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チェルノブイリ事故と福島事故との比較

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平成23年4月15日

チェルノブイリ事故の健康に対する影響は、20年目にWHO, IAEAなど8つの国際機関と被害を受けた3共和国が合同で発表(注1)し、25年目の今年は国連科学委員会がまとめを発表(注2)した。これらの国際機関の発表と東電福島原発事故を比較する。

  1. 原発内で被ばくした方
    *チェルノブイリでは、134名の急性放射線障害が確認され、3週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。
    *福島では、原発作業者に急性放射線障害はゼロ(注3)
  2. 事故後、清掃作業に従事した方
    *チェルノブイリでは、24万人の被ばく線量は平均100ミリシーベルトで、健康に影響はなかった。
    *福島では、この部分はまだ該当者なし。
  3. 周辺住民
    *チェルノブイリでは、高線量汚染地の27万人は50ミリシーベルト以上、低線量汚染地の500万人は10~20ミリシーベルトの被ばく線量と計算されているが、健康には影響は認められない。例外は小児の甲状腺がんで、汚染された牛乳を無制限に飲用した子供の中で6000人が手術を受け、現在までに15名が亡くなっている。福島の牛乳に関しては、暫定基準300(乳児は100)ベクレル/キログラムを守って、100ベクレル/キログラムを超える牛乳は流通していないので、問題ない。

    *福島の周辺住民の現在の被ばく線量は、20ミリシーベルト以下になっているので、放射線の影響は起こらない。

一般論としてIAEAは、「レベル7の放射能漏出があると、広範囲で確率的影響(発がん)のリスクが高まり、確定的影響(身体的障害)も起こり得る」としているが、各論を具体的に検証してみると、上記の通りで福島とチェルノブイリの差異は明らかである。



長瀧 重信
長崎大学名誉教授
(元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長)
佐々木 康人
(社)日本アイソトープ協会 常務理事
(前(独) 放射線医学総合研究所 理事長、前国際放射線防護委員会(ICRP)主委員会委員)

原典は以下の通り。

  1. [注1]. Health effect of the Chernobyl accident : an overview Fact sheet303 April 2006 (2006年公表)
    http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs303/en/index.html
  2. [注2]. United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation, SOURCES AND EFFECTS OF IONIZING RADIATION UNSCEAR 2008 Report: Sources, Report to the General Assembly Scientific Annexes VOLUMEⅡ Scientific Annex D HEALTH EFFECTS DUE TO RADIATION FROM THE CHERNOBYL ACCIDENT Ⅶ. GENERAL CONCLUSIONS (2008年原題/2011年公表) P64~
    http://www.unscear.org/docs/reports/2008/11-80076_Report_2008_Annex_D.pdf
  3. [注3]. (独)放射線医学総合研究所プレスリリース「3月24日に被ばくした作業員が経過観察で放医研を受診」2011.4.11
    http://www.nirs.qst.go.jp/data/pdf/110411.pdf
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