本文へ移動

首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
言語選択
English
中文
表示選択
PC
モバイル

平成28年12月16日日露共同記者会見

動画が再生できない方はこちら(政府インターネットTV)

【安倍総理冒頭発言】
 プーチン大統領、ウラジーミル。ようこそ、日本へ。日本国民を代表して君を歓迎したいと思います。
 私が2013年にモスクワを訪れたとき、できるだけ頻繁に会談を重ねようと君と約束をしました。それから今回の訪日が実現するまで3年間かかりましたが、私のふるさとにお招きをし、落ちついた環境の下でたっぷり時間をかけて話し合うことができ、待ち続けたかいがあったと思っています。
 私たちの話合いの進展を70年以上もの長きにわたり待ち続けている人たちがいます。かつて択捉島、国後島、色丹島、そして歯舞諸島に住んでいた元島民の皆さんです。その代表の方々から今週、直接お話を伺う機会を得ました。
 元島民の皆さんの平均年齢は既に81歳を超えています。「もう時間がない」。そう語る元島民の皆さんの痛切な思いが胸に突き刺さりました。
 島では、終戦直後、つらい出来事もありましたが、日本人とロシアの人々は言葉の壁を越え、共に助け合い、友情を育み、共に暮らしていたそうです。離れ離れになってからも、様々な制約の中で元島民の皆さんと島に住むロシアの人々が交流を深めてきた事実も伺いました。
 「最初は恨んでいたが、今は一緒に住むことができると思っている」。
 そう語り、北方四島を日本人とロシア人の「友好と共存の島」にしたいという元島民の皆さんの訴えに、私は強く胸を打たれました。
 相当高年齢になられた元島民の皆さんが、自由に墓参りをし、かつてのふるさとを訪れることができるようにしてほしい。この切実な願いをかなえるため、今回の首脳会談では、人道上の理由に立脚して、あり得べき案を迅速に検討することで合意しました。
 そして、戦後71年を経てもなお、日本とロシアの間には平和条約がない。この異常な状態に私たちの世代で、私たちの手で終止符を打たなければならない。その強い決意を、私とウラジーミルは確認し、そのことを声明の中に明記しました。
 領土問題について、私はこれまでの日本の立場の正しさを確信しています。ウラジーミルもロシアの立場の正しさを確信しているに違いないと思います。
 しかし、互いにそれぞれの正義を何度主張し合っても、このままではこの問題を解決することはできません。次の世代の若者たちに日本とロシアの新たな時代を切り拓くため、共に努力を積み重ねなければなりません。
 過去にばかりとらわれるのではなく、日本人とロシア人が共存し、互いにウィン・ウィンの関係を築くことができる。北方四島の未来像を描き、その中から解決策を探し出すという未来志向の発想が必要です。
 この「新たなアプローチ」に基づき、今回、四島において共同経済活動を行うための「特別な制度」について、交渉を開始することで合意しました。
 この共同経済活動は、日露両国の平和条約問題に関する立場を害さないという共通認識の下に進められるものであり、この「特別な制度」は、日露両国の間にのみ創設されるものです。
 これは平和条約の締結に向けた重要な一歩であります。この認識でもウラジーミルと私は完全に一致しました。
 そして、私たちは平和条約問題を解決をする。その真摯な決意を長門の地で示すことができました。
 過去70年以上にわたり解決できなかった平和条約の締結は、容易なことではありません。
 今、島々には一人の日本人も暮らしていません。たくさんのロシアの人々が暮らし、70年もの時が経ちました。他方、70年もの時を重ねたことで、恩讐を超えて元島民の皆さんと島に住むロシアの人々との交流や理解が進んでいるという事実もあります。
 日露両国民の相互の信頼なくして、日露双方が受入れ可能な解決策を見つけ出し、平和条約締結というゴールにたどり着くことはできません。
 本日、8項目の経済協力プランに関連し、たくさんの日露の協力プロジェクトが合意されました。日本とロシアの経済関係を更に深めていくことは、双方に大きな大きな利益をもたらし、相互の信頼醸成に寄与するものと確信しています。
 私とプーチン大統領は、この後、講道館へと足を運びますが、講道館柔道の創始者である嘉納治五郎師範の言葉を借りるならば、正に「自他共栄」の精神こそが必要です。
 ウラジーミル、今回の君と私との合意を「出発点」に、「自他共栄」の新たな日露関係を、本日ここから共に築いていこうではありませんか。
 ありがとうございました。私からは以上です。

