首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸 官邸だより
 トップ小泉総理の演説・記者会見等
小泉総理の演説・記者会見等
 

小泉総理大臣記者会見 [内閣改造後]


平成14年9月30日

【小泉総理冒頭発言】

 私、昨年4月に総理大臣に就任して以来、構造改革に取り組んでまいりましたが、今回、今までの経験と成果を踏まえて、「改革なくして成長なし」、この路線を確固たる軌道に乗せるために新たな体制をつくりたいと思いまして、内閣改造いたしました。
 特に、私の基本方針、これにつきましては日本経済を取り巻く不良債権の問題、これが経済再生の足かせになっておりますので、この不良債権処理、経済再生のための取組を政府・日銀一体となってしなければいかん。そして、平成16年度には不良債権問題を終結させたい、これが今後の経済再生における内政の大きな課題であると自覚しております。
 そして、行財政改革。これは官から民へ、国から地方へ、民間にできることはできる民間に、また地方の個性ある発展を促そうという取組を加速させていかなければならない。道路民営化の問題、あるいは郵政公社を郵政民営化の第一歩として位置づけて、その準備を進める。政府、関係金融機関、民間の金融機関、財政投融資制度、特殊法人改革、これを総合的・一体的に取り組まなければならない。この改革を加速させていきたい。
 外交につきましては、国際協調体制を重視して、各国との協調関係を図る中で、日本の役割を自覚しながら、特に北朝鮮との国交正常化交渉再開に向けまして、世界の平和と安定に資するような日本としての役割を果たさなければならないという観点。いわば、外交、内政全般にわたる厳しい状況の中で、少しでも改革路線を着実に進めたいという思いで今回内閣改造いたしました。
 今後、依然として日本経済は厳しい状況が続きますが、あすのよりよい発展を目指して、今やるべき改革を恐れず、ひるまず、過去の慣例にとらわれず、大胆かつ柔軟に実施に移していきたいと思います。そういう観点から、今回改造を断行いたしました。
 以上であります。


【質疑応答】

【質問】 今回の改造で総理は柳沢金融担当相を交代させましたけれども、これまで「市場のことは市場に任せる」と言ってきた総理にとって、これは大きな政策転換ではないのか。

【小泉総理】 「市場のことは市場に任せる」、平時のことは当然であります。非常時となれば、これは市場の機能を回復するために、国家としても不正常な状況あるいは健全化を促すために、私は政府、民間一体となって取り組まなければならない問題だと思っております。そういう点において、「市場のことは市場に任せる」と今回の内閣改造は決して矛盾するものではないと思っております。

【質問】 不良債権処理の加速を事実上国際公約されましたが、金融システム安定のために公的資金投入についてはどういうお考えでしょうか。実際に投入するお考えはおありでしょうか。

【小泉総理】 これは政府・日銀が一体となって不良債権処理を加速させるという中で、私は竹中経済財政政策担当大臣に金融担当大臣を兼任させたわけであります。このことひとつとっても、今の日本経済を見ますと、経済全体、財政、金融、これ一体として取り組まなければならない。そういうことを考えますと、私は竹中さんに経済問題、これは金融問題を離れて現下の経済再生に取り組むことはできないと判断いたしまして、総合的に考えてもらおうということで、竹中さんに不良債権処理の加速化を指示いたしました。
 今後、竹中大臣は総合的な観点から「この金融問題の不良債権処理、特にこれは経済再生のことを考えましても、大変重要な問題である」ということを常々経済財政諮問会議でも発言されておりました。そういうことから、私は竹中大臣に各方面からいろいろ専門家の意見を聞きつつ、的確な判断をしてもらいたい。また、あらゆる手だてを講じて、不良債権処理を進めて、民間金融機関、健全性を取り戻すような処置をしていただきたい。そういうことで、私は竹中大臣の取組を期待しております。
 どういう手だてを講ずるか。これは今後、竹中大臣の報告を待ちながら、政府・日銀一体となってこの不良債権処理、これをできるだけ早く終結させて、持続的な民間主導の経済成長に持っていきたいと思っております。

