高市内閣総理大臣記者会見

更新日:令和7年12月17日 総理の演説・記者会見など

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 ※速報版

【高市総理冒頭発言】

 皆様、お疲れ様でございます。
 まず冒頭に、青森県東方沖を震源とする地震を始め、最近の相次ぐ災害により被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、本日、臨時会が閉会をしました。
 内閣総理大臣に就任してからこれまで、国民の皆様が直面している物価高への対応を最優先に、果敢に働いてまいりました。
 まずは、「補正予算の成立」という形で、国民の皆様とのお約束を果たすことができました。
 また、「強い経済」、「強い外交・安全保障」の実現についても、この補正予算により、政権として一定の方向性を出すことができたと考えています。
 補正予算の編成に当たりましては、日本維新の会との広範な連立政権合意を基礎としつつも、各党からの政策提案についても柔軟に取り入れ、国民民主党、公明党の皆様からも御賛同を賜りました。
 短時間で精力的に議論をしてくださった与野党の皆様に、心より感謝を申し上げます。
 また、就任以来、「日本成長戦略本部」、「地域未来戦略本部」、「人口戦略本部」、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」、「クマ被害対策等に関する関係閣僚会議」など、幅広い政策課題にスピード感をもって対応していくための体制を整備してまいりました。
 丁寧かつ迅速に議論を進め、結果を出してまいります。
 さらに、今国会におきましては、政府提出法案について、臨時会提出の10本に、通常国会から継続審議となっていた1本を加え、11本全てが成立しました。
 あわせて、自由民主党、日本維新の会、立憲民主党、国民民主党、公明党、日本共産党の6党合意に基づき、「ガソリン・軽油引取税の暫定税率」を廃止する法律も成立を見ました。
 また、身を切る改革として、国会議員から任命される総理大臣を含む閣僚等について、議員歳費を超える閣僚等としての給与を受け取らない法改正も成立しました。
 日本維新の会との重要な約束である議員定数削減法案については、大変残念ながら、審議すらされませんでした。
 引き続き、通常国会において、野党の皆様の御理解を求め、成立を期したいと思います。
 年内は、(12月)19日に「令和8年度与党税制改正大綱」の取りまとめ、26日に「令和8年度当初予算」の閣議決定を予定しています。
 引き続き、気を引き締めて、政権運営に当たってまいります。
 補正予算においては、「生活の安全保障・物価高への対応」として、約8.9兆円を措置しました。
 「ガソリン・軽油の引下げ」、「電気・ガス代支援」、「重点支援地方交付金」、「物価高対応子育て応援手当」により、夫婦とこども2人の4人家族の場合、1世帯当たり、標準的には年間8万円を超える支援額となることが見込まれます。
 中でも、ガソリン・軽油については、暫定税率廃止を待たず、補助金引上げにより、既に負担軽減の効果を実感していただけていると思います。
 事業者向けには、国民の皆様の命と暮らしを守るため、赤字の医療機関・介護施設を中心に、報酬改定を待たずに、前倒しで、「医療・介護等支援パッケージ」を約1.4兆円措置しました。
 これにより、経営基盤強化や処遇改善を支援いたします。「令和8年度報酬改定」におきましても、しっかりと対応をしていきます。
 また、中小企業・小規模事業者の賃上げ環境の整備についても、約1兆円の大胆な措置を講じました。
 これらについて、一日も早く施策の効果を実感いただけるよう、迅速な執行に努めてまいります。
 いわゆる「103万円の壁」につきましては、「令和7年度税制改正法」により、今年の年末調整から、納税者1人当たり2万円から4万円の所得減税が行われますが、加えて、「基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置」について、令和8年度税制改正において措置すべく、与野党間で最終的な調整を行っております。
