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小泉総理の演説・記者会見等
 

シーアイランド・サミット
内外記者会見(要旨)



平成16年6月10日

【小泉総理冒頭発言】

 まず最初に、多くの国民から敬愛され、数々の業績を残されたレーガン元大統領のご逝去に対し、心から哀悼の意を表したいと思う。また、今回のサミットにおいて議長役を務められたブッシュ大統領を始め、ジョージア州の市民の皆様、米国の国民の皆様から大変暖かい歓迎を頂いたことに対し、心から感謝申し上げる。
 今回のサミットは、1975年の第1回目サミットがフランスのランブイエで行われてから、ちょうど30回目を迎える。第1回目のサミットは、中東戦争を契機に、当時1バレルあたり約2ドル前後の石油の値段が一挙に10ドル前後に跳ね上がった時であった。世界の石油消費国は経済的に大きな打撃を受けた。日本は99%の石油を外国に依存していたため、経済の打撃たるや大変大きなものであった。当時はあの石油危機の直後で、日本は物価上昇率が20%を越えた時だった。
 今、30年が経ち、日本は経験したことのないインフレからデフレ克服に向かい困難に直面している。当時もこの石油危機に先進諸国がどのように対処するかということでG5として始まったのがサミット第1回目であった。米、英、仏、独、日本のG5が、今、G8になった。30年が経って、様々な出来事が世界で起こってきた。毎年、先進国首脳が集まりサミットが開かれているが、今回また石油の高騰、イラク問題、中東問題、北朝鮮問題、世界経済の問題といった難問を抱えているが、各国の首脳と有意義な会談が行われたと思う。私はその都度、議題は変わるが、お互い共通した政治経済社会の危機にG8がどのように対応するか、前向きに建設的な議論を行おうという姿勢に変わりはないと思う。
 今回も、テロ、イラクの問題、北朝鮮の問題、石油価格高騰の問題に対して率直な意見交換ができた。特にイラクの問題に関し、イラクへの主権移譲、イラクの復興支援に向けて、国連安保理で全会一致の新決議が採択されたという、タイミングの良い時期に、このサミットが行われた。今回のサミットには中東諸国、アフリカ諸国の首脳が参加したが、特に、イラクの暫定政府のヤーウェル新大統領が参加する席でも申し上げたが、イラクの主権移譲に伴い、イラクにこれから安定した民主的な政権を作り上げるために最も大事なことは、イラク人自身が、自分たちの国は自分たちの手で再建するという意欲を国際社会に向けて強く発信することであるということを強く申し上げた。
 イラクを再建し、安定した民主的な政権を作るのはアメリカでも、国連でも、G8諸国でもない。基本的にイラク人自身が自らの国を、親米勢力、反米勢力の対立、各宗派間の対立を乗り越え、結束し、自分たちの国は自分たちで作るのだという意欲を国際社会に対して是非とも見せてほしいと思っている。今、国連を始め国際社会は、イラクの復興、安定に向けて、進んで協力したいという姿勢が見えている。だからこそ、安保理において、全会一致のイラク復興支援に向けた主権移譲に対して新決議が採択された。日本としても今後、日本にふさわしい、イラクに対する人道支援、復興支援の貢献をしたいと思っている。
 また、世界経済についても、かなり前回とは違い、明るい兆しも見えてきた。回復基調にある世界経済の傾向を持続させるよう、それぞれの国が改革を進めていかなくてはならないと思う。日本経済も長らく低迷が続いていたが、私自身、政権を担当して3年が経過したが、「改革なくして成長なし」の基本路線には変わりない。いろいろな経済指標も、就任以来、小泉内閣が設定した政府の想像した通りの状況、或いは政府の見通しを上回る業績の回復の兆しが見えてきた。この成果を今後とも改革を推進することによって持続的な成長に結びつけていきたい。改革の芽を大きな木に育てていきたいということを説明申し上げた。アメリカ経済の好調、更に日本隣国の中国のめざましい経済成長、こういう良い影響もある。日本としても、この良い影響をとらえて、日本自身の改革を進めることによって世界の発展に寄与していければと思っている。
 また、北朝鮮の問題については、先月、一昨年9月17日に続き2回目の訪問をし、金正日氏と会談したが、その説明をした。一昨年の9月17日、金正日と私との間で拉致の問題、核廃棄の問題、ミサイル等の問題、これを総合的に解決して、日本と北朝鮮との間に国交正常化を成し遂げるというこの方針に変わりはない、その確認のために再度訪問した。今後、世界が関心を持っている核廃棄の問題、この北朝鮮の問題についても、国際社会はもちろんであるが、今、六者会議がこれから開かれようとしている。米、韓、中、ロシア、日本、この場でも働きかけ、なんとか北朝鮮を国際社会の責任ある一員として参加するように強く働きかけていきたいと思っている。
 また、開発の問題についてであるが、開発を考える場合、環境保護を重視しなければならないことを私が強く主張した。日本は高度成長期、10年間にわたって、二桁、10%代の高度成長を成し遂げた時期があった。しかし、経済的な発展と同時に、環境汚染というマイナス面も出てきた。発展途上国、先進国を問わず、経済発展、経済開発をする場合には環境保護を重視しなくてはならないという観点から、3つのR、いわゆる、廃棄物の「Reduce」、資源を再利用する「Reuse」、循環型社会 「Recycle」、この、「3つのR」これを考えていくという重要性を訴え、合意を得ることができた。
 いずれにおいても、今回、多くの国々、アフリカ諸国、中東諸国、G8の方から率直な意見が交わされ、意味のある有意義なサミットであったと思う。改めて、主催されたブッシュ大統領を始め米国民の皆様方に心から御礼を申し上げて、簡単ではあるが、ご報告に代えさせて頂く。あとは、質問を受けたいと思う。