【プーチン大統領冒頭発言】
 尊敬する総理。御列席の皆様。まず日本側に対し、温かく心のこもったおもてなしに感謝の意を表します。訪日プログラムは内容が豊かで充実していました。そして昨日15日、安倍総理の故郷である山口県長門市で、我々は友好的な雰囲気の中、露日協力の重要な分野を議論し、一連の喫緊の国際問題及び地域問題に触れました。
 そこは素晴らしい場所です。晋三、私は君に、君の故郷への招待に感謝します。非常に美しく、特に今朝は雪が降っており、そこは純粋におとぎ話のような雰囲気でした。山口県及び長門市の住民に感謝します。非常に温かいおもてなしであり、それは際立っていました。
 ある女性住民が、秋田犬の子犬を抱えて、道ばたで我々の車列を迎えていました。これは非常に嬉しいものでした。もし彼女が我々のことを聞いているのであれば、次のことだけを警告したい。この(子犬の)外見はぬいぐるみのようですが、実際は厳しい犬であり、尊敬の念をもってそれ(犬)に接する必要があります。脱線しましたが、それでは、本論について話します。
 本日16日、東京で、各省幹部及び大企業の代表の参加を得て、我々は、全ての貿易投資関係について詳細に議論し、今後の共同作業のための具体的な目標を方向づけました。
 交渉及び二国間ビジネスフォーラムの結果として、非常に多くの政府間及び民間企業間の協定一式が署名されました。皆様は、今、正にそれを目にしています。また、我々は投資、税制及び労働分野における一連の新しい合意を検討するよう関係大臣に指示を出しました。
 日本は、アジア太平洋地域におけるロシアの隣国であり重要なパートナーです。最近、両国間で政治対話が盛んになっており、今年、安倍総理との会談は既に4回目です。
 議会、安全保障会議、外務省、分野ごとの省庁のラインでのコンタクトが軌道に乗っています。二国間協力を長期的なパートナーシップの水準に引き上げること、特に両国の経済関係を改善するためにすることがまだ多くあります。
 残念ながら、本年の二国間貿易高は28%減少しました。このようなネガティブな変化は、為替の変動や原料価格の不安定といった客観的な理由だけが原因ではありません。日本も加わっているロシアへの制裁政策も影響しています。
 財、サービス及び資本のカウンターフローを増大するために、政府間委員会のラインで、大規模な共同作業計画及び8つの主要な分野に沿った数十の優先プロジェクトを含む総合的なリストについて一致しました。これは、エネルギー、産業、農業、インフラ、イノベーション及び人道交流です。
 これら及びその他の有望なビジネスのイニシアティブの実現に向けたファイナンス支援を確保することが新しい投資基金にも求められています。今、正にその設立に関する文書が署名されました。
 エネルギーは露日協力の戦略的分野です。ロシアは日本への信頼できる炭化水素の供給者です。液化天然ガスの日本の需要の約8%がロシアの資源によって確保されています。日本のパートナーはヤマルでの液化天然ガス生産に関するロシアの大規模プロジェクトに参加しています。ガスプロムはアムール・ガス加工コンプレクスの建設を開始し、その製品は日本を含むアジア市場に供給されます。ロスネフチはオホーツク海大陸棚における石油ガス採掘及びサハリンにおける「極東LNG」建設への日本の投資家の誘致に関する交渉を行っています。「ロシア-日本」エネルギーブリッジ及び「サハリン-北海道」ガスパイプラインの建設の可能性が研究されています。これらの大規模プロジェクトの実現は、日本の消費者に対し、手頃な価格かつ最短の経路で追加的なガス及び電力の供給を提供します。
 ロシア側及び日本側は生産及び技術協力の更なる強化に前向きです。日本が2017年7月にエカテリンブルクで開催される国際産業見本市「イノプロム2017」のパートナー国となる用意があることに感謝します。
