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首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
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平成28年11月21日アルゼンチン訪問・APEC首脳会議出席等についての内外記者会見

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【安倍総理冒頭発言】
 先ほど、福島県沖で強い地震が観測され、津波警報が発出されました。私からは、国民に対して、津波、避難に関する情報提供を適時的確に行うこと、早急に被害状況を把握すること、災害応急対策に全力で取り組むこと、について指示いたしました。
 官房長官に対しても、直接、重ねて、対応に万全を期すよう指示したところであります。
 自治体とも緊密に連携し、政府一体となって、安全確保を第一に、災害への対応に全力で取り組んでまいります。
 現職の総理大臣として、57年ぶりにアルゼンチンを公式訪問いたしました。57年前に各地で大歓迎を受けた、その時の思い出を私の祖父もよく語っていました。そして今回もあの時と変わらぬ、心温まる歓待で私を迎えてくださった、アルゼンチンの皆様に、まずは心からの感謝を申し上げたいと思います。
 日本とアルゼンチンの友好の歴史は、1世紀以上にわたります。一人の日本人の若者が、大きな希望を持って、ここアルゼンチンの大地を踏みしめてから130年。現在、6万5千人の日系人の皆さんが暮らしておられます。昨日訪問したペルーには、10万人の日系人の皆さんがいらっしゃいます。まさに、日本とペルー、日本とアルゼンチンとの「友好の架け橋」であります。
 この素晴らしい礎の上に、人的な交流や、経済分野での協力を一層拡大していく。今回の訪問では、アルゼンチンのマクリ大統領、ペルーのクチンスキー大統領と、日本と両国との関係を「戦略的パートナー」へと引き上げていくことで合意いたしました。
 ペルーでも、そして、ここアルゼンチンでも、日系人の皆さんにお目にかかる機会を得ました。持ち前の勤勉さで地域の発展に力を尽くし、深い信頼を勝ち得てこられた皆さんに、心から敬意を表したいと思います。
 同時に、戦前、戦中、戦後、日系人の皆さんが乗り越えてこられた幾多の困難に思いを馳せ、私たちの同胞を温かく迎えてくださった、南米の皆さんの寛容さに、感謝の念を抱かずにはいられません。
 かつて、世界恐慌を契機に、極端な保護主義や排他主義が、紛争の芽を育て、世界を戦争へと駆り立てました。その反省を胸に深く刻み、自由で開かれた経済こそが、平和と繁栄の礎であることを、私たちは、改めて認識する必要があります。決して内向きになってはなりません。活力あふれる世界にこそ、成長のチャンスがある。こうした発想の原点に私たちは立ち戻るべきであります。それが、今年のAPECの最大のテーマでありました。
 日本が提唱し、APECが誕生してから30年近く。人、モノ、情報のグローバルな流れは、飛躍的に拡大し、かつ深化してきました。自由貿易のメリットを最も享受してきたのが、このアジア・太平洋地域であります。
 現在、世界経済は、大きな下方リスクに直面しています。しかし、私たちは、絶対に後戻りはしない。今年のAPECでは、自由貿易を推進する、アジア・太平洋諸国の確固たる意思を世界に示すことができたと考えています。
 自由で開かれたマーケットの下でその恩恵をあらゆる人が享受できる。そのためには誰もが活躍できる社会づくりを急がなければなりません。そして、頑張った人の努力が、しっかりと報われる。そのための透明で公正なルールが必要です。
 TPPは、そうした自由で公正なルールに基づく経済圏を太平洋に創り上げる野心的な挑戦であります。TPP首脳会合では、全ての参加国がその挑戦をやり遂げる決意を改めて共有しました。日本では、先般、協定案が衆議院を通過しましたが、今後とも丁寧な上にも丁寧な説明を重ねながら、一日も早い締結に向けて全力を尽くしてまいります。
 APECには、21の国と地域からリーダーたちが集まります。この機会を利用して各国首脳と積極的に会談を行いました。
 ロシアのプーチン大統領とは来月の山口訪問を見据えながら8項目の経済協力について今後の具体的な作業計画を合意し、平和条約に向けた協議を更に前進させていくことを確認しました。70年以上実現していなかった平和条約の締結は、簡単な課題ではありませんが、プーチン大統領との信頼関係の下に着実に一歩一歩、前に進んでいきたいと考えています。
 中国の習近平国家主席とも短時間でしたが会談を行いました。来年の日中国交正常化45周年、そして再来年の日中平和友好条約締結40周年に向けて、日中関係を改善させていくことを確認しました。
 そして、我が国唯一の同盟国のリーダーである米国、この4年間私の最大のパートナーであったオバマ大統領には、これまでの日米同盟の強化への取組を称える感謝の意を表しました。戦後71年の本年、オバマ大統領は米国のリーダーとして初めて被爆地・広島を訪れ、「核兵器のない世界」という未来への力強いメッセージを発出してくれました。
 テロ、貧困、感染症。世界は今も様々な課題に直面しています。こうした課題に日本とアメリカは、これまでも、今も、そしてこれからも「希望の同盟」として共に手を携えて取り組んでいきたいと思います。
 私からは以上であります。

