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首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
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平成26年4月17日ジャパン・サミット2014 安倍内閣総理大臣基調講演

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 アンドリュー・ステイプルズさん、ドミニク・ジーグラーさん、すばらしい機会を提供していただいたこと、厚く御礼を申し上げます。タムジン・ブースさん、日頃の取材活動に、敬意を表します。そしてみなさん、おはようございます。15分お話しし、その後質問にお答えをしたいと思います。

 スピーチに入る前に昨日発生いたしました、韓国における船舶の事故によって被害に遭われた方々、御家族に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 最近私は、30年以上、日本経済の循環を眺めてきた練達のエコノミストによる、ひとつの分析を目にしました。
 「コンドラチェフの波」として知られる、技術革新やインフラ更新が左右する超長期の循環、また、建設投資を要因とする、長期の循環に当たる「クズネッツの波」。それから、中期、短期の循環である「ジュグラーの波」、「キチンの波」。
 これらの超長期から短期に及ぶ4つの波が、いま、日本経済では、揃いも揃って、みんな上向きだと、その意味で、珍しい現象が日本経済に起きている、という分析です。
 これを知って、私は3つのことを思いました。

 第一は、日本経済を安定した新しい成長軌道に乗せる、絶好の機会が訪れている、ということです。
 私の内閣が追求している経済政策は、今年、一人、ひとりを豊かにし、全国の隅々に、成長の成果を届けないといけません。その実現へ向け、一層拍車をかけて行こう。そう思いました。
 第二は、日本が置かれている地理的有利性を活かす、ということです。
 世界の経済が猛烈なスピードでつながりつつある中、日本は“Far East”ではなく、“Center of the Pacific Rim”です。
 そして、アジア近隣諸国、東南アジアからインドに及ぶ、世界の成長センターに、日本は隣接しています。
 成長途上のベトナム、あるいはインドで、日本の直接投資が増えています。すると必ず、日本の工作機械や、資本財に対する需要を、旺盛に生み出します。
 アジアという偉大な成長センターは、日本を今後長い間、押し上げ続けるに違いありません。
 第三に、だからこそ、日本は経済をもっと開放し、外の活力、外国の知恵や人材、資本を、積極的に取り入れる国にならなければならない、ということです。
 伸びるアジアの活力を、そのまま取り込んで、成長できる国にならなければならない、ということです。

 少し説明を補足しますと、まずは「国家戦略特区」のことです。
 東京圏、関西圏、沖縄県、新潟市、兵庫県養父市、福岡市の6つを、国家戦略特区として、近々決定します。
 例えば、東京圏では、The sky is the only limit.「大空だけが、限界」です。さまざまな試みをさせ、果実を全国に及ぼしていきます。
 医療、教育、農業、そして雇用慣行。何がどう、時代の要請に合わなくなっているのか。まさしく岩盤のような規制の体系に、特区は改革のメスを入れていきます。
 いつも言うように、私自身が、固い岩盤を砕く、ドリルの刃になります。

 私は、世界の各パートナーとのEPA交渉を、かつての我々とは別次元のスピードで、加速させています。
 まずオーストラリアとの経済連携協定は、4月7日、トニー・アボット首相との間で、大筋の合意に漕ぎ着けました。
 次は、TPPです。
 先頃オランダのハーグでは、交渉妥結に向け力を込めて行こうと、バラック・オバマ大統領との間で、確認をいたしました。
 日本と米国、ルールを重んじ、自由、民主主義を奉じ、最先端の技術、産業を持つ国同士、互いの違いを乗り越えて、共に21世紀の、アジア・太平洋の確固たる経済秩序を作りたい。
 成長の、ゆるぎない土台を作りたい。いや、作らなければならない、そう固く信じています。
 EUとのEPAも、実現に向け、私たちは全力を挙げます。
 一方にTPP、もう一方に、日本とEUのEPA。それが実現すれば、大きな大きな市場が出現します。自由で、開かれた、しかも高度な、統合された経済が現れます。世界中を潤す、ひとつの巨大な、成長のエンジンが回り始めます。
 私は何としても、それを実現させる覚悟です。

 日本のフロンティアは、アジア・太平洋すら超え、中南米へ、アフリカへと広がる時代です。
 であれば、これまでの内向きな姿勢は、完全に捨て去らなければなりません。
 外国の、能力あふれる皆さんに、日本で、もっと活躍してもらう。そのための新たな仕組み作りに、今月、着手しました。
 やる気と向上心に満ちた、たくさんの若者が、すでにもう、世界中から、特に、アジアの近隣諸国から日本へやって来て、日々勉学に、勤労にいそしんでいます。
 そんな若者たちに、いつも礼儀正しく、優しく接する日本でなければなりません。礼儀正しさこそが、日本の誇りです。
 日本で仕事をしたい、学びたい、と思う人々にとって、日本は希望でなければなりません。彼らを貶めたり、寛容さを失ってはならない。それが、日本なのだ、と私は信じています。

 もうひとつ、改めなければならないのは、何事も、男性本位に見ようとする発想です。
 政府が雇う職員は、少なくとも3割を女性にすると決めました。いま、上場企業に、最低でも1人、女性をボードメンバーとして加えるよう、働きかけをしています。
 アリアナ・ハッフィントンさんの言葉をいつも借用するのですが、「リーマン・ブラザーズが、もしリーマン・ブラザーズ・アンド・シスターズだったら、今でも立派にやっていたのではないか」、という見方があります。
 多様性を育てることができれば、企業も、経済も、長い目で見て安定します。社長が、女性や外国人でも、ニュースにならないくらいになれば、日本はまた一皮むけて、リスクを果敢に取って、イノベーションに突き進む気風を取り戻すのではないでしょうか。
 女性が活躍する社会は、出生率も上がると、ウィメノミクスは言います。基盤として必要な、託児施設の拡充など、必死に取り組もうと思っています。

