岸田内閣総理大臣記者会見

令和3年11月10日
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【岸田総理冒頭発言】

 本日、第101代内閣総理大臣に指名され、引き続き重責を担うこととなりました。改めまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 さきの総選挙では、岸田政権に我が国のかじ取りを引き続き担うようにとの民意が示されました。私は、厳粛な思い、身の引き締まる思いでこの民意を受け止めております。多くの選挙区で接戦が相次いだ今回の選挙結果、私は、自公連立政権に対する期待と同時に、国民の皆さんからの御叱正も頂いた、このように感じています。国民の声にこれまで以上に耳を傾け、現場で起こっている問題に正面から取り組み、国民の信頼と共感を得ながら、丁寧で寛容な政治を進めていく、この道以外に国民からの信任を保っていく道はない、そうした覚悟を新たにしながら、第2次岸田政権の政権運営を進めてまいります。
 新型コロナ対応、経済政策、外交・安全保障、どれも状況は緊迫しており、政治空白は一刻も許されません。そうした思いで、総裁選挙、そして組閣、総選挙と最大限のスピードで駆け抜けてまいりました。これからは、このスピード感を政策実行にそのまま発揮すべく、全力を挙げてまいります。
 新型コロナ対応は引き続き最優先の課題です。今週中に新型コロナ対応の全体像を取りまとめ、国民の皆さんにお示しいたします。
 まず、今後感染力が2倍になった場合にも対応できる医療体制をしっかり確保いたします。公的病院の専用病床化を始め、新たな病床を確保し、病床使用率を8割以上といたします。この夏に比べて3割増しの3.5万人以上の方が確実に入院できる体制を11月末までに作ります。軽症者向けの宿泊療養施設についても、今年の夏と比べて2割増、1万室以上増やしてまいります。全ての自宅、宿泊療養者に、遅くとも陽性判明の翌日までには連絡を取り、健康観察や診療を実施できる体制を確保いたします。これらの取組に加え、ワクチン、検査、飲める治療薬の普及による予防、発見から早期治療までの流れを更に強化いたします。
 ワクチンについては、12月から3回目のブースター接種を始めます。2回目接種完了からおおむね8か月以降のタイミングで、18歳以上の希望する全ての方が接種を受けられるようにいたします。12歳未満の子供についても、薬事承認された後、接種を開始いたします。いずれも専門家の意見も踏まえた上で対応してまいります。
 検査については、感染拡大時に無症状者でも無料で検査が受けられるようにいたします。感染が拡大した場合でも、ワクチン・検査パッケージを活用することで、行動時の安心・安全を確保いたします。
 そして治療薬。今後の切り札となる飲める治療薬について、年内実用化を目指します。2倍以上の感染力に対応できるよう、薬事承認が行われれば、まず速やかに合計60万回分を医療現場に提供いたします。さらに、100万回分を確保し、今後に万全を期してまいります。
 また、これまでの新型コロナ対応を徹底的に検証し、来年の6月までに司令塔機能の強化も含めた感染症危機管理の抜本的強化策を取りまとめてまいります。
 来週中に数十兆円規模の経済対策を取りまとめます。年内できるだけ早期に補正予算を成立させ、国民の皆さんに一刻も早くお届けいたします。総裁選のときから、非正規、女性、子育て世帯、学生を始め、コロナでお困りの皆様へ給付金をお届けすると申し上げてきました。この個人向け給付金について、本日、公明党・山口代表と基本的な方向性において合意いたしました。
 非正規など経済的にお困りの世帯に対して、1世帯当たり10万円の現金給付を行います。また、コロナ下で厳しい経済状況にある学生に対しても、就学を継続するための10万円の緊急給付金を支給いたします。困窮されている方々には、このほか生活困窮者自立支援金の拡充など様々なメニューを経済対策において用意いたします。
 子育て世帯に対しては、年収960万円を超える世帯を除き、18歳以下1人当たり10万円相当の支援を行います。予備費も活用して、年内にプッシュ型で5万円の現金給付を始めます。その上で、来年春に向けて5万円相当の支援を行います。子育てに有効に活用いただけるよう、クーポン・バウチャー方式を原則とした仕組みと致します。
 事業者向けの給付金については、昨年の持続化給付金並みの支援を事業規模に応じて、11月から3月までの5か月分まとめて、一括で給付いたします。雇用調整助成金については、感染が拡大している地域、業況の厳しい事業者の方々向けの特例を3月まで延長いたします。
 また、最近のガソリン、灯油価格の高騰を踏まえ、農業、漁業など関係業界やお困りの方々に対する支援を行ってまいります。
 続いて経済政策です。新しい資本主義の起動に向けた議論を本格的に動かし始めました。新しい資本主義実現会議において取りまとめた緊急提言の内容を経済対策にもしっかりと盛り込みます。成長のための投資と改革を大胆に進め、その成長の果実を国民の皆さんお一人お一人に実感していただきたいと思っています。そのための新しい分配の仕組みを作り、動かしていきます。
 まずは経済を成長させます。科学技術立国を目指し、10兆円の大学ファンドの年度内の創設と、新たな大学のガバナンス構築のための法改正、ワクチン、そして治療薬の国内開発、生産支援、クリーンエネルギーへの投資に取り組んでまいります。
 経済安全保障も重要な成長戦略の柱です。人工知能、量子などの分野で研究開発を複数年度にわたって支援する基金を設け、先端的な重要技術を育成してまいります。サプライチェーンの強靱(きょうじん)化や基幹インフラの信頼性確保を進める法案の準備を加速いたします。
