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第59回国連総会における小泉総理大臣一般討論演説
新しい時代に向けた新しい国連(「国連新時代」)(仮訳)


平成16年9月21日

議長、
御列席の皆様、

 今日、国際社会は、60年ほど前国連の創設者達が想像すらできなかった課題への取組に尽力しています。テロとの闘い、大量破壊兵器の不拡散を確保するための取組は、こうした課題のほんの一例です。

 我が国は、常に、国連を中心とする国際協調を追求してきました。国際社会がこれらの新しい現実に直面する中、国連もこれに適応し、対処しなければなりません。

 国連は、平和のうちに繁栄する、公正な世界を実現するために設立されました。その目的に向け、加盟国は力を合わせて国際協力を推進してきました。我が国は、我々自身の力でより良き世界の構築に貢献できるとの信念に基づいて、責任ある国連加盟国としての役割を果たすよう不断の努力を行ってきました。我が国のイラクとアフガニスタンにおける活動は、その好例です。

 イラクにおいては、我が国は、関連する安保理決議に基づき、イラク人自身の民主的かつ繁栄した国家に向けた闘いを支援する国際的な努力に参画しています。我が国は、イラクの人々の日常生活の改善と、公的生活基盤の再建を支援しています。我が国の自衛隊による人道復興活動と50億ドルの支援は、車の両輪として、そうした目的に向け、機能しています。国際社会の結束を促進するため、我が国は、来月、第3回イラク復興信託基金ドナー委員会会合を開催します。

 アフガニスタンにおいて、我が国は、国家の復興に向けた取組を当初から率先して支援しています。我が国は、2002年1月、アフガニスタン復興支援国際会議を主催しました。我が国は、積極的にアフガン人による武装解除、動員解除及び社会復帰(DDR)プロセスへの取組を進めています。現在、アフガニスタンの人々は、大統領選挙及び議会選挙に向け、懸命に準備を行っています。これらの選挙は、新しい、民主的なアフガニスタンにとって、最も重要な一歩です。

 国際社会、そして国連は、自らの国家の再建に向け、精力的に取り組んでいるアフガニスタン、イラクの人々と共に歩むべきであります。

 大量破壊兵器、ミサイル及びテロは、今日の世界における国際安全保障を脅かしています。我が国は唯一の被爆国であります。我が国は、先頭に立って核軍縮・不拡散の促進に努めています。我が国は、核兵器のない平和で安全な世界の実現を希望しています。さらに、我が国は、懸念国及び非国家主体が、大量破壊兵器を保有することのないよう、他の国々と協力しています。

 テロの跋扈は許されません。我が国は、テロとの闘いにおいて、国内法制その他の措置を強化するとともに、各国と一層の協力を継続していきます。

 朝鮮半島における核及びミサイルの問題は、北東アジアの平和と安定、及び国際社会全体に対する深刻な挑戦です。我が国は、日朝平壌宣言に則って核・ミサイル問題及び拉致問題の包括的解決を引き続き追求していく決意です。六者会合の前進が必要です。これらの問題を解決することにより北朝鮮が手にする利益は相当なものとなり得ましょう。引き続き核計画を推進することには何らの利益もありません。

議長、
 第二次世界大戦後、我が国は、国際社会の支援を受けながら、劇的とも言える経済復興を経験しました。こうした自らの経験に基づき、我が国は、国際協力を推進する際、困難を乗り越えて繁栄した社会を実現するためには自助努力が不可欠であると痛感しています。それゆえ、我が国の政府開発援助(ODA)は、「オーナーシップとパートーシップ」の原則に基づいています。

 環境保全も経済発展と共に推進しなければなりません。我が国は、気候変動や環境保護等の分野で、地球規模の取組を主導しています。

 ミレニアム開発目標を含む開発の課題に対処する上で、我が国は、これらの原則を踏まえ、戦略的かつ効果的なODAの活用に向けた、更なる努力を行い、前進していきます。

 個人と地域社会を保護し、強化することは、国際社会の平和と安全の基盤です。それゆえに、我が国は、「人間の安全保障」の概念を提唱しています。こうした考えに基づき、我が国は、アフガニスタン、スリランカ、東チモール等において、人道支援から復興支援への継ぎ目のない移行を実現すべく取り組んでいます。