 日本とは、時、至れば、大きく変わる国です。日本の人々は、ある時点を超えたら、変化を進んで受け入れるばかりか、前へ、前へと、変革を進める力を持つ人たちです。
 この、1年余りという僅かな間に、私たちは、今述べてきたような様々な改革の必要性を、ごく普通に、議論するようになりました。
 伝統の良さを大切に残したまま、日本社会は多様性を認める方向に、それも、寛いだ態度で、日本的なやり方で認める方向へ、今加速度をつけて、変わろうとしています。
 オリンピック・パラリンピックが、6年後、また東京にやってくる。そのことが既に、大きな触媒になっています。
 私たちは、変わることができる。むしろ、変化を楽しむことができる。それを、これからの日本は皆さんに示していきます。

 それで思い出すのは、かれこれ、16年前のことです。
 1998年の9月、エコノミストが載せた特集は、「日本の能力は、まったく驚くべきものだ」と、表紙に大きく書いてありました。
 もちろん、褒め言葉ではありません。
 そういえば、去年、エコノミストは、私を、空飛ぶスーパーマンに喩えていただきました。でも、あれももしかすると、「やっぱり失速して、結局墜ちちゃった」と、あとから茶化そうと、思っていたのかもしれません。でも、その期待に私は応えるわけにはいかない。
 16年前、エコノミストは日本のどんな能力に驚いたかというと、「がっかりさせる、失望させる」力となると、日本は大したもんだと、そう手厳しく、指摘をしたわけです。
 Japan's Amazing Ability to Disappoint。「JAAD」と、略してみましょうか。
 しかし私は、ここにいるタムジン・ブース、そしてドミニク・ジーグラーのお二人が、こう言いたいのを知っています。
 JAADでなく、JAAA。Japan's Amazing Ability to Amaze、JトリプルAです。
 すでに、ドミニク、あなたがこの街にいた頃と比べても、東京は、治安の良さ、街の清潔さ、澄み渡った青空、そのまま飲める水道水を維持したまま、その景観を、大きく変えましたね。
 お気づきだと思いますが、タイや、インドネシアだけではなく、中国や、韓国からの観光客が、どんどん増えています。
 日本はその外観ばかりか、内実を、これからもっと変えていきます。耳を澄まし、目を見張り続けてください。

 変わらないもの、変えてはならないものもあります。
 新しい日本の、新しいバナー、「積極的平和主義」を支える、私たちのトラック・レコードのことです。
 国連が掲げた理想の旗に、日本はいつも、忠実でした。分担金や、各機関への拠出金で、昔も、今も、トップクラスです。
 まだ経済がよちよち歩きだった頃から、対外援助を始め、アジアに、アフリカに、ボランティアの若者たちが出て行きました。
 今年の1月、モザンビークで、そういう若者たちに会いました。女性の数が、とても多い。みんな、苦労を苦労と思わず、楽しんでさえいる様子が、伺えました。
 日本の援助思想には、一貫した背骨があります。一人、ひとりの力を、育て、自助・自立を促す考え方です。労働を、喜びと感じるオーナーシップを育てるため、一緒に汗をかくという発想です。
 若いボランティアたちの目は、この思想で輝くのです。
 そして、日本の自衛隊。自衛隊の諸君は、先の東日本大震災の後、米軍や、豪州軍と、水際立った連携を見せました。
 日本中が悲嘆にくれたとき、その連携は、実に頼もしかった。しかしあれは、ほんの一端でした。
 自衛隊は、ハイチで、インドネシアで、最近ではフィリピンで、出かけて行ったすべての土地で、地元の人たちから、深い感謝と、敬意を勝ち得てきました。
 私たち日本人は、平和と、人権と、民主主義を尊ぶ、心根の優しいサービスを、高い練度において確立しました。
 それが日本の達成。日本は正当な自信を持つべきです。

 変化する日本で、不易のものとは、こうした私たちの、生き方そのものです。
 デフレーションが、日本をうつむかせ、ともすれば内向きにしたのだとすると、成長に向かって、再び上を向いて歩きはじめた今、世界の繁栄、安定を支え、安全を自ら担う気概を、私は「積極的平和主義」のバナーに託します。
 世界を幸せに、豊かにするのに欠かせない、宇宙、サイバースペースから、空、海に至る国際公共財を、価値と、利害を共にする国々と力を合わせ、守り、育てていきます。
 そのため、あらん限りの知恵と、能力を発揮したいと思います。
 私の言う「積極的平和主義」には、そういう意味を込めています。
 喜んでそれを担おうとする若者を、アベノミクスが育てられるのであれば、こんなに嬉しいことはありません。
 私がモザンビークで見た、輝く瞳を持つ若者たちのように、明るく、礼儀正しく、着実に、世界の平和と、繁栄と、安全のため、嬉々として努めようとする新しい世代の日本人。
 そんな次世代の若者を育てることこそ、私たち日本の政治家の責任です。アベノミクスは、だからこそ、成功させなければなりません。
 御清聴ありがとうございました。

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