 いわゆる「教育無償化」については、来年度からの実施に向け、令和8年度当初予算の編成において、しっかりと対応していきます。
 さて、日本に今、必要なことは、「行き過ぎた緊縮財政により国力を衰退させること」ではなく、「積極財政により国力を強くすること」です。
 次の世代のためにも、「成長する経済」により、「企業収益の改善」と「賃金上昇に伴う個人所得の増加」を生み出すことにより、「経済の好循環」を実現し、「税率を上げずとも税収が増えていく姿」をつくっていくことで、「財政の持続可能性」を実現してまいります。
 一方で、「責任ある積極財政」は、先を見据えた「戦略的財政出動」であり、決して、規模ありきで、いたずらに歳出を拡張していくことを意味するものではありません。
 内閣官房に設置した「租税特別措置・補助金見直し担当室」において、片山大臣を中心に、無駄をそぎ落とした、筋肉質の財政支出を目指します。
 令和8年度の税制改正・当初予算から、可能な項目については見直しを進めます。
 こうした「ワイズスペンディング」の考え方に基づく「戦略的財政出動」により、「強い経済」を構築し、成長率を高めていくことと相まって、「政府債務残高の対GDP(国内総生産)比」の着実な低下を図り、「財政の持続可能性」を確保しながら、国内外の市場の信認を高めていきます。
 実際、当初予算と補正予算を合わせた「補正後」の国債発行額は、昨年度の「補正後」の発行額を下回っており、「財政の持続可能性」にも十分配慮した姿になっております。
 令和8年度予算につきましても、令和7年度補正予算と一体として編成を進めているところですが、予算全体のメリハリ付けを行う中で、重要施策に予算を重点化しつつ、市場の信認を確保できるものとしてまいります。
 「強い経済」を構築することで、国民の皆様の今の暮らしや未来への不安を希望に変える、そのための成長戦略の肝は「危機管理投資」です。
 「危機管理投資」とは、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障、健康医療安全保障、国土強靱(きょうじん)化対策、サイバーセキュリティなどの様々なリスクや社会課題に対し、官民が手を携え、先手を打って行う戦略的な投資です。世界共通の課題解決に資する製品・サービスやインフラを国内外の市場に展開できれば、更なる日本の経済成長につながります。
 補正予算では、必要な政策に早期に着手するため、頭出しとなる予算を約6.4兆円措置しました。
 令和8年度税制改正におきましても、大胆な「投資促進税制」創設など、成長に向けた税制を措置する方針です。
 令和8年度当初予算でも、「AI(人工知能)ロボティクスの汎用基盤モデル」の開発に対する支援など、戦略分野に対する支援の深掘りを行い、切れ目なく「危機管理投資」を推進していきます。
 高市政権では、「日本成長戦略本部」を立ち上げ、17の戦略分野と8つの分野横断的課題を確定しました。
 17の戦略分野につきましては、複数年度の財源フレームに基づく枠組みや、大胆な「投資促進税制」を含む官公庁による調達や規制改革等による需要創出・拡大策を含む「官民投資ロードマップ」を来年夏までに策定します。
 事業者の予見可能性を高めることで、強力に民間投資を引き出してまいります。
 さらに、「新技術立国」に向け、宇宙やフュージョンエネルギーなどの、成長が見込まれ、かつ、研究開発の難易度が高い技術領域について、「研究開発税制」の深掘りを行う方針です。
 補正予算に続き、令和8年度当初予算でも、大学等における基礎研究基盤の強化のための措置を大幅に拡充いたします。
 また、「J-POP」、「マンガ」、「アニメ」、「映画」、「ゲーム」といった日本の魅力的なコンテンツを生み出すアーティスト・クリエイターの皆様に、より多くの国で新たな活躍をしていただけるよう、550億円を超える補正予算を活用し、海外売上高20兆円を目標に、複数年での御支援をお約束し、官民連携で、強力に後押ししてまいります。
 私自身が、関係者の皆様のお声を直接お伺いする機会も持ちたいと思っております。
 加えて、レアアースを含む「サプライチェーンの強靱化」は急務です。
