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平成17年度予算編成の基本方針

平成16年12月3日
閣 議 決 定


 我が国の経済・財政と構造改革の推進

 
 (平成16年度及び平成17年度の我が国経済)
 景気は、このところ一部に弱い動きはみられるが、回復が続いている。
 平成16年度全体を通してみると、我が国経済は、企業部門の改善により、民間需要中心の回復を続けると見込まれる。ただし、景気回復には地域によってばらつきがみられる。また、緩やかなデフレ状況が継続すると考えられる。
 平成17年度の我が国経済は、雇用・所得環境の改善により、引き続き民間需要中心の緩やかな回復を続けると考えられる。また、政府・日本銀行一体となった取組を進めることにより、デフレからの脱却に向けた進展が見込まれる。
 他方で、今後の原油価格の動向や世界経済の動向等が我が国経済に与える影響には留意する必要がある。
 
 (財政事情)
 我が国財政は、平成16年度予算では公債依存度が44.6%にも及ぶなど、先進国のいずれの国と比較しても極めて深刻な状況にある。また、歳入歳出構造はますます硬直化してきており、財政構造についての思い切った見直しがなければ、歳出と税収の多額のギャップは年々拡大していく可能性が高い。したがって、財政構造改革の取組を強化し、将来世代に責任が持てる財政を確立する必要がある。
 
 (構造改革の推進と我が国経済)
 構造改革を進め、デフレからの脱却を確実なものとしつつ、21世紀にふさわしい仕組みを作り上げていかなければ、日本経済の再生と発展はない。改革は途半ばであるが、改革の芽が育ってきている。これを大きな木に育てていくため、「改革なくして成長なし」「民間にできることは民間に」「地方にできることは地方に」との方針の下、引き続き各分野にわたる構造改革をスピード感を持って一体的かつ整合的に実施する。
 日本経済の再生は元気な地域経済に支えられて実現する。「官から民へ」「国から地方へ」との方針の下、地域再生の本格的な枠組みを構築し、地方の権限と責任を大幅に拡大するなど、各種政策手段を組み合わせた「地域の地力全開戦略」としての取組を強力に推進する。
 
 

II

 平成17年度予算の基本的考え方

 
 (改革断行予算の継続)
 平成17年度予算編成においては、2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化を念頭に置きつつ、構造改革を一層推進するため、「改革断行予算」という基本路線を継続し、持続的な財政構造の構築と予算の質の向上を図る必要がある。このため、歳出改革を一層推進し、一般会計歳出及び一般歳出の水準について、実質的に前年度水準以下に抑制してきた従来の歳出改革路線を堅持・強化する。
 予算の配分に当たっては、「公共投資関係費」、「裁量的経費」については、2割増の要望を認めつつ厳しい予算配分を行う。公共投資関係費は、その総額を前年度予算額から3%減算した額の範囲内に抑制する。「義務的経費」は、自然増を放置することなく、制度・施策の抜本的見直しを行い、歳出の抑制を図る。裁量的経費は、前年度予算額から2%減算(「科学技術振興費」に相当する額を除く。)した額を上限として縮減を図る。また、「要望基礎額加算措置」等を踏まえ、各経費間の調整を行う。行政サービスの簡素化・効率化を織り込み単価を引き下げる。
 予算配分の重点化・効率化に当たっては、「政策群」や要望基礎額加算措置等を活用しつつ、活力ある社会・経済の実現に向けた4分野(下記Vの1から4までに掲げる分野。以下「重点4分野」という。)へ施策を集中し、「重点強化期間」の主な改革及び経済活性化に向けた重点施策を推進する。また、各府省は、重点課題における全ての事業予算について成果目標を提示し、厳格な事後評価を行う。政策評価等を活用し、歳出の効率化・合理化を進める。
 歳入面においては、足下の経済情勢や税収動向を踏まえ、新規国債発行額について平成16年度(36.6兆円)よりも減額することを視野に極力抑制する。国債発行に当たっては、市場との対話、民間有識者等からの助言等を踏まえつつ、個人向け国債の発行拡大など国債の商品性・保有者層の多様化等、適切な債務管理政策を実施する。税外収入については、可能な限りその確保を図る。
 なお、財政投融資については、「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)等を適切に反映しつつ、真に必要な資金需要には的確に対応するとともに、民業補完の原則の下、総額の抑制及び対象事業の重点化・効率化に努める。
 
