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首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
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平成27年9月25日安倍内閣総理大臣記者会見

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【安倍総理冒頭発言】
 通常国会が明後日閉会となります。60年ぶりの農協改革、患者本位の医療制度改革、電力・ガス事業の自由化、長年日本の成長を阻んできた、岩盤のように硬い規制を打ち抜くための法案がいずれも成立いたしました。行政改革、女性の活躍、教育再生のための法案も成立し、戦後最長、8カ月間にわたった通常国会は正に戦後以来の大改革を成し遂げる歴史的な国会となりました。
 この国会では、平和安全法制も成立をいたしました。二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。戦後70年守り続けてきたこの不戦の誓いをより確かなものとしていく。そのための強固な基盤を作ることができたと考えています。
 我が国を取り巻く安全保障環境は、私たちが望むと望まざるとにかかわらず、厳しさを増しています。北朝鮮は日本の大部分を射程に入れる数百発の弾道ミサイルを保有し、そのミサイルに搭載可能な核兵器の開発も深刻の度を深めています。更に、テロの脅威は世界中に広がっています。いかにして子供たちに平和な日本を引き渡していくか。あらゆる事態に切れ目のない対応ができるよう、しっかりとした備えを行う。万一、日本に危険が及んだときには、日米同盟が完全に機能する。そして、そのことを世界に向かって発信していく。戦争を未然に防止し、地域の平和と安定を確固たるものとする。それが平和安全法制であります。
 衆参合わせて200時間を超える審議を通じて、維新の党、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革といった野党の皆さんからは、こうした厳しい現実、危機感を共有していただき、具体的な対案が提出されました。単なる抵抗野党ではなく、責任野党として、現実を直視し、自らの政策や立場を明確にする。国民から負託を受けた国会議員としての極めて誠実な態度に心から敬意を表したいと思います。
 真剣な政策協議の結果、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の野党3党の皆さんには、平和安全法制に賛成していただきました。前提として、自衛隊出動について、国会承認など民主的統制を強化することで合意いたしました。民主主義の下、選ばれた政府が、国民の代表が集まる国会のしっかりとした関与の下で判断をしていく仕組みであります。
 私も含めて、日本人の誰一人として戦争など望んでいない。当然のことであります。世界に誇る民主主義国家の模範であるこの日本において、戦争法案といったレッテル貼りを行うことは、根拠のない不安をあおろうとするものであり、全く無責任である。そのことを改めて申し上げたいと思います。
 もし、戦争法案であるならば、世界中から反対の声が寄せられることでありましょう。しかし、この法制については、世界のたくさんの国々から支持する声が寄せられています。先の大戦で戦場となったフィリピンを始め、東南アジアの国々、かつて戦火を交えたアメリカや欧州の国々からも強い支持をいただいています。これは、今回の法制が決して戦争法案などではなく、戦争を抑止する法案であり、世界の平和と安全に貢献する法案であることの証であると考えています。
 こうした点について、国民の皆様の理解が更に得られるよう、政府としてこれからも丁寧に説明する努力を続けていきたいと考えております。
 いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしは断固として守り抜いていく。そのためには、安全保障の基盤を強化すると同時に、平和外交を一層力強く進めていくことも重要であります。
 早速、明日から、国連総会に出席するためニューヨークに向かいます。欧州に押し寄せるシリア難民の問題を始め、世界は常に様々な課題を抱えています。そうした時代にあって、世界の平和と繁栄に貢献する日本の強い意思を表明してまいりたいと考えています。国連総会は、世界中の首脳が集まる絶好の機会でもあります。可能な限り首脳会談を行いたいとも考えています。秋には3年ぶりに日中韓3カ国による首脳会談も実現したい。これから中国、韓国、ロシアなど近隣諸国との関係改善にこれまで以上に力を入れてまいります。地球儀を俯瞰する視点で、今後も積極的な外交を展開していく考えであります。
 日本に戻れば10月であります。新しい三本の矢によって、少子高齢化という構造的な課題にチャレンジする、「1億総活躍」の時代をつくり上げていくための新たなスタートを切りたいと考えています。心機一転、まずはそのための新しい体制を整えていきたい。帰国次第、内閣改造を行う考えであります。その際、「1億総活躍社会」づくりに腰を据えて取り組むため、新たに担当大臣を設ける考えであります。
 アベノミクスはいよいよ第2ステージ、本丸攻めへと移っていきます。国民の皆様の御支援と御協力を引き続き賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。
 私からは以上であります。