 国民の皆様の生活及び日本の生産活動の安定的確保の観点から、政府を挙げてリスクを徹底的に洗い出し、補正予算の活用を含め、躊躇(ちゅうちょ)なく迅速な措置を講じてまいります。
 あわせて、昨今の国際情勢を受けた供給不安定化について、懸念を共有する同志国との連携強化のため、あらゆる機会をいかして対話を積み重ねていきます。
 また、国民の皆様に不安を与えているクマ被害について、対策パッケージを策定しました。
 129億円の補正予算は、既に自治体が緊急的に実施した事業に対しても遡って交付可能であります。令和8年度当初予算の前倒し執行も含めて、冬眠期の前と後での対策を切れ目なく実施してまいります。
 内閣総理大臣就任以来、「ASEAN(東南アジア諸国連合)関連(注)首脳会議」、「AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)首脳会合」、「日米首脳会談」、「APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議」、「G20」など、様々な貴重な外交機会に恵まれました。
 6回の国際会議に出席し、18か国・機関との間で22回の会談を実施しました。
 変化の激しい国際社会の中で、日本のプレゼンスを高めることができたと考えています。
 外交・安全保障政策の基軸である日米同盟について、トランプ大統領の訪日や電話会談を通じ、「新たな黄金時代」の構築を相互に確認し、「いつでも電話ができる信頼関係」を構築しました。
 米国とは、インド太平洋からウクライナ、中東、グローバルサウスに至るまで、世界的課題について、常に連携しながら取り組んでいく関係にあり、このような日米関係を更に発展させていきたいと思います。
 また、中国は、日本にとって重要な隣国であり、建設的かつ安定的な関係を構築していく必要があります。
 他方、日中間には、経済安全保障を含む安全保障上の懸念事項が存在しています。
 率直に対話を重ね、「戦略的互恵関係」を包括的に推進していきたいと思います。
 存立危機事態に関する私の答弁は、日本政府の従来の立場を変えるものではありません。
 この点を、様々なレベルで、中国及び国際社会に対して粘り強く説明していく考えです。
 広く東アジアや東南アジアのリーダーにお目にかかる中で、首脳同士の信頼関係を構築できました。これを出発点として、「自由で開かれたインド太平洋」、いわゆるFOIPの進化に取り組んでまいります。
 とりわけ、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領とは、隣国ゆえに立場の異なる諸懸案はありますが、両首脳のリーダーシップでそれらを管理し、日韓関係を未来志向で安定的に発展させていくことで合意をいたしました。
 今後、日韓のシャトル外交を積極的に進めてまいります。
 安全保障環境の激変を踏まえ、「防衛力の抜本的強化」を、我が国の主体的判断によって実施していく必要があります。
 そのため、来年中の「戦略三文書」の改定に向けた議論を加速させます。
 また、安全保障関連経費1.1兆円を措置した補正予算の成立により、令和7年度当初予算と合わせて「国家安全保障戦略」に定める「対GDP比2パーセント水準」に結果として達することになりました。
 そのための財源については、与党税制調査会で議論が進んでいますが、新たな家計の負担増とはならない形の決着を目指します。
 私は、若い頃、松下政経塾において、現在のパナソニックの創業者である松下幸之助塾頭の薫陶を受ける機会に恵まれました。
 政経塾の「五誓」、すなわち5つの誓いの1つに、「素志貫徹の事」というものがあります。
 すなわち、「常に志を抱きつつ、懸命に為(な)すべきを為すならば、いかなる困難に出会うとも道は必ず開けてくる。成功の要諦は成功するまで続けるところにある。」という意味でございます。
 高市内閣は、まだ始動したばかりです。
 必ずや、日本列島を強く豊かに、そして、日本を再び世界の高みに押し上げてまいります。
 その志を遂げるまで、「決断と前進の内閣」として、決して諦めずに、国家国民のために、全力を尽くしてまいります。
 私からは以上です。ありがとうございました。

