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小泉総理の演説・記者会見等
 

小泉内閣総理大臣記者会見
(イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について)


平成16年12月9日

記者会見を行う小泉総理の写真

小泉総理記者会見[ビデオ版] を押すと動画でご覧いただけます。

【小泉総理冒頭発言】
 本日、政府はイラクでの自衛隊人道復興支援活動を1年間延長することを決定いたしました。このことにつきまして、私は基本的な考えを申し述べたいと思います。
 まず第1に、自衛隊の活動する地域は非戦闘地域でなければならない。現在も、非戦闘地域でありますから、国会における答弁におきましても「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である」という答弁をしてまいりました。
 私は、今後もこの非戦闘地域の状況が続くであろうと判断いたしました。もちろん、予断を許さない厳しい状況であります。
 100 %確実かと言われれば、世の中に100 %ということはありませんから、予断を許さない厳しい状況であるというふうに認識しております。いろいろな状況を考えまして、事態の変化、状況の変化に対しましては適切な措置を講じます。
 そして、現在、イラクのサマーワ地域におきましては、自衛隊諸君の献身的な活動のお陰によりまして、多くの現地の住民から深い感謝と高い評価を与えていただいております。自衛隊諸君の、厳しい状況にもかかわらず、毎日毎日汗を流して、自分たちの活動がイラクの国民のために役立っているんだと、自分たちの使命に対して誇りと自信を持って活躍しております自衛隊の諸君に改めて深い敬意を表したいと思います。
 同時に、イラクの暫定政府、大統領、首相を始め、地元の知事、現地の方々から日本政府に対して自衛隊の人道復興支援活動、是非とも今後も継続してほしいという要請が日本政府に寄せられております。
 今、イラクの国民は自分たちの国を自分たちの手でつくり上げようとすることで懸命であります。苦しい状況であります。このイラクに安定した民主的な政権をつくるために、このイラクの暫定政府に協力している人たちに対して、テロ行為も各地で起こっております。何とかイラクに安定した政府をつくらせない、イラクをテロの根拠地にしたいという勢力と懸命に戦っております。
 こういうことを考えますと、来年1月、イラクにおいては自分たちの国は自分たちでつくるんだという議会の選挙が予定されております。この自分たちの政府をつくろう、民主的な政権をつくろうとして、1月の選挙実施に向けてイラクの政府も、イラクの国民も立ち上がっております。このときに、果たして多くのイラクの国民から、政府から、地元の方々から、自衛隊活動を継続してくれという要請を断るのは妥当ではないと思っております。
 テロに屈せず、イラクの政府は自分たちでつくるんだという、そういうイラクの方々の意欲を後押ししたいと、手助けしたいということから、私は自衛隊の活動が必要であろうと。今までも自衛隊諸君の努力によって、イラクの住民から高い評価を受けて、将来にわたってイラクが一番苦しいときに、日本はこのイラクの国づくりに手を差し伸べてくれたなと、必要な支援をしてくれたなと、評価を得られるような活動を今後も継続していくのが日本の責任だと思っております。
 そして、私は就任以来、日本の外交の基本は、日米同盟と国際協調だと、これを両立させることが、日本が平和のうちに発展・繁栄する一番な方針であるということを述べてまいりました。それを、今、具体的に実施に移していると。
 開戦の経緯においては、アメリカやイギリスとフランスやドイツと意見を異にいたしました。しかし、現在、フランスもドイツも、米軍がイラクから撤退しろとは一言も言っておりません。むしろ、米軍の存在が必要だと言っております。そういう状況から、開戦の経緯はともかく、国連ではフランスもドイツも含めて、全会一致で国際社会がイラクに安定した民主的な政権をつくるために、加盟国に対して、それぞれの国にふさわしい支援を要請してきております。アメリカも大きな犠牲を払いながら、イラクに安定した自主的な政権をつくろうとしている。
 約三十か国の国々が今、イラクに部隊を派遣して、アメリカやイギリスとともに、治安活動始め、イラクの暫定政府と協力しながら、安定した国づくりに努力しております。
 日本として、アメリカ、イギリスとは活動は一線を画しておりますが、日本にふさわしい支援活動をできるだけするのが、同盟国の日本として、また国際協調が大事だと思う国として、必要ではないかと。日本はよその国とは違った活動をしております。日本は、治安活動には参加しておりません。武力行使もしておりません。イラクの人道支援、復興支援に自衛隊の諸君に汗を流していただいている。各国とは違う支援を行う。それは日本にふさわしい支援をしているからであります。
 でき得れば、自衛隊の諸君だけでなく、民間の方々にも、民間の企業にも、イラクの復興支援活動をいろいろやっていただける状況ならいいんですが、今そういう状況ではありません。自衛隊の活動は日本の支援の一部であります。しかし、現在の厳しい状況においては、自衛隊の諸君による人的支援と、そして政府開発援助ODAによる資金援助、物資援助、こういう日本にふさわしい支援をしていくのが、国際社会の一員としての日本の責務であり、日本の発展と繁栄というものは、世界の平和と安定の中にあるということを考えるならば、この日米同盟と国際協調の方針を具体的に実施に移している今の日本の支援策は、日本の国益にかなうと確信しております。
 どうか、国民の皆様の御理解と御協力を、心からお願い申し上げます。


