アジア欧州会合後の内外記者会見(要旨)平成16年10月9日
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【小泉総理冒頭発言】
【質疑応答】 【質問】 先ほど発表された議長声明でも安全保障理事会の改革を含めた国連改革の必要性が指摘されたが、今回のASEM首脳会合を通じて日本の常任理事国入りへ向けた布石を打つことができたと考えるか。 【小泉総理】 国連改革に向けた議論は活発になされたが、日本として国連改革に意欲的に取り組んでいく、また日本は先月ニューヨークで国連総会が開催された合間をぬって、日本、ブラジル、インド、ドイツがお互い常任理事国として、協力していこう、常任理事国の議席を獲得する意欲があるということを表明したが、今回のASEMの会合においても国連改革に対する考えは国によって若干違う。日本として布石を打ったか、ということであるが、布石はいくつもある。布石は一つに限らないため、いくつも布石を打っていく必要がある。先の9月の国連総会の合間に行われたニューヨークでの各国との協議、これも一つの布石である。今回のASEMの会合を通じた国連改革に取り組む姿勢を主張したのも一つの布石である。そういう意味においては布石を一つ一つ打っていかなければならないが、国連改革ということについては、皆賛成だという認識を受けた。ただ、どのように改革していくかについては、若干国によって違う。例えて言えば、日本、ドイツ、インド、ブラジルはお互い協力を確認し合い、互いが常任理事国になろうとして支持し合おうということをはっきりと国際社会に表明しているが、今回のASEM参加国の中には必ずしも今言った4カ国が常任理事国の議席を占めることに賛成ではないという国も見受けられる。そういう点も含めて、国際社会が、国連事務総長のもとで国連改革に関する協議を進めているハイレベル委員会の提言を踏まえてどういう態度を表明するか、ということについてはまだまだそれぞれの国が検討中である。また、日本が国連改革に取り組もう、常任理事国になろうとする意欲はわかってもらえても、果たしてこれが実現するかということは、かなり長い難しい道のりであるということは私も十分承知している。今後そういう国際情勢、各国の考え方を良く認識しながら、このASEMにおいては国連創設後、今日ほど国連改革の機運が高まった時代はないということでは一致していると思う。ASEMの首脳会合としても国連改革を促進させるためのひとつの大事な場であるという点を認識しようということで一致できたと思っている。 【質問】 日本はベトナムの開発協力における最大のパートナーであるが、ODAへの援助額総額は最近では継続的に減少が起こっている。この状況は、日本の対ベトナムODAに影響を与えるか。 【小泉総理】 私はベトナムというのはこれからASEMの中でも中核の国になると思う。現在ベトナムにとって日本は最大の貿易相手国である。また、各国がベトナムに経済援助をしていると思うが、その中でもベトナムにとっては日本が最大の経済援助国であると思う。日本にとり、ODA、経済協力、これが世界の平和と安定を考える上において、日本ができる大事な役割の一つだと考えている。そういう点から、今後日本としてこの経済協力費というものを、日本国民の理解を得ながら、経済協力の重要性を良く考えていかなければならない。だが、財政的な制約はあるが、ベトナムに対する支援、協力というものは、これからも日本は重視していきたい。できるだけ経済協力というものを効率的に考えて、ASEANにおける現在のベトナムの国内改革に取り組む意欲、発展の可能性、将来における影響力ということを考えて、日本とベトナムは益々協力関係を増進していかなければならないと感じている。したがって、私は、財政的制約がある状況においても、ベトナムに対する経済協力については今後も重視していきたいと思っている。 【質問】 日中関係について、7日、総理は中国の温家宝首相と短時間だが会談をされた由だが、その点も踏まえ、11月のAPECで胡錦濤国家主席との会談の見通し、これを含めて今後の日中関係の改善に取り組む決意、見通し如何。 【小泉総理】 日中関係の重要性は、大きくなることはあっても、小さくなることはないと思っている。自分は、3年前に総理大臣に就任以来、中国の目覚ましい経済発展は日本政府として、また日本国民として、脅威と受け止めるべきではない、むしろチャンスである、機会が広がるのである、積極的にこれから日中の交流を拡大していくチャンスと捉えるべきであるということを表明してきた。当時はまだ、中国から日本に対する輸出、日本からとれば、中国製品の輸入がどんどん増え、日本の企業が打撃を受けるという見方が多かった。しかし、3年経ってみて、今や中国のめざましい経済発展によって、中国から入ってくる日本に対する輸入品のみならず、日本から中国へ輸出する品目もずいぶん増えている。貿易額も極めて大きくなっている。3年前に比べても大きくなっているし、10年前の日中貿易と比べると3倍に広がっている。