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小泉内閣総理大臣演説等
 
小泉内閣総理大臣新春記者会見
平成14年1月4日

【小泉総理冒頭発言】

 新年おめでとうございます。今年もよりよい年でありますように、皆さんとともにお祈りしたいと思います。
 今日は伊勢神宮へ参拝いたしまして、あの神社の境内、俗世間を超えた自然の霊気を感じて身の引き締まる思いがいたしました。幸いにして今日は大変伊勢神宮地域は穏やかな日和でして、この日和のように今年は穏やかで平和な年でありたいと、そうお祈りしながら参拝してまいりました。
 昨年は非常に厳しい年ではございましたけども、その中でも愛子内親王殿下の御誕生を見まして、国民に明るいニュースを与えていただいたと思います。国民の皆様とともに、この御誕生をお祝い申し上げ、愛子内親王殿下が健やかに御成長されることをまずもってお祈り申し上げたいと思います。
 お正月でありますけれども、今でもインド洋におきましては自衛隊の諸君が昨年のテロ事件発生以来、日本もテロ撲滅のために毅然として立ち向かうという決意を示しました。その決意を、身をもって活動されております自衛隊諸君に対して敬意と感謝を表明したいと思います。
 今年も経済の面におきましても、あるいは安全保障の問題におきましても、テロ発生以来、大変内外ともに厳しい状況が続くと思います。しかし、日本としてはこの厳しい内外の情勢、わけても国内におきましては構造改革に真剣に取り組んで経済再生の基盤をしっかりと築く年だと思っております。そして、国際社会の中におきましても、テロに対しては毅然として立ち向かうという国際協調の中で日本の主体性を堅持しながら、国際協調の実を上げていきたいと思っております。
 私は昨年1年間を振り返りまして多くの国民の皆様方の御支援を得まして、着実に改革は進んでいると思っております。わけても不況の中で非常に厳しい経済情勢、失業率が上昇して大変困難に直面している方々が多いと思いますが、そういう中でも小泉内閣の「構造改革なくして成長」なしという、その方針を多くの国民が支持していただいていると、この改革を進めてほしいと期待している、この声をしっかりと受け止めて今年は更に改革に向けて邁進をしたいと思います。
 私は、小泉改革が進んでいないのではないかと批判する方々に申し上げたいんですが、私が4月に自民党の総裁、総理に就任して以来、着実に改革は進んでいると思っております。まず、私が総理になる前、いわゆる有力政治家の中に、自民党の総裁候補と言われた人たちの中にも、または野党の党首の中にも、道路公団の民営化が必要だと叫んだ人はいるでしょうか。住宅金融公庫が廃止できると思った人がいるでしょうか。あるいは石油公団、都市基盤整備公団、更には特殊法人への財政支出を14年度予算で1兆円削減する。いずれも無理だと思われたことをはっきりとして既に方針として自民党の賛成を得て決定したんです。中には、抵抗に遭って妥協したのではないか。あるいは、思い通りに進んでいないのではないか。そういう危惧する方もおられると思いますが、むしろこれまでできないと思われていたことを抵抗勢力と言われた方々も協力勢力に変わって支持していることは大きな変化なんです。
 年末、政府系金融機関が8機関、見直しという方向で決定をみました。これを先送りという方も批判する中にはいますが、先に着実に進んでいるんです。自民党も着実に変わってきているんです。まず4月以来、道路公団の民営化なんかとんでもないと言っていた人たちも民営化は当然だと変わってきたではありませんか。はっきりと変わっているんです。住宅金融公庫すら、専門家の中にも賛否両論真っ二つでした。こういうことは民間の金融機関ではできない。必要だと言われていた住宅金融公庫でも廃止の方向が打ち出されれば既に民間金融機関の中でも住宅金融公庫よりも有利な商品を開発いたしました。
 政府系金融機関においても年末、12月に自民党の行政改革本部総会では、見直しをしてはいかぬという方針が出たんです。一指も触れてはならぬという方向だったんです。最終的に党の5役と私と橋本元総理、太田行革本部長の会の中で見直すということに何の異論もなく決まったんです。自民党も変わってきているんです。
 そういうことを見ると、私は改革が着実に進んでいる。また、自民党も変わってきたなと。抵抗勢力が協力勢力に変わってきたということは、自民党も国民の目線をよく見てしっかりと改革の道を進んでいかなければならないということを自覚したからこそ、皆さんが思った以上に抵抗せずに小泉内閣の進める改革に協力してくれているんです。そこを見落としてはならないと思っております。
 道路公団にしても、民営化できないと言っていた人たちが民営化の方針になったら、償還期間を30年から50年に変えたからこれは妥協だという批判があります。そうじゃありません。民営化を了承して、30年の償還を50年にすれば妥協と取るのではなくてむしろ必要な道路をつくった方がいいだろうと。3,000億円の特定財源から国費を一切投入しないということも了承したんです。ですから、30年から50年に償還期限が延びたということ、50年以内にせよということは妥協でも何でもない。必要な道路はつくった方がいいということはみんな言っているでしょう。一部をとらえて妥協だの、挫折したのというのは、私は誤った見方だと思っております。これからも改革の手を緩めることなく、私は総裁就任して以来の方針を着実に実施に移す努力を続けていきたいと思います。