(予算制度改革)
 平成17年度予算編成においては、以下により予算制度改革を本格化させる。
(1) モデル事業・政策群
 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16年6月4日閣議決定。以下「基本方針2004」という。)に沿い、「モデル事業」について電子政府に関する予算に広く導入を図り事業を大幅に追加するなど、取組の充実を図る。
 政策群についても、府省間の連携をより強化し、対象を拡充する。引き続き府省横断的な調整を行う。
(2) 特別会計
 特別会計については、引き続き歳出改革の推進を図ることとし、「基本方針2004」を踏まえ、各特別会計の性格に応じ、制度改革等を行い、歳出の効率化・合理化を推進するとともに、一般会計からの繰入を抑制する。
 
 (行政改革)
 行政改革の手綱を緩めることなく更に積極的に推進するため、平成16年末を目途に新たな行政改革の方針を策定する。
 国家公務員の定員については、平成17年度からの5年間で10%以上の削減を目指すとともに、治安など真に必要な部門には適切に定員を配置し、政府部内全体を通じて定員の再配置を強力に推進する。このため、IT化による業務改革やアウトソーシングの推進、地方支分部局の事務事業や統計の抜本的見直し等により、定員削減計画を上回る大幅な削減を行う。また、総人件費を極力抑制するとの基本方針を堅持するとともに、行政の無駄を省く。
 独立行政法人・特殊法人等についても、人件費を含む一般管理費の削減や厳しい定員削減など、一層の事務運営の効率化を図る。特に、中期目標期間が終了する独立行政法人については、組織・業務全般について極力整理縮小する方向で厳しく見直しを行う。
 
 (税制改革)
 税制については、経済社会の活性化、持続可能な社会保障制度の確立、真の地方分権と行政改革の推進、基礎的財政収支の改善、グローバル化の下での競争力強化等の視点に立ち、「平成16年度与党税制改正大綱」も踏まえ、重点強化期間内を目途に結論を得るべく、相互に関連する税制改革案の包括的かつ抜本的な検討を引き続き進める。
 平成17年度税制改正においては、定率減税の見直しについて、導入時の経緯や上記Tの今後の経済動向等についての認識を踏まえ検討を行う。
 
 

III

 歳出の見直しと構造改革の推進

 
 平成17年度予算は改革断行予算を継続し、歳出全体を厳しく見直し、大胆な質的改善を図る。1から4までに掲げる重点4分野について、これまでの実績・評価を考慮しつつ、政策効果が顕著なものについて重点的かつ効率的に推進する。また、5から7までに掲げる事項についても制度・施策の見直しを行う。
 さらに、防衛、ODAその他の歳出分野についても「基本方針2004」に即し、歳出の見直しに取り組む。
 
 人間力の向上・発揮−教育・文化、科学技術、IT
 
 競争的環境の下で、世界最高水準の大学を育成するため、大学改革を一層促進するとともに、時代のニーズに応じた創造的な大学院教育の展開を支援する。機関補助について競争原理に基づく支援策へのシフトを促進し、高等教育・研究の活性化を図るとともに、奨学金事業の充実等意欲と能力のある個人の主体的な自助努力を支援する。初等中等教育については、教育の質を向上させ、豊かな心を持ち確かな学力と創造性を持った人材の育成を図る。そのため、教育における国・地方の役割分担を踏まえ、地方の自由度を拡大するなどの教育改革を推進する。また、「食育」を推進する。文化芸術分野を含め優れた人材育成を図るとともに、生涯スポーツ社会の実現を目指し、文化・芸術・スポーツを活かした豊かな国づくりを進める。
 雇用のミスマッチを縮小する施策に取り組む。また、若者の働く意欲の向上、個人の選択を機能させた若年者の能力開発施策の拡充や地域との連携強化など「若者自立・挑戦プラン」の強化を図る。障害者の就労、生活支援等の充実・再構築を図る。
 「新産業創造戦略」を踏まえ、戦略分野について施策の重点化を図る。
 科学技術創造立国の実現のため、「平成16年度予算編成の基本方針」(平成15年12月5日閣議決定)の考え方に沿って重点化し、その他分野においては一層の効率化・合理化を図る。また、更なる質的向上を図るため、施策の優先順位付け(SABCの4段階)等を踏まえ、メリハリを一層強化するとともに、重複の排除や見直し、連携の強化等を行う。競争的研究資金については、評価体制の整備等の制度改革を行いつつ、「科学技術基本計画」(平成13年3月30日閣議決定)で示された目標に向けて重点的拡充を図る。また、産学官連携の推進及び地域科学技術の振興を図る。さらに、知的財産立国に向け、「知的財産推進計画2004」に基づく施策を推進する。
 「e-Japan戦略U」の目標達成に向け、「e-Japan重点計画-2004」を踏まえ、ITの活用を推進する。なお、これらの施策の推進に際しては、民間が主導的な役割を担うとの原則に沿って官民の役割分担を明確にするとともに、IT戦略における成果主義の下、既存のプロジェクトの見直しを行う。
 