【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは、これから皆様より御質問を頂きます。
 まず、幹事社から御質問を頂きます。
 朝日新聞、西村さん。

(記者)
 朝日新聞の西村です。よろしくお願いいたします。
 私は政権運営についてお伺いします。今回の臨時国会では、維新の会との連立合意書に明記した、先ほども申し上げられたガソリン・軽油の減税であったり、電気・ガスの補助については実現された一方で、議員定数のほうでは自民党内でも議論が拙速過ぎるというような不満の声も出ていました。連立合意書には、まだ通常国会での実現を目指すとされている項目が多数残っていますけれども、どのように党側の理解も得ながら進めていくお考えでしょうか。
 また、こうした政権運営の安定のために、補正予算で賛成を得ることができた国民民主党もしくは公明党との連立拡大までは検討されますでしょうか。もしくは、いっそのこと、連立の組替えであったり、高支持率を背景にした解散・総選挙による政権の安定化、こちらのほうのお考えはいかがでしょうか。お伺いします。

(高市総理)
 高市内閣では、自由民主党と日本維新の会の連立政権合意書を踏まえまして、幅広い政策の実施、検討を進めてまいりました。合意書に掲げられた項目につきましては、ガソリンの暫定税率廃止や電力・ガス料金補助に限らず、病院及び介護施設の経営状況を好転させるための措置など、多くを補正予算の中で措置しております。
 また、租税特別措置・補助金見直し担当室などの設置、そして、人口戦略本部の立ち上げなど、これも多くの項目に入ると思います。実施済みでございます。
 さらに、外国人による不動産取得への対処、また、国家情報局や日本版CFIUS(対米外国投資委員会)の創設、また、メガソーラーの法的規制など、来年の通常国会で法案を提出することとしている事項を含めて着実に具体化が進んでおります。自民党内においても、この検討項目に応じて受皿となる組織において議論を行い、しかるべく党内手続きを経て、方針を決定してまいります。民主的な政党である以上、それに尽きるということでございます。
 今後とも、日本維新の会との連立合意を基礎として、国家国民のために働いてまいります。その決意にいささかの変わりもございません。
 連立の拡大につきましては、これは相手方の意向もありますことですから、私からコメントをすることは控えたいと思います。しかしながら、就任以来申し上げておりますが、政治の安定なくして力強い経済政策も、また、力強い外交・安全保障も推進していくことはできないと考えております。その上で、令和8年度の税制改正や当初予算の取りまとめなど、目の前でやらなければいけないことが山ほど控えておりますので、解散については考えている暇がございません。以上です。

(内閣広報官)
 続きまして、同じく幹事社のテレビ朝日、千々岩さん。

(記者)
 テレビ朝日、千々岩です。総理、よろしくお願いします。
 冒頭でも触れられました日中関係について伺います。総理は、秋の例大祭で靖国参拝を控えるなど、一定の配慮をされながら日中首脳会談を実現されました。その後は、台湾問題をめぐって(の)SNSの発信ですとか国会答弁があって、今、日中関係は冷え込んでいます。総理の本音としては、前者のような多少の妥協とか配慮はしてでも中国との関係は良好に進めたいとお考えか、もしくは、相手の耳の痛いことでも主張して、多少の衝突はいとわないとお考えか、どちらか。高市政権の対中戦略について伺えればと思います。
 関連して、アメリカのトランプ大統領は、この件で、日中関係について沈黙しています。ホワイトハウスの報道官は、日本とは強固な同盟関係を維持する一方で、中国とは良好な関係を築くというトランプ大統領の考えを説明していますけれども、このアメリカのトランプ大統領の姿勢については、総理はどうお感じになっていらっしゃるか。加えて、国会で「早期に会いたい」という意欲を示されましたけれども、トランプ大統領との首脳会談の調整状況、見通しについても伺えればと思っております。