【質疑応答】
(内閣広報官)

 それでは、皆様から質問をいただきます。
 最初に、幹事社の方からの御質問とさせていただきます。どうぞ。

(記者)
 幹事社の産経新聞、阿比留です。
 今回成立しました安全保障関連法をめぐっては、憲法学者らから違憲との指摘が相次いだこともあって、マスメディアを含めて国論が二分しました。そして、成立後の各種世論調査でも、国民の半数以上が国会での審議はまだ十分ではないという回答をしていることが挙げられます。これをどう見ていらっしゃいますか。
 また、インターネット上やデモなどでは感情的な言葉も飛び交いまして、総理が先ほど指摘されたとおり、レッテル貼りやデマも目立ちました。このように割れてしまった国論の融和について、今後どう取り組まれるお考えでしょうか。どのような方法で国民に説明し、多数の理解、納得を得ていくつもりか、具体策があればお聞かせ願いたいと思います。

(安倍総理)
 平和安全法制は、国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠なものであります。安全保障環境が厳しさを増す中、法案の成立によって、子供たちに平和な日本、安定した、繁栄した日本を引き渡していくことができると確信をしています。
 国会審議では、野党の皆さんからも複数の対案が提出をされまして、深い議論ができたと考えています。真摯な協議の結果、民主的統制を強化することで合意に至り、野党3党の賛成も得ることができた。より幅広い合意を形成することができたと考えています。それは、この法案の成立に当たって大きな意義があったのではないでしょうか。200時間を超える充実した審議の中で、野党の皆さんにも我々の問題意識を共有していただいた結果ではないかと、こう思います。
 他方で、戦争法案とか徴兵制になる、こうした無責任なレッテル貼りが行われたことは大変残念に思います。国民の命を守り、そして幸せな暮らしを守る、平和な暮らしを守っていくための法制であり、安全保障の議論というものはしっかりと国際情勢を分析しながら、どのように国民を守っていくかという冷静な議論をしていくべきであろう。我々国会議員は、そういう中において単なるレッテル貼り、無責任な議論は厳に控えなければならない。こう思っております。そういう無責任な議論があったことは大変残念なことでありました。
 実際に、もし戦争法案ということであれば、これは世界中から非難が寄せられているはずであります。非難轟々だったのではないでしょうか。それは全く違いました。多くの国々から支持や理解の表明があったわけであります。圧倒的な支持を受けていると言ってもいいと思います。その点からしても、戦争法案という批判がただのレッテル貼りにすぎないということの証ではないか。こう考えています。
 今後とも私自身、そしてまた、関係閣僚始め、あらゆるレベルで国民の皆様の御理解を得るべく努力を重ねていきたい。そして、根拠のないこうしたレッテルを剥がしていきたい。こう考えています。
 かつての安保条約改定時もそうでした。また、PKO法制定の時もそうでありましたが、時を経る中において、その実態について国民の理解が広がっていったという事実もあります。そういう意味におきましては、今後、時を経る中において今回の法制の実際の意義、意味については十分に国民的な理解は広がっていく。このように確信をしております。

(内閣広報官)
 それでは、幹事社の方、どうぞ。

(記者)
 幹事社のフジテレビの西垣です。お疲れさまです。
外交方針について伺わせていただきます。北朝鮮との協議は、再調査から1年を経過する中、拉致被害者の方々に関する報告が示されていない。この現状と今後の展望についてお聞かせください。
 また、ロシアとの関係ですが、ニューヨークでの首脳会談も御予定と伺っておりますが、プーチン大統領の年内の訪日。この方針、現状についてお聞かせください。
 加えてで恐縮ですが、首脳会談を予定されている中国、韓国との2国との外交展望についてもお話を伺わせていただけますでしょうか。

