本文へ移動

首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
言語選択
English
中文
表示選択
PC
モバイル
文字サイズの変更
中
大

平成26年3月10日安倍内閣総理大臣記者会見

動画が再生できない方はこちら(政府インターネットTV)

【安倍総理冒頭発言】
 明日であの東日本大震災から3年。私が総理に就任して2度目の3月11日を迎えます。
 まず冒頭、改めて、大震災によって亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、愛する御家族を失った皆様に心からお悔やみを申し上げます。また、今なお行方のわからない方々の御家族を始め被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げます。
 この1年間、ほぼ毎月、被災地を訪問してきました。「用地確保が難しい。」昨年春、耳にしたのはこうした声ばかり。手つかずの土地もたくさんありました。復興を加速するため実行したことは二つ。現場主義を徹底し、役所の縦割りを打破することでありました。現場の課題を一つ一つ解決し、今や高台移転や災害公営住宅の建設は、その7割で事業をスタートしています。冬には、岩手や宮城で完成した災害公営住宅に足を運ぶことができました。釜石市では、入居した御家族、お子さんたちがあふれる笑顔で私を出迎えてくれました。この1年は、大きく遅れていた復興が動き始めた1年となったと考えています。今もなお、たくさんの方々が避難生活を送る現実があります。次の3月11日こそは、もっと多くの方に新たな住まいで迎えていただきたい。来年3月末までに200地区に及ぶ高台移転と1万戸を超える住宅の工事を完了してまいります。
 田老魚市場のワカメ、相馬原釜漁港で水揚げされたシラス、石巻湾で養殖されたカキ、地場でいただく海産物の味は格別でありました。福島広野町では、3年ぶりに作付できた水田を前に、農家の皆さんが農業が再開できる喜びを語ってくれました。草を引き、あぜを守り、水を保つ。古来、こうした営みを五穀がなるように努める技として、生業(なりわい)と呼んできました。今年は被災した農地の7割で営農が再開できる見込みです。農水産業を始め地域に根づいた産業を興すことで暮らしを支える生業の復興にも力を入れていきます。これからの1年を被災地の皆さんが復興を実感できる1年にしていく。その決意であります。
 インフラや住宅の復興が幾ら進んでも、被災者が心に受けた傷が癒されるわけではありません。震災から3年、長期にわたる避難生活が大きな精神的な負担ともなっています。人と人のつながりを守り、被災者が孤立することのないよう、地域の見守り体制をつくります。仮設住宅への保健師などの定期巡回を進め、被災者の心に寄り添った支援に重点を置いてまいります。
 特に子供たちへのケアは欠かせません。従来から、カウンセラーの学校への派遣を行ってきましたが、仮設住宅への巡回訪問も実施することとし、子育て世帯も含めてバックアップしてまいります。さらに、仮設住宅の空き部屋を遊び場や、学習スペースとすることで、子供たちが安心して過ごせる場所をつくってまいります。これからは、ハード面の復興のみならず、心の復興に一層力を入れていきます。
 福島では、田村市への避難指示について、来月1日から解除することを本日決定いたしました。いよいよ避難されていた方々の帰還が始まります。これはゴールではありません。ふるさとを取り戻すスタートにすぎません。おととい、田村市の都路地区でふるさとへの帰還を待つ皆様からお話を伺いました。一人の女性が、「さまざまな不安はあるが、とにかく前進あるのみだ。」と語ってくれました。健康や仕事などの不安を一つ一つ解消し、帰還した皆さんがふるさとで安心できる暮らしを取り戻すまで、私たちの取組は終わりません。
