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日本国憲法施行60周年に当たっての内閣総理大臣談話


平成19年5月3日

 今年は、日本国憲法が施行されて60周年に当たります。

 この機会に、国民の皆様とともに、憲法の下に歩んだこの60年を振り返り、改めて憲法の意義に深く思いをいたし、併せて将来への決意を新たにしたいと思います。

 戦後我が国は、国民一人一人の優れた英知と不断の努力により、幾多の困難を乗り越えて、今日の平和と繁栄を築いてまいりました。この間、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義という現行憲法の基本原則は広く国民に浸透し、我が国の今日の姿を築く上で極めて大きな役割を果たしてきました。また、恒久の平和を念願し、国際社会において名誉ある地位を占めたいとの憲法の精神は、日本の外交の基本となるとともに、国連平和維持活動の実施など、世界の平和と繁栄に対する我が国の積極的貢献へとつながっています。

 一方、今日の我が国の社会は、経済のめざましい発展やグローバル化、科学技術の急速な進歩、国民意識の多様化など、憲法制定時には想像もつかなかったような大きな変化に直面するとともに、我が国を取り巻く国際社会の枠組みも大きく変わってきています。憲法を頂点とした、行政システム、国と地方の関係、外交・安全保障などについての基本的枠組みは、このような大きな変化についていけなくなってきておりその見直しが迫られています。また、地球環境問題などの新たな課題への取組が急がれるとともに、次代を担う若者が、公共の精神や自律の精神、生まれ育った地域・国に対する愛情や責任感を持つことも重要であると考えます。

 このような状勢の中で、現行憲法の基本原則を不変の価値として継承しつつ、戦後レジームを原点にさかのぼって大胆に見直し、新しい日本の姿の実現に向けて憲法について議論を深めることは、新しい時代を切り拓いていく精神へとつながるものであります。

 憲法は、国の理想、かたちを物語るものです。憲法の在り方について、今後国民的な議論が更に広く展開され、方向性がしっかりと出てくることを強く期待します。

 憲法施行60年の節目に当たり、世界の人々が憧れと尊敬を抱き、子どもたちの世代が自信と誇りを持つことができるような新しい日本の姿の実現に向けて、憲法の基本原則を改めて深く心に刻んで、更に前進する決意を新たにするものであります。