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小泉総理の演説・記者会見等
 

ASEAN+3首脳会議後の内外記者会見(要旨)


平成15年10月8日

【冒頭発言】

 今回ASEAN+3首脳会談がこの美しい自然に囲まれたバリ島で行われ、私もこの美しい自然、海、風、心穏やかなうちに首脳会談を行うことができた。インドネシア、メガワティ大統領をはじめ、政府関係者、地元の方々の温かいおもてなしに厚く御礼を申し上げたいと思う。

 この首脳会談において、アジアにおける地域協力が順調に進んでいる、さらに今後、協力を進化させていこうということで、積極的な意見交換を行い、更なる発展強化に向けた協力を確認することができたと思う。

 中国、韓国首脳との会合においては、初めての三国首脳の共同宣言を発出することができた。未来に向かって、域外に開かれた協力をしていく必要がある、東アジアの平和と安定に貢献をしていくという方向性を明確に示すことができたと思う。私からは、中国、韓国、日本三カ国の投資協定の締結の可能性を含めた協力のあり方につき、三カ国で共同研究を立ち上げていこうという提案を打ち出し、中国、韓国両首脳の協力を得ることができた。

 ASEAN首脳と日中韓、三カ国首脳との会議においては、東アジアの経済連携の強化、そして、ASEAN等の強化に向けた取り組みについて意見交換をした。私からは、人の育成、人の交流促進、やはり、発展の原動力は人である、人間の能力をいかに向上させるか、これまで日本政府が力をいれてきたASEAN協力の重要な分野であるが、今までの成果とこの成果の実績を見極めた上で、さらに、この人材育成、人間の能力の向上のために、どのように、お互い協力が必要かということについて、更に日本政府が積極的に貢献する用意がある。また、ASEAN各国首脳からも、この、人に対する支援、協力、人材育成について強い期待と、そして重要性の認識を共有することができたと思っている。

 また、日本とASEANとの協力については、今年の12月、東京において日本とASEANの首脳会議が行われる予定である。特に、今年は、日本とASEANの交流年にあたって、それぞれの国が月ごとにそれぞれの国の交流事業を展開してきた。この交流事業は、すそ野のひろい国民の幅広い参加をえて、これが順調に進んで成果をあげることができた。さらに、こういう事業を通じて日本とASEANとの心の通じたふれ合いをどのように広めていくか、拡大していくか、そういうことを考えても、12月に行われる東京での日本とASEAN特別首脳会議というのは極めて意味のある会談だと思っている。将来の日本とASEANとの基本的な方向、中長期的な視点に立った、日本とASEANとの協力関係のみならず、それぞれの具体的な協力事業についても積極的な意見交換を行い、具体的な協力事業の詰めを行っていきたいと思っている。いわば、今年の12月の東京での日本ASEAN首脳との特別会議というのは、今まで30年間にわたる日本とASEANとの交流の成果を踏まえながら、さらに日本がASEANを重視していくと、そして、この東アジア地域は、人口にしても、あるいはGDPにしても、貿易総額にしても、世界の中で大きなシェアを占めている地域である。大きな可能性と潜在力を持っている地域であるので、この潜在力をいかに発揮させるかという、意義ある会合にしていきたいと思っている。

 二国間の会合においては、私は中国の温家宝首相とは今回初めての会談だった。初めての会談ではあったが、今までの日中平和条約締結25周年を機会に、これから、さらに、未来志向で日本と中国との関係強化を図っていこうと私自身かねがね申し上げているとおり、中国のめざましい成長発展、これは脅威ではない、日本にとって、むしろチャンスであると、新たなる挑戦であると、お互い相互互恵、共存共栄という精神で日中間の交流を図っていこうという話し合いを行った。