 成長戦略の中で特に私が力を入れているのが、デジタル田園都市国家構想です。デジタルの力を取り込み、地方から新しい時代の成長を生み出します。この具体化に向け、デジタルを活用した地域活性化への交付金を大規模に展開いたします。さらに、デジタルインフラに対する投資を進めてまいります。
 デジタルを活用する際に障害となる規制改革にも果敢に取り組みます。次期通常国会に自動運転による自動配送サービスを可能とするための法案を提出いたします。
 明日以降設置するデジタル田園都市国家構想実現会議及びデジタル臨時行政調査会において議論を行い、年末以降、具体策を示してまいります。そして、成長の果実を分配してまいります。官民挙げ、国民お一人お一人の給与を引き上げるための具体的アクションを起こします。
 まず、民間部門による分配の強化に取り組んでまいります。給与を引き上げた企業を支援する賃上げ税制について、控除率の大胆な引上げなど制度を抜本的に強化し、賃上げを後押しいたします。月内に行う、次回の新しい資本主義実現会議において、来年の春闘に向け、賃上げの議論をスタートさせます。私が労使の代表と向き合い、賃上げを促してまいります。
 企業の成長と給与の引上げを両立する鍵は、人であり、人への投資です。働き手がデジタルなどの新しい時代のスキルを身につけられるよう、人への投資を抜本的に強化するための3年間の施策パッケージを設けます。予算を大胆に投入し、職業訓練や能力開発、正社員化や処遇改善への支援を拡充いたします。女性、高齢者が活躍しやすい職場環境づくりを進めてまいります。
 同時に、公的部門での分配を強化いたします。民間における賃上げに先んじて、看護、介護、保育、幼稚園などの現場で働いている方々の給与を増やしてまいります。公的価格評価検討委員会において検討を進めるとともに、まずは経済対策において先立って必要な措置を行い、前倒しで引上げを実現してまいります。
 また、教育、住居費負担の軽減など、子ども・子育て支援策を強化いたします。皆で支え合う、持続可能で安心できる社会保障の構築に向け、全世代型社会保障構築会議の議論を進めてまいります。
 次に、外交・安全保障です。私の対面外交は、先週英国でのバイデン大統領との懇談から始まりました。バイデン大統領とは早期に再会しじっくり話そうということを確認いたしました。年内を含めできるだけ早く米国を訪問し、日米同盟の更なる強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け連携してまいります。
 今後も首脳同士の往来に加え、国際会議の機会や電話会談も活用し、積極的な首脳外交を展開してまいります。ASEAN(東南アジア諸国連合)や欧州の首脳との電話会談など、普遍的価値を共有するパートナーとの関係強化に取り組んでまいります。
 中国やロシアとの関係では、主張すべきは主張し、毅然(きぜん)とした外交を進めてまいります。
 拉致問題は最重要課題であり、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃さず、全力で取り組みます。私自身、条件をつけずに金正恩(キムジョンウン)委員長と直接向き合う決意であります。
 私が指示いたしました国家安全保障戦略等の改定については、国家安全保障会議において徹底的に議論を行ってまいります。ミサイル防衛能力、AI(人工知能)などの最先端技術、宇宙、サイバーなどの新たな課題にスピード感を持って対応し、防衛力の強化に取り組んでまいります。
 先週参加したCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)で議論された気候変動問題、そして中間層の伸び悩み、格差の拡大、現代の経済社会システムがもたらした負の側面を乗り越え、長期的に持続可能な経済社会を構築していこうという議論がグローバルに行われています。私が提唱する新たな資本主義の実現に向けた議論を世界に発信し、課題解決に向けて我が国が先導的な役割を果たしていきます。
 これまでも何度もお約束したとおり、私は国民の皆さんとの丁寧な対話を行い、皆さんの声を政策に反映させていきます。そのために、今後も車座対話、続けてまいります。これからも積極的に現場に出向き、国民の皆さんと対話しながら、あるべき政策を考え、実現していきます。この丁寧な対話を基礎に、若者も高齢者も障害のある方も男性も女性も全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会を目指してまいります。
 自民党総裁としては、これらの政策対応に加え、党改革と憲法改正が重要な課題であると考えております。自民党は責任政党として大胆なガバナンス改革を進め、中堅、若手の積極的な登用、多様な人材の活躍、国民との開かれた対話、中長期的な政策立案を行い得る政党へ進化していかなければなりません。このため、茂木幹事長の下、スピーディーに検討を進め、実行してまいります。今回の総選挙結果を踏まえ、党是である憲法改正を進めるため、党内の体制を強化するとともに、国民的議論の更なる喚起と国会における精力的な議論を進めるよう指示をいたしました。
 私は最初に内閣総理大臣としての指名を受けた日に、この内閣は新時代共創内閣であると申し上げました。そして、自民党はその後の選挙戦において「新しい時代を皆さんとともに。」というキャッチフレーズを掲げ、戦いました。新型コロナ、気候変動や格差の問題など、グローバルで議論されている既存の経済社会システムの揺らぎ、一層厳しさを増す国際情勢、我が国は大きな変化のときを迎えています。我々はこうした変化に対応し、新しい時代を作り上げていかなければなりません。私一人では、そして政府だけでは、この極めて難しいミッションを達成することはできません。国民の皆さんのお力が必要です。心から皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げます。