【質疑応答】

【質問】 総理にお聞きします。総理自身おっしゃっているように、サマーワの状況は、基本的には安定していると言っても、先行き楽観はできません。それと、既にイラクで活動を終えたとして撤退を表明している国もあります。そうした中で、今回1年間の延長を決定されたわけですけれども、延長しない、あるいは延長する場合にも1年に満たない、イラクの民主化プロセスに合わせて3か月とか6か月の短期間の延長とか、そういう選択肢はご検討されたんでしょうか。

【小泉総理】 さまざまな選択肢を検討いたしました。しかし、今、申し上げましたように、1年間の延長が妥当であろうと。1月には、イラクで国民議会の選挙が行われます。そして、来年度中には憲法による議会選挙も行われます。来年12月には、いわゆる多国籍軍の任務、イラクが民主的な政府を自分たちでつくろうという、そういう大事な1年間であります。そういうことを勘案しながら、1年間の延長が妥当であろうと判断いたしました。

【質問】 現地隊員の安全確保についてお伺いします。総理も今、サマーワは予断を許さない、厳しい状況だとおっしゃいましたが、こうした中で、現地の隊員の安全は間違いなく確保できるんでしょうか。

【小泉総理】 この自衛隊員の活動に対する安全確保につきましては、十分な対策、配慮が必要だと思っております。
 先日、サマーワの現地を訪問されました大野防衛庁長官、そして自民党の武部幹事長、公明党の冬柴幹事長の報告を聞きましたけれども、自衛隊の諸君は宿営地内だけの活動ではないと。ムサンナ州、これは日本の九州ぐらいの面積であると聞いておりますが、その九州ぐらいの面積の中に人口は50万人ぐらいいると聞いております。そして、自衛隊の諸君が宿営地外に出て、医療活動あるいは給水活動、公共施設の復旧活動に出かけていくと、日の丸の旗を付けた車に乗ると現地の住民が手を振って歓迎してくれるそうであります。病院と病床におきましては、イラク人の治安部隊が警護してくれるという状況であると報告を受けております。
 そして、現地の方々の話によりますと、大体よそ者がこの地域に入ってくるとわかると。自分たちのできること、自衛隊に引き続き駐留して継続して活動してもらいたいと、自分たちも安全面に対しては十分協力するという報告を受けております。
 そういうことから考えまして、私は安全面には引き続き十分な配慮をいたしますが、今までの1年間の活動におきましても、他の地域から比べれば、比較的安定していると。過去、今までイラク全土におきまして、多国籍軍の中では1,000 名以上の死者が出ていると聞いておりますが、サマーワの地域におきましては、今までオランダ軍の死者は2名だと聞いております。自衛隊の諸君も自らの身の安全のために、機関銃あるいはピストル等携行しておりますが、今まで町中に出ても復興支援活動に出ても、一度も一発も弾丸を発射したことがない。一回も銃を構えたことがないという報告を受けております。そういうことから、私はサマーワの状況は比較的安定しているのではないかと思っております。

【質問】 総理は今度の決断に当たり、撤退のケースというのは想定されたのかどうか、想定されているならば、具体的にはどういったケースなのか。
 それから、今度の基本計画の改定に4つの撤退を検討する条件が書き込まれていますけれども、これを書き込まれた理由はなぜなのか、お願いします。

【小泉総理】 これはさまざまな状況を検討いたしました。そして、自衛隊の活動は当然イラク特措法に基づいております。活動地域が非戦闘地域でなくなれば、自衛隊は撤収いたします。
 そして、現在でも適切な措置を将来講ずると規定をしておりますが、それは現地の復興の進展状況、またはイラクにおける政治プロセスの進展状況、現地の治安状況、多国籍軍の活動状況など、総合的によく勘案して、それに対応できるような適切な措置を講じたいと。その状況に応じて、退避したり、一部活動を停止したり、臨機応変に対処するような対応は考えております。

【質問】 総理は、今、派遣延長の理由として日米同盟と国際協調の推進を挙げましたけれども、今のイラクの置かれている状況で、派遣延長を決断するに至って迷いや苦労などはありましたでしょうか。

