「東京会議2023」夕食会

更新日:令和5年3月24日 総理の一日

 令和5年3月24日、岸田総理は、都内で開催された「東京会議2023」夕食会に出席しました。

 総理は、挨拶で次のように述べました。

「日本の内閣総理大臣の岸田文雄です。今日は、工藤代表、また、武藤アドバイザリーボード・メンバーを始め、出席の皆様方に、東京会議がこうして盛大に開催されますこと、心からお慶び申し上げます。私も久々に東京会議に出席させていただき、御挨拶させていただきますが、ここのところコロナ禍もあり、なかなか多くの皆様にお集まりいただくことが難しかった、こういった状況が続いておりましたが、久々にこうして世界から多くの皆様方をお招きして東京会議が開催されますことお慶び申し上げ、そして、今日世界からお集りの多くの皆様方に日本にようこそお越しくださいましたと、歓迎の御挨拶をさせていただきたいと思います。今回の東京会議においても、こうしてお集りになりました多くの皆様方の英知と、そして有意義な議論に大いに期待したいと思っております。
 世界は今、大きな転換点を迎えています。ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会のルール・原則そのものに対する挑戦であると思っています。私自身、先日ウクライナを訪問させていただきました、ゼレンスキー大統領との間の首脳会談において、祖国と自由を守るために立ち上がっているウクライナ国民の勇気と忍耐に敬意を伝えさせていただきました。
 また、ブチャを訪問させていただき、ロシアの暴挙により悲惨な体験をされた方々から直接話を聞く機会もいただきました。惨劇の現場を目の当たりにいたしまして、ロシアによる侵略、これを一刻も早く終わらせなければならない、こうした思いを強くいたしました。
 本日は、G7議長として、日本が5月、広島サミットを主催させていただきますが、その際に達成しようとする目標について少しお話しさせていただきたいと思っています。
 日本が本年のG7サミットで達成したいこと、その第一は、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くというG7の決意、これを力強く示すということです。
 ロシアによるウクライナ侵略は、国連安保理の常任理事国が、国際社会の原則、これをあからさまな形で踏みにじったものであり、決して許すことはできない暴挙であると考えます。力による一方的な現状変更の試みは、東シナ海あるいは南シナ海においても続いています。さらに、経済的威圧もまた、看過することができない課題でもあります。
 大小問わず、すべての国は、法の支配の下でこそ、平和と安全を確保することができる。また、自由で開かれた国際秩序の恩恵を享受することができます。そのため法の支配は重要となります。世界を、弱肉強食の時代に戻してはならないと思います。
 広島サミットでは、いかなる地域においても、力や威圧による一方的な現状変更は認めず、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く、というG7の結束とその意思を、国際社会に示していきたいと思っています。
 ウクライナ情勢をめぐって、ロシアが行っている核兵器による威嚇、これもまた国際社会の平和と安全に対する深刻な脅威であり、断じて受け入れることはできません。77年間にわたる核兵器不使用の記録を破るようなことはあってはなりません。広島サミットでは、核兵器の惨禍を二度と起こさせてはならないという誓いを被爆地から世界に示していきたいと思っています。そして、厳しい安全保障環境の中で、G7として現実的かつ実践的な取組を進めていく、こうした力強いメッセージを発信していきたいと考えています。
 そして、G7の議長としてもう1つの優先課題は、いわゆるグローバル・サウスへの関与の強化です。世界は多様であり、現実問題として、様々な特色を持った国のパワーが相対的に増しています。このような多様化する社会において、豊かな多様性を尊重するための基本的な原則の遵守と、分断を招かないための対話が求められます。我々皆が協力しなくては解決することができない、気候変動を始めとする地球規模の課題について、G7首脳との間で議論を深めるとともに、国際社会と連携していく姿勢、これを示してまいります。また、その成果を、インドが議長を務めるG20、そして本年12月に予定されている日ASEAN(東南アジア諸国連合)特別首脳会合に引き継いでいきます。
 今週私がインドを訪問したのも、正にそのためでありました。インドのモディ首相との間ではG7とG20と連携して、国際社会の重要課題に取り組むこと、これを確認いたしました。
 また、インド滞在中、自由で開かれたインド太平洋、すなわちFOIPの新プランも発表いたしました。この歴史的転換期におけるFOIPの意義や考え方、これを具体化し、国際社会を分断と対立ではなく、協調に導くとの決意を示したものです。新プランの下、日本は、各国との対話によるルール作りや、FOIPのビジョンを共有する国々と共にイコール・パートナーシップ、これを目指してまいります。さらに、新たな4つの取組の柱を示し、FOIP協力を拡充して、各国のニーズに力強く応えていく姿勢を明確にいたしました。日本は、各国との連携、そして協力の和を広げ、共に取り組んでまいります。
 そして、ポスト冷戦時代に終止符を打ったロシアの暴挙に対し、G7は、共通の価値観に基づく結束によって、最も効果的に対応してきました。他方、国際社会が直面するあまりに多くの課題に、G7のみでは対処できないことも謙虚に受け止めてきました。
 我々の目の前にある挑戦は、G7にとってのみならず、国際社会の基本原則を共有し、人類の平和と繁栄を願う全ての国々にとっての挑戦でもあります。こうした認識の下、この時代に何が求められているのか、現実的な外交を通じて、G7議長国としての目標達成に取り組み、そして、グローバル・サウスを含む、国際社会のあらゆる国々と共に新たな時代を築いていく。このような決意を表明し、そのためにも、今日お集りの多くの皆様方の貴重なアドバイスをお願いし、私の御挨拶とさせていただきます。御静聴、誠にありがとうございました。」

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