日本経済団体連合会審議員会

令和2年12月24日
挨拶する菅総理 挨拶する菅総理
挨拶する菅総理

 令和2年12月24日、菅総理は、都内で開催された日本経済団体連合会第9回審議員会に出席しました。

 菅総理は、挨拶で次のように述べました。

「経団連の皆様には、総理として初めてお目にかかると思います。実は本日は、菅内閣がスタートしてからちょうど100日目であります。振り返れば、コロナで閉鎖された武漢の街から邦人の方々の帰国、横浜の港のダイヤモンド・プリンセス号への対応、戦後初の全国的な緊急事態宣言、我が国が経験したことのない様々な難局の中で、一日一日、戦い続けている、戦い抜いてきている、そうした思いであります。世界各国が今、新型コロナウイルスという共通の国難に直面し、私たちの経済社会は国境を超えて大きな転換期にあると思います。大切なことは、感染を一日も早く収束させるとともに、グリーン社会の実現を始めとする新たな改革に挑戦し、次の時代に踏み出していくことだと、このように思います。
 バブル崩壊後、我が国の経済社会が抱える様々な問題について、長年にわたって、次のように言われ続けてきました。少子高齢化が止まらない、日本企業のダイナミズムが失われている、IT・デジタルの流れに乗り遅れている、新たな原動力となる産業が見当たらない。アベノミクスによる金融・財政政策によって、日本経済はバブル期以来の好調を取り戻しました。しかしながら、ポストコロナ時代において我が国経済が再び成長して、世界をリードしていけるようになるためには、今申し上げましたように、長年にわたって先送りしてきた多くの宿題が残っています。こうした宿題に答えを出すのが、私の内閣だと思っています。
 まずは、次の成長の原動力を作り出します。それが、私が先の国会の所信表明演説で申し上げました、約束した『グリーン社会の実現』と『デジタル化』であります。私が宣言した『2050年カーボンニュートラル』は、我が国がこの分野で今後、世界の大きな流れを主導していくためには、どうしてもやり遂げなければならない目標だと思っています。私は、この問題に受け身ではなくて、攻めの姿勢で取り組んでいくべきだと考え、総理大臣に就任していち早く政権の方針として『2050年カーボンニュートラル』を明確に打ち出すことにしました。そして梶山経済産業大臣と小泉環境大臣をあえて留任もさせました。
 環境対応は成長戦略のもう制約ではないと思っています。我が国の企業に将来に向けた投資を促し、生産性を向上させるとともに、経済社会全体の変革を後押しし、大きな成長を生み出すものだと思っています。こうした環境と成長の好循環に向けて発想の転換を行って、今回の経済対策では、まず政府が環境投資で一歩大きく踏み出します。過去に例のない2兆円の基金を創設し、野心的なイノベーションに挑戦する企業を今後10年間継続して支援していきます。この基金により、様々な先進的技術の実用化を加速させます。例えば、非常に薄くて軽く、壁などにも設置できる次世代太陽光発電の技術や、二酸化炭素を回収して建築材料や燃料として再利用できる技術などが対象になります。また、低コストで水素を大規模に製造・流通させる技術や、低コスト・超高効率の蓄電池技術なども対象にしたいと思っています。加えて、大きく脱炭素化を図る設備投資には、大企業も含めてあらゆる業種について、過去最高水準の最大10パーセントの税額控除という税制支援も行います。政府による大胆な支援と制度改革を通じて民間投資を後押しし、240兆円の現預金、この活用を促し、ひいては世界にあると言われています、3,000兆円とも言われる世界の中の環境関連の投資資金を我が国に呼び戻し、そして雇用を生み出したいと思っています。
 さらに国民一人一人に直結する、もう一つの大きな改革がデジタル化だと思います。行政サービスのデジタル化の遅れも長年にわたり言われてきた課題ですが、コロナの中で具体的な問題が明らかになってきました。給付金の支給が遅れてしまっている、テレワークができない、はんこをもらうために会社に出て来なければならない。こうした課題を解決すべく、改革を強力に進める司令塔としてデジタル庁を設立します。来年秋に500人規模の人員で始動を目指し、現在急ピッチで作業を進めています。
 組織の要は人です。関係省庁からだけでなく、民間から100名、高度な専門人材を迎え、官民を行き来しながらキャリアアップできる、そうしたモデルをつくりたいと思っています。公務員の採用枠にデジタル職を創設する、このように考えています。政権の本気度というものをお分かりいただけるのかと思います。
