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小泉総理の演説・記者会見等
 


日韓首脳会談後の共同記者会見(要旨)

平成16年7月21日

【盧武鉉大統領冒頭発言】
 日韓両国国民の皆さん、こんにちは。まず、美しい済州島に小泉総理をご案内することになり、うれしく思う。
 我々両首脳は、先程、首脳会談を行い、極めて友好的な雰囲気の中で、互いの諸般の関心事項に関し幅広く、極めて率直に意見を交換した。
 小泉総理と私は、昨年6月の日韓共同声明で明らかにしたとおり、「平和と繁栄の北東アジア時代」を共に開いていくというビジョンを再確認し、その実現のための両国間の戦略的な協力策について協議した。
 私は、北東アジアの未来のビジョンを実現するためには日韓両国の協力が何よりも重要であるという点で認識を共にし、これに関連し、積極的に推進していくこととした。
 我々両首脳は、去る6月の第3回六者会合で具体的な交渉案が提示され、実質問題を議論したことで、北朝鮮の核問題解決のための六者会合が実質的な交渉段階に入るようになったと評価した。
 小泉総理と私は、こうした肯定的なモメンタムを生かし、日韓及び日韓米間の緊密な連携に基づき、北朝鮮の核問題の平和的解決のプロセスを加速していくことで合意した。併せて、北朝鮮の核問題が解決されれば、我々は、「包括的・具体的な南北経済協力事業」を施行し、日本は、平壌宣言に立脚し、北朝鮮との国交正常化と北朝鮮に対する経済協力を積極的に推進する等、日韓両国が共に協力していくことを明確にした。
 小泉総理と私は、日韓間のFTA締結が両国関係はもちろん、北東アジアの経済協力を拡大、強化するための側面でも極めて重要であるという認識の下、高い水準のFTA締結ができる環境作りのために共に努力することとした。
 また、両国国民間の友好増進と交流活性化のため、小泉総理は、来年の「日韓友情年」を契機に韓国国民にまず期間限定で日本入国ビザを免除する方針であることを明らかにした。この他、我々両首脳は、刑事司法共助条約締結交渉と税関相互支援協定署名を推進することとした。
 私は、日韓間の未来志向的な協力をより強化していく中、歴史問題が両国国民間の友好親善を阻害しないよう互いに努力する必要があることを強調した。小泉総理も、これに対し共感を示し、両国政府当局が協力していくことを希望された。
 小泉総理と私は、日韓間の対話と協力の重要性に鑑み、両国首脳が格式にとらわれず、より頻繁に相互訪問することで合意致した。また、政治家の交流や、市民社会間の交流と対話が活性化されなければならないということで認識を共にした。
 私は、今回の首脳会談を通じ、小泉総理の御見識と、日韓関係の発展や朝鮮半島と北東アジアの平和・繁栄のための熱意に、感銘を受けた。
 私は、日韓両国が、互いに対する信頼と尊敬を基礎に、両国はもちろん、北東アジア地域の平和と繁栄に大きく寄与するであろうと確信する。

【小泉総理冒頭発言】
 アンニョンハシムニカ。
 日本とゆかりが深く、風光明媚な済州島、青い海、緑、そして白い雲といういい環境で、今日、盧武鉉大統領との間で、率直に打ち解けた雰囲気で会談を行うことができ心からうれしく思っている。
 日本は韓国ブームと言っていいほど、韓国の映画、ドラマが人気がある。最近でも韓国の「シルミド」や「ブラザーフッド」、特にテレビの「冬のソナタ」が、日本人の心を捉えている。10数年前には、韓国にゴルフに来る日本人が多かったが、最近では逆であり、日本に温泉、ゴルフに来る韓国人が多くなった。
 来年は日韓国交正常化40周年の節目に当たる。かつては両国間の旅行者は年間1万人だったが、今では旅行者が年間360万人を超えている。年間1万人から、1日1万人の人々が日韓往来するようになった。来年の日韓国交正常化40周年の節目を記念して、友情あふれる交流を進めるため、いろいろな計画がなされており、今後も友好関係を推進していきたい。
 先程の会談で、盧武鉉大統領と、政治、経済、文化、スポーツ、芸術、あらゆる分野の交流を促進していこうと話した。特にFTAに向けて努力していきたいという点で意見が一致したことは、特筆すべきことである。
 来年の40周年の節目の年に、たまたまではあるが、愛知県で万博が開催される。日本として、韓国の皆さんも日本での万博を訪れることを期待しており、万博に合わせ、来年3月〜9月の半年間、来日する韓国人に対し、査証を暫定的に免除することとした。また、その結果を踏まえて暫定的でない恒久的査証免除を検討していく。
 北朝鮮との関係については、5月22日、金正日氏との会談の様子、状況を盧武鉉大統領に説明した。北朝鮮の核廃棄に向けて、会談では、日、韓そして米国が緊密に連携していくことで一致した。
 韓国も日本も、米国の同盟国であり、米国との同盟関係を互いに強化していくことが地域、世界の安定に資するとの点でも一致した。
 盧武鉉大統領と私は、将来の北東アジアの開かれた友好関係を発展させていくために協力していくこと、日韓と中国の協力関係を推進していくとの点でも一致した。ASEANとの連携協力、東アジア地域協力でも日韓が主導的役割を果たしていくこと、日韓が緊密に協力していくことが重要であることで一致した。
 盧武鉉大統領、韓国の温かい配慮で、うち解けた雰囲気で率直に意見交換ができた。時間が足りなかったが、記者会見の時間があったので、残された問題については夕食会で話したい。
 今般、盧武鉉大統領と私は、随時、時に応じて、回数にこだわらず、いつでも会談しようという話になった。次回は日本で、東京を離れ、温泉保養地で友好的雰囲気で会談したいと考える。