【質疑応答】

【質問】 今度のサミットではイラクの復興に一致して取り組む方針は示すことができたが、フランスやドイツなどは多国籍軍に参加しない方針は崩していない。小泉総理はこうした状況において実効性ある国際協調体制の再構築に日本として果たすべき役割があると考えているか。また、多国籍軍への自衛隊の参加については自民党内でも慎重論が出ているが、国民にこの問題をどのように説明するのかお聞かせいただきたい。

【小泉総理】 私は今回参加されたイラクのヤーウェル大統領と話をしたが、ヤーウェル大統領が曰く、日本の自衛隊の人道支援・復興支援活動を高く評価し、感謝の表明があった。今後とも日本としては全会一致の国連の新決議を受けて、国際社会の責任ある一員として日本に相応しい支援協力をしていきたいと思っている。多国籍軍が形成されると思うが、その中で日本としてできること、いわゆる、人道支援、復興支援を継続する方向で検討していきたいと思う。この問題は国内に、日本に帰国してから、与党をはじめ、皆さんと相談しながら、どのような日本に相応しい支援協力ができるか、検討していきたいと思っている。今後とも日本としてイラクの安定というものは、日本はもとより、中東全体、世界全体に大きく影響してくる問題であるので、日本に相応しい支援協力をしていかなければならないと認識している。

【質問】 イラクの債務削減について、日本は昨年積極的に対応すると言っていたが、削減率等、日本政府の見解如何。

【小泉総理】 日本としてもイラクの債務削減については、柔軟に対応したいと思っている。日本は世界の最大の債権国だと思う。その根拠の数字によっては、民間も含めるのか、他の問題も含めるのか、いろいろ根拠によって違うと思うが、日本が最大の債権国であることには変わりないと思っている。政府の債権だけに限れば、確か40億ドルか、他の基準によっては、70億ドルとの計算も成り立つようである。いずれにしても、最大の債権国として、どの程度債務を削減するかによっては、大きく日本は影響を受けるわけであるが、イラクの復興にこのイラクの債務が足を引っ張ってはならないとの認識を日本は持っている。そういう観点から、何割削減すればいいのかはパリ・クラブで協議しなければならない。それぞれの国がかなりの債権を持っていることから、その対応を見ながら日本としても柔軟に対応していきたい。額として何割削減すればいいのかはまだ決まっていないが、日本としては日本の責任を果たす。イラクの安定、復興に協力するとの観点から、柔軟に債務削減については対応していきたいと思っている。

【質問】 首脳会議では、総理の再訪朝の説明に対し各国の理解が得られたとのことであるが、これを受けて、今後拉致問題を含め、北朝鮮問題をめぐる問題の包括的解決に向け、どのように取り組むか。