【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは、これから皆様より御質問を頂きます。
 指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、1人1問御質問をお願いいたします。
 まず、幹事社2社から御質問をいただきます。
 NHK、長谷川さん、どうぞ。

(記者)
 幹事社を務めます、NHKの長谷川と申します。
 成長と分配の在り方について伺います。新しい資本主義実現会議の緊急提言では、成長に向けて科学技術への投資強化やクリーンエネルギーへの転換推進などが盛り込まれました。また、分配戦略では、賃上げに積極的な企業に対して手厚い税制支援を行うことなどが盛り込まれました。いずれも成長と分配の柱となる一方で、これまでの政権でも重視されてきた政策でもあります。岸田内閣としてどう実効性を高めて、成長と分配の好循環をどのように実現していくお考えでしょうか。

(岸田総理)
 従来との違いということで御質問いただいたのだと思いますが、要は、従来の取組に一工夫、二工夫加えることによって具体的な結果に結びつける、こうした努力が重要であると思っています。
 例えば科学技術・イノベーションという取組についても、10兆円の大学ファンドを設けて支援するということを申し上げました。従来のファンド、4.5兆円程度しか積み上がっておりませんでしたので、これを10兆円に拡大し、しっかり支援の体制を作る、このことは大事だと思いますが、それに加えて、この資金を受ける大学自体のガバナンス改革もしっかり進めていかなければならない。例えば研究と経営の分離といった大学改革、こうしたことを進めることによって、若手研究者がより研究に専念できる体制を作っていくことができると思っています。こうしたファンド等における資金の援助と併せて、大学改革等の組織制度の改革も併せて行うことによって結果につながっていくと、このように思っています。
 それ以外にも、例えばクリーンエネルギーについても資金面での支援、引き続き申し上げているわけですが、資金面で支援するだけではなくして、例えば蓄電池ですとか、水素とか、更にはアンモニアといった新しい課題におけるマーケット、市場、これはどういった方向性でどのぐらいの規模を考えているのか、こうした大きな枠組みについて政府としてもしっかりと示していく。更には、CO2の規制についてもどういった規制を考えているのか、具体的な内容をしっかり示していくことが、資金的な支援と相まって民間の投資をより大きくしていく、こういった結果につながるのではないか、このようにも思っていますし、更には、この経済の成長を考えた際にスタートアップ、これは大変重要であるということを申し上げてきました。これは従来からも言われていましたし、これからも大事だと思いますが、このスタートアップの支援についてもファンドとか大企業の支援、もちろん大事ですが、例えばスタートアップ自身の資金調達、例えば今の上場の制度を考えましても、十二分にスタートアップ自身が資金調達の結果を得ることができていないのではないか、様々な改正が必要ではないか、こういった指摘があります。このスタートアップ自身の資金調達のために上場制度も見直していく、こういった取組を加えることで結果につながっていく。
 更には、先ほど申し上げましたが、賃上げについても民間の皆さんにしっかり御努力いただくために、賃上げ税制を見直すということを申し上げました。従来も、従来から賃上げ税制はあったではないかという指摘はありますが、従来の賃上げ税制については、人件費総額に視点を当てて評価して、そして控除を行う、こういった仕組みでしたが、それでは一人一人の賃上げにはつながらない。よって、人件費総額ではなくして、その給与の平均、一人一人の給与の平均の引上げを評価して、更に控除額を更に大きくするというような形で、この賃上げ税制もバージョンアップすることによってより民間の協力を促すことができるとか、それから赤字企業に対する様々な補助金についても賃上げを一つの条件にするとか、そういった形で従来にも増して民間の皆さんの協力を得られる。
 そして、何よりもそれに先駆けて先ほども申し上げました公的価格、国が主導できる賃金についても国が率先して引き上げることによって、民間の努力を更に促していく等、こうした従来の取組に一工夫、二工夫加えることによって、それぞれの課題、具体的な結果につなげていく、そして、その全体をつなぎ合わせることによって成長と分配の好循環を実現する、このように考えております。

