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首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
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平成31年1月4日安倍内閣総理大臣年頭記者会見

 
テロップ版手話版(政府インターネットTV)

【安倍総理冒頭発言】

 皆様、明けましておめでとうございます。
 平成31年、平成最後となる新年に当たり、先ほど伊勢神宮を参拝し、皇室の弥栄と我が国の安寧、発展をお祈りいたしました。ほぼ200年ぶりに皇位継承が行われる歴史的な1年の始まりに際し、境内の凜とした空気に触れますと、いつにも増して身の引き締まる思いであります。
 本年の干支は己亥(つちのとい)であります。前回の己亥は、60年前の昭和34年、日米安保条約の改定交渉が行われた年です。大詰めを迎える日米交渉の傍ら、国内では正に国論を二分する議論が交わされました。しかし、先人たちは決して逃げなかった。国の行く末を見据えながら、決然とその責任を果たしました。改定された日米安保条約は、60年後の今なお我が国の外交・安全保障政策の基軸となっています。今を生きる私たちもまた責任を果たさなければなりません。
 冷戦終結とともに始まった平成の30年間に国際情勢は激変した。戦後世界を形づくってきたものが大きく揺れ動きました。こうした変化に真正面から向き合い、私たちの子や孫の時代、次の60年を見据え、日本外交の新しい地平を切り開いてまいります。
 5日前、TPP協定が発効しました。来月には、欧州とのEPAも発効します。本年は、米国との交渉がスタートし、ASEAN10カ国に中、韓、インド、豪州、ニュージーランドを加えたRCEP交渉も大詰めを迎えます。保護主義への疑念が高まる世界にあって、日本はしっかりと自由貿易の旗を高く掲げ、新しい時代の公正なルールづくりをリードしてまいります。
 北東アジアをめぐる情勢も、昨年6月の米朝首脳会談により歴史的な転換点に差し掛かっています。北朝鮮の核・ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けていかなるチャンスも決して逃すことなく、果断に行動してまいります。
 昨年秋の訪中では、習近平主席と今後の両国の道しるべとなる3つの原則を確認しました。本年は、その本格始動の年であります。日中関係を新たな段階へと押し上げてまいります。
 そして、ロシアとは北方領土問題を解決して、平和条約を締結する。戦後70年以上残されてきたこの課題に、次の世代に先送りすることなく、必ずや終止符を打つとの強い決意を昨年、シンガポールの地でプーチン大統領と共有しました。事情が許せば、今月下旬に私がロシアを訪問し、平和条約交渉を前進させる考えであります。
 今こそ、戦後日本外交の総決算を行っていく。本年はその目標に向かって大きく前進する1年にしたいと考えております。
 60年前の亥(いのしし)年、日本は、本格的な高度成長へ正に踏み出そうとしていました。そうした時代の変化を先取りし、先人たちはこの年、国民年金法や最低賃金法を成立させ、現代にまで受け継がれる社会保障制度への礎を築きました。
 60年後の今、我が国では、少子高齢化が急速に進んでいます。正に国難とも呼ぶべきこの課題に、現代の私たちもまた真正面から向き合い、未来への改革を進めなければなりません。
 本年10月から幼児教育を無償化いたします。戦後、小学校・中学校9年間の普通教育が無償化されて以来、70年ぶりの大改革です。来年4月からは、真に必要な子供たちの高等教育も無償化し、生活費などをカバーする十分な給付型奨学金を支給します。安倍内閣は、次代を担う子供たちの未来に大胆に投資していきます。
 その財源となる消費税の引上げについては、前回の反省の上に、本年、頂いた消費税を全て国民の皆様にお返しするレベルの十二分の対策を講じ、景気の回復基調をより確かなものとしてまいります。
 同時に、人生100年時代を見据え、意欲さえあれば65歳を超えても働くことができる生涯現役の社会を実現するため、これまでの働き方改革の上に、更なる雇用制度改革を進めます。その上で、医療、年金など社会保障制度全般に渡る改革の検討に入ります。我が国の社会保障制度を子供から子育て世代、現役世代、高齢者まで全ての世代が安心できるものへと改革していく。本年はその力強いスタートを切る年であります。全世代型社会保障元年であります。
 本年は、主要国の首脳が一堂に会するG20サミットを初めて日本で開催します。アフリカの国々が集まるTICAD、秋にはラグビーワールドカップも予定されています。そして、5月1日には皇太子殿下が御即位され、改元が行われます。新しい元号は、これまで改元に当たって決定、公表されてきましたが、今回は国民生活への影響を最小限に抑える観点から、先立って4月1日に発表する考えです。歴史的な皇位の継承を国民がこぞって寿(ことほ)ぐことができるよう、政府としてその準備に全力を尽くしてまいります。
 そして、平成のその先の時代に向かって国民の皆様とともに力強いスタートを切る。本年を「日本の明日を切り拓く」1年としたいと考えています。
 いのししは猪突猛進という言葉があるように、走り出せば時速50キロにも及ぶ。脇目も振らずに突進するという印象をお持ちの方も多いと思います。しかし、その動きは自由自在。障害物があれば左右によけたり、ひらりとターンすることができる。意外と身のこなしが極めてしなやかな動物だそうであります。私も本年は、いのししのようなスピード感としなやかさを兼ね備えながら政権運営に当たってまいりたい。亥年の年頭に当たって、そう決意しています。
 引き続き、国民の皆様の御理解と御支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
 最後となりましたが、本年が国民の皆様にとりましてすばらしい年となりますことをお祈りいたしております。
 私からは以上です。