【質疑応答】

【質問】 本日、日韓両首脳間で合意されたように、北朝鮮の核問題は順調に解決の方向に向かっているように見受けられる。北朝鮮に対する米国の態度が変わってきており、小泉総理も訪朝されて5月に金正日委員長、そしてブッシュ大統領と会談され、今後、北朝鮮と1年以内に国交正常化するという意見も披露された。盧武鉉大統領は、南北首脳会談を行って、画期的な突破口とする構想をお持ちなのか。また、北朝鮮の核問題の解決に向けての小泉総理の役割如何。

【盧武鉉大統領】 北朝鮮の核問題は、あまりにも、飽きるほどに長い間、進展がなかったのは確かである。しかし、これまでの進行の過程を考えると、一歩ずつ進展があったことも確かである。先般の六者会合では、相当の関心を持つに値する進展があったと評価している。こうした急な流れが、9月の六者会合でも実現することを期待している。
 首脳会談の中でも、南北首脳会談のような大行事は、政治家にとって魅力的であることは確かであり、望まない人はいないだろう。しかし、北朝鮮の核問題が解決し、朝鮮半島の安定と繁栄の土台を整えることが何よりも大事である。南北首脳会談を行うか否かについては、核問題解決や南北関係の進展にどれだけ資するのかという判断基準がなければならない。
 北朝鮮の核問題については、日米韓の連携の中、六者会合が進行しており、米国の態度が決定的に作用する。こうした状況で、金正日委員長と私が会談する南北首脳会談の中で核問題を扱うことが、問題解決にとってプラスになるか否か、綿密に計算する必要がある。韓国がこうした点を考慮せず南北首脳会談を急いでも、核問題解決にはプラスにならないと考える。北朝鮮がこの問題について負担を感じず、自由に南北関係に臨む心の準備ができた時、意味ある首脳会談が可能となると考える。北朝鮮には、負担を感じず、約束どおり答礼訪問を行い、交渉に臨むことを期待するが、今はそれを促すのに適当な時期ではないと考える。
 北朝鮮の核問題解決に向けた日本の役割に関して。北朝鮮の核問題解決に最も重要なことは相互信頼である。その中でも、北朝鮮が自らの体制の安全の保証について信じること、改革・開放が成功すると信じることが重要であり、これを構築するにあたり、日本の立場は極めて重要である。信じるようになるには会って話をする他ない。日本が北朝鮮をどれだけ助けることができるかを信じることが重要である。この点について、日本はすでに多くの寄与をしている。例えば、小泉総理が訪朝され、難しい対話を行い、難しい拉致問題を解決し、国交正常化についても前向きになるようにしたと考える。六者会合でも、日本は、核問題が解決すれば積極的に支援することを明らかにし、会談の雰囲気に大きく寄与したと考える。また、小泉総理は、金正日委員長、ブッシュ大統領と会い、G8の機会にも各国指導者と会い、北朝鮮の核問題について合意することができる方向で説得する努力をされたものと承知している。
 これらはすでになされている寄与であるが、今後の役割についても同様であると考える。日米韓の連携、六者会合を通じ、日本が積極的に北朝鮮を助けることを表明することで、北朝鮮が合理的選択を行うことを希望する。合理的選択は希望を持っている者がするものであり、希望がない者は合理的選択をできない。北朝鮮が合理的選択をできるようにすることが重要である。

【質問】 北朝鮮に対し核の完全廃棄を求める求める日米韓の間には温度差がある。今回の会談で温度差をどれだけ埋められたか。また、北朝鮮の核問題解決に向け、具体的にどのように取り組んでいくのか。

【小泉総理】 質問に答える前に、日朝国交正常化について、一昨年の金正日氏との間の日朝平壌宣言を誠実に履行されるのであれば、正常化するという立場であることを明らかにしておきたい。拉致問題、核問題、ミサイル問題を総合的、包括的に解決された際に、正常化がなされるということである。
 私の任期はあと2年ほどであるが、その間に、日朝平壌宣言が誠実に履行されれば、正常化がなされる。これが誠実に履行されれば2年にこだわらない。1年もあり得る。私は期間にはこだわらない。誠実な履行がなければ1年経っても2年経っても、3年経ってもない。望ましいことは、できるだけ早く日朝平壌宣言を誠実に履行することである。時期にはこだわらない。
 北朝鮮の核廃棄について、日米韓で温度差があるかという点であるが、5月22日、金正日氏と私が会談した際には、金正日氏は、朝鮮半島の非核化が目標である、核の廃棄には検証が伴うことを明言した。本日、盧武鉉大統領との会談で、日米韓の目標は、北朝鮮の核廃棄を完全に行うことであることで完全に一致した。そのためにも日米韓の緊密な連携が必要である。しかし、対応については日米韓で国情が異なり、対応については差があってもおかしくない。目標については完全に一致している。

