日本経済団体連合会 定時総会

平成27年6月2日
挨拶する安倍総理1 挨拶する安倍総理1
挨拶する安倍総理1
挨拶する安倍総理2 挨拶する安倍総理2
挨拶する安倍総理2

 平成27年6月2日、安倍総理は、都内で開催された「日本経済団体連合会定時総会」に出席しました。
 
 安倍総理は、挨拶の中で次のように述べました。
 
「本日はお招きをいただきまして、ありがとうございます。
 経団連の皆様には、経済界をリードして、経済再生の加速化に一丸となって、取り組んでいただいております。特に榊原会長には、御就任から1年間、経済財政諮問会議や政労使会議においても、思い切った決断で、政府の取組を後押ししていただきました。改めて深く感謝申し上げたいと思います。
 戦後70年の節目である今年は、改革断行の1年であります。安倍内閣は、戦後以来の大改革に取り組むにあたって、実行を何よりも重んじています。この通常国会では、農業、医療、エネルギー、雇用といった岩盤規制改革を強力に推し進める法案を、国会に提出しています。論戦もいよいよ本格化します。全力で法案の成立を目指します。改革が後退したり骨抜きになることは、決してありません。
 経済活動から国境は消えました。国際競争に打ち勝つことができなければ、日本は生き残ることはできません。国内の構造改革を大胆に進めていくことで、国際競争力を高める。同時に、経済連携によって広い経済圏に打って出る。私の成長戦略の鍵は内外一体の改革です。TPP交渉は最終局面です。いよいよ出口が見えてきました。
 先日米国を訪問した折も、米国と共に交渉全体をリードし、早期の交渉妥結を導いていくことを、オバマ大統領と確認することができました。そして先週、EUとの首脳会談で、日・EU、EPAの年内合意を目指して、交渉を加速化させることに合意しました。アメリカとヨーロッパの2大経済圏を相手に、人、モノ、資本の壁を一気に取り払っていく大改革に挑戦します。
 政権発足以降、全力で取り組んできた、『3本の矢』の経済政策は確実に成果を上げつつあります。企業の経常収益は過去最高水準、有効求人倍率は23年ぶりの高水準となり、就業者の数は90万人増加しています。この動き始めた経済の好循環を力強く回し、景気回復の風を全国津々浦々に届けるためには、今年は正に正念場であります。
 経済の好循環・拡大の鍵を握るのは、何と言っても賃上げであります。皆様には今春の春闘で、非常に前向きな回答をいただいておいます。今年は昨年以上の賃上げが見込まれています。更に経団連の皆様には、中小企業の賃上げ環境の整備をもう一歩進めるため、価格転嫁対策でも御努力をいただいております。こうした皆様の勇気ある御決断に深く感謝申し上げたいと思います。
 総理大臣として最初に経団連を訪問させていただいた際は、注文ばかりさせていただいたのでございますが、今日は御礼ばかりをまず申し上げたいと思います。
 今後も賃上げが続いていけば、消費は回復していくことが期待できます。しかし、消費の改善だけで持続的な経済の好循環が実現できるわけではありません。この4月に失業率は18年ぶりに3.3%まで改善しました。歓迎すべき成果です。しかし、一方で完全雇用に近づいているという見方もあります。しかも、生産年齢人口の増加は当分期待できません。消費だけが拡大しても生産性が向上しなければ、いずれ成長は供給力の限界にぶつかってしまいます。
 経済の好循環に向けたアベノミクスは、新たなステージに入ります。生産性を高める鍵は、なんといっても投資です。将来の発展に向けた設備、技術、人材への投資です。20年近いデフレの中で、投資は抑制されてきました。この間に、日本の製造業の設備の年齢は、1.5倍に高齢化、陳腐化してしまいました。私が全力を傾けて進めている岩盤規制改革、法人税改革、経済連携、そして第4次産業革命に向けたロボット革命戦略やデータ利活用社会への大変革。どれも民間の投資を促す政策です。改革のための改革ではありません。いくら改革を進めても、民間企業が投資を実行しなければ、意味がありません。アジアの国々に比べて市場が成熟している日本で、高度成長時代のような単なる能力増強投資を期待しているのではありません。
 経済の好循環に必要なのは、生産性を高める新たな技術やビジネスモデルを実際の設備に導入する投資です。先日、北陸を訪問した際、コマツの工場を視察させていただきました。これまでの工場を全面的に建て替えて、最新の省エネ機器や生産設備、再生可能エネルギーを取り入れて、電力の購入量を9割も削減するとともに、生産効率を2割向上する大胆な投資を行っていました。企業の収益は史上空前。思い切って攻めの経営に転換する環境は整ってきました。しかしながら、実際の民間部門の投資の動きは、ようやく動き始めたとはいえ、必ずしも大胆とは言えません。また円高に戻るかもしれない。東京オリンピックの後の反動が心配だといった経営者の声を耳にします。しかし、リスクの伴わない投資はありません。それは皆様御承知のとおりであります。政権交代後、海外から日本への投資は、10倍を超える増加となっております。アップルは、横浜に大規模な研究拠点を造る決断をしてくれました。そろそろ20年近く染みついたデフレマインドを払拭して、大胆な投資に踏み切る時期に来ているのではないでしょうか。新たなステージの主役は皆さん民間企業の投資であります。正に皆様には、やるなら今でしょう、というお言葉をお届けしたいと思います。大胆な決断を期待しております。
 生産性向上のもう一つの鍵は、GDPそして雇用の7割を占めるサービス産業です。製造業と比べても、諸外国と比べても、生産性が低いサービス産業の生産性向上は、日本全体の労働供給制約の克服に不可欠です。榊原会長には4月の政労使会議において、こうした動きを支援していただき、経団連を挙げて取り組んでいただく決断をしていただいたことに感謝しております。官民一体となって、サービス産業の生産性向上に全力を挙げていきたいと思います。
 女性が輝く社会の実現も、人口減少社会において日本が成長するための切り札であります。先月、神戸市で頑張っておられる女性起業家の皆様から、お話を伺いました。新しいサービス、新しい働き方、挑戦する心。新しい神戸は女性がつくっていく。そう実感しました。今国会に再提出している女性活躍推進法案も、必ずや成立させたいと思います。3年前に経団連でお話をさせていただいた時には、自民党も男性社会ではありますが、経団連は自民党以上に男性社会で、この会場にはほとんど女性の姿がないと申し上げましたが、今回はちらほら、女性の皆様、強力な新しいパワーの登場を感じることができました。これまで以上に思い切った女性の育成・登用をお願いしたいと思います。
 今年初めに、経団連の皆様から2030年に向けた国家ビジョンの御提案をいただきました。安倍内閣が目指す方向と同じです。変化の激しい難しい時代だからこそ、未来を見つめ、的確な展望を描き共有する。そして、困難な課題に立ち向かい、挑戦し、実行していく。その行動力、そして勇気こそがこれからの日本を創る。そう信じます。
 さあ皆さん、未来志向で果敢に行動し、力を合わせて共に日本の未来を切り開いていこうではありませんか。そのためにも投資が必要であります。この言葉をこの会場に残しながら、本日のスピーチを閉じさせていただきたいと思います。ありがとうございました。」

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