 また、雇用情勢が厳しい、そういう中で雇用対策をしっかり打っていく。第1次補正予算、そして第2次補正予算を今月中に提出いたします。これは、雇用の問題について改革の痛みを和らげるために是非とも必要だというための雇用対策の予算を組んでおります。
 更に、30兆円の国債の発行枠を守った。これを一部ではデフレ状況下における緊縮予算だと見ている方がいます。私はこれも違うと思っています。税収が47兆円程度しかない中で30兆円の国債の発行を認めたということ自体、緊縮とは言えないんです。しかも、日本の債務残高は690兆円を超えているんです。国と地方を合わせて。
 そういう中で、私は47兆円しか税収がないのに30兆円の国債発行を認めて緊縮路線と言っている人たちは既に借金中毒に陥っているのではないか。私は一時的な借金中毒症状を緩和するために、もっと国債を発行すれば一時的には足りない足りないという、国債をもっと発行しろという声は弱まるかもしれない。しかし、それは一時の症状を和らげるためであって本格的な改革にはつながらない。今、小泉内閣が進めている改革というのは持続的な経済成長に持っていくための改革をしているんです。むしろこれほどの財政的な債務を抱えている中にもかかわらず、しかも47兆円程度しか税収がない中、増税もせずに30兆円の国債の発行を認めること自体、景気にも配慮した、しかも構造改革を進めていく予算であるということを御理解をいただきたいと思います。
 また、失業の痛みを和らげる対策だけではなくて大事なことは、失業から雇用をつくり出すことであります。雇用創出であります。そのためにも5年間で530万人の雇用をつくるという方針をはっきり明示しております。現に前向きの状況、兆候がかなりの場面で顕著に見られています。
 私は就任以来、まず政府の使う車を3年で全部低公害車に切り換えるという方針を出しました。私が総理に就任したときは7,000台近くある政府関係機関の低公害車の利用は300台前後でした。それを3年間で7,000台、全部低公害車に切り換えるといった途端、既に民間の企業はこれから低公害車開発に本格的に乗り出しました。3年間で7,000台、政府関係機関は全部低公害車に切り換える方針、予算措置を講じておりますけれども、これは7,000台にとどまらない。既に民間の算出によっては、10年後には1,000万台になるだろう。
 なおかつ、方針ということがいかに大事かということは、私は先ほど言ったように住宅金融公庫の廃止ですら、できないと思われるあの住宅金融公庫の廃止方針を出した途端に、5年以内にするという形で、民間にできないということを城南信用金庫だけではない、大手の都市銀行でさえもそういう住宅金融公庫よりもより有利な商品を開発し出した。方針だけで民間が参入してくるんです。
 いい例は、郵便事業です。これについても、私は今年の通常国会で民間企業に郵便事業全面参入方針を出しています。来年の4月以降に民間企業も参入できるようになっていますが、既に民間企業の中には民間で参入させてもらうんだったらそのための設備投資を用意し出しました。しかも、配置をするための人の雇用対策も講じ始めました。方針だけ出すことによって民間が色めきたって、民間も自分たちの仕事が増えるなということで税金を使うことなしに自分たちの金で設備投資をし、雇用対策をし出したんです。それが政治の面において、環境を整えるという上において非常に重要なことだと思っております。
 私は、そういう意味におきまして日本の経済の再生、これまで先進国の中におきましても一番財政出動をしてきた日本、これ以上借金しようがないほど借金をしてやってきた。なおかつゼロ金利、財政政策、金融政策をめいっぱい政府は打ってきた。にもかかわらず、どうして経済が再生しないか、景気が回復しないのか。そこは今の政府なり、官業なり、構造に問題があるんだ。構造改革がなかったら決して経済は再生しないということで、「構造改革なくして成長なし」という方針を掲げてやってまいりました。
 4月に総裁に就任し、総理に就任し、5月に所信表明を初めて国会で演説いたしましたけれども、その方針どおり着実に改革は進んでいるということを私は御理解いただきたいと思います。これからも今年1年、更にこの改革の実を挙げるべく、全力を尽くしていきたいと思います。
 そして、今まで10年間、バブルの時期、この時期におきましてはある面においては日本は過信したと思います。日本一国の面積、アメリカのカリフォルニアの1州よりも小さいにもかかわらず、日本の国土の地価はアメリカ全米50州よりも高かった。日本企業はアメリカのビルを買う、ホテルを買う、ゴルフ場を買う。円は高くなる。いけいけどんどんでやってきた。ある面においては過信があったと思います。
 今、10年たった。逆に自信を喪失している。日本の力は私はまだまだ潜在力は強い。いろいろな国を比較してみれば、十分な潜在力を持っている。この潜在力を実際の成長につなげる力にしていくのが構造改革であります。私は、過信もいけない、自信喪失もいけない。日本経済にもっと自信を持って、希望を持って雇用対策、そして5年間で530万人の雇用づくりに小泉内閣は真剣に取り組んで、持続的な経済の再生を図るために今年は全力を投球していきたいと思いますので、御理解、御協力をお願いしたいと思います。

