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新たな使命を与えられた福島県立医科大学
~災害に強い持続的社会の拠点、復興の世界的拠点として~

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平成23年9月13日

『いのちの見守り』の推進母体に

 福島県では、放射線の影響を踏まえた将来にわたる健康管理のため、全県民を対象とした「県民健康管理調査」が実施されています。そこにおいては、まず、被ばく線量を推定する為に、事故後の行動調査についての聞き取り調査(基本調査)が行われています。この調査は、6月30日から先行地域2万8千人を対象に始まり、8月28日からは全県民約200万人に対象を拡大して本格的に行われています。
 このような調査は、福島におけるいわば『いのちの見守り』ともいえる大事業の一環ですが、今後長く続けられるこの大事業の推進母体となっているのが、公立大学法人福島県立医科大学です。

地域医療の中核として--震災直後からの活動

 その福島県立医科大学は、2011年3月11日の震災当初より、全学一丸となって災害に立ち向かっています。地震、津波、そして原子力災害という未曾有の災禍に見舞われた福島県では、多くの医療機関も被災しました。そのような中、地域医療の中核として、福島県などとも連携をし、共に臨機応変に災害被害に対処してきました。
 震災発生直後の超急性期には、病院では一般外来と定期手術を休止し、すぐに重傷患者のみを受入れる救急医療に特化した診療を行いました。その後一週間で震災外来患者1000名以上に医療処置をしています。病院の玄関内ホールは戦場のようになり、水が出ない、ガソリンが無い上に、原発被害の情報も乏しい状況の中で、混乱を最小限に抑えながら全職員が一致団結して活動しました。
 更にその後、いわき・相馬・双葉地区の5病院から、約2000名の搬送患者を受け入れてトリアージ(重症患者と軽症患者の振り分け)し、そのうち重症患者125名に対して入院加療を行いました。
 また、3月15日からは広島大学と長崎大学の緊急被ばく医療チームも合流し、被災者放射線サーベイや高度被ばく患者受入に対応しています。
 続いて3月31日からは、避難民と屋内退避の住民らに対して、積極的に緊急の広域医療支援活動を開始しました。自衛隊との協力の下で、地域・家庭医療チームを巡回派遣させ、5月31日まで地域住民への医療支援を行いました。そこにおいては、特に、避難所における心のケアや感染症対策、そして高齢者のリハビリなどの診療活動を展開してきました。

渦中における関係者の多大なる協力

 このような渦中にあって、病院職員のみならず学生ボランティア(医学部生と看護学部生)が、物品運搬や患者さんの搬送、節水や節電のポスター作り、炊き出し支援などに、自主的に加わり不眠不休で協力しました。水が出ない、物が無い、情報が無いという極端に不便な非常事態にあっても、人命救助第一という医療の原点に徹した行動が、必要以上の放射能や放射線への恐怖感や不安感を軽減させ、学生達が作ったおにぎりの温もりと共に、大いなる勇気を皆に与えてくれました。
 また、危険を顧みず最前線で頑張っている自衛隊、消防士、警察官らの活動にも、心を打たれることが多々あります。医療崩壊の危機が案じられ、私たち自身も辛い状況におかれたことがありましたが、こうした方々の姿や、頑張ってくれた職員、高い志を持ち入学してくれた学生や研修希望者に支えられて、ここまでやって来られました。非常に感謝しています。

内外の叡智を結集し、福島復興を目指して

 地震、津波、原発事故、そして情報災害と人類史上初めての複合災害を受けた福島の復興のためには、まず福島県の地域医療を確固としたものにすることが必要です。菊池臣一理事長兼学長は、これからの復興期こそが本学の真価が問われる正念場だと位置づけ、積極的に国内の叡智を招集しています。いち早く4月2日には広島大学と長崎大学と協力協定書を締結し、8月12日には放射線医学総合研究所と放射線影響研究所とも同様な連携関係を結びました。9月11、12日には世界の叡智を大学に招集し、『放射線と健康リスク』に関する初の国際専門家会議も開催されています。
 福島県立医科大学は、これからも幾多の困難を乗り越えて、優れた心ある医療人の育成を継続します。そして、地域の中核拠点病院としての機能を更に強化し、全県民の健康増進と管理を推進する大きな役割を担います。災害に強い持続的社会の拠点としての大学、そして復興の世界的拠点としての大学。現代のリスク社会において、今まさに、その真価を問われることになりました。私たちも広島・長崎の両大学が果たしてきた役割に倣い、引き続き福島復興を目指して、粉骨砕身尽力する所存です。


(参考)福島県立医科大学 震災特設ページ
http://www.fmu.ac.jp/index_shinsai.php


福島県立医科大学副学長 山下俊一
福島県立医科大学副学長 神谷研二

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