【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは、報道の皆様方から御質問いただきます。
 御質問を希望される方は、所属とお名前を明らかにした上でお願いいたします。
 初めは、内閣記者会の代表の方からお願いしたいと思います。どうぞ。

(記者)
 共同通信の阪口です。よろしくお願いいたします。
 今ほど言及された新元号の公表に関してなのですけれども、新元号に関する政令なのですけれども、今の天皇陛下が公表、公布されるかどうかという1点をまず確認させてください。
 それと、先ほども言及されましたけれども、G20のほかにも夏には参院選挙であったりとか、10月には消費税の引上げなど、重要な節目が数多くありますけれども、どのように政権を運営されていくおつもりなのか。参院選に合わせて解散総選挙なんていう話も聞こえてきておりますけれども、どのようにお考えでしょうかということを伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

(安倍総理)
 改元についてでありますが、改元は皇太子殿下が御即位される5月1日に行います。新たな元号については、国民生活への影響を最小限に抑える観点から、4月1日に元号を改める政令を閣議決定し、その公布は通常の政令制定の手続に従って行う考えであります。そして、具体的にどのような過程を経て元号を選定するかについては、平成改元時の手続を踏まえつつ決めていきたいと考えています。
 政権奪還から6年が経過いたしました。2012年の12月の総選挙、私たちは日本を取り戻すという考え方の下に政権の奪還に挑みました。これは私たちがただ単に権力に復帰したいという考え方からではありません。当時は正に日本が沈没しそうな状況でありました。この中で何とか希望にあふれ、誇りある日本をつくらなければならない。この気持ちで一致結束して政権を奪還することができました。
 私たちはまた7年目に入って、その初心に立ち戻らなければならないと考えております。この6年間も国民の負託に応えなければならないとの思いで一日一日、全力を尽くしてまいりました。6年が経過したことによって、政権が硬直化してはならないと考えております。大切なことは、しなやかさを持って対応していくことではないのかなと思います。謙虚で、そして寛容な姿勢で政権運営を行っていきたいと思います。
 7年目の本年は、皇位の継承など我が国にとって正に歴史の大きな転換点を迎えるわけでありますが、今後も一日一日全力投球していく考えであります。緊張感を持って政権運営に当たっていきたいと思います。
 そして、参議院選挙に合わせて衆議院選挙を行うのではないのかという御質問であります。そういう声が一部にあるということは承知しておりますが、私自身の頭には片隅にもないわけであります。まずは参議院選挙です。これからの日本がどのような国を目指すのか、国民の皆様にしっかりと訴え、堂々と骨太の政策論争、議論を行っていきたいと、こう考えております。その上で繰り返しになりますが、解散総選挙という言葉は頭の片隅にもないということであります。

