岸田内閣総理大臣記者会見

更新日:令和4年2月17日 総理の演説・記者会見など

【岸田総理冒頭発言】

 まず、新型コロナに感染し、苦しんでおられる皆様方に、心よりお見舞いを申し上げます。
 我が国は、感染者数の増加はなお大きいものの、これまでのところ、諸外国に比べ、感染状況を低いレベルに抑えることができています。これも、国民の皆さんの御協力、医療従事者、介護従事者、保健所や検疫所の職員の皆さんを始めとしたエッセンシャルワーカーの皆さんの必死の御尽力のおかげです。改めて、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 私は、総理大臣に就任以来、常に危機管理の要諦である最悪の事態を想定してコロナ対応に当たってまいりました。特に、オミクロン株については、発生当初から慎重の上にも慎重を期すという考えの下で対応を行ってまいりました。オミクロン株の科学的な性質が明らかとなっていない状況においては、そうでなければ国民の皆さんの命を守ることができないと判断したからであります。
 そのオミクロン株については、WHO(世界保健機関)が懸念すべき変異株に指定してから約3か月がたち、諸外国での知見の蓄積も含め、科学的性質が大分明らかになってきました。また、国民の皆様の御協力により、足元では全国的にオミクロン株の感染拡大のペースが落ち着き始めています。
 現在、36の都道府県で先週と今週の比較において、数字が1を下回り、すなわち、感染者の数が減少に転じています。東京都でも9日連続で感染者の数が先週比で減少に転じているという変化が見え始めています。もちろん専門家から指摘されているように、遅れて重症者数が増加するリスクがあり、今後とも警戒感を緩めることなく、最大限の緊張感を持って対応してまいります。
 その上で、私は、コロナ対策の基本姿勢、慎重さは堅持しながら、同時に、第6波の出口に向かって徐々に歩み始める。すなわち、次のフェーズへと段階的に準備を進めていくべきであると考えています。
 本日は、こうした考え方について国民の皆さんに御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、慎重さを維持する点についてです。私は、オミクロン株対応の要諦は3点。第1に、何よりも国民の命を守ること。第2に、軽症で自宅療養される多くの方々の不安に応えること。第3に、社会経済活動をできる限り止めないことであると申し上げてきました。この考えに基づき、自治体、医療関係者、専門家等と緊密に意思疎通を図りながら、様々な対応を講じてきました。
 国民の命を守るという観点からは、特に重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方に医療を提供し続けられるよう、昨年11月に「全体像」を取りまとめ、その後も医療提供体制の強化に取り組んできました。前回のピーク時の1.3倍の受入病床を全国で確保し、東京では臨時の医療施設を含め、更にベッドを増やし、1.8倍の受入余力を確保しています。その結果、感染者数は昨年夏の約4倍ですが、入院待ち患者があふれた昨年夏と違い、重症病床は十分に余力があり、必要な医療を提供しています。
 第2の軽症の方の不安に応えるという観点からは、2万5,000の医療機関や1万8,000の薬局の御協力を頂いて、地域の医療体制強化とともに、ゲームチェンジャーと言われる飲み薬の確保に全力を挙げてきました。メルク社のモルヌピラビルは、全国の医療機関、薬局に13万回分をお届けしています。これまでに5万8,000人の方々に投与され、重症化を防いできました。ゼビュディなどの中和抗体薬は、年明け以降、6万6,000人に投与されてきました。広く流通するレムデシビルも軽症者治療の選択肢に加わり、先週にはファイザーの抗ウイルス薬も承認されるなど、多様な治療方法が確立しつつあります。国産の経口薬についても国が治験を全面的に支援しており、安全性、有効性が確認されれば、速やかに承認し、国内に必要量を供給いたします。
 第3の経済社会活動をできる限り止めないという観点からは、専門家の科学的な知見を踏まえながら、濃厚接触者の待機期間の短縮、入退院基準の見直し、めりはりの効いた行動制限などに取り組んできました。
 こうした基本的な方向性は、今後の対応においても極めて重要な視点であり、このまま順調に新規感染者数が減少していったとしても、遅れて重症者数が増えるリスクがあることも考え、今後も堅持していきます。
 また、感染状況や病床使用率がいまだ明確な減少傾向にない地域については、引き続きまん延防止等重点措置を継続し、気を緩めず、感染拡大の抑制に取り組みます。そのため、明日、専門家に諮問し、国会報告の上、正式に決定いたしますが、20日に期限を迎える21道府県のうち、16道府県及び27日に期限を迎える和歌山県について、まん延防止等重点措置を3月6日まで延長いたします。このように、慎重になるべきところでは引き続き慎重さを堅持していきますが、同時に、第6波の出口に向かって歩みを開始するため、次の3点について取り組んでまいります。
