年末エコノミスト懇親会

更新日:令和5年12月18日 総理の一日

 令和5年12月18日、岸田総理は、都内で開催された年末エコノミスト懇親会に出席しました。

 総理は、挨拶で次のように述べました。

「皆さん、こんばんは御紹介にあずかりました、内閣総理大臣の岸田文雄でございます。日経グループの年末エコノミスト懇親会をお招きにあずかりまして、ありがとうございます。
 こうした形では何年かぶりかという話を聞かせていただきましたが、遅れてまいりましたものですから、もう会場大分盛り上がっております。何か政策について10分ぐらい話をしろと言われて来たものの、皆が盛り下がらないと良いなと思いながら、ちょっとだけお話をさせていただきたいと思います。
 御列席の皆様方、エコノミストの皆様方、また、経済界の皆様方、1年間大変お世話になりましたことを心から厚く御礼を申し上げます。そして、まず今、自民党の政策集団の政治資金をめぐりまして、国民の皆様から大変な疑念を持たれる事態を招いていることにつきまして、大変遺憾に思い、そして心からおわびを申し上げなければならないと思います。国民の信頼あっての政治の安定であり、政治の安定あってこその政策の実行だということを考えますときに、深刻に受けとめなければならないと思います。特に来年は、緊迫の1年になるということが盛んに言われます。ウクライナ情勢、また中東情勢。言うまでもありませんが、来年年明けから台湾、インド、インドネシア、韓国、ロシア、あるいは米国、主要国で重要な選挙が続きます。来年はこれからの10年を決める1年になるかもしれない。こういった指摘もあります。経済や金融も来年、また不透明なものがたくさんある。こういった現実があります。そういった中にあって、日本の状況を考えますときに、この変化を力に変えていこうという姿勢自体は評価されてきたと感じています。
 例えば、今年10月日本で初めてJapan Weeksという期間を設けて、世界中の有力な投資家に日本の東京に集まってもらって様々な議論を行う。こうした試みを行いました。結果として、3,300兆円のお金を動かしている世界中の投資家が東京に集まって、日本の経済に対しての様々な意見や、その見方を議論してくれました。その際に、日本の今の投資や経済に対する取組は高く評価されたということを覚えています。しかし、こうした流れを支えるのも政治の安定であります。政治の安定こそが最大の外交政策であり、政治の安定こそが最高の経済政策である。こういったことを改めて肝に銘じて、国民の信頼回復に努めなければならない、このように思います。
 そして、今の日本の現状を考えますときに、例えば賃上げ、あるいは投資、さらには株価、30年ぶりの水準になっている。今、経済の潮目が明らかに変わってきた、一つのチャンスだ。こういったことが言われます。こうした経済の潮目、チャンスをものにできるかどうか。これが今の政権にとって大きな役割であるということを感じています。バブル崩壊以来約30年間、低賃金・低物価あるいは低成長、こういったことが続きました。そして、何よりも物価は上がらないという予見が日本の社会に広がってしまった。このことが大変大きな影響を及ぼしてきたと感じています。30年来のデフレ心理の蔓延(まんえん)、これは間違いなく、日本経済の質的な劣化を生み出したと感じています。過少投資によってイノベーションの基盤が弱まった。生産性が低下してしまった。また、労働コストをカットすることによって、人的資本の蓄積を遅らせてしまった。こういったことによって、我が国の経済のファンダメンタルズは大きく毀損(きそん)してしまった。これは強く感じます。こうした状況を「失われた30年」だと言う方がおられますが、私はそういった見方はいたしません。亡くなられた青木正彦スタンフォード大学の教授が言っておられたこの30年は「移りゆく30年」であったという見方。こういった見方が当たっているのではないか。このように感じています。
 すなわち、我が国はかつて、高度成長に最適化した経済構造を持っていた。しかし、今、イノベーションと社会課題解決に最適化した新たな経済構造が求められている。この変革のために、日本においては一つの世代、すなわち30年程度が必要であるという見方。こういった見方をするべきではないか。このように思っています。バブル崩壊から30年を経て、日本経済の変化、先ほども申し上げたように、今加速しています。グローバルな経験を積んだ多くの優秀な経営者が存在します。コーポレートガバナンス改革への海外投資家からの評価、大変高いということ、先ほども少し申し上げさせていただきました。GX(グリーン・トランスフォーメーション)や人口減少、こうした国家的課題に官民連携して取り組んでいこう。こういった雰囲気も出てきました。