 また、韓国の盧武鉉大統領とは今年の6月、盧武鉉大統領が日本を訪問されて会談を行ったが、その時の良好な関係をこれからも発展させていかなければならない。特に北朝鮮に対しては今後とも緊密な連携強化が必要である。様々な分野で韓国と日本の間には交流が広がっている。今後、ますます緊密にしていこうと韓国においても日本の大衆文化の開放を始められた。順調に進展している日韓関係をさらに拡大していこうということで会談を行うことができた。

 ミャンマーのキン・ニュン首相とは立ち話ではあったが短時間会談を行い、ミャンマーの民主化努力をさらに続けてほしい、国際社会もミャンマーの民主化には大きな関心を抱いていると、さらなる民主化への努力を期待していると私からも言って、ミャンマーのキン・ニュン首相もその民主化のための指導力を発揮してほしいと私から呼びかけた。日本としても、いつでもこれまでの日本とミャンマーの友好関係を考えながら、できるだけの支援をする用意があるということを表明した。

 二国間関係のみならず、地域の協力の問題、さらに安定の問題、これについても、特に朝鮮半島情勢については多くの国が関心をもっているし、日本自身にとっても現下の大きな重要課題である。この朝鮮半島の核の問題、拉致の問題等、日本としては昨年の日朝平壌宣言発出以来、包括的に、拉致の問題も核の問題もミサイルの問題も、平和的解決を目指して、将来の国交正常化実現に向けて努力していこうという話をして、各国首脳からの理解を得られたと思っている。特に六者協議は、先般北京で行われたが、六者協議の重要性について北朝鮮を国際社会の責任ある一員にしていくためにも重要である。また、核問題と拉致の問題等、平和的外交的解決をめざす上においても極めて重要な会議であったと中国側もこの会合開催にむけての努力を高く評価するとともに、今後とも、各国がこの問題に関心をもって、平和的解決に向け努力していこうという認識をもつことができ、お互い今後とも協力することを確認することができたと思う。私自身、この北朝鮮の問題については日朝平壌宣言に則り包括的に諸懸案を解決して、将来の日朝国交正常化につなげていきたいという意向を新たに説明し、各国の理解と協力を得られたと思っている。

 ASEAN+3協力は、両国間それぞれの国の事情は違うと思うが、大きな可能性を秘めている地域であるので、私は今後この地域の安定と発展のためにも、日本政府としてできることがあるので、過去の成果を踏まえながら更にASEAN重視という日本の姿勢は一貫して変わらないという姿勢を鮮明に打ち出し、各国の理解を得ることができたと思う。日本としてはこれからもASEAN諸国との交流はもちろんのこと、韓国、中国、近隣諸国との関係強化に努めて、国際社会の平和と安定の中で日本と日本の安全と繁栄があるのだという認識をもって各国との協力関係を深めていきたいと思う。
ありがとうございました。


【質疑応答】

【質問】 日中韓の共同宣言に、朝鮮半島の非核化ということが盛り込まれたが、これまでの日米韓に加え、今回中国が入った合意という意義を総理はどう受け止めているか。また、中国、北朝鮮の配慮を踏まえると日本とはかなり方法論が違うと考えられるが、この宣言をうけて総理はどのようなアプローチが適当と考えるか。

【小泉総理】 自分(総理)は、六者協議に向けた中国の努力を高く評価している。中国も韓国ももちろんであるが、ASEAN諸国も北朝鮮の核開発を容認することは出来ない、いわば、今後も非核化のためにお互い協力していく必要があると完全に一致していると思う。そういう中で、やはり中国は北朝鮮との関係が一番深い国であり、韓国、日本に比べればはるかに北側に対し影響力を持っていると思う。また、様々な分野においても協力関係にあると思っているので、今後、北朝鮮に対しては、日本、韓国だけでなく、また、米国、韓国、日本の3カ国だけでなく、中国、ロシア等を入れた六者協議というものは、是非とも継続していく必要がある。そういう中で中国の役割は大きいと話合いの中で感じた。これからも、次回まだいつ六者協議が行われるかわからないが、この六者協議の場を有効に活用する必要があるということで、中国も韓国も認識を日本と一にしていると思う。そういう中での、両国間の協力関係は大切なものだと思うし、この協力関係を今回の日中韓の首脳会議の中でも確認することが出来た。また二国間、温家宝首相と廬武鉉大統領とのそれぞれとの自分との二国間会談においてもその点について確認し、この平和的、外交的解決を目指していくという中で、どのように六者協議を有効に活用していくかという問題であると思う。