 第1に、病床使用率などを総合的に勘案し、感染状況が落ち着いてきた地域については、まん延防止等重点措置を解除していきます。まずは20日を期限とする21道府県のうち、山形県、島根県、山口県、大分県、沖縄県の措置を同日で解除します。
 第2に、ワクチンの3回目の接種です。関係者の御尽力により、15日以降、VRS(ワクチン接種記録システム)の入力ベースで、1日100万回程度までペースが上がってきました。手綱を緩めることなく、安定的に100万回以上が達成されるよう、引き続き全力を尽くしてまいります。全国の都道府県、市町村で3回目の接種が進み、今週から前倒しで職域接種も始まりました。御自身や御家族を守るため、そして社会全体として感染対策を進めていくため、できるだけ多くの方に接種していただきたいと思っています。
 そして第3に、水際対策の見直しです。これまで厳しい水際対策を講じて稼いだ時間を活用し、病床確保やワクチン接種の推進など、国内の対応、体制を整備することができました。3月1日からは検査、行動把握、そして感染拡大リスクの高い場合の待機期間の設定といった基本的な条件を守ることにより、引き続きG7で最も厳しい水準は維持しつつ、水際対策の骨格を段階的に緩和していきます。
 具体的には、入国者の待機期間については、これまでのオミクロン株との闘いの中で蓄積された知見に基づき、入国前検査と入国時検査に加え、さらに3日目検査の陰性を条件に、原則7日間の待機期間を3日にいたします。なおこの際、リスクの高い方々は引き続き施設待機とさせていただきます。また、ワクチンの3回目追加接種者で、感染が落ち着いている非指定国からの入国者は、待機期間をゼロといたします。これらにより、主要先進国並みの待機措置としていきます。外国人の新規入国については、受入責任者の管理の下、観光目的以外の新規入国者に限って認めることといたします。受入企業、団体の申請手続は一元的にオンラインで完結するように簡素化してまいります。1日当たりの入国人数については、3,500人から5,000人へと戻し、今後、日本人の帰国需要を踏まえながら、段階的に国際的な人の往来を増やしていきます。
 以上、第6波の出口を見据えて準備を進めていく観点から、3点申し上げました。
 繰り返しになりますが、第6波の出口を見据えた準備の大前提は、感染状況を落ち着かせていくことであり、政府として病床や経口薬の確保などを徹底するとともに、皆様には、引き続きマスク着用、手洗い、消毒、換気など、基本的感染対策への御協力をお願いいたします。
 また、今後、既存のオミクロン株が亜種であるBA.2に置き換わることなどにより、再度感染状況が悪化する可能性には十分に注意しなければなりません。感染状況に悪化の兆しがあった場合には、即座に対応を見直していきます。他方、第6波の出口がよりはっきり見えてくれば、経済社会活動の回復に向けて更なる取組を進めてまいります。
 まだまだ油断できる状況ではありませんし、苦しく不安な状況が続いていると思いますが、少しずつ元に近い日常を取り戻していけるよう、皆さんと共に進んでいきたいと思います。今が一番厳しいときだと思います。この困難を共に乗り越えていけるよう、もうしばらく御協力いただきますよう、心よりお願いを申し上げます。
 そして、最後にウクライナ情勢について申し上げます。重大な懸念を持って情勢を注視していますが、状況は予断を許しません。11日には、ウクライナの危険情報をレベル4に引き上げました。ウクライナ在留の邦人の皆さんには、一刻も早く退避するよう強く呼び掛けております。近隣国においてチャーター機の手配を行うなど、引き続き邦人保護に全力を挙げてまいります。
 14日、NSC(国家安全保障会議)4大臣会合を開催して、邦人保護など政府の対応について議論を行うとともに、15日、16日には、私自身、ウクライナのゼレンスキー大統領、EU(欧州連合)のフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、英国のジョンソン首相と電話会談を行いました。私から、ウクライナの主権と領土一体性への支持を表明し、力による現状変更は認められない旨、述べるとともに、ウクライナに対し少なくとも1億ドル規模の支援を表明し、各首脳との間で緊張緩和に向けた外交努力を粘り強く続けていくことで一致をいたしました。フォン・デア・ライエン委員長からは、先般、我が国がLNG(液化天然ガス)の融通を行ったことに対し、深い感謝の意が示され、日欧でエネルギー安全保障でも連携していくことで一致をいたしました。
 我が国としては、緊張緩和に向けた粘り強い外交努力を続けていく考えであり、G7を始めとする国際社会と連携し、実際の状況に応じて適切に対応してまいります。
 私からは以上です。

