放射線の健康への影響は積算線量が決める

平成23年6月20日

 放射線の健康影響を考える上では、トータルとしてどれほどの線量を受けたか(積算線量)が重要であり、単位は「シーベルト」で表されます。これに対して、単位時間あたりにどれだの線量を受けるかを「線量率」と呼び、単位は、1時間あたりの線量率の場合には「毎時●●シーベルト」と表します。放射線のレベルによって、通常はシーベルトの前に「ミリ(千分の一)」や「マイクロ(百万分の一)」がつけられます。

 自動車に例えると、積算線量は走行距離に、線量率は時速に相当します。速度に時間をかけると走行距離が計算できますが、自動車はいつも同じ速度で走っているわけではありません。速く走ったり、スピードを落としたりするので、最高速度だけから走行距離を計算することはできません。その時々の速度に、その速度で走った時間をかけて、足し合わせる必要があります。

 放射線の場合も同様で、積算線量を計算するためには、その時々の線量率に時間をかけて、足し合わせる必要があります。人は年間を通じて、いろいろな場所を移動しますし、同じ場所でも線量率は日々変化しています。線量計は、その瞬間の線量率を表示するようになっているものもありますが、立ち入った場所のその時の線量率が高くても、滞在時間を短くすることで、積算線量を抑えることが可能です。繰り返しになりますが、健康への影響は積算線量で考えることが大事なのです。



(酒井 一夫・(独)放射線医学総合研究所 放射線防護研究センター長
東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻客員教授)