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小泉総理の演説・記者会見等
 

日・EU共同記者会見

平成18年4月24日

共同記者会見の写真


【小泉総理冒頭発言】

今日は、バローゾEU委員長、そしてシュッセル議長をお迎えして、私にとっては6度目のEUとの定期協議を行いました。日本とEUというのは、基本的価値を共有しておりますし、国際社会におきましても責任あるパートナーであります。

これまでの経験から、日本とEU関係においては、3点が重要であるとシュッセル首相とバローゾ委員長に申し上げました。

まず第1は、目に見える協力、原子力分野の協定の署名と、税関分野の協定の実質合意、これらの分野での協力を強化するものであって、これを歓迎したいと思います。

第2は、戦略的対話の重要性です。この戦略的対話を更に強化していきたいと思っております。

第3点は、人の交流、昨年の日本とEUとの市民交流年を受けて、これからもますます人の交流を拡大していきたいと思います。

特に日本とEUの若者、日本としてはEUの若者を毎年4,000 人を目標に受け入れたいと思います。

更に国際的な政治問題につきまして、イランのウラン濃縮技術獲得宣言、これは安保理議長声明に反して極めて遺憾であると、今後、外交的解決に向けて緊密に協力することで意見が一致いたしました。

また、イラクの問題についてですが、22日、イラク国民議会は、大統領、首相ほかを選出しました。イラク人自身が自らの力で、自らの政府をつくり上げるという、この新政権発足に向けた大きな進展であると思います。安定した新政府の早期発足を期待しておりますし、これからもできるだけ日本とEUはこのイラクの安定した政府づくり、復興支援に協力していきたいと思っております。

経済面におきましては、構造改革の継続を日本はしておりますし、お互いが投資促進の環境を整備していこうということを確認しました。加盟国との間の社会保障協定、租税条約交渉の進展を歓迎しております。また、WTO交渉でより強い協力関係を今後もつくっていきたいと思います。

日本とEUは、地球規模の問題に特に力を入れてともに取り組んでまいりましたし、これからも取り組んでまいります。地球環境、更にエネルギー、感染症、知的財産保護等、さまざまな分野で協力すべき課題がありますし、今後とも対話と協力を進めていきたいということで一致いたしました。

以上でございます。


【シュッセル首相冒頭発言】

ありがとうございます、小泉総理。これが6回目の日・EU定期首脳協議になりました。総理がヨーロッパ情勢に関する協議に関しては、最もベテランでいらっしゃるんではないかと思います。すべての首相について、そういったことは言えないと思います。

6回もこのような日本との首脳協議に臨んだものは少ないと思いますけれども、しかしながらとても重要な首脳協議であったと思っております。お互い対する敬意の下、そして友好の中、そしてお互いからいろいろなことを学びたいという好奇心の中で議論が進められたと思います。学習に関しては国境などないと思っております。こういった言い方を日本の方たちはされていると思いますけれども、まさに私たちは今回、お互いに関連し、そしてときとしては重要な議題について話し合いました。

特に2つの議題、1つが安全保障の話でありますけれども、これは私たち国民にとっての広い意味での安全保障。もう一つが、いかにパートナーシップを強化できるかという2つについてを中心に話をしました。

安全保障に関しては、幅広く話し合いました。例えば感染症、HIV、そして鳥インフルエンザなどの話もしました。その中で、情報共有により効果的な封じ込めが必要であるという話をしました。

もう一つ、個人の安全、例えば対テロ条約、また情報の共有、そしてまた核兵器の不拡散といったような議題でありますけれども、私たちは特にそういった中でイランの話を行いました。私たちも同じ考え、同じ戦略を持っております。いかにこのような核の拡散、核兵器の拡散を封じ込めるかと。そして、イランに対しては、平和的に原子力エネルギーを利用する権利を認める一方で、核兵器製造につながるような濃縮活動をやめさせられるかという課題を抱えております。

もう一つ、エネルギー安全保障の話をしました。これは今後10年にわたって最も緊急な問題ではないかと思います。

特に外交政策においてはそうであります。一番大きな問題を抱えている地域、最も紛争が多い地域というのは、エネルギーの問題のあるところであります。エネルギーを生産している国であります。エネルギー効率、そういった中で世界で最も重要な課題になっていると思います。環境の問題、再生可能エネルギーなどなど議論をしました。