【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは、これから皆様より御質問を頂きます。
 指名を受けられました方はお近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、1人1問、御質問をお願いいたします。
 まず、幹事社2社から御質問を頂きます。
 毎日新聞の小山さん、どうぞ。

(記者)
 幹事社の毎日新聞の小山です。よろしくお願いします。
 総理からも出口に段階的に歩んでいくという話がありましたが、そこで言及がなかった部分について伺おうと思います。コロナの感染法上の2類・5類の引下げの問題を含めた戦略についてはどう考えていらっしゃるでしょうか。冒頭発言の中で更なる取組ということもおっしゃいましたけれども、この引下げ問題が入っているのでしょうか。お願いします。

(岸田総理)
 御指摘の感染法上の分類の議論ですが、そうした議論についても引き続き厚生労働省の審議会等において専門家の意見も伺いながら議論は続けていきたいと思っています。ただ、仮にこの新型コロナウイルス感染症を5類にした場合、例えば健康状態の報告・把握、あるいは外出自粛等の要請、入院措置、こうしたことができなくなるということがあります。今、まだ感染拡大の心配が世の中で感じられている中にあって、このタイミングでこの分類を変更するということについては、現実的ではないのではないかと思います。
 いずれにせよ、御指摘の議論につきましては、冒頭申し上げたように、引き続き厚生労働省の審議会等において、政府としてもしっかりと専門家の意見も聴きながら議論は続けていきたいと考えています。
 以上です。

(内閣広報官)
 続きまして、TBS、室井さん、どうぞ。

(記者)
 同じく幹事社のTBSテレビ、室井と申します。よろしくお願いします。
 ワクチンの3回目接種についてお伺いします。総理は、先ほどVRSへの入力ベースで1日100万回ペースというふうに述べられましたが、接種率は、今日公表分ですけれども、11.9パーセントと世界的に見ても低水準です。諸外国は早期に前倒し接種にかじを切り、オミクロン株への対応を急いだにもかかわらず、なぜ日本は遅れたと考えていらっしゃいますでしょうか、お伺いします。

(岸田総理)
 御指摘の点については、まず、我が国においては、諸外国に比べてワクチンの1回目、2回目の接種の開始が遅かったという事情がありました。昨年を振り返りましても、秋の段階、10月、11月の段階でも1回目、2回目の接種を行っていた。こうした事情がありました。そして2回目の接種から6か月以上の間隔を空けなければならないという事情の中で3回目の接種を進めているというのが我が国の状況であります。3回目の接種については、11月11日に薬事承認を得た後、12月から開始をしたということであります。今、申し上げた事情の中で手続を進めていったということであります。
 先ほど御指摘がありましたように、この3回目の接種については、2月に入って接種が本格化していった、ペースも1日100万回程度まで上がってきた、こういった状況であります。これから職域接種も本格化していきます。接種券の送付の前倒しも進めていただいているところでありますので、更なる接種の加速化に向けてしっかり努力をしていきたいと思っています。
 なお、一つ加えるならば、イギリスやイスラエルなど3回目接種を先行した国であっても感染者数は大変増えてしまっている、こういった国もあります。こういった国々と比べた場合、我が国は感染者の数は各段に少ないということは指摘をしておきたいと思います。
 以上です。

(内閣広報官)
 ここからは幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名いたしますので、マイクにお進みください。なるべく多くの方に御質問いただくためにも、質問は1問ずつ簡潔にお願いいたします。
 それでは、宮井さん、どうぞ。

(記者)
 読売新聞の宮井です。
 水際対策について、お伺いします。新規感染者はピークアウトの兆しを見せていますけれども、依然として感染者は多く、多くの自治体はまん延防止等重点措置の延長をしています。このタイミングで水際対策の緩和に踏み出した理由を教えてください。
 また、1日の入国者を3,500人から5,000人に増やすということでしたけれども、この5,000という数字はどういった理由で設定されたのでしょうか。待機施設とか、空港検疫とかのキャパがそのぐらいの数字ということなのでしょうか。併せて、よろしくお願いします。

