首相官邸  
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日独首脳共同記者会見


平成21年5月5日

共同記者会見に臨む両首脳

  政府インターネットテレビ


【メルケル首相冒頭発言】

 麻生総理の訪問を歓迎する。これまで様々な機会で、最近では世界経済・金融危機に関するロンドン・サミットの際にお目にかかった。本日は二国間関係について意見交換する機会を得た。日独両国の関係は非常に良好であり、様々な分野で緊密な協力が行われている。特に、両国はテクノロジーの分野で優れた技術を有しており、気候保全に資するグリーン・テクノロジーの分野で今後一層協力していけると思う。
 ロンドン・サミットでは、世界金融秩序の再構築について議論が行われたが、本日の会談でも、このような危機を将来いかにして予防すべきかについて意見交換した。このような意見交換を、本年イタリアで行われるG8サミットや、今秋に予定されている第三回世界経済・金融サミットの場で継続していきたい。我々は、経済を再び軌道に乗せるため、あらゆる手段を取るつもりである。その一環として、銀行の不良債権処理の問題や、景気対策パッケージが重要であり、この点で日独の立場は一致している。また、景気対策が効果を発揮するためには、自動安定化装置(オートマティック・スタビライザー)も重要である。
 ドイツの内需は安定している。輸入額は増加傾向にある。ドイツの国内市場が好調なことは、日本を含む諸外国にとっても利益をもたらしている。
 国際情勢では、北朝鮮問題に関し、六者会合を継続していくことが重要との点で一致した。また、国連安保理改革に関し、日独両国は常任理事国入りを目指してこれまで協力してきているが、今後も互いに協力しながら進めていくことで合意した。
 終わりに、本日の会談では、麻生総理との間で有意義かつ具体的な意見交換を実施し、それぞれの国の状況をよく理解することができた。今後も国際場裡において協力していきたい。


【麻生総理冒頭発言】

 まず、今回の私のドイツ訪問に際して、メルケル首相をはじめとしたドイツ政府の歓迎と配慮に感謝申し上げる。ただ今、メルケル首相と大変有意義な会談を行った。日独両国は、それぞれアジアと欧州において最大の経済規模を占め、国際社会に大きな責任を有している。会談では、現下の世界的な経済危機、気候変動などへの対応を含め、世界の安定と繁栄に向け、日独の連携を一層強化することで一致した。
 世界経済・金融危機に関しては、日独が引き続き力を合わせ、ロンドン・サミットの合意を着実に実施し、難局を乗り切っていくことで一致した。私からは、現下の状況で必要なことは、不良資産処理と、財政出動を通じた景気刺激策であることを説明した。その上で、今後の対応について率直な意見交換を行った。
 気候変動については、我々の世代が責任を持って解決への道筋をつけるべきとの認識で一致した。また、私から、公平で実効的な2013年以降の国際的な次期枠組みの合意に向け、(1)排出量の多い途上国も義務を負う必要があること。(2)日独を含む先進諸国が団結して取り組む必要があることを強調した。さらに、低炭素社会の実現のため、日独がエネルギー分野で世界を牽引すべきことで一致した。
 現在、国際社会が連携して対応している新型インフルエンザについて、日独でも協力することで合意した。
 国連安保理改革については、メルケル首相からも話があったように、日独両国が改革の早期実現を目指し、引き続き連携して推進していくことを確認した。
 その他、北朝鮮、アフガニスタン・パキスタン等の地域情勢についても有意義な意見交換を行った。
 今回の会談の成果を踏まえ、日独間の連携・協力を一層強化していきたい。


【質疑応答】
(問)

 メルケル首相に伺います。メルケル首相は、国民を抑圧している今の北朝鮮の体制について、その正当性等どう考えるか。

(メルケル首相)
 ドイツの歴史的経験に鑑みても、人間の自由を奪うあらゆる体制は受け入れられるものではなく、状況が改善することを望む。また、北朝鮮と韓国の関係が進展することを望む。ただしその前提となるのは、民主主義という原則に則って、ということである。まずは、国連安保理決議を北朝鮮に遵守させることが重要である。六者会合を継続していくべきであり、独は引き続き六者会合を支援していく。


(問)

 麻生総理に伺います。イランに対する日本の立場を伺いたい。イランとの直接対話実施に同意するか。

(麻生総理)
 イランはアフガニスタンの隣国であり、同国には200万人ものアフガニスタン難民が流入していると承知。アフガニスタン問題解決のためには、隣国であるパキスタン及びイランの協力が不可欠である。これが日本の見方である。イランに関するもう一つの重要なテーマは核開発問題である。イランは国際的孤立を深めているが、日本とイランの間には、これまで築き上げてきた独自の二国間関係がある。先日、モッタキ・イラン外相が、東京で行われたパキスタン支援会合に出席するため訪日し、また、中曽根外務大臣がイランを訪問し、アフマディネジャード大統領等と会談を行った。これらの機会をも通し、日本は国際世論の声を同大統領に届ける努力を続けている。