 個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方
 
 都市の魅力と国際競争力を高めるため、都市再生プロジェクトの推進、民間都市開発投資の促進、民間資金の誘導等地方に対する支援の枠組みの充実などの全国都市再生を推進する。また、地域経済の活性化と地域雇用の創造に向け、地域が再生に向けた取組を自主裁量で戦略的に実施できるようにするとともに、農林水産業の競争力の強化や建設業の新分野進出支援など地域の基幹産業の活性化、都市と農山漁村の共生・対流、観光立国の実現等を総合的に推進する。さらに、地方の自立と活性化を促進するため、市町村合併を効果的に支援する。
 活力ある中小企業の革新と再生を積極的に支援するため、中小企業者への円滑な資金供給等のセーフティネットの確保を図るとともに、中小企業再生支援協議会の一層の活用等を行う。また、創業や異業種間の新連携等による新事業への取組等に対し、人材育成や技術力の活用等の観点から積極的に支援する。
 現下の犯罪情勢に対応し、「世界一安全な国、日本」の復活を目指し、治安対策に取り組むとともに、情報セキュリティ対策及び衛生上の安全確保等を図る。
 さらに、住民の安全・安心を支える防災対策等を推進することとし、地震・豪雨といった大規模災害等への対応力の強化と復旧・復興支援に取り組む。
 
 公平で安心な高齢化社会・少子化対策
 
 「少子化社会対策大綱」(平成16年6月4日閣議決定)に基づき、「新新エンゼルプラン」(仮称)を策定し、職場と地域を通じた子育て支援体制の強化、待機児童ゼロ作戦をはじめとする仕事と子育ての両立支援、男性・女性を通じた働き方の見直し等を進めるとともに、生命の大切さや家庭の役割について理解を深める。
 また、地方の創意工夫を活かした介護、子育て支援サービス基盤の効果的な整備を進めるとともに、「健康フロンティア戦略」を踏まえた健康寿命の延伸、公共施設、公共交通等の公共空間のバリアフリー化による移動手段の確保を図るなど、高齢者が尊厳や生きがいを保ちつつ積極的に社会参加できるような社会の構築を目指す。
 さらに、消費者に信頼される食の安全・安心体制の確保を図る。また、国民に身近で、速くて、頼りがいのある司法を目指し、司法制度改革の着実な実施を図る。
 
 循環型社会の構築・地球環境問題への対応
 
 環境保護と経済発展の両立のため、関係府省は施策の重複を排除しつつ連携・協力を強化し、循環型社会・脱温暖化社会の構築を進める。環境技術の実用化に向けた研究・開発等科学技術の活用を進めるとともに、廃棄物等の発生抑制、再使用、リサイクルや不法投棄の防止等の着実な実施を図り「ゴミゼロ社会」の構築を目指す。平成17年2月に発効する京都議定書の目標達成に向けて、国民各層一体となった取組の推進に加え、新エネルギーの導入、低公害車の普及、多様で健全な森林の整備・保全等の取組を推進する。併せて、原子力発電を含むエネルギー安定供給確保策の強化や都市のヒートアイランド対策を進める。
 
 社会資本整備
 
 (公共投資の重点化)
 重点4分野を中心に雇用・民間需要の拡大に資する分野に施策を集中しつつ更に絞込みを図るため、整備水準、整備の緊急性、国と地方の役割分担等の観点から、きめ細かく重点化を図る。
 また、安全で安心な都市・地域づくりの観点から、災害への対応にも十分配慮する。
 具体的には、三大都市圏環状道路、中枢国際港湾、大都市圏拠点空港等我が国の競争力の向上に直結する投資を推進するとともに、地方の自主性を尊重しつつ、民需を喚起するような都市機能の高度化、災害対策、公共空間のバリアフリー化、リサイクルの推進等の課題について、事業横断的に取り組む。
 他方、上下水道、大規模ダム、都市公園、地方道、地方港湾、地方空港等について、「平成16年度予算編成の基本方針」で示された方針に基づき、引き続き厳しく見直しを行う。
 また、地域間の予算配分は、整備状況を踏まえて弾力的に行う。
 