(内閣広報官)
 続きまして、西日本新聞、古川さん。

(記者)
 西日本新聞の古川と申します。よろしくお願いいたします。
 先ほど総理は防衛力の強化に取り組まれるというふうにお話をされましたけれども、いわゆる敵基地攻撃能力の保有について、総理はこれまで選択肢の一つだと述べておられましたが、公明党の方は否定的な考えを示しております。また、自民党の公約に防衛費GDP(国内総生産)比2パーセント以上というのが明記されましたけれども、これも公明党の方は額ありきで疑問視をされております。公明党との主張に隔たりがある中で、どのように理解を進めていきますか。また、いつまでに取り組まれるのか、そのスケジュール感も併せて教えてください。

(岸田総理)
 まず大事なことは、国民の命や暮らしを守るために必要なものは何なのか、こうした現実的な議論をしっかり突き詰めていくことであると思っています。ミサイル防衛ということを考えましても、極超音速滑空兵器ですとか、それから変則軌道で飛来するミサイルですとかミサイルに関する技術も急速なスピードで変化し、そして進化しています。その中にあって、国民の命や暮らしを守るためにあと何が求められるのか。その際に、あらゆる選択肢を排除せず、現実的にしっかり考えなければいけない、このように思います。
 また、それ以外にも島嶼(とうしょ)防衛や宇宙、サイバーといった新しい課題が大きな議論になり、そして現実、動いています。その中にあって国民の命や暮らしを守るために何が求められているのか、これを冷静に現実的にしっかり考えていく、こういった議論を進める中で、国民の皆さん、そして与党、公明党の皆さんにもしっかりと理解をいただき、その結果が予算の額になるのだと思っています。
 まずは現実をしっかり見つめ、この変化の中で何よりも政治にとって大切な国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、こういった議論をしっかり突き詰めることによって、国民や公明党の皆さんの理解を得て、そして具体的な予算を始めとする結果につなげていきたいと思っています。
 タイムスケジュール等にも御質問がありました。これは今言ったような議論を丁寧に進める中にあって、御理解いただいた部分から順次、予算等に組み入れられるものは組み入れていくということで、この議論の結果を形にしていくという姿勢で臨んでいきたいと思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 ここからは幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名いたしますので、マイクにお進みください。
 では、小山さん。

(記者)
 毎日新聞の小山です。
 経済再生策に伺いたいと思います。コロナ禍からの経済再生策ですけれども、GoToトラベルの再開とか観光客の水際対策の緩和、この辺に関してはどの時点で再開されるか、コロナの状況がどういうふうになったらとか、目安などを考えていらっしゃるでしょうか。
 お願いいたします。

(岸田総理)
 GoToトラベルにつきましては、まずワクチンですとか検査も活用して、より安心・安全な形のGoToトラベルの仕組みをしっかり考えていかなければいけない、新たな安心な制度を作っていくことが大事であると思っています。是非、そうした仕組みを抜本的に見直した上で、その準備を進めた上で、その時期につきましては専門家の皆さんの意見も聞きながら、感染状況をしっかり見極めて時期を決めていきたい、このように思っています。
 まずはGoToトラベル、昨年の経験を踏まえてより安全・安心なもの、更には制度として中小零細の業者に裨益(ひえき)する制度を考えるべきではないかとか、更には平日をより活用する制度にするべきではないか、いろいろな議論があります。その辺も含めてしっかりと制度を準備した上で、タイミングについてはしっかり考えていきたいと考えています。