(岸田総理)
 まず1点目につきましては、水際対策、冒頭申し上げたように、オミクロン株の我が国への感染の拡大をできるだけ遅らせるということから、この厳しい措置を用意したわけですが、その効果は、医療体制の充実ですとか、予防、検査、早期治療体制の強化ですとか、こういったことにおいて様々な結果につながったと受け止めています。
 しかし、その後、この状況は、国の中だけではなく、海外においても状況が随分と変化をしています。水際対策を考える場合に、国の内外の感染の状況の違いですとか、各国の水際対策の状況ですとか、さらには3回目の接種の進み具合ですとか、そういったものを考えて総合的に判断していかなければならないと思います。
 今、申し上げた点において、状況が変化している。そういったことで、各国の状況も特に参考にさせていただきながら、水際対策についても見直しを行っていきたいと考えているところです。ただ、水際対策、一遍にこれを緩めるというのもまた現実的ではないと思います。まずは第1段階ということで、先ほど申し上げたように水際対策を見直させていただきました。
 そして、その際にこの5,000という数字について、どうしてなのかという御質問がありましたが、入国者総数につきましては、振り返りますと、昨年の3月に上限2,000人程度としたということがありました。そして、昨年8月にこれを3,500人にしたということがありました。そしてその後、昨年の11月に5,000人に拡大をした。こうした入国者総数の制限を行ってきました。しかし、その後、11月にオミクロン株の発生を受けて5,000人を3,500人に減らした、こういった経緯をたどってきました。こういった経緯も振り返りながら、まずは第1段階、水際対策を緩和するということで、3,500人を5,000人に戻したということであります。今後も内外の感染状況ですとか、それから各国の水際対策、そして、おっしゃるように検疫体制等をしっかりにらみながら、この数字につきましてもどうあるべきなのか、しっかり検討は続けていきたいと思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 その次、篠原さん。

(記者)
 テレビ東京の篠原です。よろしくお願いいたします。
 ウクライナ情勢をめぐってなのですけれども、岸田総理、今日の岸田派の会合で、力による現状変更を許せば、アジアにもこうした影響が及ぶことを考えないといけないと、このように言及をされました。アジアにおける力による現状変更という懸念は度々中国を念頭に議論されますけれども、ウクライナ問題のアジアへの影響ということについて、具体的に、総理、どのような認識、懸念を持っているのか、お聞かせください。

(岸田総理)
 ウクライナ情勢は大変緊迫した状況にありますが、力による現状変更ということを認めますと、ヨーロッパのみならずアジア、そして、更にはアジアのみならず国際社会全体に誤ったメッセージを発することになってしまう、こうした問題意識を持っています。だからこそ、こうした状況に対して、外交努力を通じて緊張緩和につなげていかなければいけない、こういったことを各国の首脳とも意見交換を行いながら確認をしているということであります。
 ウクライナの情勢自体、今後どういった具体的な動きになるのか、これはまだまだ予断は許されない状況でありますので、具体的にアジアや他の各国にどんな影響が、他の地域にどんな影響があるのかということは申し上げることは控えなければならないと思いますが、今、申し上げた基本的な考え方は大事な考え方だと思っています。これからも緊張緩和に向けて、各国の首脳と共に外交努力は続けていきたいと思っています。

(内閣広報官)
 次は、長谷川さん。

(記者)
 NHKの長谷川と申します。
 今の質問の関連になるのですけれども、総理はこの後、ロシアのプーチン大統領と電話会談に臨まれるというふうに伺っておりますけれども、ウクライナ情勢をめぐって具体的にどのような話合いをしたいとお考えでしょうか。

(岸田総理)
 プーチン大統領との会談につきましては、適切な時期に実施したいということで取り組んでいます。調整を行っているということであります。先ほど申し上げた、力による現状変更は決して認めることはできない、こういった考え方において、更には日本とロシアの関係を考えても、緊張緩和に努めなければいけない。是非こうした外交努力、各国の外交努力に応えていただくよう働き掛けを行うことは大事であると思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 それでは、後列、ブゼットさん。

(記者)
 ジャパンフォワード推進機構のブゼット・アリエルと申します。
 水際対策についてなのですけれども、観光目的での新規入国の緩和について、今後の見通し、どんな形で考えていらっしゃるのか、この点についてお願いいたします。

(岸田総理)
 先ほども申し上げたように、今回、外国人の方については、観光目的以外の外国人の方の入国を認めさせていただくということを申し上げました。その中で観光について見通しはどうかという御質問でありますが、観光目的の入国については、国の内外の感染状況、そして主要国の水際対策の状況、さらには我が国の検疫体制の実施状況、こうしたものを勘案しながら、今後段階的に見直しを検討していく中で、観光目的の入国の再開時期について検討していきたい。ですから、全体の外国人の方の入国を議論する中で、観光目的の入国の再開時期について検討していくという方針で臨んでいきたいと思っています。

(内閣広報官)
 次の方、山崎さん。

(記者)
 日本テレビの山崎です。
 3回目のワクチン接種についてお伺いいたします。高齢者施設でクラスターが起きていまして、専門家からも早期の高齢者施設へのワクチン接種が強く求められています。政府もいち早く接種の2回目からの間隔を前倒しして呼び掛けていましたけれども、接種が進んでいない現状があります。どうして、今、高齢者施設への接種について、総理は現状をどう認識しているのかと、なぜ接種が進まないのか、その要因をどう捉えているのか、今後どのような対策を打とうと考えているのか、お聞かせください。