【質問】 総理はかねがね「一内閣一閣僚」を持論としてきましたが、今回、その持論を貫かずに6人の閣僚交代に踏み切った、その理由をお聞かせください。

【小泉総理】 私は、クルクル大臣が変わるというのはよくないと今でも思っております。定期的に、時期が来ると改造しているということよりも、大臣が一定期間、しっかりと役所の行政を把握し、そして役所の幹部はじめ職員の信頼を得、人心を掌握し、自信を持って主導権を発揮するというような手腕を発揮するためには、半年とか1年でクルクル変わるようでは、これは大臣としての責任も指導権も発揮できないのではないかという考えから述べてきたわけであります。今でもその考えに変わりはありません。
 しかし、今回の改造におきまして、そういう点も踏まえながら、いろいろと厳しい状況に対応できるような、そういう体制をつくるのも一つの方向ではないか。そして、今の政権は、自民党、公明党、保守党3党連立協力体制のもとになっております。公明党、保守党等の意見も聞きながら、この3党連立協力体制を維持しながら、自民党内のいろいろな声も聞きながら、新しい体制をつくるのがむしろ小泉内閣の「改革なくして成長路線」、「改革なくして成長なし」というこの軌道を確固たるものにできるのではないかということで改造いたしました。
 別に、「一内閣一閣僚」にこだわっているわけではありませんが、できればクルクル大臣が変わらない方がいいというのは、今でも変わりありません。

【質問】 総理のおっしゃる現在の厳しい状況を考えれば、特に総理の基本方針で述べられております経済の活性化、行財政改革、外交といううち、人事的には行財政改革、外交の部分においてはいじろうとされなかったわけですけれども、現体制がこの2つの課題についてはベストの布陣だというふうにお考えなんでしょうか。

【小泉総理】 行財政改革は着実に進んでいますね。これは、道路公団民営化の問題にしても、あるいは郵政公社から郵政民営化の一歩だという考え方にしても、先の話ではないか、現在に効き目がないのではないかという批判がございますが、そうではない。今まで目先のことばかりやっていたからこそ、構造改革が進まなかった。
 今、私がやっている特殊法人改革、道路公団の民営化にしても、郵政3事業の民営化問題にしても、将来、税金をいかに無駄遣いしないか、効率的な簡素な政府をつくるかということにおいて、必ず効いてくる、効果が出てくる改革であります。それを「目先に効果がないからやらない」ということではいけない。むしろ、20年前に手をつけておくべき改革を今私がやっていると認識しております。
 そういう面において、1年前に道路公団の民営化の論議が現実の政治課題として、だれがここまで進んでいると想像した人がいるでしょうか。「できっこない」と思っていたんじゃないですか、皆さんも。
 「郵政公社だけで、郵政民営化の議論を行わせない」というのが与野党問わず、政界の状況だった。私が郵政公社の法案を出すときにも、「これだけ与野党の反対があったら、通りっこない」とみんな思っていたんじゃないですか。それが現実に通って、既に私はこの郵政公社を郵政民営化の第一歩として位置づけております。
 そして、その協力を得れるという者に対して、党三役にも閣僚にも起用しております。確実に政界はガラリと変わってきます。そういうことを考えると、行財政改革は着実に進み出した、進んでいると言っても過言ではないと思います。
 さらに外交におきましても、私は就任以来、まず今日まで日本の発展は日米関係が良好だったからだと。日米関係が悪化すると、日本にろくなことはない。そのいい例が第二次世界大戦であります。過去も現在も将来も、日米友好関係、これは日本の平和と安定、経済の発展のために欠かすことはできないのです。そういうことから、就任以来、アメリカを訪問し、ブッシュ大統領との間に友好関係、信頼関係を構築し、日米同盟関係を強化する。
 そして、今、アメリカと韓国と日本が共同して、国交が不正常な状況、日朝間の不正常な関係を正常化にしようという糸口がようやく見つかろうとしている。このことは、拉致や工作船の問題をはじめとして、安全保障上の問題、過去の問題、現在の問題、将来の問題、単に日朝関係の問題だけではありません。朝鮮半島、北東アジア、むしろ世界の平和と安定に資するために、日本が国際協調路線をとりながら、北朝鮮を国際社会の中で責任ある一員にしていく、そういう役割を担うことができるのではないかということで、今回の私の北朝鮮訪問も決断いたしましたし、そして、まことに残念な、悲惨な状況でありましたけれども、拉致の問題も一歩一歩明らかに進展を見せております。
 こういう取組を今後も真剣に考えながら、私は日朝国交正常化交渉を10月中に再開して、将来、日朝間を敵対関係から協調関係にすることが、「二度とこのような痛ましい事件を日本国民に起こさせない」という考えで、私は日朝国交正常化交渉をはじめなければならない。日本も、北朝鮮もお互い努力していかなければならない問題だと思っております。そういうことから、今の布陣でいくのが最善だと思っております。

