日独共同記者会見

更新日:令和5年3月18日 総理の演説・記者会見など

【岸田総理冒頭発言】
 ショルツ首相、ドイツ側の閣僚及び経済界の皆様の御訪日を心から歓迎申し上げます。昨年4月にオラフとの間で立ち上げに合意いたしました日独政府間協議は、緊密な両国間の協力関係を更なる高みに引き上げる新たな枠組みです。その第1回会合を本日開催できたことをうれしく思います。
 ロシアによるウクライナ侵略などを経て、国際社会は、正にオラフが指摘するように、時代の転換期にあります。このような中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、日独両国は、連携と協力をこれまで以上に強化することが求められています。
 経済分野においては、世界的なサプライチェーンの混乱やエネルギー・食料価格の高騰、グローバル化の脆弱(ぜいじゃく)性等の課題に対応し、社会の強靱(きょうじん)性を高めていく上で、共に産業立国であり、基本的価値を共有する日独が、主導的な役割を果たす必要があります。
 先ほどオラフとの間で行った首脳会談においては、現下の厳しい国際安全保障環境について議論する中で、私から、昨年末に策定した国家安全保障戦略について説明を行い、オラフから同戦略に対する理解と支持を得ました。
 その上で、昨年11月の日独2+2開催を含め、両国間で安全保障分野での協力が進展していることを歓迎し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた具体的な協力を更に強化することで一致いたしました。
 また、一日も早くロシアによる侵略を終わらせるべく、日独が同志国と結束し、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続することの重要性を再確認いたしました。また、ロシアによる核の威嚇は断じて受け入れられず、ましてやその使用はあってはならないという認識を共有いたしました。
 その他、双方が関心を有するインド太平洋や欧州などの地域情勢、安保理改革を含む国連の機能強化、核軍縮・不拡散などのグローバル課題などについても、率直に議論を行い、日独間で協力していくことを確認いたしました。
 首脳会談に続いて実施した政府間協議では、経済安全保障を中心に関係閣僚を交えて議論を行いました。
 その中で日独は、自由で公正な貿易に基づく多国間貿易システムを支えるとともに、経済的威圧、国家主導の不正な技術獲得の動きや非市場的政策・慣行に対抗するために協力していくことを確認いたしました。
 また、安全で、持続可能であり、強靭なグローバル・サプライチェーン構築のため、両国は、鉱物資源、半導体、電池を含む戦略的部門における協力を強化し、リスクに対処するためのベスト・プラクティスを共有することを確認いたしました。
 さらに、技術先進国である日独が、重要インフラ防護、デジタル空間における悪意ある活動への対処、新興技術の保護・育成に向けた協力等を強化することでも一致いたしました。
 経済安全保障は、一部の先進国のみの課題ではなく、いわゆるグローバル・サウスを含む国際社会全体が連携して取り組むべき課題です。日独は、各国の経済安全保障の促進を支援していきます。
 さらに、両国は、不透明・不公正な開発金融に対する懸念を共有し、全ての関係者に国際的なルールやスタンダードに従うことを求めるとともに、国際的な債務枠組みの改善に向けて協力していくことを確認いたしました。
 政府間協議の後には、日独の経済界の代表者とも意見を交わしました。幅広い分野で世界的なサプライチェーンの重要な部分を占めている日独企業の連携は、我々の経済成長と世界経済の安定と繁栄に大きな位置を占めています。この後の夕食会でも、経済関係者の皆様も交えて、更なる議論を行いたいと思っております。
 G7広島サミットまであと2か月です。昨年G7議長を成功裡(せいこうり)に務めたオラフにも協力いただきながら、本日の成果もいかしつつ、準備にまい進していきます。G7首脳・閣僚会合の機会に、オラフやドイツ側関係閣僚の皆様を再び日本にお迎えできますことを楽しみにしております。

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