(内閣広報官)
 それでは、次は三重県政記者クラブの代表の方からの御質問とさせていただきます。お名前と所属を改めてお願いいたします。

(記者)
 三重県政記者クラブ、幹事社の東海テレビの藤井と申します。
 今年は2014年に策定された、まち・ひと・しごと創生総合戦略の5カ年目標の最終年度となります。三重県を始めとした地方の創生について、これまでの成果、今後の課題についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

(安倍総理)
 安倍政権の基本的な考え方は、元気な地方なくして日本の再生なしということであります。そうした思いの下に安倍内閣は、地方創生の旗を高く掲げて、最重要課題として政策を総動員してきました。地方にとっては一次産業、農林水産業は極めて大切であります。その中で、農業に携わる方々の平均年齢は66歳を超えてしまった。正に改革を行い、若い皆さんが農業あるいは水産業、林業という分野、自分たちの未来を勝てる分野にしていきたい、こう思ってもらえるような改革を行わなければならないと考えました。正に農業、農林水産業を守るための改革を行ってきた。
 そこで私たちが力を入れたのは、農林水産物の輸出であります。農林水産物の輸出が5年連続で過去最高を更新した。それとともに、40歳代以下の新規就農者は、統計開始以来、初めて4年連続で2万人を超えました。正に若い皆さんが農業で頑張ろうという機運が今、醸成されつつあるのは事実だろうと思います。
 そしてもう一点、観光立国を目指して、この観光こそ、地方にとって大きなチャンスがある、そう考えました。外国人観光客も今年は過去最高、3000万人の大台に乗り、政権交代前の4倍近くに増えました。ここ三重県を訪れる外国人観光客も7年間で4倍となりました。観光立国は全国津々浦々に一大市場、一大産業を生み出しつつあり、地方の新しい活力となりつつあると思います。
 そしてもう一つ、地方にとって大切なのは、中小企業・小規模事業者の皆さんです。正に、この皆さんが地方の経済、日本全体の経済を支えていると言ってもいいと思いますが、地方では特に大切ですね。この中小企業・小規模事業者の皆さんの生産性を引き上げていく。支援等を行ってきた結果、中小・小規模事業者の皆さんの倒産も、政権交代前から3割減少し、この四半世紀においては最も少ない倒産件数となっています。
 このような景気回復の風が地方にも着実に届く中で、地方の法人関係税収もここ三重県で4割近く増えました。ほとんどの都道府県で4割から5割増加しています。来年度の地方税収は44兆円を超え、過去最高になっています。
 その上で今後、地方からの人口流出の問題について、しっかりと取り組んでいきたいと思います。ポイントとなるのは、近年の傾向として、若い世代を中心に地方移住への関心が高まっていることであります。三重県も鈴木英敬知事以下、皆さんが努力をしていただき、東京などに相談センターを設置するなど、移住の促進に積極的に取り組んでおられますが、昨年度の移住者は2年前と比べて2.5倍に増えるとともに、その6割が30歳代以下の若者だと聞いています。
 東京にあるふるさと回帰センターでも、10年前は相談に来る人の人数、その半数近くが60代以上だったのですが、直近では相談件数自体が10倍以上に増えました。そのことに加えまして、そのうち9割が50歳代以下の現役世代に占められているということであります。正に地方にこそチャンスがあると考え、地方に飛び込んでいこうとする若者たちが正にだんだん出てきていただいている。そのチャレンジを政府として全力で応援していきたいと思っています。
 これまでも若者たちによる地域おこし協力隊を政権交代前の10倍以上、5,000人へと大幅に拡大しました。さらにこの春からはUIJターンによる起業、就業に対して最大300万円支給するなど、かつてない支援策を講じていきます。こうした取組によって、もっともっと大都市部から地方への人の流れを分厚いものとしていきたいと考えています。