 放射線による健康への不安には、万全の対策を進めます。体に受ける放射線量を希望に応じてきめ細かく管理し、分析し、専門家から丁寧な説明を受けられるようにします。今後も、健康診断を継続し、身近な場所で気軽に相談できる体制も整えます。
 地元商店の皆さんによる共同の店舗が来月から営業を開始します。新たなコンビニも誘致することで、住民の皆さんの買い物への不安を解消します。
 さらに、都路地区では、避難指示解除に先立って、昨年から米の作付も行ってきました。今後も、作物を放射性物質から守るための対策など、営農を再開する農家を応援します。
 国会審議が連日続いておりますが、私はその合間に、毎日官邸で福島産のお米を食べてパワーをもらっています。今年の秋は、田村市でできたお米もぜひともいただきたいと思います。米の全量検査を継続することに加え、私自身が先頭に立って、風評被害の払拭に努めてまいります。
 東京電力福島第一原発の廃炉、汚染水対策について、引き続き国も前面に立って万全を期していくことは言うまでもありません。その上で、田村市だけでなく、他の市町村でもふるさとに早く戻りたいと願う方々の思いに応えられるよう、避難指示の解除を目指し、除染やインフラ復旧を進めてまいります。
 原発避難者の皆さんへの高速道路の無料措置も延長します。他方、新しい場所で生活を始める皆さんには、賠償のお支払い手続を来月からスタートします。速やかに生活再建の見通しを立てることができるよう、着実な実施に努めます。
 「福島の復興なくして日本の再生なし」、私は繰り返しこう述べてきました。原発事故で大きな被害を受けた福島の浜通り地方、そこを南北に貫く常磐自動車道の完成は、復興の起爆剤となるはずです。現在、東京から被災地の富岡までは通行できますが、その先は、一部がまだ建設中。全体の完成時期は明確に決まっておらず、再来年度以降にずれ込む見込みでありました。しかし、福島の復興を大きく加速させるため、私はこの予定をできる限り前倒しいたします。来年3月末までに、仙台から被災地の浪江までのルートをつなぐ予定でありましたが、これを前倒しし、今年中に開通いたします。その上で、福島を始め東北の被災地にたくさんの観光客に訪れていただけるよう、来年のゴールデンウイーク前までに常磐道を全面開通することといたしました。
 2020年にはオリンピック・パラリンピックが開催されます。その準備が復興の障害となってはならない。復興に必要な人や資材の確保に引き続き、国が先頭に立って万全を期すことは言うまでもありません。むしろ、東北が復興を成し遂げた姿を、世界に発信する機会としなければなりません。三陸海岸から仙台湾を通り、福島の浜通りへ、津波や原子力の被害から見事に復興を成し遂げた東北の被災地を聖火ランナーが走る姿は、日本のみならず世界に勇気を与えてくれることでしょう。アスリートを始め世界中から集まる皆さんには、東北に足を運んでいただきたい。そのための工夫も凝らしてまいります。
 明日、被災地で3歳の誕生日を迎える子供たちがいます。震災のその日に生まれた子供たちです。6年後には小学4年生となるこの世代の成長の歩みは、まさに復興の歩みとも言えるものです。2020年には、復興のシンボルともいうべきこの被災地の小学4年生を始めできるだけ多くの子供たちを東京オリンピック・パラリンピックに招待したいと私は考えています。そして、成長した姿を日本中の人たちに、世界の人たちに見てほしい。同時に、その輝く瞳に世界のアスリートたちの活躍する姿を焼きつけてほしいと願います。
 50年前、当時小学4年生だった私は、東京オリンピックを目の当たりにして、大いに感動しました。今も忘れることができません。その感動を被災地のそして日本の未来を切り拓く子供たちにぜひとも味わってほしいと願っています。
 私からは以上です。