(記者)
 観光客の水際対策。

(岸田総理)
 ごめんなさい。観光客の入国、水際対策についてですが、それにつきましては、まず年内に団体観光の行動管理の実効性などについて検証を今、行おうとしています。こういった実証実験を行った上で検討を進めていきたいと思います。年内においては、観光目的の入国について実証実験、検証を行いながらタイミングを計っていく、こういった姿勢で臨んでいきたいと思っています。
 感染状況は今、収まっておりますが、決して楽観視してはならない、慎重に状況を見ながら今言った準備をしつつ、タイミングを計っていきたいと思っています。

(内閣広報官)
 では、その次、星野さん。

(記者)
 朝日新聞の星野です。よろしくお願いします。
 今回、人権問題担当の首相補佐官が新設されましたが、人権という普遍的な価値を外交の軸に据えるということは大変意義があると考えますけれども、人権侵害は中国や香港、新疆(しんきょう)ウイグルなどの問題だけではなくて、北朝鮮はもちろんですが、ミャンマーやベラルーシ、シリアなど、世界的な課題というふうになっております。
 日本でも名古屋の出入国在留管理局に収容中だったスリランカ国籍のウィシュマさんですが、3月に死亡した問題が人権侵害に当たるという指摘もありますけれども、こうした問題について、今度の担当補佐官はどのように対応されるのでしょうか。
 お願いします。

(岸田総理)
 具体的な案件に対する対応については、就任した中谷補佐官にしっかりとこれから検討し、調整してもらわなければならないと思っていますが、基本的に我が国において、外交のみならず様々な課題において普遍的な価値、自由や民主主義と共にこうした人権、こういったものをしっかり遵守しながら取組を進めていく、こうした基本的な方針は大変重要だと思っています。
 そして、その際に、御指摘のように人権の課題は外務省や一定の役所だけではなくして、法務省を始め様々な役所にまたがる課題です。そういった幅広い課題について、人権担当の補佐官にはしっかりと各省庁とも連携しながら、全体を見つつ、あるべき政府の方針について考えてもらう、それを補佐してもらう、こうしたことを期待しているところであります。

(内閣広報官)
 七尾さん。

(記者)
 連日お疲れさまです。ニコニコ、ドワンゴの七尾です。よろしくお願いします。
 給付金についてお聞きします。総理は総裁選時から、国民への説明、国民の納得感が大事だと言われてきたと思います。そこに共感し、岸田自民党に投票した有権者は多いと思うのですけれども、しかし今回、18歳以下を対象とする10万円相当の給付の実施について、ネットを始め全面的に賛同する意見はあまり見受けられません。目的も分からない、なぜ18歳以下なのか、全国民一律ではない理由も分からない、つまり既に分断しています。いま一度、ネットを始めとする国民の声に耳を傾け、総理御自身の御判断で、国民から納得感を得られる給付の在り方を提示されるお考えはあるのか、お聞きします。

(岸田総理)
 おっしゃるように、国民の皆さんに納得していただくこと、これは大事だと思います。よって、今回の自公での合意、取組についても丁寧に説明をし、納得をしていただく努力、これが大事だと思っています。
 今回のこの給付、経済対策において、私自身は総選挙のみならず総裁選挙の時点から非正規、女性、あるいは子育て世帯、学生、コロナによって困っておられる皆様への給付をお届けする、これを申し上げ続けてきました。そういった観点から、今回のこの経済対策の中に、まずは非正規など経済的にお困りの方に対して1世帯当たり10万円の現金給付を行ったということであります。
 そして、御指摘の18歳以下の子供に対する給付ですが、18歳以下を対象とする、これはすなわち子育て世代に対する支援につながるというものでもあると思っています。更には、何で18歳までなのかという声もあるやに聞いておりますが、この支援策の中に大学生あるいは専門学校生、こういった方々にも10万円の給付を行う、これは昨年1回やったわけですが、これをもう一回、大学生や専門学生の方にも給付する、これもこの経済対策の中に盛り込んでいます。
 こういった形で、より困った方に焦点を当てながらも、18歳以上の方々に対する支援もこの全体の中に盛り込んでいる、この全体像を是非しっかり丁寧に説明することによって、国民の皆さんに納得していただくよう努力を続けていかなければならない、このように思っています。