 私はアフリカの問題が解決しない限り、世界に安定と繁栄はないと強く信じます。我が国はアフリカ開発会議(TICAD)プロセスを1993年に開始しました。昨年、我が国は第3回アフリカ開発会議(TICADIII)を開催し、89ヵ国、47の国際機関からの参加を得ました。アフリカ諸国は、アフリカ連合を通じて地域協力を推進しており、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)の実施に取り組んでいます。TICADとNEPADの協調は、両者が「オーナーシップとパートナーシップ」に基づくものであり、意義深いものです。アフリカの安定と繁栄は、ODAとともに、貿易・投資の促進にかかっています。この秋、我が国は「TICADアジア・アフリカ貿易投資会議」を主催します。
 今日、アフリカにおいて、我々は新たな人道上の危機の拡がりを目の当たりにしています。我々はダルフールに関する国際社会の深刻な懸念を共有しています。我が国は2100万ドルの人道支援を行う事を決定しました。また、我が国はチャドにおけるスーダン難民に対する支援物資の供与を行う予定です。

 東アジアにおいては、目を見張る経済発展が進んでいます。我が国は、地域の諸国と共に、経済開発に向けた彼ら自身の取組の基盤作りのために取り組んでいます。この地域においては、共同体作りを促進する積極的取組が行われています。ASEAN+3の基礎の上に立って、私は「東アジア共同体」構想を提唱しています。

 今年、我が国は安保理非常任理事国選挙に立候補しています。我が国が当選した暁には、グローバルな貢献を基にして、安保理において、建設的かつ創造的な役割を果たすべく努力を倍加します。

議長、
 今日の世界が直面する挑戦に国際社会が対処する上で、国連が傍らに追いやられてはなりません。強くかつ効果的な国連が必要です。我々は、まさに「国連新時代」を構築しなければなりません。私は、国連事務総長による「脅威、課題と変革に関するハイレベル委員会」の時宜を得た設立を称賛します。私は、ハイレベル委員会が事務総長に対し国連改革のための大胆かつ野心的な計画を提示すると確信しています。

 平和と安全並びに経済的、社会的問題は、ますます連関を深めています。国連は調整され、かつ包括的に対応すべきであります。国連の諸機関は、効果的かつ効率的でなくてはなりません。国連システム全体にわたる変革が必要です。

 こうした変革の中で、核となるのは安保理改革です。近年、安保理の役割は、その対象範囲と性質において、劇的とも言える拡大を遂げています。安保理は、このように拡大した役割を、国際社会の最大限の協力と参加を得て果たしていくべきであります。

 そのためには、今日の世界をよりよく反映するように安保理の代表性を向上させなければなりません。加えて、安保理は、課題に効果的に対処するため、十分な能力を有すべきであります。国際の平和と安全において主要な役割を果たす意思と能力を有する国々は、常に、安保理の意思決定過程に参加しなければなりません。そのためには、途上国・先進国の双方を新たなメンバーに含め、常任・非常任の双方において安保理を拡大する必要があります。

 国連の普遍的な目標、すなわち我々の共通の目標は、国際の平和と安全の維持です。その目標に向けて、加盟国は、各々の能力に見合った役割を果たすべきです。

 平和は武力のみを通じて達成することはできないというのが我々の信念です。こうした信念に基づき、我が国は、積極的かつ独自の役割を果たしています。

 我が国は、平和の定着に向け取り組むため、平和構築のための復興への取組と共に、国連平和維持活動にも多くの資源を提供してきました。我が国の自衛隊は、東チモール、イラクなどにおいて、人道復興支援活動を行ってきています。

 そのような、平和に向けたグローバルな貢献は、平和と繁栄に向けて尽力する国際社会において名誉ある地位を占めたいと考える日本国民が大切にしている根元的な信念に基づくものです。こうした貢献は国際社会から高く評価されていると私は信じます。

 近年の国連の平和活動は、平和を達成し、定着させるには多くの側面があることを示しています。平和の実現のためには、平和構築から、国造りまでを含む包括的な取組が必要です。我が国の役割は、正に安保理の権限である国際の平和と安全の維持において、一層不可欠なものとなってきています。我が国の果たしてきた役割は、安保理常任理事国となるに相応しい確固たる基盤となるものであると信じます。

 敵国条項は、すでに、国連総会において「死文化している」と決定されており、今日の世界をよりよく反映するために、国連憲章から旧敵国条項を削除しなければなりません。加盟国の国連分担率は、より衡平なものとする必要があります。

議長、
 来年、国連は創設60周年を迎えます。我々は、ミレニアム宣言のすべての約束の進捗状況を検証するための、ハイレベル全体会合を開催します。開発、グローバルな安全保障及び国連改革は、すべて優先度の高い議題です。すべての面において変革が必要です。

 今こそ、国連、特に安保理を改革するとの歴史的決断を行う時です。
時間は限られています。我々の将来、すなわち国連の将来がかかっています。私は、各国を代表する御列席の方々に対し、「国連新時代」の構築に向けて共に協力し、大胆な一歩を踏み出すことを訴えます。

 御静聴ありがとうございました。