 自動車産業での二国間協業は拡大しています。チュヴァシ及びウリヤノフスク州では3つの新しい自動車製品生産工場が稼働し始めました。ウラジオストクでは自動車エンジンの組立て会社が建設されています。
 医療及び保健の分野での協力は有望です。日本の技術を基にして、モスクワ医療センター及び心臓血管病診断センターが創設されています。ウラジオストクで腫瘍クラスターを設立する考えを検討しています。
 更にもう一つ、交渉の場で議論された喫緊のテーマは、農工業コンプレクスにおける協力です。ロシアは広大な、未使用の農業用地を有しており、このことは食料品を共同で生産し、それらの日本への輸出を増加させるための可能性を開いています。
 ロシア極東の開発プログラム及びロシア極東をアジア太平洋地域の国々の生産・販売チェーン及び輸送・物流インフラに統合することへの日本側の関心を歓迎します。
 日本とユーラシア経済同盟間の自由貿易圏の形成に関するテーマが個別に議論されました。
 ロシアと日本の緊密なパートナー関係の発展のために特別な意味を持つのは、人的分野における協力、人々の接触、文化、科学及び教育交流です。毎年大学学長のフォーラムが開催されています。6月には日本で第11回「ロシア文化フェスティバル」が開会されました。
 これらの分野における関係強化は、2017年の「日本におけるロシアの季節」フェスティバル、2018年の両国の「相互」年の開催をも促進すると確信しています。当然、私と安倍総理はこの方向性に対して必要な注意を払っていきます。
 今後、ロシアも日本も、最大規模のスポーツ競技会であるサッカーワールドカップ及び2020年東京オリンピックを受け入れます。我々の国々は、経験の交換、安全の確保及びロジスティクスを含み、これらの行事に向けた準備に関する協力に関心を有しています。
 当然、交渉では国際問題も大きな位置を占めました。世界政治の喫緊の問題に関するロシアと日本の緊密な協力は、グローバル及び地域の安全と安定を保障する重要な要素です。多国間機関における協力の問題も議論されました。その他には、当然、朝鮮半島情勢の問題、国際テロとの戦いにも触れられました。
 もちろん、平和条約問題についても話が及びました。安倍総理は先ほど、これに十分な注意を払いました。周知のとおり、この問題は70年以上議論されています。我々がこれを瞬く間に解決できると考えるのはナイーブでしょう。しかしロシアと日本の戦略的利益に合致するような解決を模索することは、両国の国民に受け入れられるでしょうし、それは当然不可欠です。言うまでもなく、ロシアと日本との間に現在まで平和条約が存在しないことは、アナクロニズムです。
 この問題の解決のためには、相互信頼の強化、露日関係の総体の全面的な発展に関する入念な作業が必要とされます。この文脈において、「南クリル」における共同経済活動を構築するイニシアティブを安倍総理と共に支持しました。このような協力が平和条約締結交渉の継続のための良好な雰囲気の醸成を促進することを期待しています。
 安倍総理の求めを考慮に入れ、外務省に対し、日本国民が自身の親族の墓を訪問する制度の簡素化の可能性を議論するよう指示しました。そして安倍総理は昨日15日の一対一の会談においてこれに多くの注意を払い、これらの島々におけるロシア国民とのこうした非公式の相互活動を志向する日本国民の手紙を、私に手渡しました。
 我々は、これまで彼らにとって閉じられていた地域にでさえ最大限自由なアクセスを保障することで合意しました。そして私からは、サハリン州と北海道の住民の国境付近における自由な移動に関する制度の導入について提案しました。
 最後に、日本の同僚、また個人的に安倍総理に対し、おもてなし、実りある仕事、議論された全ての問題に対する実務的かつ建設的なアプローチに再度感謝します。
 また都合の良い時期に、これは東方経済フォーラムやロシアで我々が開催するその他の行事を意図していますが、安倍総理にロシアを訪問いただきたいです。