【質疑応答】
(内閣広報官)
 それでは、皆さんから質問をいただきます。質問を希望される方は挙手をお願いいたします。私から指名いたしますので、所属とお名前を明らかにされた上で質問をお願いいたします。本日は後ほど被災地の地域のメディアの皆様からも質問をいただきたいので、各質問は簡潔にお願いいたします。
 それでは、どうぞ。

(記者)
 幹事社の朝日新聞の円満と申します。質問させていただきます。岩手、宮城、福島の被災3県の生活再建についてお伺いします。
 3県の復興住宅の着工率は、計画予定を下回る数にとどまっているという報道があります。この理由として全国で公共工事が盛んになったこと、建設資材の値上がりや作業員の不足が生じていることなどが原因として指摘されております。安倍政権としてこの問題にどう対応していかれるお考えでしょうか。お聞かせください。

(安倍総理)
 総理に就任以来、13回にわたり被災地を視察いたしました。昨年春ごろはあちこちで用地確保が難しいという切実な声がありました。特に、いつ、何戸の住宅が再建されるかの見通しも全く立っていませんでした。
 こうした中、安倍内閣におきましては、省庁の縦割りを排しながら現場主義を徹底し、政府一丸となって加速化に全力をあげました。被災地の抱える課題は制度面、執行面、多岐にわたります。現場主義で用地取得手続の迅速化、そして自治体へのマンパワー支援などきめ細やかに対応してまいりました。
 また、事業の円滑な執行のため、新たな生コンクリートプラントの増設や労務単価の引き上げなども実行いたしました。そして、その結果、高台移転や災害公営住宅の建設は約7割で事業が開始しました。来年3月末までには1万戸を超える災害公営住宅の工事が完了する見込であります。冬には完成した災害公営住宅に伺い、入居した御家族の笑顔にも触れることができました。遅れていた福島の復興公営住宅についても、現在、御要望をいただいている5,000戸のうち8割について年度内に用地確保のめどをつけるなど、早期の整備に努めてまいります。また、追加整備することといたしました1,190戸についても、年度内に一定の方向性を示したいと思います。今後とも一つ一つ解決をし、被災者の皆様が1日も早く普通の暮らしに戻れるように全力を尽くしてまいります。

(内閣広報官)
 それでは、次に幹事社どうぞ。

(記者)
 幹事社から2問目です。テレビ朝日の足立と申します。
 東日本大震災をきっかけに止まっている全国の原子力発電所についてお伺いします。
 原発の再稼働については、東京都知事選でも争点となったように反対論が根強くあります。安倍総理は先ほどの委員会でも再稼働の必要性を強調されていましたが、政権として原発の再稼働にどう対応される考えか、また、具体的なスケジュール感も含めてお聞かせください。

(安倍総理)
 福島の事故を経験いたしまして、国民の皆様が原発の安全性に不安を持つのは当然のことだと思います。福島の事故の教訓を踏まえて安全を確保していくことが大前提であります。その前提のもと、独立した原子力規制委員会が、世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づいて徹底的な審査を行い、これに適合すると認められた原発について再稼働を進めていく方針であります。
 スケジュールにつきましては、原子力規制委員会で安全審査中でありますことから、私から予断をもって申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

(内閣広報官)
 それでは、幹事社以外の方の質問をお受けいたします。ジョナサン。

(記者)
 イギリス、フィナンシャル・タイムズのソーブルといいますけれども、ウクライナ情勢について伺いたいのですが、一見、震災とは直接関係ないように思われるのですが、原発が止まっている中でロシアからガスを大量に輸入している日本の立場は非常に難しいと思うのですが、安倍総理御自身もロシアとの関係改善に力を入れていて、北方領土問題の解決あるいはエネルギーなど経済協力の強化などに努力をされていると思うのですが、今度のウクライナの情勢が北方領土交渉にどのような影響を及ぼすのか。また、これから、ガスを輸入している日本から見て経済制裁の是非をどうご覧になっているか。例えば一定の条件がそろって制裁を検討するという、もしそのような具体的なビジョンがあれば教えてください。

(安倍総理)
 ウクライナ情勢については、我が国は全ての当事者に対し、自制と責任を持って慎重に行動し、関連国際法を完全に遵守し、ウクライナの主権と領土の一体性を尊重することを強く求めています。
 近く、谷内国家安全保障局長をロシアに派遣をして、このような我が国の考えを改めて伝えるとともに、数十カ国とよく連携をし、平和的手段による事態の解決を求めていく考えであります。
 同時に、日露関係の発展は、我が国の国益に資するものであり、今後とも対話を重ねつつ、粘り強く北方領土問題の解決に取り組んでいく考えであります。