(岸田総理)
 高齢者施設の入所されている方、あるいは職員の方に対する接種、これは極めて重要だと認識をしています。政府としましても、先ほど申し上げました3回目の接種、この全体を進めていく中にあって、まずは高齢者施設における入所者あるいは職員の方の接種は大事であるということで、最優先で取り組ませていただき、12月17日の日から2回目接種完了後6か月に接種間隔を短縮するとともに、必要なワクチンについても十分な量を供給してきたということであります。
 しかしながら、御指摘のように十分接種が進んでいないのではないか、こういった御指摘があります。政府としましても、1月28日の日に、改めて厚生労働省から全国の自治体に対しまして、施設と自治体が密に連携を取り接種を推進するということ、そして、接種券がなくても3回目の接種は可能であるということ、そして、モデルナ社のワクチンも積極的に活用すること、こういったことを通知させていただいた、こうしたことであります。既に大半の自治体において施設接種あるいは巡回接種に取り組んでいただいているところであり、是非希望する入所者の方等への接種はしっかり進めていくべく全力で取り組んでいきたいと考えております。

(内閣広報官)
 次に、佐藤さん。

(記者)
 北海道新聞の佐藤です。
 総理、今日も含めて、最悪の事態を想定ということを繰り返しおっしゃられていまして、ワクチンの3回目接種をめぐる、先ほどもおっしゃいましたけれども、当初の判断や検査キットの備え、現在多数いる自宅療養者への対応などで、本当に最悪の事態を想定しておられたのか、不十分な点はなかったのかということをまず1点お伺いするのと、加えて、総理の記者会見は約1か月半行われていません。今のように代表者以外の質問を受け付ける形式では約2か月行われていませんでした。第6波は感染者数や1日の死者数で過去にない大きな流行となったわけですが、状況が悪化する局面で情報発信しなかったのは問題だったのではないかと思うのですが、御見解をよろしくお願いします。

(岸田総理)
 まず1点目につきましては、今の政権における新型コロナ対策のありようについては、様々な個々の指摘あるいは御批判については、これは謙虚に受け止めなければならないと思いますが、今のこの政権における対策の最大のポイントは、去年の11月に「全体像」で示したように、まずは昨年の夏の状況をしっかり振り返って、十分な医療提供体制をしっかり用意する、その上でワクチンによる予防、検査キット等による検査、そして経口治療薬による早期治療、こうした流れを強化する、この「全体像」を用意するということが今の政権における対応の大変重要なポイントだと思います。一つ一つももちろん大事でありますが、こうした「全体像」をしっかり用意することによって、国民の皆さんにより安心を感じてもらえるような体制を作っていく、これがポイントであったと思います。是非、これからもこの「全体像」をしっかりと説明することによって、国民の皆さんに少しでも安心を感じていただけるように、努力を続けていくことが大事であると思います。
 足元、感染拡大のペースは落ち着いており、そして、昨年の4倍の新規感染者数が報告されていますが、病床あるいは重症者病床、こうしたものについてはまだ余力があるという現状についてしっかり見ていただきながら、国民の皆さんに御協力をお願いしていきたいと思っています。
 そして、2点目の会見の件ですが、こうした記者会見については、御指摘のようにしばらく時間が空いたということかと思いますが、私も今週に入りまして、昨日もおとといもぶら下がり会見という形で発信をさせていただき、そして、長い日には30分近くにもわたって様々な質問を受けさせていただいてきました。政権が発足してから数えますと、ぶら下がり会見は60回以上に及んでいると思います。会見の形は違うのかもしれませんが、様々な形を通じて発信を続けるということは大事であると思い、そうした努力を続けているところです。発信の形についてはいろいろな御意見もあるようですので、そういった意見もしっかり承りながら、適切な発信の状況については考えていきたいと思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 次に、御質問は1問でお願いしたいのですけれども、それでは、七尾さん。

(記者)
 連日お疲れさまです。ドワンゴニコニコの七尾です。よろしくお願いします。
 新型コロナにおけます若者のワクチン接種についてお聞きします。ピークアウトし、今後収束に向かえば向かうほど、若者のワクチン接種率が課題になる可能性が高まると思います。無症状で重症化する確率が低いと言われている若者のワクチン接種について、総理はどうお考えなのでしょうか。どう対応したらよいかと思っている若者も少なくないと思います。よろしくお願いします。