【質  疑】

【記 者】まず、構造改革と景気対策についてでありますが、総理は今年も構造改革に邁進するというお考えを示しましたけれども、企業の3月期決算に向けまして経済、景気は一段と厳しくなるという見通しもあります。こうした中で、既に来年度の予算案は編成したわけなんですが、税制の改革あるいは金融政策ですね。4月からペイオフが導入されるということでありますけれども、この辺につきましてですね、やはり不安が起こらないように具体的な対応というものを政府も考えていらっしゃると思いますけれども、金融及び税制の改革につきまして具体的に伺いたいと思います。

【小泉総理】金融の危機を起こさないためにはあらゆる手段を講じます。今、着々と不良債権処理が進められておりますが、そういう中にあっても無用の混乱を起こさないために政府としては大胆かつ柔軟な対策をとる準備をしておりますし、いつも金融情勢については注意深く見守っております。金融不安を起こさない、金融混乱を起こさせないという方針の下にあらゆる手だてを講じていきたい。
 そして、構造改革の大きな柱の一つとして今年は税制改革にも取り組んでまいります。今の経済財政状況を見ますと、税制改革もこれからの経済再生にとって国民の活力をいかに引き出すかという観点からも避けては通れません。例年ならば、10月ごろから始めて1か月か2か月で翌年度の税制改正を決めるわけでありますが、今年はあるべき抜本的な税制改革というのは1か月や2か月の議論では足りないということから、新年早々、政府としては今月からでも、党にあっても2月ごろからには本格的に議論を進めて将来の財政基盤を安定させる。また、国民に必要な福祉政策、教育政策、環境政策、あらゆる施策を講じるための支えである税制というのはどうあるべきかということを国会議員のみならず、識者の方々、専門の方々、各方面の民間の方々の知恵をお借りしながら、あるべき税制改革を議論し、そして年末までには結論を出して15年度予算に反映できるような改革案をまとめていきたいと思っております。