【質疑応答】
(NHK 原記者)
 今も御発言がありましたが、総理は今回一連の会議や会談の中で、TPPを含む自由貿易の堅持をしていく考えを訴えられました。しかし、アメリカ大統領選挙でも見られたように、保護主義的な風潮が広がり、国内でも格差の拡大や恩恵に浴していないといった懸念や批判も出ています。今後、こうした懸念や批判に対してどのように取り組んでいくお考えでしょうか。
 またTPP加盟国の中からは、アメリカ抜きでTPPの発効を目指すべきとの声も出ていますが、これに対する賛否はいかがでしょうか。それに加えて、トランプ氏はTPPからの離脱を言っているわけですが、トランプ氏は対応を変える可能性はあるとお考えでしょうか。

(安倍総理)
 自由で公正な貿易を堅持させ、そして発展させていくことこそが、大企業のみならず中小企業や労働者、そして消費者にとって適切な経済的機会を創り出すものであり、世界経済の成長の源泉であると考えています。
 しかし、自由貿易の利益が均霑(きんてん)されない、そして格差が拡大するという懸念が、保護主義をもたらしています。
 安倍政権は、格差が固定されず、あらゆる人が、その経験や能力を思う存分発揮できる、そして活躍できる「一億総活躍社会」の実現に向けて取り組んできました。
 頑張れば報われる、成長の恩恵が広く国民に実感されることで、自由貿易に対する支持も得られると考えています。
 ちなみに先月末に公表された全国消費実態調査に基づく「相対的貧困率」は、集計開始以来、初めて減少しました。特に、「子供の相対的貧困率」は、大幅に改善いたしました。「アベノミクスは成長一本槍ではないか、一辺倒ではないか」という批判がありましたが、しかし、そうではなく、私たちの経済政策が格差の縮小にも効果を上げていることが証明されたと思います。今後とも、こうした政策をしっかりと進めていきたい。成長し、富を生み出し、それが国民に広く均霑される、多くの人たちがその成長を享受できる社会を作っていきたいと思います。
 今般のTPP首脳会合では、TPP協定の高い戦略的、経済的価値が改めて確認されました。米国の大統領選挙後の状況を受けて国内手続を遅らせたり、あるいはやめようという国は一国もなかったわけであります。今国会で承認が得られるよう全力で取り組むとともに、あらゆる機会を捉えて、他の署名国に国内手続について早期の完了を働きかけていく考えです。
 米国抜きでTPPの発効を目指すという意見については、12か国の会議ではそのような議論にはなりませんでした。TPPは、米国抜きでは意味がない。再交渉が不可能であるのと同様、根本的な利益のバランスが崩れてしまいます。
 米国新政権の方針について、現段階で予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思います。

(ブエノスアイレス・ヘラルド紙 ソルティス記者)
 私も大変光栄なことに、前回の御訪問、2013年の御訪問の時に質問をさせていただきました。その時の御訪問の目的はもちろん東京への2020年オリンピックの招致ということは明らかでありました。今回の御訪問の目的はそれほど明白ではないように思われます。ということで、御説明いただけますでしょうか。御自分のお言葉で今回の御訪問の目的を、既におっしゃったことより踏み込んで教えていただけますでしょうか。