(内閣広報官)
 それでは、皆様から御質問をお受けいたします。質問は日本のプレス、ロシアのプレスの順に、それぞれ2問ずつお受けいたします。
 日本側プレスの質問者は私が、ロシア側のプレスの質問者はペスコフ大統領報道官が指名いたしますので、指名された方は所属とお名前を述べた上で、安倍総理への質問か、プーチン大統領への質問かを明らかにして質問をお願いしたいと思います。
 まず、日本側のプレスの方の御質問からお受けします。どうぞ。

(記者)
 北海道新聞の平畑です。安倍総理にお伺いします。
 16回目となった今回の会談ですが、領土交渉そのものの進展について、総理は手応えを得ることができたのか、それとも双方の認識にまだかなりの隔たりがあるのか、具体的な会談でのやりとりも含めてお話しいただければと思います。
 総理は今ほども、時間がないという元島民の気持ちを強調されましたが、領土問題の解決にはまだ相当の時間がかかるとの認識でしょうか。
 また、今後、協議する共同経済活動について、日本政府は法的立場を害さないことが前提条件との立場ですが、今回の「特別な制度」というのは、この立場を変更するものではないと受けとめていいでしょうか。よろしくお願いします。

(安倍総理)
 今回、ウラジーミルを私の地元である長門市でお迎えいたしました。そして、昨日は夜の11時35分まで約5時間、会談を行いました。そして、二人だけで95分間、膝を突き合わせて、二人だけの会談も行いました。じっくり話し合うことができたと思います。そしてその結果、平和条約問題を解決するとの両首脳の真摯な決意を示すことができたと思います。
 解決にはまだまだ困難な道は続きます。何と言っても70年間解決できなかった問題でありますし、その間、長い間、交渉すら行われてこなかった問題ではありますが、今回、まずはしっかりとした大きな一歩を踏み出すことができたと思っています。
 また、今、ウラジーミルからも紹介をしていただきましたが、先般お目にかかった元島民の皆様から頂いたお手紙をお渡しをし、その場で一枚は大統領に読んでいただきました。島民の気持ちそのものが初めてロシアの大統領に伝わったと思います。元島民の皆さんが自由に墓参りをし、かつてのふるさとを訪れたいとの切実な願いをかなえるため、今回、ウラジーミルとの間で人道上の観点から迅速に検討を進めていくことで合意できたことは、元島民の皆様の願いを少しでもかなえることができたのではないかと思います。
 また、今回、四島において経済活動を行うための「特別な制度」について交渉を開始することで合意しました。日本の北方領土についての原則的な立場は全く変わりません。四島における共同経済活動は、平和条約問題に関する我が国の立場を害するものではないわけでありまして、この点は今回の声明にも明記をされています。
 しかし、過去にばかりとらわれるのではなく、北方四島の未来像を描き、その中から解決策を見いだしていくという「新しいアプローチ」、まさにこの未来志向の発想が必要であり、その未来志向の発想である「新しいアプローチ」こそが、最終的な結果に続く道であると確信をしております。

(記者)
 リアノーヴォスチ社のグリボエードヴァです。尊敬する大統領。国際問題に関する質問に戻ります。昨日15日の会談であなたは特にシリア情勢について意見交換しました。しかし、シリア情勢は常に変化しており、そこから様々な、時に矛盾したニュースが流れます。例えば、シリア軍はアレッポで何らかの成功を有し、パルミラのための戦闘が継続しています。そこでの情勢をどのように評価し、どのようにその進展を見ていますか。どのような展望がありますか、アレッポを保持し、再びパルミラを得ることができますか。

(プーチン大統領)
 シリア情勢については個別具体的です。パルミラで生じている全てのことは、いわゆる有志連合、シリア政権、ロシアとの間の不一致の行動の結果です。私は、テロリストとの戦いにおいて効果的であるために努力を統一する必要があることを何度も述べています。思うに、パルミラの問題は、純粋にシンボリックなものです。
 軍事・政治的な意義に関し、この意味においてもちろんアレッポは、はるかに重要なテーマです。私は、既に一昼夜日本にいることから、そこでの最新の出来事を承知していませんが、私が見ていることから判断すると、トルコ大統領がサンクトペテルブルクを訪問した際(注:8月9日)に同意したことが正に生じています。我々は、トルコが、特に平和的な市民の生活を維持するためにアレッポにおいて停戦する用意がある戦闘員の撤退に関してあらゆる協力を実施することで合意しました。これが第一です。
 第二に(これは、最後の会談ののちに起こったことです。)私は、アレッポにおける成功裏の軍事活動ののちにシリア軍は強固になり、平和的な市民が平常な生活に移ることができることを大変期待しています。既に数千人が、半分壊れていても自身の家に戻りました。
 最終段階は、シリアの全ての領域における完全な停戦の合意です。我々は、トルコの仲介の下で武装反体制派と非常に活発に交渉を行っています。(12月)14日の電話会談でエルドアン大統領と、紛争当事者(我々からはシリア政府、トルコ大統領は、武装反体制派の代表)に、新たな場において平和的な交渉の手続を継続することを提案することで合意しました。
 そのような場として、カザフスタンの首都であるアスタナがあり得ます。紛争当事者の双方が合意する場合、我々はナザルバエフ大統領にこのプロセスを支持するよう求めます。これがもし実施される場合、これはジュネーブの場と競合する場ではなく、これはジュネーブの交渉を補う場となるでしょう。いずれにせよ、私の考えでは、紛争当事者がどこで会おうとも、これを実施し、政治的和平に向けて努力することは正しいことでしょう。