(内閣広報官)
 それでは、時間の許される範囲で、被災地域のメディアの方から御質問をいただきたいと思います。
 それでは、若林さん、よろしいですか。

(記者)
 河北新報の若林と申します。
 被災地は、人口流出が今も止まっていませんで、発災から3年となる今も縮みつつあるという状況にあります。この点に関する総理の受けとめというのをお聞かせいただきたいのが1点。
 一方で、政府は復興を通じた新しい東北の創造というのを目指していらっしゃいます。東北地方への医学部新設などに向けた動きなどもありますけれども、こうした取組への意欲と今後のスケジュールの見通しをお聞かせいただきたいのですが。

(安倍総理)
 被災地を単に現状復旧するのではなく、震災復興を契機として、人口減少、高齢化、産業の空洞化等の課題を解決をしていくことが重要であると考えています。
 私自身、昨年12月、宮城県で、地域の産学官の協力による未来の自動車交通システムの研究開発の様子を拝見いたしました。未来を見据えたこうした取組は東北の希望だというふうに感じました。
 政府としては、我が国が世界のモデルとなるような、新しい東北の創造にしっかりと取り組んでいく考えであります。
 以上であります。

(内閣広報官)
 それでは、渡部さん、どうぞ。

(記者)
 福島民報の渡部と申します。
 福島県内で第一原発事故による避難の長期化によるストレスで亡くなる方が1,600人を超えております。地元では原発事故関連死という言葉ができるほどの社会問題と化しているわけですけれども、賠償を巡っては原発事故と死亡の因果関係の認定に関する法整備が必要だというような声も出ているのですけれども、そういった点に対しての対応と、先ほど心の支援ということを強化するというお話もございましたけれども、原発災害関連死をなくすためにどのような取組をされていくのか、見解をお伺いします。

(安倍総理)
 避難中に何とか住み慣れた自宅に戻りたいという思いの中で、亡くなられた方々がおられるということは、本当に心が痛みます。しっかり対策を講ずることが必要であるというふうに認識をしています。
 政府としては、震災関連死を防ぐために、住宅再建、復興、まちづくりの加速化に取り組むと同時に、避難者の健康面、生活面での対策を適切に講ずるために、まず保健師による巡回保健指導、それを行う保健師の確保等の支援、そして、被災地でのサポート拠点における相談支援、生活支援サービス、地域交流等の支援などを行うこととしておりまして、今後とも政府一体となって取り組んでいく考えであります。

(内閣広報官)
 それでは、時間が押しておりますので、最後に1問だけお願いいたします。
 それでは神田さん、どうぞ。

(記者)
 岩手日報の神田と申します。
 被災地としては、震災の風化というのを懸念しているのですけれども、安倍政権としては引き続き今までどおり復興というのを最重要課題と位置づけて取り組んでいかれるのかどうか教えていただけますか。

(安倍総理)
 安倍政権としては、「被災地の復興なくして日本の再生なし」、この考え方のもとに被災地の復興を最重要課題の一つとして取り組んでおります。被災地の方々にとって、この3年前の出来事が段々風化をしていく、大変不安を感じておられるのだろうと思いますが、政府としては絶対にそんなことにはしないと、しっかりと我々は取り組んでいく考えでもありますし、国民的にもしっかりと東北の復興を見つめながらみんなで支援をしていく、こういう気持ちで取り組んでいくことが大切なのだろうと思っています。
 被災地の方が1日も早く普通の暮らしに戻れるようにしたいと思っております。その思いは、少しも変わっておりません。
 復興の現場では、安心できる住まいの再建、暮らしを支える生業の復興、そして、福島の復興、再生を望む声が大変強いと認識をしています。
 さらに、避難生活が長期にわたる中、子供たちの心のケアを始め被災地の方々の心の復興にも一層力を入れていかなければならないと考えています。政府一丸となって、現場主義で課題を解決をしながら復興を加速していきたいと考えています。
 この1年で復興は確かに大きく動き始めましたが、震災4年目は、被災地の皆さんが復興を実感できる1年としていきたいと思います。

(内閣広報官)
 ありがとうございました。
 では、以上をもちまして記者会見を終わらせていただきます。

ページの先頭へ戻る

内閣官房内閣広報室
〒100-8968 東京都千代田区永田町1-6-1

Copyright © Cabinet Public Relations Office, Cabinet Secretariat. All Rights Reserved.