(岸田総理)
 若い方々の接種についても、既に1回目、2回目の接種を振り返りましても、若い方も8割以上の方々が接種を受けているという現状があります。この接種につきましても、若い人たちの間においても理解は進んでいると思います。今後、3回目の接種ということについても、御自身や、あるいは家族の方々を守るという観点だけではなく、社会全体の安心・安全を守るという観点からも、是非御協力いただきたいということ。さらには、何といっても3回目の接種を始めとするこのワクチン接種が安全であり、そして有効であるということ、こういったことについて丁寧に説明を続けることによって、より若い方々にも御理解いただき、御協力いただき、そして接種を進めていただける、こういったことにつながっていくよう、努力をしていきたいと思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 それでは、そのお隣、伊藤さん。

(記者)
 ラジオ日本の伊藤と申します。よろしくお願いします。
 総理、総理の在職期間が今日でちょうど127日目を迎えました。この間、新型コロナを始めいろいろな外交の問題なんかに関して数々の政治決断を行いました。その際、非常に初歩的な質問なのですが、一国の総理としての判断の基準は何だったのでしょうか。その辺をお尋ねしたいのですが、よろしくお願いします。

(岸田総理)
 判断の基準、一言で言うならば、何が国民の皆さんにとってベストなのかということではないかと思っています。総理に就任してから本当に様々な課題に直面しました。特に新型コロナ対応、さらには国際情勢に関しましては大変目まぐるしく動きもありましたし、新しい課題が次々と出てくる、こうしたことでありました。
 こうした状況の変化の中で決断をするということになりました場合に、一つ決断をしたとしても、状況がどんどん変化していくわけですから、その際に国民の皆さんにとってより良いものがこっちだというふうに判断したならば、その際にはちゅうちょなくこの対策を進化させる、こうした機動的な判断は重要であると思ってきましたし、そういった判断に基づいて様々な決断をしてきた、こうしたことでありました。
 総理としてのこの決断、判断、改めて大変重たいなということも感じてきました。いろいろ難しい判断の連続ではありましたが、最後は自分で決めるのだという覚悟で物事を判断してきた、こうしたことであったと振り返っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 それでは、その次、鹿嶋さん。

(記者)
 フジテレビの鹿嶋です。
 足元の原油高や物価高によって、国民生活への影響を懸念する声が日増しに高まっていると思います。岸田総理は、これまでの対策の効果を検証しつつ、内外の情勢を見据えた更なる対策を検討する考えを示されていますけれども、現在具体的にどのような検討をされているのか教えてください。

(岸田総理)
 原油を始めとする物価高については、我が国の経済、そして国民生活に大きな影響が出る大変重大な課題であると思っています。原油価格高騰につきましても、従来から激変緩和措置を用意する、あるいは自治体における様々な支援に対して財政的な支援を行っていく、あるいは業界ごとの様々な支援策を講じていく、様々な政策を重層的に用意してきたということでありますが、御承知のとおり、この原油を始めとする様々な物価、高止まりをしていき、そして将来も不透明であるということであります。
 よって、今、申し上げたような様々な政策は用意しましたが、その効果の検証も含めて、官房長官の下で改めて検証を行った上で、何が必要なのか、これをこれから先に向けて議論を進めてもらっているという状況であります。
 この不透明なもの、また、大きな問題意識をしっかりと持ちながら、今後これに何を加えるべきなのか、何を改良すべきなのか、これはしっかり議論を続けていきたいと思います。具体的な状況をしっかり見つめながら、具体的な対策、用意してまいります。

(内閣広報官)
 次に秋山さん。

(記者)
 日本経済新聞の秋山です。
 まん延防止等重点措置、今日一部解除されて、一部は延長ということになりましたが、この間の効果の検証といいますか、その辺をちょっとお願いします。一部の地域は酒類の提供をしたり、しなかったりと対応が分かれているわけですが、その辺も含めて、今回の効果というのはどういうふうに見ていますでしょうか。

(岸田総理)
 これまで感染拡大の防止と社会経済活動の維持、この2つのバランスを考えながら対策を講じてきました。そして、このオミクロン株については専門家の皆さんからいろいろな意見を聞かせていただきました。その中で、社会経済活動の広範な制約ではなく、マスクを着けずに大声で会話をするといったリスクの高い場面での人数制限が有効である、こういった指摘もありました。大人数あるいは長時間の会食や酒を伴う飲食が、感染リスクが高まる行動であるということで、こうした行動をできる限り避けるといった観点から、認証店制度を前提として、飲食店の時短要請等、めりはりの効いた行動制限を実施してきたというのが、まん延防止等重点措置の取組を始めとする様々な取組の基本的な考え方であったと思っています。
 今、感染拡大のペースは落ち着き始めていると申し上げましたが、その全てがまん延防止等重点措置の効果とは言うつもりはありませんが、こうした措置適用以降、飲食店でのクラスターは減少しているなど、一定の効果はあったと私は思っております。
 そして、酒類提供等について御指摘がありましたが、酒類提供を停止するかどうか、これは地域ごとの感染状況が異なりますので、一概にそれについて申し上げるのは困難ですが、現場で対応に当たる都道府県知事の皆さんが地域の事情を踏まえて適切に判断されているものであると認識をしています。
 以上です。

