内閣総辞職にあたっての内閣総理大臣談話


平成23年8月30日

 菅内閣は、本日、総辞職いたしました。

 昨年6月の内閣発足以来、国民新党との連立政権の下、これまで先送りされてきた政策課題に正面から取り組んできました。

 私は、総理就任時に、政治が目指す目標として「最小不幸社会」の実現を掲げ、「雇用の確保」を重視した「新成長戦略」の推進、特命チームによる課題解決、地域主権改革を推進しました。

 社会保障と財政の改革については、精力的に議論を重ね、「社会保障・税一体改革」の成案をまとめました。この問題は、もはや先送りできません。今後、与野党の論議等を通じ、改革が推進されることを心から希望します。

 外交面では、日米首脳会談等を通じて日米同盟を深化させるとともに、横浜APEC開催などにより、近隣諸国との関係強化を推進し、安全保障面でも新防衛大綱策定などに取り組みました。

 本年3月11日の東日本大震災と東京電力福島原子力発電所の事故の発生は、大規模かつ広範にわたる被害をもたらしました。この未曾有の災害に対し、発災直後から被災者の救出・救助に取り組み、その後、仮設住宅の建設やガレキ撤去、被災者の生活支援など、復旧・復興に向け、被災地の方々とともに懸命に取り組んでまいりました。

 また、原発事故の収束に全力を挙げ、その結果、「安定的な冷却」状態が実現できました。さらに、今回の事故を受けて、エネルギー政策を白紙から見直し、原発依存度低減のシナリオの作成や原子力政策の徹底的な検証、原子力安全規制の組織の根本的改革を行うことを決定しました。

 しかし、今なお残された課題は多くあります。新内閣において、復旧・復興と事故収束に向けた取組を一層推進されることを期待します。

 本内閣において、必ずしも十分な対応ができなかった点については、大変申し訳なく思っております。歴史がどう評価するかは、後世に委ねますが、私を始め閣僚全員は、その持てる力の全てを挙げて誠心誠意取り組んできました。今後、新内閣の下で、大震災から日本が力強く再生することを願ってやみません。

 これまでの間の国民の皆様のご支援とご協力に感謝いたします。ありがとうございました。