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首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
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平成29年11月17日第百九十五回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説

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一 はじめに

 緊迫する北朝鮮情勢、急速に進む少子高齢化。今、我が国は、正に国難とも呼ぶべき課題に直面しています。国民の信任なくして、この国難を乗り越えることはできません。
 先般の総選挙の結果、衆参両院の指名を得て、引き続き、内閣総理大臣の重責を担うこととなりました。
 「安定的な政治基盤の下で、政策を、ひたすらに実行せよ。」
 これが、総選挙で示された国民の意思であります。
 お約束した政策を一つひとつ実行に移し、結果を出していく。全身全霊を傾け、国民の負託に応えていくことを、この議場にいる自由民主党及び公明党の連立与党の諸君と共に、国民の皆様にお誓い申し上げます。
 我が国の未来を切り拓くことができるのは、政策です。そして、政策の実行であります。
 この国会において、それぞれの政策を大いにたたかわせ、建設的な議論を行いながら、国民のための政策を、皆さん、共に、前に進めていこうではありませんか。

二 北朝鮮問題への対応

 今、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言ではありません。国民の信任を背景に、積極的な外交政策を展開してまいります。
 北朝鮮による我が国を飛び越える相次ぐミサイルの発射、核実験の強行は、断じて容認できません。
 先般、トランプ大統領が来日し、日米同盟の揺るぎない絆(きずな)を、世界に示しました。
 トランプ大統領は、拉致被害者の一人ひとりの写真を、真剣なまなざしで見つめながら、御家族の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾けてくれました。御家族も御高齢となる中で、拉致被害者の方が再び故郷(ふるさと)の土を踏み、御家族と抱き合うその日まで、私の使命は終わりません。
 北朝鮮の核、ミサイルの問題、そして拉致問題を解決する。北朝鮮にその政策を変更させなければならない。そのために、国際社会と共に、北朝鮮への圧力を一層強化してまいります。
 先日のAPEC、東アジアサミットにおいても、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席をはじめ、各国首脳と、北朝鮮問題に対する緊密な協力を確認いたしました。
 日中韓サミットを早期に開催し、三か国の連携を更に深めてまいります。
 北朝鮮による挑発がエスカレートする中にあって、あらゆる事態に備え、強固な日米同盟の下、具体的行動を取っていく。ミサイル防衛体制をはじめとする我が国防衛力を強化し、国民の命と平和な暮らしを守るため、最善を尽くしてまいります。

三 少子高齢化を克服する

(生産性革命)
 この五年間、アベノミクス「改革の矢」を放ち続け、雇用は百八十五万人増加しました。この春、大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高です。この二年間で正規雇用は七十九万人増え、正社員の有効求人倍率は、調査開始以来、初めて、一倍を超えました。
 この経済の成長軌道を確かなものとするために、今こそ、最大の課題である少子高齢化の克服に向けて、力強く、踏み出す時であります。
 「生産性革命」、「人づくり革命」を断行いたします。来月、新しい経済政策パッケージを策定し、速やかに実行に移します。
 人工知能、ロボット、IoT。生産性を劇的に押し上げるイノベーションを実現し、世界に胎動する「生産性革命」を牽(けん)引していく。二〇二〇年度までの三年間を「生産性革命・集中投資期間」と位置付け、人手不足に悩む中小・小規模事業者も含め、企業による設備や人材への投資を力強く促します。
 大胆な税制、予算、規制改革。あらゆる施策を総動員することで、四年連続の賃金アップの勢いを更に力強いものとし、デフレからの脱却を確実なものとしてまいります。