(内閣広報官)
 では、隣の石垣さん。

(記者)
 時事通信の石垣です。よろしくお願いします。
 水際対策で総理が繰り返し述べてこられた外国人の新規入国を原則停止するということは、今回の緩和によって、その原則というのは変わったのでしょうか。原則禁止なのか、原則容認なのか、そこら辺の認識をお願いします。

(岸田総理)
 どっちが原則で、どっちが例外かということなのかもしれませんが、一応、今回については観光目的の方を除いて外国人の方の入国については認めるということを申し上げています。もちろん、先ほど申し上げました総人数については、制限は残しているわけでありますし、また、待機期間についても指定国、非指定国、さらには3回目の接種を受けておられる方、おられない方によって、それぞれ日数あるいは待機場所も決めた上で、ルールを作らせていただきました。こうした全体のルールの中で、外国人の方の入国については、観光目的の方以外は認めさせていただく、こういったことを申し上げさせていただいております。

(内閣広報官)
 下久保さん。

(記者)
 中国新聞の下久保です。よろしくお願いします。
 在日米軍関連施設、岩国基地などですけれども、年末年始、コロナの感染が急拡大しました。この問題をめぐっては、日米地位協定の問題、PCR検査のそごとかが日米間であったと思うのですけれども、この問題について見直しを求める声もあります。総理はこの日米地位協定についてどのように、今後この問題について対応していくか。また、今回の感染拡大をめぐっては、原因究明に必要な米兵のゲノム解析も進めているのだと思うのですけれども、これについて結果が返ってきたのかどうか、この点についてお聞かせください。

(岸田総理)
 まず、日米地位協定についてどう考えるかということですが、日米地位協定については、それ自体が大変膨大な法典でありますので、具体的な様々な課題の発生を受けて、これまでも現実的な対応が行われてきた、こうしたことでありました。かつて環境問題が日米地位協定に絡んで問題になった際には、そもそも日米地位協定の中に環境条項というものが存在しなかったということから、補足協定を作って対応した、こういったこともありました。米軍、軍属の事件の際にも補足協定で対応した、私も外務大臣として対応しましたので、そういったことも思い返しています。
 ですから、それぞれの課題に応じて、迅速に対応するにはどうあるべきなのか、こういった観点から議論を行い、今回は感染症との闘いでありますので、地元の皆さんの命、健康が懸かっているわけですから、迅速に対応しなければいけないということで、日米でしっかり協議を行い、米国に対応を求めた、こうしたことでありました。米国においても、この話合いの結果、米軍の入国者については出国前、入国後、入国後5日以降、3回の検査を行うということ、さらには3週間にわたって外出禁止などの措置を採るなど、対応を行ってきた、こうしたことでありました。結果として、1月14日の日に米軍における新規陽性者の数、715人だったものが、2月16日には81名まで減少した、こうしたことでありました。
 そして、ゲノム解析についてどうなったのかという御質問がありました。結果判明の時期については、今のところ確たる見通しについて承知をしておりませんが、解析ももちろん一つのポイントではあると思いますが、何よりも感染者の数を減らすこと、さらには、医療提供体制をしっかり充実させること、これが地元、県民の皆さんの命や健康を守る上で重要であるという観点から、そちらの充実にまずはしっかりと努めていかなければならないと思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 2列目の山本さん。

(記者)
 テレビ朝日の山本です。よろしくお願いします。
 今回の政府方針の決定で、まん延防止等重点措置の期限、これは来月の6日にそろうことになろうかと思います。総理、先ほど今が一番厳しいときだと、もうしばらく協力をお願いしたいとおっしゃっていましたが、このままのペースで感染状況が改善していけば、来月6日に一斉解除は可能だとお考えなのでしょうか、見通しについてお伺いします。

