首相官邸  
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日・チェコ首脳共同記者会見


平成21年5月3日

共同記者会見を行う麻生総理

  政府インターネットテレビ


【トポラーネク首相冒頭発言】

 麻生総理の訪問を歓迎。今次訪問を通じ、日・EU期首脳協議とともに、二国間の協議を行うことができうれしく思う。ロンドンで開催されたG20サミットは、世界経済危機について協議することができた。本日もこの点につき議論した。現在日系企業の進出は247社で、その内訳は150社がサービス業、88社が製造業、3社が開発・技術分野。両国の貿易収支は不均衡であり、日本からの輸出がチェコからの輸出を大幅に上っている。理由は4つあり、第1にチェコの企業の水準が低く、高品質を求める日本での進出が困難であること。第2にチェコと日本の為替レートも関係。第3に非関税障壁も外すことのできない要素である。第4に第三国からの下請けも問題がある。それぞれの問題について議論した。
 先般、排出量について4000万トンの合意がなされたが、技術的な面での協力を進めたい。環境は我々にとって危機ではなく、ビジネスチャンスである。
 北朝鮮、アフガニスタン、中国については夕食会で話をしたいと考えている。
 

【麻生総理冒頭発言】
 
 ただ今、トポラーネク首相と、大変有意義な会談を行った。チェコがEU議長国として指導力を発揮されていることに、敬意を表した。その上で、今後、両国が、二国間関係、日・EU関係の双方で、幅広い協力をすすめていくことを確認した。
 会談の具体的な成果としては、まず経済面がある。現在の経済危機の中、多くの日本企業がチェコにおいて操業を続け、約4万人の雇用を創出していることを申し上げた。これは、両国間にとり、喜ぶべきことだと思う。
 また、日本のIMFの1000億ドルの融資が中・東欧地域の危機克服に役立つと期待する旨を表明。さらに、近々発行予定の日・チェコ社会保障協定により、両国の経済関係が一層発展することへの期待を表明。
 第二に、科学技術交流。両国の研究開発機関や大学関係者の参加により、過去4回開催されたシンポジウムである、「日・チェコ科学の日」の成果を踏まえ、両国の科学技術交流をさらに進展させていくことを確認した。
 第三に、チェコ、ハンガリー、スロバキア、ポーランドからなる「ヴィシェグラード4カ国」と日本との対話・協力を推進していくことについても一致した。「V4+1協力」は、自分が外務大臣の時に始めたものだが、日本と「ヴィシェグラード4」の外相会合を今月末にハノイで開催予定の「ASEM外相会合」の際に開催する方向で調整を進めたい。
 このほか、北朝鮮問題、新型インフルエンザ問題、気候変動などについて、緊密な協力を行うことを確認した。特に、気候については、今後、日本の優れた「省エネ・環境保全技術」がチェコで活用されることを期待している。


【質疑応答】
(問)

 北朝鮮問題に関し、両首脳に伺いたい。北朝鮮は、6者会合への不参加等反発を強めているが、両首脳の受け止め及び今後の両国の対応は如何。

(トポラーネク首相)
 北朝鮮については、もちろん日本と同様の考えである。距離的な点では日本の方が北朝鮮の核開発はより深刻な脅威となっている。我々は北朝鮮が国際的約束を果たすかを注視しているが、3月23日に平壌にてEU・北朝鮮の会合が開催された際には、6者会合の現状について懸念をEU側から強く伝えた。先般のミサイル発射の日にはちょうどオバマ大統領がチェコを訪問していたので、米とともに共同声明を発出した。北朝鮮については、日本にとっては二国間の問題としても考える必要もあろう。日本の拉致問題やいわゆる過去の清算も未解決である。結論としては、北朝鮮の核兵器プログラムは世界に対する脅威である。

(麻生総理)
 北朝鮮をめぐる問題の解決のためには、国際社会が一致して対応することが重要。これまで、チェコを含むEU諸国は、核・ミサイル問題や拉致問題を含む人権問題について、一貫して共同歩調をとって頂いており、評価。先日のミサイル発射への対応に際しては、チェコが、EU議長国としてEU諸国の連携に尽力して頂いた結果、あのように素早い対応となったと理解しており、深く感謝する。北朝鮮が、先日の国連安保理議長声明を重く受け止め、国連安保理決議を守り、国際社会の平和と安定を損なう行動を慎むことを、改めて求めたい。また、6者会合は、北朝鮮をめぐる問題を解決する上で、最も現実的な枠組みであると考える。以上は、国際社会全体の考えでもあり、日本としては、EUを初めとする関係国と緊密に連携して、問題の解決に取り組んでいきたい。

(問)
 麻生総理には、世界金融危機に対し、どのような経済対策を考えているか伺いたい。また、トポラーネク首相には、先程非関税障壁につき言及があったが、どのような経済対策を考えているのか伺いたい。

(麻生総理)
 90年代の金融危機後、日本は名目金利をゼロとしても、市中に借り手がいないという状況であった。企業は投資より債務の最小化をまず優先したため、投資は全く増えなかった。そのため、政府が債務の形で資金を調達し、景気の回復を図ることしか方法がなかった。これは日本だけが経験したことであり、15年たった今、全世界が経験している。不況は60数年間の間、何回もあったが、日本はデフレーション下での危機を経験した戦後唯一の国である。
 このような90年代の経験を踏まえれば、現下の状況で必要なことは、基本的には不良資産処理と財政措置の2つ。日本は不良債権の処理が終わっているので、先月10日、1500億ドルの財政出動を決めたが、これはGDP3%の財政支出をやったということ。
 大事なことは、1929年の大恐慌の教訓から学ぶということである。1つは、自国の通貨を切り下げないことで、次に関税障壁を高くする等保護主義にならないこと、そして、ブロック経済に固まらないことである。

(トポラーネク首相)
 我々の政権が馬鹿馬鹿しい経済対策をおこなったとの批判は許さない。多くの国が経済危機への対策を考えている途中で、我々はすでに措置をとり、結果が現れている。経済対策委員会は、チェコにおける失業率が変わらないとのデータを分析した。両国は異なる経済状況のもとにあるが、同じ対応をとっていると期待。日本とチェコ双方が参加する形で、非関税障壁に関する会合を年2回開催しており、企業がスムーズに活動を行える環境ができるように協議しているが、かなり時間がかかっている。日・EU定期首脳協議において、同問題が解決されることを期待。チェコ企業の日本進出については、効率的に行えるよう分析が必要。チェコ企業の競争力の低さがその一因であるということもあるが、言葉、文化、取引の費用等両国の間には非関税障壁があり、合理的にどのように解決できるのかはテーマの一つである、具体的問題に一つずつ向かい合って第二のステップに進まなければならない。