(内閣広報官)
 生島(いくしま)さん。

(記者)
 東京新聞の生島といいます。よろしくお願いします。
 総理は冒頭の発言で、衆院選の結果について期待とともに叱責を頂いたというお話がありました。振り返りますと、総理は総裁選に出馬する際に、民主主義の危機だと、国民の信頼が壊れていると。それを守るために、今回総裁選に立候補されるというような御発言もありました。
 ただ、それ以降、就任以降、そういった言及についてあまり私は耳にしていないのですけれども、現時点で総理は当時、問題意識を持たれていた民主主義の危機というものに対して、それはもう脱しているというふうにお考えなのでしょうか。
 それに関連しまして、いわゆるモリカケ桜と言われている安倍政権や菅政権の負の遺産の清算という問題ですけれども、これについては再調査ですとか真相解明というものに対して基本的には否定的な考えを示されていると思うのですけれども、この考えは今でも同様なのか、その点についてお伺いします。

(岸田総理)
 まず、民主主義の危機を脱したと思っているのかという質問については、私は、引き続き、民主主義の危機の中にあると思っています。民主主義の危機にあると申し上げたのは、コロナ禍の中で国民の皆さんの心と政治の思いがどうも乖離(かいり)してしまっているのではないか。こういった声を多く聞いたということを挙げて、民主主義の危機ということを申し上げました。国民の皆さんの思いが政治に届いていないのではないか、政治の説明が国民の皆さんの心に響かない、こういった状況をもって民主主義の危機だということを申し上げました。更に言うと、自民党が国民政党として国民の声をしっかり受け止められる政党であることをしっかり示さなければならない、こういったことも危機を前にして申し上げた、こういったことであります。
 よって、先ほども申し上げましたし、今までも何度も申し上げていますように、国民の皆さんとの対話、意思疎通、丁寧で寛容な政治、こういった姿勢をこれからも取り続けることが国民の皆さんと政治の距離を縮める大変重要なポイントであると思い、これからも努力を続けていきたいと思いますし、また、自民党の党改革についても冒頭申し上げました。自民党が若手をしっかり登用できる、多様性をしっかり受け入れることができる、国民との対話ができる政党であることを示すために党改革を進めるということも冒頭申し上げました。引き続き、危機を感じているからこそ、こうした努力を続けていかなければならない、このように思っています。
 そして、モリカケ桜問題についてでありますが、これについても従来から申し上げているように行政であったり、会計検査院であったり、あるいは検察であったり、様々な機関で調査が行われ、報告書が出されています。そういったものをしっかりと見ていただいた上で、なおかつ足りない部分があれば、政治として説明をさせていただく。こういった姿勢をこれからも大事にしていきたいと思っております。
 以上です。

(内閣広報官)
 杉山さん。

(記者)
 ジャパンタイムズの杉山と申します。
 人権外交について伺います。先ほどの朝日新聞さんの質問とも関連するのですが、人権問題を担当する首相補佐官に任命された中谷さんは、諸外国で既に導入されている外国における人権侵害に対して制裁を科すことができる、いわゆるマグニツキー法の制定に積極的でした。総理としても制定されるべきとお考えでしょうか。

(岸田総理)
 中谷補佐官については、御指摘のように従来から超党派での活動等にも参加され、法改正にも、その議論にも参加していた、こういったことであります。ただ、これは政府として、人権の補佐官として御活躍いただく以上は、政府全体の方針にしっかりと協力していただかなければならないと思っています。御指摘の法改正については、超党派の議論が引き続き、続いていると思います。その辺の状況はしっかり見た上で、政府としてどう判断するか、これをしっかり判断していかなければなりません。政府としてどう判断するか、しっかりと確認した上で、中谷補佐官にもしっかりその方針に従って行動してもらうことを期待したいと思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 横地さん。

(記者)
 CBCテレビの横地と申します。
 総理の冒頭の御発言でも賃上げですとか春闘についての言及がありました。そこで、例えば労働組合ですとか労働運動に対して、どのように向き合おうとされているのかについてお伺いいたします。今回の総選挙で、かつては民主王国と言われた比例東海ブロックですが、自民党の小選挙区の候補者の方は比例復活を含めると全員が当選をすると、これが自民党の絶対安定多数に寄与した面はあると思うのです。その背景の一つに、愛知県の小選挙区で自動車産業の労働組合の組織内の前職の方が出馬を見送るということがありました。この方、見送り会見の中で、職場の仲間はこれからは政党よりも政策を応援したいのだと、こういう趣旨の発言をされています。視聴者の方からは、かつての労働運動が大きく様変わりしたという声がある一方で、少し言及されましたカーボンニュートラルであるとか、デジタルエコノミーであるとか、ものづくり産業がこうした変革の波に表れている、危機感の表れではないかと、こういう指摘する声も視聴者の方からはあるのですが、そうした動きも踏まえて、これから働く人たちの声をどういうふうに政策に反映されていこうとされているのか、特に組合や労働運動との関わりも含めて教えてください。

