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APEC首脳会議出席・ベトナム公式訪問における内外記者会見 総理の動き[ビデオ版]


平成18年11月20日

中国で内外記者会見を行う安倍総理の写真

【安倍総理冒頭発言】

 今回、APEC首脳会議及びベトナム公式訪問のため、短い期間ではあったが、緑と湖の多い歴史ある都市、ハノイに滞在できたことを本当に嬉しく思っている。

 今回のAPEC首脳会議では、地域の経済連携につき幅広く議論し、地域の安全と繁栄のため、テロ対策、感染症などに取り組むことを確認した。また、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期再開と妥結への決意を示す力強い政治声明を発出した。

 私からは、イノベーションとオープンネス、この2つの考え方のもとに、世界に開かれ、力強く成長する日本を実現していくという考え方を説明した。

 アジア太平洋地域は、今、地球上で最もダイナミックに変化を遂げている地域である。急速な経済発展とともに、多くの国で次々と民主化が達成され、冷戦期に価値観と社会体制を異にしてきた国々も同じ太平洋の友人となり、大胆に改革・発展の歩みを進めている。このベトナムもそうである。

 APECは、アジア太平洋地域の歴史的変貌を支える最も大きな枠組み。日本は世界第2の経済規模を有する国で、またアジアで最も伝統のある民主政治の国として、APECの発展に引き続きリーダーシップを発揮していく。

 今回のハノイ滞在中、首脳として初顔合わせとなったブッシュ米大統領をはじめ、チリ、シンガポール、中国、オーストラリア、韓国、ロシアの各国首脳ともそれぞれ有意義な会談を行うことができた。

 また、日米韓三カ国首脳会談の他、米国、韓国、中国、ロシアといった六者会合参加国の首脳との会談及びAPEC全体会合において、北朝鮮の核問題の平和的解決のために連携しつつ努力していくことを確認し、また、拉致問題の一日も早い解決の重要性を訴えた。この訴えに対して、ブッシュ大統領をはじめ各国から支持の表明があった。また、昨日、APEC首脳会議議長から、北朝鮮によるミサイル発射、核実験に対して強い懸念を表明するとともに、安保理決議1718号等の完全な実施の必要性を強調する口頭声明が発出されたことは大変意義深いと考えている。北朝鮮は、こうした国際社会の声に真摯に耳を傾け誠実に対応する必要がある。

 ベトナム公式訪問を行い、ズン首相と有意義な会談を行った。また、新たな試みとして御手洗経団連会長をはじめ130名を超える大規模経済ミッションに同行いただき、日越経済関係の発展について経済界の方々も交えて大変建設的な意見交換を行うことができた。今回、このように御手洗日本経団連会長を団長としてビジネスマンに同行頂いたことによって、具体的な成果が出るのではないかと期待している。

 最後に、ベトナム政府及びベトナム国民の皆様より頂いた暖かいおもてなしに対し、心より感謝の意を表したいと思う。

【質疑応答】

【質問】
 再開される六カ国協議で北朝鮮に核の放棄に向けた具体的な行動を求めるとしているが、具体的な行動とは何を念頭に置いているのか。

【安倍総理】
 六者会合が再開される運びとなったことは大変喜ばしい。しかし、六者会合の開催自体が目的ではない。再開後の六者会合では、共同声明を通じた朝鮮半島の非核化に向けて、具体的な成果をあげていく必要がある。

 我が国としては、米国をはじめとする関係国と連携しながら、北朝鮮が核放棄に向けた具体的行動を示す必要があるとの考えの下に、早期の具体的な成果を求めていく考えである。

 具体的にいかなる成果をあげていくかという質問であるが、今回のこのAPECの機会に、外相間の会談、あるいは、自分も、米国、韓国、中国との首脳会談を行い、この機会に突っ込んだやりとり、意見交換を行った。その詳細については差し控えさせて頂きたいが、日米韓の三ヶ国の間では、相当程度、考え方を調整することが出来たと思っている。