【小泉総理】 私は2回金正日氏と会談しているが、一昨年の9月17日の会談と先月2回目の会談とは、若干金正日氏の態度に変化が見られるように感じている。一昨年の第1回目の会合の時には、アメリカに対して強い反発を見せた。今回、金正日氏は、アメリカとの対話を熱望しているような感じを受けた。同時に、拉致の問題も、前回は解決済みという認識であったけれども、今回も最初はこれは解決済みと言っていたが、日本としては解決していないということで、再調査に応じた。核廃棄の問題についても、金正日氏は、今回はっきりと、朝鮮半島の非核化が目標であると言った。同時に、核の凍結に関して、凍結は検証を伴うということもはっきり表明した。
 私は、金正日氏に対して、核を保有することによって得る利益、たとえばエネルギー支援や食糧支援、これと核を放棄、廃棄することによって得るものをよく考えてほしい、核を廃棄し国際社会に復帰し、国際社会の責任ある一員になることによる利益、エネルギー支援、食糧支援のみならず、本格的な経済支援、これに比べれば、核を保有することによって得る利益は微々たるものだ。核を廃棄することによって得る利益ははるかに大きなものだ、ということを金正日氏に強く話しかけた。こういう点について私は、金正日氏は冷静に、誠実に対応して頂きたいと思っている。もとより、まだ多くの国が北朝鮮、金正日氏に不信感をもっているのは事実だが、これを言葉だけでなく行動で示すように、今月下旬に開かれるであろう6者会議において、率直な意見交換をしてほしいし、核廃棄の問題について、それだけ金正日氏が言うのであれば、その6者協議の場で、はっきりとアメリカとの間においても自らの国の考えを申し述べれば良いではないか、アメリカの対応にしてもブッシュ大統領に対して、6者会議の場で、6者そろった会議の場、あるいは2者で話し合う場もあるだろう、口で言っていることと現実に行動を起こすことをよく確認したらよいのではないかとブッシュ大統領にも申し上げた。
 この6者会議を通じて、金正日氏が早く国際社会の一員になるよう、態度で示してほしい。また、6者会議の場で国際社会が結束して国際社会の一員となるよう働きかけるべきである。なによりも、外交的、平和的解決が重要であると思っているので、日本としてもその方向に向けて、拉致の問題、核の問題、ミサイルの問題を総合的に取り上げて日朝国交正常化に結びつけてゆきたい。なによりも、金正日氏は、自らの安全保障をアメリカに求めていると思う。また、日本からは本格的な経済協力を求めていると思う。そのためにも、完全な核廃棄が必要であるということを、6者会議の場においても、各国においても、よく理解するように働きかけを強めていくべきだと思う。この核廃棄の問題が解決せず、拉致の問題が解決しない限り、日本と北朝鮮との国交正常化はあり得ない、国交正常化なしに本格的な日本の経済支援はないと、はっきり申し上げている。何とか良い方向にもっていくように、話し合い、働きかけを日本としても各国と協力しながら強めていきたいと思っている。

【質問】 日本はどのくらいG8サミットで他のアジア諸国の利益を代表していると思うか。また、G8に他の国、例えば中国なども招く方が良いのか、或いはG8とは別のところで会合した方が良いと思うか。

【小泉総理】 G8はG8だけの利益を考えているものではない。G8が果たす、世界に対する経済発展、貧困の削減、テロ対策、安全の保障等、実に大きなものがあると思う。世界の安全のために、或いは、発展のために、経済のために、G8として何ができるのか、ということを考えているのはG8サミットである。当然、日本はアジアのことも考えている。日本独自に、日本と中国はじめ韓国、ASEAN諸国との関係について緊密な協力体制ができている。相互依存関係は益々強まっている。アフリカの問題に対しても、今回のサミットでも話題になったが、日本のアジアに対する支援、これをアフリカも参考にしていただきたい。今年、秋にはTICADアジア・アフリカ貿易投資会議を東京で開催する予定であるが、日本としても、単にG8の中のことだけを考えているわけではない。アジアの問題もアフリカの問題も、世界各国の問題もお互いが先進国の一員として何ができるかということを考えて、意見を申し上げ、改革の必要性を申し上げ、それぞれの責任を果たしていこうというのがG8サミットである。日本としても今後ともアジアの一員として、アジアのことはもとより世界全体のことを考えながら国際社会の一員として日本の責任を果たしていきたい、という観点から常に意見を申し上げているつもりである。