(岸田総理)
 ありがとうございます。今の御質問についてお答えするとしたならば、私が申し上げている新しい資本主義というのは、経済を成長した上で、その成長の果実を様々な地域の現場で働く方々お一人お一人に広く分配し、そして、生活の豊かさを実感してもらう。そして、それが消費につながることによって成長と分配の好循環を実現しよう、これが基本的な考え方です。
 よって、こうした好循環を実現するためには、やはり地域において、あるいは現場において、しっかり汗をかいておられる方々の声をしっかりと受け止めながら現実の政策を進めていかなければならないと思っています。労働組合や現場で働いている方々の声も幅広く国民の皆さんの声として耳を傾け、そして丁寧で、そして寛容な政治を進めていくことが重要だと考えています。そういった姿勢の中で、御指摘のように労働組合の皆さん、あるいは現場で働いている皆さんとも丁寧な対話を重ねながら、寛容で丁寧な政治を進めていく、こういった姿勢を大事にしながら向き合っていきたいと思っています。

(内閣広報官)
 それでは、長嶋(ながしま)さん。

(記者)
 産経新聞の長嶋です。どうぞよろしくお願いいたします。
 総理は、先ほど、党是である憲法改正について、自民党の方に体制の強化を指示したというふうにおっしゃいました。具体的にその体制の強化というのはどんなことを想定されていらっしゃるのかということと、なかなか憲法議論というのは国民にとって分かりにくいというところもありまして、なかなかその真価を測っていくのが難しいというところがあると思うのですけれども、党として、そのような対話を促すような取組みたいな、その具体的なものがあれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(岸田総理)
 まず最初の質問については、当然のことながら、従来から自民党の中においては憲法改正を議論する組織が存在いたしますが、新しい内閣がスタートしたことを受けて、また、今回の衆議院選挙の結果も受けた上で、より憲法改正についてしっかりと取り組んでいかなければいけない。こうした声は党内にも高まっていると受け止めています。
 そういった方々とお話しする中で、従来の組織ももちろん大事な組織でありますが、より国会の議論ともしっかり連動する形で、そして、国民の皆さんとの対話も重視する形で、党内の体制をしっかりと拡充することができないだろうか。こういった議論を今、行っています。是非こうした議論をしっかり行った上で、党内体制についても考えていきたい。そういった思いを先ほどの発言の中に込めた、こういった次第です。
 そして国会の議論と、そして国民の皆さんの憲法改正に対する理解と、この2つ、これは車の両輪であると思っています。この両方がそろわないと憲法改正は実現しない。こうした法体系になっているわけですから、ともにしっかりと進めていかなければならないと思っています。
 更に言うと、この2つは両方進めることも大事ですが、国民の皆さんの理解が国会の議論も後押しするなど、関連する議論でもあると思っています。そういったことから、私も以前お話しいたしましたが、自民党の政調会長時代に地方を回りながら憲法改正の議論を地域の多くの市民の皆さんと対話を行う形で行わせていただいた、あのときの手応えを大事にしながら、これからも国民の皆さんとの対話の中で、国民の皆さんの憲法改正に対する思いを盛り上げていただく工夫を党としても行っていくことが大事であると認識をしています。
 こんなことも今、党内の憲法改正に従来から熱心に取り組んできたメンバーとも話し合っている、これが現状です。こういった思いを是非形にしたいと思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 それでは、大変恐縮ですが、あと2問とさせていただきます。
 それでは、神保(じんぼう)さん。

