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福島県の皆さんへ(仮訳:長瀧重信)

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  バロノフ教授からメッセージが寄せられましたので、以下、ご紹介します。なお、原文は、当グループ英語版に掲載Dear residents of the Fukushima Prefecture (August 9, 2013) されています。
  バロノフ教授は下記のように、現在はICRP, WHO, UNSCEARの委員として福島に貢献しておられますが、チェルノブイリ原発事故ではIAEAの担当者として初期からDr. Gonzaleto一緒に活躍し、20周年の国際機関のまとめに際してはIAEAの担当官として中心的な役目を果たされました。キエフの記念式典ではチェルノブイリフォーラムをすべて一人で発表されたほど造形の深い方です。

ミカエル・バロノフ(Mikhail Balonov)
元国際放射線防護委員会(ICRP)委員
世界保健機関(WHO)顧問
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)顧問


  私はミカエル・バロノフ教授です。私はロシアにおける公衆の放射線防護の専門家で、この分野で40年以上活動してきました。とりわけ、1986年のチェルノブイリ事故の初期から、事故の影響を緩和する対策に参加してきました。

  私は、2011年10月にお送りしたメッセージの中で、2011年3月の福島第一原子力発電所事故によって影響を受けた福島県の多くの地域と、1986年のチェルノブイリ事故で大きな影響を受けたロシアのブリャンスク地域の放射線状況について比較を行いました。この比較により、福島県において、将来にわたって公衆に放射線由来の健康影響が起きることは考えにくいと結論付けられました。

  2011年以来、私は二つの権威ある国際機関、すなわち世界保健機構(WHO)と原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)による、福島第一原子力発電所事故に伴う健康影響評価に関する2つの国際プロジェクトに参加しました。その両者は、将来にわたって福島県の住民に放射線由来の健康影響は考えにくいという、同じような結論に至っています。

  しかし、2011年から住民が避難している地域と現在も住民が居住している地域の両方において、大量の放射性物質が沈着している地域の復旧活動が、これらの科学的な結論によって妨げられるべきではありません。さらに、人々が避難地域から帰還する前に行われる除染が現在の最優先事項です。

  先週(訳者注:7月末)、私は再び福島県を訪れました。私は、いくつかの被災地で、除染チームがどのように活動しているかについて見学しました。彼らは、特別な除染機器を用いてアスファルトやコンクリートの表面を洗浄し、公共施設(学校や保育園など)や家屋、道路、広場の表土を除去していました。これらの活動により放射線レベルが低減し、人々が元の生活に戻るため帰還できるようになります。

  しかし、チェルノブイリの経験から、森で天然に採れる食品(野イチゴ類、キノコ類、狩りの獲物の肉など)の放射性物質レベルの上昇が数年から数十年にわたり継続することへの備えをしておくべきであると言えます。

  残念ながら、避難した方々はいまだに自宅に帰ることができていません。避難地域の大部分において、放射性物質の沈着量が現在の居住地よりも高い間は、これらの地域の除染は非常に重要です。復旧作業には何年も人々が離れていた間に荒廃した生活インフラの復旧が必然的に含まれます。私たちの線量評価によれば、ひとたび復旧作業が完了すれば、帰還した人々がさらに大きな放射線リスクにさらされることはありません。

  このように除染が進むことにより、放射線は徐々に下がっていき、日本の被災地の生活は元に戻っていくでしょう。私は、私の友人たち、すなわち日本の放射線防護の専門家たちが長期にわたってあなた方をサポートしていくと信じています。私は福島の多くの地域から避難した方々が故郷に幸せな帰還をすることを期待しています。また、私はチェルノブイリでの同じような経験を共有していく準備ができています。

2013年7月 ロシア、サンクトペテルブルグにて

長瀧 重信
長崎大学名誉教授
(元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長)

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