【質問】 総理は、日朝国交正常化の時期にはこだわらないとのことであるが、1年以内、2年以内に正常化という立場からは後退したものと解釈していいか。ミサイル問題、拉致問題等の難問がある中、北朝鮮が核問題を完全に解決するという場合に、日本が何を行うか具体的に表明すると、北朝鮮の核問題に資すると考えるが如何。また、米国の対北朝鮮ミサイル防御システムが日本海に配備されるという話もあり、対北朝鮮軽水炉事業が年末には完全に中断されるという話もあるが、日本政府の立場如何。

【小泉総理】 北朝鮮との国交正常化についての立場は後退していない。北朝鮮が日朝平壌宣言を誠実に履行すれば、いつでも正常化したい。できれば2年以内にしたいと考えているし、早ければ1年以内でもできよう。日朝平壌宣言を誠実に履行すればいつでもできるものであり、立場は後退していない。
 核開発の解決については、北朝鮮が核を持つことで得られる利益が微々たるものであるのに対し、廃棄で得られる利益がはるかに大きいというメッセージを、日米韓が、そして中ロも、六者会合も通じ、はっきり伝えることが重要である。
 核問題は、北朝鮮は米国との問題であるとしているが、核の脅威を受けているのは、米国以上に韓国、日本である。ミサイルも同様である。ミサイル防衛問題は、日本の自主的判断であるということを考えて、しっかり対応する必要がある。その中で米国とも、韓国とも協力していかなければならない。
 軽水炉の問題、KEDOについては、今後、盧武鉉大統領とよく話し合っていきたい。

【質問】 2002年のW杯サッカー大会共催以来、日韓関係は、スポーツ、文化面で交流が活発になっている。その一方で、政治的には、歴史認識、靖国問題、竹島問題等の懸案が多く残っている。そうした問題に対する現状認識如何。また、今後こういった溝を如何に埋めていく考えか。

【盧武鉉大統領】 考えているとおりに、率直に話し、対話することは重要であるが、時には正直に言うことが足しにならず、雰囲気を悪くする場合がある。韓国には結婚式の時にはいいことだけ話すという意味のことわざがある。
 本日は「竹島」(ママ)問題については簡単に触れるにとどめることとするが、歴史問題についてはお話ししたい。
 「独島」(ママ)問題については、韓国政府の立場は明らかであり、このような話は再論する必要はないと考える。
 歴史問題については、これまで、公式の協議や対話も行ってきた。日本政府からの謝罪も何度もなされた。98年に金大中大統領が訪日した際の日韓共同宣言以降、韓国政府としては、過去の問題について、新たな転機が訪れ、新たな政府間の合意がなされるようなきっかけがない状況では、公式に問題提起したり、争点にすることは控えるようにしている。これは、過去の問題が、きれいさっぱり解決したということではなく、日韓間の新たな事業、北東アジアの未来について、解決しにくい事を論争したり、両国の国民感情を刺激することはためにならないから、そうしているのである。韓国政府が公式に問題提起しなくても、政治家は皆それぞれの判断を持っており、公的または私的に歴史問題について表現することも時にはある。多くの韓国国民が、解決されていないと認識しているのも事実である。過去の問題は、非常に前の話であり、韓国で過去の問題を提起する人は、過去の問題それ自体よりも、その解決の過程について問題を感じているのではないかと思われる。
 かつて教科書問題が大きな争点となり、日韓の学者間の共同研究につながり、今も進行しているが、仏独、独ポーランド間では、政府も民間の学者も参加し、歴史のみならず、歴史教育の方針についても合意しており、過去の問題がすでに解決している。靖国神社参拝については、日本の以前の総理の時に、日本政府が代替参拝施設を積極的に検討すると約束したことがあった。
 過去の問題解決の過程について、韓国国民の胸には、解決していない問題があると考える。この問題については、日本政府、日本国民が持っている認識が重要であるが、国家内部、国民内部から、解決に向けた合理的ないい知恵が出ることを望んでいる。逆に、韓国政府が要求を繰り返すと、日本国民の間で、何回も謝まったのに、何回謝らなければならないのかという反発が生じる可能性もあろう。両国民の情緒的な隔たりがある中で、私の任期内には公式的には提起しない方針である。
 以上要するに、解決すべき内容が残っているのは事実であるが、韓国政府が公式に強要するのは適当ではない。両国民が活発な民間交流を通じ、認識の違いを狭め、国民の共通認識が広がれば、それを土台に両国政府が新たな対話をすることができるものと考える。