巡視船「えちご」における安倍内閣総理大臣訓示

平成30年11月17日
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 本日、ここオーストラリア・ダーウィンにおいて、山が色づく新潟を出港し、日本海、東シナ海、太平洋と6,000キロの波濤(はとう)を乗り越えてきた海上保安官諸君の、誠に頼もしい姿に接し、内閣総理大臣として大変心強く思います。
 あるときは荒波にもまれ、あるときは流出した油にまみれ、24時間365日、昼夜を問わず、海上犯罪の取締り、領海警備、海難救助、海上交通の安全確保など、現場において法に基づき冷静かつ毅然(きぜん)と業務を遂行している諸君に敬意を表します。
 特に最近の大和堆(やまとたい)周辺海域における北朝鮮漁船への対応では、任務に当たる巡視船隊の指揮官として、日本漁船へ肉薄する数多くの北朝鮮漁船を我が国の排他的経済水域の外に退去させました。卓越した操船力やパイロットの高度な操縦力はもとより、それを支える緻密な整備の力、そして力の源となるおいしい食事の船飯力。現場第一線での「えちご」の活躍は、豊田力船長の指揮の下、これらの力を結集し、諸君が高い使命感と緊張感を胸に、実直に職務を遂行してきたからこそ可能となりました。ここから見る諸君の目が何よりのあかしです。
 さて、古来より豊かな海の恵みを受け、海を通じて資源を輸入する我が国にとって、ここオーストラリア周辺を含む海域は海上物流の生命線とも言える極めて重要な海域であり、平和な海の守りは不可欠であります。
 昨日は、オーストラリア海上保安機関との連携強化に係る協力文書を交換しました。両国の海上保安機関の絆は、より強固になりました。そして、ダーウィンを出港後は、海賊事案が多発するスールー・セレベス海でのしょう戒、マニラ湾でのフィリピン海上保安機関との合同訓練に当たることになります。
 今回のオペレーションのような、巡視船による海賊しょう戒や諸外国の海上保安機関との連携を、実直に、繰り返し実施することを通じて、国際的な海洋秩序が形成・強化されます。
 諸君には、引き続き、我が国が世界に提唱している、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋を世界の海で体現してもらいたい。さらに、海上保安庁のシンボルであるコンパスマークに示されているとおり、平和で豊かな海を実現するため、世界の海上保安機関の羅針盤となってもらいたいと思います。
 最後に、今回の任務を無事に遂行することを祈念するとともに、諸君を始め全ての海上保安官の更なる活躍を期待し、私の挨拶といたします。

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