 私は先月、APEC(アジア太平洋経済協力)出席の際に訪米いたしました。そのときにスタンフォード大学で韓国の尹(ユン)大統領と共に、日韓のスタートアップの経営者の皆さんと車座対話を行いました。その際に、日韓それぞれのスタートアップの若い経営者と話をする中において、正に今大リーグで活躍している大谷選手のごとく、最初から世界レベルで戦うのだという高い志を持った若い人たちに大勢出会いました。やはり今、韓国ももちろんですが、日本においても若い人たち、日本人が大きく変化してきた。志のレベルが、最初から世界レベルの若い人たちがこれだけ出てきている。こういった変化を強く感じてきました。そして、先ほども申し上げたように、物価や賃金や、あるいは投資、こういったものにおいて明るい兆しが出てきている。私はバブル崩壊後、様々な苦労を経て、我々日本はようやく移りゆく、10年の出口に差し掛かりつつある。こういったことが言えるのではないか、こんなことを感じています。
 そして、この経済の新しいステージに日本を押し出し、そしてこれを未来に向けて持続させていくために、先般経済対策も考えたところです。
 先ほどデフレ心理の蔓延ということを申し上げましたが、一つ一つや一人一人の実感が積み重なってこそ、社会全体のマインドは変わるのだということで、まずは一人一人の賃上げを目指さなければならないということで、民間の皆様方にも来年の春闘に向けてしっかりと取組を進めてもらいたい。そして、それを下支えするためにも、賃上げ税制の拡充ですとか、あるいは労務費の転嫁を目指す様々な政策を用意する。そして、さらには、来年はまだ物価高を乗り越える途上ということが想定されます。そういったことから、所得税・住民税の定額減税を始めとする可処分所得、これをしっかり支えることによって、経済の好循環を実現していく。そして、そのためには、民間に頼るだけではなく、来年度の医療・介護・障害福祉の報酬改定・同時改定においても、公的価額において賃上げという観点をしっかり踏まえて、この数字を考えていく。こういった取組も今進めているところでありますし、また賃上げの原資であり、企業の稼ぐ力、供給力の強化これからの経済政策の基本であるということで、思い切った企業の稼ぐ力を支えるための税制改革等、様々な支援策を用意したところでもありますし、また先週は資産運用立国実現プランを策定いたしました。来年からは新しいNISA(少額投資非課税制度)もスタートいたします。コーポレートガバナンス改革、これもしっかり進めていきます。こういったことによって、家計が投資に向かい、そして企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで可処分所得を充実させて、それが投資や消費につながっていく。こういった循環も考えるべきではないか。
 さらには、こうした企業の稼ぐ力ということでいうならば、今日の午前中、アジアゼロエミッション構想に基づいたAZEC首脳会合。初めての首脳会談を行いました。アジアの脱炭素は4,000兆円の資金が必要だと言われています。日本の金融力、そして技術力、これをしっかりと活用して、アジアの脱炭素をしっかり進めていく。こういった考え方を共有したところでもありますし、またデジタル行財政改革、ライドシェアを始めとする未来に向けての様々な規制改革・行政改革、これをしっかり進めていきたい。こういった考え方をまとめた次第です。
 是非、来年に向けて、経済の新しいステージに向けて、今申し上げました。様々な政策。それ以外にもかなり幅広く政策を用意いたしました。こうした政策を総動員することによって、日本の経済を新しいステージに押し上げていきたいと強く願っております。
 今日お集まりの皆様方に改めて1年間、貴重な御指導を頂きましたことに感謝申し上げながら、是非、来年、世界にとっても日本にとっても大きな正念場、共に明るい未来に向けて力を尽くしていきたいと思います。是非、引き続きましての御指導をお願い申し上げて話を終わります。ありがとうございました。」

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