(記者)
 ビデオニュースの神保です。
 地球温暖化対策についてお伺いしたいのですが、総理がグラスゴーでCOP26で途上国への100億ドルの追加支援を含めて全力で人類の未来に貢献していく決意を述べられたことについて、総理御自身が存在感を示すことができたと、各国から高い評価を受けていると考えているというお考えを示されたことは報道で分かっています。ただ、実際には、そのスピーチの後に各国からかなり厳しいリアクションがあったというふうに認識しています。1つは、国際NGO(非政府組織)のネットワークが2年連続で日本に化石賞を与えるということがありました。それから、各国の報道を見ても、海外の報道を見ても、日本の特に石炭火力を2030年以降も日本が維持しようとしていることに対しては、非常に厳しい指摘が挙がっています。
 そこで、まず総理にお伺いしたいのは、前政権の菅政権下で閣議決定された新しいエネルギー基本計画、これが2030年でもまだ19パーセント石炭に依存するということをうたっているわけですが、今回のグラスゴーの結果を受けて、どうもこれは、さすがに国際世論的にももたないのではないかという御認識を持たれた可能性もあるかと思いまして、聞きたいのですが、これを変更されるお考えはあるかどうか。
 その一方で、日本は1人当たりの排出量ということで言えば、実際はGDPに対しては必ずしも排出量は高くないわけですね。つまり、財界などからは、日本はこれでも結構努力しているのだと、にもかかわらず、このように化石賞を取ったり、厳しい批判を受けるというのは、総理のお考えを聞きたいのですが、日本の努力が正当に理解されていないために、このように日本は批判を受けていると総理はお考えか、それとも、やはりまだ日本の削減目標や努力、特に石炭火力というものを維持しているような点が、やはり世界から問題視されているということを総理御自身が認識されているかどうか、そこのところ、批判を受ける原因ですね、そこの2点、よろしくお願いします。

(岸田総理)
 まず、私自身現地に行きまして議論をする際に、我が国の100億ドルの追加支援等は、主催国の英国、米国を始め、関係国から高く評価された、これは強く実感したところであります。
 しかし、その中で、化石賞を受けたではないか、化石賞は、毎日3か国指摘される中の2日目の3か国のうちの1つに日本が入ったということで化石賞を受けた、こういったことであります。NGOの評価ということでありました。こうした指摘があることについても、もちろん謙虚に受け止めなければなりませんし、そしてその中で御指摘のように石炭火力に対する厳しい目があるということ、これはしっかり受け止めなければならないと思っています。
 石炭火力につきましても、日本としては地域の様々な事情に配慮した上で、アンモニアですとか、水素、最新の技術をしっかり活用することによって、こうした石炭火力の負の側面をしっかりと抑えていく、こういった方針についても説明をさせていただいたわけですが、こうした技術に対する説得力もよりしっかり高めていかなければ、国際社会の皆さんの十分な理解にはつながらない、より努力しなければいけない点ではある、こんなことも感じてまいりました。
 地球温暖化に対する取組、様々な課題があります。その様々な課題の中で、日本の取組は評価されている部分もある、一方で指摘をされている部分もある、この辺を冷静に整理した上で、吟味した上で、これからの大きな日本の方向性について考えていく、こうした冷静な取組を我が国としてもしっかり進めていき、全体として日本の取組が評価される、こうした結果につなげていくよう、努力は続けていきたいと、このように思っています。
 以上です。

(記者)
 基本計画の見直しまではないということですか。

(岸田総理)
 今の方針は、既に明らかにしているとおりであります。この方針をしっかり進めていき、なおかつ、先ほど言いました最新の技術等を活用することによって、より理解される結果につなげていく努力は続けていきたいと思っています。

(内閣広報官)
 石垣さん。

(記者)
 時事通信の石垣と申します。よろしくお願いします。
 憲法改正について確認したいのですけれども、総理は、衆院選勝利を受けた記者会見で、憲法改正について、3分の2以上の賛成を得られるよう議論を深めたいと述べています。この3分の2に向けて、憲法改正に前向きな日本維新の会や、あるいは国民民主党といった勢力と積極的に協力を求めていく考えはあるか、それともこの3分の2というのは、あくまでもそういう数合わせのような協力には否定的なのか、よろしくお願いします。

(岸田総理)
 まず、国会の議論においては、まず、自民党としては自公政権の体制の下に国会論争に臨むわけですが、野党との議論については是々非々で臨む、これが基本であると思っています。
 一方、憲法改正の議論につきましては、改正を実現するためには、与野党の枠を超えて3分の2以上の賛成が得られるようにしっかり努力を続けていくことが大事であると思っています。
 ですから、結果として3分の2以上の賛成を得るべく努力をするということですので、御指摘のように、政党の枠組みでどうこうというのではなくて、結果を得るためにどうするべきなのか、しっかりと検討し、努力をしていきたい、このように思っています。
 いずれにせよ、この国会での発議のために国会の議論を進めていかなければいけない。そのためにも、先ほど申し上げた国民の皆さんの幅広い理解と相まって、こういった議論を進めることが大事だと思っていますので、両方をしっかり進めていくことが基本であると思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 それでは、恐縮ですが、現在、挙手いただいている方につきましては、後ほど一問、担当宛てにメールでお送りください。後日、書面にて回答させていただきます。
 以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。
 御協力ありがとうございました。

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