(安倍総理)
 3年前の訪問は、IOC総会において東京オリンピック・パラリンピック招致のための訪問でありました。あの時、最後の瞬間まで開催都市がどこになるか、なかなか分からないという緊張感の中で、会長の発表を待ったわけでありますが、「東京、東京」というあの発表、今でも記憶に残っております。あの時の感動とともに、このブエノスアイレスの美しい街並みを思い出します。
 今回は、アルゼンチンへの公式訪問であります。日本の総理大臣としては57年ぶりの公式訪問となるわけでありますが、大変感慨深いものがあります。マクリ大統領とは、先ほど首脳会談において、大変意義深い、有意義な意見交換を行うことができました。アルゼンチンは、マクリ大統領の下での自由開放的な経済政策、積極的な取組が、日本のみならず、世界の注目を集めていると思います。今年はオバマ大統領を始め、多くの首脳が貴国を訪問したことと思います。
 その中でこれから正に、停滞していた日本とアルゼンチンとの関係を、大きく変えていきたい、マクリ大統領と共に変えていきたい、こう思っているんです。正に両国関係は飛躍的発展の機会を迎えているといってもよいと思います。この機会を捉えて、「戦略的パートナーシップ」を構築し、関係をより一層強化することに合意いたしました。今日は、午前中には日系人の皆さんとお目にかかる機会がございました。長い間このアルゼンチンにしっかりと腰を据え、根を張り、地域の発展にも貢献しながら頑張ってきた日系人の皆さんの存在というのは、両国にとって貴重な財産でもあると思います。
 そのことを私は再認識いたしました。その意味でも日本とアルゼンチンは特別な関係なんだろうと思います。今後、両国の貿易、投資、ビジネス環境の向上に取り組んでいきます。先ほど開いたビジネスフォーラムにも本当にたくさんの日本、アルゼンチンのビジネスマンに来ていただきました。これからいよいよ日本とアルゼンチン、経済の分野においても発展していくな、そんな期待が持たれます。

(東京新聞 古田記者)
 ロシアのプーチン大統領との会談で、北方領土の問題が話題となりましたが、その件でお聞きしたいと思います。総理は今も、問題解決については「簡単ではない」とおっしゃいました。問題解決には、総理もおっしゃっているように「双方に受入れ可能な解決策」が必要になってきます。これまでに解決策を探る中で、歯舞群島、色丹島の2島を先行返還するという案も出てきたことがあります。総理は、この2島を先行させて返還するという案と、「2島」ということを選択肢として今後中に入れていかれるお考えはありますでしょうか。まだ結論はもちろん出ていないと思いますが、選択肢として考えられるものなのかお聞きしたいと思います。
 また、先日、プーチン大統領との会談を受けて、大統領が、北方領土での「共同経済活動」について会談で取り上げたとおっしゃっています。これに関連して、総理もお二人でプーチン大統領と話したわけですが、そういうお話が実際に出ていたのでしょうか。また、この「共同経済活動」は日本政府として検討の余地があるものとお考えでしょうか。この3点をお聞きしたいと思います。

(安倍総理)
 ただいまの御質問の中でいろいろと個別具体的な言及がございましたが、北方領土に対する従来の政府の立場を何ら変えているということはありません。これははっきりと申し上げておきたいと思います。
 日露の平和条約の問題は、戦後70年を経てもなお未解決であるということが示すとおり、たった一回の首脳会談で解決するようなものではありません。そんな簡単な問題ではありません。
 首脳間の信頼関係がなければ解決しない問題であり、私自身がプーチン大統領と直接やり取りをしながら、一歩一歩着実に進めていく考えであります。
 現在進めている協議の中身については言及できませんが、北方四島の将来の発展について、日本とロシアが、双方にとってウィンウィンの形で進めていくことが何よりも重要な視点であると確信をしています。
 その上で、経済を含めて日露関係全体を、双方が裨益(ひえき)する形で発展させていく中で、平和条約交渉についても前進を図っていくことが必要と考えています。


(注)会見は現地時間11月21日19時19分(日本時間11月22日7時19分)に行われました。

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