【記 者】関連ですけれども、与党内にはですね、4月からのペイオフ導入を延期すべきではないかという意見もありますけども、これは予定どおり実施されますか。

【小泉総理】予定どおり、延期は考えておりません。予定どおり実施します。

【記 者】次はですね、内閣改造、衆議院解散総選挙について伺います。総理は、今年は国政選挙のない年である。改革に全力を挙げたいというお考えを示しておりますけれども、やはり改革路線が行き詰まった場合は解散総選挙に打って出るべきだという意見も与党内にはあります。総理にそのお考えはありませんでしょうか。
 また、内閣改造も当面行わないという方針でありますが、人事は潤滑油だというお考えも示しております。通常国会明け以降を含めまして、今年の対応はどうされるのか。この2点を伺いたいと思います。

【小泉総理】解散というのは、特別な事情が発生しない限りはやるべきものじゃないと思っています。まだ任期が2年半は残っています。今年は参議院選挙もない、地方統一選挙もない、そして衆議院選挙もない年だとかねがね言っておりますが、衆議院の選挙を考えずに改革に邁進したいと思っています。
 しかし、政界一寸先は闇と言われますから、どういう事態が起こるかは想定できません。解散しか事態が打開できないという場合は今、想定できません。しかしながら、私としては任期満了まで解散をせずに改革に専念したいと思っています。しかし、その間どういう事態が起こってくるかは分かりませんので、今の時点におきましては、今年は解散するつもりはないとしか言いようがありません。
 それと内閣改造ですが、大臣と党三役は変えません。そのほか、若干、副大臣、政務官、そして国会の常任委員長、特別委員長等の委員長人事、これらについては今日、山崎幹事長を始め党五役の方々とこれからお会いしますから、そのときに相談しますが、原則として副大臣、政務官、国会の委員長人事については柔軟に考えるという方向を固めております。あとは、党五役と相談してみたいと思います。
 また、これは改造人事、国会議員とは関係ありませんが、文化庁長官には民間人を起用したいと思いまして、河合隼雄氏にお願いしてあります。河合隼雄氏はお受けいただいたと承知しておりまして、いい方に文化庁長官を引き受けていただいたなと、文化芸術振興のためによき人を得たなと喜んでおります。これからも文化芸術振興のために小泉内閣としても努力をしていきたいと思っております。

【記 者】総理は今年を小泉改革本番の年とおっしゃっていますが、特殊法人改革の仕上げとともに郵政3事業の民営化という大物の処理も残っております。道路公団など、道路関係の4公団の民営化の在り方や道路整備計画、高速道路整備計画の見直しを手がける第三者機関にはどういう権限を持たせ、人選についてはどういうふうにお考えになっているのか。また、郵政3事業については2003年の公社化後に完全民営化をいつごろまでにどういう手順で実現する腹積もりですか。お聞かせください。

