラベル・カード。皆様もお持ちかもしれません。
 すべてのAPECエコノミーが参加しているわけではないし、強制するものでもありませんが、そこがいかにもAPEC精神です。
 ビジネス界の提案でも何でも、良いものであれば、まずは、可能なエコノミーからやってみる。メリットが大きければ、その輪が広がっていく。
 そうした「APEC精神」を貫くことによって、この地域は力強く発展してきました。1990年から2010年の20年間で、域内の名目GDPは3倍以上、域内の貿易額は6倍ほどになりました。
 世界人口の4割以上が集まり、発展のレベルが様々に異なる、広いアジア・太平洋地域では、そうした「APEC精神」こそが、よりよい世界を目指す近道であったのだと思います。
 そのAPECが、昨年また、世界に先駆けて、新たなチャレンジを実現させました。
 再生可能エネルギー、水処理、リサイクル対策に用いる機器など、「環境物品」に対して、2015年末までに、関税を引き下げていくことで合意しました。
 環境にやさしい「グリーン成長」を、このアジア・太平洋で目指していこう。そのコンセプトに合意し、それぞれのペースで、歩みを進めていく。まさに「APECならでは」のチャレンジではないかと思います。
 IMFの予測では、2017年には、2010年と比べて、APEC域内のGDPは、さらに20兆ドル増えると見込まれています。2000年当時、APEC全体のGDPがおおむね20兆ドルでしたから、その頃のAPECが、この7年間でもう一つ生まれる計算になります。
 その中心に、活力に満ち溢れたASEANの国々があります。
 ただ、急速な成長には、道路を整備し、交通インフラを充実しなければなりません。災害に強い都市をつくり、廃棄物対策も不可欠です。水道も、電気も必要になります。
 2020年までに、アジア地域で、8兆ドルものインフラ投資が必要になると見込まれます。
 私は提案したいと思います。この機会に、交通で、エネルギーで、世界を超越する(リープフロッグする)インフラを、アジア・太平洋につくりあげようではありませんか。
 長く使用するインフラだからこそ、ライフサイクルコストをふまえた、信頼性の高いものが必要です。グリーン成長に資する環境性能の高いインフラ。何よりも、安全性が確保されたインフラでなければなりません。
 さらに、そのインフラを、大きく、東西に、南北につないでいきましょう。そのネットワークこそが、強靭なアジア・太平洋をつくりあげると考えます。
 確かにコストは低い方がいい。ただし、「ただ安ければいい」はいけません。そのような状況は、自由でダイナミックなAPECには似合いません。
 世界の先端を目指して、良いものを皆で競い合い、そして、あらゆる技術やノウハウが融合する。そんな理想を追い求める姿が、アジア・太平洋にはふさわしいと思います。
 ここで、少しだけ、日本の宣伝をさせてください。日本には、エネルギー不足や公害など様々な制約を克服しながら、高度経済成長を成し遂げた経験があります。そして、そこから生まれた技術があります。私達には、こうした経験と技術を、惜しむことなく共有する意志があります。だから私は、日本の経験と技術、それらを共有する意志を、ASEANの未来へ大いに役立ててもらいたいと願っています。

 一つの例をご紹介しましょう。
 ここインドネシアでは、急速な成長にあわせて、電力需要が、10年間でおおむね2倍に伸びる、と予想されています。
 これに応じるため、インドネシアの石炭を使って、文字通り、世界最高の火力発電所をつくろうとするプロジェクトが、中部ジャワ州で進んでいます。
 世界発電量の4割を担う石炭火力発電。この技術で、日本には、皆さんに使っていただけるものがあります。高温で石炭を燃焼する超々臨界圧(USC)という技術によって、日本の発電所では、世界の平均を10%近く上回る、43%の燃焼効率を実現しています。さらに、長期にわたって運転しても効率がほとんど下がらないのが、日本の技術の特徴です。
 ちなみに、世界の石炭火力発電所を、この技術で置き換えることができれば、地球温暖化問題への対応は大きく前進することでしょう。
 わたしたちはその技術を、インドネシアに持ってきます。世界最高レベル、100万kw級石炭火力発電所を2基、総事業費40億ドルで建設し、25年間にわたる長期の売電契約を結びました。信頼性ある技術を持っているからこそ、できることです。
 ここに、インドネシア最大のエネルギー総合企業であるアダロ社の力が加わります。国内最大の炭鉱を所有するアダロ社が、現地で、石炭の安定的な調達を担います。
 日本の「技術」と、インドネシアのアダロ社の「現地の知見」、ここに外部からの「資金」があわさる。総力を結集することで、世界最先端のプロジェクトが実現します。
 企業の皆さん。皆さんの国で、これから進むであろう、インフラ整備や都市開発。日本は、技術と経験で貢献する意志があります。そのパートナーは、現地に根をはっている「皆さん」です。一緒にやりましょう。そして、投資家の皆さん。ここに投資のチャンスがあります。

 「APEC精神」のもとに、地域の技術・知恵・資金を結集することで、世界最先端のインフラづくりを進めます。そのことが、地域の人々の生活水準を押し上げることで「progress(進歩)」に寄与し、APEC地域全体に「prosperity(繁栄)」をもたらすに違いありません。
 その先には、経済的な相互依存を深め、切っても切れない関係が強まります。「peace(平和)」の基盤も生まれてくると考えています。
 APEC精神の先にある、3つの「P」。かつて西洋人たちがバリに見た「The Last Paradise」を実現するポテンシャルが、APECにはある。私は、そう信じます。
 共に進歩し、繁栄する。そのための土俵づくりこそが、TPPであり、RCEPであると考えます。その先にあるFTAAPは、もはや絵物語ではありません。APECが築き上げた歴史と成功は、私たちを勇気づけてくれます。
 私は、アジア・太平洋からインド洋へ広がるシースケープを、今世紀の、富の大道と見ています。
 人やモノが自由に行き交い、融合し、新たな価値を生み出す地域。アジア・太平洋には、創造力に満ち溢れた、豊かな市場が日に日に姿を現しています。日本は、APECエコノミーと深く結び合いながら、うねりをもっと前へ進めるのに力を惜しまない覚悟です。

 私の推し進める外交・安保の政策課題とは、これとまったく同じだということを述べて締めくくりにします。
 日本は、規範に基づく国際社会のルールを重んじ、人類社会が獲得した基本的価値をともにする、国々の一員として、国際協調のもとで、世界に平和と、安定をもたらす、積極的貢献者であろうとしています。
 アジア・太平洋からインド洋へと連なる、ひろびろとした、繁栄する経済をつくろうとする日本は、外交・安全保障でも、この地域をルールに基づく、自由で風通しのいい場所にしようとしています。同じ意欲の、異なる表現に過ぎない両方の道を、日本は進もうとしています。
 皆さんと共に、その道を歩んで行きたいと考えております。ご清聴ありがとうございました。
 Thank you very much.

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