「東京会議2024」夕食会

更新日:令和6年3月14日 総理の一日

 令和6年3月14日、岸田総理は、都内で開催された「東京会議2024」夕食会に出席しました。

 総理は、挨拶で次のように述べました。

「工藤代表、そして御列席の皆様方、東京会議2024の開催を心からおよろこび申し上げます。この夕食会の開会に当たりまして、一言、御挨拶を述べさせていただきます。
 今なお続くロシアによるウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢を始め、世界は緊迫の度を高めています。歴史的なパワーバランスの変化により、国家間競争も激しさを増しています。我が国自身、北朝鮮による核・ミサイル活動や、東シナ海、また南シナ海における力による一方的な現状変更の試みなど、戦後最も厳しく、そして複雑な安全保障環境に直面しています。
 そのような状況にあるからこそ、我々にとって大切なことは、法の支配の下で、多様な国家が共存共栄していく世界を目指すということです。
 私は、日本の総理大臣、そして国際社会を担うリーダーの一人として、同盟国や同志国はもちろん、グローバル・サウスとも連携しながら、人間の尊厳を中心に据え、世界を分断・対立ではなく協調に向け、導いてまいりたいと考えています。
 我が国の来し方を振り返れば、戦後80年近くにわたり、一貫して、日米同盟を基軸に地域の平和と安定に貢献し、様々な国と協力しながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に取り組んできました。同時に、多くの途上国の開発課題に向き合い、人間の安全保障の理念に基づく人間中心の国際協力を進め、世界の発展に貢献してきました。また、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界に向け、たゆまぬ努力を続けてきました。
 昨年のG7広島サミットは、正にこのような道のりの象徴として、結実したものです。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くこと、また、G7を超えた国際的なパートナーへの関与を強化すること、この2つの視点から議論を行い、分断と対立ではなく協調の国際社会の実現に向け、G7の結束を確認いたしました。また、被爆地広島から、世界各国の首脳とともに、核兵器のない世界に向けた力強いメッセージを発信することができました。
 本年、世界の行方を左右する重要な選挙が各国で控えています。ウクライナや中東の情勢も重要な局面を迎えています。
 我が国は、どのような場所や局面でも法の支配や人間の尊厳を中心に据え、その姿勢を緩めることなく、協調に導くための歩みを一貫して進めてまいります。
 そのためにはまず、私自身、唯一の同盟国である米国との関係強化に取り組んでまいります。バイデン米国大統領からの招待を受け、4月に国賓待遇で米国を公式訪問し、日米首脳会談に臨む予定です。さらに、米国議会からの招待を受け、上下両院合同会議で演説することを予定しています。これまでバイデン大統領とは、深い信頼関係の下、自由で開かれたインド太平洋の実現、ウクライナ、中東等、様々な世界の課題に共に取り組んできました。この度の公式訪米では、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のため、日米間で連携を強化していくことを改めて確認するとともに、日米で共に世界の経済成長を牽引(けんいん)していく方策について議論する考えです。
 ロシアによるウクライナ侵略は、欧州にとどまらず、インド太平洋を含む国際秩序全体の根幹を揺るがす暴挙です。
 我が国は、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難し、対露制裁とウクライナ支援を強力に推進していきます。先月の日・ウクライナ経済復興推進会議では、G7議長としての昨年3月の私の訪問を踏まえ、ウクライナ、日本、そして世界の未来への投資として、ウクライナ復興に日本ならではの貢献をするべく、官民一体の強力なウクライナ支援を打ち出しました。成果をしっかりとフォローし、また、G7を始めとする各国及び国際機関を含むパートナーと協力してまいります。
 隣接諸国との関係も重要です。中国とは、戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含め対話をしっかり重ね、共通の諸課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を双方の努力で構築していきます。また、韓国とは、尹(ユン)大統領との信頼関係を礎(いしずえ)に、協力を拡大し、昨年8月のキャンプ・デービッドでの日米韓首脳会合を踏まえ、3か国の連携も一層強化していきます。
 グローバル・サウスとの連携も、首脳外交を通じて、一層深めてまいります。インド太平洋を共に担うASEAN(東南アジア諸国連合)やインド、本年のG20(金融・世界経済に関する首脳会合)議長国を務めるブラジルなど、国際社会で影響力を増すグローバル・サウスとともに、日本らしい、きめ細かな協力を推進していきます。
 先月訪日したケニアのルト大統領とも、インド太平洋やアフリカの平和と安定に向けた協力を確認したところです。太平洋島嶼(とうしょ)国も、我が国にとり歴史的に深い関わりがある、海で結ばれた長年の友人です。本年7月に東京で開催する第10回太平洋島サミット(PALM10)や二国間の取組を通じて、地域の一体性と太平洋島嶼国自身の取組を支え、気候変動や海洋分野を中心とした共通の課題につき議論し、共に取り組んでいきたいと考えています。
 核兵器のない世界の実現に向けた、現実的かつ実践的な取組も、引き続き進めてまいります。今月18日、諸般の事情が許せば上川外務大臣がニューヨークを訪れ、核軍縮・不拡散閣僚級安保理(安全保障理事会)会合を主催する予定です。G7広島サミットで発出した広島ビジョンも踏まえつつ、核兵器国も交え、実質的な議論を加速化させることを目指します。
 加えて、昨年の国連総会において表明した核兵器のない世界に向けたジャパン・チェアを、米国・欧州・アジアの研究機関に設置し、核兵器のない世界に向けた国際的な議論を加速化させていきます。
 さらに、本日のテーマとも関わりの深い、国連を中核とする多国間主義を改めて強化しなければなりません。人間の尊厳に光を当て、国際協力を推進する場としての国連を、取り戻すことを目指します。
 本年9月には未来サミットが予定されています。将来世代のため、多国間主義が機能するという展望を示したいと思っています。来年、国連創設80周年を迎えるに当たり、国際社会全体でのSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けて、さらにはポストSDGsも見据えながら、人間の安全保障の理念に基づき、将来世代を念頭に置いた議論に貢献してまいります。また、現在の世界を反映した安保理の実現に向けた安保理改革含め、国連の機能強化に取り組んでまいります。
 本日述べたような取組を通じて、国際社会を担う他のリーダーたちとともに、人類共通の未来に向け、責任感を持って、世界を分断・対立ではなく協調に導く首脳外交を積極的に進めていく。こうした取組を進めていくことを、改めて決意として表明させていただき、私の今日の御挨拶とさせていただきます。
 御清聴誠にありがとうございました。」

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