【小泉総理】道路公団の民営化をする際には第三者機関を設けて、あるべき姿を議論してまいりたいということでありますが、これは法案が成立しましてから人選については改革意欲に富んだ方々にその委員になっていただきたいと思っております。法案が成立してから人選を考えたいと思っております。
 また、郵便事業の民間参入の法案がこれからの通常国会で提出されますが、そうしますとこれは順調にいきますと来年4月から民間参入が認められ、郵政公社として発足をいたしますが、今年夏ごろまでには、今、郵政事業の在り方に関する懇談会を田中直毅氏が座長になってやっていただいていますが、その懇談会の結論も夏までには出てくると思います。そして、来年民間企業が郵便事業に参入する。郵政公社として来年発足する。その状況を見ながら、民間にできることはできるだけ民間に任せよう、地方にできることはできるだけ地方に委ねようという方針の下に、民営化の方向を探っていきたい。そうしますと、これは特殊法人、財政投融資制度、そして本番の郵便貯金、簡保の資金がどう生産的方面に活用されていくのか。いわゆる大きな行政側の構造改革、今までできないと言われた壮大な改革に結び付くわけでありますので、まず特殊法人の改革は緒についた。一段落したところではないんです。これから進んでいくんです。
 今回、特殊法人では廃止なり民営化する必要はないという機関もありますが、今後とも見直しは進めていきます。これについても今までの行革断行評議会の皆様にも御努力いただきました。そういう方たちの意見も借りながら、引き続き評価・監視機能をつくっていきました。もっと権威のあるものにつくっていきたい。特殊法人の改革を進めていくためにも、これで一段落という状況ではありませんので、そういうものも設置して更にこの構造改革に拍車をかけていきたいと思っています。
 また、いろいろ党内におきましてもこの問題については特に郵便事業の民間参入とか、あるいは郵政民営化等については抵抗が強い分野ではありますけども、この分野につきましても、結論としては民間にできることは民間に、地方にできることは地方にということの総論に反対する人はいないんですから、その方針に沿って党内においても理解を得て、国民の支持を得て壮大な官業の構造改革に努力をしていきたいと思っております。

【記 者】もう一問、安全保障政策に関してですけども、昨年末は不審船事件が国内を揺るがせました。北朝鮮の工作船という見方もありますが、この事件で浮き彫りになった海上警備の在り方や関係省庁間の連携、危機管理の法整備などの課題を今後どう解決していくのか。また、次の国会は有事法制の整備が大きなテーマになると見られます。政府内には緊急事態基本法と自衛隊法改正案の2本立てで整備する案があるようですが、総理は今後この有事法制にどういう手順で取り組まれるおつもりなのか、お願いします。

【小泉総理】昨年の暮れに起こった不審船の奇怪な行動、この行動に関わって事件の対応につきましてはいろいろ問題点があるのではないかという指摘もございます。政府としては、あの不審船の事故の経緯をよく調査して、点検して、法的な面において不備はないか。また、現場の対応として手抜かりはなかったか。今後何が必要か、何が欠けていたかということをよく調査して、いつ危機的な国民の生命、財産に危害を与えるような行為を仕掛けてくるグループ、勢力があっても不安のないような措置をしなければならないという観点から、いろいろな整備を進めていきたいと思います。
 あの事件をいろいろ見ますと、日本人の想像を超えるような、我々日本人としては理解に苦しむような不可解な意図と、そして装備をして、能力を持って日本に危害を与えるかもしれないというようなグループが存在しているということも見逃すことはできない。
 そういうことを考えますと、私はそのような日本国民に危害を与えるようなグループに対して、勢力に対して、どういう措置を平時から考えておくかということは、大変重要なことだと思います。また、政治の責任だと思っております。
 今まで、有事法制を整備せよということを各方面から指摘されておりましたけれども、一方では有事法制に対して強い反対の議論もあることは事実でありますが、やはり政治というのは備えあれば憂いなしであります。国民に不安と危害を及ぼさないような体制を、法的な面においても、現実の各省庁の対応においても、しっかりと整備していくことが政府の責任ではないかと思いまして、今年通常国会に真剣にこの問題を議論し、できることから法整備を進めていきたいと思っております。