(高市総理)
 中国との関係ですけれども、「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、「建設的かつ安定的な関係」を構築していくという方針は、私の総理就任以来一貫しております。その上で、日中間に懸案と課題があるからこそ、意思疎通が重要でございます。我が国としては、中国との様々な対話については、常にオープンでございます。扉を閉ざすというようなことはしておりません。このような姿勢の下で、中国側とも意思疎通を継続しつつ、今後も国益の観点から適切に対応していく、そういう考えでございます。
 トランプ大統領のお話がございましたが、米国との間では平素より、私自身とトランプ大統領の間を含めて様々なレベルで緊密に意思疎通を行っております。米国政府からは、もう累次の機会に日米同盟の揺るぎないコミットメントが示されてきております。その上で、トランプ大統領との会談についてですけれども、できるだけ早期に行いたいと考えております。それぞれ都合もありますので、よく調整していきたいという段階でございます。

(内閣広報官)
 そうしましたらば、ここからは幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。御質問のある方は挙手をお願いいたします。
 NHK、山枡さん。

(記者)
 総理、お疲れ様です。NHKの山枡と申します。
 給付付き税額控除をめぐる国民会議についてお伺いさせてください。総理は所信表明演説で、給付付き税額控除を含む税と社会保障の一体改革について、超党派かつ有識者による国民会議を設置する方針を示されておられます。一方で、与野党4党の協議では、国民会議と切り分けて制度設計を進めるべきとの意見も出ており、議論の進め方が定まっていないという印象を受けます。この国民会議の設置時期の見通しと給付付き税額控除の議論をどう進めていくお考えか、こちらをお伺いします。

(高市総理)
 給付付き税額控除、様々報道などで御承知の国民の皆様も多いかと思いますけれども、これは税と社会保険料を含めた給付と負担の全体像を把握した上で、税・社会保険料負担で苦しむ、特に中所得、低所得の方々の御負担を集中的に支援するというものでございます。このため、政府・与党だけではなくて、野党の皆様も交えた国民会議を設置して、給付と負担の在り方や、それから社会保障給付との整合性、そしてまた所得の把握といった給付付き税額控除の制度設計を含めて、税と社会保障の一体改革についてしっかり議論を進めていきたいと考えております。
 国民会議の具体的な在り方でございますけれども、議論の内容、進め方、その時期についてもなのですけれども、各政党の皆様とよく相談して、私の思いとしては、できるだけ早期に国民会議を立ち上げて、広く議論いただく形で早急に検討を進めたいと思っております。

(内閣広報官)
 次に、よろしいですか。日経新聞、三木さん。

(記者)
 日本経済新聞の三木と申します。よろしくお願いいたします。
 先ほど総理からも言及がありました防衛力の強化に関する財源について伺います。防衛費をGDP比で2パーセントまで2025年内に高める方針を掲げられ、今回成立した補正予算で関連経費が盛り込まれました。一方で、2022年末に防衛費増額の財源として政府が示した所得税の引上げの実施については、まだ結論が出ていないと思います。先ほど総理は、新たな家計の負担にならないように、というふうに発言されましたけれども、2026年度、来年度の、政府の税制改正大綱に防衛費の財源確保のための所得税の増税を盛り込むべきだとお考えでしょうか。また、自民党は2027年1月からの引上げ案を議論していますけれども、総理のお考えをお伺いします。

(高市総理)
 とにかく今、我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しくなってきていますので、防衛力強化そのものは必須だと考えております。そのためには安定的な財政基盤を確保すること、これは検討課題となってまいりました。
 財源確保のための税制措置のうち、所得税については、令和5年度与党税制改正大綱において、所得税額の1パーセントの新たな付加税を導入するということとともに、家計を取り巻く状況に配慮して、復興特別所得税を課税期間を延長しながら1パーセント引き下げ、足元の家計負担が全く変わらないという仕組みとされております。
 ですから、防衛財源確保のための所得税の見直しについては、今、ちょうど与党税制調査会で議論が行われておりますので、その議論の結果を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。