(人づくり革命)
 「人生百年時代」を見据えた経済社会の在り方を大胆に構想し、我が国の経済社会システムの大改革に挑戦します。
 幼児教育の無償化を一気に進めます。二〇二〇年度までに、三歳から五歳まで、全ての子どもたちの幼稚園や保育園の費用を無償化します。〇歳から二歳児も、所得の低い世帯では無償化します。
 待機児童解消を目指す安倍内閣の決意は揺るぎません。本年六月に策定した「子育て安心プラン」を前倒しし、二〇二〇年度までに三十二万人分の受け皿整備を進めます。
 どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、高校、高専にも、専修学校、大学にも行くことができる。そういう日本に、皆さん、していこうではありませんか。真に必要な子どもたちには、高等教育を無償化します。
 いくつになっても、誰にでも、学び直しと新しいチャレンジの機会を確保する。そのためのリカレント教育を抜本的に拡充します。
 こうしたニーズに応え、「人づくり革命」を牽(けん)引する拠点として、大学改革を進めてまいります。
 二〇二〇年代初頭までに五十万人分の介護の受け皿を整備する。その大きな目標に向かって、介護人材確保への取組を強化します。他の産業との賃金格差をなくしていくため、更なる処遇改善を進めていきます。
 子育て、介護など現役世代が抱える大きな不安を解消し、我が国の社会保障制度を、お年寄りも若者も安心できる「全世代型」へと、大きく改革してまいります。女性が輝く社会、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、誰もが生きがいを感じられる「一億総活躍社会」を創り上げます。
 再来年十月に引上げが予定される消費税の使い道を見直し、子育て世代、子どもたちに大胆に投資していく。消費税による財源を、子育て世代への投資と社会保障の安定化とに、バランス良く充当することで、財政健全化も確実に実現してまいります。
 少子高齢化を乗り越え、我が国が力強く成長する道筋を、皆さん、共に、描いていこうではありませんか。

四 世界の成長を取り込む

 インドの広大な大地を、日本が誇る新幹線が駆け抜ける。この九月、高速鉄道の建設がスタートしました。
 二百回を超えるトップセールスが実を結び、インフラ輸出額は、五年間で十兆円増加しました。我が国の高い技術やノウハウを世界に展開することで、少子高齢化の中でも、大きく成長できるチャンスが広がります。
 自由で公正なルールに基づく経済圏を世界に拡大していく。十一か国によるTPP協定の早期発効を目指します。あわせて、RCEPが、野心的な協定となるよう、交渉をリードしてまいります。
 EUとの経済連携協定が、四年以上に及ぶ粘り強い交渉の末、大枠合意に達しました。人口六億人、世界のGDPの三割を占める巨大な経済圏。アベノミクスの「新しいエンジン」です。
 農家の皆さんの不安や懸念にもしっかり向き合い、安心して再生産できるよう、十分な対策を講じてまいります。水田のフル活用を図り、我が国の豊かな中山間地域、美しい故郷(ふるさと)を守り抜いてまいります。
 世界への挑戦は、手間暇かけてこしらえた質の高い日本の農林水産物にとって、大きなチャンスです。農林水産物の輸出は、本年も、五年連続で、過去最高を更新するペースで伸びています。四十代以下の新規若手就農者は、調査開始以来、初めて、三年連続で二万人を超えました。
 農政改革は地方創生の大きな切り札です。年内に、生産性向上に向けた、抜本的な林業改革、水産業改革のプランを取りまとめます。
 農林水産業全体にわたって改革を展開し、若者が将来に夢や希望を持てる「農林水産新時代」を切り拓いてまいります。

五 災害からの復旧・復興

 東北の被災地では、農地の八割以上が作付け可能となり、全ての漁港が復旧しました。原発事故で大きな被害を受けた福島では、帰還困難区域を除き、ほぼ全ての避難指示が解除されたことに続き、先月から中間貯蔵施設が稼働しました。除染土壌の搬入を進め、二〇二〇年には身近な場所から仮置き場をなくします。
 被災地の復興を一層加速するため、今後とも、生業(なりわい)の復興、心の復興を力強く支援してまいります。
 本年も、全国各地で自然災害が相次ぎました。激甚災害の速やかな指定が可能となるよう、その運用を見直します。事前防災・減災対策に徹底して取り組み、国土強靱(じん)化を進めてまいります。

六 おわりに

 自由民主党と公明党が野党として過ごした、あの三年三か月。
 私たちは、なぜ政権を失ったのか、痛切に反省し、国民の皆様の声に、耳を傾けるところから、スタートしました。全国各地でミニ集会を行い、国民の皆様からの厳しい声を糧に、「政策」を鍛え上げました。
 そして、その「政策」の実行に、この五年間、私たちは、全力を尽くしてまいりました。
 日本の未来をしっかりと見据えながら、今、何を為すべきか。与野党の枠を超えて、建設的な政策論議を行い、共に、前に進んでいこうではありませんか。
 互いに知恵を出し合いながら、共に、困難な課題に答えを出していく。そうした努力の中で、憲法改正の議論も前に進むことができる。そう確信しています。
 政策の実行、実行、そして実行あるのみであります。我が国が直面する困難な課題に、真正面から立ち向かい、共に、日本の未来を切り拓いていこうではありませんか。
 御清聴ありがとうございました。

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