【小泉総理】 私は決断をする際には、できるだけ多くの方々の意見を聞くことにしております。反対する意見、賛成する意見いろいろありますが、そういう意見を十分聞きながら判断いたしますが、判断した後には迷いはありません。判断する際には、率直に言って、深く考え、あれこれ考えることは多いわけでありますが、いざ「こうだ」と決めた後には迷いはございません。
 今回もイラク人の復興にかける意欲、これを支援しなければならない、イラクに安定した政権をつくることは、日本の国家利益に通ずると。そして、日本が世界各国とともに汗を流して他の国の国づくりに手を差し伸べる、これは憲法前文にある「国際社会の中で名誉ある地位を占めたい」と、この精神に合致するのではないかと。
 そういう観点から、国際協調と、そして日米同盟、今、日本の平和と独立というのは、日本一国だけで確保できるわけではありません。日本の近隣諸国の状況、将来の状況を考えると、日米安保条約、この重要性を認識しております。アメリカも苦しいと思います。同盟国として、やはりお互い協力しながら信頼関係を醸成していくことが日本の平和と安定のためにも必要だと。日米同盟、国際協調、これが日本の発展、繁栄を確保する道だということについては、大方の皆さんは賛成してくれております。それを具体的に実施している。これが今回の私の決断だと。迷いはございません。

【質問】 総理おっしゃるように、イラクへの自衛隊派遣は、同盟国のアメリカに対して、大きなモラルサポートになっている面が大きいんだと思います。
 今回の1年の延長を受けて、アメリカのイラク政策に対して、何か助言あるいは厳しく注文を付けていくお考えはおありですか。

【小泉総理】 私は、ブッシュ大統領との会談におきまして、常に私の考え、日本政府の考えを述べております。大事なことは国際協調だと。多くの国がアメリカの支援を要請していると。中東和平を含めてアフガンもその他の地域においても、アメリカの協力を求めております。アメリカの力、これは非常に大きいということは世界各国認めております。
 アメリカを孤立させてはいけないと思っております。アメリカを世界とともに協力するような体制をつくる、それが国際協調だと思います。日本はアメリカとともに国際協調を築く、役割も担っておりますし、アメリカに対しても国際協調体制を築く重要性は常にブッシュ大統領との会談で申し上げております。
 だからこそ、アメリカは国連において国際協調体制、イラクの国づくりに対して、全会一致の支持を取りつけてイラクの国づくりに努力しようという体制になってきたと。
 ドイツにおいても、今日、これからシュレーダー首相と会談する予定でございますが、ドイツもアメリカと協力しながらテロとの戦いに立ち向かっていくと。イラクには部隊を派遣しておりませんが、日本と協力してイラクの治安部隊の訓練、教育に協力していこうという方向で、今、話が進んでおります。ドイツも、アフガンに対しては部隊を送って、アメリカとともにアフガンにおける安定した政権づくりに協力しております。
 私は、アメリカが今後とも国際協調に対するかじ取りを、日本としても役割を果たしていく、これが大事だと思っております。

【質問】 やはり、最悪の事態をも想定するのが政治の要諦だと思いますけれども、1年前より確実にサマーワ周辺の治安は悪化しております。
 もしも自衛隊員の方に不測の事態が発生した場合には、総理の政治責任はどうお考えでいらっしゃいますか。

【小泉総理】 自衛隊の諸君が安全に活動する、これが私の責任だと思っております。だからこそ、自衛隊の活動に対しましては、安全面に十分配慮して、必要な措置に対してはあらゆる努力を惜しまない。
 どのような安全対策を実施しているかということについては、いちいち言うということに対しては安全面にかえって支障が出ると思いますので、具体的なことは差し控えたいと思います。自衛隊諸君が安全に活動できる、その措置は万全を尽くすのが私の責任だと思っております。

【質問】 総理は、先ほど日本は人道復興支援活動としてほかの国とは一線を画した活動を行っていくというふうにおっしゃいました。しかしながら、自衛隊は航空自衛隊が安全確保、支援活動ということで、武装した米兵の輸送なども一緒に行っております。こういうことも同時に延長されるわけですけれども、しかし、こうした活動の実態はどこの部隊をどれだけ運んでいるのかなど明らかにされていません。
 延長されるのであれば、安全確保、支援活動としてどういう活動を行ってきているのか、具体的に明らかにされるべきだと思うんですが、それはいかがでしょうか。

【小泉総理】 安全確保活動でありますが、航空自衛隊による物資の輸送はしております。しかし、どの部隊、どのような活動をしているかというのはその部隊の安全の面もあります。公表できない部分もあります。しかし、武器・弾薬は運ばないという方針に変わりはありません。

【質問】 来年12月というのは、派遣期間が終了すると同時に政治プロセスの終了も予定されています。その時期を撤退の目途とお考えなんでしょうか。

【小泉総理】 いつ撤退するかというのは、その期間内、よく状況を見ながら判断しなければならないと思っております。
 できれば、自衛隊の復興支援活動によらなくても、民間企業なり民間人が行ける状況が早く来れば、それに越したことはない。しかし、その点につきましては、情勢をよく考えながら適切に判断しなければならない問題だと思っております。

【質問】 そうしますと、イラクの政治プロセスの成り行きによっては再延長ということも選択肢にはあるんでしょうか。

【小泉総理】 これは、今、1年延長するという中で考えているのであって、将来、よく状況を見極めながら考えなければならない問題だと思っております。