(安倍総理)
 拉致問題については、安倍政権において必ず解決をしていくという強い決意で臨んでいます。調査の開始から1年たっても拉致被害者の帰国が実現をしていないことは誠に遺憾であります。8月には外務大臣から李洙墉外務大臣に対して拉致問題の解決を強く要請いたしました。
 制裁についてでありますが、制裁は、制裁を科す時とそれを解除する時、2回効果があるわけであります。それをいかに活用して、最終的な解決に結びつけていくかが大切であります。対話と圧力、行動対行動の方針の下、北朝鮮から具体的な行動を引き出す上で何が最も効果的かという観点から拉致問題の解決に向けて全力を尽くしていく考えであります。
 近隣諸国との外交については、冒頭申し上げましたとおり、私はロシア、中国、韓国との関係改善にこれまで以上に力を入れていきたいと思います。
 ロシアとの間には北方領土問題があり、戦後70年近くたっても平和条約が締結されていないという厳しい現実があります。先日行われた日露外相会談では突っ込んだ議論を行いました。事実上中断していた平和条約締結交渉が再開いたしました。北方領土問題は、首脳間のやりとりなくして解決することはできません。これまでプーチン大統領と10回、会談を重ねてまいりました。国連総会においても、プーチン大統領と会談する予定であり、北方領土問題についても直接議論をしたいと思います。また、プーチン大統領の訪日についてはベストな時期に実現したいと考えており、具体的な日程については諸々の要素を総合的に勘案しながら決めていきたいと思います。
 中国、韓国との関係では、私は従来から日中韓首脳会談の早期開催を働きかけてきておりました。秋にはこれを実現したいと考えています。首脳会談の議題は今後調整していくことになりますが、地域の平和と繁栄のために3カ国の首脳で有意義な議論を行いたいと思います。
 日中韓のサミットが開催される際には、朴槿恵大統領、そして李克強首相とそれぞれ日韓、日中の首脳会談を行いたいと思います。それぞれ隣国ゆえに難しい問題や課題もあります。だからこそ首脳間で議論を行うべきであろうと思います。

(内閣広報官)
 それでは、これからは幹事社以外の皆さんの御質問をお受けしますので、御希望される方は挙手をお願いいたします。私が指名いたしますので、指名された方は改めて御自分からお名前と所属を明らかにされた上で質問をしていただきたいと思います。なるべく質問は簡潔にお願いいたします。
 それでは、どうぞ。では杉田さん。

(記者)
 共同通信の杉田です。
 総理、冒頭の発言でもされた「1億総活躍社会」あるいは昨日の会見でおっしゃった「介護離職ゼロ」「GDP600兆円」、大きな目標を掲げられていますが、その目標に具体的にどのような道筋で進むのか、今一つまだ見えていません。いつ頃までに、どういう政策でそういう目標を実現するのか説明をお願いします。

(安倍総理)
 昨日は日本の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、「1億総活躍社会」をつくると申し上げました。そのために「GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」といった具体的な目標を掲げました。いずれも困難な課題です。
 その実現が一朝一夕で成し得ないことは、もとより覚悟の上であります。20年近いデフレが続き、日本人は自信を失いました。少子高齢化の克服がどうやってもこれは無理だと最初から諦めていたのではないでしょうか。
しかし、このまま放置していていいわけはありません。どこかでスタートをしなければ輝く未来を描いていく、あるいは実現していくことはできないわけでありまして、政権を我々が奪取したとき、あるいは3年前に私は総裁に就任をした際、デフレから脱却をするという大きな目標を掲げました。15年間も続いている中でデフレを前提として考えるべきだという人たちも随分いました。その中で、しかしまず目標を掲げ、そのためにこういう手段をとっていくということを表明しました。そのとき、それはもう不可能だということを随分言われました。しかし、実際、今、もはやデフレではないという状況をつくり上げることができたのです。あの時給料やボーナスが上がっていく、そういう時代は来ないとすら言われていたわけでありますが、政治が政治で決断をして、目標を持ってしっかりとその処方箋を示していけば、私はそれは実現できる、あるいはまた、その実現に向かって進んでいくことができると確信をしています。
 今、自信を取り戻すことができた、我々は再び成長することができるという自信を取り戻すことができたのです。今こそ長年手つかずであったこの課題に向かって具体的な目標、明確なビジョンを掲げてチャレンジするべきだろうと思います。その強い決意とあらゆる政策を総動員して取り組んでいく、基本的な考え方を昨日申し上げたわけでありまして、来月の新体制発足に当たっては、この「1億総活躍社会」づくりに腰を据えて取り組むため、しっかりとした体制をつくる考えであります。
 新たな担当大臣を置くことに加えまして、その下に国民的な議論を深め、多岐にわたる政策を総動員するため国民会議を設置する考えであります。目指すべきは大きな節目でありまして、やはり日本でオリンピック・パラリンピックが開かれる2020年であります。団塊の世代が75を超える年でもあります。この2020年に向かって、そしてその先を見据えて新たな国づくりを進めてまいります。
 こうした観点から、今後新しい体制の下で、いわば日本1億総活躍プランをつくり、その実現に全力を尽くしていく考えであります。

