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日仏新パートナーシップ宣言
−国際社会の平和と安定及び繁栄のために−


 2005年3月27日、小泉純一郎日本国内閣総理大臣とジャック・シラク・フランス共和国大統領との間で行われた首脳会談において、日仏関係に新たな弾みをつけることが決定された。
 日本とフランスは、1996年11月18日に署名された20項目からなる行動計画によりあらゆる分野で既に達成された著しい進展を基盤とし、両国の友好信頼関係をより一層深め、特別なパートナーとして両国関係を発展させる意思をここに厳かに再確認する。両首脳は、日仏両国が、国際場裡において大きな役割及び責任を有していることを再確認し、両国間の成熟した関係が、両国民の平和及び繁栄のみならず、アジア、欧州、更には国際社会全体の平和と安定及び繁栄のために大きく貢献することを確信する。
 両首脳は、相互理解の促進を目的として、両国関係の強化、国際社会の平和と安定、及び、国際社会の発展と繁栄のための協力の推進のため、両国政府が中長期的に緊密な協力を行っていくに際しての原則を決定した。

日仏関係の枠組みの強化

1.ハイレベルの対話の強化
 両首脳は、両国が安全保障、経済及び両国民の交流の分野で相互理解を深め、一層効果的に協力を進めていくため、定期的な首脳会談を行っていくとともに、両国首脳の外交補佐官レベルの対話をはじめとする、外交・安全保障問題及び防衛問題に関するハイレベルの戦略的対話を一層拡充・強化することで一致した。

2.交流の発展に資する枠組みの創設
 民間分野での多数の取組や、両国企業の活発な活動、投資及び提携が、日仏両国の交流を過去に例を見ないほど活発化させ、日仏両国民を結びつけている。そのような状況の下で、両国民は、長年に亘り、相互に関心を有し、ともに創造し行動する能力を示しており、これらが一層進展することが期待される。2005年2月25日に日仏社会保障協定が署名されたことは、両国のビジネス界がこの方向に向かう力強いシグナルであり、今後の日仏租税協定の改訂もこうした動きに貢献するであろう。
 パリ日本文化会館の開館が示すような日仏間の人物交流、特に文化及び学術面での交流を大幅に増大させるため、両首脳は、日仏対話フォーラムにおける両国の有識者間での有益な議論をも踏まえ、日仏の青少年が相手国で研究や研修を行うことを可能にする公的な及び民間のイニシアティブを奨励する。日仏共同博士課程、日仏青年交流会の経験あるいは地方の姉妹都市提携の成果及び観光促進のための活動は、相手国言語の教育・学習の促進及び学生や青少年の交流の発展に寄与し得るであろう。

3.持続可能な開発に寄与する日仏パートナーシップの発展
 両首脳は、グローバル化の恩恵が開発途上国を含む国際社会全体にもたらされるよう、持続可能な開発の実現に向け、緊密に協力していく決意を再確認する。
 両首脳は、日仏間の双方向投資の進展を歓迎するとともに、日仏のパートナーシップ、特に、ライフサイエンス・情報通信技術・ナノテクノロジー・宇宙等の分野をはじめとした科学技術協力を積極的に推進することを確認した。
 両首脳は、また、環境問題(温暖化対策を含む)の重要性を強調し、共通の関心分野において緊密に協力していくことを確認した。その中で、両国は、地球温暖化対策、3R(発生抑制、再使用、再生利用)、防災(特に津波対策)、生物多様性、水と保健衛生等、両国が多くの知見を有する分野において協力していく。
 さらに両首脳は、エネルギー・環境(特に原子力、核燃料サイクル)の分野においても協力を積極的に推進することを確認した。

国際社会の平和と安定のための協力

4.改革された多国間システムの下での協力
 両首脳は、危機の予防・解決のための優れた手段として多国間主義を志向していることを確認するとともに、国連が危機の予防・解決のため中心的役割を担っており、その任務を効果的・効率的に遂行し続けるために強化される必要があることを確認した。
 安全保障理事会が今日の現実をより良く反映するためには、先進国及び開発途上国を新たなメンバーとする形で、常任・非常任理事国双方を拡大しなければならない。フランスは、この中で、安保理常任理事国になるとの日本国政府の希望への支持を再確認する。
 両国は、2005年9月の首脳会議までに安保理改革に関する決定が行われるよう奨励している国連事務総長のアプローチを支持し、その実現のために協力する。この首脳会議の準備にあたって、両国は、平和、安全保障、開発、環境、人権に関する国連の活動に新たな推進力を与え、これらの分野における国連の中心的役割を強固なものとするために必要な改革を目指して努力を継続することを決意した。
 両国は、安保理において討議されるすべての問題について協議を行っていく。