【質問】
 総理に対しての質問だが、日本はベトナムに対する最大のODA援助国であり、今回最大級の経済ミッションが同行されたが、日本からの対越投資の見込み如何。ベトナムに対するODAのコミットメント如何。また、FTAを日越間で2007年に締結することができるか。

【安倍総理】
 御手洗経団連会長を団長とする130名を超える大規模な経済ミッションを同行し、官民共同で日越経済関係の強化について話しあうことができた。

 ベトナムのWTO加盟に加え、スピード感をもって日越経済連携協定(EPA)を交渉し、日越共同イニシアティブを協力して実施するなどベトナムの投資環境整備を進めて、貿易投資の更なる促進に向け、両国でともに努力していきたいと思う。今回の訪問により、官民が一体となり、この投資・貿易関係促進の「大きな波」を作り出すことを期待している。

 IT人材の育成、エネルギー、原子力、インフラ整備等の分野の官民協力、ホーチミン都市交通プロジェクトでの我が国の技術・ノウハウの活用などにより、ベトナムの経済発展及び貧困削減の努力を引き続き支援したい。また、南北高速鉄道、南北高速道路及びホアラック・ハイテクパークについて、調査団派遣などのフォローアップをしていく。

 今回の訪問直前に、7人のベトナム人の日本への留学生を私のオフィス、官邸に招き、彼らの夢や日本に対する印象を聞き、感銘を受けた。今後とも日越間が関係を緊密化していく、経済関係を強化していくことが日越双方にとって利益になると確信している。

【質問】
 拉致問題についてお聞きする。総理は、この四日間、お会いになられたあらゆる首脳との会談の中で、拉致問題の解決が安倍政権にとって最重要課題である旨を訴えられ、各国の支持を求められた。それに対して概ね支持は得られたと承知しているが、微妙な濃淡があったようにも感じられる部分がある。これを受けて、総理は、各国に拉致問題の重要性を訴えられたことで、問題解決に向けた一つのきっかけ、追い風になるとお考えか。日本政府として、この問題の解決に向けた取り組みを含めてお聞かせ頂きたい。

【安倍総理】
 APEC首脳会議において、私より、拉致問題は国民の生命にかかる極めて重大な問題であること、安保理決議第1718号においても人道上の懸念に対応する重要性を強調していること、また国際的な連携を通じて拉致問題を一日も早く解決していく必要があることを訴え、改めて各国の理解と支持を要請した。また、各国との二国間会談においても、この拉致問題の重要性、拉致問題の解決の必要性について話をした。

 このような私の発言に対し、APEC首脳会議の場では、ブッシュ大統領から、自分の今までの経験の中でも横田早紀江さん、拉致被害者の母親と会ったときのことは忘れ得ない経験である、拉致問題に自分は心を痛めているとの発言があった。また、首脳会議議長による総括発言の中でも、拉致問題についての懸念を共有する旨の発言があった。

 このように、今回のAPEC閣僚会議及び首脳会議、更には、各国外相、首脳との議論を通じて、拉致問題に対する各国の理解が一層深まり、日本の立場に対しての理解、支持が広がったと確信している。

【質問】
 日本政府は、最近になって核兵器を保有することは憲法上認められる旨述べている。また、総理は、日本は核兵器を保有しない旨累次述べ、その立場は今回のAPECの際の日中首脳会談で歓迎されたとのことである。何故日本は核保有はしないのかとお考えか。また総理は、現在この問題が自民党内で議論されている理由は何だとお考えか。

【安倍総理】
 我が国が世界の他の国と違うのは、唯一核兵器の被害を経験している、被爆国という点である。私たちは、この悲惨な悲劇的な経験を通じて世界から核兵器を廃絶するため、先頭に立たなければならないとの使命感をもって、例えば、国連の場において取り組んでいる。我々は、その中で、核兵器を保有するという選択肢を放棄しているわけである。

 今般、日中首脳会議においても、私から非核三原則は堅持していくということを申し上げた。それと同時に、核保有国が、核軍縮に取り組んでいくことの必要性についても申し上げた。