(内閣広報官)
 それでは、再び、日本側のプレスの皆さんからの御質問をお受けいたします。

(記者)
 幹事社の産経新聞の阿比留と申します。
 プーチン大統領にお伺いいたします。今回の山口、東京での会談を通じて、大統領にとって政治分野、経済分野のそれぞれの最大の成果は何だったでしょうか。また、共同経済活動をどのように平和条約締結に結びつけるのか、改めてお考えをお聞かせください。さらに、平和条約締結に関しては、先日の日本メディアとのインタビューで、大統領は、我々のパートナーの柔軟性にかかっているとも述べられています。かつては、引き分けという表現も使われました。大統領の御主張は、何か後退しているような印象があるわけですが、日本に柔軟性を求めるのであれば、ロシア側はどんな柔軟性をお示しになるのか、お考えをお聞かせください。

(プーチン大統領)
 あなたの質問に完全に答えるために、私は、せめて非常に端的に、手短に、いずれにせよ歴史について述べなければなりません。
 尊敬する阿比留氏、私はそのようにあなたの名字を聞き取りましたが、尊敬する同僚、友人の皆様。
 確かに日本は1855年に「南クリル列島」の諸島を受け取り、ロシア政府及び天皇陛下との合意に従い、プチャーチン提督は最終的にこれらの諸島を日本の管轄下に引き渡しました。なぜなら、それまでロシアは、これらの島々は、ロシア人航海者によって開かれたため、ロシアに帰属していると考えていたからです。
 平和条約を締結するために、ロシアはこれら諸島を引き渡しました。ちょうど50年後、日本はこれでは不十分であると考え、1905年の戦争ののちに、これらの軍事行動の結果として、更にサハリンのもう半分、サハリンの北部を最終的に取りました。
 ところで、ポーツマス条約のある条で日本は、この領土からロシア国民をも本国に送還する権利を得ました。彼らは残ることもできたが、日本は、この領土から、サハリンからロシア国民を本国に送還する権利を得ました。更に40年後、1945年の戦争ののち、今度はソ連が、サハリンを自国に取り戻しただけではなく、「南クリル列島」の島々をも取り戻しました。
 昨日15日、私は安倍総理と話し、非常に感動的な「南クリル」の元住民の手紙を読みました。私の考えでは、これらの領土に関する歴史的なピンポンを止める必要があります。結局のところ、日本とロシアの根本的な利益は、最終的かつ長期的な解決を求めているということを、何とか理解しなければなりません。これが重要な点です。
 しかし、経済活動の問題や安全保障の問題を含め、この点に関する問題は多い。例えば、1956年、ソ連と日本がこの論争の解決に近づき、1956年宣言に署名し、署名しただけでなく、その後批准したところであり、我々が承知しているとおり、これは歴史的事実ですが、この地域に利益があると考えている米国が、当時のダレス国務長官の口を通じて日本に対して実質的に最後通牒を突きつけた。この最後通牒とは、もし日本において何か米国の利益に反することがなされれば、沖縄は完全に米国の管轄権に属すことになるというものでした。
 なぜこれを述べるのか。我々は米国の利益を含む、地域の全ての国家に対して敬意を持たねばなりません。これは完全に明らかです。しかし、これは何を意味するのでしょうか。これが意味するのは、例えばウラジオストクに、その少し北部に2つの大きな海軍基地があり、我々の艦船が太平洋に出て行きますが、我々はこの分野で何が起こるかを理解せねばなりません。しかしこの関連では、日本と米国との間の関係の特別な性格及び米国と日本との間の安全保障条約の枠内における条約上の義務が念頭にありますが、この関係がどのように構築されることになるか、我々は知りません。
 我々が柔軟性について述べるとき、我々は、日本の同僚と友人がこれら全ての微妙さとロシア側の懸念を考慮することを望みます。この他、我々は1956年宣言を基礎とする交渉に戻りました。あなたが記憶していれば、この宣言は二島の日本への返還を想定していますが、どのような基礎の上でか確かに明らかではありません。しかし、最終的に宣言は発効し、そこには平和条約締結ののちに、と記されています。
 ここには非常に多くのニュアンスと問題があります。我々は、最終目的の達成のために、プロフェッショナルに、しかし互いの関係、重要なのは何らかの形でこれらの領土とのつながりを持つ人々との関係において、善意を持って行動しなくてはいけません。この最終目的とはどのようなものでしょうか。既に冒頭で述べましたが、今一度繰り返します。これらの島々は、もし安倍総理のプランを実現すれば、ロシアと日本との間の不和の種ではなく、逆に、ロシアと日本を結ぶものになり得ます。
 もし我々が安倍総理から提案のあったプランの方向性に向かって正しく歩みを進めれば、安倍総理は島々における経済活動に関する別途の機構を創設し、政府間協定を締結し、相互協力のメカニズムを作り上げることを提案しましたが、これを基礎に平和条約に関する最終的な解決を達成し得るような条件を形成します。
 もし誰かが、我々が関心を有しているのは経済関係の構築だけであり、平和条約を後回しにすると考えているのであれば、それは違います。私の考えでは、最も重要なのは平和条約の締結であり、なぜならばそれは、歴史的展望、中長期的な展望に立った長期的協力のための条件を創設するからです。これは島々における活動よりも重要です。
 日本は70年間、ロシアとの協力、深い協力なしに生き、我々も生きてきました。我々は今後もそのように生きることができるでしょうか。できます。しかしこれは正しいでしょうか。いや、正しくありません。なぜならばもし我々が努力を結集すれば、我々の国々と経済の競争力は何倍にも拡大します。我々はこれを目指さなければなりません。