(内閣広報官)
 次、いかがでしょうか。共同通信、鳥成さん。

(記者)
 共同通信の鳥成です。
 私からは企業・団体献金についてお伺いをいたします。この臨時国会でも、企業・団体献金の扱いについては与野党間で結論が出ませんでした。昨年の臨時国会から1年以上にわたって各党間で議論が続いているわけですけれども、意見の溝がいまだに埋まっておりません。自民党と日本維新の会は、衆議院議員の定数削減法案について、来年の成立を目指すということにしているわけですけれども、既に審議が始まっている企業・団体献金をめぐる法案、これについて結論が出なければ、現実的にはなかなかこの定数削減のほうの審議に入れないという状況にあると思います。
 そこでお伺いしたいのですが、総理は企業・団体献金の取扱いについて、どのような形で決着をつけたいというふうにお考えなのかお聞かせいただければと思います。

(高市総理)
 企業・団体献金について、今国会中は、自由民主党からもその透明性を向上させることを内容とする議員立法案が提出されました。日本維新の会とも共同で政党の資金調達の在り方について検討を行うために、学識経験者によって構成される合議体の組織を国会に置くことを内容とする議員立法案が提出されました。だから、この企業・団体献金についても、与党のほうでも新たな取組があったということでございます。残念ながら今国会中に成立に至ることはなかったですけれども、今後も各党、各会派がそれぞれの立場や考え方の違いを踏まえた上で、しっかり真摯に議論を深めて、国民の皆様に信頼される政治資金の在り方を追求していくということが重要だと考えております。
 議員定数削減法案との関連についても、これは先ほど少し触れたかと思うのですが、衆議院の選挙制度については、衆議院議長の下に衆議院選挙制度に関する協議会が設置されて、各会派による議論が行われております。ですから、政治資金も議員定数も、これはもう民主主義の根幹に関わる大変重要なテーマでございますので、各党、各会派とよく議論しながら取組を進めていくべきだという考えでございます。

(内閣広報官)
 そうしましたらば、CBCの横地さん。

(記者)
 CBCテレビの横地と申します。
 補正予算で科学技術振興へのお考えについてお伺いをいたします。今も総理から危機管理投資と言及がございました。これは、総合経済対策の中では、今、お話のあったAIに加えて、例えばフュージョン(エネルギー)ですとか、量子ですとか、バイオですとか、こういった分野が挙げられていると思います。こういった分野は実用、それから応用も大事なのですが、あるいはそれ以上に、基礎研究が大事だと言われていると思います。今回ノーベル賞を受賞された坂口さんも北川さんも、若手研究者への支援もそうなのですが、基礎研究への国の支援というのを訴えられていたように記憶をしています。今、研究開発税制のお話もありましたが、これから補正も含めて、国の基礎研究への支援についてどういうお考えをお持ちか、お伺いいたします。

(高市総理)
 ものすごく大切なお話だと思っております。まず、ノーベル生理学・医学賞を受賞された坂口先生、化学賞を受賞された北川先生に対して、改めてお祝いを申し上げます。「強い経済」の基盤となるのが科学技術力でございます。イノベーションを起こすことのできる人材であるとも考えております。高市内閣としては、新技術立国を掲げております。優れた科学技術力の確保のためには、この基礎研究を長期に支える環境の構築、これが極めて重要だと思っております。
 補正予算におきましては、国立大学法人運営費交付金を含む国立大学の教育・研究基盤の維持、また科学研究費助成事業ですとか、創発事業による若手研究者の国際的・創発的研究などへの支援といった必要な経費を計上しました。
 また、来年度から始まる第7期科学技術・イノベーション基本計画の取りまとめに向けましては、我が国の科学を再興するという思いで運営費交付金などの基盤的経費や基礎研究への投資の大幅な拡充について検討するよう、既に関係閣僚に指示をいたしております。補正予算に続き、令和8年度当初予算でも大学等における基礎研究基盤強化のための措置を大幅に拡充してまいりたいと考えております。