【質問】 30年前の冷戦の頃、日本はアジア諸国から嫌われており、たとえば学生が日本の車に火を放ったりしたが、そうした当時の学生がそれぞれのASEAN諸国の大臣にもなっている。30年前の状況と現状をどのようにみているか。この違い、日本とASEANとの現在の関係を歓迎するか。

【小泉総理】 私は各国首脳との今回の会談を通じ、30年間の友好協力は大きな成果を上げていると感じている。それぞれの首脳から日本の協力に対する感謝の言葉を率直に伺った。また、日本としてもこの30年間の成果として、特に日本はASEAN諸国の重要なパートナーであり、「共に歩み、共に進む」友人でパートナーであるという方針がある。これについても自分(総理)は理解を得ることが出来たと思う。今後、日本とASEAN諸国との関係はますます深まっていくし、30年前に比べるとはるかに相互交流が進み、様々な分野での具体的な協力関係が進んでいると思う。むしろ若い世代は、過去のことよりも明日に向かって、未来志向で日本との友好関係を築いていこうという積極的な意欲も見受けられる。こういう環境というものを、今までの先輩の方々は極めて粘り強く積み重ねてこられたと敬意を表するとともに、我々後に続く世代が明日に向かって、未来へ向かって友好関係を築いていくことはますます必要であると痛感し、またそれは十分可能であり、していかなければならないと思った。

【質問】 チチハル市における旧日本軍による遺棄化学兵器の事故があり、それ以来急に日中間の懸案事項の一つとして浮上してきているが、昨日の温家宝首相との会談でも早期解決を要望していた。その点につき、事件早期解決に向けて事務レベルではなく、政治的な決断が必要と考えられるか。

【小泉総理】 チチハル市の遺棄化学兵器で亡くなられた方、怪我をされた方に対し、心から哀悼の気持ちを表したい。この問題については温家宝首相との会談でも出たが、日本としては、この問題の早期解決を目指し、双方の納得出来る形で誠意ある対応を示したいという話し合いをしたので、自分は双方の努力によって、日本としても誠意ある対応をもって早く解決したいと考える。

【質問】 日本はASEANの長いパートナーであるが、今回インドが友好協力条約(TAC)に加入したが、日本が同条約に署名しなかった理由如何。

【小泉総理】 日本は、すでに強固な協力関係を維持している。そういうこともあり各国がASEAN諸国と協力関係を結ぶことはいいことと考えるが、日本はあくまでも協力関係を強めてきたので、今後ともTACのあるなしにかかわらず、日本としてこの地域、日本とASEAN諸国との協力関係は、経済関係のみならず、政治的安定、その他を含めて、協力関係を進めることができると思っている。

【質問】 日本はアチェ復興に関する東京会議の共同議長として、今アチェで行われているアチェ自由運動に関連し、アチェでの戦いをやめて平和解決に向かうようインドネシア政府をどのように説得するのか。

【小泉総理】 アチェの問題については平和的解決を期待している。インドネシアは多くの島国から成り立ち、言うまでもなく統一性を図る努力は並大抵のものではないと思っている。統一性、一体性を計る中で、アチェの問題を平和的に解決するための努力を日本は側面からできる限りの支援をしていきたい。また、来年には、インドネシアで選挙が行われるが、そういう面についても民主化の努力の一環、国民との政治的安定を考える上で大変重要なことであるので、そのような選挙に対しても日本として何ができるのか、どういう支援が側面からできるか、その点を十分に考えて日本とインドネシアの間での相互協力体制を強めて行きたい。