(岸田総理)
 まず現状については、先ほど申し上げたように、感染拡大のペースは落ち着きを見せていますが、専門家の方々のお話を聞いていましても、重症者の数の増加は遅れてくるリスクもあるから、決してまだまだ油断してはならない、こうした御指摘があります。まだ警戒を緩める段階ではないと思います。状況をしっかり把握しなければならないと思います。
 そして、3月6日、一斉に解除できるのかということでありますが、今回、延長した地域においても状況をしっかり把握しなければいけない。今回、まん延防止等重点措置を解除した5つの県においては、まずは地元の要請があるということ、さらには新規感染者の数が減少傾向にあるということ、あるいは病床の使用率が50パーセントを下回っているということ、さらには重症者の病床使用率も50パーセントを下回っているということ、さらには自宅療養者の数も減少しているということ、こういった点を勘案して、地元ともよく話し合った上で、まん延防止等重点措置を解除することに至ったという報告を受けています。
 こういった事情はその地域によって事情は様々ですから、全てこの物差しでいくというものではありませんが、こういった点も考慮に入れながら、今後、延長した地域についても状況をしっかり把握していく、その中で、地元ともよく話し合いながら解除ができるという結論に至ったならば、3月6日を待たずに解除するということもあり得ると、一般論としては思っています。実際には、状況をしっかり把握した上で決断することになりますが、一般論としては、今、申し上げたような考え方に基づいて対応するべきであると思っています。

(内閣広報官)
 それでは、大変恐縮ですが、あと2問とさせていただきます。
 それでは、古川さん。

(記者)
 西日本新聞の古川と申します。
 水際対策についてお伺いします。経済界や人手不足に悩む地方や業界からは、この間、経済的なデメリットのほうが大きかったというような声もございますが、総理はその声についてどのように考えているのかという点と、では、上限撤廃を求める声もあるのですけれども、その上限撤廃になる基準あるいはその見通しについてはどのように考えているのか、お聞かせください。お願いします。

(岸田総理)
 やはり感染拡大と社会経済活動の維持のバランスというのが大変重要なポイントだと思います。そして、そのバランスを考える際のポイントは、感染状況を始め、様々な状況を総合的に判断するということなのだと思います。
 そして水際対策については、先ほども少し触れましたが、内外の感染状況の違い、各国の水際対策のありよう、3回目のワクチン接種の進み具合、そして検疫体制のありよう、こういったものを総合的に勘案して判断すべきものであると思います。
 今回の判断については、冒頭申し上げたバランスの中で一つ判断をしたと、そして、今、申し上げた様々な観点を総合的に判断して、この新しい体制を公表させていただいたということであります。
 今後については、様々な意見があるのは十分承知をしていますが、様々なバランス、感染拡大と社会経済活動の維持のバランスの中で、今、申し上げた諸点を考えながら、どこまで緩和することができるのか、これは絶えず考えていきたいと思います。あくまでも今回の措置は、まず第1弾ということで、段階的に緩和をしていく上の一つのステップだと思っています。引き続き状況をしっかり注視していきたいと思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 それでは、最後の質問、後列の山本さん。

(記者)
 文化放送の山本と申します。総理、よろしくお願いいたします。
 3回目のワクチン接種についてお伺いします。希望する高齢者へのワクチン接種の完了というのは、総理にとっても重要なミッションの一つだと思います。ただ、いまだ3回目のワクチンについて交互接種とか副反応への不安の声というのも高齢者の方からも多く聞かれるんですね。そんな中、希望する高齢者の接種を一日も早く完了するために、この不安解消を含め、総理は更にどういう取組が必要だとお考えなのか、またあわせて、岸田総理が3回目のワクチン接種をいつ頃受けられるのか、日程など分かっていたら教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

(岸田総理)
 まず、終わりのほうからいきますと、私は、2回目の接種を去年の8月の終わりに受けていますので、2月の終わりになりますと6か月たつのだと思いますので、その後、3月の頭ぐらいには是非受けたいなと思っております。モデルナ製を受けることを予定しております。
 そして、高齢者の方々の中から副作用に対する不安ですとか様々な意見があり、なかなか接種が進まないのではないかという質問につきましては、そういった御意見があるということ、これは十分認識しております。だからこそ、安全性、さらに有効性についてしっかり説明しなければいけないということで、SNSももちろんですし、様々なメディアを通じてその有効性、あるいは安全性についてしっかり説明をさせていただいているということであります。ワクチンの種類よりスピードを是非重視して、ワクチン接種を受けていただきたいと。それがあなた自身や御家族の皆さんのみならず、社会全体を守ることになるのだということで、接種に対する理解をお願いしているということであります。是非これからも様々な発信の場を活用させていただきまして、接種券が届いたならば、迅速に接種を受けていただくよう、御理解いただけるよう、努力を続けていきたいと思っています。
 以上です。

(内閣広報官)
 以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。
 御協力ありがとうございました。

(岸田総理)
 ありがとうございました。

関連リンク

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