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「改革先行プログラム」の具体的内容について

平成13年9月14日
内閣総理大臣指示

1.基本的考え方

 政府は、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(13年6月26日閣議決定)に基づき、中期的なものも含めた構造改革の道筋を「改革工程表」としてとりまとめることとしている。「改革工程表」に盛り込まれる施策のうち先行して決定・実施すべき施策については、補正予算で措置する事項も含め「改革先行プログラム」として取りまとめる。

 「改革先行プログラム」においては、規制改革等の制度改革諸施策を積極的に盛り込むとともに、補正予算を要する施策については、歳入歳出の洗い直し作業を踏まえた上で、@雇用・中小企業に係るセーフティーネットの充実策、A構造改革に直結し、かつその実施の緊急性が特に高い施策に絞り込むこととする。その際、単なる公共投資等による需要追加を含めず、雇用創出効果や民間経済活性化効果が特に高く、成果が目に見える形で早期に現れる施策を推進する。なお、特殊法人等改革の趣旨を踏まえ、真にやむを得ないものを除き、特殊法人等への財政支出の追加は行わない。


2.「柱立て」

(1) 経済を活性化し、新産業・チャレンジャー、雇用を生み出す制度改革・環境整備

@ 規制改革等の積極的推進
規制を極力撤廃することにより消費者・生活者本位の経済社会の構築と経済活性化を図ることとし、特にIT関連や生活者向けサービス分野の規制改革に集中的に取り組む。

 規制を極力撤廃し、競争やイノベーションを促すこと等により、消費者・生活者本位の経済社会システムの構築と経済の活性化を図る。特に、IT関連及び相対的に改革の遅れが目立つ医療、福祉・保育、人材、教育、環境及び都市再生の「生活者向けサービス分野」における規制改革を強力に推進する。このため、総合規制改革会議の「重点6分野に関する中間とりまとめ」を最大限尊重し、これを前倒ししてその実現を図る。

IT関連では、例えば、次のような項目について規制改革を実現する。
   ・未利用光ファイバ網の利用促進
 ・集合住宅への光ファイバ敷設の円滑化
 ・インターネットサービスプロバイダ等の責任ルールの整備のための法案の提出

「生活者向けサービス分野」では、雇用情勢の変化への適切な対応や国民の関心の高い分野の構造改革を加速するため、例えば、次のような項目を始めとして、従来の制度の枠にとらわれない思い切った規制改革を行う。

○医療
・レセプトの電子化等IT化の推進
・レセプト審査への民間参入の拡大
・保険診療と自由診療の併用の拡大
・医療機関経営に関する規制の見直し

○福祉・保育
・株式会社によるケアハウス等の経営の解禁
・保育所運営の民間参入促進
・ 保育サービスの多様化の促進

○人材(労働)
・労働者派遣法の改正前倒し
・職業紹介規制の抜本的緩和
・紹介予定派遣制度の運用の見直し

○教育
・私立小中学校の設置基準の策定
・新しいタイプの小中学校

○環境
・市街地等の土壌汚染処理対策の確立

○都市再生
・不動産関連情報の一層の開示
・中古住宅の流通促進
・マンション建替えの円滑化

A 証券市場・金融システムの構造改革
 国民一般が安心して参加できるような証券市場を構築するとともに、遅くとも3年後には不良債権問題の正常化を図る。

イ 証券市場の構造改革  
 貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替えなどを踏まえ、国民一般が安心して証券市場に参加できるよう、透明性の高い証券市場を構築する。このため、市場への信頼向上のためのインフラ整備など、税制を含めた関連する諸制度における対応を可能なものから順次速やかに進める。

ロ 不良債権問題の解決  
 主要行に対する検査を抜本的に強化し、これまで2年に一回程度実施してきた包括検査を年一回とするとともに、フォローアップ検査を半期毎に実施することにより、不良債権の的確な把握に努める。その上で、RCCの機能拡充や今般策定される私的整理ガイドライン等の枠組みの下、既存2年・新規3年の原則に従って確実に不良債権を最終処理する。これと同時に、他の分野における構造改革を推進することにより、遅くとも3年後には不良債権問題の正常化を図る。


(2) 雇用・中小企業に係るセーフティーネットの充実

@ 雇用対策
 雇用創出に努める一方、民間活力の活用による職業紹介機能の充実、中高年ホワイトカラー離職者等に対する職業能力開発の強化、職業訓練付きの失業給付延長制度の抜本的拡充、雇用主への助成等の見直し、公的部門の雇用(新公共サービス雇用)等に活用する資金の確保などセーフティーネットの一層の充実を図る。

 失業率が5%を超え、厳しさを増している雇用情勢に鑑み、(1)で示した制度改革・環境整備により雇用創出に努めるとともに、雇用面でのセーフティーネットの一層の充実を図る。特に、

雇用のミスマッチを原因とする失業が拡大している現状を踏まえ、民間活力の活用を図りながら、職業紹介機能の充実を図る。このため、民間事業者による個々の求職者の事情に配慮したきめ細かな就職斡旋が可能となるよう措置する。さらに、求職から相談、訓練受講、職業紹介、就職にいたるまでの一貫した支援システムを強化する。

個人の選択をできるだけ尊重しながら、民間教育訓練機関や大学、事業主を始め、あらゆる教育訓練資源を活用し、中高年ホワイトカラー離職者等に対する効果的な職業能力開発を強化する。

職業訓練付きの失業給付延長制度を抜本的に拡充し、再就職を支援するとともに、新規成長分野における雇用創出のための雇用主への助成等を見直す。

集中調整期間(今後2〜3年)における雇用問題への対応に万全を期すため、中高年齢層失業者や雇用保険給付の非受給者を中心に、学校への補助教員や警察支援要員、環境保全のための森林作業員を含む公的部門(民間企業やNPOの活用を含む)の緊急かつ臨時的な雇用(新公共サービス雇用)等に活用する資金を確保する。

A 中小企業等対策
 中小企業の創業・経営革新を支援するとともに、中小企業が連鎖的に倒産することのないよう金融上の措置などセーフティーネットの一層の充実を図る。

 構造改革の進展とあわせ、モラルハザードの発生を回避しつつ、潜在力を持ちやる気のある中小企業等の創業・経営革新を支援するとともに、そのような中小企業等が連鎖的に破綻することを回避し、経営再生を支援するため、新たな中小企業向けの金融上の措置を含め、セーフティーネットの一層の充実を図る。


(3) 構造改革を加速するために特に緊急性の高い施策

国民の利便性の向上、人材育成、個人や企業の潜在力の発揮に資する施策を推進し、構造改革を加速する。

 1.に掲げた基本的考え方を踏まえ、構造改革を加速するために特に緊急性の高い施策として、国民の利便性の向上、IT革命の進展を踏まえた人材育成、女性をはじめとする個人や民間企業の潜在力の発揮に資するため、以下の施策の推進を検討する。なお、予算措置を要するものについては、制度改革・環境整備と一体的に推進することとする。

(1) 電子政府の実現
(2) 学校の情報化の推進(校内LANの整備等)
(3) 保育所待機児童ゼロ作戦の推進(16年度までに15万人受入れ増)及び放課後児童の受入れ体制の整備(16年度までに15000か所)
(4) 廃棄物処理施設の緊急整備(ダイオキシン類の排出抑制等)
(5) 産学官連携による地域科学技術振興を通じた地域経済再生のためのイノベーション・新産業の創出
(6) 都市再生・まちづくり、公的施設整備に資するPFIの推進

 なお、構造改革を推進するためにも、金融政策においては、引き続き適切な政策運営が期待される。