(内閣広報官)
 すみません。少しお時間の都合で、あと2問ぐらいとなります。
 そうしましたらば、テレビ東京、横堀さん。

(記者)
 テレビ東京の横堀です。お疲れ様です。
 日中関係について関連して伺います。中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけてから1か月余りとなりました。これを受けて、特に観光業を中心に経済面の影響というのがかなり懸念されているところであると思うのですけれども、こうした事態にどう政府として対応されていくお考えなのか、具体策、何かお考えのものがあれば教えてください。
 また、先ほど中国との対話はオープンだというお話もありましたけれども、事態が長期化することも懸念されている中で、この事態を打開するためには、習近平国家主席との会談も今後必要があるとお考えか、その辺りをお伺いします。

(高市総理)
 今、御指摘いただいた中国側の反応についてはよくよく承知をしております。でも、やはり中国との間で懸案や課題があるからこそ、意思疎通が重要だと思っております。首脳間を含めて、あらゆるレベルで日中間で様々な対話を行うということに、日本側はオープンでございます。その上で、中国側の一連の措置による影響を含めて状況を注視し、適切に対応してまいります。
 やはり、観光への影響というお話もございましたけれども、今年、年末、割と多くの方が国内を旅行されると聞いております。日本人が日本各地を旅行するということも大切ですし、本当に多様な国の方々が日本を訪れてくださる、そういったプロモーションにも力を入れていきたいなと考えております。

(内閣広報官)
 そうしましたら、最後の質問ですけれども、日本テレビ、平本さん。

(記者)
 総理、お疲れ様です。日本テレビの平本です。
 2か月余り、政権発足からたつと思いますけれども、この間の政権運営の評価、御自身の評価をお伺いしたいと思います。高市カラーをこの2か月間、ここはうまく出せたのではないかなと、プラスの評価ではどういった面があるのか。一方で、これやりたかったけどなかなかできなかったなと、始動したばかりの政権という先ほどのお言葉がありましたけれども、カラーが出せなかった、出し切れなかった、その問題はどこにあったのか、このプラス評価の面、マイナス評価の面、御自身の政権運営、御自身への評価をお聞かせください。

(高市総理)
 私の就任が10月21日ですから、まだ2か月弱、2か月に至っておりませんが、内閣発足以来、国民の皆様が直面している、まず物価高への対応、これを最優先に働いてきたつもりでございます。ですから、補正予算の成立という形で国民の皆様へのお約束を一定程度果たすことができたということについてはうれしく思っております。
 では、高市カラーなるものがどういうものなのか、自分ではよう分からんというところもあるのですけれども、いずれにしましても、この臨時国会は経済対策最優先だったということもありますので、まだまだ取り組まなければいけないことがいっぱいございます。特に、今と未来を生きる国民の皆様のために、国力を徹底的に強化するということです。すなわち、外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、それに併せて、さっきも話が出ましたが、人材力、強くしていかなきゃいけません。そのために、あくまでも、どこまでも、「強い経済」による成長を私は追い求めてまいります。
 今回の補正予算によって、「強い経済」の実現についても政権として一定の方向性を打ち出すということはできたと考えているのですが、今後これを更に加速させていきたいと思っております。
 いずれにしても、まだ2か月もたっておりません。高市内閣は始動したばかりでございますので、ここから更にギアを上げて、自民党の総裁選挙で掲げた政策及び日本維新の会との連立合意に掲げた政策、これをどんどん具体化させ、実現していくつもりでございます。かなりスピード感をもって取り組んでこられたのではないかなと思っております。

(内閣広報官)
 それでは、以上をもちまして、会見を終了させていただきます。
 今、挙手いただいている社は、追って書面で御質問を提出いただければと思います。本日中に1問、担当宛てにメールでお送りいただければ、後日、書面にて回答させていただきます。御協力ありがとうございました。

(高市総理)
 どうもありがとうございました。お疲れ様でした。

 (注)「閣僚首脳会議」と発言しましたが、正しくは「関連首脳会議」です。

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