5.国際社会に対する脅威への対応
 両首脳は、国際社会の平和と安定の実現のため、世界各地での紛争の解決及び平和の定着に向けて、両国が国連等の国際場裡において緊密に協力していくことを確認した。
 両首脳は、国際テロ、大量破壊兵器の拡散への対応が喫緊の課題であり、両国が、国内の治安を担当する当局間の協力を強化するとともに、国連、G8といった多国間の枠組みにおいて緊密に協力していくことで一致した。

6.地域的安定に向けた取組
 欧州における統合の歩みは不可逆的なものであり、アジアにおける地域協力も着実に進展している。両首脳は、両国がアジア及び欧州において積極的な役割を果たしていることを改めて歓迎し、両地域の安定に向けたそれぞれの取組への相互の支持を確認した。
 日本は、東アジア地域の安全保障環境についての分析を説明し、その中で、同地域においては多大な不安定さが残っているとの認識を示した。フランスは、同地域の平和と持続的安定のために日本とともに積極的に貢献していくとの意思を表明した。その中で、両首脳は、安全保障環境をはじめとする同地域における情勢の変化をフォローし、これについての共通の分析を行う観点から、両国間の強化された戦略的対話が有する大きな意義を強調した。北朝鮮に関しては特に、両首脳は、同国によるすべての核計画の完全廃棄及び六者会合の早期再開が重要であるとの点で一致した。また、フランスは、拉致問題の解決に向けた日本の努力に対し支持を表明した。
 両首脳は同時に、中東和平プロセス、イラクの安定、イランと国際社会との信頼関係の構築、アフガニスタンの復興をはじめとする中東地域における課題について、両国が果たしている役割を改めて確認した。
 両首脳は、レバノンの人々が希求する、主権を有し、自由で民主的なレバノンに関する安保理決議1559の完全な実施を求める。両首脳は、シリアの大統領が、この決議の実施のため、シリアの軍及び情報機関のレバノンからの完全撤退を約束したことに留意し、撤退が遅滞なく現実に実施されることを期待する。さらに両首脳は、レバノンにおいて自由かつ公正な選挙が外国からの干渉なしに実施されることの重要性を強調する。
 両首脳は、世界の安定と平和のために極めて重要である中東地域において、両国が一層緊密に連携・協調していくことを確認した。
 両首脳は、キルギスにおける情勢の変化を注視し、平和的かつ民主的に事態が解決されることを求める。

国際社会の発展及び繁栄に向けた協力

7.持続可能な開発及び貧困対策の推進
 日仏両国は、G8、国連開発資金会議、持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)等での議論の成果に基づき、ミレニアム開発目標(MDGs)の効果的実施のための方策、手段について協議を行う。
 両国は、経済、社会及び地球環境分野におけるガバナンスの改善、人間の安全保障の推進、並びに、開発資金のための革新的手段に関する検討に係る提案についても意見交換を行う。

8.アフリカ問題への共同の取組
 両首脳は、「アフリカ問題の解決なくして世界の安定と繁栄はなし」との認識を再確認する。両首脳は、、アフリカの地域統合(アフリカ連合(AU)及び地域機関)やアフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)の進展をはじめとして、アフリカ諸国自身が、オーナーシップに基づく開発や紛争の予防・解決につき、積極的なイニシアティブを発揮していることを歓迎する。また、両首脳は、G8、アフリカ開発に関する東京会議(TICAD)等の国際場裡において緊密に協調することを確認した。
 両首脳は、成長を通じた貧困削減や平和の定着を達成する上で特に重要な意味を持つ農業、貿易・投資、民間セクターの開発等の分野におけるアフリカ諸国の努力を積極的に支援する。両首脳はさらに、安全な水の確保、感染症対策(エイズ等)、熱帯林保護等の分野においても協力する。また両首脳は、これらの支援について新興国が関与することを慫慂する。

9.グローバル化への対応
 両首脳は、世界貿易機関(WTO)の下での多角的貿易体制の強化のためにドーハ・ラウンド多角的交渉(ドーハ開発ラウンド)の成功が重要であることを再確認した。両国は、農業の多面的機能、有限資源の合理的利用、貿易の環境的側面を考慮しつつ、このラウンドの早期妥結のために一層努力する。
 両国は、文化的多様性の重要性について認識し、ユネスコにおいて交渉中の文化的多様性条約の成功裏の策定に向けて協力していくことで一致した。
 さらに、両国は、特にアジア地域における模倣品・海賊版対策をはじめとした知的財産の保護に関する対策を推進していくことの重要性について、意見の一致を見た。