現在でも日本の最大の貿易相手国は米であるが、おそらく来年あたりには日本の最大の貿易相手国は米を抜いて中国になるのではないかと、そう見込まれる状況になっている。それを考えると、日中関係は単に日本と中国の二国間関係のみではない。今回のASEM会合の合間をぬって、温家宝総理とも控えの間で短時間ではあったが、懇談する機会があった。温家宝総理も日中関係は単に、二国間関係にとどまらず、アジアにとっても、ASEMにとっても、また世界にとっても日中関係は需要であるという認識を共有することができた。来月にはチリでAPEC首脳会合が行われる。その後、ラオスでのASEAN+3、日中韓の会合も行われる。こういう場で、日中の間の首脳会合が、お互い都合のいい日程、時間を設定し、会合ができるのではないかと楽しみにしている。自分は今後とも日中関係の重要性を認識し、両国の友好発展のために出来るだけの努力をしていきたいと思っている。 【質問】 日本はミャンマーの友好国にして最大の援助国であり、アウン・サン・スーチー女史が軟禁状態から解放された際に最初に援助を再開したのは日本であったと承知している。日本の対ミャンマー政策がプラスの方向に変化していくこと、また、スーチー女史の解放について、どのような関係があるのか。 【小泉総理】 ミャンマーの国民的和解、民主的プロセスについては今回のASEM会合においても各国から活発な議論が出された。議論というか、ミャンマーの民主化に対する懸念。これが各国から表明された。私は、今回新たにミャンマーがASEM首脳会議に参加する国として承認されたが、まだ民主化が十分ではないという懸念は分かるが、果たしてミャンマーを排除して、それが民主化につながるか、ということは疑問に思っている。むしろ、ミャンマーが新たにASEMに加わり、多くの国からミャンマーにおける国内改革、国民的和解、民主化プロセスについて多くの国が奇異の目を持っている、懸念をもっていることを真剣にミャンマー側が受け止めるべきではないかと。そして、ミャンマーが国際社会の一員として、ミャンマーとしての役割を果たしていきたいという意欲を示す方が、ASEM各国においても、ミャンマーにとってもプラスではないかと思う。日本のミャンマーに対する支援は、人道案件に限られている。そのような観点から、私は、今後も引き続き、ミャンマーに対して、民主化努力を促したいと思うし、今回の会合においても、ミャンマーの代表は各国の懸念を十分真剣に受け止めたと思う。私は、むしろミャンマーを排除するのではなく、迎え入れて、お互い協力をできるような改革を国内で進めていくことがミャンマーにとってもプラスである、ということを十分認識して民主化プロセスに向かってさらなる努力を促したいと思う。そのことが、ASEMにとっても良いことではないかと思う。 【質問】 北朝鮮の核開発問題について、今回のASEM首脳会合では六者会合を通じた平和的解決の方針について支持されたが、実際、北朝鮮は六者会合の再開に応じていない。また、日朝実務者協議が11月中旬に開かれるが、日本国内では経済制裁の議論も高まっている。こうした点をふまえ、経済制裁の扱いも含め、今後北朝鮮問題にどう取り組むか。 【小泉総理】 日本の北朝鮮に対する対応は一貫している。それは、2年前に私が平壌を訪問して金正日氏との間で交わした日朝平壌宣言は、拉致の問題、核の問題、ミサイルの問題、これを総合的、包括的に解決して日朝国交正常化を期す、というものである。そのような点から、まだ拉致の問題は安否不明者も定かではなく、この調査をさらに継続する必要があるし、核の開発の問題についても、国際社会から疑念をもたれている。こういう点については、ちょうど六者会合がもたれたわけだが、六者の会合の場を通じて、北朝鮮側にはたらきかけていくのが有効ではないか。そして日本としても北朝鮮との関係、これは対話と圧力の両方ある。アメリカも北朝鮮との間においては平和的解決を望んでいる、六者の枠組みにおいても、どの国も北朝鮮と平和的解決を望んでいる。そのような観点から、私は、北朝鮮がこの日朝平壌宣言を誠実に履行することが北朝鮮にとってもっともプラスになる、核兵器をもってそれによって得られる利益よりも、核開発を廃棄する、放棄する、これによって得られる利益の方がはるかに大きい、ということを、先の今年の5月の会談でも金正日氏に直接伝えた。この考えに変わりはなく、今後もこうした働きかけに対して北朝鮮が誠意ある対応をするよう、これからも働きかけ続けていきたい。経済制裁、経済制裁、という声が日本国内には強いが、果たして、その経済制裁というものが有効にはたらくかどうか、これは考えなければならない。対話と圧力。経済制裁も一つの手段ではあるが、経済制裁先にありき、というよりも、北朝鮮が、六者協議、あるいは、日朝平壌宣言等の問題について誠意ある対応をとるように、日本としては粘り強く働きかけていきたい。11月中旬には、日朝間に実務者協議が開かれる予定であるが、この場においても、今の基本方針をふまえ、引き続き北朝鮮に働きかけていきたいと思っている。 |