 またこれまで各市町村のシステムはバラバラに導入されて、現実もバラバラでしたが、今後は引っ越しをしても同じサービスが受けられるように、デジタル庁が司令塔となって、全国の自治体のシステムを5年後までに統一・標準化します。そのために1,500億円の予算を今回の補正に計上しています。
 デジタル化のカギとなるマイナンバーカードについては、普及を進めるために、カードと保険証の一体化を来年3月にスタートします。また令和6年度までには運転免許証との一体化も行います。さらに、マイナンバーのシステムを管理するJーLIS(地方公共団体情報システム機構)という法人を改革し、まずシステムを24時間運用することで、来年夏から、ポータルサイトで自分の情報に24時間アクセスできるようにします。
 デジタル化には送受信するデータの量、その速さ、通信の安定度がカギとなります。5Gを機能強化した、いわゆるポスト5G、さらには、次世代の技術であります6Gの技術についても、次の技術で世界をリードできるよう、官民が一体となって進めていきたいと思います。
 今回の経済対策で、これらを含めたデジタル関係で1兆円を超える規模を確保しています。さらに、民間企業における抜本的なデジタル化を税制で幅広く後押しすることや、株主総会のオンライン化など、日本全体のデジタル化を一挙に進めていきたいと思っています。
 我が国企業が、過去の成功体験にとらわれず未開拓の成長分野に進出する。次の成長の担い手となる中小企業、ベンチャー企業が育つ。こうした環境を作り出すことも、長年の課題であったと思います。コーポレートガバナンス改革は、我が国企業の価値を高めるカギとなるものです。更なる成長のために、女性、外国人、中途採用者、こうした人たちの登用を促進して、多様性のある職場、しがらみにとらわれない経営の実現に向けて、改革を進めていきたいと思います。
 大企業で経験を積んだ方々を、政府のファンドを通じて、地域の中堅・中小企業の経営陣として紹介する仕組みを、まずは銀行の人材のリストアップによってスタートいたしました。今後は、他業種にも拡大してまいりたいと思います。海外の金融人材を受け入れ、日本に、アジア、さらには世界の中心となる国際金融センターをつくることも、長い間言われてきたことです。日本には、良好な治安と生活環境、そして1,900兆円の個人金融資産などの強みがあります。
 今月決定した税制改正で、関係者から要望いただいたものを一挙に実現しています。相続税について国外財産を対象外とする。いわゆる業績連動報酬に掛かる所得税は、一律20パーセントの税率を適用することにする。また、日本での生活がより便利で快適なものとなるよう、在留資格を緩和し、母国から連れてくることができる家事の使用人の人数を拡大する。きめ細かく対応していきたいと思います。
 今年も残りあと僅かであります。総裁選や所信表明演説でお約束したことを、できるものからスピード感を持って、国民の皆さんに成果を実感していただきたい。我が国が長年抱えてきた課題を解消して、将来に向けた突破口を開きたい。そういう気持ちで100日間、全力で取り組んでまいりました。
 長年我が国最大の課題と言われてきた少子化の問題に対応すべく、不妊治療の保険適用を2022年度からスタートするとともに、それまでは、現行の助成制度の所得制限を撤廃するなど、大幅に拡充するなど、来年の1月からすぐに実施できるよう、補正予算に計上いたします。
 また、2年前から、携帯電話料金については4割程度下げられると申し上げてきましたけれども、先日大手が大容量プランについて、2年前の約7割安いプランの発表がありました。いよいよ本格的な競争が始まる、このように思っております。
 年末年始においても、高い緊張感を持って新型コロナウイルスの対応に当たり、何としてもこれ以上の感染を食い止めて、その上で経済をコロナが始まる前の水準まで回復させたいと思います。グリーンとデジタルを原動力にして、経済を民需主導の成長軌道へ乗せたい、このように思っています。
 私の内閣で重要なのは、変化に対応するスピードと国民目線の改革である、そう思います。行政の縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打破して、具体的な改革を実行します。皆様の叱咤(しった)激励も頂きながら、『国民のために働く内閣』として、全力で取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。」

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