(記者)
 ロシアTVのザルビンです。両首脳にお聞きします。本日、既に何度か安倍総理によって5月に提案された8項目の協力プランについて述べられました。このプランの枠組みにおいて、現在既に多数の共同プロジェクトが見られます。これらのプロジェクトに現実的な将来はありますか。また、これらのうちのどのプロジェクトを重要であると考えますか。
 プーチン大統領にお聞きします。日本のおもてなし、食事、温泉はどうでしたか。何を御自身で試しましたか。

(安倍総理)
 それでは、まず初めに、私からお答えをいたします。
 8項目の提案に未来はあるか。まず結論を言えば、未来はあります。私は従来から、日本とロシアの関係を、最も可能性を秘めた二国間関係と、このように申し上げてきました。経済を含む幅広い分野でウィン・ウィンの日露協力の大きな可能性を開花させたい。そして、開花させていくことは日本とロシア双方が大きな利益を得ていく。国民が大きな利益を得ていくことにつながっていくと思います。
 私が5月にソチで提案をした8項目の協力プランと関連する日露の協力プロジェクトを通じて、日本とロシアの経済関係を更に深め、そして、日本がロシアの国民生活の革新に協力していくことは、双方に大きな利益をもたらし、そして、間違いなく相互の信頼関係醸成に役立つと確信をしています。
 先ほど交換された文書も含め、今回の大統領の訪日を機会に、政府間と民間を合わせて約80本の成果文書が署名をされ、数多くのプロジェクトが既に動き出しています。これは今までの日露関係に前例のないことだと思います。まさにこの8項目の協力プランというのは、ただ紙に書いたものではなくて、我々、ウラジーミルとの間で、そして両国の経済界の熱意によって魂が既に入れられたと思っています。
 9月にウラジーミルに約束したとおり、来年の東方経済フォーラムに出席する予定です。その際にも、この8項目の協力プランのさらなる進捗を確認し、日露関係の持つ大きな可能性を開花させていきたいと思っています。

(プーチン大統領)
 共同プロジェクトについては、安倍総理が既に述べました。
 温泉についてですが、私が触れることができたのは、一つの温泉だけでした。それは「東洋美人」という地酒です。是非お勧めしますが、よく言うように、節度を持つ必要があると考えます。

(内閣広報官)
 ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、両首脳によります共同記者会見を終了いたします。

ページの先頭へ戻る

内閣官房内閣広報室
〒100-8968 東京都千代田区永田町1-6-1

Copyright © Cabinet Public Relations Office, Cabinet Secretariat. All Rights Reserved.