 私の政府において、また自民党の正式な機関において核を保有するということについての議論をするということはないということははっきり申し上げておきたいと思う。

【質問】
 APECの関係各国との連携についてもう少しお話をお伺いしたい。今回、北朝鮮を巡っての対応については中国との溝が感じられた。また、中国が主導権を握る形で共同声明には盛り込まれず、口頭のみに留まった。今後、中国とはどのような関係の形を進めていくのか。

【安倍総理】
 今回、APECの場においては基本的に経済問題を議論する場であり、北朝鮮の核実験の問題は、共同宣言になじみにくかった問題だったと思う。一方、昨日の首脳会合で私の発言を始めとして、多くの首脳から北朝鮮の核実験を巡る諸懸念につき発言があり、それを受けてチエット国家主席から、北朝鮮によるミサイル発射、核実験に対して強い懸念表明をするとともに、安保理決議1718号等の完全な実施の必要性を強調する口頭声明が出されたわけである。

 これは、北朝鮮の核実験に対する国際社会の厳しい懸念の表明であると、このように思う。先程申し上げたとおり、本来は経済問題を議論する場であるAPECの場において議長声明として各国一致した考えとしての強い懸念が表明されたわけである。ということは、いかに国際社会がこの問題に強い 懸念を持っているということの表明に他ならないと思う。北朝鮮が、こうした国際社会の懸念に真摯に耳を傾けて、具体的に今後行動で示していく、答えていく必要があると思う。また、中国との間においては、首脳会談を通じてかなり率直な意見交換を行った。突っ込んだやりとりを行った。先程申し上げたとおり、詳細については申し上げることはできないが、意見の調整をかなり行うことができていると思う。いずれにしても、中国も朝鮮半島の非核化を目指して成果を上げていくという方針については我々と全く同じ考えであるということである。

【質問】
 総理は中韓に続いて二回目の外遊先としてベトナムを選ばれた。かねてから主張する外交をおっしゃっているが、見方としてアメリカ重視から多層的な外交を目指しているのではないかという見方もあるが、今回のベトナムでどのような成果があったか。そして安倍外交は何を目指していくのか。

【安倍総理】
 私は主張する外交を展開すると申し上げてきた。これは闇雲に我が国の国益を主張するということではない。もちろんわかりやすく説得力をもって我が国の国益を主張することもある。同時に地域の平和と繁栄のために地域として何をすべきか、或いは日本は何をしようと考えているか、また世界の発展のために何をすべきかということをはっきりと申し上げる外交を展開していきたい。そのために各国との連携を深めて行きたいと考えていた。日米の関係は同盟関係である。当然日本の外交安全保障の基軸でもあるわけだが、この日米同盟を世界の中で、アジアのための、そして世界のための日米同盟と拡張していくためにも日本が各国と良好な関係を築き、信頼関係を築いていくことが大切ではないかと思う。そのような中で今回APECの会議の場を活用して、日米首脳会談はもちろんのこと、初日にはチリ、或いはシンガポールといった国々と会談を行った。そして次の日には胡錦涛主席と会談を行った。極めて短い期間に二回目の胡錦涛主席との会談になったと思う。また豪州ハワード首相とも会談を行ったわけだが、豪州との関係においては日米豪で戦略対話を行っている。そのような意味でこの戦略的な関係を更に深めていくことができたのではないかと思う。更に各国との首脳会談、これも短い間に盧武鉉大統領と二回の会談を行うことができた。また、日米韓の枠組みの会議を行うことができた。これは六者会合を控えて意見の調整、或いは連携を図る上においても極めて有意義だったと思う。そして更には日露の首脳会談を行うことができた。日露間には北方領土の問題、そして平和条約といった大きな課題が残っている。両国とのまず首脳間の信頼関係を築くことができた。それぞれがやはり平和条約は必要であると、これに向けてそれぞれ指導力を発揮していくにおいては、少なくとも一致することができたと思う。このように日米の関係だけではなく、ダイナミックな外交を展開していくことによって地域の平和、また世界の安定のために日本は貢献することができると思う。