総理に申し上げましたけれども、日本は私たちよりは先へ行っておりますけれども、EUもそうでありますけれども、新しいエネルギー政策の戦略を持っております。ですから、私たちもそういった分野においても協力ができると思っております。

もう一つ、イラクの問題も議論しました。新しく選ばれたこの体制、国民を支援し、そしてイラクの人々の中で、自立を図る人たちを支援していきたいと思っております。また、中東和平プロセスについても話しました。

経済的なパートナーシップに関してでありますけれども、日本もEUもいずれも最も経済力を持つトップ3の国、地域のうちの2つであります。アメリカだけがその先を行っておりますけれども、しかし、こういった経済基盤を基に協力できると思います。欧州委員会委員長の方から、その点をもう少し詳しく話してもらえればと思います。


【バローゾ委員長冒頭発言】

ありがとうございます。シュッセル首相、いよいよ私も小泉総理と御一緒できることに大変感謝申し上げております。

総理は、個人的にもEUとの関係強化に貢献されていると思います。

小泉総理からも話しがありましたように、私たちは共通の価値観を持っております。自由民主主義、そしてまた多国間での解決策を見出すという共通価値観を持っております。 また、それだけではありませんで、私たちは共通の問題、課題も抱えております。私たちは、現在、グローバル化の影響を受けております。競争の面での影響を受けております。ほかの地域との競争が強化されております。激しくなっております。いずれも高齢化を経験しております。

そして、私たちは、気候変動の問題にも直面しております。そういった分野で緊密な協力を進めております。日・EUはいずれも持続可能な開発、そして環境保全に強いコミットメントを持っております。

このように同じ問題を抱え、同じ課題を持ち、かつ共通の価値観を抱くのであれば、もっとともにできることがあるんではないかと思っております。

そして、私たちは既にかなりのことをしておりますが、まだ協力ができる分野が経済関係ではないかと思っております。日・EUの加盟国は一緒に併せますと、世界経済の40%を占めております。

このことから、いかにこの経済関係が重大かがわかると思います。今、日本政府が行った改革のおかげで、この先もっと緊密な経済関係が持てる、そういった見通しが立ったと思います。

日本は回復しています。日本は今、経済回復、経済発展の徴候が表われていると思います。それだけに、私たちは規制に関する対話を通じ、あらゆる障壁を取り除くべきではないかと思っています。双方に対する海外からの投資を促進するため障壁を取り除き、そして企業同士が一緒になって事業ができるように考えたいと思います。大手のみならず中小もそうであります。これは、日本の市場、日本の企業が、例えばヨーロッパの市場に関心があるという、いずれのケースにおいても、一緒にできることがたくさんあるのではないかと思っております。

それだけに、小泉総理がそのような面で協力してくださることを感謝申し上げたいと思いますし、日本とはこの方向に向けて更に協力をし、投資を促進し、貿易を促進し、そしてさまざまな問題に取り組んでいければと思っております。

総理、またシュッセル首相がおっしゃった問題に、ともに取り組んでいければと思います。

ありがとうございました。


【質疑応答】

【質問】 安全保障問題について、総理にお尋ねいたします。協議の中では、イランの核開発問題について、緊密な協力で一致したと先ほど総理はおっしゃいましたけれども、どのような具体的な協力が可能だとお考えでいらっしゃいますでしょうか。

それから、日本にとってはEUによる中国への武器輸出解禁問題も安全保障問題だと思いますけれども、これについて協議の中ではどのような話し合いが行われたのでしょうか。

【小泉総理】 イランの問題についてですが、これは外交的な解決これを目指してお互い協力することで一致いたしましたけれども、なかなか難しいということでも認識は共通していると思います。

特に、P5、アメリカ、ロシア、中国等との対応、G8の中での対応は違いますから、そういうことの違いは承知しているけれども、この問題については日本としてはEUの努力を高く評価しておりますし、これからも平和的、外交的解決を目指していきたいという認識を共有できたと思います。

更に、中国の問題につきましても、私からは対中武器禁輸解除の問題について、懸念を表明いたしました。この問題については、EUもよく認識していると思います。


【質問】 シュッセル首相、ヨーロッパは日本の投資環境を改善してほしいと言われましたけれども、経済協力の分野で具体的にどういった話し合いがなされたんでしょうか。

【シュッセル首相】 まず、数字を念頭に置いていただきたいと思います。海外投資の数字、貿易に関する数字を見ますと、いずれもすばらしいものがあると思います。特に海外直接投資、ヨーロッパは毎年50億ドル以上投資しております。日本はもっとヨーロッパに対し投資をしております。ですから、日本が投資している地域でヨーロッパ以上のところはありません。