 (公共事業の効率的・効果的な実施)
 平成15年度から5年間の目標である15%の総合コスト縮減率の達成に向け、引き続きコスト構造改革に取り組む。
 PFIの活用、既存ストックの有効活用、効率的・計画的な維持管理の推進、機能の類似した事業間の一層の連携強化、集中投資による事業期間の短縮化、規格の見直し等により効率的な整備に努めるとともに、社会資本整備の効果をより高めるため、災害関連情報の的確な提供等関連するソフト施策との連携を図る。
 
 (事業評価の厳格な実施等)
 政策目標の策定(Plan)、予算の効率的な活用(Do)、目標達成状況の評価 (Check)、評価結果の予算等への反映(Action)というマネジメントサイクルを確立し、事業評価を踏まえ個別事業の新規採択・継続・中止を判断するなど評価結果を予算に反映する。事業評価に当たっては、直近の人口動態等を踏まえた厳正な需要予測を行うとともに、第三者によるチェック機能の活用、情報公開の徹底、透明性の確保を図る。また、評価手法については、他の事業で用いられている手法との比較検討等を踏まえ、一層の改善を図る。
 
 社会保障制度
 
 少子高齢化が進展する中で、経済・財政と均衡がとれ、将来にわたり持続可能な制度を構築するため、社会保障制度全般の一体的見直しについて、「基本方針2004」に基づき、広く有識者の参加を得ながら平成16年中に論点整理を行う。
 平成17年度予算においては、こうした一体的見直しの議論も踏まえ、介護、生活保護その他の分野の制度改革等に取り組み、公的給付の見直し等を行うことにより、社会保障関係の自然増の抑制を図る。また、国民の利便性向上・事業効率化に向けて、社会保険庁改革を進め、平成17年度予算から反映させる。
 
 (介護)
 介護保険制度については、給付費の急増を回避し、将来にわたり持続可能な制度となるよう、社会保障制度の一体的見直しの観点に立って、平成17年度に改革を行う。「基本方針2004」に掲げられた基本的な方向に沿って、軽度要介護者への給付内容の見直し、「ホテルコスト」・食費等の利用者負担の見直し等を行い、給付の重点化と効率化を図り、保険料負担の上昇を極力抑制する。
 
 (生活保護)
 社会経済情勢の変化等を踏まえ、加算等の扶助基準の見直し、保護の適正な実施に向けた地方公共団体の取組の推進など、制度、運営の両面にわたる見直しを行い、平成17年度から実施する。特に、雇用施策と連携しつつ、就労及び自立を促す。
 
 地方財政
 
 国と地方に関する「三位一体の改革」を推進することにより、地方の権限と責任を大幅に拡大し、歳入・歳出両面での地方の自由度を高めることで、真に住民に必要な行政サービスを地方が自らの責任で自主的、効率的に選択できる幅を拡大するとともに、国・地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築を図る。
 三位一体の改革については、「基本方針2004」に基づき、平成18年度までの三位一体の改革の全体像に係る政府・与党協議会の合意(平成16年11月26日)を踏まえ、政府一丸となって以下に取り組み、その成果を平成17年度予算に適切に反映する。
 国庫補助負担金改革については、平成17年度及び平成18年度予算において、3兆円程度の廃止・縮減等の改革を行う。
 税源移譲は、平成16年度に所得譲与税及び税源移譲予定特例交付金として措置した額を含め、概ね3兆円規模を目指す。この税源移譲は、所得税から個人住民税への移譲によって行うものとし、個人住民税所得割の税率をフラット化することを基本として実施する。あわせて、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う。また、地域間の財政力格差の拡大について確実な対応を図る。
 地方交付税については、平成17年度及び平成18年度は、地域において必要な行政課題に対しては適切に財源措置を行うなど、「基本方針2004」を遵守することとし、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する。あわせて、2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化を目指して、国・地方の双方が納得できるかたちで歳出削減に引き続き努め、平成17年度以降も地方財政計画の合理化、透明化を進める。税源移譲に伴う財政力格差が拡大しないようにしつつ、円滑な財政運営、制度の移行を確保するため、税源移譲に伴う増収分を、当面基準財政収入額に100%算入(現行75%)する。決算を早期に国民に分かりやすく開示する。平成17年度以降、地方財政計画の計画と決算の乖離を是正し、適正計上を行う。その上で、中期地方財政ビジョンを策定する。不交付団体(人口)の割合の拡大に向けた改革を検討する。引き続き交付税の算定方法の簡素化、透明化に取り組む。また、算定プロセスに地方関係団体の参画を図る。