(内閣広報官)
 時間的にもう一問ぐらいになってしまうかもしれませんが、御希望される方。
 では、ピーターさん。

(記者)
 ウォール・ストリート・ジャーナルのランダースと申します。
 お聞きします。この前、内閣官房参与の本田悦朗さんは、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、3兆円規模の景気対策が望ましいと述べられました。総理は、この3兆円という金額について大き過ぎるのか、少な過ぎるのか、それともちょうどいいのか、お考えを教えてください。ありがとうございます。

(安倍総理)
 政権交代後、「三本の矢」の政策によって、雇用においても、所得においても、環境は間違いなく改善をしてきています。デフレ脱却までもう一息というところまで来ました。景気の現状は、今のところ一部に鈍い動きも見られますが、緩やかな回復基調が続いています。そういう中で、アベノミクスの第2ステージにおいて、名目GDP600兆円という大きな目標を掲げました。引き続き経済最優先でしっかりとした成長戦略を進めていくことによって、雇用を更に増やし、給料を更に上げ、そして消費を拡大してまいります。補正予算による経済対策を策定することは現時点では考えておりませんが、経済動向をよく注視をし、機動的な経済財政運営によって万全を期していく考えであります。

(内閣広報官)
 ちょっと時間を過ぎていますが、では、最後に短目に、あと1問だけお受けしますので、いかがですか。よろしいですか。
 それでは、原さん、どうぞ。

(記者)
 NHKの原と申します。
 先ほどの質問と少し重なりますけれども、GDP600兆という目標を達成する上で、今後の経済成長を達成する上で総理が最も重視する政策は何でしょうか。また、成長戦略の柱となるTPP交渉は足踏みの状態が続いていますけれども、来年のアメリカ大統領選挙があることも踏まえながら、いつ頃までに妥結することが望ましいと、いつまでに妥結することが望ましいと総理はお考えでしょうか。お聞かせください。

(安倍総理)
 まず、GDP600兆円を達成するためには、デフレから脱却をして、力強く経済を成長させていかなければなりません。企業の人材やITへの投資を喚起して、生産性革命を大胆に進めていきます。女性や高齢者の皆さんにももっと活躍してもらえるよう、多様な働き方改革も進めていきたいと思います。コーポレートガバナンス改革、規制改革、制度改革も大胆に実行しまして、過去最大の企業収益を積極的な設備投資、雇用、所得の更なる改善や消費の増加に結びつけていく考えであります。
 あわせて、TPPを含め大きな経済圏を世界に広げながら、投資や人材を日本へと呼び込む政策を力強く進めていきたいと思います。TPPについてでありますが、9月30日からアトランタでTPP閣僚会合が開催をされます。交渉は最後が一番難しいわけでありますが、今回の閣僚会合を最後の閣僚会合としたいと考えておりますし、これは全ての参加国がそういう考え方の下に、この閣僚会合に参加すると思います。

(内閣広報官)
 それでは、予定をしておりました時刻を大分過ぎておりますので、これをもちまして安倍総理の記者会見を終わらせていただきます。
 皆様、御協力をどうもありがとうございました。

(安倍総理)
 どうもありがとうございました。

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