(内閣広報官)
 それでは、再び、内閣記者会の代表の方、お願いいたします。

(記者)
 東京新聞の島袋と申します。よろしくお願いいたします。
 総理は憲法改正について、2020年の改正憲法の施行を目指す考えを示しておられますが、2019年は改憲に向けて、どのように取り組まれるか、教えてください。
 また、1月のロシア訪問やG20首脳会合でロシアのプーチン大統領との北方領土交渉、あわせて平和条約締結交渉が行われますが、どのように取り組まれるか、お聞かせください。

(安倍総理)
 まず、日露についてお答えいたします。過去70年以上、北方領土交渉は全く動いてきませんでした。2年前の長門会談以降、日露が共に北方四島の未来像を描き、その中から解決策を探し出すという新しいアプローチの下、元島民の皆さんの航空機による墓参が初めて行われました。そして、共同経済活動の実現に向けた現地調査も実施されました。これまでになかった協力が進んでいます。
 同時に、北方領土には多数のロシア人が住んでおり、その皆さんのお墓もあるというのが残念ながら現実であります。したがって、住民の方々に、日本に帰属が変わるということについて納得をしていただく、理解をしていただくことも必要です。日本人が共に住むことにより、生活が良くなっていくということを理解してもらう必要があります。そのための新しいアプローチなのです。
 長門合意に基づく信頼関係の上に、昨年11月のシンガポールの日露首脳会談において、1956年の共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速していくということで、プーチン大統領と合意をいたしました。
 今月中旬に河野外務大臣が、そして、下旬には、私がロシアを訪問し、集中して交渉を行います。相手のあることでありますから、交渉の結果を事前に予断することはできませんが、プーチン大統領との間で、できるだけ交渉を進展させたいと考えています。
 憲法についてでありますが、憲法は、国の未来、そして国の理想を語るものでもあります。本年は、皇位継承が行われ、我が国で初のG20サミットが開催され、世界中の首脳が日本に集まります。
 そして、ラグビーのワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピック、新しい時代の幕開けに当たり、私たちはどのような国づくりを進めていくのか。この国の未来像について議論を深めるべきときに来ていると思います。
 憲法改正について、最終的に決めるのは、主権者たる国民の皆様であります。だからこそ、まずは具体的な改正案を示して、国会で活発な議論を通じ、国民的な議論や理解を深める努力を重ねていくことによって、また、重ねていくことが選挙で負託を受けた私たち国会議員の責務であろうと考えています。
 国会において活発な議論がなされ、与党、野党といった政治的な立場を超え、できる限り広範な合意が得られることを期待しています。

(内閣広報官)
 それでは、最後の質問とさせていただきます。
 三重県政記者クラブの代表の方にお願いいたします。

(記者)
 読売新聞津支局の新良といいます。よろしくお願いします。
 リニア中央新幹線についてお伺いします。地元からも早期着工を求める声が上がっている名古屋-大阪間の開業時期やルート、それから、駅位置などにつきまして首相の考え方をお願いいたします。

(安倍総理)
 リニア中央新幹線は、我が国が誇る最先端の技術であります。東京から名古屋へは40分、大阪からは25分程度、伊勢神宮にももっともっと簡単に参拝できるようになると思いますが、大阪までの全線開業については、財投を活用し、最大8年間前倒しを可能としました。現在は、8年後の名古屋までの開業を目指し工事が進んでいます。
 昨年10月には、品川-名古屋間における大深度地下使用に係る認可も行われたところでございます。名古屋-大阪間のルート、そして駅の位置については、建設主体であるJR東海が検討を進めることとなっておりますが、既に環境アクセスに向けて地元自治体との意見交換が開始されています。
 また、政府としては、リニア中央新幹線、北陸新幹線等との乗り継ぎ利便性の観点から新大阪駅の機能強化について検討していきます。リニア等新幹線による高速鉄道ネットワークを軸に、東京や大阪、名古屋がハブとなって、日本全国北から南まで地方と地方をつないでいく、地方創生回廊をつくり上げ、全国を一つの経済圏に統合していくことで地方に成長のチャンスを生み出していきたいと考えています。

(内閣広報官)
 それでは、以上をもちまして、安倍内閣総理大臣の平成31年年頭記者会見を終わらせていただきます。
 皆様の御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。

(安倍総理)
 ありがとうございました。

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