【質問】 柳沢大臣を事実上更迭なさったということになったわけですが、ということは柳沢さんの持っている金融機関に対する現状認識が甘かった。むしろ、今、金融に対して危機意識を総理が持っていらっしゃると、そういうことなんでしょうか。

【小泉総理】 これは、小泉内閣が発足して以来、常に金融危機が言われてまいりました。昨年来の9月危機、10月危機、年末危機、そして、今年の正月危機、2月危機、3月には行き詰まる。4月、これまた混乱が起こるのではないか。6月危機、今また9月危機と言われてまいりました。しかし、その間、柳沢金融担当大臣は、そういう危機意識を我々と共有しながら、金融不安を起こさせない、金融混乱を起こさせない、日本発の金融危機は起こさせないという考えで、よくやってくれたと思います。
 しかしながら、一方、市場関係者から見ると、また諸外国から見ると、日本の経済の潜在力は十分あると。日本の経済の発展こそが世界にとっても必要だと。その足かせが金融機関の健全性に問題があるのではないか。また、不良債権処理の問題について、遅れているのではないかという懸念も持たれているのも事実であります。
 今までの柳沢大臣の「決して金融混乱は起こさせない」という、まじめな、真剣な対応を評価するとともに、ここでもう一段と、これは単なる金融の問題ではない、経済、財政、行政全般にわたる問題だなと。そういうことから、新たな危機感を共有しながら、政府・日銀一体となって取り組む。
 そして、今、経済財政諮問会議は、小泉内閣におきましても非常に大きな役割を果たしております。そういうことを総合的に考えまして、この際、実際は柳沢金融担当大臣、そして日銀、竹中経済財政担当大臣、それぞれよく連携をとってやっているわけでありますが、一般の目から見るとこの連携というものが本当に十分なのかどうかという懸念もあるのも事実だと考えまして、この際、その懸念を払拭する意味において、政府と日銀、そして小泉内閣が一体となってこの不良債権処理に本格的に取り組むんだなということをわかってもらうためにも、経済財政担当大臣と金融担当大臣は兼務させた方がわかりやすいのではないかということで、今回の人事をいたしました。
 今までの柳沢金融担当大臣のご努力、そして多くの関係者の批判にめげず、懸命に取り組んできたご尽力に対しまして、私は高く敬意を表する次第でございます。

【質問】 総理は先ほども平成16年度に不良債権処理を終結させるとおっしゃったのですが、何をもって終結とみなすのでしょうか。具体的な指標を教えていただけますか。

【小泉総理】 これは、竹中大臣が今あらゆる手だてを講じて不良債権処理をはじめ、平成16年度中に終結させるという取組をはじめたばかりでありますので、その報告を待って判断したいと思います。