本日は、(東日本)大震災発生から1か月ということで、この後6時前から総理による皆さんの発表、それから記者会見ございますが、それに先立ちまして2点、重要な皆さんのご関心の高い件について、私(官房長官)からご報告をさせていただきます。
まずは、原子力発電所周辺地域の避難のあり方の見直しについてでございます。
この間、周辺地域の放射線量等に関する情報が順次積み重なってまいりました。そうしたデータの分析に基づいて、周辺地域の避難について新たな決定をいたしたところでございます。
なお、当該地域の皆さんに予め申し上げたいと思いますが、今回の方針の決定は、今すぐに緊急の避難、行動をお願いをするものではございません。長期に渡って周辺地域におられることの健康上のリスクを考えて方針を固めたものでございまして、現在、福島県及び関係する市町村と具体的な相談をいたしておりまして、具体的にどういう段取りで、どういう対応をとっていただくのかということについては、安全性を前提としつつ、地域の事情を踏まえ、自治体の皆さんとのご相談に基づいて、具体的に住民の皆さんにはご指示をお願いさせていただきますので、そのことを予め申し上げたいというふうに思います。
まず、「計画的避難区域」を新たに設定することといたしました。
これは、半径20kmより外側の区域の中で、気象条件や地理的条件によって、発電所から放出された放射性物質の累積が、局所的に高くなっている、積算の放射線量が高くなっている地域がございます。
こうした地域に半年、1年と居住を続けた場合には、積算の放射線量が更に高水準になる恐れがあります。そこで、こうした地域を新たに「計画的避難区域」といたします。その基準は、国際放射線防護委員会(ICRD)と国際原子力機関(IAEA)の緊急時被ばく状況おける放射線防護の基準値、年間20~100ミリシーベルトという基準値を考慮して、事故発生から1年以内に積算放射線量が20ミリシーベルトに達する恐れがある、こうした地域を指定をしたいと考えております。
具体的には、福島第1原子力発電所から20km以上離れた地域のうち、葛尾村、浪江町、飯舘村、そして川俣町の一部、南相馬市の一部が該当をいたします。この区域の住民の皆さんなどには大変なご苦労をおかけすることになりますが、別の場所に計画的に避難してもらうことが求められます。
計画避難は、概ね一か月を目途に実行されることが望ましいと考えておりますが、最初に申し上げましたとおり、当該市町村そして福島県と密接な連携をとって、できるだけ混乱等の少ないような段取り、やり方を、今、それぞれの自治体ごとに詰めさせていただいておりますので、繰り返しになりますが、そうした自治体の皆さんとの調整を踏まえたご指示をお願いをさせていただきますので、今すぐ直ちに行動に移る必要はないということをご理解を下さい。
次に、現在屋内退避区域となっている半径20kmから30kmの区域について、そのうち只今の「計画的避難区域」に該当しない地域についてでございますが、発電所の事故の状況がまだ最終的に安定をしているものではありません。
最初の数日間あるいは1週間程度の状況と比べましては、相対的には安定の方向に向かっているというふうに思いますが、今後、なお状況が悪化をする可能性については否定できません。その際には、緊急的に屋内退避を頂いたり、あるいは避難をしていただくことが求められ可能性が否定できない状況にございます。したがいまして、現在の屋内退避区域のうち、先ほど申し上げた「計画的避難区域」に該当しない区域については、「緊急時避難準備区域」といたします。
具体的には、福島第1原子力発電所から20km以上30km以内の、広野町、楢葉町、川内村、そして田村市の一部、南相馬市の一部が該当をいたします。この区域の皆さんには、常に緊急事態が生じたときには、屋内に退避をしていただいたり、あるいは避難をしていただく、その準備をしておいていただくことが必要でございます。
したがいまして、特にお子さん、妊婦さん、要介護者、入院患者の方などは、この区域に入らないようにすることが、引き続き求められます。また、原則的には、緊急の事態が生じた場合には、屋内退避そして自力での避難ができるようにされることが求められます。
そうした意味では、緊急時において自力での避難等が困難である等の状況をお持ちの皆さんには、是非、予め避難をされていただくことが望ましい。こういった状況は変わってはおりません。
なお、自主的にこうした地域から避難をされている皆さんについても、避難指示等に基づいて避難をされておられる皆さん同様の政府としての支援、あるいは将来の保障の対象になるのだということは、念のため申し上げておきたいというふうにお願いを申し上げます。
大変ご苦労をおかけをいたしますが、当該地域では、保育所、幼稚園、小中学校及び高校については、休園、休校をしていただくことになります。勤務等のやむを得ない用務などを果たすために区域内に入られることは妨げられませんが、先ほど申しましたとおり、その場合も、緊急の際には屋内退避、更には自力での避難ができるようにされた上で立ち入られるようお願いを申し上げます。
この区域における対応につきましても、当該市町村、福島県及び国の密接な連携をとりまして、その具体的な段取り等について、改めてそれぞれの地域ごとにご指示、ご連絡をさせていただきますので、今の段階ではそうした指示が出るまでの間、新たな行動をおとりになるよりも、その指示をお待ちをいただきたいというふうに思います。
なお、この「計画的避難区域」及び「緊急時避難準備区域」の設定の在り方については、発電所からの放射性物質の放出が基本的に管理下における状況になったと判断される時点で見直しを行ってまいります。また、それまでの間も、当該区域におけるモニタリングを更に強化し、それらを集約、分析を続けることで、見直し等の検討に資するものとしてまいります。
私(官房長官)からの発表、以上でございますが、詳細については、この後、福山官房副長官からブリーフをして、記者の皆さんには詳細をご説明申し上げます。