(問)

 メルケル首相に伺います。麻生総理は、現下の経済危機を乗り越えた後には消費税を引き上げる旨明言しているが、なぜ独は同様の対策を取らないのか。

(メルケル首相)
 現下の危機を乗り越えるために重要なことは、人々が将来に明るい展望を持てるよう勇気づけ、希望を与えることであるが、増税は今後の経済回復達成へのモティベーションを高めるものではない。2005年に大連立政権が成立した当時、独の年金・社会保障システムは多額の赤字を抱えていた。しかし、その後好調な経済に支えられ、雇用が増えたことから、この問題は解決した。現下の世界金融・経済危機を乗り越えた後は、成長を確保し、持続可能な経済基盤を確立することが重要であり、その際には中所得層の負担を軽減する必要がある。累進税率そのものは悪ではないが、中所得層に過重な負担をかける累進税率は見直す必要がある。今回の危機を通じて自分が重視する哲学的方針でありメッセージは、「頑張った人、平均以上に努力した人は、国内にひきとめ、ねぎらうべき」ということである。


(問)

 両首脳に伺います。アフガニスタン・パキスタン問題は、地域という視点から包括的な取り組みが求められていると考えるが、今後日独両国はどのように協力関係を進めていくつもりか。

(麻生総理)
 まず、アフガニスタンについては、8月に大統領選挙が予定されており、これが自由、公正に実施されるよう注視している。日本は、この選挙がうまくいくために、アフガニスタンの全警察官8万人の半年分の給与に相当する支援を行っている。また、ドイツもアフガニスタンの治安能力向上のため、多大な犠牲を払いながらも努力を行っていることを高く評価している。初めてのアフガニスタン支援会合は、2001年にボンで開催されたと承知している。また、中長期的に考えればパキスタンへの支援も重要であり、パキスタンに関し、先日東京で開催した支援国会合では、日本の最大10億ドル、ドイツの1.1億ユーロの支援を含め、予想を上回る約52億ドルの支援表明があった。お金を集めただけでなく、そのお金を使ってきちんと支援を行っていき、この成果をパキスタンの安定につなげて行くべく、日独両国で引き続き緊密に連携していきたい。

(メルケル首相)
 すでに麻生総理が言及されたとおり、アフガニスタン・パキスタン問題に対する日独の立場には共通点が多い。すなわち、復興支援と軍事面の措置を上手く組み合わせることが重要であり、日本の努力を高く評価する。また、同問題解決のためには、地域の視点から考える必要があるという点も共通しており、日本がパキスタン支援会合を主催したことに感謝している。私自身最近もパキスタンとの協力を深めるべくパキスタンの首相と電話で話している。独は2007年にG8議長国としてアフガニスタン・パキスタンとの協力を強化し、両国が協力するきっかけを作ったが、両国の積極的関与が重要という点では日本の立場も同じである。独はアフガニスタン警察及び軍の訓練に力を入れている。アフガニスタン人が自らの手で治安を守れるよう支援していくことが重要である。カルザイ大統領は11日に再び訪独するので、その機会にアフガニスタンの軍・警察の支援やアフガニスタン自身の自助努力等について詳細に話す予定である。


(問)

 麻生総理に伺います。世界経済危機克服に向けたドイツの努力は十分といえるか。

(麻生総理)
 ドイツは国内で難しい事情がある中で、積極的かつ迅速な経済対策を実施されていると承知している。特に、スピードという点では、我が国よりも早い段階から動いており、高く評価している。


(問)

 麻生総理に伺います。経済危機の影響で自動車産業が打撃を受けている。独の国内ではオペル救済が目下の話題であるが、本問題に日本が今後より関与を強めていくつもりはおありか。

(麻生総理)
 日独両国にはそれぞれ複数の世界的な主要自動車メーカーの本拠地があるが、そのような国は他にあまり例を見ないと思う。オペルの現状については、正直なところ、あまり詳しく承知していない。ただ、日本の自動車メーカーがオペルに積極的に関与しようとか、逆にオペル側から日本の自動車メーカーに対して特別なオファーがあったということも聞いていないので、ご質問にお答えすることはできない。ただ、日本もドイツの例にならい、車の買い替え支援策を4月1日より導入し、エコカーを購入したら10万円、13年以上の古い車を廃車して買い替えたら25万円の支援を行うこととした。これは、自動車産業への支援と、環境・気候変動対策を組み合わせた政策であり、ドイツのアイデアを参考にさせていただいた。