今夜、小泉総理からは、現在海外投資が脅威とみなされているイメージを払拭するようにと言われたと思います。ポルトガルなどヨーロッパの国々ですね。こういったところが、直接海外からの投資を誘致できれば競争力につながるという側面があると思います。ですから、是非双方に対し、双方が投資することを促進したいと思います。貿易もそうであります。

現在、1,500億ユーロが毎年、双方において貿易取引額として計上されております。日本の方が高いんですけれども、私たちはこのバランスを何とか取り戻そうと思っております。しかし、これは大きな問題ではなく、大きなチャンスであると思っております。ですから、私たちとしては、官僚制がもたらすようないろいろな障壁を除去し、そして企業がもっと自由に動ける、そしてお互い助け合えるような、1か所でもって、例えば投資家がすべての手続をできるようにし、官僚的障壁を取り払うという話をしましたし、また観光といった形でももっと経済発展を促進できればと思っております。総理も、まさに観光を重視されているというお話をされました。

もう一つ、若い世代の交流が重要であると思います。若い人たち、高校生、大学生の交流も大事であります。私たちは、科学分野においても、重要な交流があると思っております。例えば、ITERが重要なものであります。日本からも、国際熱核融合実験炉のすばらしい協力をいただいております。ですから、こういった目に見える結果が出てきていると思います。


【質問】 ここ50年、欧州の統合は大いに前進してきました。しかし、東アジアの統合はまだ第一歩にもなっていません。ですから、バローゾ委員長には、EUから日本に対して東アジアの統合を加速するためにどういったアドバイスをできるのか。

それから、小泉総理にも同じことを伺いたいと思います。日本は、ヨーロッパの統合の経験から、どういった教訓を学ぶことができるんでしょうか。

【バローゾ委員長】 まず、私どもはだれにも講話をたれることはしたくないと思います。それぞれ条件があるわけで、それぞれのケースは違うわけですから、それを尊重しなければいけない。

さて、明確にしておきたいのは、欧州連合、欧州の統合は大いに成功してきたということです。来年は、この統合を始めて、つまりローマ条約の50周年を迎えます。この50年間に何を達成してきたのかを考えますと、欧州共同体は、まさに戦後に生まれたわけです。旧敵国同士の若い都市で、そして私どもの経済をまとめて、域内市場をつくるということをやってきたわけです。最初は6か国でしたけれども、今や25か国になっております。更に近々27か国の連合になります。そして、およそ5億の人口を擁することになります。これができたのも、政治的にビジョンがあったからです。平和に基づいたビジョン、そしてそれを進めることによって、貿易への障壁を除き、そして漸進的に域内市場をつくってきた、サービスのための、そして資本のための市場、または財の市場をつくってきた。そして、勿論人材の市場を育成してきました。

ですから、ヨーロッパの経験は、いろいろと学ぶに値すると思いますけれども、それぞれの国、世界の異なった地域が、それぞれのやり方で私どものやり方を学んでいただくということで、お互いの経験から学ぶべきだと思っています。

【小泉総理】 東アジア共同体についてですが、これは、EUに学ぶべき点も将来たくさん出てくると思いますが、まず40年ぐらい前ですか、我々がまだ若い学生時代にECという議論がありました。そのとき、まさか今日のEUが実現するとは私は想像していませんでした。今、既にユーロという通貨も新しく使われております。

そういうところから見ますと、今、東アジア共同体は無理だと悲観的な見方をする方がたくさんいるのは承知しておりますけれども、ASEANの共同体意識も随分進んでまいりました。ASEANプラス3、日中韓、この定期的な協議も毎年行われております。昨年は、東アジアサミット、いわゆる東アジア共同体、将来の共同体を視野に入れながら、緊密な協力を図っていこうということでありますので、今は悲観的な見方があると思いますけれども、現実にEUが40年前、30年前、まず今日のEUは無理だろうと思われたことが現実に実現しているわけです。そういうことを考えると、我々も今は困難であろうとも、将来、未来を考えて東アジア共同体を展望しながら、緊密な協力をしていくということは、極めて意義深いと思っております。