【記 者】今年は、去年に引き続き企業の大型倒産が相次ぐのではないかというふうに心配する声がたくさんあるんですけれども、総理は去年青木建設が破綻したときに、これは改革に沿った動きなんだというふうに、破綻を肯定的に見てらっしゃいましたが、これからもその見方、とらえ方というのは変化はないのでしょうか。
 また、今、再建を進めている企業を、何らかの形で後押しするような方法というのは、特に考えてらっしゃらないんでしょうか。お願いします。

【小泉総理】私もあのときのインタビューに対する答えはですね、個々の企業についてはあんまり言うのは適切ではないと言っているんです。基本的には、各企業がうまくいくか、失敗するかというのは、企業の問題でありますし、金融機関としても不良債権処理の過程でですね、いろいろなその経営者としての対応があると思います。
 私は、そういう面から総論的に言った問題でありますので、今、個別の企業の名前を挙げて、これは倒産してもやむを得ないとか、存続した方がいいとかいうのは、言うべき問題ではないと思います。しかし、総論、全体的に言えば不良債権処理ということを進めていけば、今の時代に対応できない企業の倒産もあり得るでしょう、だからこそそういう際にやむなく失業せざるを得ない人に対しては、雇用対策をしっかりやっていくと。
 同時に、5年間で530 万人の雇用づくりを進めている。現に、この補正予算におきましても、福祉、環境、教育面においては、具体的に雇用づくりの対策を打っているわけであります。
 保育所待機児童ゼロ作戦、私は就任以来言っていましたけれども、3年間で15万人、この保育児童の対応を考えると。児童のためには、保育に当たる保母さんなり保育士の皆さんにも、その職場に参加してもらわなければいけない。あるいは、学校に補助教員5万人、3年間で、働いてもらうという場合にも、これは地域の方々にしっかり経験のある方が学校に出ていただければ先生の助けになる、生徒に対しても目配りができると。そういう面において、私はこの雇用対策というものは、当然不良債権処理を進めていけば、時代に対応できない企業が淘汰されるということについては、これは否定いたしません。その対策をしっかり打って、むしろ前向きに新しい産業、これから成長できる産業に多くの方々が立ち向かっていけるようなそういう支援策を取っていくことが必要ではないかと思います。
 今までの構造改革の手を緩めることはいたしません。景気回復してから改革を進めるべきだという方もおられますが、それが失敗してきたからこそ、これだけ景気停滞が続いているわけです。私は、一時的な景気回復よりも、持続的な経済成長をもたらすために「改革なくして成長なし」という基本路線は一歩も揺るぎません。

【記 者】政府によって、今月から開始なさるという抜本的な税制改革論議についてなんですが、その中ではですね、いわゆる消費税率等の引き上げという選択肢も排除すべきではないというふうに総理はお考えでしょうか。

【小泉総理】これは、非常に発言に気をつけなければならない問題なんです。過去に、消費税がどうだああだ言うとね、すぐ引き上げだと取りますね。そうではないんです。そういう予見なしに、所得税も法人税も消費税もいろいろ議論してもらうんだと。そういう中であるべき税制を考えてもらうと。税制改革の中でタブーはつくらない、聖域は設けない、あるべき税制改革はどういうものかという議論をしていただいて結論を導いていきたい。
 そういうことから言って、消費税を上げるということではありませんよ、下げるということでもありませんよ。消費税も、当然議論の対象になるでしょう。しかし、だからといって上げるとも下げるとも言いません。それは、所得税、法人税、消費税、全部、地方税も含めて、業務の中で果たして今の国民のいろいろな要求に見合うような手当をするためには、どういう税制がいいのか、どれほどの税収が必要か、どのような施策が必要かという中で考えるべきものだというふうに考えたいと思いますので、予見なく、予断なく、あるべき税制改革を議論していくということで進めていきたいと思います。

【司 会】ありがとうございました。以上を持ちまして、総理大臣記者会見を終わらせていただきます。

【小泉総理】どうもありがとうございました。